説明

スロープ台及び獣捕獲装置

【課題】獣を安全かつ確実に捕獲するためのスロープ台及び獣捕獲装置を提供すること。
【解決手段】スロープ台1は、上面が斜面となっている台であって、斜面の上部は表面が滑らかな滑り部2となっており、斜面の下部は複数のローラ31が設けられているローラ部3となっており、侵入した獣が滑り部2で足を滑らせるとの斜面の下端へと斜面に沿って落ちていき、その獣が斜面の下端から上端へ登ろうとしても、滑り部2又はローラ部3において足を滑らせて再び斜面の下端へと斜面に沿って落ちていくようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜面の下端から上端に向って登ることが不可能なスロープ台及びこのスロープ台が入口に設置されている獣捕獲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野生鳥獣による農作物被害が発生している。農林水産省が取りまとめた資料によると、その被害金額は毎年間200億円程度を推移している。
【0003】
野生鳥獣による農作物被害を鳥獣種類別に分析した結果、シカ、イノシシといった蹄を有する獣による被害が、被害金額ベースで50パーセント程度のシェアとなっている。
【0004】
このような農作物被害は、巨額の金銭的被害のみならず、農業従事者の生産意欲減退等といった悪影響が生じる。
【0005】
そこで、狩猟によってシカ、イノシシといった蹄を有する獣の個体を減少させることや、特開2007−167024に示すような捕獲檻をつかって、獣を捕獲するといった対策が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−167024
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、狩猟による事故は年間100件程度発生しており、誤射等によって死者がでることもある。また、狩猟人口の減少及び高齢化によって、獣の個体を減少させることが難しくなっている。特開2007−167024の捕獲檻は、野外に設置されるため、風雨にさらされ錆び等が発生することや、植物等が捕獲檻に絡みつくことによって、捕獲動作がうまくいかず、確実に獣を捕獲できない場合もある。
【0008】
上記点より本発明は、獣を安全かつ確実に捕獲するためのスロープ台及び獣捕獲装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため請求項1のスロープ台は、上面が斜面となっている台であって、斜面の上部は表面が滑らかな滑り部となっており、斜面の下部は複数のローラが設けられているローラ部となっており、侵入した獣が滑り部で足を滑らせるとの斜面の下端へと斜面に沿って落ちていき、その獣が斜面の下端から上端へ登ろうとしても、滑り部又はローラ部において足を滑らせて再び斜面の下端へと斜面に沿って落ちていくことや、複数のローラが奥行きのある障害物となり獣の跳躍による飛び越えを防止するようになっている。
【0010】
上記構成になっていることによって、斜面の上端側からスロープ台に侵入した獣は斜面の下端へと斜面に沿って落ちていき、一旦斜面の下端に落ちた獣は斜面を登ることができないようになっている。
【0011】
請求項2の獣捕獲装置は、請求項1に記載の捕獲用のスロープ台がフェンスで囲まれた空間の入口に設置されており、捕獲用のスロープ台の斜面の上端がフェンスで囲まれた空間の外側に向って配置されている。
【0012】
上記構成になっていることによって、斜面の上端側からスロープ台に侵入した獣は斜面の下端へと斜面に沿って落ちていき、一旦斜面の下端に落ちた獣は斜面を登ることができないようになっている。したがって、獣はフェンスで囲まれた空間から出ることができなくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態のスロープ台を示す上面図である。
【図2】図1の断面線A−Aにおける断面図である。
【図3】図1のスロープ台を設置した獣捕獲装置の上面図である。
【図4】本発明の別の実施形態のスロープ台を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態のスロープ台1について図面に基づいて説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、スロープ台1は、面が斜面となっている台であって、斜面の上部は表面が滑らかな滑り部2となっており、斜面の下部は複数のローラ31が設けられているローラ部3となっている。
【0016】
滑り部2は、例えばホーロー、樹脂などの蹄を有する獣が足を滑らせやすい素材で作られている。ローラ部3は、複数のローラ31が並列に配設されている。
【0017】
斜面の上端から侵入した獣が滑り部2で足を滑らせるとの斜面の下端へと斜面に沿って落ちていき、その獣が斜面の下端から上端へ登ろうとしても、滑り部2又はローラ部3において足を滑らせることによって、再び斜面の下端へと斜面に沿って落ちていくようになっている。
【0018】
特にイノシシは奥行きのある障害物に対しては高さが低くてもくぐり抜けようとする傾向がある。イノシシにとって、並列に配設されている複数のローラ31は奥行きのある障害物となり、イノシシが跳躍によってスロープ台1を飛び越えようとすることを防止できる。
【0019】
図3に示すように、獣捕獲装置10は、上述のスロープ台1がフェンス4で囲まれた空間の入口に設置されている。獣捕獲装置10は、捕獲用のスロープ台1の斜面の上端がフェンス4で囲まれた空間の外側に向って配置されている。斜面の上端側からスロープ台1に侵入した獣は斜面の下端へと斜面に沿って落ちていき、一旦斜面の下端に落ちた獣は斜面を登ることができないようになっている。したがって、獣はフェンス4で囲まれた空間から出ることができなくなる。
【0020】
特にシカは大きな群を構成するので、獣捕獲装置10によって一気に多数のシカの捕獲が可能となる。
【0021】
フェンス4は、例えば、獣が跳躍して飛び越えることができないような高さを有し、フェンス4の上部がフェンス4で囲まれた空間側に折り曲げられていてもよい。
【0022】
上記実施形態では、図1に示すようにスロープ台1が上面視で略矩形の場合について説明したが、これに限定されることなく、図4に示すように、スロープ台1Aが上面視で略半円状となっていてもよい。スロープ台1Aは、斜面の上部は表面が滑らかな滑り部2となっており、斜面の下部は複数のローラ31が設けられているローラ部3が放射状に広がっている。
【0023】
また、上記実施形態では、ローラ31が一列に配設されている場合について説明したがこれに限定されることなく、ローラが複数列に配設されていてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1,1A スロープ台
2 滑り部
3 ローラ部
4 フェンス
10 獣捕獲装置
31 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が斜面となっている台であって、
斜面の上部は表面が滑らかな滑り部となっており、斜面の下部は複数のローラが設けられているローラ部となっており、
侵入した獣が滑り部で足を滑らせるとの斜面の下端へと斜面に沿って落ちていき、その獣が斜面の下端から上端へ登ろうとしても、滑り部又はローラ部において足を滑らせて再び斜面の下端へと斜面に沿って落ちていくことや、複数のローラが奥行きのある障害物となり獣の跳躍による飛び越えを防止することを特徴とする捕獲用のスロープ台。
【請求項2】
請求項1に記載の捕獲用のスロープ台がフェンスで囲まれた空間の入口に設置されており、捕獲用のスロープ台の斜面の上端がフェンスで囲まれた空間の外側に向って配置されていることを特徴とする獣捕獲装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−115148(P2012−115148A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264797(P2010−264797)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(306011067)
【Fターム(参考)】