説明

スープ類小分け供給装置

【課題】レードルが固渋状態になっても、スープ類の供給動作を確実に行わせることを可能にしたスープ類小分け供給装置の提供。
【解決手段】上記課題は、スープ類用収容容器6に収容されたスープ類を小分けしてその小分けしたスープ類をスープ類用収容容器6の正面に設けられた供給口6Aからスープ類用収容容器6の外に設けられる食器類7に供給する供給手段8を備え、その供給手段8を、正逆転する作動軸13に取り付けられてスープ類用収容容器6内を往復動するアーム14と、このアーム14に回動可能に取り付けたレードル15を包含する構成としたスープ類小分け供給装置において、スープ類用収容容器6の供給口6A内方に供給案内体22を設けるとともに、この供給案内体22に案内されてレードル15を回動させるための案内突出体20Fをレードル15に設けることで、解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スープ類を小分けして食器類に供給するのに好適なスープ類小分け供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスープ類小分け供給装置としては、本体ケースと、この本体ケース内に出し入れ可能に設置されたスープ類用収容容器と、このスープ類用収容容器に収容された具入りのスープ類を小分けしてその小分けした具入りスープ類を前記スープ類用収容容器の正面に設けられた供給口から前記スープ類用収容容器の外に設けられる食器類に供給する供給手段と、前記供給口を覆うドアと、このドアを開閉させるドア開閉手段と、前記スープ類用収容容器を加熱するための加熱手段とを備え、前記供給手段を、電動機と、この電動機の正逆転によって正逆転するように前記本体ケースの側面に設けた作動軸と、この作動軸に取り付けられて前記スープ類用収容容器内を回転するリンク式アームと、このリンク式アームの自由端に回転自在に取り付けたレードルとから構成するとともに、前記リンク式アームを、前記作動軸に取り付けた第1アーム部材と、一端を前記第1アーム部材の自由端に回転自在に取り付け、かつ、他端に前記レードルを回転自在に取り付けてなる第2アーム部材と、第1アーム部材と第2アーム部材との取り付け角度を一定の角度に保持するための弦巻ばね機構とから構成したものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来のスープ類小分け供給装置には、次のような問題を有していることがわかった。
【0004】
(1)レードルをリンク式アームでスープ類用収容容器内を回動させるようにしているため、リンク式アームを構成する第1アーム部材と第2アーム部材との接続部分に、スープ類に混入されている具が付着しやすい。そして、その接続部分にスープ類の具が付着すると、そのスープ類の具が取りにくくなるので、清掃作業を円滑に行うことができなかった。
【0005】
(2)スープ類用収容容器内を回転するところの第1アーム部材と第2アーム部材とを一定の角度に保持するための弦巻ばね機構部分にスープ類に混入されている具が絡みやすいとともに、その弦巻ばね機構部分に絡んだ具が取りにくくなるので、弦巻ばね機構部分の清掃作業を円滑に行うことができなかった。
【0006】
(3)レードルの外周上面に設けた取り付け軸に第2アーム部材を取り付けるようにしているため、その取り付け軸部分にスープ類に混入されている具が絡みやすい。したがって、スープ類小分け供給装置を使用した後の、レードル及びリンク式アームの清掃がやりにくい。
【0007】
(4)スープ類用収容容器の正面に設けられた供給口からレードルを突出させてそのレードルから直接、スープ類用収容容器の外に設けられる食器類に落下させるようにしているため、レードルの出口からスープ類が食器類内以外の部分にこぼれやすくなるとともに、レードルの出口を食器類に十分に近づけることができず、レードルの出口から食器類までのスープ類の落下距離が大きくなるため、食器類内に落下したスープ類が食器類外に飛散する。
【0008】
そこで、上記(1)乃至(4)の問題点を解決するために、図15に示すように、本体ケース30内に収納されたスープ類用収容容器31の正面に設けられた供給口31Aからスープ類用収容容器31の外に設けられる食器類32に供給する供給手段33を、電動機34の正逆転によって正逆転するように本体ケース30の内側面に設けられた作動軸35と、この作動軸35に取り付けられてスープ類用収容容器30内を往復動するアーム36と、このアーム36の自由端に回動可能に取り付けたレードル37と、このレードル37からのスープ類を食器類32に案内するためのレードル受け38とから構成し、しかも、アーム36を、一本のL字状の金属部材としてその金属部材の上端を作動軸35に着脱自在に取り付け、かつ、その金属部材の下端にレードル37を回動自在に取り付ける構成とするとともに、レードル受け38を、スープ類用収容容器31の鍋部39の正面開口端に着脱自在に取り付ける構成とし、さらに、アーム36が図15の矢印P1方向に所定角度回動させると、ドア開閉手段40によってドア41を開かせた後に、重心バランスによってレードル受け38の出口側を供給口31Aから突出させるように回動させる構成としたスープ類小分け供給装置が開発されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001―278391号公報(段落番号0019〜0025、図2〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図15に示すスープ類小分け供給装置には、次のような問題点があることがわかった。
【0011】
すなわち、図15に示すスープ類小分け供給装置では、レードル37をスープ類用収容容器31内で定期的に往復動させることによって、スープ類用収容容器31内のスープ類の温度の均一化及びスープ類の焦げ付きを阻止するようにしている。そのために、スープ類に混入されている具や粘度の高いスープ類が、レードル37とアーム36との連結部分に、絡まったり、詰まったりして、レードル37がアーム36に対して回動しなくなってしまうことがあることがわかった。その結果、アーム36が図15の矢印P1方向に所定角度回動させても、レードル37及びレードル受け38が重心バランスで回動することなく、図15に示すように、レードル37及びレードル受け38の出口側が、スープ類用収容容器31の蓋部42の内壁天井に向いた状態のままとなってしまった。
【0012】
その結果、アーム36が図15の矢印P1方向に所定角度回動させても、重心バランスによってレードル37及びレードル受け38が、スープ類用収容容器31の正面に設けられた供給口31Aから突出するように回動して傾斜することなく、図15に示すように、レードル37及びレードル受け38が供給口31Aから突出しないために、スープ類用収容容器31の外に設けられる食器類32にスープ類が供給されない不具合が発生していた。
【0013】
本発明の目的は、上記の問題点にかんがみ、レードルとアームとの連結部分に、スープ類が、絡まったり、詰まったりして、レードルがアームに対して回動しなくなってしまうようなことが発生しても、レードルによるスープ類の供給動作を円滑に行わせることを可能にするスープ類小分け供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、本体ケースと、この本体ケース内に出し入れ可能に設置されるスープ類用収容容器と、このスープ類用収容容器に収容されたスープ類を小分けしてその小分けしたスープ類を前記スープ類用収容容器の正面に設けられた供給口から前記スープ類用収容容器の外に設けられる食器類に供給する供給手段とを少なくとも備え、前記供給手段を、電動機と、この電動機の正逆転によって正逆転する作動軸と、この作動軸に取り付けられて前記スープ類用収容容器内を往復動するアームと、このアームの自由端側に回動可能に取り付けたレードルを包含する構成とし、このレードルによって掬い取った前記スープ類用収容容器のスープ類を、前記供給口を介して前記食器類に供給するようにしたスープ類小分け供給装置において、前記スープ類用収容容器の正面に設けられた供給口内方に供給案内体を設けるとともに、この供給案内体に案内されて前記レードルを回動させるための案内突出体を前記レードルに設けたことを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明の特徴は、前記スープ類用収容容器を、鍋部と蓋部の二分割構成とし、この蓋部の内壁に前記供給案内体を設けるとともに、この供給案内体に、前記案内突出体が摺動することで、前記レードルを回動させる案内曲面を形成したことにある。
【0016】
さらに、本発明の特徴は、前記案内曲面の形状を、前記アームが前記供給口に向う方向に回動すると、前記レードルを前記案内突出体に案内させて前記供給口から外方に突出させ、かつ、前記レードルが前記供給口から離れる方向に前記アームが回動すると、前記レードルを前記案内突出体に案内させて供給口内に引っ込ませることを可能にする形状としたことにある。
【0017】
さらに、本発明の特徴は、前記アームの自由端に取り付け軸を固定し、この取り付け軸に前記レードルを回動可能に取り付けるとともに、前記案内突出体を、前記レードルの出口側上端から外方に突出させたことにある。
【0018】
さらに、本発明の特徴は、前記供給案内体を板状とするとともに、前記案内突出体の、前記案内曲面に摺動する部分の断面形状を、少なくとも円状としたことにある。
【0019】
さらに、本発明の特徴は、前記案内突出体を、前記レードルが前記アームに取り付けられる側面とは反対側の前記レードル側面側から外方に突出させるとともに、前記供給案内体を、前記レードルが前記アームに取り付けられる側面とは反対側の前記レードル側面側の上方に位置する前記蓋部の内壁天井に取り付けるようにしたことにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、アームに対するレードルの、回動が渋くなったり、回動がなくなったりしても、供給案内体及び案内突出体により、レードルが強制的に回動させられて、そのレードルが食器類に向かって傾斜した状態とすることができるので、レードルによるスープ類の供給動作を円滑に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るスープ類小分け供給装置の実施形態を、図1〜図15に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置の正面図である。図2は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置の上面図である。図3は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置の側面図である。図4は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置のレードルが鍋部内の中央に位置している場合における図2のA−A縦断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置のレードルが供給口近傍に位置している場合における図2のB−B縦断面図である。図6は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるレードルの要部拡大斜視図である。図7は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置の液体通過仕切体を省略したレードルの要部拡大縦断面図である。図8は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置における供給案内体の要部拡大斜視図である。図9は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームの斜視図である。図10は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口から離れる方向に回動させた状態であってレードルが鍋部内の背面側に位置している場合の動作説明図である。図11は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルが鍋部内の中央より正面側に位置している場合の動作説明図である。図12は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルの案内突出体が供給案内体の案内曲面に当接している場合の動作説明図である。図13は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードル及びレードル受けが強制的に回動させられている場合の動作説明図である。図14は、本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードル受けが供給口から外に突出傾斜してスープ類が食器類に供給している場合の動作説明図である。図15は、開発中に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルによるスープ類の供給が不能になっている場合の説明図である。
【0022】
図1〜図5に示す一実施形態スープ類小分け供給装置1は、上面全体及び正面全体を開口させた鋼板製の本体ケース2と、この本体ケース2の上面開口を覆う開閉可能な鋼板製の上面パネル3と、本体ケース2の正面開口を覆う開閉可能な鋼板製の正面パネル4と、本体ケース2の側面に着脱可能に設けた鋼板製の制御箱5とを備えている。本体ケース2の底板2Aには、複数個の高さ調整脚2Bが設けられている。
【0023】
本体ケース2には、図4及び図5に示すように、この本体ケース2内に出し入れ可能に設置されるスープ類用収容容器6と、このスープ類用収容容器6に収容されたスープ類を小分けしてその小分けしたスープ類をスープ類用収容容器6の正面に設けられた供給口6Aからスープ類用収容容器6の外に設けられる食器類7に供給する供給手段8と、供給口6Aを覆う扉9と、この扉9を開閉させる扉開閉手段10と、スープ類用収容容器6を加熱するための加熱手段11とを、少なくとも備えた構成にしてある。食器類7は、小分けしたスープ類を収納できる容器であればよく、紙コップ、缶コップなども含まれる。
【0024】
上面パネル3は、図4に示すように、一端側が本体ケース2の背面上端部にヒンジ3Aにより回転自在に支持され、かつ、他端側に係止用フランジ3Bが形成されている。正面パネル4は、図1に示すように、一端側が本体ケース2の左端部をヒンジ4Aにより回動自在に支持され、かつ、他端側の下面にラッチ式施錠装置4Bが設けられている。本体ケース2からスープ類用収容容器6を取り出すには、正面パネル4を開いた後、上面パネル3を開くことによって、行われる。
【0025】
供給手段8は、図4及び図5に示すように、電動機12と、この電動機12の正逆転によって正逆転するように本体ケース2の内側面に設けられた作動軸13と、この作動軸13に着脱可能に取り付けられてスープ類用収容容器6内を往復動するアーム14と、このアーム14の自由端に取り付けられてスープ類用収容容器6の内底壁に沿って往復動するレードル15とを包含する構成とし、このレードル15によって掬い取ったスープ類用収容容器6のスープ類を食器類7に案内する構成にしてある。そして、電動機12が正逆回転すると、その正逆回転が伝達ベルト16を介して、作動軸13に伝達されるようにしてある。作動軸13が正逆回転すると、アーム14及びレードル15がスープ類用収容容器6内を往復動するようにしてある。
【0026】
スープ類用収容容器6は、図4及び図5に示すように、アルミニュウム製の鍋部17とステンレス製の蓋部18の二分割構成としてある。鍋部17は、側面方向から見てその鍋部17の内面全体形状が円弧状となるようにするとともに、正面方向から見てその鍋部17の内面下部形状が逆ハ状となるようにその鍋部17の左右側面の下部を傾斜させてある。鍋部17の左右の外側面には、それぞれ鍋部用把手17A、17Bが設けられている。鍋部用把手17A、17Bは、図5に示すように、蓋部18の側方上部に達する形状にしてある。蓋部18は、図4に示すように、正面に供給口6Aが形成され、かつ、上面に蓋部用把手18Aが一体的に設けられている。蓋部18の下端部分には、図5に示すように、鍋部17の上端縁に載置される段部18B及び鍋部17の上端内方に挿入される挿入フランジ部18Cが設けられている。蓋部18の下端部には、図5に示すように、アーム14の水平片14Aを蓋部18の側面外方に突出させるためのアーム取り付け開口18Dが形成されている。
【0027】
アーム14は、一本の金属板をプレス加工などによって略L状に形成させるものであって、図5及び図9に示すように、作動軸13に取り付けるための水平片14Aと、自由端に取り付け軸19が溶接等により固定される垂直片14Bとからなっている。アーム14の垂直片14Bに固定された取り付け軸19には、レードル15が、着脱可能に、かつ、回動可能に取り付けられる。アーム14には、図9に示すように、回転角度規制用凹部14Cと回転角度規制用段部14Dとが設けられている。
【0028】
レードル15は、図6に示すように、出口20Aを有する合成樹脂製の容器本体20と、この容器本体20の出口20A側に取り外し自在に設けたステンレス製の液体通過仕切体21とを含む構成としてある。容器本体20には、図6及び図7に示すように、その容器本体20の内方奥部に配設されて取り付け軸19を取り付けるための一対の軸受筒体20Bと、容器本体20の出口20A側の下面に配設されて後述するレードル受け24にレードル15を嵌合させる際に、容器本体20の出口20Aがそのレードル受け24に引っ掛かるのを防ぐ案内膨出部20Cと、出口20Aの左右上方側に配設されて液体通過仕切体21を取り付けるための一対の取り付け溝20Dと、取り付け溝20Dの近傍に位置する空気抜き兼余剰スープ流出口20Eと、容器本体20の出口20A側よりに位置する部分から外方に突出する案内突出体20Fが形成されている。
【0029】
容器本体20の案内突出体20Fは、後述する供給案内体22に案内されてレードル15によりスープ類の供給動作(抽出動作)を確実に行わせる機能を有している。供給案内体22は、図4に示すように、スープ類用収容容器6の正面に設けられた供給口6A内方に位置し、かつ、蓋部18の内壁天井に設けられている。供給案内体22は、図8に示すように、板状であって、上端に2個の取り付け螺子穴22Aを設け、かつ、下端に案内突出体20Fが摺動することでレードル15によるスープ類の供給動作(抽出動作)を円滑に行わせるための案内曲面22Bが形成されている。
【0030】
供給案内体22の案内曲面22Bの形状を、レードル15が供給口6Aに向う方向(図4の矢印P1方向)にアーム14を回動させると、レードル15が供給案内体22及び案内突出体20Fによって強制的に案内されることと相俟って、レードル15及びレードル受け24が重量バランスによって食器類7に向って傾斜するようにレードル15及びレードル受け24が供給口6Aから外方に突出し、かつ、レードル15が供給口6Aから離れる方向(図4の矢印Q1方向)にアーム14を回動させると、レードル15及びレードル受け24が重量バランスによって反転しつつレードル15が供給案内体22及び案内突出体20Fに案内されて供給口6A内に引っ込むことを可能にする形状としてある。
【0031】
レードル15の容器本体20に設けた案内突出体20Fは、レードル15がアーム14に取り付けられる側面側とは反対側のレードル15の側面側から外方に突出させてある。しかも、案内突出体20Fの突出位置は、図6に示すように、容器本体20の出口20A側近傍の側面上端、換言すれば、レードル15の出口側上端としてある。案内突出体20Fは、案内曲面22Bに摺動する部分の断面形状を少なくとも円状としてある。レードル15は、図4において時計方向P2に回転させると、容器本体20の側面に設けた回転角度規制用リブがアーム14に設けた回転角度規制用凹部14Cに衝突するまで回転し、かつ、図4において反時計方向Q2に回転させると、前記回転角度規制用リブがアーム14に設けた回転角度規制用段部14Dに衝突するまで回転するようにしてある。
【0032】
供給案内体22は、図4及び図5に示すように、レードル15がアーム14に取り付けられる側面側とは反対側のレードル15の側面側の上方に位置する蓋部18の内壁天井に、2個の取り付け螺子23によって取り付けられている。
【0033】
レードル受け24は、ホッパー機能を有するものであって、図4に示すように、スープ類を受ける樋状受け部材25と、この樋状受け部材25をスープ類用収容容器6の鍋部17の正面開口端に形成した膨出段部17Cに着脱自在に装着するための装着部材26と、装着部材26に対して樋状受け部材25を回動自在に取り付けるための軸ピン27と、樋状受け部材25及び装着部材26がスープ類用収容容器3の鍋部17の正面開口端から外れるのを阻止する外れ阻止部材28とを含む構成にしてある。
【0034】
レードル受け24は、レードル15を供給口6Aに向う方向に移動させて樋状受け部材25の入口側にレードル15を嵌合させた後、さらに、レードル15を供給口6Aに向う方向(図4の矢印P1方向)に移動させると、レードル15及び樋状受け部材25が、樋状受け部材25の出口側が供給口6Aから突出する方向に移動するように軸ピン27を軸として回動(図4の矢印X1方向に回動)し、さらに、その後、レードル15を供給口6Aから離れる方向(図4の矢印Q1方向)に移動させると、レードル15及び樋状受け部材25が、樋状受け部材25の出口側が供給口6A内に引っ込む方向に移動するように軸ピン27を軸として回動(図4の矢印X1方向とは反対方向に回動)する構成にしてある。扉9は、扉開閉手段10によって、樋状受け部材25の出口側が供給口6Aから突出する前に開き、かつ、樋状受け部材25の出口側が供給口6A内に引っ込んだ後に閉じるようにしてある。
【0035】
制御箱5の正面には、図1に示すように、操作盤5A及び小分け動作開始釦(抽出釦)5Bが設けられている。その操作盤5Aには、供給手段によるスープ類の小分け供給回数を表示する小分け供給回数表示部、その小分け供給回数表示部に表示された小分け供給回数を加減修正する修正釦、小分け供給回数表示部に表示された小分け供給回数を零にするリセット釦、電源スイッチ、運転表示部及びエラー表示部などを配設するようにしている。制御箱5内には、電動機12と一緒に、制御基板、漏電ブレーカー、メンテナンス用操作盤などを配設するようにしている。
【0036】
正面パネル4には、図1に示すように、供給口6Aの前方を覆う縦長凸状の覆い体4Cと、この覆い体4Cの下方に間隔G1をおいて本体ケース2の正面底部まで略延在させ、かつ、食器5を載置するための縦長凸状の載置台4Dとが一体的に設けられている。正面パネル4若しくは本体ケース2の正面開口の端縁には、その正面パネル4を閉じるとその状態を保持するための閉状態保持用磁石(図示せず)が設けられている。正面パネル4の覆い体4Cの上面には、円状の透明窓4Eが設けられている。上面パネル3には、図1及び図2に示すように、スープ類用収容容器6を本体ケース2内に入れた状態で上面パネル3を閉じると蓋部18の外周端部を鍋部17の外周端部に押圧させる複数個の押圧手段(アジャスタパット)3Cが設けられている。
【0037】
載置台4D上には、鉛直方向のドア用回転軸4Fを軸として回転する回転ドア4Gが設けられている。回転ドア4Gは、把手4Hを持って手動で一方向(図2の矢印W1方向)に回転させると、載置台4Dの外方に突出して開き、かつ、把手4Hを持って手動で他方向(図2の矢印W2方向)に回転させると載置台4D上に収納されて閉じるようにしてある。回転ドア4Gは、載置台4D上の食器類7内に外部から塵埃が浸入するのを阻止すると共に、載置台4D上の食器類7に供給されたスープ類が万一、飛散しても、正面パネル4の前方にスープ類が飛散して、スープ類小分け供給装置1を載置したテーブルを汚すのを阻止する機能を有している。また、回転ドア4Gは、透明部材からなり、閉じた状態でも、載置台4D上の食器類7へのスープ類の供給状況を確認することができる機能を有している。正面パネル4の上面には、蒸気逃し口4Jが設けられている。上面パネル3の上面にも、蒸気逃し口3Dが設けられている。
【0038】
載置台4D上には、図4に示すように、食器類7を載置する食器トレイ4Kを取り出し可能に設置してある。食器トレイ4Kの中央部には、食器類7からこぼれたスープ類を流下させる流出口4Lを設ける。この流出口4Lの下方には、回収容器29を設けるようにしてある。回収容器29は、正面パネル4を開けることで、載置台4D内から取り出せるようにしてある。
【0039】
上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1のレードル15によるスープ類の供給動作(抽出動作)を、図4と図10乃至図14に基づき、詳説する。
【0040】
まず、図10に示すように、アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に回動させた状態からアーム14を供給口6Aに向う方向(矢印P1方向)に回動させると、図10の状態から図4の状態に、続いて、図4の状態から図11の状態に示すように、アーム14及びレードル15が回動して、スープ類用収容容器6のスープ類が掬い取られる。この場合、スープ液は、液体通過仕切体21を通過して、レードル15の容器本体20内に溜められるとともに、具は、容器本体20の出口20A部分に載置させる。
【0041】
その後、さらに、アーム14を供給口6Aに向う方向(矢印P1方向)に回動させると、図12に示すように、容器本体20に設けた案内突出体20Fが、供給案内体22の案内曲面22Bに当接するとともに、供給口6Aを覆う扉9が扉開閉手段10によって開かれる。
【0042】
その後、さらに、アーム14を供給口6Aに向う方向(矢印P1方向)に回動させると、図13に示すように、供給案内体22の案内曲面22Bを案内突出体20Fが摺動することで強制的に案内されて、アーム14の取り付け軸19を軸としてレードル15及びレードル受け24が、強制的に回動(矢印Q2方向)させられて、レードル受け24の出口側が供給口6Aから外に突出した状態となる。
【0043】
さらに、アーム14を供給口6Aに向う方向(矢印P1方向)に回動させると、図14に示すように、レードル15及びレードル受け24の重量バランスにより、アーム14の取り付け軸19を軸としてレードル15が回動(矢印Q2方向)するとともに、軸ピン27を軸としてレードル受け24が回動(矢印X1方向)することで、レードル受け24が供給口6Aから外に突出した状態となり、レードル15及びレードル受け24が傾斜した状態となる。その結果、レードル15により掬われたスープ類用収容容器6のスープ類が傾斜したレードル受け24に導かれて食器類7に円滑に供給される。
【0044】
食器類7へのスープ類の供給が終了したならば、電動機12を逆転させて、アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に回動させると、図14に示す状態から図13に示す状態に、続いて、図13に示す状態から図12に示す状態となって、アーム14及びレードル15が供給口6A内に引っ込む。その後、さらに、アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に回動させると、レードル受け24からレードル15が離れて、そのレードル15を、図4に示すように、鍋部17内の中央に位置させることで、一回のスープ類の供給動作(抽出動作)が終了する。
【0045】
以上のように、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、アーム14に固定した取り付け軸19に対するレードル15の、回動が渋くなったり、回動がなくなったりしても、すなわち、レードル15が固渋状態になっても、スープ類用収容容器6の正面に設けられた供給口6Aの内方に設けた供給案内体22とレードル15の案内突出体20Fとによって、レードル15が強制的にスープ類の供給方向に回動させられるので、スープ類小分け供給装置1のレードル15によるスープ類の供給動作(抽出動作)を確実に行わせることができる。
【0046】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、スープ類用収容容器6を、鍋部17と蓋部18の二分割構成とし、この蓋部18の内壁天井に設けた供給案内体22に、案内突出体20Fが摺動することによりレードル15を回動させるための案内曲面22Bを形成するという簡単な構造で、レードル15を、強制的にスープ類を供給させる方向に回動させることのできるスープ類小分け供給装置1を出現させることができる。
【0047】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、案内曲面22Bの形状を、レードル15が供給口6Aに向う方向にアーム14が回動すると、レードル15を案内突出体20Fに案内させて供給口6Aから外方に突出させ、かつ、レードル15が供給口6Aから離れる方向にアーム14が回動すると、レードル15を案内突出体20Fに案内させて供給口6A内に引っ込むことを可能にする形状としたので、スープ類の供給動作(抽出動作)を円滑に行わせることができる。
【0048】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、アーム14の自由端に取り付け軸19を固定し、この取り付け軸19にレードル15を回動可能に取り付けるとともに、案内突出体20Fをレードル15の出口側の上端から外方に突出させたので、スープ類が付着しているレードル15の先端部分を、供給案内体22に接触させることがない。
【0049】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、供給案内体22を板状とするとともに、案内突出体20Fを、案内曲面22Bに当接しながら摺動する部分の断面形状を少なくとも円状としたので、レードル15の移動が円滑に行わせることができ、しかも、供給案内体22及び案内突出体20Fを設けるために、スープ類用収容容器6の容積を大きくする必要がない。
【0050】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、案内突出体20Fを、レードル15がアーム14に取り付けられる側面とは反対側のレードル15側面側から外方に突出させるとともに、供給案内体22を、レードル15がアーム14に取り付けられる側面とは反対側のレードル15側面側の上方に位置する蓋部18の内壁の天井部分に設けるようにしたので、アーム14の回動動作が邪魔されることがない。
【0051】
上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1では、レードル受け24を介して、レードル15で掬い上げたスープ類を、食器類7に投入するようにしているがこれに限定されない。レードル15で掬い上げたスープ類を、レードル受け24を介さずに、レードル15の容器本体20の出口20Aから直接、食器類7で投入するようにすることも可能である。
【0052】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1では、水平片14Aと垂直片14Cとからなるアーム14を、一本の金属板をプレス加工などによって形成するようにしているがこれに限定されない。アーム14は、クランク機構(リンク式アーム等)とすることも可能である。
【0053】
上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1では、供給口6Aを覆う扉9を扉開閉手段10で開閉させるようにしているがこれに限定されない。扉9を、レードル受け24の動作によって、あるいは、レードル15の容器本体20の動作によって、直接開閉させるようにすることも可能である。また、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1のスープ類は、具入りのスープとしているがこれに限定されない。具なしの粘性の高いスープにも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置の上面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置のレードルが鍋部内の中央に位置している場合における図2のA−A縦断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置のレードルが供給口近傍に位置している場合における図2のB−B縦断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるレードルの要部拡大斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置の液体通過仕切体を省略したレードルの要部拡大縦断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置における供給案内体の拡大斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームの斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口から離れる方向に回動させた状態であってレードルが鍋部内の背面側に位置している場合の動作説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルが鍋部内の中央より正面側に位置している場合の動作説明図である。
【図12】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルの案内突出体が供給案内体の案内曲面に当接している場合の動作説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードル及びレードル受けが強制的に回動させられている場合の動作説明図である。
【図14】本発明の一実施形態に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードル受けが供給口から外に突出傾斜してスープ類が食器類に供給している場合の動作説明図である。
【図15】開発中に係わるスープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルによるスープ類の供給が不能になっている場合の説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 スープ類小分け供給装置
2 本体ケース
4 正面パネル
5 制御箱
6 スープ類用収容容器
6A 供給口
7 食器類
8 供給手段
9 扉
10 扉開閉手段
11 加熱手段
12 電動機
13 作動軸
14 アーム
14A 水平片
14B 垂直片
15 レードル
16 伝達ベルト
17 鍋部
17C 膨出段部
18 蓋部
18D アーム取り付け開口
19 取り付け軸
20 容器本体
20A 出口
20F 案内突出体
21 液体通過仕切体
22 供給案内体
22A 螺子穴
22B 案内曲面
23 取り付け螺子
24 レードル受け
25 樋状受け部材
26 装着部材
27 軸ピン
28 外れ阻止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、この本体ケース内に出し入れ可能に設置されるスープ類用収容容器と、このスープ類用収容容器に収容されたスープ類を小分けしてその小分けしたスープ類を前記スープ類用収容容器の正面に設けられた供給口から前記スープ類用収容容器の外に設けられる食器類に供給する供給手段とを少なくとも備え、前記供給手段を、電動機と、この電動機の正逆転によって正逆転する作動軸と、この作動軸に取り付けられて前記スープ類用収容容器内を往復動するアームと、このアームの自由端側に回動可能に取り付けたレードルとを包含する構成とし、このレードルによって掬い取った前記スープ類用収容容器のスープ類を、前記供給口を介して前記食器類に供給するようにしたスープ類小分け供給装置において、前記スープ類用収容容器の正面に設けられた供給口内方に供給案内体を設けるとともに、この供給案内体に案内されて前記レードルを回動させるための案内突出体を前記レードルに設けたことを特徴とするスープ類小分け供給装置。
【請求項2】
前記スープ類用収容容器を、鍋部と蓋部の二分割構成とし、この蓋部の内壁に前記供給案内体を設けるとともに、この供給案内体に、前記案内突出体が摺動することで、前記レードルを回動させる案内曲面を形成したことを特徴とする請求項1記載のスープ類小分け供給装置。
【請求項3】
前記案内曲面の形状を、前記アームが前記供給口に向う方向に回動すると、前記レードルを前記案内突出体に案内させて前記供給口から外方に突出させ、かつ、前記レードルが前記供給口から離れる方向に前記アームが回動すると、前記レードルを前記案内突出体に案内させて供給口内に引っ込ませることを可能にする形状としたことを特徴とする請求項2記載のスープ類小分け供給装置。
【請求項4】
前記アームの自由端に取り付け軸を固定し、この取り付け軸に前記レードルを回動可能に取り付けるとともに、前記案内突出体を、前記レードルの出口側上端から外方に突出させてなることを特徴とする請求項1乃至3記載のスープ類小分け供給装置。
【請求項5】
前記供給案内体を、板状とするとともに、前記案内突出体の、前記案内曲面に摺動する部分の断面形状を、少なくとも円状としたことを特徴とする請求項1乃至4記載のスープ類小分け供給装置。
【請求項6】
前記案内突出体を、前記レードルが前記アームに取り付けられる側面とは反対側の前記レードル側面側から外方に突出させるとともに、前記供給案内体を、前記レードルが前記アームに取り付けられる側面とは反対側の前記レードル側面側の上方に位置する前記蓋部の内壁天井に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5記載のスープ類小分け供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−261649(P2007−261649A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90587(P2006−90587)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(500333567)株式会社亀屋工業所 (28)
【Fターム(参考)】