セキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタ
【課題】インキリボンとサーマルヘッドを用いる熱転写印刷における偽造防止として、目視での確認を難しくし、セキュリティ性を向上させるため、グラビア版では解像できない、点もしくは線形状からなる文字またはパターンを可変情報としてリボン上に形成する事が求められている。
【解決手段】予め前記赤外線吸収インクリボンに目視では確認し辛いマイクロ文字等をレーザーで印字形成するか、可視領域では判別できない様に赤外領域には吸収の無いインキリボンを用いて形成された黒色画像を下地とするか或いは隠蔽することによりさらにセキュリティ性を持たせるか、さらには転写フィルムに画像形成させた後、受像層とともに被印刷体上に転写することにより、印刷画像上に受像層に形成され改竄を防止する。
【解決手段】予め前記赤外線吸収インクリボンに目視では確認し辛いマイクロ文字等をレーザーで印字形成するか、可視領域では判別できない様に赤外領域には吸収の無いインキリボンを用いて形成された黒色画像を下地とするか或いは隠蔽することによりさらにセキュリティ性を持たせるか、さらには転写フィルムに画像形成させた後、受像層とともに被印刷体上に転写することにより、印刷画像上に受像層に形成され改竄を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードやパスポートへの顔写真等の画像形成に使用されているインキリボンとサーマルヘッドを用いる熱転写印刷方法及び装置にかかわり、偽造や変造を防止するセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタに係わる。
【背景技術】
【0002】
カードやパスポートに対しては、その使用用途の為、多くの変造防止技術が盛り込まれている。熱転写印刷装置においては、被転写体に直接転写印刷するのではなく、中間転写媒体に熱転写することにより画像を形成し、その後中間転写媒体に形成された画像を加熱加圧することで被転写体に転写し、転写画像が表面にではなく中間転写媒体越に形成されるため、偽造し辛くなっている(特許文献1)。
【0003】
熱転写リボンを用いて熱転写させるプリント方式において、第1の特殊インキを用いてプリントされた第1のプリントパターンデータと、第2の特殊インキを用いてプリントされた第2のプリントパターンデータとを、一部が重なり合う様にプリントさせた後、互いに異なる波長の識別波を用いて識別する提案がなされている。印字はサーマルヘッドによりなされるため微細な印字とすることは出来ない。また特殊インキを用いるため、煩雑であり高価となっているしまう(特許文献2)。
【0004】
カードやパスポートといった証券類の偽造や変造を防止する手段としてマイクロ文字等の微細情報が用いられており、熱転写印刷における偽造防止法としても検討される。
【0005】
インキリボンは基材フィルム上にグラビア印刷法にてシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのインキ塗液を長手方向に面順次に繰り返しパートコートされており、微細な白抜き文字などを印刷塗工する事は可能であが、グラビア版は解像度が悪く、偽造を防止となる様な微細化までは至っていない。また、グラビア印刷法では、印刷版を用いる為固定情報のみであり可変情報の印刷は出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−77959号公報
【特許文献2】特開2005−149417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
偽造防止として、目視での確認が難しくし、セキュリティ性を向上させる従来技術であるグラビア方式では解像できない、点もしくは線形状パターンや可変情報文字が形成されたリボンとサーマルヘッド用いる熱転写印刷するプリント方法及びプリンタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、予め前記赤外線吸収インクリボンに目視では確認し辛いマイクロ文字等をレーザーで印字形成するか、可視領域では判別できない様に赤外領域には吸収の無いインキリボンを用いて形成された黒色画像を下地とするか或いは隠蔽することによりさらにセキュリティ性を持たせるか、さらには転写フィルムに画像形成させた後、受像層とともに被印刷体上に転写することにより、印刷画像上に受像層に形成され改竄を防止することである。
【0009】
請求項1に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱し、画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後に熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱して、画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後の熱転写印刷工程において熱転写印刷されたカーボンインキの印刷部と重なるようにシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部分、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像を熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱して画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキ部に赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程においてシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像および、シアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部を熱転写印刷し、その後黒色部カーボンインキの印刷部が重なるように、熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンに対し、画像情報に基づいた位置を加熱して、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報を熱転写印刷し、その後ヒートローラーの加熱圧着により、前記受像層とともに画像情報を、被転写媒体に転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に加熱圧着により熱転写印刷して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し、画像情報に基づいた位置を加熱して、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に熱転写印刷し、その後に被転写媒体に前記受像層とともに画像情報を転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキ分に赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程において転写画像のカーボンの印刷部と重なるように、シアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像を熱転写印刷し、その後熱転写画像を被転写媒体上に加熱圧着により転写して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置をサーマルヘッドを用い加熱して薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に熱転写印刷し、その後に被転写媒体に前記受像層とともに画像情報を転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキに赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程においてシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像及びシアン、マゼンタ、イ
エローのインキから成る転写画像の黒色部がカーボンインキの印刷部と重なるように熱転写印刷し、その後被転写媒体上に加熱圧着により転写して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキ部分に、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、カーボンインキ部分に、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱してカーボンインキからなる画像形成とカーボンインキの画像と重なるようにシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像の形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、カーボンインキ部分に、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱してシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像形成と、シアン、マゼンタ、イエローからなる黒色画像と重なるように前記インキリボンのカーボンインキから成る画像形成を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することことを特徴とするキュリティプリンタである。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0020】
また、請求項12に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱してシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像形成とシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像と重なるようにカーボンインキを加熱して画像形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0021】
また、請求項13に記載の発明は、前記赤外線レーザーがYAGレーザーもしくはYVO4レーザーあることを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載のキュリティプリンタである。
【発明の効果】
【0022】
偽造や変造防止が必要なカードやパスポートへの顔写真等の画像形成に用いられているインキリボンとサーマルヘッドを用いる熱転写印刷法に於いて、従来不可能で有った微細な点や線、マイクロ文字等のセキュリティ性をの付与となる印字情報をレーザー光を用いることによって印刷出来る様にし、更にシアン、マゼンタ、イエローのインキにより印字情報を隠蔽することが出来る。また熱転写印刷の前に印字情報を印刷できるため媒体毎の固有情報の印刷も可能となるため、更なるセキュリティ性の向上が図れるセキュリティプリント方法、キュリティプリンタを提供出来た。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタの実施形態の例を説明した概略図
【図2】本発明に係る熱転写画像を受像層(17)とともに被印刷体(5)上に転写して画像形成するセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタの実施形態の例を説明した概略図
【図3】本発明に係るカーボンインキ(13)と、シアン(10)、マゼンタ(11)、イエロー(12)のインキがパートコートされたインキリボン(2)の実施形態の例を説明した概略図
【図4】本発明に係るシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像を熱転写印刷させた黒色部上に赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキを熱転写印刷させた実施形態の例を説明した概略図
【図5】本発明に係る赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷した上にシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像の黒色部を熱転写印刷させた実施形態の例を説明した概略図
【図6】本発明に係る薄膜フィルム状受像層(17)が積層形成された転写フィルム上にシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像を熱転写印刷させた黒色部上に赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷させた実施形態の例を説明した概略図
【図7】本発明に係る薄膜フィルム状受像層(17)が積層形成された転写フィルム(4)上に赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷した上にシアン(10)、マゼンタ(11)、イエロー(12)のインキからなる画像の黒色部を熱転写印刷させた実施形態の例を説明した概略図
【図8】本発明に係るカーボンインキ、シアン、マゼンタ、イエローの各インキの可視領域(14)、赤外領域(15)の反射率を示した概念図
【図9】本発明に係るカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる黒色部の可視領域(14)、赤外領域(15)の吸収特性を示した概念図
【図10】本発明に係るカーボンインキ(13)が塗布されたインキリボン(2)に赤外レーザー(1)を用いて線幅30μm、文字高さ250μmのマイクロ文字を印字蒸発させた写真
【図11】本発明に係る赤外レーザーを用いて線幅30μm、文字高さ250μmのマイクロ文字を印字蒸発させたカーボンインキ(13)が塗布されたインキリボン(2)を用いて字高さ2500μmの文字をサーマルヘッド(3)により印字した写真
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタを図面に基づき説明
する。図1はセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタを説明した概略図であり、巻き出しリール(8)から供給され巻き取りリール(9)に収納されるロール状のインキリボン(2)に対し、赤外線レーザー(1)により、微細パターンを照射しインキ部を印字蒸発させた後に画像情報に基づいた位置をサーマルヘッド(3)により加熱し、画像情報を被転写体(5)に熱転写印刷する方法と装置を示している。
【0025】
図2は巻き出しリール(8)から供給され巻き取りリール(9)に収納されるロール状のインキリボン(2)に対し、赤外線レーザー(1)により、微細パターンを照射しインキ部を印字蒸発させた後に画像情報に基づいた位置をサーマルヘッド(3)により加熱し、画像情報を、受像層(17)が積層形成された転写フィルム(4)上に熱転写印刷を行い、熱転写画像をヒートロール(6)により加熱圧着により受像層(17)とともに被転写媒体(7)上に転写する方法と装置を示している。
【0026】
赤外線レーザー1により点もしくは線形状パターンや可変情報を照射し、インキ部を印字蒸発させる工程は、画像情報の熱転写印刷の直前であれば、被転写体5や被転写媒体7それぞれの個別情報に対応する情報を印字することが容易であるが、インキリボン製造時に点もしくは線形状パターンや可変情報を印字する事も可能であり、インキリボンにセキュリティを持たせる事が出来る。
【0027】
図3はロール状のインキリボン(2)の一例を示しており、シアン(10)、マゼンタ(11)、イエロー(12)、及びブラック(13)のインキ塗液を長手方向に面順次に繰り返しパートコートされている。
【0028】
リボン基材は熱転写印刷時における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度に優れたものが用いられる。具体的にはポリエテイレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等からなる合成樹脂製フィルムを単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0029】
熱転写印刷ではサーマルヘッド(3)を加熱手段として用いられることが多いが、サーマルヘッド(3)が融着しない様にインキ塗工面とは逆側に耐熱滑性層を設けても良く、ロール状にした時にインキのブロッキングの防止層としても機能する。
【0030】
インキはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの色相を呈する顔料、染料からなる色材を任意のバインダー樹脂で担持されており、バインダーとしてはエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレンー悪利理路にトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でもポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール、スチレンーアクリルニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂が好適に用いられる。
【0031】
色材としては従来公知の顔料、染料を使用でき、例えばイエロー染料としてはアゾ系染料、ジスアゾ系染料、メチン系染料、スチリル系染料、ピリドン・アゾ系染料等を挙げることができる。また、マゼンタ染料としてはアゾ系染料、アントラキノン系染料、スチリル系染料、複素環系アゾ染料等が挙げられる。シアン系染料としてはインドアニリン系染料、アントラキノン系染料、ナフトキノン系染料、複素環系アゾ染料等であり、イエローとしては、カヤセットイエローAG、カヤセットイエローTDN、PYT52、プラストイエロー8040、ホロンブリリアントイエローS6GLPI等、マゼンタ(としては、カヤセットレッドB、カヤセットレッド130、セレスレッド7B、マクロレックスレッ
ドバイオレットR等、シアンとしては、カヤセットブルー714、セレスブルーGN、MSブルー50等、ブラックとしてはカーボンブラック等が例示できる。
【0032】
色材とバインダー樹脂は有機溶剤とともに混練されインキ化され、必要により添加剤を加えることも出来る。
【0033】
インキの塗布方法としては通常に薄膜形成に用いられるロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、等の従来公知の方法を用いる事が可能であるが、長手方向に面順次に繰り返しパートコートする為には、グラビアコート法、スロットコート法といった塗り分け可能な形成方法が適している。
【0034】
40μm以下の幅の点、もしくは線形状の形状に顔料インキを印字蒸発させる赤外線レーザー(8)としては、ガスレーザー、半導体レーザー、YAGレーザーもしくはYVO4レーザーが使用でき、半導体レーザーでは820nm、ビーム径200μm位下に絞り込むことができる。
【0035】
YAGレーザーもしくはYVO4レーザーでは1064nm、ビーム径10μm以下に絞り込む事が可能で、10μmの印字も可能となっている。カーボンインキ(13)に吸収のある赤外光であれば1064nm以外での使用可能である。
【0036】
図2に示した方法では、熱転写画像をヒートロール(6)による加熱圧着により受像層(17)とともに被転写媒体(7)上に転写されるが、転写フィルム基材と受像層(17)の間に剥離層(18)を設けておくと被転写媒体(7)への転写が容易となる。
【0037】
剥離層(18)に用いられるバインダー樹脂としては、たとえば、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンーブタジエン共重合樹脂等の熱可塑性樹脂やこれらの架橋物、フェノール樹脂メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から1種又は2種以上の混合体を適宜選択して使用することができる。
【0038】
受像層(17)に用いられる樹脂としては、サーマルヘッド等による熱により被転写媒体に接着させるため、Tg(ガラス転移温度)が50〜120℃の熱可塑性樹脂が好ましい。Tgが50℃以下の場合、インキリボンの保存性が悪くなる他、印字後の画像の強度、耐性が弱く、画像汚れが発生しやすくなる。また、120℃以上であると通常の印字条件では印字することができず、印字するためにはサーマルヘッド(3)等の負荷が大きくなり好ましくない。このようなバインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等の1種類以上を組み合わせて使用できる。また、転写後の機能に応じ、受像層中に、酸化チタン、炭酸カルシウム、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、ベンガラ、オイルレッド、アルミニウム粉末、磁性粉末等を適宜添加することができる。添加量としては、1〜50%が望ましい。また、転写画像の耐摩耗性、印字時の切れを向上させるために、ワックス、ポリエチレンフィラー、テフロン(登録商標)フィラー、ステアリン酸亜鉛等を添加しても良い。
【0039】
図4は色材三原色であるシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像をそれぞれ重なる様に熱転写印刷して形成した黒色部上に、赤外線レーザー(1)による印字蒸発部を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷させた実施形態の例を示す。
【0040】
シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる黒色画像が下地となるため、カーボンイ
ンキ(13)に印字された赤外線レーザー(1)による微小印字蒸発部(16)は更に認識し辛くなる。
【0041】
図5は赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷させた上に、色材3原色であるシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部がカーボンの印刷部と重なるように熱転写印刷させた実施形態の例を示しており、カーボンインキ(13)に印字された赤外線レーザー(1)による微小印字蒸発部(16)は更に認識できない。
【0042】
図6は受像層(17)が積層形成された転写フィルム(4)上に色材三原色であるシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像を熱転写印刷させた黒色部上に赤外線レーザーによる印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキを熱転写印刷させものである。
【0043】
図7は図6で得られた転写フィルム(4)上の熱転写画像を受像層(17)とともに被転写媒体(7)に転写した状態を示しており、転写されたインキ画像の上に受像層(17)、剥離層(18)が積層されているため傷防止や改竄防止にも寄与する。
【0044】
図8は色材三原色である発明に係るカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれの可視領域(14)、赤外領域(15)の反射率を示しており、カーボンインキは可視から赤外領域まで反射が無いが、一方シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる可視領域(14)においてはそれぞれの色に特有の反射特性を示すが赤外領域(15)においてが同様の反射率を示すことがわかる。
【0045】
図9は色材三原色である発明に係るカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる黒色部の可視領域(14)、赤外領域(15)の吸収特性を示しており、カーボンインキは可視から赤外領域まで吸収が伸びている。一方シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる黒色部は可視領域(14)を吸収するが、赤外領域(15)には吸収が無いことがわかる。
【実施例1】
【0046】
図10はカーボンインキ(13)が塗布されたインキリボン(2)にYVO4レーザー1064nm、ビーム径10μmの赤外光を照射して線幅30μm、文字高さ250μmのマイクロ文字を印字蒸発させたものの写真であり、照射部のカーボンインキ(13)が除去された印字蒸発部(16)がある。
【0047】
図11はマイクロ文字が印字されたインキリボンを用い高さ2500μmの文字を印字したものを示すが文字の中に印字蒸発部(16)からなるマイクロ文字が印字されおり、目視ではマイクロ文字は確認できない。マイクロ文字は虫眼鏡で確認出来真偽判定して使用できた。
【実施例2】
【0048】
実施例1で作製した画像の上にシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像を熱転写印刷させて隠蔽した。マイクロ文字は虫眼鏡を用いても確認出来ないが赤外線カメラを用い赤外領域で確認するとカーボンインキ部分は黒く、マイクロ文字は白く確認出来た。赤外線カメラを用い赤外領域で確認このものをカラーコピーしたものは黒色部分は黒く再現されるが、赤外カメラで見てもマイクロ文字は再現出来ないため真偽判定として使用できた。
【実施例3】
【0049】
受像層が積層形成された転写フィルム(4)上に実施例2同様に作製した画像を熱転写
印刷させ、さらに受像層(17)とともに被印刷媒体(7)上に転写した。マイクロ文字は虫眼鏡を用いても確認出来ず、赤外線カメラを用いることにより赤外領域で確認できた。カラーコピーしたものは赤外カメラで見てもマイクロ文字は再現出来ずコピーされたものと判断できた。また表面に受像層(17)があり、インキがむき出しになっていないため、機械強度も向上し偽造をさらに難しくし、セキュリティ性が向上した。
【符号の説明】
【0050】
1・・・赤外線レーザー
2・・・インキリボン
3・・・サーマルヘッド
4・・・転写フィルム
5・・・被転写体
6・・・ヒートローラー
7・・・被転写媒体
8・・・巻き出しリール
9・・・巻き取りリール
10・・・シアンインキ
11・・・マゼンタインキ
12・・・イエローインキ
13・・・ブラックインキ(カーボンクインキ)
14・・・可視領域
15・・・赤外領域
16・・・赤外線レーザーによる印字蒸発部
17・・・受像層
18・・・剥離層
19・・・転写フィルム巻き出しリール
20・・・転写フィルム巻き取りリール
21・・・圧着台
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードやパスポートへの顔写真等の画像形成に使用されているインキリボンとサーマルヘッドを用いる熱転写印刷方法及び装置にかかわり、偽造や変造を防止するセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタに係わる。
【背景技術】
【0002】
カードやパスポートに対しては、その使用用途の為、多くの変造防止技術が盛り込まれている。熱転写印刷装置においては、被転写体に直接転写印刷するのではなく、中間転写媒体に熱転写することにより画像を形成し、その後中間転写媒体に形成された画像を加熱加圧することで被転写体に転写し、転写画像が表面にではなく中間転写媒体越に形成されるため、偽造し辛くなっている(特許文献1)。
【0003】
熱転写リボンを用いて熱転写させるプリント方式において、第1の特殊インキを用いてプリントされた第1のプリントパターンデータと、第2の特殊インキを用いてプリントされた第2のプリントパターンデータとを、一部が重なり合う様にプリントさせた後、互いに異なる波長の識別波を用いて識別する提案がなされている。印字はサーマルヘッドによりなされるため微細な印字とすることは出来ない。また特殊インキを用いるため、煩雑であり高価となっているしまう(特許文献2)。
【0004】
カードやパスポートといった証券類の偽造や変造を防止する手段としてマイクロ文字等の微細情報が用いられており、熱転写印刷における偽造防止法としても検討される。
【0005】
インキリボンは基材フィルム上にグラビア印刷法にてシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのインキ塗液を長手方向に面順次に繰り返しパートコートされており、微細な白抜き文字などを印刷塗工する事は可能であが、グラビア版は解像度が悪く、偽造を防止となる様な微細化までは至っていない。また、グラビア印刷法では、印刷版を用いる為固定情報のみであり可変情報の印刷は出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−77959号公報
【特許文献2】特開2005−149417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
偽造防止として、目視での確認が難しくし、セキュリティ性を向上させる従来技術であるグラビア方式では解像できない、点もしくは線形状パターンや可変情報文字が形成されたリボンとサーマルヘッド用いる熱転写印刷するプリント方法及びプリンタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、予め前記赤外線吸収インクリボンに目視では確認し辛いマイクロ文字等をレーザーで印字形成するか、可視領域では判別できない様に赤外領域には吸収の無いインキリボンを用いて形成された黒色画像を下地とするか或いは隠蔽することによりさらにセキュリティ性を持たせるか、さらには転写フィルムに画像形成させた後、受像層とともに被印刷体上に転写することにより、印刷画像上に受像層に形成され改竄を防止することである。
【0009】
請求項1に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱し、画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後に熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱して、画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後の熱転写印刷工程において熱転写印刷されたカーボンインキの印刷部と重なるようにシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部分、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像を熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱して画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキ部に赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程においてシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像および、シアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部を熱転写印刷し、その後黒色部カーボンインキの印刷部が重なるように、熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンに対し、画像情報に基づいた位置を加熱して、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報を熱転写印刷し、その後ヒートローラーの加熱圧着により、前記受像層とともに画像情報を、被転写媒体に転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に加熱圧着により熱転写印刷して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し、画像情報に基づいた位置を加熱して、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に熱転写印刷し、その後に被転写媒体に前記受像層とともに画像情報を転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキ分に赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程において転写画像のカーボンの印刷部と重なるように、シアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像を熱転写印刷し、その後熱転写画像を被転写媒体上に加熱圧着により転写して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置をサーマルヘッドを用い加熱して薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に熱転写印刷し、その後に被転写媒体に前記受像層とともに画像情報を転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキに赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程においてシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像及びシアン、マゼンタ、イ
エローのインキから成る転写画像の黒色部がカーボンインキの印刷部と重なるように熱転写印刷し、その後被転写媒体上に加熱圧着により転写して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキ部分に、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、カーボンインキ部分に、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱してカーボンインキからなる画像形成とカーボンインキの画像と重なるようにシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像の形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、カーボンインキ部分に、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱してシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像形成と、シアン、マゼンタ、イエローからなる黒色画像と重なるように前記インキリボンのカーボンインキから成る画像形成を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することことを特徴とするキュリティプリンタである。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0020】
また、請求項12に記載の発明は、基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱してシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像形成とシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像と重なるようにカーボンインキを加熱して画像形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタである。
【0021】
また、請求項13に記載の発明は、前記赤外線レーザーがYAGレーザーもしくはYVO4レーザーあることを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載のキュリティプリンタである。
【発明の効果】
【0022】
偽造や変造防止が必要なカードやパスポートへの顔写真等の画像形成に用いられているインキリボンとサーマルヘッドを用いる熱転写印刷法に於いて、従来不可能で有った微細な点や線、マイクロ文字等のセキュリティ性をの付与となる印字情報をレーザー光を用いることによって印刷出来る様にし、更にシアン、マゼンタ、イエローのインキにより印字情報を隠蔽することが出来る。また熱転写印刷の前に印字情報を印刷できるため媒体毎の固有情報の印刷も可能となるため、更なるセキュリティ性の向上が図れるセキュリティプリント方法、キュリティプリンタを提供出来た。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタの実施形態の例を説明した概略図
【図2】本発明に係る熱転写画像を受像層(17)とともに被印刷体(5)上に転写して画像形成するセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタの実施形態の例を説明した概略図
【図3】本発明に係るカーボンインキ(13)と、シアン(10)、マゼンタ(11)、イエロー(12)のインキがパートコートされたインキリボン(2)の実施形態の例を説明した概略図
【図4】本発明に係るシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像を熱転写印刷させた黒色部上に赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキを熱転写印刷させた実施形態の例を説明した概略図
【図5】本発明に係る赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷した上にシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像の黒色部を熱転写印刷させた実施形態の例を説明した概略図
【図6】本発明に係る薄膜フィルム状受像層(17)が積層形成された転写フィルム上にシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像を熱転写印刷させた黒色部上に赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷させた実施形態の例を説明した概略図
【図7】本発明に係る薄膜フィルム状受像層(17)が積層形成された転写フィルム(4)上に赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷した上にシアン(10)、マゼンタ(11)、イエロー(12)のインキからなる画像の黒色部を熱転写印刷させた実施形態の例を説明した概略図
【図8】本発明に係るカーボンインキ、シアン、マゼンタ、イエローの各インキの可視領域(14)、赤外領域(15)の反射率を示した概念図
【図9】本発明に係るカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる黒色部の可視領域(14)、赤外領域(15)の吸収特性を示した概念図
【図10】本発明に係るカーボンインキ(13)が塗布されたインキリボン(2)に赤外レーザー(1)を用いて線幅30μm、文字高さ250μmのマイクロ文字を印字蒸発させた写真
【図11】本発明に係る赤外レーザーを用いて線幅30μm、文字高さ250μmのマイクロ文字を印字蒸発させたカーボンインキ(13)が塗布されたインキリボン(2)を用いて字高さ2500μmの文字をサーマルヘッド(3)により印字した写真
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタを図面に基づき説明
する。図1はセキュリティプリント方法及びセキュリティプリンタを説明した概略図であり、巻き出しリール(8)から供給され巻き取りリール(9)に収納されるロール状のインキリボン(2)に対し、赤外線レーザー(1)により、微細パターンを照射しインキ部を印字蒸発させた後に画像情報に基づいた位置をサーマルヘッド(3)により加熱し、画像情報を被転写体(5)に熱転写印刷する方法と装置を示している。
【0025】
図2は巻き出しリール(8)から供給され巻き取りリール(9)に収納されるロール状のインキリボン(2)に対し、赤外線レーザー(1)により、微細パターンを照射しインキ部を印字蒸発させた後に画像情報に基づいた位置をサーマルヘッド(3)により加熱し、画像情報を、受像層(17)が積層形成された転写フィルム(4)上に熱転写印刷を行い、熱転写画像をヒートロール(6)により加熱圧着により受像層(17)とともに被転写媒体(7)上に転写する方法と装置を示している。
【0026】
赤外線レーザー1により点もしくは線形状パターンや可変情報を照射し、インキ部を印字蒸発させる工程は、画像情報の熱転写印刷の直前であれば、被転写体5や被転写媒体7それぞれの個別情報に対応する情報を印字することが容易であるが、インキリボン製造時に点もしくは線形状パターンや可変情報を印字する事も可能であり、インキリボンにセキュリティを持たせる事が出来る。
【0027】
図3はロール状のインキリボン(2)の一例を示しており、シアン(10)、マゼンタ(11)、イエロー(12)、及びブラック(13)のインキ塗液を長手方向に面順次に繰り返しパートコートされている。
【0028】
リボン基材は熱転写印刷時における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度に優れたものが用いられる。具体的にはポリエテイレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等からなる合成樹脂製フィルムを単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0029】
熱転写印刷ではサーマルヘッド(3)を加熱手段として用いられることが多いが、サーマルヘッド(3)が融着しない様にインキ塗工面とは逆側に耐熱滑性層を設けても良く、ロール状にした時にインキのブロッキングの防止層としても機能する。
【0030】
インキはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの色相を呈する顔料、染料からなる色材を任意のバインダー樹脂で担持されており、バインダーとしてはエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレンー悪利理路にトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でもポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール、スチレンーアクリルニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂が好適に用いられる。
【0031】
色材としては従来公知の顔料、染料を使用でき、例えばイエロー染料としてはアゾ系染料、ジスアゾ系染料、メチン系染料、スチリル系染料、ピリドン・アゾ系染料等を挙げることができる。また、マゼンタ染料としてはアゾ系染料、アントラキノン系染料、スチリル系染料、複素環系アゾ染料等が挙げられる。シアン系染料としてはインドアニリン系染料、アントラキノン系染料、ナフトキノン系染料、複素環系アゾ染料等であり、イエローとしては、カヤセットイエローAG、カヤセットイエローTDN、PYT52、プラストイエロー8040、ホロンブリリアントイエローS6GLPI等、マゼンタ(としては、カヤセットレッドB、カヤセットレッド130、セレスレッド7B、マクロレックスレッ
ドバイオレットR等、シアンとしては、カヤセットブルー714、セレスブルーGN、MSブルー50等、ブラックとしてはカーボンブラック等が例示できる。
【0032】
色材とバインダー樹脂は有機溶剤とともに混練されインキ化され、必要により添加剤を加えることも出来る。
【0033】
インキの塗布方法としては通常に薄膜形成に用いられるロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、等の従来公知の方法を用いる事が可能であるが、長手方向に面順次に繰り返しパートコートする為には、グラビアコート法、スロットコート法といった塗り分け可能な形成方法が適している。
【0034】
40μm以下の幅の点、もしくは線形状の形状に顔料インキを印字蒸発させる赤外線レーザー(8)としては、ガスレーザー、半導体レーザー、YAGレーザーもしくはYVO4レーザーが使用でき、半導体レーザーでは820nm、ビーム径200μm位下に絞り込むことができる。
【0035】
YAGレーザーもしくはYVO4レーザーでは1064nm、ビーム径10μm以下に絞り込む事が可能で、10μmの印字も可能となっている。カーボンインキ(13)に吸収のある赤外光であれば1064nm以外での使用可能である。
【0036】
図2に示した方法では、熱転写画像をヒートロール(6)による加熱圧着により受像層(17)とともに被転写媒体(7)上に転写されるが、転写フィルム基材と受像層(17)の間に剥離層(18)を設けておくと被転写媒体(7)への転写が容易となる。
【0037】
剥離層(18)に用いられるバインダー樹脂としては、たとえば、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンーブタジエン共重合樹脂等の熱可塑性樹脂やこれらの架橋物、フェノール樹脂メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から1種又は2種以上の混合体を適宜選択して使用することができる。
【0038】
受像層(17)に用いられる樹脂としては、サーマルヘッド等による熱により被転写媒体に接着させるため、Tg(ガラス転移温度)が50〜120℃の熱可塑性樹脂が好ましい。Tgが50℃以下の場合、インキリボンの保存性が悪くなる他、印字後の画像の強度、耐性が弱く、画像汚れが発生しやすくなる。また、120℃以上であると通常の印字条件では印字することができず、印字するためにはサーマルヘッド(3)等の負荷が大きくなり好ましくない。このようなバインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等の1種類以上を組み合わせて使用できる。また、転写後の機能に応じ、受像層中に、酸化チタン、炭酸カルシウム、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、ベンガラ、オイルレッド、アルミニウム粉末、磁性粉末等を適宜添加することができる。添加量としては、1〜50%が望ましい。また、転写画像の耐摩耗性、印字時の切れを向上させるために、ワックス、ポリエチレンフィラー、テフロン(登録商標)フィラー、ステアリン酸亜鉛等を添加しても良い。
【0039】
図4は色材三原色であるシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像をそれぞれ重なる様に熱転写印刷して形成した黒色部上に、赤外線レーザー(1)による印字蒸発部を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷させた実施形態の例を示す。
【0040】
シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる黒色画像が下地となるため、カーボンイ
ンキ(13)に印字された赤外線レーザー(1)による微小印字蒸発部(16)は更に認識し辛くなる。
【0041】
図5は赤外線レーザー(1)による印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキ(13)を熱転写印刷させた上に、色材3原色であるシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部がカーボンの印刷部と重なるように熱転写印刷させた実施形態の例を示しており、カーボンインキ(13)に印字された赤外線レーザー(1)による微小印字蒸発部(16)は更に認識できない。
【0042】
図6は受像層(17)が積層形成された転写フィルム(4)上に色材三原色であるシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像を熱転写印刷させた黒色部上に赤外線レーザーによる印字蒸発部(16)を形成したカーボンインキを熱転写印刷させものである。
【0043】
図7は図6で得られた転写フィルム(4)上の熱転写画像を受像層(17)とともに被転写媒体(7)に転写した状態を示しており、転写されたインキ画像の上に受像層(17)、剥離層(18)が積層されているため傷防止や改竄防止にも寄与する。
【0044】
図8は色材三原色である発明に係るカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれの可視領域(14)、赤外領域(15)の反射率を示しており、カーボンインキは可視から赤外領域まで反射が無いが、一方シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる可視領域(14)においてはそれぞれの色に特有の反射特性を示すが赤外領域(15)においてが同様の反射率を示すことがわかる。
【0045】
図9は色材三原色である発明に係るカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる黒色部の可視領域(14)、赤外領域(15)の吸収特性を示しており、カーボンインキは可視から赤外領域まで吸収が伸びている。一方シアン、マゼンタ、イエローのインキからなる黒色部は可視領域(14)を吸収するが、赤外領域(15)には吸収が無いことがわかる。
【実施例1】
【0046】
図10はカーボンインキ(13)が塗布されたインキリボン(2)にYVO4レーザー1064nm、ビーム径10μmの赤外光を照射して線幅30μm、文字高さ250μmのマイクロ文字を印字蒸発させたものの写真であり、照射部のカーボンインキ(13)が除去された印字蒸発部(16)がある。
【0047】
図11はマイクロ文字が印字されたインキリボンを用い高さ2500μmの文字を印字したものを示すが文字の中に印字蒸発部(16)からなるマイクロ文字が印字されおり、目視ではマイクロ文字は確認できない。マイクロ文字は虫眼鏡で確認出来真偽判定して使用できた。
【実施例2】
【0048】
実施例1で作製した画像の上にシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像を熱転写印刷させて隠蔽した。マイクロ文字は虫眼鏡を用いても確認出来ないが赤外線カメラを用い赤外領域で確認するとカーボンインキ部分は黒く、マイクロ文字は白く確認出来た。赤外線カメラを用い赤外領域で確認このものをカラーコピーしたものは黒色部分は黒く再現されるが、赤外カメラで見てもマイクロ文字は再現出来ないため真偽判定として使用できた。
【実施例3】
【0049】
受像層が積層形成された転写フィルム(4)上に実施例2同様に作製した画像を熱転写
印刷させ、さらに受像層(17)とともに被印刷媒体(7)上に転写した。マイクロ文字は虫眼鏡を用いても確認出来ず、赤外線カメラを用いることにより赤外領域で確認できた。カラーコピーしたものは赤外カメラで見てもマイクロ文字は再現出来ずコピーされたものと判断できた。また表面に受像層(17)があり、インキがむき出しになっていないため、機械強度も向上し偽造をさらに難しくし、セキュリティ性が向上した。
【符号の説明】
【0050】
1・・・赤外線レーザー
2・・・インキリボン
3・・・サーマルヘッド
4・・・転写フィルム
5・・・被転写体
6・・・ヒートローラー
7・・・被転写媒体
8・・・巻き出しリール
9・・・巻き取りリール
10・・・シアンインキ
11・・・マゼンタインキ
12・・・イエローインキ
13・・・ブラックインキ(カーボンクインキ)
14・・・可視領域
15・・・赤外領域
16・・・赤外線レーザーによる印字蒸発部
17・・・受像層
18・・・剥離層
19・・・転写フィルム巻き出しリール
20・・・転写フィルム巻き取りリール
21・・・圧着台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にインキが塗布されたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱し、画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後に熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項2】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱して、画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後の熱転写印刷工程において熱転写印刷されたカーボンインキの印刷部と重なるようにシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部分、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像を熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項3】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱して画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキ部に赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程においてシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像および、シアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部を熱転写印刷し、その後黒色部カーボンインキの印刷部が重なるように、熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項4】
基材上にインキが塗布されたインキリボンに対し、画像情報に基づいた位置を加熱して、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報を熱転写印刷し、その後ヒートローラーの加熱圧着により、前記受像層とともに画像情報を、被転写媒体に転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に加熱圧着により熱転写印刷して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項5】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し、画像情報に基づいた位置を加熱して、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に熱転写印刷し、その後に被転写媒体に前記受像層とともに画像情報を転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキ分に赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程において転写画像のカーボンの印刷部と重なるように、シアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像を熱転写印刷し、その後熱転写画像を被転写媒体上に加熱圧着により転写して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項6】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置をサーマルヘッドを用い加熱して薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に熱転写印刷し、その後に被転写媒体に前記受像層とともに画像情報を転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキに赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程においてシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像及びシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る転写画像の黒色部がカーボンインキの印刷部と重なるように熱転写印刷し、その後被転写媒体上に
加熱圧着により転写して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項7】
基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキ部分に、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項8】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、カーボンインキ部分に、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱してカーボンインキからなる画像形成とカーボンインキの画像と重なるようにシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像の形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項9】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、カーボンインキ部分に、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱してシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像形成と、シアン、マゼンタ、イエローからなる黒色画像と重なるように前記インキリボンのカーボンインキから成る画像形成を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することことを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項10】
基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項11】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱してカーボンインキからなる画像形成とカーボンインキ画像と重なる様にシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項12】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱してシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像形成とシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像と重なるようにカーボンインキを加熱して画像形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項13】
前記赤外線レーザーがYAGレーザーもしくはYVO4レーザーであることを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載のキュリティプリンタ。
【請求項1】
基材上にインキが塗布されたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱し、画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後に熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項2】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱して、画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後の熱転写印刷工程において熱転写印刷されたカーボンインキの印刷部と重なるようにシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部分、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像を熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項3】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置を加熱して画像情報を熱転写印刷するプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキ部に赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程においてシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像および、シアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部を熱転写印刷し、その後黒色部カーボンインキの印刷部が重なるように、熱転写印刷することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項4】
基材上にインキが塗布されたインキリボンに対し、画像情報に基づいた位置を加熱して、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報を熱転写印刷し、その後ヒートローラーの加熱圧着により、前記受像層とともに画像情報を、被転写媒体に転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのインキに、赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させ、その後熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に加熱圧着により熱転写印刷して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項5】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し、画像情報に基づいた位置を加熱して、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に熱転写印刷し、その後に被転写媒体に前記受像層とともに画像情報を転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキ分に赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程において転写画像のカーボンの印刷部と重なるように、シアン、マゼンタ、イエローのインキから成る黒色部、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像を熱転写印刷し、その後熱転写画像を被転写媒体上に加熱圧着により転写して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項6】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンに対し画像情報に基づいた位置をサーマルヘッドを用い加熱して薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に熱転写印刷し、その後に被転写媒体に前記受像層とともに画像情報を転写を行うプリント方法において、前記熱転写印刷の前に、前記インキリボンのカーボンインキに赤外線レーザーを用いて、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させておき、その後の熱転写印刷工程においてシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像及びシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る転写画像の黒色部がカーボンインキの印刷部と重なるように熱転写印刷し、その後被転写媒体上に
加熱圧着により転写して画像形成することを特徴とするキュリティプリント方法。
【請求項7】
基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキ部分に、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項8】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、カーボンインキ部分に、点もしくは線形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱してカーボンインキからなる画像形成とカーボンインキの画像と重なるようにシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像、およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像の形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項9】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、カーボンインキ部分に、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、画像情報に基づいた位置を加熱してシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像形成と、シアン、マゼンタ、イエローからなる黒色画像と重なるように前記インキリボンのカーボンインキから成る画像形成を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段とを、有することことを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項10】
基材上にインキが塗布されたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項11】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱してカーボンインキからなる画像形成とカーボンインキ画像と重なる様にシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像およびシアン、マゼンタ、イエローのインキから成る画像形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項12】
基材上にカーボンインキと、シアン、マゼンタ、イエローのインキがパートコートされたインキリボンを供給する供給手段と、インキリボンのカーボンインキに、点もしくは線形状の形状にインキを印字蒸発させる赤外線レーザーと、薄膜フィルム状受像層が積層形成された転写フィルム上に画像情報に基づいた位置を加熱してシアン、マゼンタ、イエローのインキからなる画像形成とシアン、マゼンタ、イエローのからなる黒色画像と重なるようにカーボンインキを加熱して画像形成行うサーマルヘッド備えた熱転写印刷手段と、転写フィルムの供給手段と、熱転写画像を受像層とともに被転写媒体上に転写して画像形成するヒートローラーと圧着台を備えた転写手段とを、有することを特徴とするキュリティプリンタ。
【請求項13】
前記赤外線レーザーがYAGレーザーもしくはYVO4レーザーであることを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載のキュリティプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−152652(P2011−152652A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13987(P2010−13987)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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