説明

セキュリティー機能部のレーザー転写

本発明は、レーザー技術を利用して各材料へ転写される、複写不能なセキュリティー機能部により、高価値製品、重要証書、および有価証券の偽造防止を強化するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー技術を利用して各材料へと転写される、複写不能なセキュリティー機能部により、高価値製品、重要証書、および有価証券の偽造防止を強化するための方法に関する。本発明は同様に、その方法を実行するための適切な支持フィルムシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
「複写不能」という用語は、本明細書では、製品、重要証書または有価証券を電子写真複写することにより偽造する際に、セキュリティー機能部の特定の性質、例えば蛍光性、リン光性、電界発光性、比電気伝導率、カラーフロップ性、UV吸収性およびIR吸収性、DNA配列、または磁気性効果、熱変色性効果、ホログラフィック効果もしくは光互変性効果に基づく特性などが、その複写物上に複製されないという意味で使用されている。
【0003】
現在の技術によれば、レーザー技術を利用して、ガラス、セラミック、金属、およびプラスチックなどの材料に、ヒトの目に見え、複写しやすい色を付けて標印することが可能である。この種の方法は、例えば、WO99/16625、WO99/25562、U.S.6238847、DE10136479A1、DE19942316A1、DE102004053376A1、およびDE102004016037A1の各出願に記載されている。
【0004】
特に重要証書および有価証券に対しては、DE2836529、WO98/03348およびWO2004/009371の出願から知られるように、印刷インクもしくは証書自体へレーザー削摩および/または黒消し処理を行うため、ならびに触知可能なマーキングを作製するためにも、レーザー技術を使用している。
【0005】
印刷画像が予め指定されている印刷方法、例えば、スクリーン印刷、テンプレート印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、およびパッド印刷などとは対照的に、コンピュータ制御によるレーザー技術は、それぞれ個々の製品または証書を別々に、かつ個別化して標印する可能性を提供する。
【0006】
デジタル印刷、例えば熱転写印刷またはインクジェット印刷などとは対照的に、この方法では、レーザーヘッドが自由に移動できるので、実質的に製品形状による影響を受けない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、レーザー技術を用いて、高価値の製品、例えば重要証書、有価証券などに偽造防止および複写防止の機能を有しつつ、融通のきく個別の標印を行うための方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くことに、適切な層システムに組み込まれたセキュリティー機能部は、レーザー照射により、製品へ、または重要証書もしくは有価証券(以下単に証書と称す)へと転写できることが判明した。レーザーの入力エネルギーは、この系のレーザー感応性材料で吸収され、熱エネルギーへと変換される。層システムでの熱作用の結果、セキュリティー機能部は剥離し、標印対象の製品または証書の内部または表面上にこのセキュリティー機能部が転写されることになる。
【0009】
したがって、本発明は、偽造防止および複写防止の機能を有し、製品、重要証書、および有価証券へ、融通のきく個別の標印を行う方法であって、複写不能なセキュリティー機能部が、レーザー照射によって層システムに組み込まれ、該製品、重要証書または有価証券の内部または表面上へと転写されることを特徴とする方法に関する。
【0010】
印刷法などの既知の技術と比較した場合、製品および証書の偽造防止の1つの利点は、レーザー照射の使用によって製品または証書自体の加温も生じ得るので、これによりセキュリティー機能部が、表面上だけでなく、製品または証書のある程度の深さにまでも転写できることにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この目的のために、157nm〜10.6μmの波長域、好ましくは355nm〜10.6μmの波長域のレーザーが考慮対象となる。使用するのが特に好ましいのは、ダイオードレーザー(808〜980nm)、Nd:YAGおよびYVO4レーザー(355、534および1064nm)、ならびにCO2レーザー(10.6μm)である。レーザー転写は、連続波モードでもパルス波モードでも可能である。レーザーの適切なパワースペクトルは、0.5〜300ワット(平均レーザー出力)の範囲に及び、特に好ましくは14〜30Wの範囲で、パルス周波数は、1〜200kHzの範囲である。
【0012】
使用するレーザーのパラメーターは、特定の用途に依存し、当業者であれば容易に決定することができる。
【0013】
本発明による方法において、好ましい実施形態の層システムは、図1で示されるように、順に重なり合った少なくとも4層からなり、第1の層はレーザー光に対して透過性の支持フィルム(1)であり、そこにレーザー感応性のエネルギー吸収層(2)が積層され、それに続いて剥離層(3)、所望により封止層(4)、銘刻媒体(5)、最終層として所望により接着層(6)が積層されるが、この層システムにおいて銘刻媒体は、複写防止のセキュリティー機能部を含み、レーザーエネルギーは、レーザー感応性物質によって吸収され、熱エネルギーへと変換され、その結果セキュリティー機能部が剥離され、標印対象の重要証書または有価証券の内部または表面上にこのセキュリティー機能部が転写される。
【0014】
図2で示すさらなる好ましい実施形態において、層システムは、順に重なり合った少なくとも3層からなり、第1の層はレーザー光に対して透過性の支持フィルム(7)であり、レーザー感応性のエネルギー吸収材を1種以上含み、それに続いて剥離層(3)、所望により封止層(4)、銘刻媒体(5)、最終層として所望により接着層(6)があるが、この層システムにおいて銘刻媒体は、複写防止のセキュリティー機能部を含み、レーザーエネルギーは、レーザー感応性物質によって吸収され、熱エネルギーへと変換され、その結果セキュリティー機能部が剥離され、標印対象の重要証書または有価証券の内部または表面上にこのセキュリティー機能部が転写される。
【0015】
本発明は、同様に上記方法に適切な支持フィルムシステムに関する。
【0016】
本発明による層システムの主要構成要素(図1および2)は、適切な支持フィルムシステム、レーザー感応性物質、および銘刻媒体中の所望の複写防止セキュリティー機能部である。
【0017】
図1の(1)または図2の(7)の支持フィルムシステムとして考慮対象となる材料は、レーザー光によって破壊されないプラスチックフィルムが好ましい。
【0018】
適切なプラスチックは、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートなど、ポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンなど、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルエステル、ポリエーテルエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ならびにこれらのコポリマーおよび/または混合物である。
【0019】
上記プラスチックの中で、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、およびポリプロピレンから作製されたプラスチックフィルムが特に適切である。
【0020】
レーザー感応性物質は、図1での層(2)として支持フィルムシステム(1)に積層するか、または図2での支持フィルムシステム(7)中にすでに存在している。後者の場合、支持フィルム(7)はもはやレーザー光に対し透過性でない、すなわち半透明であるが、それでもレーザー照射中は安定していなければならない。
【0021】
レーザー感応性物質は、以下のように組み込むことができる。
・支持フィルムの均一な着色、すなわち支持フィルムシステム内のレーザー感応性物質の充填度が一定である。または、
・支持フィルムの漸進的な着色、すなわちレーザー感応性物質の充填度に傾斜があること。
【0022】
レーザー感応性物質の銘刻媒体への潜在的ブリーディングを防止するために、追加的に支持フィルムシステム(1)および(7)を無色フィルムに接着するかまたはその中に埋め込んでもよい。
【0023】
支持フィルムシステムは、当業者に公知の方法、例えば冷間および温間の接着剤による結合、押出成形、カレンダー加工、および積層法などを用いて作ることができる。
【0024】
使用可能なレーザー感応性物質とは、指定される波長域内で十分にレーザーエネルギーを吸収し、それを熱エネルギーに変換するすべての物質である。
【0025】
本発明に適切なレーザー感応性物質は好ましくは、炭素、カーボンブラック、金属酸化物、例えばSn(Sb)O2、TiO2など、グラファイト、アントラセン、IR吸収性着色剤、例えばペリレン/リレンなど、ペンタエリスリトール、水酸化リン酸銅、二硫化モリブデン、酸化アンチモン(III)およびオキシ塩化ビスマスの群から選択され、薄片状の、特に透明または半透明の基剤は、例えば層状ケイ酸塩、例えば合成もしくは天然の雲母、タルク、カオリンなど、ガラス薄片、SiO2薄片、または支持体のない合成薄片を含む。薄片状の金属酸化物、例えば薄片状の酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、LCP(液晶ポリマー)、ホログラフィック顔料、導電性顔料、被覆したグラファイト薄片、またはその混合物も適切である。
【0026】
金属粉末も薄片状顔料に利用できるが、金属粉末は被覆されていなくてもよいし、1種以上の金属酸化物層で覆われていてもよく、好ましいのは、例えばAl、Cu、Cr、Fe、Au、Ag、および鋼鉄の薄片である。例えばAl、Feまたは鋼鉄の薄片などの腐食性金属薄片が、被覆されていない形態で利用できるとしても、保護ポリマー層で覆うのが好ましい。
【0027】
薄片状基材に加えて、例えばAl、Cu、Cr、Fe、Au、Agおよび/またはFeを含む球状顔料も利用できる。
【0028】
特に好ましい基剤は、1種以上の金属酸化物で被覆した雲母の薄片である。
【0029】
本発明で使用する金属酸化物は、無色で高屈折率の金属酸化物、例えば、特に二酸化チタン、酸化アンチモン(III)、酸化亜鉛、酸化スズ、および/または二酸化ジルコニウムと、有色の金属酸化物、例えば酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、および特に、酸化鉄(Fe23、Fe34)との両方である。使用するレーザー感応性成分は、特に酸化アンチモン(III)を単独でまたは酸化スズと組み合わせるのが好ましい。
【0030】
これらの基剤は公知であり、大多数は市販されており(例えばメルク社からイリオジン(登録商標)レーザーフレアーの商品名)および/または当業者に公知の標準的な方法で調製できる。
【0031】
透明または半透明の薄片状基剤をベースとする顔料は、例えばドイツ国特許および特許出願第1467468号、第1959998号、第2009566号、第2214454号、第2215191号、第2244298号、第2313331号、第2522572号、第3137808号、第3137809号、第3151343号、第3151354号、第3151355号、第3211602号、第3235017号、第3842330号、第4441223号に記載されている。
【0032】
被覆したSiO2薄片は、例えばWO93/08237(湿式化学被覆法)およびDE−A19614637(CVD法)から既知である。
【0033】
層状ケイ酸塩ベースの多層顔料は、例えばドイツ国出願DE19618569、DE19638708、DE19707806、およびDE19803550から既知である。特に適切なのは、以下の構造を有する多層顔料である。
【0034】
雲母+TiO2+SiO2+TiO2
雲母+TiO2+SiO2+TiO2/Fe23
雲母+TiO2+SiO2+(Sn,Sb)O2
SiO2薄片+TiO2+SiO2+TiO2
特に好ましいレーザー感応性物質は、カーボンブラック、例えばフレームブラックおよびガスブラックなどである。
【0035】
レーザー感応性物質は、2種以上の上記の成分の混合物であってもよい。
【0036】
レーザー感応性物質を支持体(1)上に層(2)として積層、例えば印刷する場合(図1)、レーザー感応性物質は、液体印刷媒体の全重量に対して、0.5〜40重量%、好ましくは、5〜38重量%、特に7〜35重量%の割合で存在するのが好ましい。
【0037】
レーザー感応性物質が、図2の支持体(7)へ、例えば押出成形およびカレンダー成形などで直接組み込まれる場合、レーザー感応性物質は、効果的には0.5〜10%重量%、好ましくは1〜8重量%、特に1.5〜6重量%の割合で支持体(7)中に存在する。
【0038】
所望するセキュリティー機能を有する銘刻媒体(5)は、層として支持フィルムシステムに積層され、本質的にはバインダー系(一般的にバインダーは、予め適切な溶媒に導入されており、市販のものを購入できる)、セキュリティー機能部、フィラー、ならびに所望により着色剤および添加剤からなる。
【0039】
銘刻媒体は、銘刻媒体の全重量に対し、好ましくはバインダー系を20〜90重量%、特に40〜85重量%、特に非常に好ましくは60〜80重量%含む。
【0040】
当業者に公知の銘刻媒体用のバインダーは、特にセルロース、セルロース誘導体、例えば硝酸セルロース、酢酸セルロースなど、加水分解/アセタール化したポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、さらにエチレン−エチレンアクリレートのコポリマー、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイソブチレン、ポリアミドである。
【0041】
着色剤の使用は、複写不能なセキュリティー機能部に加え、はっきりと見えるマーク/銘刻を製品または証書へ付けることも所望するかどうかによる。
【0042】
特に銘刻媒体(5)に存在し得る、偽造防止用の複写不能なセキュリティー機能部として、以下が検討対象となる。
【0043】
【表1−1】

【0044】
【表1−2】

【0045】
セキュリティー機能部は、一般的に0.001〜40重量%の量で、銘刻媒体中に存在する。ホログラフィック用途の場合、純粋な(100%)アルミニウム層が、効果を達成するために必要である。カラーフロップ顔料の場合は濃度が20〜30重量%の範囲である一方、タガントの場合には、ppm範囲の濃度で十分である。
【0046】
それぞれのセキュリティー機能部の用途に極めて適切なのは、例えばセキュリティー顔料/色素が、純粋な形態で、またはナノもしくはミクロ結晶粒子系の形態で組み込まれている印刷媒体である。セキュリティー顔料/色素は、均一にあるいは別々に、例えば異なる層内や粒子マトリクス(例えばプラスチックマトリクス)内に分散することができる。
【0047】
このようなセキュリティー顔料/色素で均一に着色されたプラスチックは、無機粉末または薄片(合成もしくは天然の雲母、タルク、カオリン、ガラスの薄片または粉末、SiO2薄片または粉末、ナノまたはミクロ結晶粒子、金属酸化物)に対する被覆材料として同様に機能を果たすことができ、これらは印刷法または被覆法によって、支持フィルムシステム(1)または(7)に同様に積層することができる。
【0048】
セキュリティー機能部を有する粒子系または被膜に適切なプラスチックは、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、およびメラミンアルキドの各ポリマー、ならびに硬化したプラスチック樹脂、例えばメラミンホルムアルデヒド樹脂などである。
【0049】
剥離層(3)および封止層(4)は、所望によりレーザー感光層(2)または支持系(7)と銘刻媒体(5)との間に挿入することができる。
【0050】
剥離層(3)は、レーザー転写中のセキュリティー機能部のきれいな剥離および転写を簡素化する。剥離層は本質的に(>95重量%の)ワックスからなる。天然ワックス、例えばカルナウバ、カンデリラ、およびモンタンなど、ならびに合成ワックス、例えばポリオレフィンワックスおよびパラフィンワックスなどの、融点50〜140℃を有する、好ましくは融点75〜120℃を有するものが適当である。
【0051】
封止層(4)によって、銘刻媒体(5)中の転写されるセキュリティー機能部の、外部からの各影響に対しての追加的な保護が与えられる。ただし封止層(4)は絶対に必要というわけではない。
【0052】
封止は、ポリマー透明層を使用して行われるが、ポリマー透明層はガラス転移温度≧90℃、特に100〜120℃の間を有することが好ましい。このようなポリマー層は、別個の層として積層することもできるし、または銘刻媒体(5)の中のセキュリティー機能部をすでに取囲んでいる、つまり封止していてもよい。封止層は、好ましくはスチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、メチルメタクリレートまたはヒドロキシ官能性アクリレートのポリマーからなる。
【0053】
フィルム支持系から製品または証書への銘刻媒体(5)のレーザー転写を援護するために、接着層(6)を所望により銘刻媒体(5)に積層することができるが、この接着層はレーザー作用により活性化されるか、またはすでに接着性を有している。
【0054】
接着層(6)は、存在する場合、本質的に熱可塑性樹脂およびフィラーからなる(>95重量%)。接着層は、接着強度ひいては接着性がレーザーの作用によってのみ発現するように設計されている。
【0055】
使用する好ましい熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル、変性コロホニー樹脂、ポリエチレンビニルアセテート、エチレンビニルアセテートターポリマー、塩素化ポリプロピレンおよび塩素化ポリエチレン、ポリエステル、ならびにポリウレタンである。
【0056】
使用するフィラーは、好ましくはチョーク、方解石、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、および沈降ケイ酸(SiO2)である。フィラー:熱可塑性樹脂の好ましい比率は、1:0.5〜1:1である。
【0057】
接着性を有する接着層に適切なのは、PUR、アクリレートまたはゴムベースのフィルムシステム用のすべての接着剤、特に2液型ポリウレタン接着剤、K値>20を有する架橋したアクリレートホットメルト接着剤(アクロナール(登録商標)接着用、BASF)であり、ならびにコロホニーおよび炭化水素の樹脂をベースとする樹脂もまた適切である。
【0058】
接着層(6)は、層厚が0.3〜10μmの、特に好ましくは層厚が0.5〜2μmの銘刻媒体(5)に積層される。
【0059】
層システムは、全部で30〜350μm、好ましくは40〜300μm、特に50〜250μmの層厚を有する。
【0060】
本発明による複写防止のセキュリティー機能部のレーザー転写を利用して、以下を提供することができる。
【0061】
偽造防止および複写防止機能を備えた、
・製品、特にプラスチック、プラスチックフィルム、皮革、木材、および繊維から作製した有標製品および工業製品
・紙、厚紙、板、プラスチック、またはプラスチックフィルムから作製された製品包装材およびラベル、
・紙、厚紙、板、プラスチック、プラスチックフィルム、および積層体から作製された重要証書、例えば銀行券、銀行カードおよびクレジットカード、小切手、小切手カード、証券、証書、身分証明書、価値のある印紙および郵便切手、証明書、IDカード、試験証明書、鉄道券および航空券、入場券、テレホンカードなど。
【0062】
空間的な位置決めに関しては、セキュリティー機能部は、可視銘刻領域内の隠し機能という形態にして、対応する補助器具を用いて可視化することができ、または製品もしくは証書上の可視マークのない不明の場所に配置される。
【0063】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図し、制限するものではない。
【0064】
詳細な説明および実施例中のすべての%は、特に指示のない限り重量%である。
【実施例】
【0065】
実施例1:均一な黒に着色された支持フィルム(1)の製造
カーボンブラック含量が3〜12重量%である、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタレート(PET)のマスターバッチから従来の製造方法、例えば押出成形およびカレンダー成形によりフィルムへを製造し、次にフィルムを二軸延伸する。適切なPEフィルムのカーボンブラックの有効含量は2.5〜5重量%である。
【0066】
均一な黒に着色したフィルムは、さらにポリエチレンテレフタレートの無色フィルムに接着してもよい。例えば、黒に着色したPE、PET、またはPPを、加工温度120〜160℃で12μmの厚さを有するPETフィルム上へと押出成形し、次にカレンダー加工する。黒に着色したPE、PET、またはPPの積層重量は、20〜50g/cm2の間である。出来上がった積層体の厚さは20〜80μmの間である。
【0067】
別法として、支持フィルムの積層体は、約140℃で、黒に着色したPE、PET、またはPPフィルムをPETフィルムへと熱積層することにより、または市販の接着剤(アクリレート接着剤、2液型ポリウレタンまたはホットメルト)を用いて低温積層することにより作製できる。
【0068】
支持フィルムシステムは、次に銘刻媒体で、ならびに所望により剥離層、封止層、および接着層で被覆される。
【0069】
実施例2:段階的に黒に着色した支持フィルム(7)の作製(充填度に傾斜を有する)
最初に、カーボンブラックまたは酸化鉄の含量が3〜15%である、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の個々のマスターバッチを調製する。
【0070】
段階的に黒に着色するフィルムの場合、最初のステップで、無充填または最も多く充填したフィルムをベースフィルムとして作製し、次いで各段階の充填度(例えば1%の段階で)のフィルムが、このベースフィルム上に押出成形され、カレンダー加工される。
【0071】
別の変形法は、異なる充填度を有するフィルムを各々作製し、実施例1に記載するようにこれらのフィルムを積層することによって積層体を得ることにある。
【0072】
さらに、均一な黒に着色されたフィルムに関してすでに実施例1で詳細に記載されているように、段階的に黒に着色したフィルムは、ポリエチレンテレフタレートの無色のフィルムに対し、その両面上に積層するか、またはその上に接着することができる。
【0073】
出来上がった積層体の厚さは、20〜80μmである。
【0074】
支持フィルムシステムは、次に銘刻媒体層で、ならびに剥離層、封止層および接着層で被覆される。
【0075】
実施例3:レーザー感光層(2)の作製
74〜80.0重量%の酢酸エチル
6〜6.5重量%のPVB(ポリビニルブチラール、ピオロフォーム(登録商標)、ワッカーケミ社)
13.5〜20.0重量%のSn(Sb)O2(d50値<1.1μm)(デュポン社)
ポリビニルブチラールを、予め加えられている溶剤の酢酸エチル中に溶解し、よく攪拌する。レーザー感応性成分Sn(Sb)O2をその後攪拌しながら添加し、均一なインクを調製する。
【0076】
適用量0.5〜10g/cm2で、グラビア印刷によって、インクを支持フィルム(1)または(7)上に印刷する。
【0077】
実施例4:レーザー感光層(2)の作製
74.0〜80.0重量%の酢酸エチル
6.0〜6.5重量%のPVB(ポリビニルブチラール、ピオロフォーム(登録商標)、ワッカーケミ社)
13.5〜20.0重量%のガスブラック(d50値<17nm)(スペシャルブラック6、デグサ社)
実施例3に記載されているようにして、処理を行う。使用するレーザー感応性成分はガスブラックである。
【0078】
実施例5:レーザー感光層(2)の作製
44.0〜45.0重量%のマスターブレンド50(SICPA−AARBERG社)
30.0〜35.0重量%のイリオジン(登録商標)レーザーフレアー825(粒径<20μm)(メルク社)
20.0〜25.0重量%の酢酸エチル/エタノール(1:1)
レーザー感応性材料イリオジン(登録商標)レーザーフレアー825を、印刷媒体マスターブレンド50にゆっくり加え、グラビア印刷で印刷する。溶媒混合液酢酸エチル/エタノールを用いて、所望する粘度を設定することができる。適用量は、0.5〜1g/cm2である。
【0079】
実施例6:剥離層(3)の作製
80重量%のトルエン
15重量%のメチルエチルケトン(MEK)
5重量%のエステルワックス(滴点90℃)
エステルワックスを溶媒混合液中に溶解し、よく攪拌する。
【0080】
実施例7:剥離層(3)の作製
99.5重量%のトルエン
0.5重量%のエステルワックス
エステルワックスをトルエン中に溶解し、よく攪拌する。
【0081】
実施例8:封止層(4)の作製
55〜60重量%のキシレン
25〜30重量%のポリスチレン
10〜15重量%のPEワックス
PEワックスおよびポリスチレンを、キシレン中に溶解し、溶解機を用いて均質化する。
【0082】
実施例9:封止層(4)の作製
75〜80重量%のn−ブチルアセテート
15〜20重量%のポリスチレン
0.5〜1重量%のエチルセルロース
0.5〜1重量%のUV安定剤
実施例8に記載の通り、処理を行う。
【0083】
実施例10:封止層(4)の作製
40.0重量%のメチルエチルケトン
23.0重量%のトルエン
10.0重量%のシクロヘキサノン
19.5重量%のPMMA(Tg:122℃)(デグサ社)
7.5重量%のPEワックス
PEワックスおよびPMMAは、溶媒混合液中に溶解し、溶解機を用いて均質化する。
【0084】
実施例11:ノットルンのシモンズドルックフェアトリーブ社製のセクターク(登録商標)タガントを含む被覆媒体(5)の調製
異なる粒径分布を有する、様々な等級のセクターク(登録商標)色分け用粒子を使用する。粒径の範囲は5〜45μmの間である。
【0085】
0.1〜5Pのセクターク色分け用粒子
10PのColorcode青緑−薄紫色(メルク社製カラーフロップ顔料)
60〜80Pのバーゴフォーグラビア印刷用バインダー(SICPA)
それぞれの色分け用等級品を、高いせん断力を避けながら、真珠光沢効果の顔料と共にバインダー系へ攪拌しながら加える。その後印刷粘度を設定する(DIN4cup(DIN53211)14〜25s)。
【0086】
エトキシプロパノール35gを印刷インク濃縮液65gに加える(上記参照)。
【0087】
適切な印刷機(例えばモサーロトテスト)上の適切なグラビアスクリーン(例えば60ライン/cm、電子蝕刻)を用いて、グラビア印刷でインクを印刷する。層厚は4〜8μmである。
【0088】
実施例12:Stardust製IRアップコンバーターを含む被覆媒体(5)の調製
スターダスト(べレビュー、WA、USA)製のいわゆる「アップコンバージョン発光蛍光体」の様々な等級を使用する。
【0089】
1.Z0011
2.P0013
3.F0027
4.K0080
5.Y0037
粒径の範囲は、2〜10μmである。
【0090】
1〜10Pの細粒品のアップコンバージョン発光蛍光体
5〜30PのColorcode青緑−薄紫色
60〜80Pのバーゴフォーグラビア印刷用バインダー(SICPA)
それぞれのアップコンバーターを、高いせん断力を避けながら、真珠光沢効果の顔料と共にバインダー系へ攪拌しながら加える。その後印刷粘度を設定する(DIN4カップ(DIN53211)14〜25s)。
【0091】
エトキシプロパノール35gを印刷インク濃縮液65gに加える(上記参照)。
【0092】
適切な印刷機(例えばモサーロトテスト)上の適切なグラビアスクリーン(例えば60行/cm、電子蝕刻)を用いて、グラビア印刷でインクを印刷する。層厚は4〜8μmである。
【0093】
実施例13:UV蛍光色素を含む被覆媒体(5)の調製
ナノソリューションズ(ハンブルグ)製のUV蛍光色素の様々な等級品を、メルク社製の真珠光沢効果の顔料と組み合わせて使用する。
【0094】
1.REN−X UC 緑
2.REN−X 緑
3.REN−X 赤
例えば10〜30Pのカラーコード青緑−薄紫色
60〜80Pのバーゴフォーグラビア印刷用バインダー(SICPA)
それぞれの蛍光色素を、高いせん断力を避けながら、真珠光沢効果の顔料と共にバインダー系へ攪拌しながら加える。その後印刷粘度を設定する(DIN4cup(DIN53211)14〜25s)。
【0095】
エトキシプロパノール35gを印刷インク濃縮液65gに加える(上記参照)。
【0096】
適切な印刷機(例えばモサーロトテスト)上の適切なグラビアスクリーン(例えば60行/cm、電子蝕刻)を用いて、グラビア印刷でインクを印刷する。層厚は4〜8μmである。
【0097】
実施例14:磁性粒子(酸化鉄で被覆した雲母顔料)を含む被覆媒体(5)の調製
1.カラロナ(登録商標)ブラックスターゴールド(メルク社)
2.カラロナ(登録商標)ブラックスターシルバー(メルク社)
3.カラロナ(登録商標)ブラックスターブルー(メルク社)
4.カラロナ(登録商標)ブラックスターレッド(メルク社)
10〜30Pのカラロナ(登録商標)ブラックスター(真珠光沢顔料、メルク社)
60〜80Pのバーゴフォーグラビア印刷用バインダー(SICPA)
それぞれの顔料を、高いせん断力を避けながら、バインダー系へ攪拌しながら加える。その後印刷粘度を設定する(DIN4cup(DIN53211)14〜25s)。
【0098】
エトキシプロパノール35gを印刷インク濃縮液65gに加える(上記参照)。
【0099】
適切な印刷機(例えばモサーロトテスト)上の適切なグラビアスクリーン(例えば60行/cm、電子蝕刻)を用いて、グラビア印刷でインクを印刷する。層厚は4〜8μmである。
【0100】
実施例15:真珠光沢顔料(干渉顔料)を含む被覆媒体(5)の調製
30重量%の量の顔料イリオジン(登録商標)を、高いせん断力を避けながら、バインダー系へ攪拌しながら加える。その後印刷粘度を設定する(DIN4cup(DIN53211)14〜25s)。
【0101】
エトキシプロパノール35gを印刷インク濃縮液65gに加える(上記参照)。
【0102】
適切な印刷機(例えばモサーロトテスト)上の適切なグラビアスクリーン(例えば60行/cm、電子蝕刻)を用いて、グラビア印刷でインクを印刷する。層厚は4〜8μmである。
【0103】
実施例16:光学的変化顔料を含む被覆媒体(5)の調製
20〜25重量%のビオラファンタジー顔料(メルク社)
75重量%の硝酸セルロース/アルコールのブレンド
該顔料を、高いせん断力を避けながら、バインダー系へ攪拌しながら加える。その後印刷粘度を設定する(DIN4cup(DIN53211)14〜25s)。
【0104】
エトキシプロパノール35gを印刷インク濃縮液65gに加える(上記参照)。
【0105】
適切な印刷機(例えばモサーロトテスト)上の適切なグラビアスクリーン(例えば60行/cm、電子蝕刻)を用いて、グラビア印刷でインクを印刷する。層厚は4〜8μmである。
【0106】
実施例17:UV蛍光粒子(タガント)を含む被覆媒体(5)の調製
40〜45重量%のセノリス(登録商標)エマルジョンン塗料(ワイルバーガーグラフィックス社)
30〜35重量%のサンドパースイエロー E−HRD(クラリアント)
0.0001〜1重量%のメラミン粒子(粒径1〜5μm)、例えばローダミンBで着色
水性の顔料調製物をエマルジョン塗料に導入する。UV光の中で蛍光を発する球状のメラミン粒子を、水性ローダミンB溶液中で重縮合反応で調製し、洗浄、ろ過し、攪拌により被覆媒体へ混合する。
【0107】
粒径が細かく、加えてメラミン粒子は非常に低濃度でしか必要としないので、この機能はまったく隠され、UV顕微鏡でしか検出できない。
【0108】
粒径および濃度を上げるにつれて、メラミン粒子は、市販のUVランプで見ることが可能になる。
【0109】
支持基剤、例えば雲母薄片などを、蛍光メラミン樹脂で被覆すれば、より大きなメラミン粒子を得ることができる。
【0110】
実施例18:接着層(6)の調製
18重量%のアセントン
62重量%のトルエン
3重量%の塩素化ポリオレフィン
5重量%のポリ塩化ビニル(Tg76℃)
2重量%のコロホニー修飾樹脂(軟化点92℃)
10重量%の二酸化ケイ素
実施例8に記載の通り、処理を行う。
【0111】
軟化点およびガラス転移温度は、それぞれDIN EN6032およびDIN EN ISO306に従い決定する。
【0112】
実施例19:多層銘刻テープの作製
所望により、層厚が0.01〜2μmの剥離層(3)(実施例6〜7)を、本来存在するレーザー感応性顔料(7)または別に積層したレーザー感光層(2)を含む、実施例1または2(実施例3〜5)に記載の支持フィルム積層体へ積層する。
【0113】
用途によっては、次いで層厚0.01〜2μmである封止層(4)(実施例8〜10)に被覆を行うことができる。
【0114】
その後、銘刻媒体(5)(実施例11〜17)を、剥離層(3)または封止層(4)上へ、2〜15μmの層厚で印刷し、70〜120℃で乾燥することができる。
【0115】
さらなるステップにおいて、接着層(6)(実施例18)は、用途によっては、0.3〜10μmになり得るが、0.5〜2μmで使用することが好ましく、次いでこれを積層する。好ましい印刷法は、グラビア印刷である。
【0116】
実施例20:セキュリティー機能部を有するレーザーマーキングおよび銘刻
銘刻フィルムは、銘刻対象の製品および証書と密着させるべきである。これは、例えば繰り出し装置内の銘刻フィルムを、製品または証書へ機械的に供給するか、または製品または証書に銘刻フィルムを吸い付ける真空を適用することにより実施することができる。接着層の場合は、手操作による接着も可能である。
【0117】
以下のレーザーおよびレーザーパラメーターが好ましい。
【0118】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の方法における、好ましい実施形態の層システムの一例を示す図である。
【図2】本発明の方法における、他の層システムの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
1 支持フィルム
2 レーザー感応性のエネルギー吸収層
3 剥離層
4 封止層
5 銘刻媒体
6 接着層
7 レーザー光に対して透過性の支持フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偽造防止および複写防止の機能を備えつつ、製品、重要証書および有価証券に対して融通のきく個別の標印を行う方法であって、複写不能なセキュリティー機能部が、層システムに組み込まれ、レーザー照射によって製品、重要証書および有価証券の内部または表面上へ転写されることを特徴とする方法。
【請求項2】
レーザーエネルギーがレーザー感応性物質によって吸収され、熱エネルギーに変換され、その結果、セキュリティー機能部の剥離、および標印対象の重要証書または有価証券の内部または表面上へその転写を起こすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レーザー感応性物質が、炭素、カーボンブラック、金属酸化物、グラファイト、アントラセン、ペンタエリスリトール、水酸化銅リン酸塩、二硫化モリブデン、酸化アンチモン(III)およびオキシ塩化ビスマス、層状ケイ酸塩、合成もしくは天然の雲母、タルク、カオリン、ガラス薄片、SiO2薄片、支持体のない合成薄片、薄片状の金属酸化物、二酸化ケイ素、LCP(液晶ポリマー)、ホログラフィック顔料、真珠光沢顔料、2種以上の金属および/または金属酸化物で被覆した薄片状基剤をベースとする多層顔料、導電性顔料、被覆したグラファイト薄片、金属薄片、Al、Cu、Cr、Fe、Au、AgまたはFeを含む球状顔料、ならびにその混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
複写不能なセキュリティー機能部が、IR顔料、IR色素、IRアップコンバーター、IRダウンコンバーター、1次および2次のUV蛍光顔料もしくは色素、発光顔料、発光色素、レーザー色素、光互変性顔料、光互変性色素、熱変色性顔料、熱変色性色素、エレクトロルミネセンスポリマー、エレクトロルミネセンス色素、光学的変化顔料、真珠光沢顔料、タガント、導電性顔料、ホログラフィック顔料、磁性顔料、またはその混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1から3の一項または複数項に記載の方法。
【請求項5】
157nm〜10.6μmの波長域のレーザーが使用されることを特徴とする、請求項1から4の一項または複数項に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザーが、ダイオードレーザー、Nd:YAGレーザー、YVO4レーザー、またCO2レーザーであることを特徴とする、請求項1から5の一項または複数項に記載の方法。
【請求項7】
レーザー転写が連続波モードまたはパルス波モードで行われることを特徴とする、請求項1から6の一項または複数項に記載の方法。
【請求項8】
順に重なり合った少なくとも4層を含み、第1の層はレーザー光に対して透過性の支持フィルム(1)であり、その層にレーザー感応性のエネルギー吸収層(2)が積層され、それに続いて剥離層(3)、所望により封止層(4)、銘刻媒体(5)、最終層として所望により接着層(6)が積層される支持フィルムシステムであって、前記銘刻媒体が複写不能なセキュリティー機能部を含むことを特徴とする支持フィルムシステム。
【請求項9】
順に重なり合った少なくとも3層を含み、第1の層はレーザー光に対して透過性の支持フィルム(7)であり、レーザー感応性のエネルギー吸収材を1種以上含み、それに続いて剥離層(3)、所望により封止層(4)、銘刻媒体(5)、最終層として所望により接着層(6)がある支持フィルムであって、前記銘刻媒体が複写不能なセキュリティー機能部を含むことを特徴とする支持フィルムシステム。
【請求項10】
複写不能なセキュリティー機能部が、IR顔料、IR色素、IRアップコンバーター、IRダウンコンバーター、1次および2次のUV蛍光顔料もしくは色素、発光顔料、発光色素、レーザー色素、光互変性顔料、光互変性色素、熱変色性顔料、熱変色性色素、エレクトロルミネセンスポリマー、エレクトロルミネセンス色素、光学的変化顔料、真珠光沢顔料、タガント、導電性顔料、ホログラフィック顔料、磁性顔料、またはその混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項8または9に記載の支持フィルムシステム。
【請求項11】
剥離層(3)が、95重量%を超える、融点50〜140℃を有する天然もしくは合成のワックスからなることを特徴とする、請求項8から10の一項または複数項に記載の支持フィルムシステム。
【請求項12】
封止層(4)が、スチレン、塩化ビニル、メチルメタクリレートもしくはヒドロキシ官能性アクリレートのポリマー、またはポリフッ化ビニルからなることを特徴とする、請求項8から11の一項または複数項に記載の支持フィルムシステム。
【請求項13】
銘刻媒体が、ポリマー成分、セキュリティー機能部、フィラー、ならびに所望により着色剤および/または添加剤を含むことを特徴とする、請求項8から12の一項または複数項に記載の支持フィルムシステム。
【請求項14】
接着層(6)が、95重量%を超える熱可塑性樹脂およびフィラーからなることを特徴とする、請求項8から13の一項または複数項に記載の支持フィルムシステム。
【請求項15】
支持フィルム(1)または(7)が、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルエステル、ポリエーテルエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、そのコポリマーおよび/またはその混合物からなることを特徴とする、請求項8から14の一項または複数項に記載の支持フィルムシステム。
【請求項16】
レーザー感応性物質が、炭素、カーボンブラック、金属酸化物、グラファイト、アントラセン、ペンタエリスリトール、水酸化銅リン酸塩、二硫化モリブデン、酸化アンチモン(III)およびオキシ塩化ビスマス、層状ケイ酸塩、合成もしくは天然の雲母、タルク、カオリン、ガラス薄片、SiO2薄片、支持体のない合成薄片、薄片状の金属酸化物、二酸化ケイ素、LCP(液晶ポリマー)、ホログラフィック顔料、真珠光沢顔料、2種以上の金属および/または金属酸化物で被覆した薄片状基剤をベースとする多層顔料、導電性顔料、被覆したグラファイト薄片、金属薄片、Al、Cu、Cr、Fe、Au、AgまたはFeを含む球状顔料、ならびにその混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項8から15の一項または複数項に記載の支持フィルムシステム。
【請求項17】
偽造防止および複写防止機能を備えつつ、製品、重要証書および有価証券に融通のきく個別の標印を行う、請求項1から7の一項または複数項に記載の方法であって、請求項8から16の一項または複数項に記載の層システムが使用されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から7の少なくも一項に記載の方法によって付与された、複写不能なセキュリティー機能部を含有する、製品、重要証書および有価証券。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−517250(P2009−517250A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542644(P2008−542644)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011311
【国際公開番号】WO2007/062785
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】