セグメントの接続構造とトンネル
【課題】簡易な構成で、セグメント継ぎ手部におけるセグメントの回転を効果的に抑止することのできるセグメントの接続構造と、これを備えたトンネルを提供する。
【解決手段】周方向に接続される2つのセグメント10,10の端部は、ともに、凸部11と凹部12からなる一段状に形成され、かつ、一方の凸部11が他方の凹部12に嵌め合いされるようになっており、双方の凸部11,11の側方には、断面が多角形状の貫通孔13,13が形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の貫通孔13,13が連通して連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材20が該連通孔に挿通されてセグメントの接続構造100が形成される。
【解決手段】周方向に接続される2つのセグメント10,10の端部は、ともに、凸部11と凹部12からなる一段状に形成され、かつ、一方の凸部11が他方の凹部12に嵌め合いされるようになっており、双方の凸部11,11の側方には、断面が多角形状の貫通孔13,13が形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の貫通孔13,13が連通して連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材20が該連通孔に挿通されてセグメントの接続構造100が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント継ぎ手における接続構造と、このセグメントの接続構造を備えてできるトンネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤内にトンネルを施工するに際し、開削工法による地上占有の問題を解消し、対象地盤が軟弱な場合でも可及的に短工期で効率的な施工を可能とし、さらには、大断面や大深度のトンネル施工を可能とした施工技術として、シールド工法は一般に知られるところである。このシールド工法では、断面が円形、楕円形、正方形、矩形等、多様な断面形状のトンネルが施工されており、シールド掘進機内のエレメント装置にて複数のセグメントが周方向あるいはトンネル断面の輪郭方向に無端状に組み付けられ、これがトンネル軸方向に順次組み付けられることで所望の断面形状および延長のシールドトンネルが構築されている。また、このセグメントは、鉄筋コンクリート製のもの、鋼殻とコンクリートの複合構造からなるもの、鋼製のものなど、コストや設計条件等からその仕様は適宜選定されている。
【0003】
たとえば周方向のセグメント継ぎ手部(一般に、この周方向のセグメント同士の継ぎ手をセグメント継ぎ手と称し、軸方向のセグメント同士の継ぎ手をリング継ぎ手と称す)では、セグメント同士が相対的に回転し得るものであり、この回転作用によってセグメント間に目開き等の変形が生じる。このセグメント継ぎ手における回転作用により、継ぎ手部における剛性はセグメント自体の剛性よりも低くならざるを得ない。
【0004】
尤も、シールドトンネルにおけるセグメントリング断面の設計(解析)においては、(1)セグメントリングを曲げ剛性一様なリングと仮定して設計する方法、(2)セグメントリングを多ヒンジ系リングと仮定して設計する方法、(3)曲げモーメントに対する回転ばねを備えたセグメントリングとして設計する方法、(4)回転ばねを具備するとともに千鳥配置による添接効果をせん断ばねで評価する方法、などが存在しており、各種条件に応じていずれかの設計手法が採用され、セグメントリングの設計が実行されている。ここで、上記する(1)の方法では、曲げ剛性の有効率:η(η≦1)や曲げモーメントの増幅率:ζ(0≦ζ≦1)を設計に導入するものであるが、地盤条件やセグメントの継ぎ手構造などの各種条件に基づいてこのηやζを正確に評価するのが難しく、結果として安全サイドの設計とならざるを得ないという課題がある。また、上記する(2)の方法では、この方法がトンネル周辺地山の広範な反力を期待するものであることから適用地盤の選定に細心の注意が必要となり、仮に地盤反力が十分に期待できない場合には、セグメントリングの自立を図るための補助手段を講じたり、セグメント継ぎ手部に多少の剛性を与える等の調整をおこないながらセグメントリングの形状保持を図るようにせざるを得ない。さらに、上記する(3)、(4)の方法では、セグメント継ぎ手部を評価する回転ばね定数をセグメントの種類や継ぎ手構造に応じて適宜設定する必要があるが、このばね定数の設定は知識と経験を要し、最適なばね定数を設定するまでに多くの時間を要するという課題がある。上記するように、実際にはセグメント継ぎ手に回転が生じるという事実や、施工コストの削減から安全サイドの設計を可能な限り回避するのが望ましいこと、などの点を勘案すれば、回転ばねの設定が容易でないという課題はあるものの、この(3)、(4)の設計方法を採用するのが好ましいと考えられる。
【0005】
現状のセグメントリングの設計では、上記のごとくセグメント継ぎ手部の回転を考慮しておこなうことになるが、回転ばねの設定が容易でないという課題とこれによる解析結果の信憑性を考え合わせれば、可及的に簡素で、かつ、可及的に回転が許容されないセグメント継ぎ手部の接続構造を提案できることが望ましい。なお、セグメント継ぎ手部の構造にかかる従来の技術として、特許文献1を挙げることができる。これは、コンクリートブロックの内外面を鋼板で被覆した合成構造のセグメントの継手に係り、双方のセグメントの外側の鋼板端部を相互に噛み合いできるように櫛歯状に形成し、噛み合い姿勢において形成される円形断面のボルト孔に円形断面の長ボルトを挿通して接続するものである。
【0006】
このセグメント継手においては、セグメントの内外面に鋼板を設けることが必須の構成となり、たとえば鉄筋コンクリートのみからなるセグメント等に適用できないなど、その適用範囲が極めて限定的であることが大きな課題である。
【0007】
一方、セグメント継ぎ手部の回転に関しては、たとえばトンネル内火災の際に、継ぎ手部の外側(地盤側)が開き、これに起因して継ぎ手部の内側(トンネル内空側)が相互に押圧し合う方向に双方のセグメントの回転が促される。図15に基づいて具体的に説明すると、実際のトンネルでは、土圧の作用により、たとえば周方向のリング断面に図示のような曲げモーメントが発生している。設計段階では、上載土圧P1と下方からの地盤反力P2、側方土圧P3をリング断面に載荷することで図中の点線ラインのような曲げモーメントが生じ、この曲げモーメントに抗し得る断面構造が設定されるものである。ここで、リングの外側に突出したモーメント領域を負曲げ領域(図中の−領域)、リング内のモーメント領域を正曲げ領域(図中の+領域)とすることができる。
【0008】
図示のごとく、この負曲げ領域にセグメント継ぎ手部が存在する場合は往々にしてあり得るが、仮に上記のごとくトンネル内火災が発生した場合には、この負曲げ領域にあるセグメント継ぎ手部が図16のごとく変形することが本発明者の実験によって特定されている。同図において、各セグメントS,Sの外側領域Q1(地盤側領域)では双方が外側に反ってしまい、セグメント継ぎ手部の内側領域Q2(トンネル内空側領域)では、逆にセグメントS,S同士が押圧(圧縮)し合うような回転が働く。この回転作用により、内側領域Q2のセグメントは場合によっては圧壊に至る危険性があり、これに外側領域Q1に生じた空隙も加わって、トンネルの止水性も損なわれることとなる。このことからも、セグメント継ぎ手部の回転が抑制された継ぎ手構造を備えたトンネルを構築することは重要であり、トンネル内火災の場合でもトンネルの損傷を回避することができ、トンネル内の安全性の確保に繋がるものである。
【0009】
【特許文献1】特開平9−4390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、セグメント継ぎ手部におけるセグメントの回転を効果的に抑止することのできるセグメントの接続構造と、これを備えたトンネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明によるセグメントの接続構造は、掘削孔内の周方向および軸方向に複数接続されることによってトンネルを構成し、少なくともコンクリートから形成される、セグメントの接続構造において、前記周方向に接続される2つのセグメントの端部は、ともに、凸部と凹部からなる一段状に形成されており、かつ、一方のセグメントの凸部が他方のセグメントの凹部に嵌め合いされるようになっており、双方の凸部の側方には、断面が多角形状の貫通孔が一つまたは複数形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の前記貫通孔が連通して連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材が該連通孔に挿通されているものである。
【0012】
本発明が対象とするセグメントは、少なくともコンクリートからなるもの、すなわち、鉄筋コンクリート製のセグメントや、鋼殻とコンクリートの複合構造のセグメントなど、少なくともコンクリートをその構成材料としたものである。なお、このセグメントが耐火性能を有する耐火セグメントであってもよく、この場合には、一般のコンクリートにオレフィン繊維、ポリプロピレン繊維などの有機繊維が混入されているセグメントや、アルミナセメント等の高耐熱性のセメントと塊状スラグなどの高断熱性骨材からなるコンクリートでできたセグメントを使用できる。さらに、セグメントの剛性を高め、火災時の表面剥離を防止するために、鋼繊維や炭素繊維などが混入されていてもよい。
【0013】
本発明のセグメントの接続構造を具備するトンネル(シールドトンネル)は、その断面が円形または略楕円形のトンネルのほか、断面が正方形や横長もしくは縦長の矩形など、多様な断面形状を有するものである。たとえば、トンネル断面が円形もしくは楕円形のトンネルの場合には、所定の曲率を有し、広幅な面を平面的に見た際に周方向に長い矩形状を呈した形状のセグメントを使用できる。また、矩形断面のトンネルの場合には、その角部では断面コの字状のセグメントが使用され、他の一般部位では断面矩形のセグメントが使用される。
【0014】
本発明のセグメントの接続構造は、特に、複数のセグメントが周方向に組み付けられた際のセグメント継ぎ手における接続構造に関するものである。使用されるセグメントは、その接続される端部が凸部と凹部からなる一段状に形成されており、さらに、この凸部の側方には、断面が多角形状の貫通孔が形成されている。接続されるべき一方のセグメント端部の凸部が他方のセグメント端部の凹部に嵌め合いされるようになっており、この嵌め合い姿勢において、双方の貫通孔が連通して連通孔が形成されるようになっており、この連通孔または貫通孔と同形で同断面寸法の軸部材がこの連通孔に挿通されて接続構造が形成される。
【0015】
ここで、上記する軸部材は、鋼製、炭素繊維や鋼繊維等で補強された高強度コンクリート製など、所要の引張耐力やせん断耐力を備えた部材である。
【0016】
また、連通孔の断面形状が多角形とは、三角形、四角形(正方形、矩形)、五角形以上の角形などの形状であり、複数の隅角を備えた任意の形状を選定できる。この多角形断面の連通孔に断面が同形で同寸法の軸部材が挿通されることにより、この連通孔と軸部材の組合せは一つであっても複数であってもよいが、組合せが一つの場合であっても、軸部材および連通孔の形状が角部を有する多角形状であることから、セグメント同士の回転を効果的に抑止することができる。
【0017】
既述するように、常時に負の曲げモーメントを生じているセグメント継ぎ手部において、トンネル内火災の際には、この継ぎ手部のトンネル内空側の側面が外側に反り返ろうとして圧縮力が作用する。しかし、この継ぎ手部の回転が上記する接続構造によって抑止されていることで反り返りによる変形が防止され、結果として、セグメント同士の押圧作用も可及的に少なくなり、セグメント端部における剥離や圧壊等の防止に繋がる。さらに、この接続構造は極めて簡素な構造であることから、セグメントの製造コストを大きく高騰させるものとはならない。
【0018】
また、本発明による耐火セグメントの他の実施の形態として、双方の凸部の側方には、断面が円形の貫通孔が少なくとも2以上形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の対応する前記貫通孔同士が連通して2以上の連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材が該2以上の連通孔にそれぞれ挿通されているものであってもよい。
【0019】
連通孔の断面が円形の場合に、これが一つのみでは、セグメント継ぎ手部にてセグメント同士の回転を抑止することができない。そこで、連通孔の断面が円形の場合には、2以上の連通孔を間隔を置いて併設し、それぞれの連通孔に断面が同形で同寸法の軸部材を挿通するものである。なお、ここでいう断面が円形とは、円形以外にも楕円形等の略円形を含む意味である。
【0020】
さらに、本発明によるセグメントの接続構造の他の実施の形態は、複数のセグメントが前記周方向に前記接続構造を備えた姿勢で接続されることで無端状のセグメントユニットが形成され、前記軸方向には、接続される2つの前記セグメントユニットが前記接続構造を相互にずらした姿勢で接続されるものであり、一方のセグメントユニットの接続構造を形成する前記軸部材の先端が、他方のセグメントユニットを形成するセグメントの端面に形成された凹溝に嵌め合いされているものである。
【0021】
本実施の形態は、セグメント継ぎ手に関するセグメントの接続構造に加えて、リング継ぎ手に関するセグメントの接続構造をも規定したものである。たとえば断面円形のトンネルの場合には、周方向に複数のセグメントが無端リング状に組み付けられてリング状のセグメントユニットが形成され、このセグメントユニットがトンネルの軸方向に接続されることで所定延長のトンネルが形成される。ここで、セグメントユニット同士の軸方向への接続は、各セグメントユニットを形成するセグメント継ぎ手の接続構造を交互にずらした姿勢でおこなわれる。ここで、セグメント継ぎ手における接続構造を形成する軸部材の両先端は、対応する連通孔を突出し、セグメントユニットの端面から突出している。一方、相隣るセグメントユニットにおいてはこの軸部材の先端が嵌め合いされる凹溝が各軸部材に対応する位置に形成されており、一方のセグメントユニットの端面から突出する複数の軸部材が他方のセグメントユニットの端面に形成された対応する凹溝に嵌め合いされることにより、リング継ぎ手における接続構造が形成されるものである。
【0022】
本実施の形態によれば、セグメント継ぎ手における接続構造を形成する軸部材を利用してリング継ぎ手における接続構造をも構築することができ、簡易な構造で、効率的に、周方向および軸方向にセグメント同士の回転が拘束されたトンネルを構築することが可能となる。
【0023】
上記するセグメントの接続構造を備えたトンネルを構築することにより、特にセグメント継ぎ手部において回転が抑止され、したがって剛性の高いセグメントリングからなるトンネルを構築することができる。回転が確実に抑止されていることから、設計段階においては、曲げ剛性の有効率や曲げモーメントの増幅率、あるいは回転ばね等を詳細に調整することなくセグメントリングの設計を実行することも可能となる。さらに、この接続構造は簡易な構成であることから、工費を高騰させることもない。
【発明の効果】
【0024】
以上の説明から理解できるように、本発明のセグメントの接続構造によれば、極めてシンプルな構造にて少なくともセグメント継ぎ手におけるセグメントの回転を効果的に抑止することができ、セグメントリングの設計の簡素化を実現でき、廉価なコストで剛性の高いトンネルの施工を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のセグメントの接続構造を備えたトンネルを示した斜視図であり、図2は本発明のセグメントの接続構造を構成する2つのセグメントと軸部材の分解斜視図であり、図3は図2で示す2つのセグメントと軸部材で構成されたセグメントの接続構造の一実施の形態の斜視図である。図4,5はそれぞれセグメントの接続構造の他の実施の形態の斜視図である。なお、図示する実施の形態は、円形断面のトンネルとこれを構成するセグメントの接続構造を示しているが、楕円形断面や正方形断面、矩形断面のトンネルとこれらの構築に適応した形状のセグメントの接続構造であってもよいことは勿論のことである。
【0026】
図1は、所定幅を有し、所定曲率に形成された複数のセグメント10を周方向(図中のR方向)に組み付け、かつこれをトンネルの軸方向(図中のA方向)に組みつけて構築されたシールドトンネルTを示している。なお、トンネル内空側Iには、地下道や地下鉄路線、電気やガスなどの各種パイプライン用の構造体が構築される。
【0027】
図2は本発明のセグメントの接続構造を構成する2つのセグメントと軸部材の分解斜視図である。このセグメント10は、一般のコンクリートからなる鉄筋コンクリート製のセグメントを図示したものであるが、コンクリートと鋼郭の合成構造からなるセグメントであってもよい。なお、セグメント10は、オレフィン繊維、ポリプロピレン繊維などの有機繊維がコンクリート中に混入されてなる材料や、アルミナセメント等の高耐熱性のセメントと塊状スラグなどの高断熱性骨材からなるコンクリートを材料としてできた耐火セグメントであってもよい。セグメント10が周方向に組み付けられた際に隣接する他のセグメント10と接続する端部、すなわち、セグメント継ぎ手を形成する端部において、一つの凸部11と一つの凹部12が一段状に形成されている。
【0028】
図示のごとく、セグメント10の両端部に形成された凸部11の側面には該凸部11を貫通する貫通孔13が形成されており、この貫通孔13は、その断面形状が矩形となっている。
【0029】
図示のごとく、周方向に隣接する一方のセグメント10の凸部11を他方のセグメント10の凹部12に嵌め合いすることにより、双方の凸部11,11に形成された貫通孔13,13が連通して連通孔が形成される。
【0030】
この連通孔と同断面形状で同寸法の鋼製またはコンクリート製の軸部材20を連通孔に挿通することにより、図3で示すセグメントの接続構造30が形成される。
【0031】
この接続構造30がセグメントトンネルの周方向の各セグメント継ぎ手に形成されてセグメントリングが構成され、このセグメントリングがトンネル軸方向にリング継ぎ手を介して接続されることにより、図1で示すトンネルTが構築されるものである。
【0032】
なお、図示する貫通孔13(およびこれから形成される連通孔)と軸部材20の各断面形状は矩形であるが、この形状以外にも、三角形断面、正方形断面、5角形以上の断面など、少なくとも複数の隅角を備えた任意の多角形状を選定することができる。
【0033】
貫通孔13および連通孔とこれに嵌め合いされる軸部材20の各断面が複数の隅角を備えた多角形状であることにより、図示のごとくこれらの組合せが一つの場合であっても、セグメント10,10同士の回転が効果的に抑制され、高剛性のセグメントリングを形成することができる。なお、多角形状の貫通孔(連通孔)およびこれに嵌め合いされる軸部材の組合せが2以上であってもよいことは勿論のことである。
【0034】
図4は、セグメントの接続構造の他の実施の形態を示したものである。この接続構造30Aでは、これを構成する各セグメント10Aの凸部11の側方に、断面円形の2つの貫通孔13A,13Aが併設した姿勢で設けられており、双方のセグメント10A,10Aの凸部11,11の対応する貫通孔13A,13Aが連通して2つの連通孔を形成し、各連通孔に断面円形の軸部材20A,20Aが挿通されている。
【0035】
貫通孔13A(または連通孔)とこれに嵌め合いされる軸部材の各断面が円形の場合には、これらの組合せを少なくとも2つ設けることにより、セグメントの回転を抑制することができる。よって、図示例以外にも、3以上の連通孔および軸部材の組合せでセグメントが接続されてもよい。
【0036】
図5は、セグメント継ぎ手に接続構造30Aを有する無端リング状のセグメントユニットがトンネルの軸方向で接続される際に形成されるリング継ぎ手における接続構造を示したものである。ただし、ここで示すセグメントは図4で示すセグメント10Aと若干相違するものであり、セグメント10Aのリング継ぎ手となる端面に複数の凹溝14が形成されており、さらに、接続構造30Aを構成する軸部材20Aの両先端が両端面から突出したものとなっている。
【0037】
一方のセグメントユニットの接続構造30Aと相隣るセグメントユニットの接続構造30Aがオフセットされた姿勢で、リング継ぎ手が形成される。ここで、一方のセグメントユニットに形成された軸部材20Aに対応する他方のセグメントユニットの端面位置に凹溝14が形成されており、各凹溝14にそれぞれ、対応する軸部材20Aが嵌め合いされることでリング継ぎ手における接続構造40が形成される。
【0038】
図5で示す実施の形態によれば、セグメント継ぎ手における接続構造とリング継ぎ手における接続構造を同時に、しかも簡易な構造にて形成することが可能となる。しかも、両継ぎ手におけるセグメント同士の回転が効果的に抑止できる。
【0039】
上記する本発明のセグメント継ぎ手における接続構造は、セグメント端部を一つの段状に形成し、形成される連通孔に軸部材を挿通して形成されるだけの極めてシンプルな構造である。同様に、リング継ぎ手における接続構造は、セグメント端面に形成された凹溝に、セグメント継ぎ手の接続構造を構成する軸部材が嵌め合いされるシンプルな構造である。さらに、セグメント製作用の型枠を対応する形状に製作しておくだけで、一つの形状のセグメントを多数用意することによってシールドトンネルを構築することができるものである。よって、工費を高騰させることなく、セグメント継ぎ手およびリング継ぎ手におけるそれぞれの回転が抑制された高剛性のシールドトンネルを構築することができる。
【0040】
[セグメント継ぎ手部の載荷加熱実験の概要と実験結果]
本発明者等は、図6の側面図と図7の平面図で示す実験加熱炉100を製作し、これに2つのセグメントの試験体M1,M2を繋いだ姿勢で設置し、この試験体M1,M2の一方側から加熱することにより、試験体M1,M2の各部位の水平変位を計測した。
【0041】
ここで、ジャッキ反力架台101に1000kN性能のジャッキ102を取り付け、このジャッキにより、2つの試験体M1,M2のセグメント継ぎ手面Maを裏面から押圧するようにした。この試験体M1,M2はその側方で継ぎ手金物107にて接続して立設し、上方からは炉蓋104から突出した試験体M1の上方を20MN性能の載荷装置103にて下方へ押圧するものとした。この載荷装置103による押圧は、セグメントに作用している土圧によって生じる軸圧縮力を再現するものであり、ジャッキ102による裏面からの押圧は、セグメントに作用する土圧を再現するものである。ここで、試験体M1,M2は、その長さが2mであり、厚みが40cmとして製作されている。
【0042】
試験体M1,M2の正面側には加熱装置106が設けられており、これによってトンネル内火災を再現するものである。なお、試験体M2の正面下方には耐火断熱材M6を設けてある。このセグメント継ぎ手部の正面側には、複数の熱電対105を設けておき、セグメント継ぎ手部が所定の温度雰囲気であることを確認しながら実験をおこなった。
【0043】
実験の手順は、まず、試験体M1,M2の中心線から加熱装置106側に80mm偏心させた位置で載荷装置103にて4800kNまで荷重を漸増しながらホールドし、次いで、ジャッキ102にて試験体M1,M2の裏面から水平方向に100kNまで載荷した。この状態で、試験体M1,M2に作用する断面平均圧縮力は10N/mm2、曲げモーメントはおよそ−290kN・mであり、試験体M1,M2の加熱装置側の圧縮応力はおよそ19N/mm2と試算される。
【0044】
図8のRABT曲線(60分)に準拠してこの試験体M1,M2を加熱した。試験体M1,M2の加熱範囲は幅が1.2mで高さが継ぎ手面Maの上下1mmの計2mの範囲である。また、加熱中は載荷装置103によって4800kNの圧縮力を作用させ、継ぎ手部の変位が増減しないようにジャッキ102からの水平荷重を適宜調整した。
【0045】
さらに、試験体M1,M2が加熱後170分まで破壊しなかった場合には、ジャッキ102の水平荷重を除荷し、次いで、載荷装置103の荷重を耐火セグメントM1,M2が破壊するまで増加させる手順にて残存耐力を把握することとした。
【0046】
図9は、載荷加熱実験結果のうち、載荷装置103による鉛直荷重の漸増載荷ステップにおける変位計測結果を示したグラフである。本実験のステップNo.1〜ステップNo.37においては4800kNまで除々に荷重を増加させた。図9では、このうち、ステップNo.10までの漸増載荷時の試験体の各部位の水平変位を示している。ここで、最大変位を示す高さ:2000mmのラインが試験体M1,M2の継ぎ手面Maのラインである。
【0047】
図10は、載荷加熱実験結果のうち、載荷装置103による荷重を一定値である4800kNに保った状態で、ジャッキ102による水平荷重の漸増載荷ステップにおける変位計測結果を示したグラフである。本実験のステップNo.38以降のステップでは、載荷装置103からの荷重を4800kNに保った状態でジャッキ102にて100kNまで水平荷重を除々に増加させ、特にステップNo.49〜ステップNo.59では試験体の馴染みを確認した。図10では、このうち、ステップNo.41〜50までの試験体の各部位における水平変位を示している。
【0048】
図11は、実験加熱炉内(6つの熱電対105の各部位)の温度と時間の関係を計測した結果をRABT曲線とともに示したものである。
【0049】
図12は、試験体に発生している曲げモーメントを時系列で示したものであり、図13は、試験体の各部位の温度を時系列で示したものである。
【0050】
さらに、図14は、時間:170分〜210分までの試験体各部位の水平変位を示している。
【0051】
加熱後の試験体に関し、載荷装置103の荷重を4800kNとした状態でジャッキ102による荷重を低減したことにより、試験体M1,M2は破壊に至った。破壊後の試験体M1、M2を観察すると、試験体の継ぎ手部の加熱側のコンクリートが圧壊していた。実験加熱炉100から取り出した試験体の側面には、加熱面に平行なひび割れが見られた。さらに、この継ぎ手部では、PC鋼棒を設置するための孔を連結するようにひび割れが生じていた。さらに、図13より、190分前後で帯筋と主筋の温度が再上昇しており、これは、加熱側のコンクリートが圧壊したことによってコンクリートにひび割れが生じ、このことで帯筋や主筋の被りが薄くなったり、一部が炉内に露出したことによるものである。なお、この試験体が破壊したと考えられる190分前後の曲げモーメントは、図12より−348kN・mと特定される。
【0052】
上記実験結果より、試験体に負の曲げモーメントが作用している状態でこれが加熱されると、加熱面側には裏面側(非加熱面側)よりも大きな圧縮応力が作用することで圧壊し、試験体が軸力を保持できなくなることで破壊に至ることが実証された。
【0053】
よって、常時の土圧作用時に負の曲げモーメントが作用している領域にセグメント継ぎ手がある場合において、この継ぎ手部の回転を抑止しておくことは、このセグメント継ぎ手におけるセグメントの圧壊を防止することに繋がり、シールドトンネルの耐火性能の向上を高めることに繋がる。既述する本発明のセグメントの接続構造を備えたトンネルを構築することにより、セグメント継ぎ手におけるセグメントの回転を抑止することができ、シールドトンネルの耐火性能の向上を実現することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のセグメントの接続構造を備えたトンネルを示した斜視図である。
【図2】本発明のセグメントの接続構造を構成する2つのセグメントと軸部材の分解斜視図である。
【図3】図2で示す2つのセグメントと軸部材で構成されたセグメントの接続構造の一実施の形態の斜視図である。
【図4】セグメントの接続構造の他の実施の形態の斜視図である。
【図5】セグメントの接続構造のさらに他の実施の形態の平面図である。
【図6】セグメント継ぎ手部の載荷加熱実験装置の側面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視図であって、セグメント継ぎ手部の載荷加熱実験装置の平面図である。
【図8】載荷加熱実験におけるRABT曲線である。
【図9】載荷加熱実験結果のうち、載荷装置による鉛直荷重の漸増載荷ステップにおける変位計測結果を示したグラフである。
【図10】載荷加熱実験結果のうち、載荷装置による荷重を一定値とした状態でジャッキによる水平荷重の漸増載荷ステップにおける変位計測結果を示したグラフである。
【図11】実験加熱炉内の温度と時間の関係を示したグラフである。
【図12】試験体に発生する曲げモーメントと時間の関係を示したグラフである。
【図13】試験体温度と時間の関係を示したグラフである。
【図14】170〜210分における試験体の各部位の水平変位を示したグラフである。
【図15】円形断面のトンネルに作用する土圧と発生する曲げモーメント分布を示した図である。
【図16】トンネル内火災の際の図11のXVI部を拡大した図である。
【符号の説明】
【0056】
10…セグメント、11…凸部、12…凹部、13,13A…貫通孔、14…凹溝、20,20A…軸部材、30,30A,40…接続構造、T…トンネル、R…周方向、A…軸方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント継ぎ手における接続構造と、このセグメントの接続構造を備えてできるトンネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤内にトンネルを施工するに際し、開削工法による地上占有の問題を解消し、対象地盤が軟弱な場合でも可及的に短工期で効率的な施工を可能とし、さらには、大断面や大深度のトンネル施工を可能とした施工技術として、シールド工法は一般に知られるところである。このシールド工法では、断面が円形、楕円形、正方形、矩形等、多様な断面形状のトンネルが施工されており、シールド掘進機内のエレメント装置にて複数のセグメントが周方向あるいはトンネル断面の輪郭方向に無端状に組み付けられ、これがトンネル軸方向に順次組み付けられることで所望の断面形状および延長のシールドトンネルが構築されている。また、このセグメントは、鉄筋コンクリート製のもの、鋼殻とコンクリートの複合構造からなるもの、鋼製のものなど、コストや設計条件等からその仕様は適宜選定されている。
【0003】
たとえば周方向のセグメント継ぎ手部(一般に、この周方向のセグメント同士の継ぎ手をセグメント継ぎ手と称し、軸方向のセグメント同士の継ぎ手をリング継ぎ手と称す)では、セグメント同士が相対的に回転し得るものであり、この回転作用によってセグメント間に目開き等の変形が生じる。このセグメント継ぎ手における回転作用により、継ぎ手部における剛性はセグメント自体の剛性よりも低くならざるを得ない。
【0004】
尤も、シールドトンネルにおけるセグメントリング断面の設計(解析)においては、(1)セグメントリングを曲げ剛性一様なリングと仮定して設計する方法、(2)セグメントリングを多ヒンジ系リングと仮定して設計する方法、(3)曲げモーメントに対する回転ばねを備えたセグメントリングとして設計する方法、(4)回転ばねを具備するとともに千鳥配置による添接効果をせん断ばねで評価する方法、などが存在しており、各種条件に応じていずれかの設計手法が採用され、セグメントリングの設計が実行されている。ここで、上記する(1)の方法では、曲げ剛性の有効率:η(η≦1)や曲げモーメントの増幅率:ζ(0≦ζ≦1)を設計に導入するものであるが、地盤条件やセグメントの継ぎ手構造などの各種条件に基づいてこのηやζを正確に評価するのが難しく、結果として安全サイドの設計とならざるを得ないという課題がある。また、上記する(2)の方法では、この方法がトンネル周辺地山の広範な反力を期待するものであることから適用地盤の選定に細心の注意が必要となり、仮に地盤反力が十分に期待できない場合には、セグメントリングの自立を図るための補助手段を講じたり、セグメント継ぎ手部に多少の剛性を与える等の調整をおこないながらセグメントリングの形状保持を図るようにせざるを得ない。さらに、上記する(3)、(4)の方法では、セグメント継ぎ手部を評価する回転ばね定数をセグメントの種類や継ぎ手構造に応じて適宜設定する必要があるが、このばね定数の設定は知識と経験を要し、最適なばね定数を設定するまでに多くの時間を要するという課題がある。上記するように、実際にはセグメント継ぎ手に回転が生じるという事実や、施工コストの削減から安全サイドの設計を可能な限り回避するのが望ましいこと、などの点を勘案すれば、回転ばねの設定が容易でないという課題はあるものの、この(3)、(4)の設計方法を採用するのが好ましいと考えられる。
【0005】
現状のセグメントリングの設計では、上記のごとくセグメント継ぎ手部の回転を考慮しておこなうことになるが、回転ばねの設定が容易でないという課題とこれによる解析結果の信憑性を考え合わせれば、可及的に簡素で、かつ、可及的に回転が許容されないセグメント継ぎ手部の接続構造を提案できることが望ましい。なお、セグメント継ぎ手部の構造にかかる従来の技術として、特許文献1を挙げることができる。これは、コンクリートブロックの内外面を鋼板で被覆した合成構造のセグメントの継手に係り、双方のセグメントの外側の鋼板端部を相互に噛み合いできるように櫛歯状に形成し、噛み合い姿勢において形成される円形断面のボルト孔に円形断面の長ボルトを挿通して接続するものである。
【0006】
このセグメント継手においては、セグメントの内外面に鋼板を設けることが必須の構成となり、たとえば鉄筋コンクリートのみからなるセグメント等に適用できないなど、その適用範囲が極めて限定的であることが大きな課題である。
【0007】
一方、セグメント継ぎ手部の回転に関しては、たとえばトンネル内火災の際に、継ぎ手部の外側(地盤側)が開き、これに起因して継ぎ手部の内側(トンネル内空側)が相互に押圧し合う方向に双方のセグメントの回転が促される。図15に基づいて具体的に説明すると、実際のトンネルでは、土圧の作用により、たとえば周方向のリング断面に図示のような曲げモーメントが発生している。設計段階では、上載土圧P1と下方からの地盤反力P2、側方土圧P3をリング断面に載荷することで図中の点線ラインのような曲げモーメントが生じ、この曲げモーメントに抗し得る断面構造が設定されるものである。ここで、リングの外側に突出したモーメント領域を負曲げ領域(図中の−領域)、リング内のモーメント領域を正曲げ領域(図中の+領域)とすることができる。
【0008】
図示のごとく、この負曲げ領域にセグメント継ぎ手部が存在する場合は往々にしてあり得るが、仮に上記のごとくトンネル内火災が発生した場合には、この負曲げ領域にあるセグメント継ぎ手部が図16のごとく変形することが本発明者の実験によって特定されている。同図において、各セグメントS,Sの外側領域Q1(地盤側領域)では双方が外側に反ってしまい、セグメント継ぎ手部の内側領域Q2(トンネル内空側領域)では、逆にセグメントS,S同士が押圧(圧縮)し合うような回転が働く。この回転作用により、内側領域Q2のセグメントは場合によっては圧壊に至る危険性があり、これに外側領域Q1に生じた空隙も加わって、トンネルの止水性も損なわれることとなる。このことからも、セグメント継ぎ手部の回転が抑制された継ぎ手構造を備えたトンネルを構築することは重要であり、トンネル内火災の場合でもトンネルの損傷を回避することができ、トンネル内の安全性の確保に繋がるものである。
【0009】
【特許文献1】特開平9−4390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、セグメント継ぎ手部におけるセグメントの回転を効果的に抑止することのできるセグメントの接続構造と、これを備えたトンネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明によるセグメントの接続構造は、掘削孔内の周方向および軸方向に複数接続されることによってトンネルを構成し、少なくともコンクリートから形成される、セグメントの接続構造において、前記周方向に接続される2つのセグメントの端部は、ともに、凸部と凹部からなる一段状に形成されており、かつ、一方のセグメントの凸部が他方のセグメントの凹部に嵌め合いされるようになっており、双方の凸部の側方には、断面が多角形状の貫通孔が一つまたは複数形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の前記貫通孔が連通して連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材が該連通孔に挿通されているものである。
【0012】
本発明が対象とするセグメントは、少なくともコンクリートからなるもの、すなわち、鉄筋コンクリート製のセグメントや、鋼殻とコンクリートの複合構造のセグメントなど、少なくともコンクリートをその構成材料としたものである。なお、このセグメントが耐火性能を有する耐火セグメントであってもよく、この場合には、一般のコンクリートにオレフィン繊維、ポリプロピレン繊維などの有機繊維が混入されているセグメントや、アルミナセメント等の高耐熱性のセメントと塊状スラグなどの高断熱性骨材からなるコンクリートでできたセグメントを使用できる。さらに、セグメントの剛性を高め、火災時の表面剥離を防止するために、鋼繊維や炭素繊維などが混入されていてもよい。
【0013】
本発明のセグメントの接続構造を具備するトンネル(シールドトンネル)は、その断面が円形または略楕円形のトンネルのほか、断面が正方形や横長もしくは縦長の矩形など、多様な断面形状を有するものである。たとえば、トンネル断面が円形もしくは楕円形のトンネルの場合には、所定の曲率を有し、広幅な面を平面的に見た際に周方向に長い矩形状を呈した形状のセグメントを使用できる。また、矩形断面のトンネルの場合には、その角部では断面コの字状のセグメントが使用され、他の一般部位では断面矩形のセグメントが使用される。
【0014】
本発明のセグメントの接続構造は、特に、複数のセグメントが周方向に組み付けられた際のセグメント継ぎ手における接続構造に関するものである。使用されるセグメントは、その接続される端部が凸部と凹部からなる一段状に形成されており、さらに、この凸部の側方には、断面が多角形状の貫通孔が形成されている。接続されるべき一方のセグメント端部の凸部が他方のセグメント端部の凹部に嵌め合いされるようになっており、この嵌め合い姿勢において、双方の貫通孔が連通して連通孔が形成されるようになっており、この連通孔または貫通孔と同形で同断面寸法の軸部材がこの連通孔に挿通されて接続構造が形成される。
【0015】
ここで、上記する軸部材は、鋼製、炭素繊維や鋼繊維等で補強された高強度コンクリート製など、所要の引張耐力やせん断耐力を備えた部材である。
【0016】
また、連通孔の断面形状が多角形とは、三角形、四角形(正方形、矩形)、五角形以上の角形などの形状であり、複数の隅角を備えた任意の形状を選定できる。この多角形断面の連通孔に断面が同形で同寸法の軸部材が挿通されることにより、この連通孔と軸部材の組合せは一つであっても複数であってもよいが、組合せが一つの場合であっても、軸部材および連通孔の形状が角部を有する多角形状であることから、セグメント同士の回転を効果的に抑止することができる。
【0017】
既述するように、常時に負の曲げモーメントを生じているセグメント継ぎ手部において、トンネル内火災の際には、この継ぎ手部のトンネル内空側の側面が外側に反り返ろうとして圧縮力が作用する。しかし、この継ぎ手部の回転が上記する接続構造によって抑止されていることで反り返りによる変形が防止され、結果として、セグメント同士の押圧作用も可及的に少なくなり、セグメント端部における剥離や圧壊等の防止に繋がる。さらに、この接続構造は極めて簡素な構造であることから、セグメントの製造コストを大きく高騰させるものとはならない。
【0018】
また、本発明による耐火セグメントの他の実施の形態として、双方の凸部の側方には、断面が円形の貫通孔が少なくとも2以上形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の対応する前記貫通孔同士が連通して2以上の連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材が該2以上の連通孔にそれぞれ挿通されているものであってもよい。
【0019】
連通孔の断面が円形の場合に、これが一つのみでは、セグメント継ぎ手部にてセグメント同士の回転を抑止することができない。そこで、連通孔の断面が円形の場合には、2以上の連通孔を間隔を置いて併設し、それぞれの連通孔に断面が同形で同寸法の軸部材を挿通するものである。なお、ここでいう断面が円形とは、円形以外にも楕円形等の略円形を含む意味である。
【0020】
さらに、本発明によるセグメントの接続構造の他の実施の形態は、複数のセグメントが前記周方向に前記接続構造を備えた姿勢で接続されることで無端状のセグメントユニットが形成され、前記軸方向には、接続される2つの前記セグメントユニットが前記接続構造を相互にずらした姿勢で接続されるものであり、一方のセグメントユニットの接続構造を形成する前記軸部材の先端が、他方のセグメントユニットを形成するセグメントの端面に形成された凹溝に嵌め合いされているものである。
【0021】
本実施の形態は、セグメント継ぎ手に関するセグメントの接続構造に加えて、リング継ぎ手に関するセグメントの接続構造をも規定したものである。たとえば断面円形のトンネルの場合には、周方向に複数のセグメントが無端リング状に組み付けられてリング状のセグメントユニットが形成され、このセグメントユニットがトンネルの軸方向に接続されることで所定延長のトンネルが形成される。ここで、セグメントユニット同士の軸方向への接続は、各セグメントユニットを形成するセグメント継ぎ手の接続構造を交互にずらした姿勢でおこなわれる。ここで、セグメント継ぎ手における接続構造を形成する軸部材の両先端は、対応する連通孔を突出し、セグメントユニットの端面から突出している。一方、相隣るセグメントユニットにおいてはこの軸部材の先端が嵌め合いされる凹溝が各軸部材に対応する位置に形成されており、一方のセグメントユニットの端面から突出する複数の軸部材が他方のセグメントユニットの端面に形成された対応する凹溝に嵌め合いされることにより、リング継ぎ手における接続構造が形成されるものである。
【0022】
本実施の形態によれば、セグメント継ぎ手における接続構造を形成する軸部材を利用してリング継ぎ手における接続構造をも構築することができ、簡易な構造で、効率的に、周方向および軸方向にセグメント同士の回転が拘束されたトンネルを構築することが可能となる。
【0023】
上記するセグメントの接続構造を備えたトンネルを構築することにより、特にセグメント継ぎ手部において回転が抑止され、したがって剛性の高いセグメントリングからなるトンネルを構築することができる。回転が確実に抑止されていることから、設計段階においては、曲げ剛性の有効率や曲げモーメントの増幅率、あるいは回転ばね等を詳細に調整することなくセグメントリングの設計を実行することも可能となる。さらに、この接続構造は簡易な構成であることから、工費を高騰させることもない。
【発明の効果】
【0024】
以上の説明から理解できるように、本発明のセグメントの接続構造によれば、極めてシンプルな構造にて少なくともセグメント継ぎ手におけるセグメントの回転を効果的に抑止することができ、セグメントリングの設計の簡素化を実現でき、廉価なコストで剛性の高いトンネルの施工を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のセグメントの接続構造を備えたトンネルを示した斜視図であり、図2は本発明のセグメントの接続構造を構成する2つのセグメントと軸部材の分解斜視図であり、図3は図2で示す2つのセグメントと軸部材で構成されたセグメントの接続構造の一実施の形態の斜視図である。図4,5はそれぞれセグメントの接続構造の他の実施の形態の斜視図である。なお、図示する実施の形態は、円形断面のトンネルとこれを構成するセグメントの接続構造を示しているが、楕円形断面や正方形断面、矩形断面のトンネルとこれらの構築に適応した形状のセグメントの接続構造であってもよいことは勿論のことである。
【0026】
図1は、所定幅を有し、所定曲率に形成された複数のセグメント10を周方向(図中のR方向)に組み付け、かつこれをトンネルの軸方向(図中のA方向)に組みつけて構築されたシールドトンネルTを示している。なお、トンネル内空側Iには、地下道や地下鉄路線、電気やガスなどの各種パイプライン用の構造体が構築される。
【0027】
図2は本発明のセグメントの接続構造を構成する2つのセグメントと軸部材の分解斜視図である。このセグメント10は、一般のコンクリートからなる鉄筋コンクリート製のセグメントを図示したものであるが、コンクリートと鋼郭の合成構造からなるセグメントであってもよい。なお、セグメント10は、オレフィン繊維、ポリプロピレン繊維などの有機繊維がコンクリート中に混入されてなる材料や、アルミナセメント等の高耐熱性のセメントと塊状スラグなどの高断熱性骨材からなるコンクリートを材料としてできた耐火セグメントであってもよい。セグメント10が周方向に組み付けられた際に隣接する他のセグメント10と接続する端部、すなわち、セグメント継ぎ手を形成する端部において、一つの凸部11と一つの凹部12が一段状に形成されている。
【0028】
図示のごとく、セグメント10の両端部に形成された凸部11の側面には該凸部11を貫通する貫通孔13が形成されており、この貫通孔13は、その断面形状が矩形となっている。
【0029】
図示のごとく、周方向に隣接する一方のセグメント10の凸部11を他方のセグメント10の凹部12に嵌め合いすることにより、双方の凸部11,11に形成された貫通孔13,13が連通して連通孔が形成される。
【0030】
この連通孔と同断面形状で同寸法の鋼製またはコンクリート製の軸部材20を連通孔に挿通することにより、図3で示すセグメントの接続構造30が形成される。
【0031】
この接続構造30がセグメントトンネルの周方向の各セグメント継ぎ手に形成されてセグメントリングが構成され、このセグメントリングがトンネル軸方向にリング継ぎ手を介して接続されることにより、図1で示すトンネルTが構築されるものである。
【0032】
なお、図示する貫通孔13(およびこれから形成される連通孔)と軸部材20の各断面形状は矩形であるが、この形状以外にも、三角形断面、正方形断面、5角形以上の断面など、少なくとも複数の隅角を備えた任意の多角形状を選定することができる。
【0033】
貫通孔13および連通孔とこれに嵌め合いされる軸部材20の各断面が複数の隅角を備えた多角形状であることにより、図示のごとくこれらの組合せが一つの場合であっても、セグメント10,10同士の回転が効果的に抑制され、高剛性のセグメントリングを形成することができる。なお、多角形状の貫通孔(連通孔)およびこれに嵌め合いされる軸部材の組合せが2以上であってもよいことは勿論のことである。
【0034】
図4は、セグメントの接続構造の他の実施の形態を示したものである。この接続構造30Aでは、これを構成する各セグメント10Aの凸部11の側方に、断面円形の2つの貫通孔13A,13Aが併設した姿勢で設けられており、双方のセグメント10A,10Aの凸部11,11の対応する貫通孔13A,13Aが連通して2つの連通孔を形成し、各連通孔に断面円形の軸部材20A,20Aが挿通されている。
【0035】
貫通孔13A(または連通孔)とこれに嵌め合いされる軸部材の各断面が円形の場合には、これらの組合せを少なくとも2つ設けることにより、セグメントの回転を抑制することができる。よって、図示例以外にも、3以上の連通孔および軸部材の組合せでセグメントが接続されてもよい。
【0036】
図5は、セグメント継ぎ手に接続構造30Aを有する無端リング状のセグメントユニットがトンネルの軸方向で接続される際に形成されるリング継ぎ手における接続構造を示したものである。ただし、ここで示すセグメントは図4で示すセグメント10Aと若干相違するものであり、セグメント10Aのリング継ぎ手となる端面に複数の凹溝14が形成されており、さらに、接続構造30Aを構成する軸部材20Aの両先端が両端面から突出したものとなっている。
【0037】
一方のセグメントユニットの接続構造30Aと相隣るセグメントユニットの接続構造30Aがオフセットされた姿勢で、リング継ぎ手が形成される。ここで、一方のセグメントユニットに形成された軸部材20Aに対応する他方のセグメントユニットの端面位置に凹溝14が形成されており、各凹溝14にそれぞれ、対応する軸部材20Aが嵌め合いされることでリング継ぎ手における接続構造40が形成される。
【0038】
図5で示す実施の形態によれば、セグメント継ぎ手における接続構造とリング継ぎ手における接続構造を同時に、しかも簡易な構造にて形成することが可能となる。しかも、両継ぎ手におけるセグメント同士の回転が効果的に抑止できる。
【0039】
上記する本発明のセグメント継ぎ手における接続構造は、セグメント端部を一つの段状に形成し、形成される連通孔に軸部材を挿通して形成されるだけの極めてシンプルな構造である。同様に、リング継ぎ手における接続構造は、セグメント端面に形成された凹溝に、セグメント継ぎ手の接続構造を構成する軸部材が嵌め合いされるシンプルな構造である。さらに、セグメント製作用の型枠を対応する形状に製作しておくだけで、一つの形状のセグメントを多数用意することによってシールドトンネルを構築することができるものである。よって、工費を高騰させることなく、セグメント継ぎ手およびリング継ぎ手におけるそれぞれの回転が抑制された高剛性のシールドトンネルを構築することができる。
【0040】
[セグメント継ぎ手部の載荷加熱実験の概要と実験結果]
本発明者等は、図6の側面図と図7の平面図で示す実験加熱炉100を製作し、これに2つのセグメントの試験体M1,M2を繋いだ姿勢で設置し、この試験体M1,M2の一方側から加熱することにより、試験体M1,M2の各部位の水平変位を計測した。
【0041】
ここで、ジャッキ反力架台101に1000kN性能のジャッキ102を取り付け、このジャッキにより、2つの試験体M1,M2のセグメント継ぎ手面Maを裏面から押圧するようにした。この試験体M1,M2はその側方で継ぎ手金物107にて接続して立設し、上方からは炉蓋104から突出した試験体M1の上方を20MN性能の載荷装置103にて下方へ押圧するものとした。この載荷装置103による押圧は、セグメントに作用している土圧によって生じる軸圧縮力を再現するものであり、ジャッキ102による裏面からの押圧は、セグメントに作用する土圧を再現するものである。ここで、試験体M1,M2は、その長さが2mであり、厚みが40cmとして製作されている。
【0042】
試験体M1,M2の正面側には加熱装置106が設けられており、これによってトンネル内火災を再現するものである。なお、試験体M2の正面下方には耐火断熱材M6を設けてある。このセグメント継ぎ手部の正面側には、複数の熱電対105を設けておき、セグメント継ぎ手部が所定の温度雰囲気であることを確認しながら実験をおこなった。
【0043】
実験の手順は、まず、試験体M1,M2の中心線から加熱装置106側に80mm偏心させた位置で載荷装置103にて4800kNまで荷重を漸増しながらホールドし、次いで、ジャッキ102にて試験体M1,M2の裏面から水平方向に100kNまで載荷した。この状態で、試験体M1,M2に作用する断面平均圧縮力は10N/mm2、曲げモーメントはおよそ−290kN・mであり、試験体M1,M2の加熱装置側の圧縮応力はおよそ19N/mm2と試算される。
【0044】
図8のRABT曲線(60分)に準拠してこの試験体M1,M2を加熱した。試験体M1,M2の加熱範囲は幅が1.2mで高さが継ぎ手面Maの上下1mmの計2mの範囲である。また、加熱中は載荷装置103によって4800kNの圧縮力を作用させ、継ぎ手部の変位が増減しないようにジャッキ102からの水平荷重を適宜調整した。
【0045】
さらに、試験体M1,M2が加熱後170分まで破壊しなかった場合には、ジャッキ102の水平荷重を除荷し、次いで、載荷装置103の荷重を耐火セグメントM1,M2が破壊するまで増加させる手順にて残存耐力を把握することとした。
【0046】
図9は、載荷加熱実験結果のうち、載荷装置103による鉛直荷重の漸増載荷ステップにおける変位計測結果を示したグラフである。本実験のステップNo.1〜ステップNo.37においては4800kNまで除々に荷重を増加させた。図9では、このうち、ステップNo.10までの漸増載荷時の試験体の各部位の水平変位を示している。ここで、最大変位を示す高さ:2000mmのラインが試験体M1,M2の継ぎ手面Maのラインである。
【0047】
図10は、載荷加熱実験結果のうち、載荷装置103による荷重を一定値である4800kNに保った状態で、ジャッキ102による水平荷重の漸増載荷ステップにおける変位計測結果を示したグラフである。本実験のステップNo.38以降のステップでは、載荷装置103からの荷重を4800kNに保った状態でジャッキ102にて100kNまで水平荷重を除々に増加させ、特にステップNo.49〜ステップNo.59では試験体の馴染みを確認した。図10では、このうち、ステップNo.41〜50までの試験体の各部位における水平変位を示している。
【0048】
図11は、実験加熱炉内(6つの熱電対105の各部位)の温度と時間の関係を計測した結果をRABT曲線とともに示したものである。
【0049】
図12は、試験体に発生している曲げモーメントを時系列で示したものであり、図13は、試験体の各部位の温度を時系列で示したものである。
【0050】
さらに、図14は、時間:170分〜210分までの試験体各部位の水平変位を示している。
【0051】
加熱後の試験体に関し、載荷装置103の荷重を4800kNとした状態でジャッキ102による荷重を低減したことにより、試験体M1,M2は破壊に至った。破壊後の試験体M1、M2を観察すると、試験体の継ぎ手部の加熱側のコンクリートが圧壊していた。実験加熱炉100から取り出した試験体の側面には、加熱面に平行なひび割れが見られた。さらに、この継ぎ手部では、PC鋼棒を設置するための孔を連結するようにひび割れが生じていた。さらに、図13より、190分前後で帯筋と主筋の温度が再上昇しており、これは、加熱側のコンクリートが圧壊したことによってコンクリートにひび割れが生じ、このことで帯筋や主筋の被りが薄くなったり、一部が炉内に露出したことによるものである。なお、この試験体が破壊したと考えられる190分前後の曲げモーメントは、図12より−348kN・mと特定される。
【0052】
上記実験結果より、試験体に負の曲げモーメントが作用している状態でこれが加熱されると、加熱面側には裏面側(非加熱面側)よりも大きな圧縮応力が作用することで圧壊し、試験体が軸力を保持できなくなることで破壊に至ることが実証された。
【0053】
よって、常時の土圧作用時に負の曲げモーメントが作用している領域にセグメント継ぎ手がある場合において、この継ぎ手部の回転を抑止しておくことは、このセグメント継ぎ手におけるセグメントの圧壊を防止することに繋がり、シールドトンネルの耐火性能の向上を高めることに繋がる。既述する本発明のセグメントの接続構造を備えたトンネルを構築することにより、セグメント継ぎ手におけるセグメントの回転を抑止することができ、シールドトンネルの耐火性能の向上を実現することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のセグメントの接続構造を備えたトンネルを示した斜視図である。
【図2】本発明のセグメントの接続構造を構成する2つのセグメントと軸部材の分解斜視図である。
【図3】図2で示す2つのセグメントと軸部材で構成されたセグメントの接続構造の一実施の形態の斜視図である。
【図4】セグメントの接続構造の他の実施の形態の斜視図である。
【図5】セグメントの接続構造のさらに他の実施の形態の平面図である。
【図6】セグメント継ぎ手部の載荷加熱実験装置の側面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視図であって、セグメント継ぎ手部の載荷加熱実験装置の平面図である。
【図8】載荷加熱実験におけるRABT曲線である。
【図9】載荷加熱実験結果のうち、載荷装置による鉛直荷重の漸増載荷ステップにおける変位計測結果を示したグラフである。
【図10】載荷加熱実験結果のうち、載荷装置による荷重を一定値とした状態でジャッキによる水平荷重の漸増載荷ステップにおける変位計測結果を示したグラフである。
【図11】実験加熱炉内の温度と時間の関係を示したグラフである。
【図12】試験体に発生する曲げモーメントと時間の関係を示したグラフである。
【図13】試験体温度と時間の関係を示したグラフである。
【図14】170〜210分における試験体の各部位の水平変位を示したグラフである。
【図15】円形断面のトンネルに作用する土圧と発生する曲げモーメント分布を示した図である。
【図16】トンネル内火災の際の図11のXVI部を拡大した図である。
【符号の説明】
【0056】
10…セグメント、11…凸部、12…凹部、13,13A…貫通孔、14…凹溝、20,20A…軸部材、30,30A,40…接続構造、T…トンネル、R…周方向、A…軸方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削孔内の周方向および軸方向に複数接続されることによってトンネルを構成し、少なくともコンクリートから形成される、セグメントの接続構造において、
前記周方向に接続される2つのセグメントの端部は、ともに、凸部と凹部からなる一段状に形成されており、かつ、一方のセグメントの凸部が他方のセグメントの凹部に嵌め合いされるようになっており、
双方の凸部の側方には、断面が多角形状の貫通孔が一つまたは複数形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の前記貫通孔が連通して連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材が該連通孔に挿通されている、セグメントの接続構造。
【請求項2】
掘削孔内の周方向および軸方向に複数接続されることによってトンネルを構成し、少なくともコンクリートから形成される、セグメントの接続構造において、
前記周方向に接続される2つのセグメントの端部は、ともに、凸部と凹部からなる一段状に形成されており、かつ、一方のセグメントの凸部が他方のセグメントの凹部に嵌め合いされるようになっており、
双方の凸部の側方には、断面が円形の貫通孔が少なくとも2以上形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の対応する前記貫通孔同士が連通して2以上の連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材が該2以上の連通孔にそれぞれ挿通されている、セグメントの接続構造。
【請求項3】
複数のセグメントが前記周方向に請求項1または2に記載の接続構造を備えた姿勢で接続されることで無端状のセグメントユニットが形成され、
前記軸方向には、接続される2つの前記セグメントユニットが前記接続構造を相互にずらした姿勢で接続されるものであり、
一方のセグメントユニットの接続構造を形成する前記軸部材の先端が、他方のセグメントユニットを形成するセグメントの端面に形成された凹溝に嵌め合いされている、セグメントの接続構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のセグメントの接続構造を備えてなる、トンネル。
【請求項1】
掘削孔内の周方向および軸方向に複数接続されることによってトンネルを構成し、少なくともコンクリートから形成される、セグメントの接続構造において、
前記周方向に接続される2つのセグメントの端部は、ともに、凸部と凹部からなる一段状に形成されており、かつ、一方のセグメントの凸部が他方のセグメントの凹部に嵌め合いされるようになっており、
双方の凸部の側方には、断面が多角形状の貫通孔が一つまたは複数形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の前記貫通孔が連通して連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材が該連通孔に挿通されている、セグメントの接続構造。
【請求項2】
掘削孔内の周方向および軸方向に複数接続されることによってトンネルを構成し、少なくともコンクリートから形成される、セグメントの接続構造において、
前記周方向に接続される2つのセグメントの端部は、ともに、凸部と凹部からなる一段状に形成されており、かつ、一方のセグメントの凸部が他方のセグメントの凹部に嵌め合いされるようになっており、
双方の凸部の側方には、断面が円形の貫通孔が少なくとも2以上形成されており、双方のセグメントの端部が嵌め合いされた姿勢において双方の対応する前記貫通孔同士が連通して2以上の連通孔をなし、該連通孔と同形で同断面寸法の軸部材が該2以上の連通孔にそれぞれ挿通されている、セグメントの接続構造。
【請求項3】
複数のセグメントが前記周方向に請求項1または2に記載の接続構造を備えた姿勢で接続されることで無端状のセグメントユニットが形成され、
前記軸方向には、接続される2つの前記セグメントユニットが前記接続構造を相互にずらした姿勢で接続されるものであり、
一方のセグメントユニットの接続構造を形成する前記軸部材の先端が、他方のセグメントユニットを形成するセグメントの端面に形成された凹溝に嵌め合いされている、セグメントの接続構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のセグメントの接続構造を備えてなる、トンネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−121058(P2009−121058A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293473(P2007−293473)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
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