セグメントの目地構造と該構造を備えたシールドセグメントトンネルの構築方法
【課題】施工環境に左右されず、良好な施工性で、廃棄物を低減しながら、止水性の高い構造物を短工期で構築できるセグメントの目地構造を得る。
【解決手段】平面視矩形状の湾曲した複数のセグメント21を円周方向及び軸線方向に相互に連結して構造物を構築し、構造物の内周面23aに表出するセグメント同士の目地に目地材35を介在させる目地構造であって、セグメント21の隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成され、セグメント21の他の隣接する2辺の端面に、目地材嵌入溝29に嵌入する目地材35が一部分を端面から突出して付設され、目地材35には、構造物の内周面23aと同一面となる目地面形成凸部37が設けられるとともに、突出側には目地面形成凸部37より低い段差部39が形成され、目地材嵌入溝29の構造物内周面側23aの溝開口縁には、段差部39に嵌る内周面延出凸部41が形成される。
【解決手段】平面視矩形状の湾曲した複数のセグメント21を円周方向及び軸線方向に相互に連結して構造物を構築し、構造物の内周面23aに表出するセグメント同士の目地に目地材35を介在させる目地構造であって、セグメント21の隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成され、セグメント21の他の隣接する2辺の端面に、目地材嵌入溝29に嵌入する目地材35が一部分を端面から突出して付設され、目地材35には、構造物の内周面23aと同一面となる目地面形成凸部37が設けられるとともに、突出側には目地面形成凸部37より低い段差部39が形成され、目地材嵌入溝29の構造物内周面側23aの溝開口縁には、段差部39に嵌る内周面延出凸部41が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面視略矩形状の湾曲した複数のセグメントを円周方向及び軸線方向に相互に連結して円筒形の構造物を構築するに際し、セグメント同士の接合面には水膨張性シール材が使用され、さらに、構造物の内周面に表出するセグメント同士の目地に目地材を介在させて防水シールするセグメントの目地構造に関し、特に、シールドトンネルからなる各種地中埋設管路の目地に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
雨水用シールドトンネルや、ケーブル用シールドトンネル等の各種地中埋設管路は通常、コンクリートからなる複数個の湾曲板状あるいはボックス状セグメントのそれぞれの端面を互いに接合して組み立てられる。この種の地中埋設管路は端面の接合個所から内部への漏水が懸念される。この漏水を防止する方法として、例えば特許文献1に開示される漏水防止方法は、図14(a)に示すように、コンクリート構造物1,1における目地部3の両壁面1a,1aの上部に対向した第1段差面1b,1bを加工又は形成し、目地部内に圧縮挿入したときに目地部3の両壁面1a,1aと漏水防止用シール材5の断面略山形状の突条7とで形成した隙間9内に接着剤を充填施工することで、コンクリート構造物1,1における目地部3の漏水防止工事を短工期でかつ工費の低減を図り、再漏水のない高品質な施工を図っている。
【0003】
また、特許文献2に開示されるコンクリートセグメントのシール方法は、コンクリートセグメント接合部に沿って設けられた切欠部に、図14(b)に示す弾性材料よりなるシール材11を挿入し、この接合部をシールする方法において、切欠部に対して長さ方向に沿い、かつ内部で拡がった断面形状の切欠溝13を有する弾性シール材11を、この溝13が表出するように挿入し、その後、この切欠溝13に対してこれを拡張する部材を圧入することで、シール材11を挿入固定する作業を簡単にし、かつシール圧を増大させてシール材の脱落を防止している。
【0004】
さらに、特許文献3に開示される目地溝の埋設方法は、複数個のセグメントのそれぞれの端面を互いに接合して組み立てられる地中埋設管路において、管路内面のセグメント継目の目地溝に、導水溝を有するバックアップ材を、この導水溝の開口部が目地溝を覆うように嵌め込んで目地溝と導水溝との間に導水部を形成し、次いで、バックアップ材上にコーキング材を充填して目地溝を埋設する。これにより、目地溝への浸入水を防止するのみならず、浸入水のコンクリート内への浸透を防止してコンクリートの腐食による破壊防止を図っている。
【特許文献1】特開2005−282180号公報
【特許文献2】特開昭51−98131号公報
【特許文献3】特開平8−296399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したいずれの方法もセグメントの組立後に行われる施工であり、シールドトンネル構築時には頻繁にバッテリー台車等が走行するため、これらを待避しながらの目地埋め作業となり、安全面に問題が生じるとともに、工期が長くなる問題があった。また、コンクリート構造物の組立完了後に目地材を挟入するため、コンクリート構造物同士に変位が生じ、目地幅が拡がると、止水性が低下したり、目地材が脱落する虞もあった。また、特に、目地部にコーキング作業を必要とする場合には、熟練技術が要求されるとともに、揮発する有機溶剤除去のための換気設備や、また工区によっては結露除去設備が必要になり、多くの設備機器の搬入、設置、搬出が必要となり、工期が長くなる問題があった。さらに、コーキング容器、マスキングテープ等の多量の廃棄物が発生する問題もあった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、施工環境に左右されず、良好な施工性の下に、廃棄物を低減しながら、止水性の高いシールドトンネル等の構造物を短工期で構築することができるセグメントの目地構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のセグメントの目地構造は、湾曲した複数のセグメント21を円周方向a及び軸線方向bに相互に連結して円筒形の構造物23を構築するに際し、構造物23の内周面23aに表出するセグメント同士の目地に目地材35を介在させて防水シールするセグメント21の目地構造であって、
前記セグメント21の4辺25,27,31,33の端面に目地材嵌入溝29が連続形成され、
前記セグメント21の坑口側Tの円周方向a端面と、隣接するセグメント21,21間におけるいずれか一方のセグメント21の軸線方向bの端面の前記目地材嵌入溝29に目地材35を前記端面から一部が突出して付設され、
前記目地材35には、前記構造物23の内周面23aと同一面となる目地面形成凸部37が設けられるとともに、突出側には該目地面形成凸部37より低い段差部39が形成され、
隣接セグメント21の目地材嵌入溝29の溝開口縁には、前記段差部39に嵌る内周面延出凸部41が形成されたことを特徴とする。
【0008】
このセグメントの目地構造では、一方のセグメント21に予め付設された目地材35が、他方のセグメント21の目地材嵌入溝29に嵌入され、セグメント同士が連結されて行くことで、目地の防水シールが完成される。したがって、コーキング作業等の熟練技術が不要となる。また、バッテリー台車等を待避しながらの危険な作業がなくなる。そして、コーキング作業のための環境改善のための結露除去設備、換気設備も不要となる。さらに、コーキング作業時に発生するコーキング容器、マスキング等の大量の廃棄物が削減可能となる。また、内周面延出凸部41によって目地材35の脱落が効果的に阻止される。
【0009】
請求項2記載のセグメントの目地構造では、前記構造物23を構築するセグメントが、複数のAセグメント21Aと、1つのKセグメント21Kと、該Kセグメント21Kの両側に配置される一対のBセグメント21B1,21B2から構成されたことを特徴とする。
【0010】
このセグメントの目地構造では、構造物を構築する複数のセグメントが、複数のAセグメント21Aと、1つのKセグメント21Kと、該Kセグメント21Kの両側に配置される一対のBセグメント21B1,21B2とで構成され、これらA,K,B1,B2の各セグメントによって、坑内における円周方向aが、略リング状に形成される。特にKセグメント21Kは、各セグメントの連結時に、その順序の最後になる。
【0011】
請求項3記載のセグメントの目地構造では、前記目地材35は、坑口側Tの円周方向a端面と軸線方向b端面の目地材を略L字状となって付設されたものであることを特徴とする。
【0012】
このセグメントの目地構造では、各セグメント21(21A,21B1,21B2,21K)に付設される目地材を、それぞれ略L字状として、セグメント同士が連結されることとなる。このような目地材によれば、各々の形状が中途を屈曲形成した目地材であることから、予め略L字状に目地材を製作しておき、各セグメントに付設が行える。そして、各セグメントは、略同等の構成となり、セグメント同士の連結にて目地部分に目地材が配置されることとなる。
【0013】
請求項4記載のセグメントの目地構造では、前記Aセグメント21Aと一方のBセグメント21B2は、坑口側Eの円周方向a端面と一方の軸線方向b端面の略L字状の目地材35A,35B2を付設し、
他方のBセグメント21B1は、坑口側Eの円周方向a端面のみの略I字状の目地材35B1を付設し、
前記Kセグメント21Kは、坑口側Eの円周方向a端面と2つの軸線方向b端面の略コ字状の目地材35Kを付設したものであることを特徴とする。
【0014】
このセグメントの目地構造では、A,B1,B2,K各セグメントのそれぞれの形状に合せて、目地材35A,35B1,35B2,35Kが付設され、各セグメントを組み立てた際の、最適な組み合わせとなる。すなわち、各セグメントを組み立てる順序の方向に応じて目地材が位置することとなり、組立時の目地材の脱落などを起こすことがなく、その作業性を向上させることができ、かつ、各セグメント間において、無駄なく目地材が配置され構成されることとなる。
【0015】
請求項5記載のセグメントの目地構造は、前記セグメント(21)に付設された略L字状、略I字状及び略コ字状の各目地材(35)の両端部35bは、前記目地面形成凸部37のみがセグメント端47まで延出したことを特徴とする。
【0016】
このセグメントの目地構造では、隣接するセグメントや隣接するセグメント同士のL字状角部35aと他の目地材端部35bとの連結部で、面状に不連続となる目地面形成凸部37が、目地材端部35bから延出させた略舌状の目地面形成凸部37で埋められる。
【0017】
請求項6記載のセグメントの目地構造は、前記セグメント(21)に付設された略L字状、略I字状及び略コ字状の各目地材(35)の両端部35bは、前記セグメント端47まで延出され、かつ延出端部35bが構造物外面側から構造物内面側に向かって徐々に薄厚となる傾斜面49で形成されたことを特徴とする。
【0018】
このセグメントの目地構造では、隣接するセグメントや隣接するセグメント同士のL字状角部35aと他の目地材端部35bとの連結部で、面状に不連続となる目地面形成凸部37が、目地材端部35bから延出させた略舌状の傾斜面部49で埋められ、例えば、この傾斜面部49が弾性変形して密着することで埋められる。また、この効果を得るための端部加工が、目地材端部35bの斜め切断のみで可能となる。
【0019】
請求項7記載のセグメントの目地構造は、前記目地材35には、アンカー脚片43が突設され、該アンカー脚片43が前記セグメント21に予め埋入されたことを特徴とする。
【0020】
このセグメントの目地構造では、目地材35がセグメント21に高強度に一体化され、部品点数が削減されるとともに、施工が容易となり、かつセグメント21からの目地材35の脱落防止強度が高まる。
【0021】
請求項8記載のセグメントの目地構造は、前記セグメント21の4辺の端面に前記目地材嵌入溝29が形成され、前記目地材35の嵌入半分が前記目地材嵌入溝29に予め接着固定されたことを特徴とする。
【0022】
このセグメントの目地構造では、それぞれ単体で製作したセグメント21と目地材35とが予め接着固定され、目地材35のセグメント21への付設が容易となる。
【0023】
請求項9記載のセグメントの目地構造は、前記セグメント51が、湾曲内面に、樹脂板を被着してなることを特徴とする。
【0024】
このセグメントの目地構造では、構造物内周面23aの腐食、セグメント本体の素材であるコンクリートの崩落等が防止される。
【0025】
請求項10記載のセグメントの目地構造は、前記目地材353が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部51を有したことを特徴とする。
【0026】
このセグメントの目地構造では、目地材353にクッション性が付与され、反発力が高まり、高い密着度が得られるようになる。
【0027】
請求項11記載のセグメントの目地構造は、前記目地材354が、複数の発泡部53を有したことを特徴とする。
【0028】
このセグメントの目地構造では、目地材354にクッション性が付与され、反発力が高まり、高い密着度が得られるようになるとともに、発泡部53によってヘタリ難くなり、クッション性の長期間維持が可能となる。
【0029】
請求項12記載のシールドセグメントトンネルの構築方法は、複数のAセグメント21Aと、一対となるB1セグメント21B1とB2セグメント21B2と、該B1,B2セグメントの間に組み込まれるKセグメント21Kとで周方向にそれぞれ連結してセグメントリングを構築し、該セグメントリングをトンネル軸方向bに順次連結し構成するとともに、シールドトンネルにおける内周面23aに表出する各セグメント同士の目地に目地材35を介在させて防水シールを行うシールドセグメントトンネルの構築方法であって、
前記各Aセグメント21Aには、周方向aと軸方向bとの隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成されるとともに、他の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する中途が屈曲した略L字状の前記目地材35Aが一部分を前記端面から突出して付設され、
前記B1セグメント21B1には、周方向aの1辺とこれの一方の端部に連続する軸方向bに平行な1辺と他方の端部に連続する軸方向bに対し斜めの1辺の各端面に目地材嵌入溝29が形成されるとともに、他の周方向aの1辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する略I字状の前記目地材35B1が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記B2セグメント21B2には、周方向aと軸方向bに斜めな方向の隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成されるとともに、他の周方向aと軸方向bに平行な方向の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する中途が屈曲した略L字状の前記目地材35B2が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記Kセグメント21Kには、周方向aの長尺な1辺の端面に目地材嵌入溝29が形成されるとともに、周方向aの短尺な1辺とこれの両端に連続する軸方向bに斜めな2辺の各端面に前記各Bセグメント21B1,21B2の目地材嵌入溝29に嵌入する略コ字状の前記目地材35Kが一部分を前記端面から突出して付設され、
前記目地材35A,35B1,35B2,35Kには、前記セグメントの内周面と同一面となる目地面形成凸部37が設けられるとともに、突出側には該目地面形成凸部37より低い段差部39が形成され、
前記目地材嵌入溝29のセグメント内周面側の溝開口縁には、前記段差部39に嵌る内周面延出凸部41が形成されており、
前記Aセグメント21Aを周方向aに複数連結した後、前記B1セグメント21B1及びB2セグメント21B2を連結して、該B1,B2セグメントの軸方向に斜めな辺の対向端面間に、前記Kセグメント21Kを軸方向から差し込むように装着して、該Kセグメント21Kに突設された目地材35Kを、先に構築されたセグメントリングの周方向端面と、前記B1,B2セグメントの軸方向に斜めな端面とに形成された前記目地材嵌入溝29へ嵌入させ、前記セグメントリングとし、順次これを繰り返しシールドトンネルを構築することを特徴とする。
【0030】
このシールドセグメントトンネルの構築方法では、複数のAセグメント21Aを連結した後、B1及びB2セグメント21B1,21B2を連結して、これらB1,B2セグメントの軸方向に斜めな辺の対向端面間に、Kセグメント21Kを軸方向から差し込むように装着する。そして、Kセグメント21Kに突設された目地材35Kを、先に構築されたセグメントリングの周方向端面と、B1,B2セグメントの軸方向に斜めな端面とに形成された目地材嵌入溝29へ嵌入させ、セグメントリングとし、順次これを繰り返すことでシールドトンネルが構築される。
【0031】
請求項13記載のシールドセグメントトンネルの構築方法は、前記目地材が付設される周方向aの端面は、坑口側Eとなる端面とされることを特徴とする。
【0032】
このシールドセグメントトンネルの構築方法では、目地材35の付設される位置として、周方向aの端面においては、坑口側Eとしたことで、シールドマシンが掘削を行う後方で、順次セグメントの組み立てが行え、かつその組み立て方向がシールドマシンの進行方向と逆方向であることから、ジャッキ圧による組み付け力を得ることができ、セグメントの組み立て施工性として向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る請求項1記載のセグメントの目地構造によれば、一方のセグメントに予め付設された目地材が、他方のセグメントの目地材嵌入溝に嵌入され、セグメント同士が連結されて行くことで、目地の防水シールが完成される。したがって、コーキング作業等の熟練技術が不要となる。また、坑内でのバッテリー台車等を待避しながらの危険な作業がなくなる。そして、コーキング作業のための環境改善のための結露除去設備、換気設備も不要となる。さらに、コーキング作業時に発生するコーキング容器、マスキング等の大量の廃棄物が削減可能となる。また、内周面延出凸部によって目地材の脱落が効果的に阻止される。この結果、施工環境に左右されず、良好な施工性の下に、廃棄物を低減しながら、止水性の高い構造物を短工期で構築することができる。
【0034】
請求項2記載のセグメントの目地構造によれば、構造物を構築する複数のセグメントが、複数のAセグメントと、1つのKセグメントと、該Kセグメントの両側に配置される一対のBセグメントとで構成され、これら各セグメントによって、坑内における円周方向が、略リング状に形成されることとなる。そして特にKセグメントを、各セグメントの連結時におけるその順序の最後とすることで、リング状となる構造物の構築の作業性が向上する。
【0035】
請求項3記載のセグメントの目地構造によれば、目地材の形状を、坑口側の円周方向端面と軸線方向端面の目地材を略L字状とし、付設することで、各々の形状が中途を屈曲形成した目地材であることから、予め略L字状に目地材を製作しておき、各セグメントに付設が行える。そして、各セグメントは、略同等の構成となり、セグメント同士の連結にて目地部分に目地材が配置されることとなる。
【0036】
請求項4記載のセグメントの目地構造によれば、Aセグメントと一方のBセグメントでは、坑口側の円周方向端面と一方の軸線方向端面の略L字状の目地材を付設して、他方のBセグメントでは、坑口側の円周方向端面のみの略I字状の目地材を付設し、Kセグメントでは、坑口側の円周方向端面と2つの軸線方向端面の略コ字状の目地材を付設した構成としたので、A,B1,B2,Kの各セグメントのそれぞれの形状に合せて、目地材が付設され、各セグメントを組み立てた際の、最適な組み合わせとなる。すなわち、各セグメントを組み立てる順序の方向に応じて目地材が位置することとなり、組立時の目地材の脱落などを起こすことがなく、その作業性を向上させることができ、かつ、各セグメント間において、無駄なく目地材が配置され構成されることとなる。
【0037】
請求項5記載のセグメントの目地構造によれば、隣接するセグメントや隣接するセグメント同士のL字状角部と他の目地材端部との連結部で、面状に不連続となる目地面形成凸部が、目地材端部から延出させた略舌状の目地面形成凸部で埋めることができ、止水性、見栄えを向上させることができるとともに、構造物内周面の凹凸を無くし、流下物の引っ掛かりを防止して、流水性を向上させることができる。
【0038】
請求項6記載のセグメントの目地構造によれば、隣接するセグメントや隣接するセグメント同士のL字状角部と他の目地材端部との連結部で、面状に不連続となる目地面形成凸部が、目地材端部から延出させた略舌状の傾斜面部で埋められ、例えば、この傾斜面部が弾性変形して密着することができ、止水性、見栄えを向上させることができるとともに、構造物内周面の凹凸を無くし、流下物の引っ掛かりを防止して、流水性を向上させることができる。これに加え、目地材端部の加工を斜め切断のみとすることができ容易に製作することができる。
【0039】
請求項7記載のセグメントの目地構造によれば、目地材に、アンカー脚片を突設し、このアンカー脚片をセグメントに埋入したので、目地材をセグメントに高強度に一体化させることができ、部品点数の削減が図れるとともに、施工性を容易にし、かつセグメントからの目地材の脱落防止強度を大幅に高めることができる。
【0040】
請求項8記載のセグメントの目地構造によれば、セグメントの4辺の端面に目地材嵌入溝を形成し、目地材の嵌入半分を目地材嵌入溝に予め接着固定したので、それぞれ単体で製作したセグメントと目地材とを現場搬入以前に予め接着固定することができ、目地材のセグメントへの付設を容易にすることができる。
【0041】
請求項9記載のセグメントの目地構造によれば、セグメントが、湾曲内面に樹脂板を被着してなるので、構造物内周面の腐食、セグメント本体部分の素材であるコンクリートの崩落等を防止することができる。
【0042】
請求項10記載のセグメントの目地構造によれば、目地材が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部を有するので、目地材にクッション性を付与し、反発力を向上させて、高い密着度が得られるようになり、止水性を向上させることができる。
【0043】
請求項11記載のセグメントの目地構造によれば、目地材が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部に内設される発泡部を有したので、目地材にクッション性を付与し、反発力を向上させて、高い密着度が得られるようになり、止水性を向上させることができ、かつ発泡部によってヘタリを無くし、クッション性の長期間維持が可能となる。
【0044】
請求項12記載のシールドセグメントトンネルの構築方法によれば、複数のAセグメントを連結した後、B1及びB2セグメントを連結して、これらB1,B2セグメントの軸方向に斜めな辺の対向端面間に、Kセグメントを軸方向から差し込むように装着し、Kセグメントに突設された目地材を、先に構築されたセグメントリングの周方向端面と、B1,B2セグメントの軸方向に斜めな端面とに形成された目地材嵌入溝へ嵌入させ、セグメントリングとし、順次これを繰り返すことでシールドトンネルが構築される手順とされることから、各セグメントの連結が、その連結される方向に目地材が位置しており、各目地材は、対する目地材嵌入溝に順次嵌入し、セグメント同士が連結されることとなり、連結時の目地材の脱落などが起こりにくくなる。
【0045】
請求項13記載のシールドセグメントトンネルの構築方法によれば、前記目地材が付設される周方向の端面は、坑口側となる端面とされる構成とされ、この目地材の付設される位置として、周方向の端面において坑口側であり、シールドマシンが掘削を行う後方で、順次セグメントの組み立てが行え、かつその組み立て方向がシールドマシンの進行方向と逆方向であることから、ジャッキ圧による組み付け力を得ることができ、セグメントの組み立て施工性として向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明に係るセグメントの目地構造の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る目地構造の要部分解断面図、図2は本発明に係る目地構造が適用されるコンクリート構造物の斜視図、図3は図2に示したセグメントの連結状態を表す展開状態を示す平面図、図4は図3に示したセグメントの連結前を(a)、連結後を(b)に示した模式図、図5は図3の要部拡大平面図、図6は図5のA−A矢視図である。
本実施の形態に係る目地構造は、例えば図2に示すように、平面視矩形状の湾曲した複数のセグメント21を円周方向a及び軸線方向bに相互に連結して円筒形の構造物(トンネルの壁体)23を構築するシールド工法に好適に用いることができる。シールド工法では、シールドマシンで地盤を掘進しつつ、シールドマシンの後方で、掘削部の周囲内壁面に沿ってセグメント21を順次組み立てることによってトンネルの壁体23を構築する。
【0047】
図3の展開図に示すように、セグメント21は、千鳥状に連結されて行くことになる。図4に示すように、セグメント21の隣接2辺25,27の端面には目地材嵌入溝29が連続形成されている。また、セグメント21の他の隣接する2辺31,33の端面には目地材嵌入溝29に嵌入する目地材35が一部分を端面から突出して付設されている。すなわち、トンネルの壁体23の内周面に表出するセグメント21同士の目地は、目地材35によって防水シールされる。
【0048】
図1に示すように、目地材35には、トンネルの壁体23の内周面23a(図2参照)と同一面となる目地面形成凸部37が設けられるとともに、突出側にはこの目地面形成凸部37より低い段差部39が形成されている。この目地面形成凸部37は、セグメント21同士が連結されると、連結されたセグメント21、21同士の内周面23a、23a同士を連続させることになる。これにより、トンネルの壁体23の内周面23aを平滑に形成できるようになっている。
【0049】
一方、図1に示すように、目地材嵌入溝29の内周面23a側の溝開口縁には、段差部39に嵌る内周面延出凸部41が形成されている。これにより、セグメント21同士が連結されると、内周面延出凸部41が段差部39に上方から被さるようになり、すなわち、略奥拡がり形状の溝となって目地材35の脱落が確実に防止されるようになっている。
【0050】
また、目地材35には先端が膨出部43aとなったアンカー脚片43が突設され、アンカー脚片43はセグメント21に埋入されている。セグメント21は、目地材35に、アンカー脚片43を突設し、このアンカー脚片43を埋入したので、目地材35をセグメント21に高強度に一体化させることができ、部品点数の削減が図れるとともに、施工性を容易にし、かつセグメント21からの目地材35の脱落防止強度を大幅に高めることができるようになっている。
【0051】
ところで、図5に示すように、隣接する一方のセグメント21に付設された目地材35のL字状角部35aに、他方のセグメント21に付設された目地材35の端部35bが当接した場合、段差部39上に、図中斜線で示した目地面形成凸部37の不連続部45が形成されてしまう。そこで、セグメント21の隣接2辺にL字状となって付設された目地材35の両端部35bは、図6(a)及び図6(b)に示すように、目地面形成凸部37のみがセグメント端まで延出した舌片部37aとなっている。
【0052】
セグメント21の隣接2辺にL字状となって付設された目地材35の両端部35bにおいて、目地面形成凸部37のみがセグメント端47(図5参照)まで延出したので、隣接するセグメント21同士のL字状角部35aと他の目地材端部35bとの連結部で、不連続となる目地面形成凸部37を、略舌状の目地面形成凸部(舌片部37a)で埋めることができ、止水性、見栄えを向上させることができるとともに、内周面23aの凹凸を無くし、流下物の引っ掛かりを防止して、流水性を向上させることができる。
【0053】
また、目地材35は、図6(a)(b)に示した舌片部37aの変形例として、図7(a)(b)に示すように、端部35bがセグメント端47まで延出され、かつ延出端部35bが壁体23の外面側から壁体23の内面側に向かって徐々に薄厚となる略くさび状傾斜面49で形成されてもよい。このように、端部35bを、徐々に薄厚となる傾斜面49で形成すれば、不連続となる目地面形成凸部37を、端部35bから延出させた略舌状の傾斜面49部で埋められ、例えば、この傾斜面部49が弾性変形して密着することができ、止水性、見栄えを向上させることができるとともに、内周面23aの凹凸を無くし、流下物の引っ掛かりを防止して、流水性を向上させることができる。これに加え、上記効果を付与するための目地材端部35bの加工を斜め切断のみとすることができ容易に製作することができる。
【0054】
以上のように目地材35を予め付設したセグメント21は、例えば特開平8−21195号公報に開示される水平コッターを有するほぞ式セグメント構造によって連結することができる。この連結構造では、セグメント21の隣接セグメント21に対する継手面切羽側に、水平方向に雌コッター金具が配設され、セグメント21のリング継手面には互いに嵌合する雌ほぞ及び雄ほぞが配設される。また、相隣るセグメント21の継手面に設けられた雌コッター金具間に亘って雄コッター金具が嵌合され、セグメント21及び先行組立セグメント21のリング継手面にそれぞれ設けられた雌雄のほぞが嵌合され、かつ通しボルトで締結されるように構成される。
【0055】
セグメント21は隣接セグメント21に対する継手面切羽側に水平方向に雌コッター金具が配設されているので、セグメント継手の締結に際しては、隣接するセグメント21のリング継手面に向けて切羽側からH形雄コッター金具を同各セグメント21に埋設された雌コッター金具に挿入することによって行なわれる。一方、セグメント21のリング継手の締結に際しては、同セグメント21のリング継手面に設けられた雌ほぞに、切羽側に搬入され、新たに組立てられるセグメント21のリング継手面に設けられた雄ほぞを嵌合し、水平雌コッター金具に雄コッター金具を圧入すると、同コッター金具の打込みによる引寄せ効果により雄ほぞが既設リングの雌ほぞに確実に嵌合し、雌雄のほぞを通しボルトで締結することと相俟ってほぞのせん断力伝達能力と水平コッターの張力伝達能力の組合せによってリングが形成される。
【0056】
なお、セグメント21は、湾曲内面に、不図示の樹脂板を被着してなることが好ましい。セグメント21が、湾曲内面に樹脂板を被着してなるものであれば、内周面23aの腐食、セグメント本体部分の素材であるコンクリートの崩落等を防止することができる。この樹脂板は、上記したセグメント21を目地材35と一体化させる製造時に、同時に被着することが好ましく、例えば樹脂板の一方の面に複数の凸部を予め形成してこれら凸部が埋没するようにコンクリートを成型してセグメント21としての湾曲内面に一体化とすることとする。
【0057】
上記のセグメントの目地構造によれば、セグメント21の隣接2辺25,27に目地材嵌入溝29を連続形成し、他の隣接する2辺31,33に目地材35を予め付設し、目地材35にはトンネルの壁体23の内周面23aと同一面となる目地面形成凸部37とこの目地面形成凸部37より低い段差部39とを形成し、目地材嵌入溝29には段差部39に嵌る内周面延出凸部41を形成したので、一方のセグメント21に予め付設された目地材35を、他方のセグメント21の目地材嵌入溝29に嵌入させながら、セグメント21同士を連結して行くことで、目地の防水シールを完成させることができる。
【0058】
したがって、コーキング作業等の熟練技術が不要となる。また、坑内を移動するバッテリー台車等を待避しながらの危険な作業がなくなる。そして、コーキング作業等のための環境改善のための結露除去設備、換気設備も不要となる。さらに、コーキング作業時に発生するコーキング容器、マスキング等の大量の廃棄物を削減することができる。また、内周面延出凸部41によって目地材35の脱落を効果的に阻止することができる。この結果、施工環境に左右されず、良好な施工性の下に、廃棄物を低減しながら、止水性の高いトンネルの壁体23を短工期で構築することができる。
【0059】
なお、上述したセグメントについて、平面視矩形状、すなわち各辺が略直角に接続されて、板面が湾曲した形状とされて、それぞれが千鳥状に連結されるとの説明としたが、図8(b),図9(b)の展開図に示すように、各セグメントは、円周方向aに連結される状態、すなわちセグメントリングとなる状態で、上記セグメント21と略同形状の複数のAセグメント21Aと、一対となるB1セグメント21B1とB2セグメント21B2と、これらB1セグメント21B1とB2セグメント21B2との間に配設される1つのKセグメント21Kとで構成される。これらセグメントのAセグメント21Aは、上述同様矩形状とされ、B1セグメント21B1とB2セグメント21B2は、周方向aの一方の端部となる一辺が斜めに形成され、Kセグメント21Kは、周方向aとなる平行2辺が長短一対となり2つの斜辺とで略台形状に形成されている。
【0060】
そして、図8に示すように、各セグメントの目地材嵌入溝と、各セグメントに付設される目地材とは、まず、複数で構成されるAセグメント21Aにおいては、周方向aと軸方向bとの隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成されるとともに、他の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する中途が屈曲した略L字状の目地材35Aが一部分を端面から突出して付設されており、また、B1セグメント21B1では、周方向aの1辺とこれの一方の端部に連続する軸方向bに平行な1辺と他方の端部に連続する軸方向bに対し斜めの1辺の各端面に目地材嵌入溝29が形成されるとともに、他の周方向aの1辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する略真直な略I字状の目地材35B1が一部分を端面から突出して付設され、B2セグメント21B2は、周方向aと軸方向bに斜めな方向の隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成されるとともに、他の周方向aと軸方向bに平行な方向の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する中途が屈曲した略L字状の目地材35B2が一部分を端面から突出して付設され、さらに、Kセグメント21Kにおいては、周方向aの長尺な1辺の端面に目地材嵌入溝29が形成されるとともに、周方向aの短尺な1辺とこれの両端に連続する軸方向bに斜めな2辺の各端面にB1セグメント21B1とB2セグメント21B2の目地材嵌入溝29に嵌入する略コ字状の目地材35Kが一部分を端面から突出して付設される。なお、図8中上側を切羽側Eとし、下側を坑口側Tとしており、すなわちトンネルを掘削し構築する際の、シールドマシンの進行(掘削)方向が切羽側Eであり、掘削されてトンネル壁面が順次構築される側が坑口側Tとなる。そして、これらセグメント21A,21B1,21B2,21Kは、シールドマシンの後部にて順次組み着けられることから、各目地材における円周方向a端面の目地材は、坑口側Tの端面に予め付設される。
【0061】
各セグメントの具体的な組み立て手順としては、各セグメントには、予め目地材が付設され、坑内に搬入となる。坑内おいて、まず、シールドマシンの後方位置で複数のAセグメント21Aを順次上述同様に連結し、先行して組み立てる。各Aセグメント21Aが連結された状態で、坑内における略天井部分に、周方向aの間隙が位置することとなる。すなわち、この間隙に、B1セグメント21B1とB2セグメント21B2とKセグメント21Kが配置され連結されることとなる。
【0062】
次に、BセグメントにおけるL字状に目地材を付設したB2セグメント21B2を、上記間隙間における一方のAセグメント21Aに隣接させて連結する(図9(a)参照)。この状態においては、B2セグメント21B2の斜辺が切羽側Eを向く。次にBセグメントにおけるI字状の目地材35B1を付設したB1セグメント21B1を、上記間隙における他方のAセグメント21Aに隣接させて連結する。このときに、B1セグメント21B1と、B2セグメント21B2との間に、狭い間隙が形成されることとなり、軸線方向bに斜めな方向の目地材が付設されない端面、すなわち、目地材嵌入溝29同士が、互いに向かい合うこととなる。
【0063】
次に、B1セグメント21B1と、B2セグメント21B2との間に、Kセグメント21Kが組み着けられる。このKセグメント21Kは、軸線方向bに真直に、差し込むように組み付けることで、B1,B2セグメントの対向する斜辺とKセグメント21Kの両側斜辺とが対向することとなり、このKセグメント21Kの目地材35Kの突出部分がB1,B2セグメントの各目地材嵌入溝29内に嵌入し、また、先にリング状に組み立てられたセグメントの目地材嵌入溝に嵌入することとなる。
【0064】
そして、これによりリングが形成され(図9(b)参照)、各Aセグメント21A,B1セグメント21B1,B2セグメント21B2,Kセグメント21Kは、それぞれに付設される略L字状、略I字状、略コ字状の目地材をそれぞれに選択して取り付けられることから目地材同士が重なるなどの不具合もなく、目地部分に目地材35A,35B1,35B2,35Kが介在されるようになり、特に、B1,B2,Kセグメントにおける目地材形状の組み合わせで、セグメント同士の連結がスムースに行うことが出来て、これを順次繰り返すことでシールドセグメントトンネルが構築される。
【0065】
次に、上記した実施の形態による目地構造の変形例を説明する。
図10は目地構造の変形例1を表す要部拡大断面図、図11は目地構造の変形例2を表す要部拡大断面図、図12は目地構造の変形例3を表す要部拡大断面図、図13は目地構造の変形例4を表す要部拡大断面図である。
目地構造は、アンカー脚片43が設けられる場合、セグメント21と目地材35との固定が強固となるので、図10に示すように、目地材351を付設する側の目地材嵌入溝29Aを簡素にすることができる。
【0066】
また、目地構造は、図11に示すように、セグメント21の4辺の端面に目地材嵌入溝29が形成され、目地材352の嵌入半分が目地材嵌入溝29に予め接着固定されるものであってもよい。この場合、アンカー脚片43が省略される。このように、セグメント21の4辺の端面に目地材嵌入溝29を形成し、目地材352の嵌入半分を目地材嵌入溝29に予め接着固定すれば、それぞれ単体で製作したセグメント21と目地材352とを現場搬入前に予め接着固定することができ、目地材352のセグメント21への付設を容易にすることができる。
【0067】
また、目地構造は、図12に示すように、目地材353が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部51を有するもの、すなわち管状に形成されるものであってもよい。このように、目地材353が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部51を備えれば、目地材353にクッション性を付与し、反発力を向上させて、高い密着度が得られるようになり、止水性を向上させることができる。
【0068】
さらに、目地構造は、図13に示すように、目地材354が、複数の発泡部53を備えても良い。このように、目地材354が、複数の発泡部53を有することで、目地材354にクッション性を付与し、反発力を向上させて、高い密着度が得られるようになり、止水性を向上させることがでる。これに加え、発泡部53によってヘタリを無くし、クッション性の長期間維持を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る目地構造の要部分解断面図である。
【図2】本発明に係る目地構造が適用されるコンクリート構造物の斜視図である。
【図3】図2に示したセグメントの連結状態を表す展開状態を示す平面図である。
【図4】図3に示したセグメントの連結前を(a)、連結後を(b)に示した模式図である。
【図5】図3の要部拡大平面図である。
【図6】図5のA−A矢視図を(a)、斜視図を(b)で示した図である。
【図7】舌片部の変形例を示した図である。
【図8】セグメントの構成をA,B1,B2,Kセグメントとした変形例の各セグメント本体と目地材との分解図を(a)、各目地材を取り付けた状態の各セグメント平面図を(b)に示した図である。
【図9】A,B1,B2,Kの各セグメントの連結手順を示す展開状態の平面図を(a)、各セグメントの連結状態を示す展開状態の平面図を(b)に示した図である。
【図10】目地構造の変形例1を表す要部拡大断面図である。
【図11】目地構造の変形例2を表す要部拡大断面図である。
【図12】目地構造の変形例3を表す要部拡大断面図である。
【図13】目地構造の変形例4を表す要部拡大断面図である。
【図14】従来の目地材を用いた目地構造の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
21…セグメント
21A…Aセグメント
21B1…B1セグメント
21B2…B2セグメント
21K…Kセグメント
23…構造物(トンネルの壁体)
23a…内周面
29…目地材嵌入溝
35…目地材
35b…目地材の両端部
35A…Aセグメント用目地材
35B1…B1セグメント用目地材
35B2…B2セグメント用目地材
35K…Kセグメント用目地材
37…目地面形成凸部
39…段差部
41…内周面延出凸部
43…アンカー脚片
49…傾斜面
51…中空部
53…発泡部
a…円周方向
b…軸線方向
E…切羽側
T…坑口側
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面視略矩形状の湾曲した複数のセグメントを円周方向及び軸線方向に相互に連結して円筒形の構造物を構築するに際し、セグメント同士の接合面には水膨張性シール材が使用され、さらに、構造物の内周面に表出するセグメント同士の目地に目地材を介在させて防水シールするセグメントの目地構造に関し、特に、シールドトンネルからなる各種地中埋設管路の目地に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
雨水用シールドトンネルや、ケーブル用シールドトンネル等の各種地中埋設管路は通常、コンクリートからなる複数個の湾曲板状あるいはボックス状セグメントのそれぞれの端面を互いに接合して組み立てられる。この種の地中埋設管路は端面の接合個所から内部への漏水が懸念される。この漏水を防止する方法として、例えば特許文献1に開示される漏水防止方法は、図14(a)に示すように、コンクリート構造物1,1における目地部3の両壁面1a,1aの上部に対向した第1段差面1b,1bを加工又は形成し、目地部内に圧縮挿入したときに目地部3の両壁面1a,1aと漏水防止用シール材5の断面略山形状の突条7とで形成した隙間9内に接着剤を充填施工することで、コンクリート構造物1,1における目地部3の漏水防止工事を短工期でかつ工費の低減を図り、再漏水のない高品質な施工を図っている。
【0003】
また、特許文献2に開示されるコンクリートセグメントのシール方法は、コンクリートセグメント接合部に沿って設けられた切欠部に、図14(b)に示す弾性材料よりなるシール材11を挿入し、この接合部をシールする方法において、切欠部に対して長さ方向に沿い、かつ内部で拡がった断面形状の切欠溝13を有する弾性シール材11を、この溝13が表出するように挿入し、その後、この切欠溝13に対してこれを拡張する部材を圧入することで、シール材11を挿入固定する作業を簡単にし、かつシール圧を増大させてシール材の脱落を防止している。
【0004】
さらに、特許文献3に開示される目地溝の埋設方法は、複数個のセグメントのそれぞれの端面を互いに接合して組み立てられる地中埋設管路において、管路内面のセグメント継目の目地溝に、導水溝を有するバックアップ材を、この導水溝の開口部が目地溝を覆うように嵌め込んで目地溝と導水溝との間に導水部を形成し、次いで、バックアップ材上にコーキング材を充填して目地溝を埋設する。これにより、目地溝への浸入水を防止するのみならず、浸入水のコンクリート内への浸透を防止してコンクリートの腐食による破壊防止を図っている。
【特許文献1】特開2005−282180号公報
【特許文献2】特開昭51−98131号公報
【特許文献3】特開平8−296399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したいずれの方法もセグメントの組立後に行われる施工であり、シールドトンネル構築時には頻繁にバッテリー台車等が走行するため、これらを待避しながらの目地埋め作業となり、安全面に問題が生じるとともに、工期が長くなる問題があった。また、コンクリート構造物の組立完了後に目地材を挟入するため、コンクリート構造物同士に変位が生じ、目地幅が拡がると、止水性が低下したり、目地材が脱落する虞もあった。また、特に、目地部にコーキング作業を必要とする場合には、熟練技術が要求されるとともに、揮発する有機溶剤除去のための換気設備や、また工区によっては結露除去設備が必要になり、多くの設備機器の搬入、設置、搬出が必要となり、工期が長くなる問題があった。さらに、コーキング容器、マスキングテープ等の多量の廃棄物が発生する問題もあった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、施工環境に左右されず、良好な施工性の下に、廃棄物を低減しながら、止水性の高いシールドトンネル等の構造物を短工期で構築することができるセグメントの目地構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のセグメントの目地構造は、湾曲した複数のセグメント21を円周方向a及び軸線方向bに相互に連結して円筒形の構造物23を構築するに際し、構造物23の内周面23aに表出するセグメント同士の目地に目地材35を介在させて防水シールするセグメント21の目地構造であって、
前記セグメント21の4辺25,27,31,33の端面に目地材嵌入溝29が連続形成され、
前記セグメント21の坑口側Tの円周方向a端面と、隣接するセグメント21,21間におけるいずれか一方のセグメント21の軸線方向bの端面の前記目地材嵌入溝29に目地材35を前記端面から一部が突出して付設され、
前記目地材35には、前記構造物23の内周面23aと同一面となる目地面形成凸部37が設けられるとともに、突出側には該目地面形成凸部37より低い段差部39が形成され、
隣接セグメント21の目地材嵌入溝29の溝開口縁には、前記段差部39に嵌る内周面延出凸部41が形成されたことを特徴とする。
【0008】
このセグメントの目地構造では、一方のセグメント21に予め付設された目地材35が、他方のセグメント21の目地材嵌入溝29に嵌入され、セグメント同士が連結されて行くことで、目地の防水シールが完成される。したがって、コーキング作業等の熟練技術が不要となる。また、バッテリー台車等を待避しながらの危険な作業がなくなる。そして、コーキング作業のための環境改善のための結露除去設備、換気設備も不要となる。さらに、コーキング作業時に発生するコーキング容器、マスキング等の大量の廃棄物が削減可能となる。また、内周面延出凸部41によって目地材35の脱落が効果的に阻止される。
【0009】
請求項2記載のセグメントの目地構造では、前記構造物23を構築するセグメントが、複数のAセグメント21Aと、1つのKセグメント21Kと、該Kセグメント21Kの両側に配置される一対のBセグメント21B1,21B2から構成されたことを特徴とする。
【0010】
このセグメントの目地構造では、構造物を構築する複数のセグメントが、複数のAセグメント21Aと、1つのKセグメント21Kと、該Kセグメント21Kの両側に配置される一対のBセグメント21B1,21B2とで構成され、これらA,K,B1,B2の各セグメントによって、坑内における円周方向aが、略リング状に形成される。特にKセグメント21Kは、各セグメントの連結時に、その順序の最後になる。
【0011】
請求項3記載のセグメントの目地構造では、前記目地材35は、坑口側Tの円周方向a端面と軸線方向b端面の目地材を略L字状となって付設されたものであることを特徴とする。
【0012】
このセグメントの目地構造では、各セグメント21(21A,21B1,21B2,21K)に付設される目地材を、それぞれ略L字状として、セグメント同士が連結されることとなる。このような目地材によれば、各々の形状が中途を屈曲形成した目地材であることから、予め略L字状に目地材を製作しておき、各セグメントに付設が行える。そして、各セグメントは、略同等の構成となり、セグメント同士の連結にて目地部分に目地材が配置されることとなる。
【0013】
請求項4記載のセグメントの目地構造では、前記Aセグメント21Aと一方のBセグメント21B2は、坑口側Eの円周方向a端面と一方の軸線方向b端面の略L字状の目地材35A,35B2を付設し、
他方のBセグメント21B1は、坑口側Eの円周方向a端面のみの略I字状の目地材35B1を付設し、
前記Kセグメント21Kは、坑口側Eの円周方向a端面と2つの軸線方向b端面の略コ字状の目地材35Kを付設したものであることを特徴とする。
【0014】
このセグメントの目地構造では、A,B1,B2,K各セグメントのそれぞれの形状に合せて、目地材35A,35B1,35B2,35Kが付設され、各セグメントを組み立てた際の、最適な組み合わせとなる。すなわち、各セグメントを組み立てる順序の方向に応じて目地材が位置することとなり、組立時の目地材の脱落などを起こすことがなく、その作業性を向上させることができ、かつ、各セグメント間において、無駄なく目地材が配置され構成されることとなる。
【0015】
請求項5記載のセグメントの目地構造は、前記セグメント(21)に付設された略L字状、略I字状及び略コ字状の各目地材(35)の両端部35bは、前記目地面形成凸部37のみがセグメント端47まで延出したことを特徴とする。
【0016】
このセグメントの目地構造では、隣接するセグメントや隣接するセグメント同士のL字状角部35aと他の目地材端部35bとの連結部で、面状に不連続となる目地面形成凸部37が、目地材端部35bから延出させた略舌状の目地面形成凸部37で埋められる。
【0017】
請求項6記載のセグメントの目地構造は、前記セグメント(21)に付設された略L字状、略I字状及び略コ字状の各目地材(35)の両端部35bは、前記セグメント端47まで延出され、かつ延出端部35bが構造物外面側から構造物内面側に向かって徐々に薄厚となる傾斜面49で形成されたことを特徴とする。
【0018】
このセグメントの目地構造では、隣接するセグメントや隣接するセグメント同士のL字状角部35aと他の目地材端部35bとの連結部で、面状に不連続となる目地面形成凸部37が、目地材端部35bから延出させた略舌状の傾斜面部49で埋められ、例えば、この傾斜面部49が弾性変形して密着することで埋められる。また、この効果を得るための端部加工が、目地材端部35bの斜め切断のみで可能となる。
【0019】
請求項7記載のセグメントの目地構造は、前記目地材35には、アンカー脚片43が突設され、該アンカー脚片43が前記セグメント21に予め埋入されたことを特徴とする。
【0020】
このセグメントの目地構造では、目地材35がセグメント21に高強度に一体化され、部品点数が削減されるとともに、施工が容易となり、かつセグメント21からの目地材35の脱落防止強度が高まる。
【0021】
請求項8記載のセグメントの目地構造は、前記セグメント21の4辺の端面に前記目地材嵌入溝29が形成され、前記目地材35の嵌入半分が前記目地材嵌入溝29に予め接着固定されたことを特徴とする。
【0022】
このセグメントの目地構造では、それぞれ単体で製作したセグメント21と目地材35とが予め接着固定され、目地材35のセグメント21への付設が容易となる。
【0023】
請求項9記載のセグメントの目地構造は、前記セグメント51が、湾曲内面に、樹脂板を被着してなることを特徴とする。
【0024】
このセグメントの目地構造では、構造物内周面23aの腐食、セグメント本体の素材であるコンクリートの崩落等が防止される。
【0025】
請求項10記載のセグメントの目地構造は、前記目地材353が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部51を有したことを特徴とする。
【0026】
このセグメントの目地構造では、目地材353にクッション性が付与され、反発力が高まり、高い密着度が得られるようになる。
【0027】
請求項11記載のセグメントの目地構造は、前記目地材354が、複数の発泡部53を有したことを特徴とする。
【0028】
このセグメントの目地構造では、目地材354にクッション性が付与され、反発力が高まり、高い密着度が得られるようになるとともに、発泡部53によってヘタリ難くなり、クッション性の長期間維持が可能となる。
【0029】
請求項12記載のシールドセグメントトンネルの構築方法は、複数のAセグメント21Aと、一対となるB1セグメント21B1とB2セグメント21B2と、該B1,B2セグメントの間に組み込まれるKセグメント21Kとで周方向にそれぞれ連結してセグメントリングを構築し、該セグメントリングをトンネル軸方向bに順次連結し構成するとともに、シールドトンネルにおける内周面23aに表出する各セグメント同士の目地に目地材35を介在させて防水シールを行うシールドセグメントトンネルの構築方法であって、
前記各Aセグメント21Aには、周方向aと軸方向bとの隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成されるとともに、他の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する中途が屈曲した略L字状の前記目地材35Aが一部分を前記端面から突出して付設され、
前記B1セグメント21B1には、周方向aの1辺とこれの一方の端部に連続する軸方向bに平行な1辺と他方の端部に連続する軸方向bに対し斜めの1辺の各端面に目地材嵌入溝29が形成されるとともに、他の周方向aの1辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する略I字状の前記目地材35B1が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記B2セグメント21B2には、周方向aと軸方向bに斜めな方向の隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成されるとともに、他の周方向aと軸方向bに平行な方向の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する中途が屈曲した略L字状の前記目地材35B2が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記Kセグメント21Kには、周方向aの長尺な1辺の端面に目地材嵌入溝29が形成されるとともに、周方向aの短尺な1辺とこれの両端に連続する軸方向bに斜めな2辺の各端面に前記各Bセグメント21B1,21B2の目地材嵌入溝29に嵌入する略コ字状の前記目地材35Kが一部分を前記端面から突出して付設され、
前記目地材35A,35B1,35B2,35Kには、前記セグメントの内周面と同一面となる目地面形成凸部37が設けられるとともに、突出側には該目地面形成凸部37より低い段差部39が形成され、
前記目地材嵌入溝29のセグメント内周面側の溝開口縁には、前記段差部39に嵌る内周面延出凸部41が形成されており、
前記Aセグメント21Aを周方向aに複数連結した後、前記B1セグメント21B1及びB2セグメント21B2を連結して、該B1,B2セグメントの軸方向に斜めな辺の対向端面間に、前記Kセグメント21Kを軸方向から差し込むように装着して、該Kセグメント21Kに突設された目地材35Kを、先に構築されたセグメントリングの周方向端面と、前記B1,B2セグメントの軸方向に斜めな端面とに形成された前記目地材嵌入溝29へ嵌入させ、前記セグメントリングとし、順次これを繰り返しシールドトンネルを構築することを特徴とする。
【0030】
このシールドセグメントトンネルの構築方法では、複数のAセグメント21Aを連結した後、B1及びB2セグメント21B1,21B2を連結して、これらB1,B2セグメントの軸方向に斜めな辺の対向端面間に、Kセグメント21Kを軸方向から差し込むように装着する。そして、Kセグメント21Kに突設された目地材35Kを、先に構築されたセグメントリングの周方向端面と、B1,B2セグメントの軸方向に斜めな端面とに形成された目地材嵌入溝29へ嵌入させ、セグメントリングとし、順次これを繰り返すことでシールドトンネルが構築される。
【0031】
請求項13記載のシールドセグメントトンネルの構築方法は、前記目地材が付設される周方向aの端面は、坑口側Eとなる端面とされることを特徴とする。
【0032】
このシールドセグメントトンネルの構築方法では、目地材35の付設される位置として、周方向aの端面においては、坑口側Eとしたことで、シールドマシンが掘削を行う後方で、順次セグメントの組み立てが行え、かつその組み立て方向がシールドマシンの進行方向と逆方向であることから、ジャッキ圧による組み付け力を得ることができ、セグメントの組み立て施工性として向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る請求項1記載のセグメントの目地構造によれば、一方のセグメントに予め付設された目地材が、他方のセグメントの目地材嵌入溝に嵌入され、セグメント同士が連結されて行くことで、目地の防水シールが完成される。したがって、コーキング作業等の熟練技術が不要となる。また、坑内でのバッテリー台車等を待避しながらの危険な作業がなくなる。そして、コーキング作業のための環境改善のための結露除去設備、換気設備も不要となる。さらに、コーキング作業時に発生するコーキング容器、マスキング等の大量の廃棄物が削減可能となる。また、内周面延出凸部によって目地材の脱落が効果的に阻止される。この結果、施工環境に左右されず、良好な施工性の下に、廃棄物を低減しながら、止水性の高い構造物を短工期で構築することができる。
【0034】
請求項2記載のセグメントの目地構造によれば、構造物を構築する複数のセグメントが、複数のAセグメントと、1つのKセグメントと、該Kセグメントの両側に配置される一対のBセグメントとで構成され、これら各セグメントによって、坑内における円周方向が、略リング状に形成されることとなる。そして特にKセグメントを、各セグメントの連結時におけるその順序の最後とすることで、リング状となる構造物の構築の作業性が向上する。
【0035】
請求項3記載のセグメントの目地構造によれば、目地材の形状を、坑口側の円周方向端面と軸線方向端面の目地材を略L字状とし、付設することで、各々の形状が中途を屈曲形成した目地材であることから、予め略L字状に目地材を製作しておき、各セグメントに付設が行える。そして、各セグメントは、略同等の構成となり、セグメント同士の連結にて目地部分に目地材が配置されることとなる。
【0036】
請求項4記載のセグメントの目地構造によれば、Aセグメントと一方のBセグメントでは、坑口側の円周方向端面と一方の軸線方向端面の略L字状の目地材を付設して、他方のBセグメントでは、坑口側の円周方向端面のみの略I字状の目地材を付設し、Kセグメントでは、坑口側の円周方向端面と2つの軸線方向端面の略コ字状の目地材を付設した構成としたので、A,B1,B2,Kの各セグメントのそれぞれの形状に合せて、目地材が付設され、各セグメントを組み立てた際の、最適な組み合わせとなる。すなわち、各セグメントを組み立てる順序の方向に応じて目地材が位置することとなり、組立時の目地材の脱落などを起こすことがなく、その作業性を向上させることができ、かつ、各セグメント間において、無駄なく目地材が配置され構成されることとなる。
【0037】
請求項5記載のセグメントの目地構造によれば、隣接するセグメントや隣接するセグメント同士のL字状角部と他の目地材端部との連結部で、面状に不連続となる目地面形成凸部が、目地材端部から延出させた略舌状の目地面形成凸部で埋めることができ、止水性、見栄えを向上させることができるとともに、構造物内周面の凹凸を無くし、流下物の引っ掛かりを防止して、流水性を向上させることができる。
【0038】
請求項6記載のセグメントの目地構造によれば、隣接するセグメントや隣接するセグメント同士のL字状角部と他の目地材端部との連結部で、面状に不連続となる目地面形成凸部が、目地材端部から延出させた略舌状の傾斜面部で埋められ、例えば、この傾斜面部が弾性変形して密着することができ、止水性、見栄えを向上させることができるとともに、構造物内周面の凹凸を無くし、流下物の引っ掛かりを防止して、流水性を向上させることができる。これに加え、目地材端部の加工を斜め切断のみとすることができ容易に製作することができる。
【0039】
請求項7記載のセグメントの目地構造によれば、目地材に、アンカー脚片を突設し、このアンカー脚片をセグメントに埋入したので、目地材をセグメントに高強度に一体化させることができ、部品点数の削減が図れるとともに、施工性を容易にし、かつセグメントからの目地材の脱落防止強度を大幅に高めることができる。
【0040】
請求項8記載のセグメントの目地構造によれば、セグメントの4辺の端面に目地材嵌入溝を形成し、目地材の嵌入半分を目地材嵌入溝に予め接着固定したので、それぞれ単体で製作したセグメントと目地材とを現場搬入以前に予め接着固定することができ、目地材のセグメントへの付設を容易にすることができる。
【0041】
請求項9記載のセグメントの目地構造によれば、セグメントが、湾曲内面に樹脂板を被着してなるので、構造物内周面の腐食、セグメント本体部分の素材であるコンクリートの崩落等を防止することができる。
【0042】
請求項10記載のセグメントの目地構造によれば、目地材が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部を有するので、目地材にクッション性を付与し、反発力を向上させて、高い密着度が得られるようになり、止水性を向上させることができる。
【0043】
請求項11記載のセグメントの目地構造によれば、目地材が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部に内設される発泡部を有したので、目地材にクッション性を付与し、反発力を向上させて、高い密着度が得られるようになり、止水性を向上させることができ、かつ発泡部によってヘタリを無くし、クッション性の長期間維持が可能となる。
【0044】
請求項12記載のシールドセグメントトンネルの構築方法によれば、複数のAセグメントを連結した後、B1及びB2セグメントを連結して、これらB1,B2セグメントの軸方向に斜めな辺の対向端面間に、Kセグメントを軸方向から差し込むように装着し、Kセグメントに突設された目地材を、先に構築されたセグメントリングの周方向端面と、B1,B2セグメントの軸方向に斜めな端面とに形成された目地材嵌入溝へ嵌入させ、セグメントリングとし、順次これを繰り返すことでシールドトンネルが構築される手順とされることから、各セグメントの連結が、その連結される方向に目地材が位置しており、各目地材は、対する目地材嵌入溝に順次嵌入し、セグメント同士が連結されることとなり、連結時の目地材の脱落などが起こりにくくなる。
【0045】
請求項13記載のシールドセグメントトンネルの構築方法によれば、前記目地材が付設される周方向の端面は、坑口側となる端面とされる構成とされ、この目地材の付設される位置として、周方向の端面において坑口側であり、シールドマシンが掘削を行う後方で、順次セグメントの組み立てが行え、かつその組み立て方向がシールドマシンの進行方向と逆方向であることから、ジャッキ圧による組み付け力を得ることができ、セグメントの組み立て施工性として向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明に係るセグメントの目地構造の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る目地構造の要部分解断面図、図2は本発明に係る目地構造が適用されるコンクリート構造物の斜視図、図3は図2に示したセグメントの連結状態を表す展開状態を示す平面図、図4は図3に示したセグメントの連結前を(a)、連結後を(b)に示した模式図、図5は図3の要部拡大平面図、図6は図5のA−A矢視図である。
本実施の形態に係る目地構造は、例えば図2に示すように、平面視矩形状の湾曲した複数のセグメント21を円周方向a及び軸線方向bに相互に連結して円筒形の構造物(トンネルの壁体)23を構築するシールド工法に好適に用いることができる。シールド工法では、シールドマシンで地盤を掘進しつつ、シールドマシンの後方で、掘削部の周囲内壁面に沿ってセグメント21を順次組み立てることによってトンネルの壁体23を構築する。
【0047】
図3の展開図に示すように、セグメント21は、千鳥状に連結されて行くことになる。図4に示すように、セグメント21の隣接2辺25,27の端面には目地材嵌入溝29が連続形成されている。また、セグメント21の他の隣接する2辺31,33の端面には目地材嵌入溝29に嵌入する目地材35が一部分を端面から突出して付設されている。すなわち、トンネルの壁体23の内周面に表出するセグメント21同士の目地は、目地材35によって防水シールされる。
【0048】
図1に示すように、目地材35には、トンネルの壁体23の内周面23a(図2参照)と同一面となる目地面形成凸部37が設けられるとともに、突出側にはこの目地面形成凸部37より低い段差部39が形成されている。この目地面形成凸部37は、セグメント21同士が連結されると、連結されたセグメント21、21同士の内周面23a、23a同士を連続させることになる。これにより、トンネルの壁体23の内周面23aを平滑に形成できるようになっている。
【0049】
一方、図1に示すように、目地材嵌入溝29の内周面23a側の溝開口縁には、段差部39に嵌る内周面延出凸部41が形成されている。これにより、セグメント21同士が連結されると、内周面延出凸部41が段差部39に上方から被さるようになり、すなわち、略奥拡がり形状の溝となって目地材35の脱落が確実に防止されるようになっている。
【0050】
また、目地材35には先端が膨出部43aとなったアンカー脚片43が突設され、アンカー脚片43はセグメント21に埋入されている。セグメント21は、目地材35に、アンカー脚片43を突設し、このアンカー脚片43を埋入したので、目地材35をセグメント21に高強度に一体化させることができ、部品点数の削減が図れるとともに、施工性を容易にし、かつセグメント21からの目地材35の脱落防止強度を大幅に高めることができるようになっている。
【0051】
ところで、図5に示すように、隣接する一方のセグメント21に付設された目地材35のL字状角部35aに、他方のセグメント21に付設された目地材35の端部35bが当接した場合、段差部39上に、図中斜線で示した目地面形成凸部37の不連続部45が形成されてしまう。そこで、セグメント21の隣接2辺にL字状となって付設された目地材35の両端部35bは、図6(a)及び図6(b)に示すように、目地面形成凸部37のみがセグメント端まで延出した舌片部37aとなっている。
【0052】
セグメント21の隣接2辺にL字状となって付設された目地材35の両端部35bにおいて、目地面形成凸部37のみがセグメント端47(図5参照)まで延出したので、隣接するセグメント21同士のL字状角部35aと他の目地材端部35bとの連結部で、不連続となる目地面形成凸部37を、略舌状の目地面形成凸部(舌片部37a)で埋めることができ、止水性、見栄えを向上させることができるとともに、内周面23aの凹凸を無くし、流下物の引っ掛かりを防止して、流水性を向上させることができる。
【0053】
また、目地材35は、図6(a)(b)に示した舌片部37aの変形例として、図7(a)(b)に示すように、端部35bがセグメント端47まで延出され、かつ延出端部35bが壁体23の外面側から壁体23の内面側に向かって徐々に薄厚となる略くさび状傾斜面49で形成されてもよい。このように、端部35bを、徐々に薄厚となる傾斜面49で形成すれば、不連続となる目地面形成凸部37を、端部35bから延出させた略舌状の傾斜面49部で埋められ、例えば、この傾斜面部49が弾性変形して密着することができ、止水性、見栄えを向上させることができるとともに、内周面23aの凹凸を無くし、流下物の引っ掛かりを防止して、流水性を向上させることができる。これに加え、上記効果を付与するための目地材端部35bの加工を斜め切断のみとすることができ容易に製作することができる。
【0054】
以上のように目地材35を予め付設したセグメント21は、例えば特開平8−21195号公報に開示される水平コッターを有するほぞ式セグメント構造によって連結することができる。この連結構造では、セグメント21の隣接セグメント21に対する継手面切羽側に、水平方向に雌コッター金具が配設され、セグメント21のリング継手面には互いに嵌合する雌ほぞ及び雄ほぞが配設される。また、相隣るセグメント21の継手面に設けられた雌コッター金具間に亘って雄コッター金具が嵌合され、セグメント21及び先行組立セグメント21のリング継手面にそれぞれ設けられた雌雄のほぞが嵌合され、かつ通しボルトで締結されるように構成される。
【0055】
セグメント21は隣接セグメント21に対する継手面切羽側に水平方向に雌コッター金具が配設されているので、セグメント継手の締結に際しては、隣接するセグメント21のリング継手面に向けて切羽側からH形雄コッター金具を同各セグメント21に埋設された雌コッター金具に挿入することによって行なわれる。一方、セグメント21のリング継手の締結に際しては、同セグメント21のリング継手面に設けられた雌ほぞに、切羽側に搬入され、新たに組立てられるセグメント21のリング継手面に設けられた雄ほぞを嵌合し、水平雌コッター金具に雄コッター金具を圧入すると、同コッター金具の打込みによる引寄せ効果により雄ほぞが既設リングの雌ほぞに確実に嵌合し、雌雄のほぞを通しボルトで締結することと相俟ってほぞのせん断力伝達能力と水平コッターの張力伝達能力の組合せによってリングが形成される。
【0056】
なお、セグメント21は、湾曲内面に、不図示の樹脂板を被着してなることが好ましい。セグメント21が、湾曲内面に樹脂板を被着してなるものであれば、内周面23aの腐食、セグメント本体部分の素材であるコンクリートの崩落等を防止することができる。この樹脂板は、上記したセグメント21を目地材35と一体化させる製造時に、同時に被着することが好ましく、例えば樹脂板の一方の面に複数の凸部を予め形成してこれら凸部が埋没するようにコンクリートを成型してセグメント21としての湾曲内面に一体化とすることとする。
【0057】
上記のセグメントの目地構造によれば、セグメント21の隣接2辺25,27に目地材嵌入溝29を連続形成し、他の隣接する2辺31,33に目地材35を予め付設し、目地材35にはトンネルの壁体23の内周面23aと同一面となる目地面形成凸部37とこの目地面形成凸部37より低い段差部39とを形成し、目地材嵌入溝29には段差部39に嵌る内周面延出凸部41を形成したので、一方のセグメント21に予め付設された目地材35を、他方のセグメント21の目地材嵌入溝29に嵌入させながら、セグメント21同士を連結して行くことで、目地の防水シールを完成させることができる。
【0058】
したがって、コーキング作業等の熟練技術が不要となる。また、坑内を移動するバッテリー台車等を待避しながらの危険な作業がなくなる。そして、コーキング作業等のための環境改善のための結露除去設備、換気設備も不要となる。さらに、コーキング作業時に発生するコーキング容器、マスキング等の大量の廃棄物を削減することができる。また、内周面延出凸部41によって目地材35の脱落を効果的に阻止することができる。この結果、施工環境に左右されず、良好な施工性の下に、廃棄物を低減しながら、止水性の高いトンネルの壁体23を短工期で構築することができる。
【0059】
なお、上述したセグメントについて、平面視矩形状、すなわち各辺が略直角に接続されて、板面が湾曲した形状とされて、それぞれが千鳥状に連結されるとの説明としたが、図8(b),図9(b)の展開図に示すように、各セグメントは、円周方向aに連結される状態、すなわちセグメントリングとなる状態で、上記セグメント21と略同形状の複数のAセグメント21Aと、一対となるB1セグメント21B1とB2セグメント21B2と、これらB1セグメント21B1とB2セグメント21B2との間に配設される1つのKセグメント21Kとで構成される。これらセグメントのAセグメント21Aは、上述同様矩形状とされ、B1セグメント21B1とB2セグメント21B2は、周方向aの一方の端部となる一辺が斜めに形成され、Kセグメント21Kは、周方向aとなる平行2辺が長短一対となり2つの斜辺とで略台形状に形成されている。
【0060】
そして、図8に示すように、各セグメントの目地材嵌入溝と、各セグメントに付設される目地材とは、まず、複数で構成されるAセグメント21Aにおいては、周方向aと軸方向bとの隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成されるとともに、他の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する中途が屈曲した略L字状の目地材35Aが一部分を端面から突出して付設されており、また、B1セグメント21B1では、周方向aの1辺とこれの一方の端部に連続する軸方向bに平行な1辺と他方の端部に連続する軸方向bに対し斜めの1辺の各端面に目地材嵌入溝29が形成されるとともに、他の周方向aの1辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する略真直な略I字状の目地材35B1が一部分を端面から突出して付設され、B2セグメント21B2は、周方向aと軸方向bに斜めな方向の隣接2辺の端面に目地材嵌入溝29が連続形成されるとともに、他の周方向aと軸方向bに平行な方向の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝29に嵌入する中途が屈曲した略L字状の目地材35B2が一部分を端面から突出して付設され、さらに、Kセグメント21Kにおいては、周方向aの長尺な1辺の端面に目地材嵌入溝29が形成されるとともに、周方向aの短尺な1辺とこれの両端に連続する軸方向bに斜めな2辺の各端面にB1セグメント21B1とB2セグメント21B2の目地材嵌入溝29に嵌入する略コ字状の目地材35Kが一部分を端面から突出して付設される。なお、図8中上側を切羽側Eとし、下側を坑口側Tとしており、すなわちトンネルを掘削し構築する際の、シールドマシンの進行(掘削)方向が切羽側Eであり、掘削されてトンネル壁面が順次構築される側が坑口側Tとなる。そして、これらセグメント21A,21B1,21B2,21Kは、シールドマシンの後部にて順次組み着けられることから、各目地材における円周方向a端面の目地材は、坑口側Tの端面に予め付設される。
【0061】
各セグメントの具体的な組み立て手順としては、各セグメントには、予め目地材が付設され、坑内に搬入となる。坑内おいて、まず、シールドマシンの後方位置で複数のAセグメント21Aを順次上述同様に連結し、先行して組み立てる。各Aセグメント21Aが連結された状態で、坑内における略天井部分に、周方向aの間隙が位置することとなる。すなわち、この間隙に、B1セグメント21B1とB2セグメント21B2とKセグメント21Kが配置され連結されることとなる。
【0062】
次に、BセグメントにおけるL字状に目地材を付設したB2セグメント21B2を、上記間隙間における一方のAセグメント21Aに隣接させて連結する(図9(a)参照)。この状態においては、B2セグメント21B2の斜辺が切羽側Eを向く。次にBセグメントにおけるI字状の目地材35B1を付設したB1セグメント21B1を、上記間隙における他方のAセグメント21Aに隣接させて連結する。このときに、B1セグメント21B1と、B2セグメント21B2との間に、狭い間隙が形成されることとなり、軸線方向bに斜めな方向の目地材が付設されない端面、すなわち、目地材嵌入溝29同士が、互いに向かい合うこととなる。
【0063】
次に、B1セグメント21B1と、B2セグメント21B2との間に、Kセグメント21Kが組み着けられる。このKセグメント21Kは、軸線方向bに真直に、差し込むように組み付けることで、B1,B2セグメントの対向する斜辺とKセグメント21Kの両側斜辺とが対向することとなり、このKセグメント21Kの目地材35Kの突出部分がB1,B2セグメントの各目地材嵌入溝29内に嵌入し、また、先にリング状に組み立てられたセグメントの目地材嵌入溝に嵌入することとなる。
【0064】
そして、これによりリングが形成され(図9(b)参照)、各Aセグメント21A,B1セグメント21B1,B2セグメント21B2,Kセグメント21Kは、それぞれに付設される略L字状、略I字状、略コ字状の目地材をそれぞれに選択して取り付けられることから目地材同士が重なるなどの不具合もなく、目地部分に目地材35A,35B1,35B2,35Kが介在されるようになり、特に、B1,B2,Kセグメントにおける目地材形状の組み合わせで、セグメント同士の連結がスムースに行うことが出来て、これを順次繰り返すことでシールドセグメントトンネルが構築される。
【0065】
次に、上記した実施の形態による目地構造の変形例を説明する。
図10は目地構造の変形例1を表す要部拡大断面図、図11は目地構造の変形例2を表す要部拡大断面図、図12は目地構造の変形例3を表す要部拡大断面図、図13は目地構造の変形例4を表す要部拡大断面図である。
目地構造は、アンカー脚片43が設けられる場合、セグメント21と目地材35との固定が強固となるので、図10に示すように、目地材351を付設する側の目地材嵌入溝29Aを簡素にすることができる。
【0066】
また、目地構造は、図11に示すように、セグメント21の4辺の端面に目地材嵌入溝29が形成され、目地材352の嵌入半分が目地材嵌入溝29に予め接着固定されるものであってもよい。この場合、アンカー脚片43が省略される。このように、セグメント21の4辺の端面に目地材嵌入溝29を形成し、目地材352の嵌入半分を目地材嵌入溝29に予め接着固定すれば、それぞれ単体で製作したセグメント21と目地材352とを現場搬入前に予め接着固定することができ、目地材352のセグメント21への付設を容易にすることができる。
【0067】
また、目地構造は、図12に示すように、目地材353が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部51を有するもの、すなわち管状に形成されるものであってもよい。このように、目地材353が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部51を備えれば、目地材353にクッション性を付与し、反発力を向上させて、高い密着度が得られるようになり、止水性を向上させることができる。
【0068】
さらに、目地構造は、図13に示すように、目地材354が、複数の発泡部53を備えても良い。このように、目地材354が、複数の発泡部53を有することで、目地材354にクッション性を付与し、反発力を向上させて、高い密着度が得られるようになり、止水性を向上させることがでる。これに加え、発泡部53によってヘタリを無くし、クッション性の長期間維持を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る目地構造の要部分解断面図である。
【図2】本発明に係る目地構造が適用されるコンクリート構造物の斜視図である。
【図3】図2に示したセグメントの連結状態を表す展開状態を示す平面図である。
【図4】図3に示したセグメントの連結前を(a)、連結後を(b)に示した模式図である。
【図5】図3の要部拡大平面図である。
【図6】図5のA−A矢視図を(a)、斜視図を(b)で示した図である。
【図7】舌片部の変形例を示した図である。
【図8】セグメントの構成をA,B1,B2,Kセグメントとした変形例の各セグメント本体と目地材との分解図を(a)、各目地材を取り付けた状態の各セグメント平面図を(b)に示した図である。
【図9】A,B1,B2,Kの各セグメントの連結手順を示す展開状態の平面図を(a)、各セグメントの連結状態を示す展開状態の平面図を(b)に示した図である。
【図10】目地構造の変形例1を表す要部拡大断面図である。
【図11】目地構造の変形例2を表す要部拡大断面図である。
【図12】目地構造の変形例3を表す要部拡大断面図である。
【図13】目地構造の変形例4を表す要部拡大断面図である。
【図14】従来の目地材を用いた目地構造の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
21…セグメント
21A…Aセグメント
21B1…B1セグメント
21B2…B2セグメント
21K…Kセグメント
23…構造物(トンネルの壁体)
23a…内周面
29…目地材嵌入溝
35…目地材
35b…目地材の両端部
35A…Aセグメント用目地材
35B1…B1セグメント用目地材
35B2…B2セグメント用目地材
35K…Kセグメント用目地材
37…目地面形成凸部
39…段差部
41…内周面延出凸部
43…アンカー脚片
49…傾斜面
51…中空部
53…発泡部
a…円周方向
b…軸線方向
E…切羽側
T…坑口側
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した複数のセグメントを円周方向及び軸線方向に相互に連結して円筒形の構造物を構築するに際し、構造物の内周面に表出するセグメント同士の目地に目地材を介在させて防水シールするセグメントの目地構造であって、
前記セグメントの4辺の端面に目地材嵌入溝が連続形成され、
前記セグメントの坑口側の円周方向端面と、隣接するセグメント間におけるいずれか一方のセグメントの軸線方向の端面の前記目地材嵌入溝に目地材を前記端面から一部が突出して付設され、
前記目地材には、前記構造物の内周面と同一面となる目地面形成凸部が設けられるとともに、突出側には該目地面形成凸部より低い段差部が形成され、
隣接セグメントの目地材嵌入溝の溝開口縁には、前記段差部に嵌る内周面延出凸部が形成されたことを特徴とするセグメントの目地構造。
【請求項2】
前記構造物を構築するセグメントが、複数のAセグメントと、1つのKセグメントと、該Kセグメントの両側に配置される一対のBセグメントから構成されたことを特徴とする請求項1記載のセグメントの目地構造。
【請求項3】
前記目地材は、坑口側の円周方向端面と軸線方向端面の目地材を略L字状となって付設されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のセグメントの目地構造。
【請求項4】
前記Aセグメントと一方のBセグメントは、坑口側の円周方向端面と一方の軸線方向端面の略L字状の目地材を付設し、
他方のBセグメントは、坑口側の円周方向端面のみの略I字状の目地材を付設し、
前記Kセグメントは、坑口側の円周方向端面と2つの軸線方向端面の略コ字状の目地材を付設したものであることを特徴とする請求項2記載のセグメントの目地構造。
【請求項5】
前記セグメントに付設された略L字状、略I字状及び略コ字状の各目地材の両端部は、前記目地面形成凸部のみがセグメント端まで延出したことを特徴とする請求項4記載のセグメントの目地構造。
【請求項6】
前記セグメントに付設された略L字状、略I字状及び略コ字状の各目地材の両端部は、前記セグメント端まで延出され、かつ延出端部が構造物外面側から構造物内面側に向かって徐々に薄厚となる傾斜面で形成されたことを特徴とする請求項4記載のセグメントの目地構造。
【請求項7】
前記目地材には、アンカー脚片が突設され、該アンカー脚片が前記セグメントに予め埋入されたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項8】
前記セグメントの4辺の端面に前記目地材嵌入溝が形成され、前記目地材の嵌入半分が前記目地材嵌入溝に予め接着固定されたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項9】
前記セグメントが、湾曲内面に、樹脂板を被着してなることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項10】
前記目地材が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部を有したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項11】
前記目地材が、複数の発泡部を有したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項12】
複数のAセグメントと、一対となるB1セグメントとB2セグメントと、該B1,B2セグメントの間に組み込まれるKセグメントとで周方向にそれぞれ連結してセグメントリングを構築し、該セグメントリングをトンネル軸方向に順次連結し構成するとともに、シールドトンネルにおける内周面に表出する各セグメント同士の目地に目地材を介在させて防水シールを行うシールドセグメントトンネルの構築方法であって、
前記各Aセグメントには、周方向と軸方向との隣接2辺の端面に目地材嵌入溝が連続形成されるとともに、他の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝に嵌入する中途が屈曲した略L字状の前記目地材が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記B1セグメントには、周方向の1辺とこれの一方の端部に連続する軸方向に平行な1辺と他方の端部に連続する軸方向に対し斜めの1辺の各端面に目地材嵌入溝が形成されるとともに、他の周方向の1辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝に嵌入する略I字状の前記目地材が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記B2セグメントには、周方向と軸方向に斜めな方向の隣接2辺の端面に目地材嵌入溝が連続形成されるとともに、他の周方向と軸方向に平行な方向の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝に嵌入する中途が屈曲した略L字状の前記目地材が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記Kセグメントには、周方向の長尺な1辺の端面に目地材嵌入溝が形成されるとともに、周方向の短尺な1辺とこれの両端に連続する軸方向に斜めな2辺の各端面に前記各Bセグメントの目地材嵌入溝に嵌入する略コ字状の前記目地材が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記目地材には、前記セグメントの内周面と同一面となる目地面形成凸部が設けられるとともに、突出側には該目地面形成凸部より低い段差部が形成され、
前記目地材嵌入溝のセグメント内周面側の溝開口縁には、前記段差部に嵌る内周面延出凸部が形成されており、
前記Aセグメントを周方向に複数連結した後、前記B1セグメント及びB2セグメントを連結して、該B1,B2セグメントの軸方向に斜めな辺の対向端面間に、前記Kセグメントを軸方向から差し込むように装着して、該Kセグメントに突設された目地材を、先に構築されたセグメントリングの周方向端面と、前記B1,B2セグメントの軸方向に斜めな端面とに形成された前記目地材嵌入溝へ嵌入させ、前記セグメントリングとし、順次これを繰り返しシールドトンネルを構築することを特徴とするシールドセグメントトンネルの構築方法。
【請求項13】
前記目地材が付設される周方向の端面は、坑口側となる端面とされることを特徴とする請求項12記載のシールドセグメントトンネルの構築方法。
【請求項1】
湾曲した複数のセグメントを円周方向及び軸線方向に相互に連結して円筒形の構造物を構築するに際し、構造物の内周面に表出するセグメント同士の目地に目地材を介在させて防水シールするセグメントの目地構造であって、
前記セグメントの4辺の端面に目地材嵌入溝が連続形成され、
前記セグメントの坑口側の円周方向端面と、隣接するセグメント間におけるいずれか一方のセグメントの軸線方向の端面の前記目地材嵌入溝に目地材を前記端面から一部が突出して付設され、
前記目地材には、前記構造物の内周面と同一面となる目地面形成凸部が設けられるとともに、突出側には該目地面形成凸部より低い段差部が形成され、
隣接セグメントの目地材嵌入溝の溝開口縁には、前記段差部に嵌る内周面延出凸部が形成されたことを特徴とするセグメントの目地構造。
【請求項2】
前記構造物を構築するセグメントが、複数のAセグメントと、1つのKセグメントと、該Kセグメントの両側に配置される一対のBセグメントから構成されたことを特徴とする請求項1記載のセグメントの目地構造。
【請求項3】
前記目地材は、坑口側の円周方向端面と軸線方向端面の目地材を略L字状となって付設されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のセグメントの目地構造。
【請求項4】
前記Aセグメントと一方のBセグメントは、坑口側の円周方向端面と一方の軸線方向端面の略L字状の目地材を付設し、
他方のBセグメントは、坑口側の円周方向端面のみの略I字状の目地材を付設し、
前記Kセグメントは、坑口側の円周方向端面と2つの軸線方向端面の略コ字状の目地材を付設したものであることを特徴とする請求項2記載のセグメントの目地構造。
【請求項5】
前記セグメントに付設された略L字状、略I字状及び略コ字状の各目地材の両端部は、前記目地面形成凸部のみがセグメント端まで延出したことを特徴とする請求項4記載のセグメントの目地構造。
【請求項6】
前記セグメントに付設された略L字状、略I字状及び略コ字状の各目地材の両端部は、前記セグメント端まで延出され、かつ延出端部が構造物外面側から構造物内面側に向かって徐々に薄厚となる傾斜面で形成されたことを特徴とする請求項4記載のセグメントの目地構造。
【請求項7】
前記目地材には、アンカー脚片が突設され、該アンカー脚片が前記セグメントに予め埋入されたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項8】
前記セグメントの4辺の端面に前記目地材嵌入溝が形成され、前記目地材の嵌入半分が前記目地材嵌入溝に予め接着固定されたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項9】
前記セグメントが、湾曲内面に、樹脂板を被着してなることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項10】
前記目地材が、長手方向に直交する断面で閉じた中空部を有したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項11】
前記目地材が、複数の発泡部を有したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9のいずれか1つに記載のセグメントの目地構造。
【請求項12】
複数のAセグメントと、一対となるB1セグメントとB2セグメントと、該B1,B2セグメントの間に組み込まれるKセグメントとで周方向にそれぞれ連結してセグメントリングを構築し、該セグメントリングをトンネル軸方向に順次連結し構成するとともに、シールドトンネルにおける内周面に表出する各セグメント同士の目地に目地材を介在させて防水シールを行うシールドセグメントトンネルの構築方法であって、
前記各Aセグメントには、周方向と軸方向との隣接2辺の端面に目地材嵌入溝が連続形成されるとともに、他の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝に嵌入する中途が屈曲した略L字状の前記目地材が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記B1セグメントには、周方向の1辺とこれの一方の端部に連続する軸方向に平行な1辺と他方の端部に連続する軸方向に対し斜めの1辺の各端面に目地材嵌入溝が形成されるとともに、他の周方向の1辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝に嵌入する略I字状の前記目地材が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記B2セグメントには、周方向と軸方向に斜めな方向の隣接2辺の端面に目地材嵌入溝が連続形成されるとともに、他の周方向と軸方向に平行な方向の隣接2辺の端面に他のセグメントの目地材嵌入溝に嵌入する中途が屈曲した略L字状の前記目地材が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記Kセグメントには、周方向の長尺な1辺の端面に目地材嵌入溝が形成されるとともに、周方向の短尺な1辺とこれの両端に連続する軸方向に斜めな2辺の各端面に前記各Bセグメントの目地材嵌入溝に嵌入する略コ字状の前記目地材が一部分を前記端面から突出して付設され、
前記目地材には、前記セグメントの内周面と同一面となる目地面形成凸部が設けられるとともに、突出側には該目地面形成凸部より低い段差部が形成され、
前記目地材嵌入溝のセグメント内周面側の溝開口縁には、前記段差部に嵌る内周面延出凸部が形成されており、
前記Aセグメントを周方向に複数連結した後、前記B1セグメント及びB2セグメントを連結して、該B1,B2セグメントの軸方向に斜めな辺の対向端面間に、前記Kセグメントを軸方向から差し込むように装着して、該Kセグメントに突設された目地材を、先に構築されたセグメントリングの周方向端面と、前記B1,B2セグメントの軸方向に斜めな端面とに形成された前記目地材嵌入溝へ嵌入させ、前記セグメントリングとし、順次これを繰り返しシールドトンネルを構築することを特徴とするシールドセグメントトンネルの構築方法。
【請求項13】
前記目地材が付設される周方向の端面は、坑口側となる端面とされることを特徴とする請求項12記載のシールドセグメントトンネルの構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−197958(P2007−197958A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16293(P2006−16293)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(304063059)西日本シーアイ販売株式会社 (4)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(304063059)西日本シーアイ販売株式会社 (4)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
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