セグメントの継手構造及びこれを備えたセグメント
【課題】製造が容易で、既設セグメントと連結セグメントの間に若干のズレがあっても確実に連結することができ、連結したセグメントのトンネル軸方向への抜け出しを確実に防止することのできるセグメントの継手構造及びこれを備えたセグメントを提供する。
【解決手段】一対の軸方向壁1a,1bと、この軸方向壁1a,1bの外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレート3と、軸方向壁1a,1bとスキンプレート3の両端部に接合された周方向壁5a,5bとを備えたセグメントSの継手構造であって、この継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、一方の軸方向壁1aの外面側の長手方向に所定の間隔で取付けられた軸方向継手部材20と、他方の軸方向壁1bの内面側に軸方向継手部材20と対向して取付けられ、軸方向継手部材20が挿入されて係止片が内壁に係止する円筒上の拘束部材35とによって構成した。
【解決手段】一対の軸方向壁1a,1bと、この軸方向壁1a,1bの外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレート3と、軸方向壁1a,1bとスキンプレート3の両端部に接合された周方向壁5a,5bとを備えたセグメントSの継手構造であって、この継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、一方の軸方向壁1aの外面側の長手方向に所定の間隔で取付けられた軸方向継手部材20と、他方の軸方向壁1bの内面側に軸方向継手部材20と対向して取付けられ、軸方向継手部材20が挿入されて係止片が内壁に係止する円筒上の拘束部材35とによって構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内周の周方向及び軸方向に連結してトンネル壁を構築するセグメントの継手構造及びこれを備えたセグメントに係り、より詳しくは、セグメントを軸方向に連結するための継手構造及びこれを備えたセグメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセグメントの軸方向の継手に、トンネルの軸方向に位置する2つのセグメント部材のうち、一方のセグメント部材に設けられた雄継手と、前記一方のセグメント部材と相対する面に位置する他方のセグメント部材に設けられた雌継手とにより構成され、前記雄継手は、その一部である雄継手軸部が前記雌継手と嵌合する方向に突出した状態で、前記一方のセグメント部材に設置され、該雄継手軸部の表面に先端部を固定した板部材固定部と弾性変形可能な板部材変形部を有する板部材を配設し、前記雌継手は、前記板部材変形部が、窄まることにより前記雄継手を挿通できる大きさの雌継手孔部を有し、且つ挿通後、前記板部材変形部が弾性復帰して広がり、雌継手孔部の端部に掛合するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−161283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の嵌合継手は、構造が簡単でセグメントを軸方向にワンタッチで連結できるため、現場における施工作業が軽減され、工費と工期の低減効果を得ることができるが、雄継手は板状体で形成されており、これが嵌合する雌継手は矩形状に形成されているため、加工が面倒であるばかりでなく、雌継手と雄継手との間に上下や左右方向に若干のズレがあったり、仕上げにバラツキがあったりすると容易に嵌合できないという問題があった。また、既設のセグメントに次のセグメントを連結する場合、施工誤差等により両セグメントの間に若干のズレ(すき間)があると、連結できないという問題があった。なお、特許文献1には、雄継手軸部を円形や楕円形断面を有する棒状としてもよいとの記載があるが、その具体的構造については全く開示されていない。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、製造が容易で、既設セグメントと連結セグメントとの間に若干のズレがあっても容易かつ確実に連結することができ、その上連結したセグメントのトンネル軸方向への抜け出しを確実に防止することのできるセグメントの継手構造及びこれを備えたセグメントを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一対の軸方向壁と、該軸方向壁の外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記軸方向壁とスキンプレートの両端部に接合された周方向壁とを備えたセグメントの継手構造であって、該継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、前記一方の軸方向壁の外周側の長手方向に所定の間隔で設けられた軸方向継手部材と、前記他方の軸方向壁に前記軸方向継手部材と対向して設けられ、前記軸方向継手部材が挿入されて前記係止片が該他方の軸方向壁の内壁面に係止する連結穴と、前記係止片の拡径を拘束する拘束部材とによって構成したものである。
【0007】
また、本発明は、一対の軸方向壁と、該軸方向壁の外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記軸方向壁とスキンプレートの両端部に接合された周方向壁とを備えたセグメントの継手構造であって、該継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、前記一方の軸方向壁の外面側の長手方向に所定の間隔で取付けられた軸方向継手部材と、前記他方の軸方向壁の内面側に前記軸方向継手部材と対向して取付けられ、軸方向継手部材が挿入されて前記係止片が内壁に係止する円筒状の拘束部材とによって構成したものである。
【0008】
上記の軸方向継手部材を、基部、該基部に連続する小径部、該小径部に連続する該小径部より大径の先端部からなる円形断面の本体部と、先端部が外方に曲げられたリップを有する複数の係止片とからなり、該係止片を前記本体部の小径部の外周に配置してその基端部を該小径部の先端部側に固定して形成した。
上記の軸方向継手部材の先端部をほぼ円錐状に形成した。
【0009】
上記の軸方向継手部材の本体部の基部におねじを設け、該基部をセグメントの軸方向壁に設けた取付穴に外側から挿入し、内側から前記おねじにナットを螺合して該ナットを前記軸方向壁に固定して取付けた。
【0010】
上記の係止片を、鋼パイプの一端をほぼラッパ状に拡径して周方向に複数に分割し、その少なくとも一対を他より短かく形成し、前記軸方向継手部材の小径部の外周に交互に配置してその基端部を該小径部の先端部側に固定した。
【0011】
上記の拘束部材を、前記軸方向継手部材の基部の外径より若干大きい内径の円筒状に形成し、前記他方の軸方向壁に前記軸方向継手部材と対向して設けられ前記基部の外形とほぼ等しい径の連結穴の軸方向壁内面側に、該連結穴と同心的に固定した。
【0012】
上記の拘束部材の内径を、前記軸方向継手部材に設けた長い係止片のリップの先端部で形成する外径より若干小さく形成した。
また、上記の拘束部材の内周面に鋸歯状又は階段状の係止部を設けた。
【0013】
本発明に係るセグメントは、上記いずれかの継手構造を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、継手構造の製造が容易で、既設セグメントと連結セグメントとの間に若干のズレがあっても容易に連結することができ、その上連結したセグメントのトンネル軸方向への抜け出しを確実に防止できるので、施工性に優れた信頼性の高いセグメントの継手構造及びこれを備えたセグメントを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る軸方向継手構造を備えたセグメントの説明図、図2は図1のA−A断面図である。
図において、Sはセグメントで、トンネルの周方向に沿ってほぼ円弧状に形成されて軸方向壁1a,1bを構成する鋼板2a,2bと、両鋼板2a,2bの間の長手方向に所定の間隔で溶接接合された複数の補強部材3と、鋼板2a,2b及び補強部材3の外周側に溶接接合されたスキンプレート4と、鋼板2a,2bとスキンプレート4の両端部に接合されて周方向壁を構成する継手板5a,5bとからなっている。なお、上記のスキンプレート4は、鋼板2a,2bの外周側と内周側の両方に設けることがあり、あるいは内周側だけに設けることもある(他の実施の形態においても同様である)。
【0016】
8は一方の鋼板(例えば、2a)の長手方向の補強部材3の間に設けられ、後述の軸方向継手部材20を取付けるための取付穴、9は他方の鋼板2bに取付穴8と対向して設けられ、内面側に拘束部材35が取付けられて軸方向継手部材20が挿入される連結穴で、取付穴8と連結穴9の径d1はほぼ等しく形成されている。
20は鋼板2aの取付穴8に挿入されて固定された軸方向継手部材、35は鋼板2bの連結穴9の内面側に固定された拘束部材である。
【0017】
軸方向継手部材20は、図3に示すように、鋼材からなる断面円形の本体部21と、この本体部21に取付けた複数の係止片30と、ナット26とからなっている。本体部21は、図4に示すように、外径d1の基部22と、これに連続する縮径された外径d2の小径部23と、これに続く小径部23より大径で外径ほぼd1の先端部24とからなり、先端部24の先端はほぼ円錐状又は截頭円錐状に形成されており、また、基部22の端部側には、ナット26が螺合されるおねじ25が設けられている。この本体部21は、丸棒を旋盤で切削して形成すればよいので、製作がきわめて容易で、仕上げにバラツキを生じることもない。
【0018】
上記のような軸方向継手部20の本体部21の寸法は、これを採用するセグメントSの構造、大きさ、強度等によって異なるが、一般的には、基部22及び先端部24の外径d1は30〜70mm程度、小径部23の長さL1は50〜100mm程度で、その外径d2は基部22の外径d1から、係止片31の板厚t(図5参照)の2倍の値を差引いた値とほぼ等しいかあるいはこれより若干小径(d2≦d1−2t)に設定されている。
【0019】
係止片30は、図5(a)に示すように、長さL2が本体部21の小径部23の長さL1より若干短かく、外径d1が基部22の外径d1と、内径d2が小径部23の外径d2とほぼ等しい板厚tの鋼パイプ28を、一方の端部を先端部が外径d3になるように円弧状に拡径29する。ついで、これを周方向に偶数(例えば、4,6,8等)に分割し、図6に示すように、先端部にリップ31(以下、分割後の拡径部29をリップという)を有するそれぞれ対向する一対の係止片30を形成する。そして、各対の係止片30の半数の対を、他方の半数の対より若干短かく形成して、長係止片30aと短係止片30bを形成する。
【0020】
上記のような係止片30の板厚t、拡径部29(リップ31)の先端部の外径d3及び長係止片30aと短係止片30bの長さの差ΔLの寸法も、軸方向継手部材20を採用するセグメントSの構造、大きさ、強度等によって異なるが、一般に、板厚tは5〜15mm程度、長係止片30aと短係止片30bの長さの差ΔLは2〜5mm程度で、拡径部29の先端部の外径d3は、連結穴9及び拘束部材35の内径d1,d4(図7参照)より大径に形成されている。
【0021】
上記のような係止片30の先端部に形成されたリップ31の形状は、円弧状に限定するものではなく、例えば、鋼パイプ28の先端部を外径がd3になるように直線状に拡径して、係止片30の先端部を外方に鈍角に折り曲げてリップ31を形成するなど、他の形状であってもよい。
【0022】
また、各対の係止片30の半数の対を他より短かくして、長係止片30aと短係止片30bを形成した場合を示したが、長さの異なる係止片30は半数づつに限るものではなく、複数の対のうち少なくとも一対を他の対と長さが異なるようにすればよい。さらに、係止片30を長さの異なる長係止片30aと短係止片30bの2種類で形成した場合を示したが、さらに、両係止片30a,30bの間に例えば中係止片を設けるなど、図5(b)に示すように、A,B,C,Dの各係止片30をそれぞれ異なる長さに形成して、係止片30を3種類以上の長さの異なる対で形成してもよい。
【0023】
また、端部が拡径29された鋼パイプ28を周方向に偶数分割した場合を示したが、周方向に奇数分割して係止片30を形成し、その一部を他の係止片と異なる長さとしてもよい。
【0024】
上記のように構成した係止片30は、図3に示すように、一対の長係止片30aと短係止片30bを交互にかつそれぞれの対を対向させて、本体部21の小径部23の外周側に配設し、その基端部(リップ31の反対側)を先端部24との間に形成された段部に当接し、溶接により小径部23に接合する。このとき、係止部30の外径は、本体部21の基部22の外径d1とほぼ等しいかこれより若干小さく、また、リップ31と基部22との間にはそれぞれ所定のすき間が形成される。
【0025】
拘束部材35は、図7に示すように、鋼パイプからなり、その内径d4は鋼板2b(又は2a)に設けた連結穴9の径より若干大きく、その長さL3は、通常、軸方向継手部材20の小径部23の長さより短かく形成されている。なお、必要に応じて、内周面を切削仕上げする。
【0026】
上記のような継手構造を有するセグメントSの製造にあたっては、先ず、両鋼板2a,2bを所定の間隔で配置してその間に補強部材3を、また、両端部に継手板5a,5bを溶接接合する。そして、その外周側(又は内周側)にスキンプレート4を溶接接合する。なお、上記の手順はその一例を示すもので、適宜変更することができる。
【0027】
そして、図8(a)に示すように、軸方向継手部材20の基部22を鋼板2aの外面側から取付穴8に挿入し、内面側からおねじ25にナット26を螺合して、ナット26を鋼板2aの内壁面に溶接接合して固定する。
また、拘束部材35を、図8(b)に示すように、他方の鋼板2bの内壁面にその内径を連結穴9と同心的に配置して当接し、内壁面に溶接接合して固定する。これにより、セグメントSの製造が終了する。
【0028】
軸方向継手部材20の鋼板2aへの取付けにあたっては、ナット26に代えて、本体部21の基部22の端部に大径部を設けてT字状に形成し、取付穴8に内面側から挿入して大径部を鋼板2aの内壁面に溶接接合してもよく、あるいは、本体部21にナット26を螺合したり大径部を形成したりすることなく、本体部21の基部22を取付穴8に挿入して、鋼板2aに直接溶接接合してもよい。
【0029】
次に、上記のように構成した本実施の形態に係る継手構造によるセグメントSのトンネル軸方向への連結手順について、図9により説明する。
図9(a)において、S1はトンネルの周方向に設置されたセグメント(以下、既設セグメントという)、S2はこの既設セグメントS1のトンネル軸方向に連結するセグメント(以下、連結セグメントという)である。
【0030】
いま、連結セグメントS2を矢印方向(トンネル軸方向)に移動させて、その軸方向継手部材20の先端部24を図9(a)に示すように、既設セグメントS1の連結穴9に挿入し、引続き連結セグメントS1を押圧すると、図9(b)に示すように、軸方向継手部材20の係止片30のリップ31が弾性変形してほぼ直線状になり、連結穴9内を通過する。さらに連結セグメントS2を押圧すると、図9(c)に示すように、短係止片30bのリップ31が連結穴9から離脱し、リップ31は元の状態に戻って拘束部材35の内壁に係止する。
【0031】
引続き連結セグメントS2を押圧すると、図9(d)に示すように、その軸方向壁1aである鋼板2aが既設セグメントS1の鋼板2bに当接又は近接して位置し、押圧が停止する。このとき、長係止片30aのリップ31も連結穴9から離脱して元の状態に戻り、拘束部材35の内壁に係止する。なお、図9(d)は、図9(c)に対して90°回転した断面を示している。
このようにして、連結セグメントS2に設けた軸方向継手部材20の長係止片30aと短係止片30bが、既設セグメントS1に設けた拘束部材35の内壁の長手方向の異なる位置にそれぞれ係止し、連結セグメントS2を既設セグメントS1に、ワンタッチで強固に連結する。
【0032】
本実施の形態によれば、軸方向継手部材20の本体部21は鋼材からなる円形断面の素材を機械加工により製作するようにしたので、製造がきわめて容易で、仕上にバラツキを生じることもない。
また、軸方向継手部材20の先端部24は円錐状等に形成されているので、既設セグメントS1の連結穴9と軸方向継手部材20との間に多少のズレがあっても、容易に嵌入することができ、さらに、係止片30を異なる長さに形成したので、既設セグメントS1と連結セグメントS2の間に多少のズレ(すき間)が生じても、確実に連結することができる。また、係止片30の長さは適宜変更できるので、セグメントの構築条件に応じてその長さを設定することができる。
【0033】
また、軸方向継手部材20の係止片30に設けたリップ31は、軸方向継手部材20が既設セグメントS1の連結穴9を通過するときは弾性変形してほぼ直線状になるので容易に押し込むことができ、連結穴9から離脱すると復元して長係止片30aと短係止片30bのリップ31が、拘束部材35の内壁の長手方向の2か所にそれぞれ係止するので、引抜き力に対して大きな抵抗力が得られる。このため、軸方向継手部材20が抜け出すことがなく、連結セグメントS2を既設セグメントS1に確実に連結することができるので、信頼性の高い継手構造を得ることができる。なお、軸方向継手部材20に長さの異なる3種以上の係止片30を設けた場合は、それぞれの係止片30のリップ31が拘束部材35の内壁の長手方向の異なる位置に係止するので、引抜き力に対してさらに大きな抵抗力を得ることができる。
さらに、連結セグメントS2を既設セグメントS1にワンタッチで連結できるので、施工性を大幅に向上することができる。
【0034】
[実施の形態2]
図10は本発明の実施の形態2に係る軸方向継手構造を備えた合成セグメントの説明図、図11は図10のB−B断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、セグメントSの軸方向壁1a,1bを、鋼管12a,12b、12c,12dと主桁板13a,13bで形成し、主桁板13a,13bに軸方向継手部材20及び拘束部材35を取付けたものである。
【0035】
本実施の形態に係るセグメントSの軸方向壁1a,1bは、内外周側、したがって四隅に、比較的断面積の小さい(例えば、一辺の幅が100mm程度)鋼管12a,12bと12c,12dを配置し、対向する鋼管12a,12bと12c,12dの外側ウエブの間(又は外側ウエブの壁面間)に、それぞれ鋼板からなる主桁板13a,13bを溶接接合して構成したものである。
そして、図11に示すように、主桁板13a,13bに実施の形態1の場合と同様に設けた取付穴8と連結穴9に、それぞれ軸方向継手部材20及び拘束部材35を取付けたものである。
【0036】
39は拘束部材35の外周から奥側に向けて取付けられた有底円筒状(又は有底角筒状)のカバーで、軸方向継手部材20が挿入される範囲にコンクリート40が充填されない空間部を設けたものである。なお、カバー39に代えて、拘束部材35を軸方向継手部材20の挿入長より若干長く形成して先端部を閉塞するなど、他の手段によって空間部を形成してもよい。
【0037】
このようにして、軸方向壁1a,1b、スキンプレート4(又は4と4a)及び継手板5a,5bに囲まれた箱状の領域7にコンクリート40を充填することにより、合成セグメントSが構成される。この場合、鋼管12a〜12d内に、コンクリート40を充填してもよい。なお、両軸方向壁1a,1bの外周側と内周側の両方にスキンプレート4を接合する場合は、先ず、軸方向壁1a,1bの一方の側(例えば、外周側)にスキンプレート4を接合し、一方の端部に継手板(例えば、5a)を接合する。そして、前述の要領により主桁板13a,13bに軸方向継手部材20と拘束部材35を取付けたのち、内周側にスキンプレート4aを接合し、開口された他方の端部から箱状の領域7内にコンクリート40を充填する。コンクリート40が硬化したのち、他方の端部に継手板5bを接合すればよい。
【0038】
本実施の形態に係るセグメントSの施工手順及び効果は、実施の形態1の場合とほぼ同様である。
【0039】
[実施の形態3]
図12は本発明の実施の形態3に係るセグメントの軸方向継手構造を構成する拘束部材の断面図、図13は図12の拘束部材の作用説明図、図14は拘束部材の他の例の断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態に係る拘束部材35は、その内周面に、鋸歯状あるいは階段状の係止部36を設けたものである。
【0040】
鋸歯状の係止部36を形成する各係止歯37は、図12に示すように、軸方向継手部材20が挿入される側(図12の右側で、以下挿入側という)はほぼ円弧状(円弧面38a)又は傾斜面に形成され、その反対側(以下、出側という)は内壁面と直交して垂直(垂直面38b)に形成されて、断面ほぼ三角形状をなしている。
【0041】
いま、図13(a)に示すように、既設セグメントS1の軸方向壁2bに設けた連結穴9に、これに連結する連結セグメントS2の軸方向壁2aに設けた軸方向継手部材20を押し込むと、先ず、短係止片30bが連結穴9から離脱してそのリップ31が拘束部材35の係止部36に係止する。このとき、係止部36の係止歯37は、前述のように挿入側が円弧面38a(又は傾斜面)に形成されているので、引続き軸方向継手部材20を押し込むと、リップ31は円弧面38a(又は傾斜面)上を滑って前進する。
【0042】
そして、連結セグメントS2の軸方向壁2aが、既設セグメントS1の軸方向壁2bに当接又は近接した位置に達すると、図13(b)に示すように、長係止片30aも連結穴9から離脱して、そのリップ31が係止部36の垂直面38bに係止する。このとき、短係止片30bのリップ31はさらに先端部側の係止部36の垂直面38bに係止する。このように、短係止片30bと長係止片30aのリップ31が、拘束部材35の係止部36の長手方向の異なる位置において、二重に係止する。なお、図13(b)は、図13(a)に対して90°回転した断面を示している。
【0043】
階段状の係止部36は、図14に示すように、軸方向継手部材20の挿入側の内径が小径で、出側の内径が大径に形成され、その間に複数の段部37aを設けて、階段状の係止部36を設けたものである。
本例においても、図12の鋸歯状の係止部36の場合とほぼ同様の作用により、短係止片30bと長係止片30aのリップ31が、係止部36の長手方向の異なる段部37aに二重に係止する。
【0044】
本実施の形態においては、拘束部材35の内周面に鋸歯状又は階段状の係止部36を設け、これに挿入した軸方向継手部材20の長係止片30aと短係止片30bのリップ31を、係止部36の長手方向の異なる位置において、係止歯37の垂直片38b又は段部37aに二重に係止させるようにしたので、引抜き耐力が大幅に増大し、軸方向継手部材20、したがって連結セグメントS2の軸方向への抜け出しをより確実に防止することができる。また、施工誤差等によりセグメントS間にズレ(すき間)があっても、係止片30が係止部36のいずれかの係止歯37に係止するので、確実に連結することができる。
【0045】
[実施の形態4]
図15は本発明の実施の形態4に係る軸方向継手部材を備えたセグメントの断面図(図2(b)に相当)、図16はその継手構造の作用説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態に係るセグメントSは、図15に示すように、軸方向壁1a,1bを構成する一方の鋼板2aに設けた複数の取付穴8には、実施の形態1の場合と同様に軸方向継手部材20が取付けられており、他方の鋼板2bには、軸方向継手部材20と対向して連結穴9が設けられてその内面側に拘束部材35が設けられているが、本実施の形態においては、拘束部材35の内径を実施の形態1の拘束部材35より大きく形成してある。
【0046】
上記のように構成した本実施の形態において、既設セグメントS1の軸方向に連結セグメントS2を連結するにあたっては、図16に示すように、既設セグメントS1の鋼板2bに設けた連結穴9に、連結セグメントS2の鋼板2aに設けた軸方向継手部材20の先端部を挿入し、連結セグメントS2を押圧する。連結セグメントS2の鋼板2aが既設セグメントS1の鋼板2bに当接又は近接すると、同時に、軸方向継手部材20の係止片30のリップ31が連結穴9から離脱して元の状態に戻り、拘束部材35内を通過してリップ31が既設セグメントS1の鋼板2bの内壁面に係止する。
【0047】
このようにして、連結セグメントS2に設けた軸方向継手部材20の係止片30が、既設セグメントS1の鋼板2bの内壁面に係止することにより、連結セグメントS2をワンタッチで既設セグメントS1に連結することができる。
そして、若し軸方向継手部材20に引抜き力が作用すると、係止片30のリップ31が既設セグメントS1の鋼板2aの内壁に沿って拡径され、拘束部材35の内壁に係止して拡径が拘束されるので、引抜き力に対して大きな抵抗力を発揮することができる。
【0048】
この場合、拘束部材35の内壁に、実施の形態3の場合と同様に、鋸歯状又は階段状の係止部36を設けてもよく、また、軸方向継手部材20の係止片30を同じ長さに形成してもよい。なお、上記の説明では、実施の形態1のセグメントSに本実施の形態を実施した場合を示したが、実施の形態2のセグメントSにも同様にして本実施の形態を実施することができる。
本実施の形態においても、実施の形態1の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0049】
上記の各実施の形態においては、セグメントSの軸方向壁1a,1bを円形断面のトンネルの半径rに対応して円弧状に形成した場合を示したが、例えば、直線状の鋼板や鋼管等を複数に分割し、これらを溶接接合して円弧状に近似した軸方向壁1a,1bを構成してもよい。
また、本発明は、例えば楕円形断面のトンネルのトンネル壁の構築するセグメントSにも実施することができる。この場合は、セグメントSのトンネル周方向への設置位置に応じて、円弧状の曲げ半径rを変えればよい。
さらに、本発明は、四角形断面のトンネルのトンネル壁を構築するセグメントSにも実施することができる。この場合は、軸方向壁1a,1b等を曲げ加工することなくセグメントSを平版状に形成すればよい。
【0050】
上記の説明では、図1の鋼製セグメント、図10の鋼−コンクリートの合成セグメントに本発明に係る軸方向の継手構造を設けた場合を示したが、これに限定するものではなく、例えば、コンクリート製セグメント、鋳鉄製セグメント等、他の構造のセグメントにも本発明に係る継手構造を実施することができる。
また、セグメントのトンネル軸方向の継手構造について説明したが、トンネル周方向の連結については、適宜の継手構造を設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1に係るトンネル軸方向の継手構造を備えたセグメントの説明図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の軸方向継手部材の斜視図である。
【図4】図3の本体部の正面図である。
【図5】図3の係止片の製造手順の説明図である。
【図6】図3の係止片の説明図である。
【図7】図1の拘束部材の断面図及び側面図である。
【図8】軸方向継手部材及び拘束部材のセグメントへの取付状態を示す説明図である。
【図9】実施の形態1に係る継手構造の作用説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係るトンネル軸方向の継手構造を備えたセグメントの説明図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る継手構造の拘束部材の断面図である。
【図13】図12の拘束部材の作用説明図である。
【図14】拘束部材の他の例の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係るトンネル軸方向の継手構造を備えたセグメントの断面図である。
【図16】実施の形態4に係る継手構造の作用説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1a,1b 軸方向壁、2a,2b 鋼板、4 スキンプレート、5a,5b 継手板、7 箱状の領域、8 取付穴、9 連結穴、12a〜12d 鋼管、13a,13b 主桁板、20 軸方向継手部材、21 本体部、22 基部、23 小径部、24 先端部、30 係止片、30a 長係止片、30b 短係止片、31 リップ、35 拘束部材、36 係止部、40 コンクリート、S セグメント。
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内周の周方向及び軸方向に連結してトンネル壁を構築するセグメントの継手構造及びこれを備えたセグメントに係り、より詳しくは、セグメントを軸方向に連結するための継手構造及びこれを備えたセグメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセグメントの軸方向の継手に、トンネルの軸方向に位置する2つのセグメント部材のうち、一方のセグメント部材に設けられた雄継手と、前記一方のセグメント部材と相対する面に位置する他方のセグメント部材に設けられた雌継手とにより構成され、前記雄継手は、その一部である雄継手軸部が前記雌継手と嵌合する方向に突出した状態で、前記一方のセグメント部材に設置され、該雄継手軸部の表面に先端部を固定した板部材固定部と弾性変形可能な板部材変形部を有する板部材を配設し、前記雌継手は、前記板部材変形部が、窄まることにより前記雄継手を挿通できる大きさの雌継手孔部を有し、且つ挿通後、前記板部材変形部が弾性復帰して広がり、雌継手孔部の端部に掛合するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−161283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の嵌合継手は、構造が簡単でセグメントを軸方向にワンタッチで連結できるため、現場における施工作業が軽減され、工費と工期の低減効果を得ることができるが、雄継手は板状体で形成されており、これが嵌合する雌継手は矩形状に形成されているため、加工が面倒であるばかりでなく、雌継手と雄継手との間に上下や左右方向に若干のズレがあったり、仕上げにバラツキがあったりすると容易に嵌合できないという問題があった。また、既設のセグメントに次のセグメントを連結する場合、施工誤差等により両セグメントの間に若干のズレ(すき間)があると、連結できないという問題があった。なお、特許文献1には、雄継手軸部を円形や楕円形断面を有する棒状としてもよいとの記載があるが、その具体的構造については全く開示されていない。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、製造が容易で、既設セグメントと連結セグメントとの間に若干のズレがあっても容易かつ確実に連結することができ、その上連結したセグメントのトンネル軸方向への抜け出しを確実に防止することのできるセグメントの継手構造及びこれを備えたセグメントを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一対の軸方向壁と、該軸方向壁の外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記軸方向壁とスキンプレートの両端部に接合された周方向壁とを備えたセグメントの継手構造であって、該継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、前記一方の軸方向壁の外周側の長手方向に所定の間隔で設けられた軸方向継手部材と、前記他方の軸方向壁に前記軸方向継手部材と対向して設けられ、前記軸方向継手部材が挿入されて前記係止片が該他方の軸方向壁の内壁面に係止する連結穴と、前記係止片の拡径を拘束する拘束部材とによって構成したものである。
【0007】
また、本発明は、一対の軸方向壁と、該軸方向壁の外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記軸方向壁とスキンプレートの両端部に接合された周方向壁とを備えたセグメントの継手構造であって、該継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、前記一方の軸方向壁の外面側の長手方向に所定の間隔で取付けられた軸方向継手部材と、前記他方の軸方向壁の内面側に前記軸方向継手部材と対向して取付けられ、軸方向継手部材が挿入されて前記係止片が内壁に係止する円筒状の拘束部材とによって構成したものである。
【0008】
上記の軸方向継手部材を、基部、該基部に連続する小径部、該小径部に連続する該小径部より大径の先端部からなる円形断面の本体部と、先端部が外方に曲げられたリップを有する複数の係止片とからなり、該係止片を前記本体部の小径部の外周に配置してその基端部を該小径部の先端部側に固定して形成した。
上記の軸方向継手部材の先端部をほぼ円錐状に形成した。
【0009】
上記の軸方向継手部材の本体部の基部におねじを設け、該基部をセグメントの軸方向壁に設けた取付穴に外側から挿入し、内側から前記おねじにナットを螺合して該ナットを前記軸方向壁に固定して取付けた。
【0010】
上記の係止片を、鋼パイプの一端をほぼラッパ状に拡径して周方向に複数に分割し、その少なくとも一対を他より短かく形成し、前記軸方向継手部材の小径部の外周に交互に配置してその基端部を該小径部の先端部側に固定した。
【0011】
上記の拘束部材を、前記軸方向継手部材の基部の外径より若干大きい内径の円筒状に形成し、前記他方の軸方向壁に前記軸方向継手部材と対向して設けられ前記基部の外形とほぼ等しい径の連結穴の軸方向壁内面側に、該連結穴と同心的に固定した。
【0012】
上記の拘束部材の内径を、前記軸方向継手部材に設けた長い係止片のリップの先端部で形成する外径より若干小さく形成した。
また、上記の拘束部材の内周面に鋸歯状又は階段状の係止部を設けた。
【0013】
本発明に係るセグメントは、上記いずれかの継手構造を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、継手構造の製造が容易で、既設セグメントと連結セグメントとの間に若干のズレがあっても容易に連結することができ、その上連結したセグメントのトンネル軸方向への抜け出しを確実に防止できるので、施工性に優れた信頼性の高いセグメントの継手構造及びこれを備えたセグメントを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る軸方向継手構造を備えたセグメントの説明図、図2は図1のA−A断面図である。
図において、Sはセグメントで、トンネルの周方向に沿ってほぼ円弧状に形成されて軸方向壁1a,1bを構成する鋼板2a,2bと、両鋼板2a,2bの間の長手方向に所定の間隔で溶接接合された複数の補強部材3と、鋼板2a,2b及び補強部材3の外周側に溶接接合されたスキンプレート4と、鋼板2a,2bとスキンプレート4の両端部に接合されて周方向壁を構成する継手板5a,5bとからなっている。なお、上記のスキンプレート4は、鋼板2a,2bの外周側と内周側の両方に設けることがあり、あるいは内周側だけに設けることもある(他の実施の形態においても同様である)。
【0016】
8は一方の鋼板(例えば、2a)の長手方向の補強部材3の間に設けられ、後述の軸方向継手部材20を取付けるための取付穴、9は他方の鋼板2bに取付穴8と対向して設けられ、内面側に拘束部材35が取付けられて軸方向継手部材20が挿入される連結穴で、取付穴8と連結穴9の径d1はほぼ等しく形成されている。
20は鋼板2aの取付穴8に挿入されて固定された軸方向継手部材、35は鋼板2bの連結穴9の内面側に固定された拘束部材である。
【0017】
軸方向継手部材20は、図3に示すように、鋼材からなる断面円形の本体部21と、この本体部21に取付けた複数の係止片30と、ナット26とからなっている。本体部21は、図4に示すように、外径d1の基部22と、これに連続する縮径された外径d2の小径部23と、これに続く小径部23より大径で外径ほぼd1の先端部24とからなり、先端部24の先端はほぼ円錐状又は截頭円錐状に形成されており、また、基部22の端部側には、ナット26が螺合されるおねじ25が設けられている。この本体部21は、丸棒を旋盤で切削して形成すればよいので、製作がきわめて容易で、仕上げにバラツキを生じることもない。
【0018】
上記のような軸方向継手部20の本体部21の寸法は、これを採用するセグメントSの構造、大きさ、強度等によって異なるが、一般的には、基部22及び先端部24の外径d1は30〜70mm程度、小径部23の長さL1は50〜100mm程度で、その外径d2は基部22の外径d1から、係止片31の板厚t(図5参照)の2倍の値を差引いた値とほぼ等しいかあるいはこれより若干小径(d2≦d1−2t)に設定されている。
【0019】
係止片30は、図5(a)に示すように、長さL2が本体部21の小径部23の長さL1より若干短かく、外径d1が基部22の外径d1と、内径d2が小径部23の外径d2とほぼ等しい板厚tの鋼パイプ28を、一方の端部を先端部が外径d3になるように円弧状に拡径29する。ついで、これを周方向に偶数(例えば、4,6,8等)に分割し、図6に示すように、先端部にリップ31(以下、分割後の拡径部29をリップという)を有するそれぞれ対向する一対の係止片30を形成する。そして、各対の係止片30の半数の対を、他方の半数の対より若干短かく形成して、長係止片30aと短係止片30bを形成する。
【0020】
上記のような係止片30の板厚t、拡径部29(リップ31)の先端部の外径d3及び長係止片30aと短係止片30bの長さの差ΔLの寸法も、軸方向継手部材20を採用するセグメントSの構造、大きさ、強度等によって異なるが、一般に、板厚tは5〜15mm程度、長係止片30aと短係止片30bの長さの差ΔLは2〜5mm程度で、拡径部29の先端部の外径d3は、連結穴9及び拘束部材35の内径d1,d4(図7参照)より大径に形成されている。
【0021】
上記のような係止片30の先端部に形成されたリップ31の形状は、円弧状に限定するものではなく、例えば、鋼パイプ28の先端部を外径がd3になるように直線状に拡径して、係止片30の先端部を外方に鈍角に折り曲げてリップ31を形成するなど、他の形状であってもよい。
【0022】
また、各対の係止片30の半数の対を他より短かくして、長係止片30aと短係止片30bを形成した場合を示したが、長さの異なる係止片30は半数づつに限るものではなく、複数の対のうち少なくとも一対を他の対と長さが異なるようにすればよい。さらに、係止片30を長さの異なる長係止片30aと短係止片30bの2種類で形成した場合を示したが、さらに、両係止片30a,30bの間に例えば中係止片を設けるなど、図5(b)に示すように、A,B,C,Dの各係止片30をそれぞれ異なる長さに形成して、係止片30を3種類以上の長さの異なる対で形成してもよい。
【0023】
また、端部が拡径29された鋼パイプ28を周方向に偶数分割した場合を示したが、周方向に奇数分割して係止片30を形成し、その一部を他の係止片と異なる長さとしてもよい。
【0024】
上記のように構成した係止片30は、図3に示すように、一対の長係止片30aと短係止片30bを交互にかつそれぞれの対を対向させて、本体部21の小径部23の外周側に配設し、その基端部(リップ31の反対側)を先端部24との間に形成された段部に当接し、溶接により小径部23に接合する。このとき、係止部30の外径は、本体部21の基部22の外径d1とほぼ等しいかこれより若干小さく、また、リップ31と基部22との間にはそれぞれ所定のすき間が形成される。
【0025】
拘束部材35は、図7に示すように、鋼パイプからなり、その内径d4は鋼板2b(又は2a)に設けた連結穴9の径より若干大きく、その長さL3は、通常、軸方向継手部材20の小径部23の長さより短かく形成されている。なお、必要に応じて、内周面を切削仕上げする。
【0026】
上記のような継手構造を有するセグメントSの製造にあたっては、先ず、両鋼板2a,2bを所定の間隔で配置してその間に補強部材3を、また、両端部に継手板5a,5bを溶接接合する。そして、その外周側(又は内周側)にスキンプレート4を溶接接合する。なお、上記の手順はその一例を示すもので、適宜変更することができる。
【0027】
そして、図8(a)に示すように、軸方向継手部材20の基部22を鋼板2aの外面側から取付穴8に挿入し、内面側からおねじ25にナット26を螺合して、ナット26を鋼板2aの内壁面に溶接接合して固定する。
また、拘束部材35を、図8(b)に示すように、他方の鋼板2bの内壁面にその内径を連結穴9と同心的に配置して当接し、内壁面に溶接接合して固定する。これにより、セグメントSの製造が終了する。
【0028】
軸方向継手部材20の鋼板2aへの取付けにあたっては、ナット26に代えて、本体部21の基部22の端部に大径部を設けてT字状に形成し、取付穴8に内面側から挿入して大径部を鋼板2aの内壁面に溶接接合してもよく、あるいは、本体部21にナット26を螺合したり大径部を形成したりすることなく、本体部21の基部22を取付穴8に挿入して、鋼板2aに直接溶接接合してもよい。
【0029】
次に、上記のように構成した本実施の形態に係る継手構造によるセグメントSのトンネル軸方向への連結手順について、図9により説明する。
図9(a)において、S1はトンネルの周方向に設置されたセグメント(以下、既設セグメントという)、S2はこの既設セグメントS1のトンネル軸方向に連結するセグメント(以下、連結セグメントという)である。
【0030】
いま、連結セグメントS2を矢印方向(トンネル軸方向)に移動させて、その軸方向継手部材20の先端部24を図9(a)に示すように、既設セグメントS1の連結穴9に挿入し、引続き連結セグメントS1を押圧すると、図9(b)に示すように、軸方向継手部材20の係止片30のリップ31が弾性変形してほぼ直線状になり、連結穴9内を通過する。さらに連結セグメントS2を押圧すると、図9(c)に示すように、短係止片30bのリップ31が連結穴9から離脱し、リップ31は元の状態に戻って拘束部材35の内壁に係止する。
【0031】
引続き連結セグメントS2を押圧すると、図9(d)に示すように、その軸方向壁1aである鋼板2aが既設セグメントS1の鋼板2bに当接又は近接して位置し、押圧が停止する。このとき、長係止片30aのリップ31も連結穴9から離脱して元の状態に戻り、拘束部材35の内壁に係止する。なお、図9(d)は、図9(c)に対して90°回転した断面を示している。
このようにして、連結セグメントS2に設けた軸方向継手部材20の長係止片30aと短係止片30bが、既設セグメントS1に設けた拘束部材35の内壁の長手方向の異なる位置にそれぞれ係止し、連結セグメントS2を既設セグメントS1に、ワンタッチで強固に連結する。
【0032】
本実施の形態によれば、軸方向継手部材20の本体部21は鋼材からなる円形断面の素材を機械加工により製作するようにしたので、製造がきわめて容易で、仕上にバラツキを生じることもない。
また、軸方向継手部材20の先端部24は円錐状等に形成されているので、既設セグメントS1の連結穴9と軸方向継手部材20との間に多少のズレがあっても、容易に嵌入することができ、さらに、係止片30を異なる長さに形成したので、既設セグメントS1と連結セグメントS2の間に多少のズレ(すき間)が生じても、確実に連結することができる。また、係止片30の長さは適宜変更できるので、セグメントの構築条件に応じてその長さを設定することができる。
【0033】
また、軸方向継手部材20の係止片30に設けたリップ31は、軸方向継手部材20が既設セグメントS1の連結穴9を通過するときは弾性変形してほぼ直線状になるので容易に押し込むことができ、連結穴9から離脱すると復元して長係止片30aと短係止片30bのリップ31が、拘束部材35の内壁の長手方向の2か所にそれぞれ係止するので、引抜き力に対して大きな抵抗力が得られる。このため、軸方向継手部材20が抜け出すことがなく、連結セグメントS2を既設セグメントS1に確実に連結することができるので、信頼性の高い継手構造を得ることができる。なお、軸方向継手部材20に長さの異なる3種以上の係止片30を設けた場合は、それぞれの係止片30のリップ31が拘束部材35の内壁の長手方向の異なる位置に係止するので、引抜き力に対してさらに大きな抵抗力を得ることができる。
さらに、連結セグメントS2を既設セグメントS1にワンタッチで連結できるので、施工性を大幅に向上することができる。
【0034】
[実施の形態2]
図10は本発明の実施の形態2に係る軸方向継手構造を備えた合成セグメントの説明図、図11は図10のB−B断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、セグメントSの軸方向壁1a,1bを、鋼管12a,12b、12c,12dと主桁板13a,13bで形成し、主桁板13a,13bに軸方向継手部材20及び拘束部材35を取付けたものである。
【0035】
本実施の形態に係るセグメントSの軸方向壁1a,1bは、内外周側、したがって四隅に、比較的断面積の小さい(例えば、一辺の幅が100mm程度)鋼管12a,12bと12c,12dを配置し、対向する鋼管12a,12bと12c,12dの外側ウエブの間(又は外側ウエブの壁面間)に、それぞれ鋼板からなる主桁板13a,13bを溶接接合して構成したものである。
そして、図11に示すように、主桁板13a,13bに実施の形態1の場合と同様に設けた取付穴8と連結穴9に、それぞれ軸方向継手部材20及び拘束部材35を取付けたものである。
【0036】
39は拘束部材35の外周から奥側に向けて取付けられた有底円筒状(又は有底角筒状)のカバーで、軸方向継手部材20が挿入される範囲にコンクリート40が充填されない空間部を設けたものである。なお、カバー39に代えて、拘束部材35を軸方向継手部材20の挿入長より若干長く形成して先端部を閉塞するなど、他の手段によって空間部を形成してもよい。
【0037】
このようにして、軸方向壁1a,1b、スキンプレート4(又は4と4a)及び継手板5a,5bに囲まれた箱状の領域7にコンクリート40を充填することにより、合成セグメントSが構成される。この場合、鋼管12a〜12d内に、コンクリート40を充填してもよい。なお、両軸方向壁1a,1bの外周側と内周側の両方にスキンプレート4を接合する場合は、先ず、軸方向壁1a,1bの一方の側(例えば、外周側)にスキンプレート4を接合し、一方の端部に継手板(例えば、5a)を接合する。そして、前述の要領により主桁板13a,13bに軸方向継手部材20と拘束部材35を取付けたのち、内周側にスキンプレート4aを接合し、開口された他方の端部から箱状の領域7内にコンクリート40を充填する。コンクリート40が硬化したのち、他方の端部に継手板5bを接合すればよい。
【0038】
本実施の形態に係るセグメントSの施工手順及び効果は、実施の形態1の場合とほぼ同様である。
【0039】
[実施の形態3]
図12は本発明の実施の形態3に係るセグメントの軸方向継手構造を構成する拘束部材の断面図、図13は図12の拘束部材の作用説明図、図14は拘束部材の他の例の断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態に係る拘束部材35は、その内周面に、鋸歯状あるいは階段状の係止部36を設けたものである。
【0040】
鋸歯状の係止部36を形成する各係止歯37は、図12に示すように、軸方向継手部材20が挿入される側(図12の右側で、以下挿入側という)はほぼ円弧状(円弧面38a)又は傾斜面に形成され、その反対側(以下、出側という)は内壁面と直交して垂直(垂直面38b)に形成されて、断面ほぼ三角形状をなしている。
【0041】
いま、図13(a)に示すように、既設セグメントS1の軸方向壁2bに設けた連結穴9に、これに連結する連結セグメントS2の軸方向壁2aに設けた軸方向継手部材20を押し込むと、先ず、短係止片30bが連結穴9から離脱してそのリップ31が拘束部材35の係止部36に係止する。このとき、係止部36の係止歯37は、前述のように挿入側が円弧面38a(又は傾斜面)に形成されているので、引続き軸方向継手部材20を押し込むと、リップ31は円弧面38a(又は傾斜面)上を滑って前進する。
【0042】
そして、連結セグメントS2の軸方向壁2aが、既設セグメントS1の軸方向壁2bに当接又は近接した位置に達すると、図13(b)に示すように、長係止片30aも連結穴9から離脱して、そのリップ31が係止部36の垂直面38bに係止する。このとき、短係止片30bのリップ31はさらに先端部側の係止部36の垂直面38bに係止する。このように、短係止片30bと長係止片30aのリップ31が、拘束部材35の係止部36の長手方向の異なる位置において、二重に係止する。なお、図13(b)は、図13(a)に対して90°回転した断面を示している。
【0043】
階段状の係止部36は、図14に示すように、軸方向継手部材20の挿入側の内径が小径で、出側の内径が大径に形成され、その間に複数の段部37aを設けて、階段状の係止部36を設けたものである。
本例においても、図12の鋸歯状の係止部36の場合とほぼ同様の作用により、短係止片30bと長係止片30aのリップ31が、係止部36の長手方向の異なる段部37aに二重に係止する。
【0044】
本実施の形態においては、拘束部材35の内周面に鋸歯状又は階段状の係止部36を設け、これに挿入した軸方向継手部材20の長係止片30aと短係止片30bのリップ31を、係止部36の長手方向の異なる位置において、係止歯37の垂直片38b又は段部37aに二重に係止させるようにしたので、引抜き耐力が大幅に増大し、軸方向継手部材20、したがって連結セグメントS2の軸方向への抜け出しをより確実に防止することができる。また、施工誤差等によりセグメントS間にズレ(すき間)があっても、係止片30が係止部36のいずれかの係止歯37に係止するので、確実に連結することができる。
【0045】
[実施の形態4]
図15は本発明の実施の形態4に係る軸方向継手部材を備えたセグメントの断面図(図2(b)に相当)、図16はその継手構造の作用説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態に係るセグメントSは、図15に示すように、軸方向壁1a,1bを構成する一方の鋼板2aに設けた複数の取付穴8には、実施の形態1の場合と同様に軸方向継手部材20が取付けられており、他方の鋼板2bには、軸方向継手部材20と対向して連結穴9が設けられてその内面側に拘束部材35が設けられているが、本実施の形態においては、拘束部材35の内径を実施の形態1の拘束部材35より大きく形成してある。
【0046】
上記のように構成した本実施の形態において、既設セグメントS1の軸方向に連結セグメントS2を連結するにあたっては、図16に示すように、既設セグメントS1の鋼板2bに設けた連結穴9に、連結セグメントS2の鋼板2aに設けた軸方向継手部材20の先端部を挿入し、連結セグメントS2を押圧する。連結セグメントS2の鋼板2aが既設セグメントS1の鋼板2bに当接又は近接すると、同時に、軸方向継手部材20の係止片30のリップ31が連結穴9から離脱して元の状態に戻り、拘束部材35内を通過してリップ31が既設セグメントS1の鋼板2bの内壁面に係止する。
【0047】
このようにして、連結セグメントS2に設けた軸方向継手部材20の係止片30が、既設セグメントS1の鋼板2bの内壁面に係止することにより、連結セグメントS2をワンタッチで既設セグメントS1に連結することができる。
そして、若し軸方向継手部材20に引抜き力が作用すると、係止片30のリップ31が既設セグメントS1の鋼板2aの内壁に沿って拡径され、拘束部材35の内壁に係止して拡径が拘束されるので、引抜き力に対して大きな抵抗力を発揮することができる。
【0048】
この場合、拘束部材35の内壁に、実施の形態3の場合と同様に、鋸歯状又は階段状の係止部36を設けてもよく、また、軸方向継手部材20の係止片30を同じ長さに形成してもよい。なお、上記の説明では、実施の形態1のセグメントSに本実施の形態を実施した場合を示したが、実施の形態2のセグメントSにも同様にして本実施の形態を実施することができる。
本実施の形態においても、実施の形態1の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0049】
上記の各実施の形態においては、セグメントSの軸方向壁1a,1bを円形断面のトンネルの半径rに対応して円弧状に形成した場合を示したが、例えば、直線状の鋼板や鋼管等を複数に分割し、これらを溶接接合して円弧状に近似した軸方向壁1a,1bを構成してもよい。
また、本発明は、例えば楕円形断面のトンネルのトンネル壁の構築するセグメントSにも実施することができる。この場合は、セグメントSのトンネル周方向への設置位置に応じて、円弧状の曲げ半径rを変えればよい。
さらに、本発明は、四角形断面のトンネルのトンネル壁を構築するセグメントSにも実施することができる。この場合は、軸方向壁1a,1b等を曲げ加工することなくセグメントSを平版状に形成すればよい。
【0050】
上記の説明では、図1の鋼製セグメント、図10の鋼−コンクリートの合成セグメントに本発明に係る軸方向の継手構造を設けた場合を示したが、これに限定するものではなく、例えば、コンクリート製セグメント、鋳鉄製セグメント等、他の構造のセグメントにも本発明に係る継手構造を実施することができる。
また、セグメントのトンネル軸方向の継手構造について説明したが、トンネル周方向の連結については、適宜の継手構造を設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1に係るトンネル軸方向の継手構造を備えたセグメントの説明図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の軸方向継手部材の斜視図である。
【図4】図3の本体部の正面図である。
【図5】図3の係止片の製造手順の説明図である。
【図6】図3の係止片の説明図である。
【図7】図1の拘束部材の断面図及び側面図である。
【図8】軸方向継手部材及び拘束部材のセグメントへの取付状態を示す説明図である。
【図9】実施の形態1に係る継手構造の作用説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係るトンネル軸方向の継手構造を備えたセグメントの説明図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る継手構造の拘束部材の断面図である。
【図13】図12の拘束部材の作用説明図である。
【図14】拘束部材の他の例の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係るトンネル軸方向の継手構造を備えたセグメントの断面図である。
【図16】実施の形態4に係る継手構造の作用説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1a,1b 軸方向壁、2a,2b 鋼板、4 スキンプレート、5a,5b 継手板、7 箱状の領域、8 取付穴、9 連結穴、12a〜12d 鋼管、13a,13b 主桁板、20 軸方向継手部材、21 本体部、22 基部、23 小径部、24 先端部、30 係止片、30a 長係止片、30b 短係止片、31 リップ、35 拘束部材、36 係止部、40 コンクリート、S セグメント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の軸方向壁と、該軸方向壁の外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記軸方向壁とスキンプレートの両端部に接合された周方向壁とを備えたセグメントの継手構造であって、
該継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、前記一方の軸方向壁の外周側の長手方向に所定の間隔で設けられた軸方向継手部材と、前記他方の軸方向壁に前記軸方向継手部材と対向して設けられ、前記軸方向継手部材が挿入されて前記係止片が該他方の軸方向壁の内壁面に係止する連結穴と、前記係止片の拡径を拘束する拘束部材とによって構成したことを特徴とするセグメントの継手構造。
【請求項2】
一対の軸方向壁と、該軸方向壁の外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記軸方向壁とスキンプレートの両端部に接合された周方向壁とを備えたセグメントの継手構造であって、
該継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、前記一方の軸方向壁の外周側の長手方向に所定の間隔で取付けられた軸方向継手部材と、前記他方の軸方向壁の内面側に前記軸方向継手部材と対向して取付けられ、軸方向継手部材が挿入されて前記係止片が内壁に係止する円筒状の拘束部材とによって構成したことを特徴とするセグメントの継手構造。
【請求項3】
前記軸方向継手部材を、基部、該基部に連続する小径部、該小径部に連続する該小径部より大径の先端部からなる円形断面の本体部と、先端部が外方に曲げられたリップを有する複数の係止片とからなり、該係止片を前記本体部の小径部の外周に配置してその基端部を該小径部の先端部側に固定して形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のセグメントの継手構造。
【請求項4】
前記軸方向継手部材の先端部をほぼ円錐状に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセグメントの継手構造。
【請求項5】
前記軸方向継手部材の本体部の基部におねじを設け、該基部をセグメントの軸方向壁に設けた取付穴に外側から挿入し、内側から前記おねじにナットを螺合して該ナットを前記軸方向壁に固定して取付けたことを特徴とする請求項3又は4記載のセグメントの継手構造。
【請求項6】
前記係止片を、鋼パイプの一端をほぼラッパ状に拡径して周方向に複数に分割し、その少なくとも一対を他より短かく形成し、前記軸方向継手部材の小径部の外周に交互に配置してその基端部を該小径部の先端部側に固定したことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のセグメントの継手構造。
【請求項7】
前記拘束部材を、前記軸方向継手部材の基部の外径より若干大きい内径の円筒状に形成し、前記他方の軸方向壁に前記軸方向継手部材と対向して設けられ前記基部の外形とほぼ等しい径の連結穴の軸方向壁内面側に、該連結穴と同心的に固定したことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のセグメントの継手構造。
【請求項8】
前記拘束部材の内径を、前記軸方向継手部材に設けた長い係止片のリップの先端部で形成する外径より若干小さく形成したことを特徴とする請求項7記載のセグメントの継手構造。
【請求項9】
前記拘束部材の内周面に鋸歯状又は階段状の係止部を設けたことを特徴とする請求項7又は8記載のセグメントの継手構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかの継手構造を備えたことを特徴とするセグメント。
【請求項1】
一対の軸方向壁と、該軸方向壁の外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記軸方向壁とスキンプレートの両端部に接合された周方向壁とを備えたセグメントの継手構造であって、
該継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、前記一方の軸方向壁の外周側の長手方向に所定の間隔で設けられた軸方向継手部材と、前記他方の軸方向壁に前記軸方向継手部材と対向して設けられ、前記軸方向継手部材が挿入されて前記係止片が該他方の軸方向壁の内壁面に係止する連結穴と、前記係止片の拡径を拘束する拘束部材とによって構成したことを特徴とするセグメントの継手構造。
【請求項2】
一対の軸方向壁と、該軸方向壁の外周側及び内周側又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記軸方向壁とスキンプレートの両端部に接合された周方向壁とを備えたセグメントの継手構造であって、
該継手構造を、断面円形で外周に複数の係止片が設けられ、前記一方の軸方向壁の外周側の長手方向に所定の間隔で取付けられた軸方向継手部材と、前記他方の軸方向壁の内面側に前記軸方向継手部材と対向して取付けられ、軸方向継手部材が挿入されて前記係止片が内壁に係止する円筒状の拘束部材とによって構成したことを特徴とするセグメントの継手構造。
【請求項3】
前記軸方向継手部材を、基部、該基部に連続する小径部、該小径部に連続する該小径部より大径の先端部からなる円形断面の本体部と、先端部が外方に曲げられたリップを有する複数の係止片とからなり、該係止片を前記本体部の小径部の外周に配置してその基端部を該小径部の先端部側に固定して形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のセグメントの継手構造。
【請求項4】
前記軸方向継手部材の先端部をほぼ円錐状に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセグメントの継手構造。
【請求項5】
前記軸方向継手部材の本体部の基部におねじを設け、該基部をセグメントの軸方向壁に設けた取付穴に外側から挿入し、内側から前記おねじにナットを螺合して該ナットを前記軸方向壁に固定して取付けたことを特徴とする請求項3又は4記載のセグメントの継手構造。
【請求項6】
前記係止片を、鋼パイプの一端をほぼラッパ状に拡径して周方向に複数に分割し、その少なくとも一対を他より短かく形成し、前記軸方向継手部材の小径部の外周に交互に配置してその基端部を該小径部の先端部側に固定したことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のセグメントの継手構造。
【請求項7】
前記拘束部材を、前記軸方向継手部材の基部の外径より若干大きい内径の円筒状に形成し、前記他方の軸方向壁に前記軸方向継手部材と対向して設けられ前記基部の外形とほぼ等しい径の連結穴の軸方向壁内面側に、該連結穴と同心的に固定したことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のセグメントの継手構造。
【請求項8】
前記拘束部材の内径を、前記軸方向継手部材に設けた長い係止片のリップの先端部で形成する外径より若干小さく形成したことを特徴とする請求項7記載のセグメントの継手構造。
【請求項9】
前記拘束部材の内周面に鋸歯状又は階段状の係止部を設けたことを特徴とする請求項7又は8記載のセグメントの継手構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかの継手構造を備えたことを特徴とするセグメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−156911(P2008−156911A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347177(P2006−347177)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]