説明

セグメント化した薬の剤形

薬物投与を2又はそれ以上のより小さい投与に正確に分割するように構成した薬剤タブレットであって、2又はそれ以上のセグメントを有するタブレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は層状薬剤タブレットに関し、薬物を含有する層又はセグメントと、薬物を含有しないか、あるいは、より濃度が低い剤形などの、異なる造粒の一部として薬物を含有する第2の層又はセグメントを具えるタブレットと、それに関連する方法に関する。特に、本発明は、可分である、制御放出医薬品を提供する新規な剤形に関し、好ましい実施例では、正確で確実な分割量を提供することができる。この剤形は、切込みを有するセグメントを具えていても良く、この切込み線が深い切込み線であっても良い。
【背景技術】
【0002】
本発明は、製薬業界における少なくとも二つの関連する問題点である:(1)剤形を割るときの不正確あるいは不確実な用量分割、及び(2)組み合わせ剤形中の一の活性成分の用量を調節する際の柔軟性のなさ、を解決する必要性から生じたものである。
【0003】
不正確あるいは不確実な用量分割という第1の問題点に関しては、通常、薬剤を割ってタブレット全体が提供する用量を変更することが知られている。このような患者が薬剤を割ることによる用量調整は、不明確であることがわかっている。薬剤タブレットに切込みを入れることは広く知られている。層状に製造された薬剤に切込みを入れることも知られているが、あまり広く利用されていない。タブレットにつける切込みは、深さ1mmを超えるものではなかった。しばしば分割を補助するために切込みをつけてタブレットを製造することがあるが、このようなタブレットの分割は、タブレットに切込みが付けられているかどうかに関わらず、多くの問題があることが十分に裏付けられている。切込みをつけたタブレットの不正確な分割は良く知られている問題ではあるが、セグメント付のタブレットプレスでセグメント化された(すなわち、層状の)タブレットを作ることによってこの問題を解決することには注意が払われていなかった。このセグメントは、タブレットが割れるときにこの分割領域のいくらかあるいはほとんどを提供し、同様に、深い切込みをもつタブレットの部分に物理的支持を提供している。ワルファリンなどの多くの薬物は、治療の際に用量調整が必要であり、市場のワルファリン製品の切込みをつけたタブレットは、この用量調整を達成するために頻繁に割れる。患者がタブレットを分割することによるこのような用量調整は、不明確であることがわかっている。
【0004】
専門家は、何年もの間、製薬業界にこのタブレット分割の品質の改善を求めてきたが、このような改善は本発明がなされるまで最適化されていなかった。1984年に、Stimpel et al(以下、Stimpelという)は、心血管障害の治療用に様々なタブレットを比較的正確に分割することを開示した。(M.Stimple et al.、「Breaking Tablets in Half」、The Lancet(1984): 1299)。Stimpelは、慣れた器用な人によって分割が行われたとしても、分割が正確ではないことがわかっており、患者による現実の使用は、むしろあまり満足の行かない結果を提供するという見解を示した。
【0005】
Rodenhuis et al.は、2004年に、ヨーロッパ規制当局が1998年にタブレットに切込みをつけることをやめさせる方針を開始したことに注意を払った。Rodenhuisによれば、この方針変更は、おそらく、「ほとんどの切込みつきタブレットがこわれにくく」、「ほとんどの切込みつきタブレットが、分割した半分が不満足に不均一な塊である」、といった機能不良の切込みラインについて数多くの報告に関連するものであった。Rodenhuisは、オランダの一研究では、全タブレットの31%が、飲み込む前に細分された旨を報告した。Rodenhuisは、切込みラインの機能の改善は、この(切込みつき)剤形を禁止するより、ずっと実用的なアプローチであるかもしれないと記載している。(N. Rodenhuis et al., “The rationale of scored tablets as dosage form.” European J. of Pharmaceutical Sciences 21 (2004): 305-308)。また、van Santen, E., Barendes, D.M. and Frijlink, H.W. “Breaking of scored tablets: a review.”も、参照されたい。(European J. of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 53 (2002): 139-145 for a comprehensive review article on this topic)。
【0006】
Peek et al.は、50−79歳の年配の患者によるタブレット分割を研究した。(Peek, B.T., Al-Achi, A., Coombs, S.J. “Accuracy of Tablet Splitting by Elderly Patients.” The Journal of the American Medical Association 288 No. 4 (2002): 139-145)。特別な指示を行うことなく、機械的タブレットスプリッタを用いて切込み付タブレットを分割することは、非常に不満足なタブレットの分離となる。例えば、ワルファリン5mgは、平均して、1.9mgと3.1mgのタブレットに分れた。この強力な抗凝血剤は、2、2.5、及び3mg用量のタブレットを製造するといった狭い治療域を有する。Biron et al.は、1999年に、ワルファリン10mgも、しばしば、4.25mg以下あるいは5.75mg以上に分割されることを示した。(Biron, C., Licznerm P., Hnasel, S., Schved, J.F., “Orak Anticoagulant Drugs: Do Not Cut Tablets in Quarters.” Thromb Haemost 1201 (1999))。更に、彼らは、ワルファリンタブレット分割の崩壊又は細砕による塊の損壊が統計的に有意であることを示した。彼らは、タブレットを四分することが非常に不正確であることも示した。
【0007】
McDevitt et al.は、1998年に、25mgの切込みのないヒドロクロロチアジド(HCTZ)タブレットが、手でひどい状態に分割され、12.4%が、理想の重量から20%以上も外れていることを見出した。(McDevitt, J.T., Gurst, A.H., Chen, Y. “Accuracy of Tablet Splitting.” Pharmaccotherapy 18 No. 1 (1998): 193-197)。テスト対象者の77%が、分割された切込みのない25mgのタブレットではなく、個別に製造した12.5mgのHCTZタブレットにプレミアを出したいと述べていた。
【0008】
Rosenberg et al.は、薬剤師が投薬した分割タブレットを検討した。(Rosenberng, J.M., Nathan, J.P., Plakogiannis, f. “Weight Variability of Pharmacist-Dispended Split Tablets.” Journal of American Parmaceutical Association 42 No. 2 (2002): 200-205)。彼らは、「タブレットの分割は、受け入れがたい高確率で重量の変化が生じる」ことを見出し、「分割タブレットの均一性を確実にする標準を作るべきである」ことを推奨した。
【0009】
Teng et al.は、2002年に、タブレットを分割する実験室での設備で訓練された人を用いて、「我々が試験を行った11種の薬剤の大多数について、同じ用量の半分のタブレットに分かれる能力を評価したとき、偏見なく解釈したUSP(United State Pharmacopoeia)米国薬局方の均一性試験に合致した・・・コストを低減し、用法を改善するタブレットの分割練習は、・・・より実質的に毒性があり、用量−応答効果曲線が急な薬物を使用している患者には進められない」と、結論付けた。(Teng, J., Song, C.K., Williams, R.KL., Polli, J.E. “Lack of Medication Dose Uniformity in Commonly Split Tablets.” Journal of American Pharmaceutical Association 42 no. 2 (2002): 195-199)。
【0010】
米国では、多くの「マネージド・ケア」保険機構が、患者に、切込みのないあるいは不ぞろいな形状のタブレットを含めて、タブレットを分けるあるいは分割することを推奨又は奨励している。本発明の剤形と方法は、患者に、マネージド・ケア保険機構によるこのような推奨に合致した能力を有利に提供する。
【0011】
剤形を分割するあるいは割ることから生じる二番目の問題は、組み合わせ薬剤、すなわち、二又はそれ以上の活性成分を含有する単一の又は統一された剤形に関連する問題である。組み合わせ剤形は、一般的には、均質な混合物として、あるいはカプセルとして製造される。動脈性高血圧の治療に現在入手可能な組み合わせ薬剤など、これらの組み合わせ薬剤を処方する医師は、その他の活性成分の用量に対して必然の比率調整を行わずに、組み合わせ薬剤中の一活性成分のみを用量調整することはしないであろう。
【0012】
組み合わせ剤形は、従って、血圧変動や薬物の副作用発現などの状況の変化を取り扱う柔軟性のなさのため、不利なことがある。一般的に入手可能な組み合わせ成分の一方の活性成分用量を調整する結果、同じ剤形に含有されるその他の活性成分あるいは成分の用量調整が生じる。二又はそれ以上の活性成分の均質な混合物を含有するタブレット又はカプセルを分割することは、この均質な混合物中の各活性成分を分割することは明らかである。活性成分が別個に層状になっていたとしても、現在入手可能な組み合わせ剤形の層構造は、タブレットの崩壊がすべての層を通る崩壊となり、従って、全ての活性成分が均等に分割される。この不利益は、何年もの間に何度も提議されており、例えば、動脈性高血圧(以下、高血圧という)の治療におけるある種の組み合わせ薬剤の容認を妨げていた。これらの不利益があるにもかかわらず、高血圧に対する組み合わせ治療は、コストと潜在的な整合性のためにポピュラーになった。従って、組み合わせ剤形に含まれるその他の活性成分の用量を不可欠に調整することなく、一の活性成分の用量を調整する柔軟性を提供できる組み合わせ薬剤が必要とされている。
【0013】
業界が当面しているこれらの問題に完全に取り組んだ制御放出剤形は、従来技術にはない。従来技術には、中間層を有するタブレット内の異なる場所に少なくとも一方が制御放出層である、活性薬剤あるいは薬剤を有する二層の剤形であって、手で圧力をかけることによって正確にかつ確実に活性薬剤又は薬剤の用量を変えるあるいは分割するようにした剤形を記したものはない。
【0014】
異なる層内に二又はそれ以上の活性成分を有するある種の組み合わせ薬剤が記載されており、市場に出ている。例えば、Conte,et al.に付与された米国特許第5,738,874号には、即時放出薬成分を具える第1層と、緩徐放出薬成分を具える第2層と、バリヤ成分を具える第3層を有しており、隣接する層から薬物の放出を変更していく多層制御放出タブレットを開示している。この第3の薬物フリー層は、薬物含有層間に挟まれておらず、タブレットの崩壊あるいは分離を容易にするために使用されていない。
【0015】
公開米国特許出願2005/0019407A1号は、界面において接合された第1及び第2の部分を有する複合剤形を開示している。これらの剤形は、第1の型打ち材と第2の圧縮材を有する。剤形を容易に細分形に割ることができる剤形の変形例についての開示はない。
【0016】
米国特許第6,602,521号は、切込みのついた拡張型放出コンパートメントによって封入した少なくとも二個の即時放出薬剤投与パッケージを含む多重薬剤送達システムを開示している。この特許の開示には、即時放出コンパートメントを封入していない制御放出コンパートメントについての教示がない。
【0017】
中間不活性層(すなわち、薬物フリー造粒から得た層)によって分離されており、活性薬物を具える少なくとも2層を有する組み合わせ薬剤が知られている。しかしながら、これらの従来技術の剤形は、活性薬物を含有する、異なる層間に物理的あるいは化学的な不適合性がある場合にのみ提供される。不適合活性層の場合、従来技術は特に、サイズが制限されている「分離層」が不適合層を分離するのに必要である旨を特に教示している。
【0018】
商業的に幅より高さが高い剤形として製造されている薬剤は、我々の知識によれば層状タブレットであるConcerta(登録商標)だけであり、これは、半透過性膜を有し、制御放出特性にOROS(登録商標)システムを利用している。Concerta(登録商標)を使用する製造者の方向は、タブレットが崩壊してはならないということを特定するものである。Concerta(登録商標)は、切込みを具えておらず、従って、間に活性制御放出層を分離する不活性層が介在していない。Concerta(登録商標)以外には、順次縦に配置した層を含む高さより幅が広いタブレットは、製造されていない。
【0019】
ここに開示するように、本発明は、上述の両問題を克服するあるいは緩和することができ、当業者にはよく理解でき認識されるように、更なる利点を提供し、更なる問題点に取り組むことができるものである。
【0020】
発明の概要
主題の発明は、一般的に、縦方向に配置したあるセグメントを別のセグメントから分離するように有利に構成したタブレットに関する。本発明は、圧縮タブレットの異なる部分における薬学的活性製剤の構成、すなわち、少なくとも一の活性薬剤を具える造粒であり、好ましくは、活性製剤の間に不活性層が介在する造粒に関する。不適合性活性薬物を製剤する場合、この中間分離層は、不活性製剤を具える層状剤形に関する現在の教示と異なり、この教示より高さが高い層であることが好ましい。好ましい実施例では、この分離層は、他のタブレットセグメントを結果的に崩壊させることなく、分離層を介して横方向に崩壊させるのに適した大きさ(例えば、ここに規定されている、あるいは引用されている高さ)である。
【0021】
主題の発明は、圧縮した場合にタブレットセグメントを構成する少なくとも二つの縦に配置した異なる層を有する薬剤タブレットを提供するものであり、薬剤を具える少なくとも一のセグメントが制御放出製剤として提供されており:
(a)前記タブレットが、2又はそれ以上のセグメントを有し、各セグメントが、同濃度で同量の一の薬物、あるいは同濃度で同量の二又はそれ以上の薬物を実質的に同じ比率で含有しているか;あるいは、前記セグメントが薬理学的有効量の薬物あるいは薬物の組み合わせを欠いている;又は、
(b)前記タブレットが、薬物あるいは複数薬物を含有する第1のセグメントと;前記第1のセグメント中の薬物あるいは複数薬物と異なる薬物あるいは複数薬物を含有する第3のセグメントであり、前記第1及び第3のセグメントが物理的及び化学的に適合するものである第3のセグメントと;前記第1及び第3のセグメントの間に介在し、前記タブレット中に存在する薬物を検出不可能な量、あるいは、薬理学的に非有効量有する第2のセグメントと;を具える;又は、
(c)前記タブレットが、薬物あるいは複数薬物を含有する第1のセグメントと、前記第1のセグメント中の薬物あるいは複数薬物と異なる薬物あるいは複数薬物を含有する第3のセグメントであり、前記第1及び第3のセグメントの成分が物理的及び化学的に不適合なものである第3のセグメントと、前記第1及び第3のセグメントの間に介在し、前記タブレット中に存在する薬物を検出不可能な量、あるいは、薬理学的に非有効量有する第2のセグメントとを具え;前記第3のセグメントの高さが少なくとも1.5mmである。
【0022】
主題の発明によれば、活性成分を具える前記セグメントの少なくとも一つが、制御放出組成物として調整されている。主題の発明の剤形は、従って、制御放出剤形であると考えられる。従って、例えば、主題の発明の3−セグメントの例の制御放出タブレットは、縦方向に圧縮したタブレットであり、二つの「外側層」と、この外側層の間に配置した一の「内側層」を有する。外側セグメントは、好ましくは、活性薬剤成分を含有し、一般的に「上側」あるいは「トップ」セグメントと呼ばれる第1の層と、活性薬剤成分を含有し、一般的に「下側」あるいは「ボトム」と呼ばれる第2の層とを具えている。内側セグメントは、好ましくは、第3の分離層であって、好ましくは、実質的に活性薬剤成分フリーであり、トップ層とボトム層の間に配置された層を具える。中間内側層は、好ましくは、一の界面においてのみ別の層に接触しており、タブレットの他の層又はセグメントを取り囲むあるいは封入していない。
【0023】
本発明の好ましいコアタブレットの代替の実施例は、限定するものではないが、組成的に区別できる少なくとも二つのセグメントを有する、縦方向に圧縮したタブレットであっても良く、活性薬物を含有する第1のセグメントと:
(a)前記第1のセグメント中の前記薬物濃度より低い濃度で同じ薬物を含有し、この濃度がセグメント中の賦形剤に対する活性薬物又は薬物の重量/重量比に依存している;又は、
(b)検出可能な薬物を有さない、あるいは、前記第1のセグメント中のものと同じ薬物を薬理学的非有効量有し、前記タブレットが、前記第1のセグメントに存在するものと同じ薬物を有する第3のセグメントも具える;又は、
(c)前記第1のセグメントに存在する薬物と、前記第1のセグメントに薬理学的有効量存在していない、又は、前記第1のセグメント中で検出不可能な別の薬物又は複数薬物を有する;又は、
(d)検出不可能な薬物、又は、前記第1のセグメント中にあるものと同じ薬物を薬理学的非有効量有し、前記タブレットが前記第1のセグメント中に存在する薬物と異なる薬物を有する第3のセグメントを具え、前記第3のセグメントの成分が前記第1のセグメントの成分と適合する;又は、
(e)検出不可能な薬物、又は、前記第1のセグメント中にあるものと同じ薬物を薬理学的非有効量有し、前記タブレットが前記第2のセグメント中に存在する薬物と異なる薬物を有する第3のセグメントを具え、前記第2のセグメントの縦方向の高さが少なくとも3mmである;又は
(f)前記第1のセグメント中の薬物と異なる薬物を有し、前記タブレットが前記第1のセグメント中に存在するものと同じ薬物を有する第3のセグメントも具える;
第2のセグメントを有する。
【0024】
薬学的不活性な成分、別のセグメントと同一の活性組成物、又は別のセグメントと異なる活性組成物を含有する追加セグメント、同様に活性組成物の組み合わせをタブレットの一部として含有し、4又はそれ以上、好ましくは、4乃至9の層状セグメントをタブレット内に具えていても良い。これらの更なる実施例では、内側セグメントが、外側セグメントと内側セグメントとの間、あるいは、二つの内側セグメントの間に介在する活性組成物を具えていても良い。層又はセグメントの数は、入手可能な層圧縮機器と、最終製品の実用性によってのみ制限を受ける。
【0025】
上述の本発明の実施例において、薬剤タブレット内の層又はセグメントのうちの少なくとも一つが「変動放出」あるいは「制御放出」構成である。「変動放出」又は「制御放出」の用語は、当業者には理解されるように、従来の「即時放出」からの薬剤の放出レートに対して、変化したあるいは「変動した」レート」で剤形から活性成分を放出する特性を有する剤形あるいは構成を含むことを意図している。
【0026】
従って、「変動放出」の用語は、「制御放出」、「遅延放出」、「拡張放出」、「長時間作用」、「変化放出」、「緩徐放出」、「持続放出」、「徐放出」、その他を含んでおり、これらは全て、「即時放出」より遅い又は緩やかな放出を意味すると理解される。しかしながら、「変動放出」は、製薬業界でよく知られており、理解されるように、例えば、急速溶解タブレットあるいは迅速溶解タブレットといった、飲み込む前に口中であるいは頬の内側で溶解する、従来の即時放出タブレットより早い放出レートを意味することもある。腸溶性材料あるいはその他の材料を伴う製剤によって遅くなる放出は、この遅れの後即座に放出するが、当業者には、「制御放出」型であると理解され、主題の発明の目的であると考えられる。「緩徐放出」、「拡張放出」、「長時間作用」、「持続放出」、「徐放出」、その他は、一般的に、同義語であると認識されており、ここでは、「遅延放出」でない、「変動放出」又は「制御放出」製剤を指すのに交換可能に使用することができる。「本質的変動放出」の用語は、例えば、造粒といった、薬学的成分の制御放出特性を意味しており、これによって、その組成物からの薬物あるいは複数薬物放出レートが、その組成物の成分又は賦形剤によって影響を受け、例えば、その組成物の上に配置されたあるいは周囲に形成された被覆又は膜といった、その組成物に付帯的なデバイス又は組成物によっては影響されないものをいう。
【0027】
「活性物質」、「活性薬物」、「薬物」、「活性薬学成分」、及び「薬理学的活性物質」の用語は、ここでは交換可能に使用されており、器官(ヒトあるいは動物)に投与したときに、薬理学的効果を引き起こす化学物質又は化合物を意味し、処方又は非処方医薬品、及び生物学的に有効な塩を含む、薬理学的有効量のビタミンあるいは共同因子、ミネラル、その他といった物質を含む。
【0028】
本発明のタブレットは、二又はそれ以上の層で調整した制御放出薬剤タブレットの種類に属し、少なくとも一の層は制御放出組成物であり、従って、非均一である。本発明の一の好ましい実施例は、2又はそれ以上のセグメントを有する薬剤タブレットであって、トップおよびボトムを有し、このタブレットの幅を超える高さを有する、すなわち、タブレットはその幅より高さが高い。この高さは、タブレットのトップからボトムまで縦に測定したものであるが、圧縮が完了した後、タブレットが完全に圧縮されたタブレットダイの中の高さである。また、前記幅は、タブレットのトップとボトムの間の半分の位置におけるタブレットの最も大きい水平寸法として測定したものであり、タブレットの水平断面が実質的に矩形である場合は、その水平断面の周辺の二短辺を配置することによって幅が決まり、この二短辺に直交するラインの長さを測定する。本発明のタブレットの「縦」と「水平」(「横」ともいう)軸の用語は、タブレットプレスにタブレットを圧縮するタブレットダイ又はその他のタブレット機械(ここでは、「タブレットプレス」という)の方向と同じ方向によって決まり、その方向を有し、造粒をダイに入れる順序によって決まる。
【0029】
本発明の幅より高さが高いタブレットは、タブレットの理論上の縦軸(すなわち、水平方向にある)を通って、従来の、現在製造されている高さより幅が広い形状のタブレットより、より割れやすく形成されている。本発明のタブレットの好ましい使用の多くは、前記中間セグメント上又は下のセグメントが崩壊することなく、薬理学的有効量の薬剤を持たないタブレットの中間セグメントを通して割れる。
【0030】
別の好ましい実施例では、主題の発明は、2又はそれ以上のセグメント制御放出圧縮薬物タブレットに関し、第1のセグメントが薬理学的有効量の薬物又は複数薬物を含有し、前記第1のセグメントに50%又はそれ以上まで延在する深い切込みを有する。より好ましくは、一の実施例では、この切込みを、前記第1のセグメント表面から前記第1のセグメントの反対側の面(表面)であって、その反対側の面に隣接する第2のセグメントを有する面までの距離の、70%ないし99.5%とすることができる。代替の実施例では、この切込みが前記第1のセグメントを完全に通過して、第2の隣接するセグメントの中へ延在できるように形成されている。好ましい実施例では、前記第2のセグメントが、検出不可能な量の薬剤を、前記第1のセグメント中の薬剤濃度の最大80%まで有している。
【0031】
本発明のタブレットは、タブレット全体として有益であるのみならず、「タブレット片」としてここで公知であるサブユニットに分けることができ、タブレット全体として、またタブレット片の形で正確に投薬できる。本発明は、好ましい実施例のほとんどにおいて、実質的に活性薬物フリーである造粒を具えるセグメント(「不活性造粒」又は「不活性」セグメント)を利用することによって、この目的を達成している。
【0032】
本発明の主たる目的の一つは、タブレット全体に低用量(用量ゼロを含む)の薬物又は複数薬物を作る必要がある場合に、好ましくは、例えば不活性セグメントを介するなど、セグメントの崩壊によって、タブレットが割れるように構成した制御放出薬物タブレットを作ることである。「不活性セグメント」は、実質的に活性薬剤フリーであり、従って、最小濃度の薬物又は複数薬物の混合物(w/wベースで)、又は、薬理学的非有効量の薬物又は複数薬物の混合物を含む。代替的に、崩壊するセグメントは、最小濃度以上であるが、別のセグメントに比べて濃度が低い薬物をタブレットに含有するセグメントであっても良い(相対的不活性セグメント)。
【0033】
本発明の更なる主目的は、本発明を、単一医薬品の正確な投与と、組み合わせた医薬品の投与に適用することである。
【0034】
組み合わせ製品への主題の発明の使用に関して、一の造粒内での薬物の混合物が、別セグメントから一のセグメントの分離性の観点から、造粒内単一薬物として作用すると理解される。例えば、薬物Aが上側セグメントに治療上有効量存在し、薬理学的有効量の薬物をなんら含まない内側セグメントが、二つの外側(トップ及びボトム、あるいは、上側及び下側)セグメント間に介在しており、薬剤Bが下側セグメントに治療上有効量存在しており、好ましい実施例では、前記内側セグメントの高さ、特に「有効高さ」が、前記内側セグメントが、いずれかの外側セグメントが実質的に崩壊することなく、前記タブレットの崩壊領域として作用するのに十分に大きいような場合に、本発明が有益である。しかしながら、従来技術は、タブレット中で、上側及び下側セグメントの全ての成分が物理的及び化学的に互いに適合する場合、主題発明の新規性が内側セグメントの高さが最小であることを要求するものではない。
【0035】
外側セグメントの成分間が不適合性であるような特別な場合、タブレット全体のサイズを最小にする、あるいは、コストを最小にするといった理由で、従来技術では、いずれかの内側「分離セグメント」が、このなんらかの不適合性の存在を取り除くために必要な最小高さに制限されなければならないようになっている。この場合、知られているように不適合層を分離するための単独での量に比べて、過剰量の内側分離セグメントを設けてそれを割るようにしており、本発明は、より好ましい形状のいずれもが新規である。
【0036】
上記に引用した全体タブレットはすべて、本質的に変動放出特性を有する少なくとも一のセグメントを具える。
【0037】
本発明のタブレットは、少なくとも二つの成分的に異なるセグメントを具える。
【0038】
発明の詳細な説明
ここに説明し、図に示した全タブレットは全て、本質的に変動放出特性を有する少なくとも一のセグメントを具える。本質的変動放出特性とは、組成物自体の放出特性、すなわち、被覆や膜など、前記放出を交互に行うあるいは制御して行うためのセグメント組成物に外付けされたデバイス又は組成物を使用することなく、組成物からの薬物又は複数薬物の変動あるいは制御された放出(即時放出に比較して)を意味する。
【0039】
本発明のタブレットは、少なくとも二つの成分的に異なるセグメントを具える。
【0040】
本発明のタブレットをここに記載する。実質的に薬物活性がないセグメントは全て、本質的に即時放出性である。従って、このタブレットは、このような変動放出特性を有するように意図的に調整された一又はそれ以上のセグメントの成分のため、変動放出性又は制御放出性である。
【0041】
本発明のタブレットは、ドイツKorsch社によって製造された3層又は5層高速プレスなどの層プレスで製造することが好ましい。ここに引用されている、Remington’s Pharmaceutical Sciences 20th Ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa. (2000), Chapter 45 は、圧縮タブレットを製造するのに用いる様々な技術について述べている。本発明のタブレットは、主として経口投与を意図するものであるが、その他にも適用することができる。層又はセグメント調整において使用される接着特性を有する賦形剤をのぞいて、本発明のタブレットは、セメント、のり、接着剤、その他を用いては形成されておらず、好ましくは被覆されていない。
【0042】
タブレットは、別々の層又はタブレットセグメントとして構成された、例えば、造粒などの少なくとも二つの異なる薬学的調整組成物を、例えば縦方向に圧縮して形成される。主題の実施例は、限定するものではないが、幅よりも高さが高い縦方向に圧縮したタブレットと、統一してセグメント化したタブレットとを具える。これらの実施例は、分離用マークあるいは切込みを具えていても良い。
【0043】
層は、ある量の個々の造粒をタブレットダイに導入して、ダイの少なくとも一部を満たすことによって製造される。層は、軽くたたいて詰めることなく、詰めて、あるいは完全に圧縮した造粒の形で存在すると考えられる。
【0044】
本発明の好ましいタブレットの製造方法の一例として、第一に、薬理学的に有効な用量の薬物を含有する造粒をダイに入れ、軽くたたいて詰めて第1のセグメントを形成する。第二に、薬物を含まない造粒(不活性造粒)をダイに入れて、軽くたたく。この不活性造粒は、同定することができ、有意な濃度の薬物を含む薬物の一部がそれを通して割れないように、割れる、タブレットの一部を形成する。最後に、薬理学的有効量の薬物を含有する第2の造粒をダイに入れ、選択的に、軽くたたいて、最終圧縮を行って第3のセグメントを形成し、最終圧縮タブレットができる。一又は全てのセグメントは、個別には、高さより幅が広いが、タブレット全体は幅より高さが高い。
【0045】
本発明によるタブレットの好適な寸法は、高さが6−24mm、好ましくは10−18mm、より好ましくは10−14mmであり;幅(水平軸の最も広い寸法)が2−16mm、好ましくは3−10mm、より好ましくは4−8mmである。限定するものではないが、タブレットの寸法は、高さ対幅の比が、約1.5:1乃至3:1の間が最適である。
【0046】
タブレットの形成に続いて、選択的に、タブレットの側部に、好ましくは横方向に切込みを入れても良い。代替的に、タブレットの形成後に、印刷したライン、あるいは、点線、シンボル、又はミシン目などのその他の形の印をタブレットの表面上又は表面内に設けても良い。これらは全て、分離投薬あるいは薬物を含有するタブレットのその部分を正確に分離するという観点から、所望のタブレットの割れる領域を同定する目的のためである。異なるセグメント中に対照的な色を使用するなど、所望のタブレットが割れる領域を潜在的に同定するその他の手段を用いることができる。
【0047】
加えて、圧縮タブレットを更に処理して、例えばゼラチンカプセル又はサシェなどの不活性被膜を提供するようにしても良い。使用においては、例えば、カプセル化していない実施例についてここで述べるように、従来のゼラチンカプセルをねじって切り離し、中のタブレットを除去して、タブレットを分割するなどして、この被膜を切り取るあるいは除去することができる。代替的に、このカプセル又はサシェに設けた分離マークは、主題の発明のタブレットを正確に分離するために所定の部位においてタブレットと被膜を分割するのに、ユーザを案内することができる。有利なことに、被膜は主題の発明のセグメント又は層付タブレットを見ている患者であるユーザの部分の混乱を最小限にする、あるいは防止するのに役立つ。
【0048】
本発明の好ましいタブレットでは、層(及びこの層を得た造粒)を、実質的に同じ層(又は造粒)の上又は下(例えば、隣接して、あるいは接触して)に配置する必要がない。このような場合、一の層が、単純セグメントであるサブタイプのセグメントとなる。「セグメント」の用語は、単一セグメント、あるいは化合物セグメントであってもよい。本発明のタブレットは、所望すれば割れるように構成されており、所望の場合は、この割れから生じる多数の切片に対する用語が作られている。本発明者は、これについて、用語「タブレット片」を使用している。
【0049】
タブレット片形成の一例は以下のとおりである。標準的な単一切込み付単層均一薬剤タブレットが割れる。この割れが、それぞれがタブレット片と呼ばれる二個の主切片を作る。量的に少ないことが好ましい、切れ端と細粉が生じることがある。本発明のセグメント化した層状タブレットでは、本発明を正しく使用するために、内側セグメントなどセグメント中に横方向に切込みをつけることが有利である。これは、ファイルなどの器具を用いて行うことができる。続いて、前記切込みを介して前記タブレットを割った結果、タブレットの2つの主フラグメント片を表わし、切れ端と細粉といったより小さなフラグメントを含まない、二個のタブレット片が生じる。
【0050】
本発明によって製造できる多くのタブレットの中でも、多層タブレットプレスで製造したタブレットの例は: 薬物Aを具える第1の造粒を第1の充填ステーションにあるダイに入れ;不活性賦形剤を具える第2の造粒を第2の充填ステーションにおいて前記第1の造粒の上に入れ;組成と量(重量)が第1の造粒と実質的に同じである造粒を第3の充填ステーションでダイに入れる。最終圧縮の後、前記タブレットをダイから取り出す。ダイに完全に入れたとき、およびその後、各造粒が、最終タブレット製品の層、又はセグメントを形成する。
【0051】
主題の発明のタブレットの形成に使用するいずれの製造プロセスにおいても、一のセグメントから別のセグメントへ、薬物あるいは賦形剤が混ざることはない。しかしながら、現実的には、層形成における異なる造粒間で、最小の不注意な混合が生じることがある。いくらかの混合は予測するべきであり、割ることができるタブレットから正確な用量を作る技術分野の改良を本発明から変更するものではない。異なる造粒は、同じ色又は異なる色であってもよい。一の造粒からべつの造粒へ材料が移ることを制限するには、しばしば、湿式造粒法が好まれる。粉体の直接圧縮も、好ましい製造技術である。
【0052】
ここでは、後述する理由で、本発明の最終タブレットを議論するに当たり、「セグメント」の用語を、一般的な「層」に用いることができる。更に、引用を容易にして本明細書を通して一貫性を持たせるために、ここにおける記載は、特別な「造粒」を具えるあるいは用いるときに、セグメントと呼ぶことができる。この用語は、湿式造粒法における、顆粒の形成自体に限定されない。例えば、直接圧縮マトリックス調整に用いる、例えば均一な混合物あるいはブレンドであるその他の調整組成物、圧縮タブレットに用いる被膜あるいは非被膜ビーズ又はペレット、あるいはこの分野でよく知られており、従来の層状圧縮タブレット技術に好適に使用されるこのような組成物は、このような「造粒」に容易に変更することができ、本発明の範囲内にあると考えられる。主題の発明は、これらの代替の、入手可能で、よく知られた圧縮可能な調整技術の各々を含むことが、明らかに意図されている。
【0053】
セグメントは、タブレットの実質的に均一な連続部分の全体を表わす。セグメントは、1以上の層から形成されていても良いが:自動高速タブレット製造における2回の連続充填ステーションといった、タブレットダイに連続的に実質的に同じ造粒を2回、第1の投入後にその上に直接第2の投入を行う場合は、投入後二つの造粒がそれぞれ別の層を形成するが、圧縮したときにこれらの層が一のセグメントとなるであろう。従って、セグメントは、本発明のタブレットがいかに有益であるかを証明する基本単位である。しかしながら、二つの異なる活性薬物、あるいは同じ活性薬物の異なる塩が、他方の上に圧縮されると、これらは二つのセグメントを形成するであろう。同じ活性薬物であるが、同じでない賦形剤を有する造粒も、一の造粒がもう一つの造粒の上に圧縮された場合、二つのセグメントを形成するであろう。
【0054】
実質的に同一の造粒から形成された複数層によってできたセグメントは、合成セグメントと呼ばれる。合成セグメントは、比較的大量の不活性造粒の場合、あるいは、造粒が薬物あるいは複数薬物を含有し、実質的に同一の造粒を2又はそれ以上の連続充填(送り)する場合に有効である。
【0055】
上でも下でもないところに配置された(すなわち、隣接しておらず、連続していない)造粒から形成した層は、単一セグメントである。非合成セグメントは、単一セグメントである。
【0056】
ここで用いられているように、タブレットに対して使用する場合の「水平」(横方向)及び「垂直」の用語は、ダイから取り出すあるいは排出する前ではなく、ダイ中で製造するときあるいは製造後の空間的な方向付けに基づくものである。現在の製造方法は、別の造粒の上でダイに造粒を投入してタブレットを製造するので、このようにして製造した本発明のタブレットは、一又はそれ以上のトップ(外側)セグメントと、一又はそれ以上のボトム(外側)セグメントと、選択的に一又はそれ以上の中央(内側)セグメントを具える。トップあるいはボトム(すなわち外側)セグメントでないセグメントは、内側セグメントであると考えられる。
【0057】
主題の発明によるタブレットの構造において、外側あるいは内側セグメントの側部は、外側に露出した面を有する。
【0058】
別々の造粒が連続的に横方向に(左右に)配置され、現在行われているように縦方向には配置されないのであれば、タブレットは本発明の範囲内で製造されることになる。なぜなら、水平圧縮プロセスによって同じ終局産物が製造されるからである。例えば、図1のタブレットが平らなテーブルの上にある場合、このタブレットは、タブレットがダイの中で形成される態様に対して直角に縦に置かれる傾向にあり、従って、3個のセグメントにすべて異なる色がついている場合、このセグメントは縦に配置されている(その他のセグメントの上にセグメントがある)のではなく、むしろ横(左右)に配置されることになる。それにもかかわらず、用語を一致させるために、これらのセグメントは、ここでは縦方向に重なって配置されていると考える。
【0059】
本発明のタブレットは、被覆されていないことが好ましいが、審美的あるいは機能的、あるいはその他の目的で、従来の被膜を用いて被覆するようにしても良い。しかしながら、これらの被膜は、主題の発明のタブレットの「層」又は「セグメント」とは考えられない。これらの被膜は、薬物あるいは複数薬物の放出反応速度を有意に変更するものではない。
【0060】
「活性作用物質」、「薬物」、「活性薬物」、「活性薬剤」及び「薬理学的活性作用物質」の用語は交換可能であり、限定することなく、処方あるいは非処方医薬品、同様に、薬理学的有効用量のビタミン、共同因子、その他を含む。「一日あたりの推奨摂取量」の栄養素、ビタミン、その他などの物質は、ここでは「薬物」とは考えない。
【0061】
「検出不可能な量」の用語は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、核磁気共鳴像法、その他といった従来の分析法を用いても、活性化合物の存在は同定できないことを意味する。「薬理学的非有効量」の用語は、測定可能な薬理学的効果を有する薬物あるいは複数薬物の量を意味する。高速自動タブレット製造装置が稼動している条件によっては異なる造粒の混合が生じることがあり、これは、タブレットを形成する間に、一の造粒中に存在する薬物などの物質を配置を意図していない層又はセグメント中に発現させることがある。
【0062】
「相対的不活性セグメント」の用語は、検出不可能な量の薬物を含有するか、あるいは、別のセグメントに含有される低濃度の薬物あるいは複数薬物を薬理学的有効量含有するセグメントを意味する。「低濃度」の用語は、前記相対的不活性セグメント中の薬物又は複数薬物の濃度が、別のセグメント中の前記薬物又は複数薬物の濃度の80%を超えない、より好ましくは、前記別のセグメントの薬物又は複数薬物濃度の20%を超えない、最も好ましくは、この比が5%を超えないことを意味する。セグメント中の薬物あるいは複数薬物の濃度は、ここでは、前記セグメント中の薬物又は複数薬物と、前記薬物又は複数薬物と不活性賦形剤を含む前記セグメント全体の重量の、重量対重量ベースの比率である。
【0063】
本発明のタブレットは、その利益あるいは利点を実現するために、横方向に割れることが好ましい。本発明によれば、手動で(あるいは、普通に理解されている用語である「手で」)力をくわえることによってタブレットを所望の位置で割る、あるいは、切断エッジなどの器具を使用して所望の割れる領域に設けた分離マークに直接的に力を掛けることによって、標準的な方向に割れる。
【0064】
分離マークは、切込み付でよく知られている通常の方法で選択的にタブレットの割れを案内することを意図しており、タブレットが割れることを所望する場合、この分離マーク又はその周辺に、タブレットの割れの開始を所望する面に実質的に直交する方向に力を加えてタブレットを割る。本発明によるタブレットは、手動であるいは切断エッジなどの器具を用いて、分離マークに、あるいは、例えば外側セグメントなどのタブレットのその他の領域に直接的に力を加えることによって、タブレットが分離マークであるいはその周辺で、分離マークの方向に割れる。
【0065】
分離マーク又は複数マークは、以下のうちの一又はそれ以上を具える:
(a)側部切込みであって、当該切込みが縦方向でない切込み
(b)タブレットの一側部あるいは側面の印であって、タブレットの所望の割れる領域を表示又は位置づける印
(c)一のセグメント又は2個のセグメントの界面に配置したバンド;
(d)前記タブレットの内側セグメントであって、第1の下側セグメントと第2の上側セグメントが、同じ色を有し、薬理学的有効量の同じ薬物を含有するか、両方とも薬理学的有効量の薬物を欠いているセグメントと、第3の内側あるいは中間セグメントであって、第1のセグメントと異なる色を有し、第1のセグメントが薬理学的有効量の薬物を有する場合、又は、前記第1のセグメントが薬理学的有効量の薬物を欠く場合には、薬理学的有効量の薬物を有しない場合に、第2のセグメントと同じ色を有するセグメント。
【0066】
本発明の特定の実施例を、図面を参照して述べる。図面は、本発明のタブレットおよびタブレット片の縦断面図を示す。タブレットは、ダイの中にあるように記載されおり、したがって、そのページ上に方向付けられているタブレットのトップは、ダイの中のタブレットのトップに対応する。換言すると、図では、タブレットのトップセグメントが、ダイに入れる最後の造粒である。タブレット片は、無償のタブレットから分離する前にダイ中にある状態で示されている。影の部分は、活性造粒、すなわち薬物を含む造粒からできたセグメントを表わし;透明(プレーン)部分は、不活性造粒、すなわち、活性薬物を伴わずに調整した造粒からできたセグメントを表わす。
【0067】
「正面図」は、正面として任意に決めた側部に対してタブレットを通る理論的なジオメトリック面を有するタブレットの断面を意味する。「側面図」と記されている図面は、対応する「正面図」を有し、正面図の右側からタブレット全体を通る断面、すなわち、側面図とは、断面正面図に対して90度の角度でタブレット全体の縦軸を通る平面によって取得した断面である。各正面図は、タブレットの前面からタブレットあるいはタブレット片の背面までを測定した水平断面の中天を通る概略断面を表わす。「正面図」は、タブレットの主軸に対して平行でもある(例えば、長方形(正方形ではない)横断面を有するタブレットについては、周辺の長辺が、断面である正面図を記載している平面と平行である)。この平面は、タブレットの正面と背面の間の半分のところに位置している。図1b及び2c−dの側面図は、長いほうの横方向寸法(すなわち、幅)の中天を通る縦方向平面から見た図であり、従って、正面の中点に、それに直交して配置されている。図面は、タブレットの垂直中点において長方形であるが正方形でない水平断面を有するタブレットについて描かれている。
【0068】
薬理学的活性量の薬物あるいは複数薬物を含むセグメントは、斜行平行線で示されており;薬理学的非有効量セグメントは、プレーン(斜行平行線又は点描のない、クリアな状態)で示されている。一貫させるために、タブレット片は、タブレットがダイから外れた後にタブレット片が生じるにもかかわらず、タブレット片が形成されているタブレットと同じ方向に記載されている。図中のタブレットの点線は、タブレットの表面上又は表面内にある印刷したマーク、あるいはその他の印、あるいは切込みを表わしており、これが切込みであれば、この切込みは、断面正面図に現れるのに十分に深くタブレット中に延在していない。切込みを反映する図に示す横方向点線は、本発明のタブレットの切込みの深さを限定するものではない。表面の切込みを表わす平面図上の水平方向の点線は概略的なものであり、切込み、印刷マーク、その他の完全な縦方向の大きさを表わす必要はない。
【0069】
タブレット片は、鋸歯パターンで示す部分的表面で記載されている。このような鋸歯表示は、概略的なものであり、タブレット(又はタブレット片)の割れの実際のパターンを表示することを意図するものではない。この割れは、タブレットが切込みに沿って割れる場合でも、しばしば、不規則なエッジとなる。
【0070】
図に示すタブレットの分離マークは、タブレットの表面上又は表面内に存在し、断面正面図に現れるほどタブレット内に十分深く延在していない切込みとして示されており、タブレットの表面上又は表面内の切込みの位置(図示せず)を反映する点線として図中に示されている。分離マークあるいはその他の切れもの深さは、特定の実施例中のタブレットの最も広い断面の半分より深くても良いと解するべきであり、従って、図に示す分離マークである、切込みを反映している横方向の点線は、本発明のタブレットの切込みの長さを限定するものではない。同様に、切込みを有するように示されたタブレットは、この切込みの幅あるいは大きさを限定するものではない。表面切込みを現す正面図の水平方向の点線は概念的なものであり、必ずしも切込みの完全な縦方向の大きさを表わすものではない。(タブレットの幅又は深さを通るミシン目又は不連続的切込みは、ここに記載されていないが、その他のマーク、あるいは分離マークを作るタブレットへの物理的変更と同様に、本発明の範囲内にある。)分離マークとして作用する切込みあるいは、印刷した印は、ここでは、便宜上、タブレットの前面にあると仮定する。この面は、タブレットの縦方向の面から任意に選択される。タブレットの「側面」は、前面からタブレットを90度回転させた断面図であり、図2c及び2dに示されている。分離マークの寸法は、全図面で破線で示すことによって限定されるものではない。
【0071】
本発明のタブレットを上記より、より詳細に以下に述べる。実質的に薬物活性をもたないセグメントは全て、本質的に即時放出性である。従って、タブレットは、このような品質を有するように意図的に調整された一又はそれ以上のセグメントの組成によって、変動放出又は制御放出性となる。
【0072】
図1a及び1bは、組成的に実質的に同一である上側セグメント40と下側セグメント44を有するタブレットを示す。好ましい実施例では、メトプロロール塩の制御放出製剤が各セグメントに存在する。内側セグメント42は、セグメント40と44の各々に治療的に有効量存在する薬物を微量含有し;好ましい実施例では、この薬物は、メトプロロールの被覆粒子を具える。界面46と48は、セグメント42の上側部分とセグメント42の下側部分が、それぞれ、上側セグメント40と下側セグメント44に隣接する領域を表わす。この湾曲した界面は、湾曲している上側タブレットのパンチのプロファイルから生じる。切込み52が図1bに示されている。図1aの点線50は、タブレットの表面上の切込み52を反映するものであり(図示せず)、これは、タブレットの短横軸を通って半分までは貫通していない。
【0073】
図2a―dは、図1a及び1bのタブレットを切れ込み52を介して割って形成したタブレット片を示す図である。図1aの内側セグメント42は、もはや無傷セグメントとしては存在しない。図1a及び1cの上側タブレット片は、無傷上側セグメント40に隣接しており、下側タブレット片は、セグメント82と無傷セグメント44を含んでいる。
【0074】
図1a及び1bのタブレットをセグメント42に配置した切込みを介して割ることは、このタブレットを縦方向の寸法に割ることより容易であることは明らかである。縦方向に割ることは、切れ込みのある層付(セグメント化された)タブレットに現在行われている方法であるが、切れ込みのある層付タブレットの現在の限定されたやり方は、おそらく排他的に、幅よりも高さが高いタブレットに関連している。このタブレットを割る好ましい手段の間で、活性薬物がおかれているタブレットの部分において割れ目ができないという事実は、タブレット内に含まれる活性薬物又は複数薬物に対する非常に正確な割れを提供している。
【0075】
図3は、2セグメントタブレットを示す図であり、各セグメントは、薬理学的に有効量の医薬を含有する造粒から形成されている。好ましい実施例では、前記薬物の制御放出を作るベラパミルの被覆粒子が上側セグメント124を構成し、ベラパミルの即時放出造粒が下側セグメント126を構成している。上側(外側)セグメント124は、下側(外側)セグメント126より大きい。界面128は、これらのセグメントが連続している領域(界面)を示す。タブレット(図示せず)の外側表面上の印刷マークは、前記表面の印刷マークの位置を反映している矢印130の位置によって表示される、潜在的な割れポイントを示す。2個のセグメント124と126は、色が異なる;しかし、更に、タブレットのどの部分がどのセグメントを含むかを、同定することができる。
【0076】
図4a及び4bは、図3のタブレットを割って形成した2個のタブレット片を示す図であるが、矢印130によって表示された印刷マークで方向付けられたものではない。図4aのタブレット片は、セグメント118からなり、これは図3のセグメント124の大部分である。図4bに示すタブレット片は、無傷の形状のセグメント112と、図3のセグメント124の半分よりも小さいセグメント120である。界面116は、前記セグメントが連続している領域を示す。界面116の曲率は、上側タブレットパンチのプロファイルによる。
【0077】
図5は、上述したものよりも細長いタブレットを示す図である。このタブレットは、他のタブレットよりも、一のセグメントを介して割れやすいように構成されている。上側セグメント600には、治療的量の薬物が設けられており;点状内側セグメント604には、治療的量の異なる薬物が設けられており;下側セグメント608には、セグメント600及び604の治療的量と異なる治療的量の薬剤が設けられている。透明(プレーン)内側セグメント602及び606は、タブレット中のこの3つの薬物をそれぞれ薬理学的非有効量含有しているが、あまり好ましくない実施例では、3つの異なる造粒の不注意な混合は治療的有効用量ではないが薬理学的に有効量の薬物又は複数薬物を作るのに十分である。更に別の実施例では、セグメント604に治療的量の葉酸などのビタミンが設けられており;更に、あまり好ましくない実施例では、セグメント606も同様に治療的量の薬物を具える。界面610、612、614、及び616は、2つの連続セグメントが隣接する領域を表わす。図5のタブレットは、各セグメントに異なる色が付けられているが、このセグメントによる色の区別は、本発明のタブレットには要求されない。表面に切込みあるいは印はないが、この色スキームは、図6a及び6bに記載のタブレット片を作るようにセグメント602を介して力を加えてタブレットを割るように人の注意を向けている。図6aは、セグメント602を介して横方向に図5のタブレットを割ることによってできた、より小さなタブレット片を示している。セグメント620は、この割れによってできたものであり、図5のセグメント602は、無傷のセグメントとしてはもはや存在しない。図6bは、図5に示すタブレットの前記割れによってできたより大きなタブレット片を示す図である。新しい上側セグメント622でできている。
【0078】
図5に示すタブレットのセグメント608は、この分野でよく知られているものから選択した変動放出薬学的作用物質を具える。前記タブレットの5個のセグメントの、タブレット全体の寸法に対する比に制限はない。
【0079】
図7a−cは、図6bのタブレット片が続いて割れてできた3個のタブレット片を示す図である。新しいセグメント630とセグメント632ができて、セグメント606は、無傷のセグメントとしてはもはや存在しない。図5のタブレットの各セグメントを形成している材料間の相互混合が最小限乃至なにもないものと仮定し、図7cのセグメント632にはいずれの活性薬物も実質的にフリーであると仮定すると、図7cのタブレット片は、新しい変動放出投与形を現しており、これは、部分的にセグメント中で即時放出実質的不活性セグメントと隣接する変動放出製品を構成する。
【0080】
図8は、3個のセグメントを有するタブレットの断面図である。
【0081】
図9は、分離マークとしての切込み701を前面に示す本発明のタブレットの斜視図であり、トップ活性(薬物含有)セグメント702;中央薬理学的不活性セグメント(薬理学的有効量の薬物がない)、及びボトム活性セグメント706を示す。タブレットが切込み701で割れると、トップセグメントとボトムセグメントは無傷で残る。セグメント702と706は、各々、成分的に同様である、ベラパミルと即時放出ヒドロクロロチアジド(HCTZ)でできた制御放出ビーズ製剤を含有する。セグメント704には、薬学的非有効量のベラパミルとHCTZが見られる。
【0082】
図10は、ゼラチンバンド901を有する本発明のタブレットの正面図である。ここに引用されている英国特許第4,922,682号に開示されているように、カプセルをつなぐのに使用されるこのような技術を変形して、本発明のタブレットを作る場合にバンドを提供することができる。セグメント902及び906は、成分的に異なり、体積が異なる材料を含有している。下側セグメント906はマトリックス製剤に塩化カリウムを具え、上側セグメント902はクロルタリドンでなる即時放出成分を具える。中央(内側)セグメント903は、少量のクロルタリドンを含有するが、薬学的有効量ではない。
【0083】
図11は、本発明による分離マークを形成するべくタブレットの表面内に作った一連のミシン目100を示す。これらのミシン目は、例えば、この表面に深さ1−2mm延在する1−2mmの径のホールを機械的にあるいはレーザであけることによって形成することができる。点描した上側及び下側セグメント802と804は、ペントキシフィリン(pentoxyphylline)でなる変形放出製剤を含有する。ミシン目100を含めて番号が付されていない中央セグメントは、不活性賦形剤を具える。
【0084】
図12は、本発明のタブレットの正面を示す図であり、このタブレットは、本発明による分離マークとして作用する2本の印刷した点線を有する。中央セグメント808は、治療上有効量の葉酸とビタミンB12を具える。下側セグメント810は、治療的量のメトプロロール塩でできた制御放出ビーズを具え、上側セグメント806は、治療的量のアムロジピンを具える。標準以下の治療的量の以下の薬物が以下のセグメントに見られる。葉酸とビタミンB12がセグメント806と810に、メトプロロールがセグメント806と808に、アムロジピンがセグメント808と810に見られる。
【0085】
図13は、ボトムセグメントを通って約90%延在する切込み316を有する即時放出タブレットを示す図である。上側セグメント310によって、深い切込み316があるにもかかわらずタブレットの構造的安定性が生じる。このタブレットでは、セグメント312中に存在しない薬理学的有効用量の薬物がセグメント310に存在する。別の好ましい実施例では、セグメント310が、セグメント312に存在する薬物と異なる薬剤を、好ましくは薬理学的有効量含有している。あまり好ましくない実施例では、セグメント310は、セグメント312に存在する薬理学的有効量の薬物又は複数薬物を含有するが、各セグメントの賦形剤に比較して濃度が低い界面318が存在する。このタブレットでは、変動放出特性を有する成分中の活性薬物が、セグメント312に治療的量存在し、セグメント310は、同じ薬物あるいはその他の薬物を治療的量有しない。タブレットデザインの新規性は残っているが、薬学的有効量あるいは治療的有効量の別の薬物などの薬物を設けるべきはセグメント310である。例えば、変動放出組成が切込みのないセグメント310中に治療的有効量存在しており、治療的有効量の異なる薬剤の即時放出成分が切込み付セグメント316に存在すれば、新規性がある。
【0086】
図13のタブレットを割ることで、図14aと14bに示すような2個のタブレット片を作るが、タブレットが割れる方向に関してはなんら制限がない。非常に不活性である図1のセグメント310は、図2aに示すものより小さいタブレット片700と、図2bに示すより大きいタブレット片702の二つのセグメントに割れる。図に示す割れは縦から外れているが、図1のセグメント312からできた新しいセグメント314と315中の薬物の量は同様である。図2bの706と、図2aの704の2個の新しいセグメントは、2個のタブレット片を作ることで生じる。新しい界面708と710は、セグメント702と706、及び700と704がそれぞれ隣接する領域にある。
【0087】
図15は、2セグメントのタブレットを示す。このタブレットでは、下側(ボトム)セグメント324が、上側(トップ)部分322に含有されている薬物と異なる薬物を含有している。切込み328は、セグメント324に湾入している。界面326は、セグメント322と324が合致する領域に存在する。図8のタブレットは、幅より高さが高いタブレットである。図8は、従来技術の二層タブレットのうちの一のタブレットを概略で示す図である。図8に示すようなタブレットを、一のセグメントのみを通って水平方向に割ろうとするのは本質的に困難であることは自明であり、図8のタブレットと同じであるがセグメント324の下にセグメントが設けられているものも同様である。
【0088】
図16は、統一したセグメント272と274を含むタブレットを縦断面、正面図として示す図である。この統一セグメントは両方とも、単一造粒からの造粒の混合によって形成されたセグメント270の同じ面(表面)で隣接しており、セグメント272と274に存在する薬物を最小量含有する。界面276と278は、セグメント270がセグメント272と274とそれぞれ隣接する領域に存在する。切込み280は、セグメント270に湾入しており、セグメント272と274の間のスペースにもなっている。統一セグメント272と274は、薬剤の変動出成分を含有している。セグメント270は、タブレットからの前記薬剤の放出速度に影響しない不活性賦形剤からできている。
【0089】
図17a及び17bは、セグメント270で図16のタブレットを割ってできた2個のタブレット片を示す図である。図17aでは、セグメント302は、無傷のセグメント274に隣接するセグメント270の部分を表わしている。界面278は、セグメント302と274が合流する領域を表わす。図17bでは、界面276がセグメント304と272で合流する領域を表わしている。図16の切込み280とセグメント270は、タブレット片が形成されると存在するとは考えられない。図17aと17bの各タブレット片は、図16の切込み280が、セグメント272と274を形成するのに分割された層に対して2等分した切込みであると仮定して、実質的に同じ質量である。
【0090】
図16に示す性質のタブレットは、混合した薬物、あるいは図1のものと同様に単一の薬物を統一セグメント中に含有する。更に、図16のセグメント270を形成する造粒には、分割した層の薬物と同様の薬物、あるいは異なる薬物が設けられている。このような場合、上側層(セグメント)中に設けた前記薬物が治療上有効であることが好ましく、副作用プロファイルが、細分部分の用量正確性にあまり影響を与えないことが好ましい。
【0091】
更に、セグメント270を越える(上の)一又はそれ以上の追加セグメントの存在、あるいはその成分の存在に関しては、制限がない。また、あまりありそうではないが、セグメント272及び274より品質が劣る(下の)様々な別セットの統一セグメントであってもよい。
【0092】
図18は、図13に記載のものと同様のタブレットを断面で表わした図であるが、図18のタブレットは、図13の切込み280から一体的でないセグメント290により深く延在している切込み300を有する。切込み300を作る好ましい方法は、図13のタブレットに用いるエンボス及び製造技術を使用し、やすりなどでセグメント290から材料を除去することである。代替的に、適宜のサイズと形状のエンボスを用いて切込み300を直接的に使用しても良い。図18のタブレットは、統一セグメント292及び294を含む。界面296と298は、セグメント292と290、及び294と290の間にそれぞれ存在する。
【0093】
図19aは、タブレットのボトムにある統一セグメント604aと606a含むタブレットの外観を示す図である。このタブレットでは、切込み610aは、クリアな、上側、非統一セグメント608aに貫通している。界面602aは、セグメント608がセグメント604aに合流する領域を表わしている。界面612aは、セグメント606aがセグメント608aに合流する領域を表わしている。
【0094】
図19bは、図19aに記載されているものと同じタブレットを示す図である。この縦断面図は、切込み610aを通って垂直方向に見た図であり、タブレットの円形横方向断面の直径を占めている。図19a及び19bのタブレットの統一セグメントは、ビーズ中に治療的量のジルチアゼムを有しており、最後の12時間にジルチアゼムの少なくとも治療的量での制御放出を行う。セグメント608aは、治療的有効量の薬物はなんら有していない。
【0095】
図20は、4個のセグメントを含むタブレットを示す図である。統一セグメント6および8は、全ての統一セグメントと同じように、互いに連続していない。切込み10は、セグメント4内に貫通している。セグメント4は、実質的に成分が同じ不活性造粒に、次いで即時放出特性を加えたものでできた複合セグメントである。トップセグメント2は、セグメント6及び8に治療的量存在する薬物と異なる、治療的量の薬物を含有する。破線12は、セグメント4を横方向に延びる表面切込みを反映している。図20のタブレットの好ましい水平方向寸法は12−18mmであるが、この寸法は限定されない。界面14は、セグメント2と4が連続している部分を示す。界面15及び16は、セグメント6と8は、それぞれ、セグメント4に隣接している部分を示す。セグメント4は、セグメント6と2に見られる薬物を治療上有意でない量含有している。図20のタブレットは、2つの方法で便利に割れる。一つの方法は、セグメント2の方向において切込み10を縦方向に通って割る方法であり、このような割り方は、破線12によって反映されている切込みを用いることなく、上述の発明の背景に記載したように、切込みの入ったタブレットを割ることの困難性により、セグメント2に見られる薬物を正確に半分にするものではないが、セグメント6および8に見られる薬物の半分の用量を与える。このタブレットを割るもう一つの方法を採用した結果を図21aと21bに概略的に示す。
【0096】
図20のタブレットのセグメントの相対寸法は、限定されない。このタブレットでは、即時放出製剤であるカンデサルタンがトップセグメントに存在し、ミドルセグメントには薬理学的活性はなく、統一セグメントは徐放メトプロロールを具える。
【0097】
図21aは、破線12に反映される水平方向の切込みを通って図5のタブレットを割って形成したタブレットを示す。ここに示すその他のタブレットと同様に、この割れが均等であるとは仮定されないが、タブレットは、割れがセグメント12内に、すなわち、図5のタブレットの上側セグメント2と下側セグメント6及び8の間に介在するセグメント内に、実質的に含まれるように記載されている。図21aのタブレットは、界面14と共に、セグメント2が無傷であることを示している。セグメント3は、セグメント2に連続している図5のタブレットの治療的に不活性セグメント4の部分によって形成される。図21bのタブレットは、図5のタブレットから変化しない場合の、セグメント6および8、及び、界面15及び16を記載している。セグメント7は、図5のセグメント4の部分であり、図6bのタブレット片の部分になる。
【0098】
図20に示す比較的大きな不活性ミドルセグメントを有する高さより幅が広いタブレットは、崩壊可能な不活性セグメントを伴う本発明のタブレットが、タブレットが幅より高さが高いことが不要である旨を示す。更に、図20又は図21bの統一セグメントから見た外観底面図は示されていないが、もしあれば、本発明の統一セグメントが容易に三等分あるいは四等分できることを示すであろう。
【0099】
本発明のもう一つの好ましい実施例は、上述の変形例を用いたものである。例えば、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)を具える第1の造粒をダイの中に入れ、次いで、不活性造粒をダイに2回投入し、第4及び最終段階において、メトプロロール(ベータブロッカー)を具える制御放出造粒を投入する。最終的に圧縮した後、3つのセグメントからなるタブレット(3層で形成した)を作る。第1の造粒からできた単純セグメントがボトム層であり、不活性賦形剤からできた層が共に2つの内側層であり、タブレット形成後にミドル(内側)合成セグメントができ、最終造粒は、最終圧縮がトップセグメントになされた後、ここに規定するような単純セグメントであるトップ層ができる。従って、ここに示す全ての寸法と方向は、タブレットの製造方法に関連する。この幅より高さが高いタブレットは、ミドルおよびトップセグメントにHCTZがいくらか含有されており、ミドル及びボトムセグメントにメトプロロールがいくらか含有されている。
【0100】
上述の徐放メトプロロール/ヒドロクロロチアジド(HCTZ)タブレットは、ミドルセグメントを介して全体的に割れた後、二つのタブレット片が形成される。一方のタブレット片は、主に、完全な、治療的有効量のHCTZを含有し、少量、好ましくは微量の、メトプロロールを含有していてもよく;他方は、主に全メトプロロールを含有し、少量、好ましくは微量のHCTZと、少量の前記ミドルセグメントを含有していても良い。用量調整、副作用の調整、その他における重要な治療上の利点が、上述のタブレット設計と、組み合わせた製品から二つの独立した用量フォームを実質的に完全に作る選択的能力とから得られる。
【0101】
図8に示すように、上側パンチのカップ化あるいは蛇腹化は、一般的に下側セグメント以外のセグメントの周辺部分を、そのセグメントの中央部分のレベルの下へ延在させる。本発明による「分離セグメント」の利点を完全に認識するためには、横方向の平面が、上方向に配置されたセグメントの下側部分と、下方向に配置されたセグメントの最も高い部分との間に配置されうることが最適であり、この平面が中間セグメント、好ましくは薬理学的不活性セグメントの間を通ることが好ましい。上方向に配置されたセグメントの最も下の部分と、下方向に配置されたセグメントの最も上の部分の間の縦方向の距離が、ここでいう、有効高さであり、これは、上側パンチのカップ化によって、図8のミドルセグメントの高さHTより低い。一般的に、測定は、この縦方向の高さからなされ、このようなセグメントのカップ化又は蛇腹化によって、タブレットのボトムから、より高いセグメントの周辺部から横方向に引いた面まで、及びタブレットのボトムから下側セグメントの中央までの縦方向の高さである。
【0102】
タブレットのトップの形状に容易に反映されているように、セグメントの蛇腹化あるいはカップ化を行う場合の有効高さは、常に、割れを生じさせるよう意図した分離あるいは中央セグメントの高さより低い。中央セグメントの高さは、連続的に上方に配置したセグメントの最も高い位置に対して、その最も高い位置から縦方向の距離である。
【0103】
中間セグメントを分離する場合に、従来技術では、即時放出薬物タブレットについて高さ約1mmという制限がある。有効高さHが、即時放出薬物タブレットの有効高さより低くなるように制限されていた。
【0104】
主題の発明の別の実施例は、二重層タブレットを具え、好ましくは統一セグメントを具える。製造は、まず、活性薬物を含有する造粒を、エンボスした下側パンチを有するダイに入れて、この造粒でこのエンボスによって下から湾入された未分割層を形成するようにする。このエンボスは、そのパターンに制限されない。選択的な好ましいタンピングの後、不活性造粒をダイに入れて、選択的に前圧縮を行った後、最終的な全力圧縮によってタブレットを形成する。この圧縮が、第1の下側層をエンボスのほとんど最上アスペクトレベルまで押圧して、特に深い切込みを作る。各造粒は、ダイに入った後、層を形成する。タブレットを最終圧縮した後は、各層は、タブレットのセグメントとも呼ばれる。不注意による造粒の混合を除いて、上側セグメントは不活性であり、タブレットの割れは、実質的にこの不活性セグメントを介して生じ、これによって、用量をさらに分ける正確度のスタンドポイントからタブレットに切込みをつける現存の方法の実施的な改良を提供する。あまり好ましくはないが、第2の造粒は、希釈量の活性成分又は第1の造粒を具える成分を含有していても良い。このような操作は、第1の造粒内に全体的に適当な薬物を配置するのが困難である場合に、有益である。
【0105】
追加の好ましい実施例が図13のタブレットから始まって記載されている。深く切込みの入ったセグメントの上のセグメントに追加の活性薬物を設けることが望まれる場合、三層設計にしてエンボスの高さにある実用的限定を与えることが有益である。この例では、高濃度の薬物造粒が可能な限りエンボスのトップに近くなるように押出された第1の造粒を形成し;同じ活性成分を具える濃度が低い(w/w%)第2の造粒をダイに投入し、最後に不活性造粒をダイに投入する。最終的な圧縮の後、第1のセグメントに対して非常に深く切込みの入った好ましいタブレットが作られ、外側セグメントより正確に割れる傾向にある中央セグメントが、より単純な設計に対する前記タブレットの割れの正確性を改善する。
【0106】
図13のタブレットによって提供される例に関連するもう一つの好ましい実施例は、以下のとおりである。第1の活性造粒がダイのエンボス下側パンチの上に投入されて、詰められる。第2の不活性造粒が第2の充填位置でダイに投入され、第3の充填位置で再度投入され、各造粒がダイに投入された後、選択的にかつ好ましく、詰められる。第4の充填位置で、第1の造粒と異なる造粒をダイに投入し、選択的にかつ好ましくは、詰められて、次いで最終圧縮を行って、前記第1の造粒をダイの下側に押し込めて、前記第1の造粒の最も上側部分が前記エンボスの最も上側部分の上に残るようにする。このように、前記第1の造粒が非分割層を形成する。この例では、成分的に実質同一である二層を形成する二つの同一の造粒の使用が、一の高いセグメントを形成するのに有益である。このようなセグメントは、2又はそれ以上の実質的に同一の不活性造粒あるいは活性薬物あるいは複数薬物を具えるものからできているかどうかに関わらず、ここでは複合セグメントと呼ばれる。投与形式の有用性は、二つの活性薬物を「幅より高さが高い」タブレットの対向する端部に主に配置することであるので、両薬物は共にタブレット全体に与えられるが、このタブレットも、中央セグメントで割れて、実質的に異なる薬物を具える二つのタブレット片を作る(不注意による造粒の混合は無視する)。本発明は、このような追加タブレットが前記中央セグメントを介して割れた後に、最も有益に使用され、その後、所望であれば第1のセグメント自体が更に細分化され、複数の用量タブレット片を正確に作り出す。
【0107】
上述した例は、第1の造粒に成分的に実質同一である造粒を容易に用いて、第4の充填段階で(再度)投入することができる。更なるセグメントを第5セグメントとして、またそれ以上に加えることができ、タブレット製造の技術的キャパシティが限定要因である。更に、第2セグメントは、活性薬物あるいは上記の例の第1及び第3セグメントの両方に存在する薬物又は複数薬物の混合物を具えていても良く、医学又は獣医学の実用に関連するものが、中央セグメント中の薬物又は複数薬物の性質に関係するにもかかわらず、本発明の有用性を主張する。
【0108】
より好ましくない実施例は以下の通りである。薬物を具える第1の造粒をタブレットダイに投入する。高さ0.3mmのエンボスが、下側パンチを二分する。第2の不活性造粒を、前記第1の造粒の上に前記ダイに投入する。タブレットを圧縮する。第1のセグメントは、最終圧縮の後、高さ1mmとなる。従って、第1のセグメントを通る切込みは30%である。タブレットは、即時放出特性を有する。このタブレットは新規であるが、実質的に不活性セグメントを持たない従来公知のタブレットを越える実質的な利点に欠ける。しかし、第2のセグメントが、タブレットの構造的支持を提供するので、いくらかの利点がある。
【0109】
従って、本発明はタブレットの薬理学的な活性部分内に深い切込みをつける新規な方法を教示している。本発明の主題である切込みのついたセグメントを作るためにエンボス加工ボトムパンチを用いた本発明のタブレットの好ましい製造方法は、エンボス加工をしていない上側パンチ、あるいは、前記下側パンチのベースの上に存在し、ベースから上方向に延在するエンボスの上の小さな縦方向のエンボスを有するものを利用している。
【0110】
エンボス加工した上側パンチと好ましくはフラット面の下側パンチを用いて、異なる製造モードを使用することができる。この技術では、本発明の最も好ましいタブレットを、以下のようにして製造することができる。第1の不活性造粒をダイに投入し、選択的に軽くたたいて詰める。薬物を具える第2の造粒を、次いでダイに投入し、選択的に軽くたたいて詰めて最終圧縮を行う。前記エンボスの下側部分の下に少量の薬物があるが、第2の造粒の大半は、割れ領域から離れており、従って、従来の態様で切込みの最も下側の形態に縦に力がかかったとしても、活性薬物に対して高い精度でタブレットが割れる。
【0111】
上記設計のタブレットは、2個のセグメントに限定されない。あるセグメントは、ある時間にタブレットダイに投入される一の造粒から形成された本発明のタブレットの連続部分を表わしており、以下の例外がある。二つの連続する造粒が同じ活性薬剤と同様の賦形剤を具えていれば、圧縮時に、一のセグメントとなる。しかしながら、異なる活性薬物あるいは同じ活性薬物の異なる塩といった2つの異なる活性薬物が互いに圧縮される場合は、二つのセグメントを具える。同じ活性薬剤であるが似ていない賦形剤を具える造粒は、一の造粒がもう一つの造粒の上に圧縮されていれば、2個のセグメントとなる。
【0112】
本発明の利点は、特定の数の活性成分のタブレットに限定されない。活性成分を含有する全てのセグメントが、同じ薬物を含有していても良く、あるいは異なる薬物を含有していてもよい。
【0113】
本発明の利点を完全に実現するために、タブレットのセグメントの中(あるいは、セグメント間の界面)に切込みをつけることができる。この切込みは、実質的に水平に、鑢を用いて内側セグメントに形成することができ、この切込みを介してのセグメントの割れが、外側セグメントを無傷で残して内側セグメントを割る。
【0114】
更なる実施例は、統一セグメント構造を具えており、エンボス加工か、後の切込みは、外側セグメント、すなわち、ボトムセグメントを介して完全に形成される。
【0115】
更に、可食インクをタブレットに配置するといった、タブレットにマーキングする同様の手段を設けて、中央セグメントなどのタブレットの所望の領域に線を引くようにしても良い。このようなアプリケーションは、この分野では良く知られている。印を付するその他の手段は、本発明の範囲内にあることを意図している。
【0116】
本発明の好ましいタブレットは、双方共に4mm以上であり、6mmを超えることもある高さ及び有効高さを用いる。より低い高さ及び有効高さは、タブレットのサイズ制限により必要があるときに用いる。
【0117】
好ましい実施例の製造についての記載
例1 コハク酸メトプロロールとヒドロクロロチアジド(HCTZ)組み合わせタブレット
【0118】
コハク酸メトプロロールとヒドロクロロチアジド(HCTZ)組み合わせタブレットは、3セグメントを有する:(1)活性トップ又は上側セグメント、及び(2)活性下側又はボトムセグメントで、(3)実質的不活性中央セグメントで分離されている。ストークスの27ステーション3層ロータリタブレットプレスを用いて、タブレットのセグメントを層化することができる。
【0119】
全ての製剤は、直接的に圧縮可能な組成を具えており、製薬業界で知られている従来の技術とプロセスを用いて製造される。例えば、粉体ブレンド製剤は、Patterson−Kelly“V”ブレンダで実行することができる。コーティングは、業界で通常知られているいずれかの手段を用いて行うことができるが、コーティング手順中に固着防止剤がコアに付着する場合、コーティング手順の間にロータリィ式造粒器又はパンコータ(pan coater)を使用することが好ましい。固着防止剤をコーティング溶液に懸濁させることによって適用する場合は、流動床コータ又はロータリィ式造粒器をコーティング手順に用いることが好ましい。
【0120】
中央の、不活性層は、194mgのNu−Tab(登録商標)からなり、ブレンドを必要としない。
【0121】
タブレットは、例えば、0.131インチ×0.3222インチの楕円形の凹型タブレットパンチを用いて、35キロポンドの硬さに圧縮される。まず、ボトルセグメントが、ダイに導入される。タブレットの重量は、300mgである。タブレットは高さ約11mmに作られ;不活性中央セグメントは約5−8mmの間で高さが、約4−6mmの間で幅が変化する。
【0122】
各セグメントを具える調剤は以下のとおりである:
A. ボトムセグメント
平均粒径0.42mmのコンパクトな球形粒体コハク酸メトプロロール100%から開始する。ポリマ状混合物をエタノール、イソプロピルアルコール、及び/又は塩化メチレンなどの有機溶剤に溶かす。次いで散布プロセスを用いてこの粒体を被覆する。この散布は、被覆パンで行うことができるが、流動床で行っても良い。
【0123】
0.63mmより小さい粒子上の400gのコハク酸メトロプロロールを
エチルセルロース 10cps 177.1g
ヒドロキシプロピルメチル セルロース 38.9g
クエン酸アセチルトリブチル 24.0g
塩化メチレン 4094g
イソプロピリック アルコール 1029g
で被覆する。
【0124】
追加のタブレット塊を、微結晶性セルロースとトウモロコシでんぷんの乾燥混合物をじゃがいもでんぷん−水溶液とともに、遊星ミキサで湿式造粒法によってつくる。この塊を乾燥させて粒子径を小さくする。最終的に等量(150g)の活性被覆粒体と追加粒体を、Mg−ステアリン酸0.1%と混合して、圧縮し、タブレットのボトムセグメントを形成する。
【0125】
B.中央セグメント
Nu−Tab(登録商標)(圧縮可能な糖30/35N.F.) 194.00
【0126】
C.トップセグメント
ラクトース 310 一水和物 42.03mg
ヒドロクロロチアジド 50.00mg
クロスポビドン 2.16mg
マグネシウム ステアリン酸 0.54mg
FD&C Red#40 アルミニウムレーキ 0.27mg
トータル .00
【0127】
製造指示
1.各成分を計量する
2.各成分を検査する
3.適宜のミキサを用いて主希釈剤でこのカラーを等比に粉状にする。
4.潤滑剤以外の残りの成分をステップ#3のカラーミキサに加え、所望の時間混合する。
5.ステップ#4のブレンドに潤滑剤を加え、所望の時間混合する。
6.所望のツールを具える適宜のプレスにこのブレンドを加え、タブレットに圧縮する。
【0128】
タブレット指示
1.ホッパ#1に活性層用パウダを入れる。
2.ホッパ#2に偽薬層用パウダを入れる。
3.ホッパ#3に活性層用パウダを入れる。
4.層#1のタブレットを所望の重量に圧縮する(層#1用のタブレットは、ソフトコンパクトに形成すべきである)。
5.層#1と層#2のタブレットを圧縮して、層#1と層#2の重量の所望の組み合わせ重量とする(タブレットはソフトコンパクトに形成すべきである)。
6.この3層タブレットを圧縮して、所望の総タブレット重量とする(層#1重量+層#2重量+層#3重量)。タブレットは、所望の硬さでなくてはならない。
【0129】
本発明の同様のタブレットを、上述したものと同じトップ及びボトムセグメントを用いるが、中央セグメントとしてNu−Tab(登録商標)に代えて以下の成分で、別々に製造することができる。以下の成分は、パターソン−ケリー「V」ブレンダを用いてブレンドする。
中央セグメント用成分: Mg
無水第二燐酸カルシウム 158.59
ステアリン酸マグネシウム 2.79
PVP K−30 2.62
トータル 164.00
【0130】
製造指示
1.各成分を計量する
2.各成分を検査する
3.潤滑剤以外の全成分を適宜のミキサに加え、所望の時間混合する。
4.ステップ#3のブレンドに潤滑剤を加え、所望の時間混合する。
5.所望のツールを具える適宜のプレスにこのブレンドを加え、タブレットに圧縮する。
【0131】
このタブレットを、0.131インチ×0.3222インチの楕円形凹型タブレットパンチを用いて圧縮し、35キロポンドの硬さにする。このダイにまずボトムセグメントを投入する。タブレット重量は280mgであった。前記中央セグメントを有するタブレットは高さ6mmであり、不活性中央セグメントは3.5−4mmの高さである。
【0132】
タブレット指示
1.ホッパ#1に活性層用パウダを入れる。
2.ホッパ#2に偽薬層用パウダを入れる。
3.ホッパ#3に活性層用パウダを入れる。
4.層#1のタブレットを所望の重量に圧縮する(層#1用のタブレットは、ソフトコンパクトに形成すべきである)。
5.層#1と層#2のタブレットを圧縮して、層#1と層#2の重量の所望の組み合わせ重量とする(タブレットはソフトコンパクトに形成すべきである)。
6.この3層タブレットを圧縮して、所望の総タブレット重量とする(層#1重量+層#2重量+層#3重量)。タブレットは、所望の硬さでなくてはならない。
【0133】
同様に、「幅より高さが高い」タブレットを、Korsch TRP900などのタブレットプレス中に置く。このプレスは、深い重点カム用の設計によってより高さが高いタブレットを製造することができ、上側及び下側圧縮ツール間により深い重点とより広い距離をとることができる。
【0134】
Korsch TRP900で厚さ12mmの0.131インチ×0.3222インチ楕円形凹型タブレットを作るためには、考案者は、不活性Nu−Tab(登録商標)中央セグメントの重量を約323mgに増やさなければならないであろう。同様に、14mmの最終タブレット高さにするためには、タブレットを重量約388mgの中央凹セグメントで調剤する。好ましい場合は、考案者は中央層用の第2の例、すなわち、第二燐酸カルシウム(DCP)調剤を使用することができる。Korsch TRP900で厚さ12mmの0.131インチ×0.3222インチ楕円形凹型タブレットを作る場合、考案者は、不活性DCP中央セグメントの重量を約410mgに増やさなければならないであろう。最終タブレットの高さを14mmとするためには、タブレットを重量約492mgの中央凹セグメントで調剤する。
【0135】
本発明は、また、本発明のタブレット又はタブレット片などの投与形を経て一又はそれ以上の薬物を、疾病の予防又は治療、健康の維持、老化の遅延、その他の目的で薬剤を必要としている患者、哺乳動物、あるいはその他の動物に投薬する方法も含まれる。ここに含まれるものは、本発明の新規タブレットなどにより組み合わせ製品から一の薬物のみで患者の治療を行って、様々な理由によって下降投与調整を可能とする方法;あるいは、同じ血管中で、患者が、複数の活性薬物を含有する一の全タブレットで治療を受けられ、更に、同じタブレットから一つだけの薬物を摂取して、上昇投与調整を可能とする方法、が含まれる。一の薬物が外側活性セグメントにあり、第2の異なる薬物が別の外側活性セグメントにあり、上記のセグメントにあるような薬理学的に非有効な内側セグメントを有する本発明の利点をもつ組み合わせ製品には、以下の薬物対を含有するものが含まれる: アムロジピンと、ベナゼプリル、クロルタリドン、又はアトルバスタチンのいずれか;ベナゼプリルと、ヒドロクロロチアジド;オルメサルタンとヒドロクロロチアジド;及び、現在製造されている組合せ薬剤対を多数含むその他。また、全投薬量の半分、又は1/4であり、タブレット全体の別の画分とすることが有益である、正確な部分的投薬を行う患者を治療する方法も含まれる。
【0136】
複数の薬剤の可能性がある組み合わせの以下のリストは、例示的なものであり限定するものではない。この組み合わせは。リストにあげたクラスの2又はそれ以上の員を含む。以下のリストにあげた薬物、及びここに述べる薬物は、便宜上、薬物の塩を記載していない。例えば、市場に流通している形態はアトルバスタチンカルシウムであるが、「アトルバスタチン」がリストにあげられている。
【0137】
限定するものではないが、有益な組み合わせは、以下の6つの薬物クラスからの複数の薬物を含有している。更に、以下のリストからの一の薬物のみを含有する本発明のタブレットを作ることができる。使用の組み合わせに関しては、二つの使用法を本発明に適用することができる。これらの方法の一つは、造粒した個々の薬物と、別に造粒した別の個々の薬物(又は薬物の組み合わせ)を、潜在的に、これらの間に不活性造粒を介在させて配置するものであり;もう一つの方法は、一又はそれ以上のセグメントに複数の薬剤を配置するものである。
【0138】
以下のリストにあげた特別な薬物例の代表的なものは、薬学的に受容可能な本来的変動放出組成物中では作ることができない。
【0139】
1.抗狭心剤、例えば:
A.カルシウム拮抗薬(下記のリスト参照);
B.ベータ−ブロッカ(下記のリスト参照);
C.有機硝酸塩製剤(例えば、一硝酸イソソルビド、又は二硝酸イソソルビド)
2.アスピリン、クロピドグレル、又はチクロピジンなどの抗狭心剤プラス抗血小板試薬
3.二つ の血糖降下薬
4.塩化カリウムとチアジドタイプ又はループ利尿薬(以下のリスト参照)
5.脂質低下剤プラス:血糖降下薬、抗血小板試薬、抗狭心剤、及び/又は抗高血圧薬(上記及び下記のリスト参照)
血糖降下薬には、チアゾリジンジオン:ピオグリタゾン、ロシグリタゾン;スルホニル尿素:グリブリド、グリピジド、グリメピリド、クロウプロパミド;
ビグアニド:メトフォルミン;
メグリチニド:ナテグィニド、レパグリニド;
グルコシダーゼ抑制剤: アカルボース、ミグリトール
が含まれる。
6.抗血圧薬:
ベータ−ブロッカ:アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロール、メビボロール、カルベジロール(混合アルファ−ベータブロッカ)、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、チモロール、ベタキソロール、カルテオロール;
カルシウム拮抗剤(カルシウム−チャネルブロッカ):ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ニソルジピン、フェロジピン、イスラヂピン、ラシジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、マニジピン;
チアジドタイプ利尿薬(トリアムテレン、アミロリド、スピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿剤を含む、又は、含まない):ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、シクロペンチアジド、ポリチアジド、ブンドロフルアジド、ヒドロフルメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メチルクロチアジド、メトラゾン;
アンジオテンシン変換酵素阻害剤:カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、キナプリル、ペリンドプリル、モエキシプリル、ベナゼプリル、フォシノプリル;
アンジオテンシンレセプタブロッカ: ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン;
強力(ループ)利尿薬(トリアムテレン、アミロリド、スピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿剤を含む、又は、含まない):フロセミド、トルセミド、エタンクリン酸、ブメタミド(Bumetamide);
アルデステロン拮抗利尿薬:スピロノラクトン、エピレレノン;
アルファ−ブロッカ:ドキサゾシン、テラゾシン、プラゾシン、インドラミン、ラベトロール(混合アルファ−ベータブロッカ);
中枢性アルファ拮抗薬: クロニジン、メチルドーパ;
イミダゾリン: モキソニジン;
直接血管拡張薬: ヒドララジン、ミノキシジル;
アドレナリン作動性ニューロンブロッカ:グアネチジン、
が含まれる。
【0140】
脂質異常症治療薬には、
スタチン: ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン;
フィブラート: クロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、シプロフィブラート;
その他: エゼチミブ、ナイアシン、アシピモックス、
が含まれる。
【0141】
ここに開示した薬剤の組み合わせは、説明の目的のために記載したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0142】
タブレットを同様の活性セグメントを含むタブレット片に分割することを含めて、本発明のタブレット及びタブレット片の重要な使用に関して、投与調整を行うことができるほとんどの薬物は、最適に正確な態様で分割することができれば、好ましい。このように本発明の進歩からの特別な利点となる薬物の例には、バルファリン、ジゴキシン、L−チロキシンなどの治療指数薬物;アムロジピンなどの血管作用薬;ロシグリタゾンやグリピジドなどの血糖降下薬;及び、アルプラゾラムなどの抗不安薬が含まれる。しかしながら、これらは、本発明の様々な実施例と手順から利益を得る多数の薬物のうちの一部にすぎない。
【0143】
タブレット及びタブレット片を含めて、本発明の投与形の使用方法は様々である。医学及び薬学の分野における当業者は、本発明の様々な実施例が現製品を超える多くの利点を認識する。ちょうど一の同様の活性セグメントを含有するタブレットを含めて、本発明の利点のいくつかの例を、以下に述べる。
【0144】
本発明の更なる利点は、適宜の投与強度に作ることができない小児用あるいは老人用の投与に関するものである。アムロジピンを投与する場合、肝機能異常があるような高血圧の小児でも、狭心症又は高血圧の虚弱な老人患者でも、1日1.25mgの投与量を使用することができる。米国食品医薬品局は1日1.25mgの投与量を許可していないが、認定された2.5mgの正確な投与量より、1日1.25mgの投与が可能となる。更に、認定された2.5mgの投与量を正確にに分割することによって、一日3.75mgの正確の投与が可能となる。
【0145】
本発明のもう一つの用途は、保険業者と患者のコストを節約する方法を提供できることである。これは本発明によって可能になる。なぜなら、多くの薬物は、異なる用量間で(たとえそうであっても)少しずつ異なる価格設定がなされているからである。切込みつきタブレットのほとんどについて、タブレットの分割は不正確であるので、分割が必須である実施は、ほとんどの外科医及び薬剤師組織に支持されていなかった。本発明は、本発明のタブレットが以下に述べるように割れるときに正確な投与を提供するので、タブレット分割を可能にする。実質的な利点が、この工夫から予測される。加えて、組み合わせ製品中で別の活性薬物から一の活性薬物を分ける能力には、コスト節約の利点もある。
【0146】
関連発明は、この開示の精神の範囲内にあると認識される。また、現出願における省略は、発明を現請求項あるいは開示に限定するものではない。本発明の好ましい実施例及び代替の実施例は、本発明を開示する目的で記載されているが、開示した実施例の変形例は、当業者には自明である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1aは、切込みを有するタブレットの側面から見た幅より高さが高いタブレットの断面である。図1bは、切込みが終了しているタブレットの側部における図1aのタブレットの断面である。
【図2】図2a−b及び図2c−dは、タブレットが切込みで割れた時の、図1a及び図1bの状態をそれぞれ示す。
【図3】図3は、一方がタブレットの高さの約4分の3である、2個のセグメントを有する幅より高さが高いタブレットの断面である。
【図4】図4a−bは、タブレットが横方向に割れたときの図3の状態を示す図である。
【図5】図5は、5個のセグメントを有する幅より高さが高いタブレットの断面を示す図である。
【図6】図6a−bは、タブレットが一のセグメントで割れたときの図5の状態を示す図である
【図7】図7a−cは、まずタブレットを割って、次いで、図6bのタブレット片を割る、二つのステップで、タブレットが二個のセグメントで効果的に割れたときの、図5の状態を示す図である。
【図8】図8は、3個のセグメントを有するタブレットの外観正面図である。
【図9】図9は、3個のセグメントを有する切込みつきタブレットの外観斜視図である。
【図10】図10は、3個のセグメントを有し、側方へ延在しているタブレットの中央(内側)セグメントの幅周囲にバンドを有するタブレットの外観正面図である。
【図11】図11は、中央セグメントにミシン目を設けた3個のセグメントを有するタブレットの外観正面図である。
【図12】図12は、互いに近接する2本の水平方向(横方向)点線である中央セグメント上に3個のセグメントを有するタブレットの外観図である。
【図13】図13は、一方に深く切込みを入れた2個のセグメントを有する高さより幅が広いタブレットの断面図である。
【図14】図14a及び14bは、タブレットが縦方向からある角度で割れた図12の状態を示す図である。
【図15】図15は、一方が実質的に不活性である2個のセグメントを有するタブレットの断面図である。
【図16】図16は、2個が統一セグメントである、3個のセグメントタブレットの断面図である。
【図17】図17a及び17bは、図16に示すタブレットを切込みのトップで分離して形成した二つのタブレット片を示す。
【図18】図18は、2個が統一セグメントである3個のセグメントを有するタブレットの断面図である。
【図19】図19aは、2個の統一セグメントを有する3個のセグメントタブレットの外観斜視図である。図19bは、図19aに示すものと同じタブレットの外観正面図である。
【図20】図20は、2個が統一セグメントである4個のセグメントを有するタブレットを示す図である。
【図21】図21a及び21bは、図20のタブレットを中央セグメントで割ることによって形成した各タブレット片の断面図である。
【図22】図22a及び22bは、切込みによって案内される図22bのタブレット片を割ることによって形成したタブレット片を示す図である。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメントを有する薬剤タブレットを具える薬の投与形において、第1のセグメントが薬学的有効量の薬剤を有する本質的変更放出成分を具え、第2のセグメントが:
a)薬理学的有効量の薬剤を含まないか、あるいは、薬理学的有効量の薬剤を含むが治療的有効量の薬剤は含まない実質的即時放出成分を具え、当該第2のセグメントが
i)薬理学的有効量の薬物を具えるセグメントに隣接する外側セグメント、
又は、
ii)薬理学的有効量の薬物を具えるセグメントの直上あるいは直下にあるか、あるいは、実質的に即時放出特性のみを有する内側セグメント;
を形成している、又は
b)選択的に前記切込みのついたセグメントの最大高さの50%以上、好ましくは70%以上の切込み;又は
c)薬理学的有効量の薬物を含み、前記第1のセグメントに隣接している又は前記第1のセグメントから、
i)実質的即時放出特性を有する成分である、あるいは
ii)本質的変更放出特性を有し、薬理学的有効量の薬物を具える
第3のセグメントによって分離されている、本質的変更放出特性;又は
d)限定することなく、前記タブレットが横方向寸法より大きな高さを有し、
i)半透過性膜コーティングを欠く、又は
ii)本質的変更放出を行う浸透活性成分を欠く、又は
iii)薬物被膜を欠く、又は
iiii)前記第1及び第2のセグメントが、薬理学的有効量の薬物を含有する、タブレットでできたセグメント;
を具え、
ここで、「上」、「下」、「高さ」及び「横方向寸法」といった方向を表わす用語が、タブレットの圧縮終了後、前記タブレットが前記ダイから排出されて、タブレットの圧縮がタブレットプレス中に生じて、第2あるいは先行する層の上に連続して配置されている層を伴って、層が縦方向に形成されるタブレットダイ中での前記タブレットの位置を意味する、
ことを特徴とする薬の投与形。
【請求項2】
請求項1に記載の投与形において、前記第1のセグメントが、薬学的に有効量の薬剤を具えることを特徴とする投与形。
【請求項3】
請求項1に記載の投与形において、前記第1のセグメントが治療上有効量の薬剤を具えることを特徴とする投与形。
【請求項4】
請求項1に記載の投与形において、前記変更放出成分が、限定することなく、遅延放出、変更放出、制御放出、口腔内即溶、持続放出、口腔内放出等の成分、及び、溶解モディファを含む成分を具えることを特徴とする投与形。
【請求項5】
請求項1に記載の投与形において、前記第2のセグメントが外側セグメントであり、治療上有効量の薬物を具えることを特徴とする投与形。
【請求項6】
請求項1に記載の投与形において、前記第2のセグメントが内側セグメントであり、治療上有効量の薬物を具えることを特徴とする投与形。
【請求項7】
請求項1に記載の投与形において、前記第1のセグメントが、当該セグメントの最大高さの50%以上、好ましくは70%以上の切込みがついていることを特徴とする投与形。
【請求項8】
第1のセグメントと第2のセグメントを具える薬剤タブレットにおいて、前記セグメントの少なくとも一方が、薬物又は複数薬物を変動放出するように調整されており:
(a)前記第1のセグメントに切込みがついており、当該セグメントが薬物又は複数薬物を具え、前記第2のセグメントが実質的に薬物又は複数薬物フリーである;又は
(b)前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントが、非浸透性成分として調整された同じ薬物又は複数薬物を具える;又は
(c)前記第1のセグメント及び第2のセグメントが、同じ薬物又は複数薬物を具え、成分的に前記第1及び第2のセグメントから区別される第3のセグメントによって分離されている;又は
(d)前記第1のセグメントが、薬理学的有効量の第1の薬物又は複数薬物を具え、前記第2のセグメントが薬理学的有効量の第2の薬物又は複数薬物を具えると共に、実質的に前記第1の薬物又は複数薬物フリーであり、前記タブレットが更に、物理的及び化学的に相溶性の第1及び第2のセグメント間に介在する第3のセグメントを具え、当該第3のセグメントが実質的に治療的有効量の前記第1及び第2の薬物又は複数薬物フリーである;又は
(e)前記第1のセグメントが、薬理学的有効量の第1の薬物又は複数薬物を具え、前記第2のセグメントが第2の薬物又は複数薬物を具えると共に、実質的に治療的有効量の前記第1の薬物又は複数薬物フリーであり、前記タブレットが更に、物理的及び化学的に非相溶性の第1及び第2のセグメント間に介在する第3のセグメントを具え、当該第3のセグメントが治療的有効量の前記第1及び第2の薬物又は複数薬物フリーであるとともに、非相溶性層を分離するのに必要な最小量を超える高さを有する;
ことを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項9】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第1及び第2のセグメントが同じ薬物又は複数薬物を具え、前記第2のセグメントが前記第1のセグメント中の前記薬物又は複数薬物の濃度より低い濃度で前記薬物を有することを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項10】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第1のセグメントが、第1の薬物又は複数薬物を具え、前記第2のセグメントが、前記第1の薬剤及び複数薬剤と第2の薬剤及び複数薬剤を具え、前記第1のセグメントが実質的に前記第2の薬物又は複数薬物フリーであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項11】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第3のセグメントが、第3の薬物又は複数薬物を具え、前記第1及び第2のセグメントが実質的に前記第3の薬剤及び複数薬剤フリーであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項12】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第3のセグメントが、前記第1のセグメントと前記第3のセグメントの組み合わせた高さより高さが高いことを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項13】
請求項7に記載の薬剤タブレットが、セグメント上に又はセグメント内に実質的に水平方向に、他のセグメントを実質的に割ることなく、一のセグメントを介してタブレットを割るように案内する分離マークを具え、この分離マークが、切込み、ミシン目、色、印刷マーク又は印、ゼラチンバンド、あるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項14】
請求項7に記載の薬剤タブレットが、前記セグメントの横方向寸法又は幅の少なくとも70%の切込みを具えることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項15】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第1及び第2のセグメント中の薬物又は複数薬物濃度が実質的に同じであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項16】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第1及び第2のセグメント中の薬物又は複数薬物量が実質的に同じであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項17】
縦軸と横軸を有する請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記タブレットが当該タブレットの縦軸に平行に少なくとも一のセグメントの側部に実質的に水平方向に分離マークが設けられており、前記縦軸が前記タブレットがつくられるタブレットダイの縦軸と方向的に同じであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項18】
請求項8に記載の薬剤タブレットが、第3の中間セグメントを具え、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントが組成的に実質同一であることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項19】
請求項1に記載の薬剤タブレットが少なくとも一のセグメントに、前記セグメントをもう一つのセグメントから視覚的に区別する色を付けたことを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項20】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記タブレットのセグメントを介して割れることで、所定量の薬剤を有するタブレット片を作ることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項21】
請求項20に記載の薬剤タブレットにおいて、前記セグメントの割れが第3の中間セグメントを介するものであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項22】
薬の剤形において、第1の活性薬物又は活性薬物の第1の組み合わせを含む第1の造粒と、前記第1の造粒と成分的に実質的に異なる第2の造粒と、活性薬物又は複数活性薬物を具える第3の造粒とからシーケンシャルに作った変動放出成分を具える造粒を具える薬剤タブレットを具える薬の剤形において:
(a)前記タブレット中の造粒がすべて物理的及び化学的に適合し、前記第2の造粒が実質的に活性薬物フリーである;又は、
(b)前記第2の造粒が、活性薬物を含まず、タブレット圧縮後にセグメントが少なくとも0.5mmの有効高さである;又は
(c)前記第2の造粒が、重量/重量ベースで存在する薬物を前記第1又は第3の造粒中に減少した濃度で含有する;又は
(d)前記第2の造粒が、前記第1又は第3の造粒のいずれにも存在しない薬物を具える;ことを特徴とする薬の剤形。
【請求項23】
請求項22に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第2のセグメントの有効高さが約1.5mm乃至約3mmであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項24】
請求項22に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第2の造粒が実質的に治療上有効量の薬物フリーであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項25】
請求項22に記載の薬剤タブレットが圧縮された追加造粒を具え、対応する追加セグメントを形成することを特徴とする薬物タブレット。
【請求項26】
請求項22に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第2のセグメントが、切込み、印、あるいはミシン目から選択された実質的に水平方向の分離マークを具えることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項27】
請求項22に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第2のセグメントを介する割れが、前記第1又は第3のセグメントを破壊することなく前記第1のセグメントを前記第3のセグメントから正確に分離することを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項28】
薬の剤形において、変動放出特性のある造粒を具える薬剤タブレットを具え、タブレットを圧縮すると、即時放出造粒が外側(トップ又はボトム)セグメントを形成することを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項29】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、前記タブレットが、A−I、A−B、A−a、A−a−B、A−I−A、A−I−a、A−I−B、A−B−A、A−B−C、A−I−B−I−A、A−I−B−I−B、A−I−B−I−C、及びA−B−I−Cからなる群から選択された構造を具え、ここで、
「A」は、第1の活性薬物又は一以上の活性薬物の組み合わせを具える活性セグメントを表わし、
「a」は、第1の活性薬物又は複数薬物を「A」と異なる濃度で具えるセグメントを表わし、
「B」は、第2の活性薬物又は複数活性薬物の組み合わせを具える活性セグメントを表わし、
「C」は、第3の活性薬物又は複数活性薬物の組み合わせを具える活性セグメントを表わし、
「I」は、活性薬物又は複数活性薬物の組み合わせが実質的にフリーである不活性セグメントを表わし;
各セグメントが、縦方向に相互に配置されていることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項30】
請求項1に記載の薬剤タブレットを割る方法において、当該方法が、前記タブレットに圧力をかけて一のセグメントを、当該一のセグメントに隣接するもう一つのセグメントを割ることなく、割るステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、前記割れるセグメントが実質的に薬物又は複数薬物の組み合わせフリーであるセグメントであることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、前記割れるセグメントが、切込み、印又はミシン目から選択された分離マークを具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項1に薬剤タブレットに含有される薬剤の部分用量を投与する方法において、当該方法が、前記薬剤タブレットを一のセグメントを介して割って2又はそれ以上のタブレット片にするステップと、当該タブレット片の少なくとも一つを患者に投与するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、前記一のセグメントが隣接セグメントで割れることなく、割れることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項1に記載の薬剤タブレットにおいて、当該タブレットが更に、不活性成分あるいは薬学的に不活性な成分で被覆されていることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項36】
請求項35に記載の薬剤タブレットにおいて、前記タブレットを被覆している前記不活性成分が、カプセルを具える、あるいは、前記タブレットがサシェに入れられていることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項37】
請求項35に記載の被覆タブレットを用いて治療患者の混乱のリスクを低減するあるいは防止する方法において、当該方法が、選択的に、前記被覆タブレットの被覆を除去するステップと;前記タブレットを複数タブレット片に割るステップと;前記タブレット片の少なくとも一つを患者に投与するステップと、を具えることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項1に記載の薬剤タブレットが:心臓血管状態、精神状態、糖尿病、甲状腺疾患、痛み、及び血栓疾患からなる群から選択された状態、疾患、疾病の治療に薬理学的に有効な薬物又は複数薬物を具えることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項39】
少なくとも2のセグメントを具える圧縮薬剤タブレットにおいて、前記セグメントの少なくとも一つが、制御放出成分として調整された薬物又は複数薬物を具え、前記タブレットがトップとボトム、及び高さと幅を有し、前記高さがタブレットダイにあり完全に圧縮されている間に前記タブレットのトップからボトムへ縦方向に測定した高さであり、前記幅が、前記タブレットのトップとボトムの間の約半分の位置における前記タブレットの水平方向における最も大きな寸法であり、前記高さが前記タブレットの幅を超えていることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項40】
請求項1に記載の薬剤タブレットが、本質的に、第1の端部セグメントと、第2の端部セグメントと、これらのセグメント間に介在する第3のセグメントとからなり、前記第1及び第2の端部セグメントがそれぞれ、前記タブレットの高さの20%以上を占めないことを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項41】
請求項40に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第1及び第2の端部セグメントがそれぞれ、前記タブレットの高さの10%以上を占めないことを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項42】
請求項39に記載の薬剤タブレットを割る方法において、前記タブレットがその最も短い寸法あるいは複数寸法を介して割れることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項43】
請求項39に記載の方法において、前記タブレットが一のセグメントを介して、当該セグメントに隣接するセグメントを割ることなく割れることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項44】
請求項1に記載の薬剤タブレットの一のセグメントを介して割ることによって正確な量の薬物を作る方法。
【請求項45】
第1のセグメントを有する圧縮薬剤タブレットが、制御放出成分として調整された薬物又は複数薬物を具え、前記第1のセグメントが切込みを有し、前記タブレットが更に第2のセグメントを有し:
a)前記第2のセグメントが実質的に前記第1のセグメント中の薬物又は複数薬物フリーである;又は
b)前記第1のセグメント中の切込みが前記第1のセグメントのトップ表面から前記第1及び第2のセグメントの界面に少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%の距離を延在しており、当該距離が前記表面から前記界面への最も短い距離であるラインに沿って測定されたものである;
ことを特徴とする圧縮薬剤タブレット。
【請求項46】
請求項45に記載の薬剤タブレットにおいて、前記距離が、約50%から最大約99.5%であり、前記第2のセグメントが実質的に薬物あるいは複数薬物フリーであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項47】
請求項46に記載の薬剤タブレットにおいて、前記第2のセグメントが、前記第1及び第2のセグメントの界面に対向する前記第2のセグメントのフェースにおいて第3のセグメントと隣接することを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項48】
請求項45に記載の薬剤タブレットにおいて、D/d比が5−99.5%であり、前記第2のセグメントが実質的に薬物あるいは複数薬物フリーであることを特徴とする薬剤タブレット。
【請求項49】
請求項8に記載の薬剤タブレットを割る方法において、前記タブレットを切込みを介して割るステップを具え、前記切込みの距離が、前記切込みのついたセグメントの高さの50%以下であることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、前記方法が、前記第1のセグメントを前記切込みを介して割るステップと、前記第2のセグメントを介して割るステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項51】
メトプロロール又は薬学的に受容可能なその塩、多形体、プロドラッグ、あるいは異性体を含有するタブレットを具える薬の剤形において、前記タブレットがメトプロロールを含有する少なくとも一のセグメントを具え、変動放出特性を具え、前記タブレットが実質的に不活性セグメントを含むことを特徴とする薬の剤形。
【請求項52】
請求項51に記載の薬の剤形において、前記メトプロロール含有セグメントが上下共に実質的に不活性即時放出セグメントであることを特徴とする薬の剤形。

【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【公表番号】特表2009−515955(P2009−515955A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541138(P2008−541138)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/042120
【国際公開番号】WO2007/058660
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508144875)エーシーシーユー−ブレイク テクノロジーズ,インク. (5)
【Fターム(参考)】