説明

セグメント搬送装置

【課題】セグメントを効率良く搬送する。
【解決手段】トンネル11内にてセグメント3を搬送するセグメント搬送装置であって、トンネル11内に長手方向に沿って敷設されたレール12と、レール12上を走行する台車13と、台車13上に進退可能に設けられ、上面にセグメント3を載置する載置部14を有する搬送パレット15と、台車13上に昇降可能に設けられ、搬送パレット15が前進したときに上昇して、セグメント3を搬送パレット15の載置部14から持ち上げ、搬送パレット15が後退したときに下降して、セグメント3を搬送パレット15の載置部14に降ろす昇降機構16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内にてセグメントを搬送するセグメント搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機により掘削された掘孔の内面には、エレクタ装置によってセグメントが張設され、トンネルが構築される(例えば、特許文献1等参照)。一般的に、セグメント台車によってセグメントがエレクタ装置側に搬送され、セグメント台車からエレクタ装置までのセグメントの搬送はホイストを用いて行われる。
【0003】
また、セグメント台車とエレクタ装置との間に、セグメントを既設セグメント上に並べて一時的に仮置きする仮置所を設け、その仮置所からホイストを用いてエレクタ装置に搬送するようにしたものがある。
【0004】
【特許文献1】特許第3047614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホイストを用いてエレクタ装置にセグメントを受け渡す場合、組立前のセグメントを既設セグメント上に並べて仮置きすると、仮置きしたセグメントを再びホイストで吊り上げエレクタ装置まで搬送するため、搬送距離が長くなり時間がかかり、セグメントを効率良く搬送することができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、セグメントを効率良く搬送することができるセグメント搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、トンネル内にてセグメントを搬送するセグメント搬送装置であって、上記トンネル内に長手方向に沿って敷設されたレールと、該レール上を走行する台車と、該台車上に進退可能に設けられ、上面にセグメントを載置する載置部を有する搬送パレットと、上記台車上に昇降可能に設けられ、上記搬送パレットが前進したときに上昇して、セグメントを上記搬送パレットの載置部から持ち上げ、上記搬送パレットが後退したときに下降して、セグメントを上記搬送パレットの載置部に降ろす昇降機構とを備えたものである。
【0008】
上記台車にレールクランプ方式の自走機構が装備されており、上記台車はシールド掘進機に牽引されることなく上記レール上を走行可能であっても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セグメントを効率良く搬送することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るセグメント搬送装置の平面図である。図2は、セグメント搬送装置の側面図である。図3は、セグメント搬送装置の正面図である。図4は、セグメント搬送装置を備えたシールド掘進機の側断面図である。
【0012】
図4に示すように、シールド掘進機1のシールドフレーム2内には、セグメント3を組み立てるエレクタ装置4が設けられている。また、シールド掘進機1のテール部の後方作業台(デッキ)5の後方には、トンネル11の長手方向に沿ってビーム6が設けられ、後方作業台5の下方には、トンネル11の長手方向に沿って別のビーム7が設けられている。
【0013】
本実施形態では、セグメント台車(図示せず)から後述するセグメント搬送装置10までのセグメント3の搬送は、後方作業台5後方のビーム6に沿って移動可能なホイスト(一次ホイストともいう)8を用いて行い、セグメント搬送装置10からエレクタ装置4までのセグメント3の搬送は、後方作業台5下方のビーム7に沿って移動可能なホイスト(二次ホイストともいう)9を用いて行うようになっている。
【0014】
図1から図3に示すように、本実施形態に係るセグメント搬送装置10は、トンネル11内に長手方向に沿って平行に敷設された一対のレール12と、レール12上を走行する台車13と、台車13上に進退可能に設けられ、上面にセグメント3を載置する載置部14を有する搬送パレット15と、台車13上に昇降可能に設けられ、搬送パレット15が前進したときに上昇して、セグメント3を搬送パレット15の載置部14から持ち上げ、搬送パレット15が後退したときに下降して、セグメント3を搬送パレット15の載置部14に降ろす昇降機構16とを備えている。
【0015】
なお、図3中、左側がセグメント3を搬送パレット15から持ち上げた状態を示し、右側がセグメント3を搬送パレット15に降ろした状態を示す。
【0016】
台車13の両側部には複数の走行輪17が台車13の長手方向に沿って設けられており、台車13は走行輪17によってレール12上を走行するようになっている。
【0017】
また、台車13にはレールクランプ方式の自走機構18が装備されており、台車13はシールド掘進機1に牽引されることなくレール12上を走行可能である。自走機構18は、レール12をクランプ(把持)するレールクランプ19と、レールクランプ19と台車13との間に設けられ、レール12から反力をとって台車13を前進させるクランプジャッキ20とを有する。レールクランプ19でレール12をクランプした状態で、クランプジャッキ20を伸長させることで台車13が前進され、レールクランプ19によるレール12のクランプを解除した状態で、クランプジャッキ20を縮退させることでレールクランプ19が台車13側に引き寄せられるようになっている。
【0018】
搬送パレット15は、平面視略正方形状に形成されている。搬送パレット15の載置部14には、セグメント3を搬送パレット15の長手方向に複数(図示例では三つ)並べて載置できるようになっている。本実施形態では、セグメント3は、その長辺がトンネル11の幅方向に沿った状態で、且つその内周面が上を向くようにして、搬送パレット15の載置部14上に横向きに載置される。
【0019】
台車13上には台車13の長手方向に沿って平行に一対のレール21が敷設され、搬送パレット15の下部には複数の走行輪22が搬送パレット15の長手方向に沿って設けられており、搬送パレット15は走行輪22によってレール21上を移動するようになっている。
【0020】
搬送パレット15と台車13との間にはスライドジャッキ23が設けられており、スライドジャッキ23を伸長させることで搬送パレット15が前進され、スライドジャッキ23を縮退させることで搬送パレット15が後退されるようになっている。
【0021】
昇降機構16は、台車13の幅方向に間隔を隔てて配置され、上面にセグメント3を架け渡して載置し得る一対の載置部材24と、載置部材24と台車13との間に設けられたリフトジャッキ25とを有している。リフトジャッキ25を伸長させることで載置部材24が上昇され、リフトジャッキ25を縮退させることで載置部材24が下降されるようになっている。本実施形態では、昇降機構16は、台車13の長手方向に間隔を隔てて複数(図示例では、四つ)配置されている。
【0022】
以下、セグメント3をセグメント搬送装置10によって搬送する手順を説明する。
【0023】
まず、図5(a)に示すように、スライドジャッキ23を縮退させて搬送パレット15を後退させ且つリフトジャッキ25を縮退させて昇降機構16の載置部材24を下降させた状態で、一次ホイスト8を用いてセグメント3を搬送パレット15の載置部14の後端部に載置する。
【0024】
次に、図5(b)に示すように、スライドジャッキ23を伸長させると、搬送パレット15が載置部14にセグメント3を載置した状態で前進され、図5(c)に示すように、搬送パレット15が所定位置まで前進したときにリフトジャッキ25を伸長させると、昇降機構16の載置部材24が上昇され、昇降機構16の載置部材24によってセグメント3が搬送パレット15の載置部14から持ち上げられる。
【0025】
次に、図5(d)に示すように、スライドジャッキ23を縮退させると、搬送パレット15が載置部14にセグメント3を載置しない空状態で搬送方向後方に引き戻され、図5(e)に示すように、搬送パレット15のみが所定位置まで後退されたときにリフトジャッキ25を縮退させると、昇降機構16の載置部材24が下降され、セグメント3が昇降機構16の載置部材24から搬送パレット15の載置部14の中間部に降ろされる。次いで、一次ホイスト8を用いて次のセグメント3を搬送パレット15の載置部14の後端部に載置する。
【0026】
このように、図5(a)〜図5(e)のステップを繰り返すことで、セグメント3が搬送方向前方のエレクタ装置4側に順次搬送されていく。
【0027】
本実施形態では、セグメント搬送装置10からエレクタ装置4へのセグメント3の搬送は、セグメント搬送装置10の前端部の昇降機構16まで搬送されたセグメント3を二次ホイスト9を用いて吊り上げ、その二次ホイスト9をエレクタ装置4の近傍まで移動させ、二次ホイスト9で吊り上げたセグメント3をエレクタ装置4に空中で受け渡すことで行われる。
【0028】
本実施形態によれば、セグメント搬送装置10は、トンネル11内に長手方向に沿って敷設されたレール12上を走行する台車13と、台車13上に進退可能に設けられ、上面にセグメント3を載置する載置部14を有する搬送パレット15と、台車13上に昇降可能に設けられ、搬送パレット15が前進したときに上昇して、セグメント3を搬送パレット15の載置部14から持ち上げ、搬送パレット15が後退したときに下降して、セグメント3を搬送パレット15の載置部14に降ろす昇降機構16とを備えるため、台車13にてシールド掘進機1の掘進に応じて前進することができると共に、セグメント3を搬送パレット15(スライドジャッキ23)及び昇降機構16(リフトジャッキ25)による尺取方式で搬送方向前方のエレクタ装置4側に順次搬送することができ、搬送距離が長くなることを抑制することができるので、セグメント3を効率よく搬送することが可能となる。
【0029】
また、本実施形態によれば、セグメント搬送装置10(台車13)にレールクランプ方式の自走機構18が装備されており、セグメント搬送装置10(台車13)はシールド掘進機1に牽引されることなくレール12上を走行可能であるため、シールド機1に搭載するタイプやシールド掘進機1で牽引するタイプよりも構造を簡略化することができると共に、セグメント搬送装置10をシールド掘進機1とは独立したシステムとすることで作業スペースを広く取ることが可能となる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0031】
例えば、二次ホイスト9を用いずに、セグメント3をセグメント搬送装置10からエレクタ装置4に直接受け渡すようにしても良い。具体的には、エレクタ装置4がセグメント搬送装置10からセグメント3を直接持ち上げることができるように、セグメント搬送装置10を配置する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るセグメント搬送装置の平面図である。
【図2】図2は、セグメント搬送装置の側面図である。
【図3】図3は、セグメント搬送装置の正面図である。
【図4】図4は、セグメント搬送装置を備えたシールド掘進機の側断面図である。
【図5】図5(a)から図5(e)は、セグメントを搬送する手順を示す概略図である。
【符号の説明】
【0033】
1 シールド掘進機
3 セグメント
10 セグメント搬送装置
11 トンネル
12 レール
13 台車
14 載置部
15 搬送パレット
16 昇降機構
18 自走機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内にてセグメントを搬送するセグメント搬送装置であって、上記トンネル内に長手方向に沿って敷設されたレールと、該レール上を走行する台車と、該台車上に進退可能に設けられ、上面にセグメントを載置する載置部を有する搬送パレットと、上記台車上に昇降可能に設けられ、上記搬送パレットが前進したときに上昇して、セグメントを上記搬送パレットの載置部から持ち上げ、上記搬送パレットが後退したときに下降して、セグメントを上記搬送パレットの載置部に降ろす昇降機構とを備えたことを特徴とするセグメント搬送装置。
【請求項2】
上記台車にレールクランプ方式の自走機構が装備されており、上記台車はシールド掘進機に牽引されることなく上記レール上を走行可能である請求項1に記載のセグメント搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−53653(P2010−53653A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222376(P2008−222376)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】