説明

セシウム、ルビジウム、バリウム、およびランタンを含有するフラックス中での第四級カルコゲナイドの合成

本発明は、セシウム、ルビジウム、バリウム、およびランタンを含有するフラックス中での、銅亜鉛スズ硫化物などの第四級カルコゲナイド化合物の合成に関する。第四級カルコゲナイドは、薄膜太陽電池用途のp型半導体としての吸収層として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2009年11月25日に出願された米国仮特許出願第61/264,476号(あらゆる目的で本出願の一部であるかのようにその全体が本明細書に援用される)の優先権を主張し、その利益を主張する。
【0002】
本発明は、セシウム、ルビジウム、バリウム、およびランタンを含有するフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物などの第四級カルコゲナイド化合物の合成に関する。第四級カルコゲナイドは、薄膜太陽電池用途のp型半導体としての吸収層として有用である。
【背景技術】
【0003】
光起電力セルまたはPVセルとも呼ばれる太陽電池およびソーラーモジュールは、太陽光を電気に変換する。これらの電子デバイスは、比較的費用のかかる製造プロセスでシリコン(Si)を光吸収性半導体材料として用いて従来製造されている。より経済的に実施可能な太陽電池を製造するために、CIGSとも呼ばれる銅−インジウム−ガリウム−スルホ−ジ−セレニド、Cu(In,Ga)(S,Se)2などの薄膜光吸収性半導体材料を安価に利用することができる太陽電池のデバイス構造が開発されている。この種類の太陽電池は、典型的には、裏面電極層とn型接合パートナー層との間に挟まれたp型吸収層を有する。裏面電極層は多くの場合Moであり、一方、接合パートナーは多くの場合CdSである。アルミニウムをドープした酸化亜鉛などの透明導電性酸化物(TCO)が接合パートナー層上に形成され、典型的には透明電極として用いられる。
【0004】
薄膜太陽電池におけるCIGSの可能性が示されているにもかかわらず、インジウムおよびセレンの毒性および低存在度が、商用デバイスにおけるCIGSの広範な使用および採用に対する主要な障害となっている。薄膜太陽電池の吸収層に関して関心がもたれている代替品は、第四級カルコゲナイド、特に銅亜鉛スズ硫化物Cu2ZnSnS4(CZTS)である。CZTSは、直接バンドギャップが約1.5eVであり、吸収係数が104cm-1を超える。さらに、CZTSは、毒性の元素も豊富に存在しない元素も全く含まない。
【0005】
CZTSの薄膜は、Cu、SnS、およびZnSの前駆体のスパッタリング、ハイブリッドスパッタリング、パルスレーザー堆積、ハロゲン化物およびチオ尿素錯体の噴霧熱分解、電着/熱硫化、EビームCu/Zn/Sn/熱硫化、およびゾル−ゲル堆積の後の熱硫化によって作製されてきた。
【0006】
バルク量のCZTSは、400℃〜1150℃の間の温度で真空にした石英アンプル中で調製されてきた。バルク量は、H2Sなどの硫黄源を用いて加熱炉中でも調製されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非真空系の薄膜光起電力用途でバルク量のCZTSおよびそのカルコゲナイド類似体を製造するための安全で堅牢な製造方法が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ケステライトのセルの構造の単一(single)X線解析である。
【図2】ケステライトの粉末X線回折スペクトルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
a)反応混合物であって:
i)Cu、Ag、Au、Cu塩、Ag塩、Au塩、またはそれらの混合物から選択される第1の元素の供給源と;
ii)Zn、Cd、およびHg、Zn塩、Cd塩、Hg塩、またはそれらの混合物から選択される第2の元素の供給源と;
iii)Ge、Sn、およびSi、Ge塩、Sn塩、Si塩、またはそれらの混合物から選択される第3の元素の供給源と;
iv)カルコゲン源と;
v)フラックスとを含み;
反応混合物中(第1の元素):(第2の元素):(第3の元素):(カルコゲン)の全体のモル比が約2:1:1:(4以上)である、反応混合物を提供するステップと;
b)反応混合物を不活性雰囲気中で約150℃〜約1000℃の温度に加熱するステップと;
c)反応混合物を冷却するステップと
を含む方法が、本明細書において開示される。
【0010】
第1の元素の供給源は、金属Cu、金属Ag、金属Au、Cu塩、Ag塩、Au塩、またはそれらの混合物から選択することができる。第2の元素の供給源は、金属Zn、金属Cd、金属Hg、Zn塩、Cd塩、Hg塩、またはそれらの混合物から選択することができる。第3の元素の供給源は、金属Ge、金属Sn、Ge塩、Sn塩、Si塩、またはそれらの混合物から選択することができる。塩は、本発明の方法にも最終生成物にも悪影響を与えないあらゆる追加の陰イオンまたは陽イオンを含有することができる。
【0011】
第1、第2、または第3の元素の供給源が同じであってよく、すなわち第1の元素の供給源が第2の元素の供給源または第3の元素の供給源でもあるか、あるいは第2の元素の供給源が第3の元素の供給源でもある。たとえば、銅スズ硫化物は第1および第3の元素の供給源として機能することができる。
【0012】
金属硫化物およびセレン化物は、第1、第2、および第3の元素の好都合な供給源である。例としては、硫化銅(II)、硫化銅(I)、硫化亜鉛(II)、硫化スズ(II)、硫化ゲルマニウム(II)、硫化カドミウム(II)、セレン化銅(II)、セレン化亜鉛(II)、セレン化スズ(II)、硫化スズ(IV)、および銅スズ硫化物が挙げられる。
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「カルコゲン」は、硫黄(S)、セレン(Se)、およびテルル(Te)を意味する。好適なカルコゲン源としては、元素硫黄(S);元素セレン(Se);元素テルル(Te);硫化物陰イオン(S-2)、硫化水素陰イオン(HS-)、またはポリスルフィド陰イオンの陽イオン塩;セレン化物陰イオンまたはセレン化水素陰イオンの陽イオン塩;テルル化物陰イオンまたはテルル化水素陰イオンの陽イオン塩;金属硫化物;金属セレン化物;金属テルル化物;ならびにそれらの混合物が挙げられる。好適な陽イオンとしては、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、テトラアリールアンモニウム、ならびにアルカリ金属およびアルカリ土類金属が挙げられる。好適な金属硫化物、セレン化物、およびテルル化物としては、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Ge、およびSnの硫化物、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Ge、およびSnのセレン化物、ならびにCu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Ge、およびSnのテルル化物、ならびにそれらの混合物が挙げられる。カルコゲン源は、第1の元素の供給源(たとえば、CuS)、第2の元素の供給源(たとえば、ZnS)、または第3の元素の供給源(たとえば、SnS)と同じであってよい。
【0014】
一実施形態では、カルコゲンは硫黄であり、カルコゲン源は元素硫黄である。別の一実施形態では、カルコゲン源は1種類以上の金属硫化物でありこの金属硫化物も、第1の元素の供給源、第2の元素の供給源、および/または第3の元素の供給源として機能する。
【0015】
反応混合物中の(第1の元素):(第2の元素):(第3の元素):(カルコゲン)の全モル比は約2:1:1:(4以上)である。第1の元素、第2の元素、および第3の元素の比率は、これらの整数値から20モル%だけ逸脱しうる。これは、一部の元素が異なる元素で置換される場合に起こりうるが、組成物が依然として中性のままとなる程度でのみこの置換が起こる。たとえば、一実施形態では、Cu含有率を低下させることによってZn含有率を増加させて、Cu:Zn:Sn:Sの比を1.8:1.2:1:4の比にすることができる。
【0016】
カルコゲンの第2の元素に対するモル比は少なくとも4であるが、20までであってよい。典型的には、カルコゲンの第2の元素に対するモル比は6〜10、または約8である。
【0017】
フラックスは、反応温度で溶融し、反応物にも最終生成物にも悪影響を及ぼさない塩である。フラックスは、セシウム、ルビジウム、バリウム、およびランタンから選択される1種類以上の陽イオンを含む。フラックスは、リチウム、ナトリウム、カリウム、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、水銀、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スカンジウム、およびイットリウムから選択される1種類以上の陽イオンを場合により含むことができる。フラックスは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸化物、水酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物、炭酸、ケイ酸、硫酸、リン酸、ピロリン酸、硫酸、スルホン酸、およびホスホン酸から選択される1種類以上の陰イオンをも含む。一実施形態では、フラックスは、塩化物、臭化物、またはヨウ化物を含む。別の一実施形態では、フラックスは、BaCl2、CdCl2、CsAlCl4、CsBr、CsCl、CsF、CsI、KCl、LaCl3、LiCl、MgCl2、RbBr、RbCl、RbI、ZnCl2、またはそれらの混合物を含む。
【0018】
反応混合物は、反応容器に入れる前または入れた後のいずれかで個別の成分を混合することで調製することができる。個別の成分は、個別にまたは混合後に、あらかじめ粉砕することができる。個々の成分が均一になる限り、あらゆる手段で混合することができ、たとえば、粉砕、振盪、および/またはボールミル粉砕によって混合することができる。典型的には、反応混合物の個別の成分の粒度は、350メッシュサイズ〜5メッシュサイズの間、または200〜325メッシュの間である。混合後、反応混合物は、粉末形態であってよく、または加圧ペレットなどのあらゆる形状に成形することもできる。
【0019】
本明細書に記載の方法によって、式(E1)2(E2)1(E3)1(カルコゲン)4(式中、E1は第1の元素であって、Cu、Ag、およびAuの1つ以上であり;E2は第2の元素であって、Zn、Cd、またはHgの1つ以上であり;E3は第3の元素であって、Ge、Sn、またはSiの1つ以上であり;およびカルコゲンは前述の定義の通りである)の組成物を調製することができる。元素の化学量論は、厳密に2:1:1:4である値から変動することができ、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などの少量の他の元素でドープすることもできる。
【0020】
一実施形態では、第1の元素はCuであり、第2の元素はZnまたはCdであり、第3の元素はGeまたはSnであり、カルコゲンはSである。別の実施形態では、本発明の方法は、式Cu2ZnSnSe4、Cu2ZnGeS4、Cu2ZnSnS3Se1、Cu2CdSnS4、またはCu2ZnSnS4の組成物を調製するために使用することができる。
【0021】
反応混合物は不活性雰囲気中で加熱される。「不活性雰囲気」とは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素、およびそれらの混合物などの、前駆体混合物に対して不活性である雰囲気を意味する。特に、不活性雰囲気は水、酸素、およびH2Sを含有すべきではない。加熱ステップ中の開放容器上に不活性雰囲気を流し込むか、または流すことができる。
【0022】
加熱の総時間は重要ではなく、温度および所望の変換率に依存するが、少なくともフラックスが実質的に溶融する長さである必要がある。好適な加熱時間としては、0.25時間、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、2日、3日、および5日、ならびにそれらの間のあらゆる時間間隔が挙げられる。
【0023】
反応混合物は、フラックスが溶融する温度、典型的には約300℃〜約1000℃、約400℃〜約800℃、または約500℃〜約750℃に加熱される。加熱は、一段階、より高い温度までの上昇または段階的上昇、あるいはより低い温度とより高い温度との間でのサイクルなどのあらゆる方法で行うことができる。加熱は、管状炉などのあらゆる手段を用いて行うことができる。前駆体混合物は、周囲温度から加熱することができ、またはより低いまたはより高い温度に直接配置することもできる。
【0024】
本発明の方法は、反応混合物の、典型的には周囲温度への冷却を、典型的には不活性ガス、たとえば、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはそれらの混合物の気流中で行うステップを含む。
【0025】
一実施形態では、反応混合物は開放容器中で加熱される。「開放容器」は、不活性雰囲気に対して開放されている容器を意味し、すなわち、少なくとも1つの開口部を有し、そのため、前駆体混合物と周囲圧力との間で自由な気体連通が可能となり、前駆体混合物が周囲圧力と実質的に平衡を維持する。開放容器は、アルミナ、窒化アルミニウム、マグネシア、アルミナを有するマグネシア、ジルコニア、酸化イットリウムを有するジルコニア、炭素黒鉛、白金、ならびに白金、金、およびロジウムの合金などの前駆体混合物に対して不活性であるあらゆる材料から作製することができる。開放容器は、燃焼ボート、るつぼ、焼却トレイ、焼却皿、ならびにオーブンまたは加熱炉の底床などのあらゆる形状または大きさであってよい。
【0026】
別の一実施形態では、本発明の方法は、ステップb)またはステップc)の後で、フラックス溶媒で洗浄することによって、フラックスを反応混合物から除去するステップを含む。洗浄は、好適なフラックス溶媒中、すなわちフラックスを溶解させるが、所望の生成物は不活性であり実質的に溶解されずに残存する溶媒中にフラックスを溶解させることによって行うことができる。フラックス溶媒は、1種類の溶媒、または2種類以上の溶媒の混合物であってよい。好適なフラックス溶媒としては、水、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジメチルカーボネート、アンモニア水溶液、水酸化アンモニウム、ジエチルカーボネート、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、アセトンまたはエチルメチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、エチルエーテルまたはジブチルエーテルなどのエーテル類、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
所望の生成物は、減圧濾過または遠心分離などの当技術分野において周知のあらゆる手段によってフラックス溶媒から分離することができる。生成物は、室温または最高200
℃までの高温で真空中で24時間など、さらに乾燥させることができる。
【0028】
前述の方法によって調製されたCZTSは、光起電力デバイスなどの電子デバイスの製造に有用となりうる。
【実施例】
【0029】
硫化銅(II)、硫化銅(I)、硫化亜鉛(II)、硫化スズ(II)、硫化ゲルマニウム(II)、硫化カドミウム(II)、セレン化銅(II)、セレン化亜鉛(II)、セレン化スズ(II)は、Alfa Aesarより購入した。元素硫黄はAldrichより購入した。硫化スズ(IV)はPfaltz & Bauer Inc.より購入した。銅スズ硫化物は、Fiechter,S.;et al.,Journal of
Physics and Chemistry of Solids(2003),64(9−10),1859−1862に記載の文献手順により調製した。CsF、CsCl、CsBr、CsI、RbCl、RbI、KCl、LiCl、NaCl、MgCl2、MgI2、ZnCl2、CdCl2、AlCl3、BaCl2、CdCl2、LaCl3は、Alfa Aesarより購入した。
【0030】
X線回折パターンは、Newtown Square,PennsylvaniaにあるInternational Centre for Diffraction Data(ICDD)より利用可能なCZTSの標準パターンと比較した。
【0031】
実施例1
二価の硫化銅および四価の硫化スズからの、CsClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.175g(0.02275mol)の硫化銅、1.11g(0.0114mol)の硫化亜鉛、2.08g(0.0114mol)の硫化スズ(IV)、および4.5gのCsClのサンプルを、ドライボックス中での個々の成分の15分間の振盪によって互いに混合した後、20mlのアルミナボート中に入れ、次にボートを窒素の流れる管状炉中に入れた。ボートを750℃まで加熱し、この温度を24時間維持した。次に、加熱炉を室温まで冷却した。ボートを取り出し、500mlの蒸留水中に浸漬した。黒色結晶材料を濾取し、さらなる500mlの水で洗浄し、1mmの真空で12時間乾燥させた。CZTS構造を、図1および2に示される単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0032】
実施例2
二価の硫化銅および四価の硫化スズからの、CsClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、4.16g(0.0228mol)の硫化スズ(IV)、および10.0gのCsClのサンプルをグローブボックス中で互いに混合し、アルミナボート中に入れ、次に窒素の流れる管状炉中に入れた。ボートを800℃まで加熱し、その温度で24時間維持した。加熱炉を室温まで冷却し、ボートを500mlの蒸留水中に浸漬した。黒色結晶材料を濾過し、さらなる500mlの水で洗浄し、1mmの真空で12時間乾燥させた。CZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0033】
実施例3
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.175g(0.02275mol)の硫化銅、1.11g(0.0114mol)の硫化亜鉛、1.72g(0.0114mol)の硫化スズ(II)、および10.0gのCsClを使用して実施例2を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0034】
実施例4
二価の硫化銅および四価の硫化スズからの、CsBrフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.175g(0.02275mol)の硫化銅、1.11g(0.0114mol)の硫化亜鉛、2.08g(0.0114mol)の硫化スズ(IV)、および10.0gのCsBrを使用して実施例2を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0035】
実施例5
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsBrフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.175g(0.02275mol)の硫化銅、1.11g(0.0114mol)の硫化亜鉛、1.72g(0.0114mol)の硫化スズ(II)、および10.0gのCsBrを使用して実施例2を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0036】
実施例6
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsCl/CsFフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、1.0gの元素硫黄、10.0gのCsCl、および10.0gのCsFを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0037】
実施例7
一価の硫化銅および四価の硫化スズからの、CsCl/CsBrフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
7.24g(0.0455mol)の硫化銅(I)、4.44g(0.0456mol)の硫化亜鉛、8.32g(0.0455mol)の硫化スズ(IV)、1.5gの元素硫黄、20.0gのCsCl、および20gのCsBrを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0038】
実施例8
二価の硫化銅および四価の硫化スズからの、CsIフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.175g(0.02275mol)の硫化銅、1.11g(0.0114mol)の硫化亜鉛、2.08g(0.0114mol)の硫化スズ(IV)、および10.0gのCslを使用して実施例2を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0039】
実施例9
二価の硫化銅および四価の硫化スズからのCsCl/LiClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、4.16g(0.0228mol)の硫化スズ(IV)、15.98gのCsClおよび4.02gのLiClを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0040】
実施例10
二価の硫化銅および四価の硫化スズからのCsCl/NaClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
8.71g(0.091mol)の硫化銅、4.44g(0.0456mol)の硫化亜鉛、8.34g(0.0456mol)の硫化スズ(IV)、35.24gのCsClおよび4.76gのNaClを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0041】
実施例11
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsCl/RbClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛のサンプル、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、10.00gのCsCl、および10.00gのRbClを使用し、700℃で加熱して、実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0042】
実施例12
二価の硫化銅および四価の硫化スズからの、CsCl/RbClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛のサンプル、4.16g(0.0228mol)の硫化スズ(IV)、10.00gのCsCl、および10.00gのRbClを使用して実施例11を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0043】
実施例13
二価の硫化銅および四価の硫化スズからの、CsCl/KCl/NaClフラックス中で銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、4.16g(0.0228mol)の硫化スズ(IV)、13.58gのCsCl、3.25gのKCl、および3.17gのNaClを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0044】
実施例14
二価の硫化銅および二価の硫化スズからのCsCl/MgCl2フラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、1.0gの元素硫黄、15.59gのCsCl、および4.41gのMgCl2を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0045】
実施例15
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsCl/ZnCl2フラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、1.0gの元素硫黄、14.25gのCsCl、および5.75gのZnCl2を使用して実施例11を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0046】
実施例16
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsCl/CdCl2フラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、1.0gの元素硫黄、12.95gのCsCl、および7.05gのCdCl2を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0047】
実施例17
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsCl/BaCl2フラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
8.71g(0.091mol)の硫化銅、4.44g(0.0456mol)の硫化亜鉛、6.88g(0.0456mol)の硫化スズ(II)、1.5gの元素硫黄、24.72gのCsCl、および15.28gのBaCl2を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0048】
実施例18
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、BaCl2/MgCl2フラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、1.0gの元素硫黄、13.73gのBaCl2、および6.28gのMgCl2を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0049】
実施例19
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、BaCl2/ZnCl2フラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、1.0gの元素硫黄、12.09gのBaCl2、および7.91gのZnCl2を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0050】
実施例20
二価の硫化銅および二価の硫化スズからのBaCl2/KClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、1.0gの元素硫黄、11.65gのBaCl2、および8.35gのKClを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0051】
実施例21
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsCl/AlCl3フラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、1.0gの元素硫黄、11.16gのCsCl、および8.84gのAlCl3を使用し、500℃の加熱温度を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0052】
実施例22
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsCl/LaCl3フラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、0.73gの元素硫黄、8.14gのCsCl、および11.86ggのLaCl3を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0053】
実施例23
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、CsBr/RbBrフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
4.35g(0.0455mol)の硫化銅、2.22g(0.0228mol)の硫化亜鉛、3.43g(0.0228mol)の硫化スズ(II)、10.00gのCsCl、および10.00gのRbClを使用し、700℃の加熱温度を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造をXRD分析によって確認した。
【0054】
実施例24
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、RbBrフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.175g(0.02275mol)の硫化銅、1.11g(0.0114mol)の硫化亜鉛、1.72g(0.0114mol)の硫化スズ(II)、10.00gのRbBrを使用して実施例23を繰り返した。生成物のCZTS構造をXRD分析によって確認した。
【0055】
実施例25
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、RbClフラックス中での、銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.175g(0.02275mol)の硫化銅、1.11g(0.0114mol)の硫化亜鉛、1.72g(0.0114mol)の硫化スズ(II)、10.00gのRbClを使用して実施例23を繰り返した。生成物のCZTS構造をXRD分析によって確認した。
【0056】
実施例26
二価の硫化銅および二価の硫化スズからの、RbIフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.175g(0.02275mol)の硫化銅、1.11g(0.0114mol)の硫化亜鉛、1.72g(0.0114mol)の硫化スズ(II)、10.00gのRbIを使用して実施例23を繰り返した。生成物のCZTS構造をXRD分析によって確認した。
【0057】
実施例27
二価のセレン化銅、セレン化亜鉛、および二価のセレン化スズからの、CsCl/CsBrフラックス中での銅亜鉛スズ四セレン化物の合成
4.55g(0.032mol)のセレン化銅、2.30g(0.016mol)のセレン化亜鉛、3.15g(0.016mol)のセレン化スズ(II)、20.00gのCsCl、および20.00gのCsBrを使用して実施例23を繰り返した。構造をXRD分析および単結晶X線解析によって分析した。分析結果は以下の通りであった:
Cu2Se4SnZn、黒色、針状、約0.080×0.010×0.010mm、正方晶、I−4、a=b=5.671(4)Å、c=11.302(8)Å、Vol=363.5(4)Å3、Z=2、T=−100℃、式量=626.98、密度=5.728g/
cm3、μ(Mo)=32.33mm-1
【0058】
実施例28
二価のセレン化銅、セレン化亜鉛、および二価のセレン化スズからの、CsBr/CsIフラックス中での銅亜鉛スズ四セレン化物の合成
4.55g(0.032mol)のセレン化銅、2.30g(0.016mol)のセレン化亜鉛、3.15g(0.016mol)のセレン化スズ(II)、20.00gのCsBr、および20.00gのCsIを使用して実施例23を繰り返した。生成物のCZTSe構造をXRD分析によって確認した。
【0059】
実施例29
二価のセレン化銅、セレン化亜鉛、および二価のセレン化スズからの、CsClフラックス中での銅亜鉛スズ四セレン化物の合成
4.55g(0.032mol)のセレン化銅、2.30g(0.016mol)のセレン化亜鉛、3.15g(0.016mol)のセレン化スズ(II)、20.00gのCsClを使用して実施例2を繰り返した。生成物のCZTSe構造をXRD分析によって確認した。
【0060】
実施例30
二価の硫化銅、セレン化亜鉛および四価の硫化スズからの、CsCl/CsBrフラックス中での銅亜鉛スズ三硫化一セレン化物の合成
4.02g(0.042mol)の硫化銅、3.03g(0.021mol)のセレン化亜鉛、3.84g(0.021mol)の硫化スズ(IV)、10.00gのCsCl、および10.00gのCsBrを使用して実施例23を繰り返した。構造をXRD分析およびXRD分析によって分析した。分析結果は以下の通りであった:
Cu23Se0.50SnZn、黒色、十二面体、約0.110×0.110×0.110mm、正方晶、I−4、a=b=5.4795(15)Å、c=10.913(3)Å、Vol=327.67(16)Å3、Z=2、T=−100℃、式量=446.80、密度=4.529g/cm3、μ(Mo)=17.38mm-1
【0061】
実施例31
二価の硫化銅、セレン化亜鉛、および四価の硫化スズからの、CsCl/KCl/NaClフラックス中での銅亜鉛スズ三硫化一セレン化物の合成
4.02g(0.042mol)の硫化銅、3.03g(0.021mol)のセレン化亜鉛、3.84g(0.021mol)の硫化スズ(IV)、13.58gのCsCl、3.25gのKCl、および3.17のNaClを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS/Se構造をXRD分析によって確認した。
【0062】
実施例32
二価の硫化銅、セレン化亜鉛および四価の硫化スズからの、CsCl/KCl/NaClフラックス中での銅亜鉛スズ三硫化一セレン化物の合成
8.04g(0.084mol)の硫化銅、6.06g(0.042mol)のセレン化亜鉛、7.68g(0.042mol)の硫化スズ(IV)のサンプル、1.34gの元素硫黄、27.16gのCsCl、6.50gのKCl、および6.34のNaClを使用し、600℃の温度を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS/Se構造をXRD分析によって確認した。
【0063】
実施例33
二価のセレン化銅、硫化亜鉛(Znc)および四価の硫化スズからの、CsCl/CsBrフラックス中での銅亜鉛スズ三硫化一セレン化物の合成
5.86g(0.042mol)のセレン化銅、2.01g(0.021mol)の硫化亜鉛、3.76g(0.021mol)の硫化スズ(IV)、10.00gのCsCl、および10.00gのCsBrを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS/Se構造をXRD分析によって確認した。
【0064】
実施例34
二価の硫化銅、硫化亜鉛、および二価のセレン化スズからの、CsClフラックス中での銅亜鉛スズ三硫化一セレン化物の合成
3.07g(0.032mol)の硫化銅、1.56g(0.016mol)の硫化亜鉛、3.16g(0.016mol)のセレン化スズ(II)、および20.00gのCsClを使用し、700℃の加熱温度を使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS/Se構造をXRD分析によって確認した。
【0065】
実施例35
二価の硫化銅、硫化カドミウム、および二価の硫化スズからの、CsCl/BaCl2フラックス中での銅カドミウムスズ硫化物の合成
3.94g(0.0412mol)の硫化銅、2.96g(0.0205mol)の硫化カドミウムのサンプル、3.10g(0.0206mol)の硫化スズ(II)、0.7gの元素硫黄、24.72gのCsCl、および15.28gのBaCl2を使用して実施例1を繰り返した。構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。分析結果は以下の通りであった:
CdCu24SnZn0、黒色、三角柱、約0.140×0.050×0.050mm、正方晶、I−4、a=b=5.5888(15)Å、c=10.823(4)Å、Vol=338.04(18)Å3、Z=2、T=−100℃、式量=486.41、密度=4.779g/cm3、μ(Mo)=14.07mm-1
【0066】
実施例36
二価の硫化銅、硫化カドミウム、および二価の硫化スズからの、CsClフラックス中での銅カドミウムスズ硫化物の合成
1.97g(0.0206mol)の硫化銅、1.48g(0.0103mol)の硫化カドミウムのサンプル、1.55g(0.0103mol)の硫化スズ(II)、および10.0gのCsClを使用して実施例2を繰り返した。構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0067】
実施例37
二価の硫化銅、硫化カドミウム、および二価の硫化スズからの、CsBr/RbClフラックス中での銅カドミウムスズ硫化物の合成
1.97g(0.0206mol)の硫化銅、1.48g(0.0103mol)の硫化カドミウムのサンプル、1.55g(0.0103mol)の硫化スズ(II)、10.0gのCsBr、および10.0gのRbClを使用して実施例1を繰り返した。構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0068】
実施例38
二価の硫化銅、硫化カドミウム、および四価の硫化スズからの、CsCl/RbClフラックス中での銅カドミウムスズ硫化物の合成
1.97g(0.0206mol)の硫化銅、1.48g(0.0103mol)の硫化カドミウムのサンプル、1.88g(0.0103mol)の硫化スズ(IV)、10.0gのCsCl、および10.0gのRbClを使用して実施例1を繰り返した。構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0069】
実施例39
二価の硫化銅、硫化カドミウム、および四価の硫化スズからの、CsCl/CsBrフラックス中での銅カドミウムスズ三硫化一セレン化物の合成
5.86g(0.042mol)のセレン化銅、3.03g(0.021mol)の硫化カドミウムのサンプル、3.76g(0.021mol)の硫化スズ(IV)、10.0gのCsCl、および10.0gのCsBrを使用して実施例1を繰り返した。構造を粉末XRD分析によって確認した。
【0070】
実施例40
二価の硫化銅、硫化亜鉛、および二価の硫化ゲルマニウムからの、CsCl/CsBrフラックス中での銅亜鉛ゲルマニウム四硫化物の合成
3.65g(0.0382mol)の硫化銅、1.86g(0.0191mol)の硫化亜鉛、2.00g(0.0191mol)の硫化ゲルマニウム(II)、10.0gのCsCl、および10.0gのCsBrを使用して実施例1を繰り返した。構造を、単結晶X線および粉末XRD分析によって確認した。分析結果は以下の通りであった:
Cu2GeS4Zn、黒色、十二面体、約0.040×0.040×0.040mm、正方晶、I−4、a=b=5.340(3)Å、c=10.521(5)Å、Vol=300.0(3)Å3、Z=2、T=−100℃、式量=393.28、密度=4.354g/cm3、μ(Mo)=17.15mm-1
【0071】
実施例41
二価の硫化銅、硫化亜鉛、および二価の硫化ゲルマニウムからの、CsClフラックス中での銅亜鉛ゲルマニウム四硫化物の合成
3.65g(0.0382mol)の硫化銅、1.86g(0.0191mol)の硫化亜鉛、2.00g(0.0191mol)の硫化ゲルマニウム(II)、および20.0gのCsClを使用し、700℃の加熱温度を使用して実施例1を繰り返した。構造を粉末XRD分析によって確認した。
【0072】
実施例42
二価の硫化銅、硫化亜鉛、および二価の硫化ゲルマニウムからの、CsCl/KCl/NaClフラックス中での銅亜鉛ゲルマニウム四硫化物の合成
9.14g(0.0956mol)の硫化銅、4.45g(0.0478mol)の硫化亜鉛、5.00g(0.0478mol)の硫化ゲルマニウム(II)、1.53gの元素硫黄、27.16gのCsCl、6.50gのKCl、および6.34のNaClを使用し、600℃の加熱温度を使用して実施例1を繰り返した。構造を粉末XRD分析によって確認した。
【0073】
実施例43
元素銅、亜鉛、スズ、および硫黄からの、CsClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
2.89g(0.0455mol)の銅、1.49g(0.0228mol)の亜鉛、2.71g(0.0228mol)のスズ、および20.0gのCsClのサンプル(あらかじめ750℃で乾燥)。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。
【0074】
実施例44
銅スズ硫化物および硫化亜鉛からの、CsClフラックス中での銅亜鉛スズ硫化物の合成
8.037g(0.0235mol)の銅スズ硫化物、2.29g(0.0235mol)の硫化亜鉛、および20.00gを使用して実施例1を繰り返した。生成物のCZTS構造を、単一X線解析および粉末XRD分析によって確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)反応混合物が:
i)Cu、Ag、Au、Cu塩、Ag塩、Au塩、またはそれらの混合物から選択される第1の元素の供給源と;
ii)Zn、Cd、およびHg、Zn塩、Cd塩、Hg塩、またはそれらの混合物から選択される第2の元素の供給源と;
iii)Ge、Sn、およびSi、Ge塩、Sn塩、Si塩、またはそれらの混合物から選択される第3の元素の供給源と;
iv)カルコゲン源と;
v)フラックスと;
を含み、反応混合物中の(第1の元素):(第2の元素):(第3の元素):(カルコゲン)の全モル比が約2:1:1:(4またはそれ以上)である、該反応混合物を備えるステップと;
b)反応混合物を不活性雰囲気中で約150℃〜約1000℃の温度に加熱するステップと;および
c)反応混合物を冷却するステップとを含む、方法。
【請求項2】
第1の元素がCuであり、第2の元素がZnまたはCdであり、第3の元素がGeまたはSnであり、カルコゲンがSである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カルコゲン源が、第1の元素の供給源、第2の元素の供給源、または第3の元素の供給源でもある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1の元素の供給源が、第2の元素の供給源、もしくは第3の元素の供給源でもある、または第2の元素の供給源が、第3の元素の供給源である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式(E1)2(E2)1(E3)1(カルコゲン)4(式中、E1は第1の元素であって、Cu、Ag、およびAuの1つまたはそれ以上であり;E2は第2の元素であって、Zn、Cd、またはHgの1つまたはそれ以上であり;E3は第3の元素であって、Ge、Sn、またはSiの1つまたはそれ以上である)の組成物を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
式Cu2ZnSnSe4、Cu2ZnGeS4、Cu2ZnSnS3Se1、Cu2CdSnS4、またはCu2ZnSnS4の組成物を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
フラックスが、ステップb)またはステップc)の後に、フラックス溶媒で洗浄することによって反応混合物から除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フラックス溶媒が、水、アルコール、アミド、テトラヒドロフラン、ケトン、エステル、エーテル、ジメチルスルホキシド、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジメチルカーボネート、アンモニア水、水酸化アンモニウム、ジエチルカーボネート、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルエーテル、ジブチルエーテル、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
フラックスが:
(a)セシウム、ルビジウム、バリウム、およびランタンから選択される1つまたはそれ以上の陽イオンを含み、場合によりリチウム、ナトリウム、カリウム、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、水銀、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スカンジウム、およびイットリウムから選択される1つまたはそれ以上の陽イオン;および
(b)フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸化物、水酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物、炭酸、ケイ酸、硫酸、リン酸、ピロリン酸、硫酸、スルホン酸、およびホスホン酸の陰イオンから選択される1つまたはそれ以上の陰イオン;
を含む塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
フラックスが、塩化物、臭化物、またはヨウ化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
フラックスが、BaCl2、CdCl2、CsAlCl4、CsBr、CsCl、CsF、CsI、KCl、LaCl3、LiCl、MgCl2、NaCl、RbBr、RbCl、RbI、ZnCl2、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
反応混合物が、開放容器中で加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
反応混合物が約400℃〜約800℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
式(E1)2(E2)1(E3)1(カルコゲン)4(式中、E1は第1の元素であって、Cu、Ag、およびAuの1つまたはそれ以上であり;E2は第2の元素であって、Zn、Cd、またはHgの1つまたはそれ以上であり;E3は第3の元素であって、Ge、Sn、またはSiの1つまたはそれ以上である)の組成物を単離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
式Cu2ZnSnSe4、Cu2ZnGeS4、Cu2ZnSnS3Se1、Cu2CdSnS4、またはCu2ZnSnS4の組成物を単離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−512174(P2013−512174A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541133(P2012−541133)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/057563
【国際公開番号】WO2011/066204
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】