説明

セパレータおよび燃料電池

【課題】固体高分子燃料電池の運転状況下において強酸性条件に曝されたとしても、金属イオンの溶出が抑制されることから、固体高分子形燃料電池の長期安定化に資するセパレータを提供することを目的とする。
【解決手段】金属材料で形成された基材と、前記基材の表面に形成された導電性金属酸化物からなる薄膜層と、を有するセパレータ。前記導電性金属酸化物が、スズ、タンタル、ニオブ、チタン、タングステン、ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の元素を含むとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータおよび燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池(以下、燃料電池と称する)は、膜電極接合体(以下、「MEA」と称することがある)の両面に、反応ガスを電極全体に効率的に拡散させるガス拡散層を配置し、さらにガス拡散層の外側から反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)を供給する流路を設けた一対のセパレータで挟持したセル(以下、「燃料電池セル」と称することがある)を基本構成としている。ここで、膜電極接合体とは、イオン伝導性を有する高分子(以下、「高分子電解質」と称することがある)を含む高分子電解質膜の両面に、発電燃料である水素と酸素の酸化還元反応を促進する触媒を含む触媒層と呼ばれる電極を形成したものである。
【0003】
一対のセパレータのうち、一方のセパレータの流路には水素や水素を含有するガスを流通させることにより、燃料電池セルに燃料である水素が供給され、他方のセパレータの流路には酸素や酸素を含有するガス(例えば空気)を流通させることにより、燃料電池セルに燃料である酸素が供給される。燃料電池セルにおいては、これらのガスの電気化学反応により直流電流が発生する。
【0004】
このようなセパレータの形成材料としては、大きく分けて金属系材料とカーボン系材料とがある。ステンレス鋼をはじめとする金属系材料は、切削加工が必要なカーボン系材料と比べ、金属特有の加工性に起因してセパレータの厚みを薄くすることができるため、セパレータの軽量化が図れるなどの利点を有する。
【0005】
しかし、燃料電池を運転させると、電池内部では酸性条件の環境が生まれるため、金属系材料を形成材料とするセパレータ(以下、「金属セパレータ」ということがある。)では、酸性条件下で腐食により金属イオンが溶出し、この溶出した金属イオンが高分子電解質膜に流入するおそれがある。流入した金属イオンは、燃料電池内部で生成する過酸化物(例えば、過酸化水素など)と反応することにより、ラジカルを生じさせ、該ラジカルが高分子電解質膜と反応することで、結果的に高分子電解質膜の劣化を促進してしまう。
【0006】
このような問題を解決する方法の一つとして、セパレータの電極と接する表面を不動態皮膜(酸化膜)と非金属性導電層との積層膜で被覆し、この積層膜を貫通する導電性物質により電気的な導通を確保した構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−140886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記方法においても、腐食により金属セパレータから金属イオンが溶出し、この溶出した金属イオンが電解質膜に流入する。この流入した金属イオンは、燃料電池内部で生成する過酸化物(例えば、過酸化水素など)と反応することにより、ラジカル(例えば、過酸化水素と反応する場合はヒドロキシラジカル)を生成させる。このようなラジカルは、電解質膜を損傷させるため、結果的に電解質膜の劣化を促進することとなることから、まだ改善の余地がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、金属イオンの溶出が抑制されたセパレータを提供することを目的とする。さらには、上述のセパレータを有し、長期安定性に優れた燃料電池を提供することをあわせて目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、金属材料で形成された基材と、前記基材の表面に形成された導電性金属酸化物からなる薄膜層と、を有するセパレータを提供する。
【0011】
本発明においては、前記導電性金属酸化物が、スズ、タンタル、ニオブ、チタン、タングステン、ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の元素を含むことが望ましい。
【0012】
本発明においては、前記導電性金属酸化物が、スズを含むことが望ましい。
【0013】
本発明は、高分子電解質膜と該高分子電解質膜を挟持する触媒層とを有する膜電極接合体と、前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、を有する燃料電池であって、前記一対のセパレータの少なくとも一方が、上述のセパレータであり、前記薄膜層が前記膜電極接合体の側に配置されていることを特徴とする燃料電池を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、金属イオンの溶出が抑制されたセパレータを提供することができる。また、このようなセパレータを有することにより、長期安定性に優れた燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好適な一実施態様の燃料電池のセルについての縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<燃料電池>
図1は、本発明の好適な一実施態様の燃料電池のセルについての縦断面図である。図に示す燃料電池10は、高分子電解質膜12と、これを挟む一対の触媒層14a,14bとから構成された膜電極接合体(MEA)20を備えている。
【0017】
さらに、燃料電池10は、膜電極接合体20の両側に、これを挟むようにガス拡散層16a,ガス拡散層16b、及び本発明の好適な一実施形態のセパレータ18a,セパレータ18b(セパレータ18aは、触媒層14a側に、セパレータ18bは、触媒層14b側に、それぞれ燃料ガス等の流路となる溝(図示せず)が形成されていると好ましい)を順に備えている。なお、膜電極接合体20及びガス拡散層16a,ガス拡散層16bとからなる構造体は、一般的に、膜電極−ガス拡散層接合体(MEGA)と呼ばれることがある。
以下、各構成について順に説明する。
【0018】
<高分子電解質>
高分子電解質膜12には、高分子電解質膜12の基材を構成する高分子電解質として、以下に示すように、炭化水素系高分子電解質と、フッ素系高分子電解質とを挙げることができる。高分子電解質は、フッ素系高分子電解質と炭化水素系高分子電解質を組み合わせて含有してもよいが、この場合、高分子電解質の全量(100質量%)に対して、炭化水素系高分子電解質が、51質量%以上であると好ましく、70質量%以上であるとより好ましくは、85質量%以上であるとさらに好ましくは、90質量%以上であると特に好ましい。また、基材12Xを構成する高分子電解質以外の成分としては、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤が挙げられる。
【0019】
(炭化水素系高分子電解質)
まず、本実施形態の高分子電解質膜に用いることができる炭化水素系高分子電解質について説明する。
【0020】
ここで、炭化水素系高分子電解質とは、当該高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してハロゲン原子が15質量%以下である高分子電解質を意味する。かかる炭化水素系高分子電解質は、前記のフッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有するため、より好ましい、特に好適な炭化水素系高分子電解質とは実質的にハロゲン原子を含有していないものであり、このような炭化水素系高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりする恐れがない。
【0021】
また、炭化水素系高分子電解質は、イオン交換基を有する高分子であることが好ましい。その理由は、このようにイオン交換基を有する高分子電解質を用いて燃料電池用の高分子電解質膜を得たとき、当該高分子電解質膜のイオン伝導性が良好になるためである。
【0022】
上述のイオン交換基として、酸性のイオン交換基(カチオン交換基)又は塩基性のイオン交換基(アニオン交換基)があげられる。高いプロトン伝導性を得る観点から、イオン交換基はカチオン交換基であることが好ましく、カチオン交換基を有する高分子電解質を用いることにより、一層発電性能に優れた燃料電池が得られる。カチオン交換基としては、例えば、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ホスホン基(−PO)、スルホニルイミド基(−SONHSO−)、フェノール性水酸基等があげられる。これらの中でも、カチオン交換基としては、スルホ基又はホスホン基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。なお、これらのイオン交換基は、部分的に、あるいは全てが、金属イオンや4級アンモニウムイオン等で交換されて塩を形成していてもよいが、燃料電池用部材として使用する際には、実質的に全てが遊離酸の形態であることが好ましい。該イオン交換基が遊離酸の形態であると、後述する積層フィルムの製造において、高分子電解質溶液の調製がより容易になるという利点もある。
【0023】
これらのイオン交換基は、高分子電解質の主鎖、側鎖の何れか一方又は両方に導入されていてもよいが、好ましくは主鎖へ導入されているものがあげられる。
【0024】
前記高分子電解質がイオン交換基を有するものである場合、該イオン交換基の導入量は、高分子電解質単位質量当たりのイオン交換基数であるイオン交換基容量で表すことができる。
【0025】
ここで「イオン交換基容量」とは、高分子電解質膜を構成する高分子電解質の、乾燥樹脂1g当たりに含有するイオン交換基の当量数で定義される値[ミリ当量/g乾燥樹脂](以下、meq/g)である。
【0026】
また、「乾燥樹脂」とは高分子電解質を、水の沸点以上の温度に保持し、質量減少がほとんどなくなり質量の経時変化がほぼ一定値に収束した樹脂をいう。
【0027】
本実施形態で用いる高分子電解質は、イオン交換基の導入量が、イオン交換容量で表して1.0meq/g以上6.0meq/g以下であると好ましく、2.0meq/g以上5.5meq/g以下であると、さらに好ましく、2.7meq/g以上5.0meq/g以下であると最も好ましい。イオン交換容量がこの範囲であると、得られる高分子電解質膜のプロトン伝導性や耐水性がより良好となり、いずれも燃料電池の使用される高分子電解質膜としての機能が優れるので好ましい。
【0028】
以下、好適なイオン交換基を有する高分子電解質に関し詳述する。このような高分子電解質の具体例としては、例えば、下記の(A)〜(F)で表される高分子電解質が挙げられる。
(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(B)主鎖が脂肪族炭化水素からなり、主鎖の一部の水素原子がフッ素原子で置換された高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(C)主鎖が芳香環を有する高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(D)主鎖が、シロキサン基やフォスファゼン基等の無機の単位構造を有する高分子にイオン交換基が導入された高分子電解質;
(E)(A)〜(D)に使用する高分子の主鎖を構成する構造単位から2種以上を選び、それらを組み合わせた共重合体に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(F)主鎖や側鎖に窒素原子を含む炭化水素系高分子に、硫酸やリン酸等の酸性化合物をイオン結合により導入した高分子電解質
【0029】
なお、以下の例示においては、イオン交換基がスルホ基である場合を主として例示するが、このスルホ基を別のイオン交換基に置き換えたものでもよい。
【0030】
前記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸等が挙げられる。
【0031】
前記(B)の高分子電解質としては、特開平9−102322号公報に記載された炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合によって製造された高分子を主鎖とし、スルホ基を有する炭化水素鎖を側鎖とし、共重合様式がグラフト重合であるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)が挙げられる。また、米国特許第4,012,303号公報又は米国特許第4,605,685号公報に記載された方法により得られる炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合体に、α,β,β−トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホ基を導入して固体高分子電解質としたスルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFEも挙げることができる。
【0032】
前記(C)の高分子電解質は、主鎖に酸素原子等のヘテロ原子を含むものであってもよい。このような高分子電解質としては、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれに、スルホ基が導入されたものが挙げられる。具体的には、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982号公報参照)等が挙げられる。主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されている化合物であってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)が挙げられる。このような高分子電解質は、特開平9−110982号公報、J.Appl.Polym.Sci.,18,1969(1974)にも記載されている。
【0033】
前記(D)の高分子電解質としては、例えば、ポリフォスファゼンにスルホ基が導入されたもの等が挙げられる。これらは、Polymer Prep.,41,No.1,70(2000)に準じて容易に製造することができる。
【0034】
前記(E)の高分子電解質は、ランダム共重合体にスルホ基が導入されたもの、交互共重合体にスルホ基が導入されたもの、ブロック共重合体にスルホ基が導入されたもののいずれであってもよい。
【0035】
前記(F)の高分子電解質としては、例えば、特表平11−503262号公報に記載されたようなリン酸を含有させたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0036】
さらに、本実施形態の高分子電解質膜に使用する高分子電解質としては、イオン交換基を有する構造単位とイオン交換基を有さない構造単位とからなる共重合体であると好ましい。このような共重合体であると、得られる高分子電解質を用い、後述の方法にて作成される高分子電解質膜が良好なプロトン伝導性と耐水性を発現し、燃料電池用として有利であるという利点がある。なお、かかる共重合体に関し、2種の構造単位の共重合様式は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合又は交互共重合のいずれであってもよく、これらの共重合様式を組合わせたものでもよい。
【0037】
燃料電池用として良好な耐熱性を有する高分子電解質膜を得るためには、前記炭化水素系高分子電解質の中でも、主鎖に芳香環を有するもの(上記(C))が好ましく、さらには主鎖を構成する芳香環を有し、且つ該芳香環に直接結合または他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質が好ましい。特に、主鎖を構成する芳香族を有し、さらに芳香環を有する側鎖を有してもよく、主鎖を構成する芳香環か側鎖の芳香環の、どちらかの芳香環に直接結合したイオン交換基を有する芳香族系高分子電解質が好ましい。
【0038】
特に好ましい芳香族系高分子電解質としては、分子構造内にイオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を実質的に有しない構造単位と、を有する高分子電解質が例示される。
【0039】
上述のイオン交換基を有する構造単位としては、下記式(11a)〜(14a)で示される構造を例示することができる。
【0040】
【化1】

(式中、Ar1〜Ar9は、それぞれ同一または相異なり、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよい2価の芳香族基を表す。該主鎖の芳香族環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有する。
Z、Z’はそれぞれ同一または相異なり−CO−で示される基、−SO2−で示される基のいずれかを表し、X、X’、X”はそれぞれ同一または相異なり−O−で示される基、−S−で示される基のいずれかを表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(15)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rはそれぞれ同一または相異なり1、2又は3を表す。)
【0041】
また、上述のイオン交換基を有さない構造単位としては、下記式(11b)〜(14b)で示される構造を例示することができる。
【0042】
【化2】

(式中、Ar11〜Ar19は、それぞれ同一または相異なり側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族炭素基を表す。Z、Z’はそれぞれ同一または相異なり−CO−で示される基、−SO2−で示される基のいずれかを表し、X、X’、X”はそれぞれ同一または相異なり−O−で示される基、−S−で示される基のいずれかを表す。Yは直接もしくは下記一般式(15)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、q’、r’はそれぞれ同一または相異なり1、2又は3を表す。)
【0043】
【化3】

(式中、R1及びR2はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、R1とR2とが連結して環を形成していてもよい。R1とR2とが連結して形成される環を有する式(15)の基としては、シクロヘキシリデン基などの炭素数5〜20の2価の環状炭化水素基があげられる。)
【0044】
イオン交換基を有する構造単位を示す式(11a)〜(14a)において、Ar1〜Ar9は、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮環系芳香族基、ピロール、2H−ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる1種から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られるヘテロ芳香基か、下記式(N−01)〜(N−07)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含むヘテロ芳香族基等があげられる。
【0045】
【化4】

【0046】
式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9としては、好ましくは、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮環系芳香族基であり、より好ましくは2価の単環性芳香族基である。
【0047】
また、式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基で置換されていてもよい。
【0048】
式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9は、芳香環に少なくとも一つのイオン交換基を有する。該イオン交換基の具体例および好ましい例は前述のものと同様なものをあげることができる。これらのイオン交換基は、高分子電解質の主鎖、側鎖の何れか一方、または両方に導入されていてもよいが、主鎖の芳香環へ導入されているものが好ましい。該イオン交換基として、上述のように酸性のイオン交換基が好ましく、酸性のイオン交換基の中でも、スルホ基又はホスホン基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。
【0049】
また、式(14a)で表されるイオン交換基を有する構造単位の例の一つとして、下記式(14a−1)をあげることができる。
【0050】
【化5】

(上記式14a−1中、Ar110、Ar120、Ar130は、それぞれ独立に、2価の芳香族基を示し、該芳香環上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−,−COO−、−(CFu000−(u000は1〜10の整数である)、−C(CF−または直接結合を示す。Z000は、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO−、−SO−、−(CHl000−(l000は1〜10の整数である)または−C(CH−を示す。R110は、直接結合、−O(CHp000−、−O(CFp000−、−(CHp000−または−(CFp000−を示す(p000は、1〜12の整数を示す)。R120、R130は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子または炭化水素基を示す。ただし、上記式中に含まれる全てのR120およびR130のうち少なくとも1個は水素原子である。x100は、0〜4の整数。x200は、1〜5の整数。a000は、0〜1の整数。b000は、0〜3の整数を示す。)
【0051】
式(14a−1)におけるAr110、Ar120およびAr130は、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、式(11a)〜(14a)におけるAr〜Arと同様のものがあげられる。
【0052】
120、R130は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子または炭化水素基を示す。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ルビジウムがあげられ、炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[ 2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1] ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。なお、R120、R130は、水素原子であることが好ましい。
【0053】
上記式(14a−1)で表される構造単位は、さらに下記式(14a−2)で表されるで表されるものが好ましい。
【0054】
【化6】

(式(14a-2)中、Y001は−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(ここでのlは1〜10の整数である)、−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Z001は直接結合または、−(CH−(ここでのlは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−、−S−、−CO−、−SO−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Ar001は−SO3Hまたは−O(CHSOHまたは−O(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
【0055】
上記式(14a−2)で表されるイオン交換基を有する構造単位の具体例としては、後述の式(4a−13)〜(4a−20)をあげることができる
【0056】
一方、イオン交換基を有さない構造単位を示す式(11b)〜(14b)において、Ar11〜Ar19は、互いに独立な2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮環系芳香族基、ピロール、2H−ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる1種から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られるヘテロ芳香族基か、下記式(N−01)〜(N−07)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含むヘテロ芳香族基等があげられる。
【0057】
【化7】

【0058】
式(11b)〜(14b)におけるAr11〜Ar19としては、好ましくは、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮環系芳香族基であり、より好ましくは2価の単環性芳香族基である。
【0059】
また、Ar11〜Ar19は、フッ素原子、ホルミル基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基で置換されていてもよい。なお、ここでいう「置換基を有していてもよい」の置換基とはイオン交換基を包含するものではない。
【0060】
ここで、前述の2価の芳香族基(式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9及び式(11b)〜(14b)におけるAr11〜Ar19)の置換基を例示しておく。
【0061】
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルキル基が挙げられる。
【0062】
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、イコシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルコキシ基が挙げられる。
【0063】
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリール基が挙げられる。
【0064】
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリールオキシ
基が挙げられる。
【0065】
置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の炭素数2〜20のアシル基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が21以下であるアシル基が挙げられる。
【0066】
これら芳香環置換基のなかでも、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の芳香環を有するアシル基であると、ポリマーの耐熱性が良好となる傾向があり、より実用的な燃料電池用部材が得られるため好ましい。
【0067】
芳香環を有するアシル基を芳香環置換基として有する重合体を含む高分子電解質においては、該アシル基を有する2つの構造単位が隣接し、該2つの構造単位にあるアシル基同士が結合したり、アシル基同士が結合した後に転位反応を生じたりすることにより、構造が変化する場合がある。また、このような構造変化が生じたか否かは、例えば13C−核磁気共鳴スペクトルの測定により確認することができる。
【0068】
なお、本発明においての炭化水素系高分子電解質の好ましい要素の一つとして、当該高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してハロゲン原子が15質量%以下である高分子電解質であることがあげられる。かかる炭化水素系高分子電解質は、前記のフッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有するため、より好ましい、特に好適な炭化水素系高分子電解質とは実質的にハロゲン原子を含有していないものであり、このような炭化水素系高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりする恐れがない。
【0069】
該炭化水素系高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位、及び、イオン交換基を有さない構造単位を有し、イオン交換基を有する構造単位が密な相が膜厚方向に連続相を形成できれば、よりプロトン伝導性に優れる高分子電解質膜が得られるといった利点があるので好ましい。
【0070】
本発明において、好適な高分子電解質は、前記式(11a)〜(14a)で表される構造単位からなる、イオン交換基を有する構造単位と、前記式(11b)〜(14b)で表される構造単位からなる、イオン交換基を実質的に有しない構造単位とを有するものである。このような高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を実質的に有しない構造単位と、のそれぞれに対応するモノマーまたはオリゴマーを出発物質とする共重合体として得ることができる。このような共重合体において、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を実質的に有しない構造単位との好適な組み合わせとしては、下記の表1の<ア>〜<ス>に示す組み合わせをあげることができる。
【0071】
【表1】

【0072】
本発明において好適に用いられる高分子電解質の構造としては、更に好ましくは、<イ>、<ウ>、<エ>、<キ>、<ク>、<ケ>、<コ>、<シ>、又は<ス>であり、より更に好ましくは<キ>、<ク>、<シ>又は<ス>であり、特に好ましくは<キ>、<ク>、<シ>である。
【0073】
具体的に好適な共重合体をあげると、以下に示すイオン交換基を有する構造単位から選ばれる1種又は2種以上の構造単位と、以下に示すイオン交換基を有しない構造単位から選ばれる1種又は2種以上の構造単位と、からなる共重合体をあげることができる。なお、イオン交換基を有する繰り返し単位におけるイオン交換基は、好適なスルホ基により例示している。もちろん、スルホ基に代えて上述のイオン交換基のいずれかを採用することとしてもよい。
【0074】
また、これら構造単位同士は直接結合している形態でもよく、適当な原子又は原子団で連結している形態でもよい。ここでいう構造単位同士を結合する原子又は原子団の典型的なものとしては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらを組み合わせてなる2価の基をあげることができる。
【0075】
(イオン交換基を有する構造単位)
【化8】

【0076】
【化9】

【0077】
(イオン交換基を有しない構造単位)
【化10】

【0078】
【化11】

【0079】
【化12】

(4b−15)〜(4b−32)中、r000は0または1以上の整数を示す。r000は、好ましくは100以下であり、 より好ましくは1以上80以下である。
【0080】
前記例示の中でも、イオン交換基を有する構造単位としては、(4a−1)、(4a−2)、(4a−3)、(4a−4)、(4a−5)、(4a−6)、(4a−7)、(4a−8)、(4a−9)、(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましい。同様に、(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)がより好ましく、(4a−11)、(4a−12)が特に好ましい。
【0081】
このような構造単位を含むセグメントを有する高分子電解質、特に、このような構造単位を繰り返し単位として含むセグメント(イオン交換基を有するセグメント)を有する高分子電解質は、当該セグメントがポリアリーレン構造となるために化学的安定性も比較的良好となる傾向がある。
【0082】
また、イオン交換基を有しない構造単位としては、(4b−1)、(4b−2)、(4b−3)、(4b−4)、(4b−5)、(4b−6)、(4b−7)、(4b−8)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−11)、(4b−12)、(4b−13)、(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましい。同様に、(4b−2)、(4b−3)、(4b−10)、(4b−13)、(4b−14)がより好ましい。
【0083】
該炭化水素系高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有さない構造単位とを有するものであり、この2種の構造単位の共重合様式は、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合の何れでもよく、これらの共重合様式の組み合わせでもよい。好ましくは、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合であり、より好ましくは、ランダム共重合、ブロック共重合であり、特に好ましくはブロック共重合である。
【0084】
ブロック共重合体としては、主としてイオン交換基を有する構造単位からなるセグメント(イオン交換基を有するセグメント)及び、主としてイオン交換基を有さない構造単位からなるセグメント(イオン交換基を実質的に有しないセグメント)とを有するものが好ましい。このようなブロック共重合体では、イオン交換基を有するセグメントが密な相が膜厚方向に連続相を形成することで、よりプロトン伝導性に優れる高分子電解質膜が得られるといった利点がある。また、好適なイオン交換基を有するセグメントを構成する構造単位とイオン交換基を実質的に有しないセグメントを構成する構造単位の組み合わせをあげると、下記の表2の<ア>〜<ス>に示すセグメントの組み合わせをあげることができる。
【0085】
【表2】

【0086】
更に好ましくは、<イ>、<ウ>、<エ>、<キ>、<ク>、<ケ>、<コ>、<シ>、又は<ス>であり、より更に好ましくは<キ>、<ク>、<シ>又は<ス>であり、<キ>、<ク>、<シ>が特に好ましい。
【0087】
前記例示の中でも、イオン交換基を有するセグメントを構成する繰り返し単位に用いられる構造単位としては(4a−1)、(4a−2)、(4a−3)、(4a−4)、(4a−5)、(4a−6)、(4a−7)、(4a−8)、(4a−9)、(4a−10)、(4a−11)及び(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく、(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、(4a−11)又は(4a−12)が特に好ましい。
【0088】
本発明に係る芳香族系高分子電解質膜の好ましい形態の一つとして、イオン交換基を有するセグメントの主鎖が、実質的に複数の芳香環が直接連結してなるポリアリーレン構造であるポリアリーレン系ブロック共重合体であることがあげられる。そのようなセグメントの構造単位として、好ましくは前述の(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)、(4a−13)、(4a−14)、(4a−15)、(4a−16)、(4a−17)、(4a−18)、(4a−19)及び(4a−20)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく、(4a−10)、(4a−11)及び(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、(4a−11)又は(4a−12)が特に好ましい。
【0089】
このような構造単位を繰り返し単位を含むセグメント(イオン交換基を有するセグメント)を有する高分子電解質、特に、このような繰り返し単位からなるセグメントを有する高分子電解質は、優れたイオン伝導性を発現できるものであり、当該セグメントがポリアリーレン構造となるために化学的安定性も比較的良好となる傾向がある。
【0090】
ここで「ポリアリーレン構造」とは、主鎖を構成している芳香環同士が実質的に直接結合で結合されている形態であり、具体的には、該芳香環同士の結合の総数を100%としたとき、直接結合の割合が80%以上の構造であると好ましく、90%以上の構造であるとより好ましく、95%以上の構造であるとさらに好ましい。なお、直接結合以外の結合とは、芳香環同士が2価の原子又は2価の原子団で結合している形態である。
【0091】
イオン交換基を有しないセグメントを構成する繰り返し単位に用いられる構造単位としては、(4b−1)、(4b−2)、(4b−3)、(4b−4)、(4b−5)、(4b−6)、(4b−7)、(4b−8)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−11)、(4b−12)、(4b−13)及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく、(4b−2)、(4b−3)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−13)及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、(4b−2)、(4b−3)、(4b−13)及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がよりさらに好ましく、(4b−2)、(4b−3)及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が特に好ましい。
【0092】
また、イオン交換基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有しないセグメントとは、直接結合している形態でもよく、適当な原子又は原子団で連結している形態でもよい。ここでいうセグメント同士を結合する原子又は原子団の典型的なものとしては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらを組み合わせてなる2価の基をあげることができる。
【0093】
具体的に、好適なブロック共重合体をあげると、上記に示すイオン交換基を有する構造単位から選ばれる1種又は2種以上の構造単位を含むセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、上記に示すイオン交換基を有しない構造単位から選ばれる1種又は2種以上の構造単位を含むセグメント(イオン交換基を実質的に有しないセグメント)と、からなるブロック共重合体をあげることができる。
【0094】
ここで、「イオン交換基を有するセグメント」とは、イオン交換基が、該セグメントを構成する構造単位1個あたりで平均0.5個以上含まれているセグメントであることを意味し、構造単位1個あたりで平均1.0個以上含まれているとより好ましい。
【0095】
一方、「イオン交換基を実質的に有しないセグメント」とは、イオン交換基が、該セグメントを構成する構造単位1個あたりで平均0.5個未満であるセグメントであることを意味し、構造単位1個あたりで平均0.1個以下であるとより好ましく、平均0.05個以下であるとさらに好ましい。
【0096】
典型的には、イオン交換基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有しないセグメントとが、直接結合で結合されているか、適当な原子又は原子団で結合された形態のブロック共重合体である。
【0097】
上記式(11a)〜(14a)から選ばれる構造単位からなるセグメントの重合度は2以上であり、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。また、セグメントの重合度は1000以下が好ましく、500以下が好ましい。この重合度が2以上、好ましくは5以上であれば、燃料電池用の高分子電解質として、十分なプロトン伝導度を発現し、この重合度が1000以下であれば、製造がより容易である利点がある。
【0098】
また、式(11b)〜(14b)から選ばれる構造単位からなるセグメントの重合度は1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、セグメントの重合度は100以下が好ましく、90以下がより好ましく、80以下が更に好ましい。このような範囲内であれば、燃料電池用の高分子電解質として、十分な機械強度を有し、製造が容易であるので好ましい。
【0099】
また、本発明で用いられる炭化水素系高分子電解質の分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5000〜1000000であることが好ましく、10000〜800000であることがより好ましく、10000〜600000であることがより更に好ましく、中でも15000〜400000であることが特に好ましい。このような範囲の分子量の高分子電解質を用いることにより、後述の方法にて作成される高分子電解質膜は、その膜の形状を安定的に維持できる傾向がある。該数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0100】
(フッ素系高分子電解質)
また、本実施形態の高分子電解質膜に用いることができるフッ素系高分子電解質としては、通常知られたものを例示することができる。例えば、上述の炭化水素系高分子電解質が置換基として有する水素原子をフッ素原子と置換したものを用いることができる。具体的には、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマーが挙げられる。他にも、Nafion(デュポン社登録商標)、旭化成製のAciplex(旭化成登録商標)、旭硝子製のFlemion(旭硝子登録商標)などのフッ素系高分子電解質や、上述した特開2006−32157号公報に記載されているフッ素系高分子電解質なども用いることが可能である。
なお、フッ素系高分子電解質とは、当該高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してフッ素原子が15質量%を超える高分子電解質を意味する。
【0101】
<触媒層>
触媒層14aおよび触媒層14bは、燃料電池10における電極層として機能する層である。触媒層14aおよび触媒層14bには、電極触媒(以下、触媒と称することがある)とパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂等のプロトン伝導性を有する電解質とを含む。
【0102】
ここで、触媒層14aおよび触媒層14bに用いられる触媒としては、水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金又は白金系合金の微粒子を触媒として用いることが好ましい。白金又は白金系合金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられることもある。
【0103】
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
【0104】
<ガス拡散層>
ガス拡散層16aおよびガス拡散層16bは、触媒層14a、触媒層14bへの原料ガスの拡散を促進する機能を有する層である。このガス拡散層16a,ガス拡散層16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されることが好ましい。前記多孔質材料としては、原料ガスを触媒層14a、触媒層14bへ効率的に輸送することができるため、多孔質性のカーボン不織布、カーボンペーパーが好ましい。
【0105】
<セパレータ>
セパレータ18aおよびセパレータ18bは、電子伝導性を有する金属材料で形成された基材と、基材の表面に形成された耐酸性を有する導電性金属酸化物から成る薄膜層と、の積層構造を有している。薄膜層は、少なくともセパレータ18aおよびセパレータ18bにおける触媒層側の面に形成されている。詳しくは、セパレータの触媒層側の面のうち、ガス拡散層と面する部分は、燃料電池の運転状況下において強酸性条件となるため、少なくとも当該ガス拡散層と面する部分には薄膜層が形成されている。セパレータ18aの触媒層14a側、セパレータ18bの触媒層14b側に、燃料ガス等の流路となる溝が形成されている場合には当該溝の表面を覆って薄膜層が形成されている。もちろん、薄膜層は、触媒層側の面の全面に形成されていてもよく、また、基材の両面に形成されていてもよい。
【0106】
このようなセパレータ18aおよびセパレータ18bにおいては、基材の表面に形成された薄膜層が耐酸性を有するため、燃料電池の運転状況下においてもセパレータが溶解せず、セパレータから金属イオンが溶出することがない。
【0107】
またセパレータは、触媒層と接触して電気(電子)を導通させる機能を有する必要があるが、本実施形態のセパレータ18aおよびセパレータ18bにおいては、薄膜層が導電性金属酸化物で形成されるため、セパレータに求められる導電性を損なうこともない。
【0108】
基材の形成材料としては、金属単体または合金が用いられ、例えばチタン、ステンレスが挙げられる。加工が容易であり、酸性条件下でも腐食しにくいことから、基材の材料としてはステンレスが好ましい。
【0109】
薄膜層の形成材料としては、導電性を有し、かつ耐酸腐食性を有している金属酸化物(導電性金属酸化物)であれば、種々の材料を用いることができる。中でも、スズ、タンタル、ニオブ、チタン、タングステン、ジルコニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む金属酸化物が好ましく、スズを含む金属酸化物がさらに好ましい。スズを含む金属酸化物としては、亜鉛スズ酸化物(Zinc Tin Oxide、ZTO)を好適に用いることができる。
【0110】
薄膜層の形成材料として亜鉛スズ酸化物を用いる場合、化学的な耐久性の面からはスズをより多く含有することが好ましく、導電性の観点からは亜鉛が所定量含有されることが好ましい。形成材料である亜鉛スズ酸化物においては、スズ(Sn)と亜鉛(Zn)の和に対するSnのモル比(Sn/(Sn+Zn))が0.7以上0.9以下の範囲であることが好ましい。上記モル比が0.7未満となると、薄膜層が導電性を備えにくく、表面に薄膜層を形成したセパレータ全体の導電性が得られにくくなる。また、上記モル比が0.9より大きくなると、セパレータの耐酸性が低下するため、金属イオンの溶出を抑制しにくくなる。
【0111】
また、亜鉛スズ酸化物全体(ZTO)に対するスズおよび亜鉛の和の比((Sn+Zn)/ZTO)は、0.7〜0.8の範囲であることが好ましい。
【0112】
さらに、薄膜層を構成する亜鉛スズ酸化物全体に対するスズの比(Sn/ZTO)は、0.6〜0.8の範囲であることが好ましい。スズの濃度は、薄膜層の層厚方向に均一であってもよく、層厚方向に変化することとしてもよい。
【0113】
また、薄膜層は、基材の表面に1μm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。
【0114】
薄膜層は、上述の導電性金属酸化物を形成材料として、基材の表面に物理蒸着法、化学蒸着法を用いて成膜することで形成することができる。物理蒸着法ではスパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法では、化学気相成長法などが挙げられる。
【0115】
他にも、上述の導電性金属酸化物の分散液を基材表面に塗工することで作製される。分散液に分散している導電性金属酸化物の粒径は、例えば10nm以上1000nm以下である。溶液に用いられる溶媒、または分散液に用いられる分散媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、が挙げられる。
【0116】
このような燃料電池10は、固体高分子型燃料電池の最小単位であるが、単一の燃料電池10(セル)の出力は限られている。そこで、必要な出力が得られるように複数の燃料電池10を直列に接続して、燃料電池スタックとして使用することが好ましい。セパレータ18aおよびセパレータ18bは、複数の燃料電池セルを集積した燃料電池スタックにおいて、複数の燃料電池セル同士を分割する機能を有する。
【0117】
このような燃料電池10は、燃料が水素である場合は固体高分子型燃料電池として、また、燃料がメタノールである場合は直接メタノール型燃料電池として動作させることができる。
【0118】
以上のような構成のセパレータによれば、金属イオンの溶出を抑制することができる。また、以上のような構成の燃料電池は、上述のセパレータを有することにより、長期安定性に優れたものとなる。
【実施例】
【0119】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0120】
(触媒インクの作製)
市販の5重量%ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、溶媒:水と低級アルコールとの混合物)6.30gに、白金が担持された白金担持カーボン(エヌ・イー ケムキャット(株)社製、SA50BK、白金含有量50重量%)1.00gを投入し、さらにエタノール43.45gと水6.43gとを加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクを得た。
【0121】
(膜-電極接合体の作製)
市販のNafion XL(Du Pont社製、25μm)の片面の中央部における5cm×5cmの領域に、スプレー法にて上述の触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は75℃に設定した。同様にして重ね塗りをした後、溶媒を除去してアノード触媒層を形成させた。アノード触媒層として6.6mgの固形分(白金目付け:0.1mg/cm)が塗布された。続いて、もう一方の面に同様に触媒インクを塗布して、カソード触媒層を形成させて、MEAを得た。カソード触媒層として13.2mgの固形分(白金目付け:0.2mg/cm)が塗布された。
【0122】
(金属セパレータの作製)
ステンレス鋼としてSUS316Lを用いた厚み5mmの金属セパレータを作製した。ガス流路形状、電極面積はJARIセル用セパレータと同様にした。
【0123】
(金属セパレータへの亜鉛-スズ酸化物の蒸着)
酸化亜鉛粉末(ZnO、株式会社高純度化学製、純度99.99%)および酸化錫粉末(SnO、株式会社高純度化学製、純度99.99%)を、Zn:Snが20:80となるように秤量し、直径5mmのジルコニア製ボールを用いて乾式ボールミルにより混合した。得られた混合粉末をアルミナ製ルツボに入れて空気雰囲気中において900℃で5時間保持して仮焼した後、さらに直径5mmのジルコニア製ボールを用いて乾式ボールミルにより粉砕した。得られた粉末を、金型を用いて一軸プレスにより500kgf/cmの圧力で円板状に成形した。さらに成形体を冷間静水圧プレス(CIP)を用いて2000kgf/cmの圧力で加圧した後、酸素雰囲気中において常圧で1200℃で5時間保持して焼成して焼結体を得た。
【0124】
該焼結体を破砕して2〜5mmのイオンプレーティング用ターゲットとして用い、圧力勾配型イオンプレーティング装置内に設置し、さらに支持体として金属セパレータを用い、該金属セパレータを圧力勾配型イオンプレーティング装置内に設置した。アルゴン−酸素混合ガス(酸素濃度6.2体積%)雰囲気中で、圧力0.06Pa、金属セパレータ温度200℃、電力5kWの条件で製膜を行い、金属セパレータ上に形成されたスズ―亜鉛酸化物薄膜を得た。この亜鉛―スズ酸化物の厚みは、触針式膜厚計(ULVAC社製DEKTAK8)で測定したところ、約100nmであった。
【0125】
(セルの作製)
市販のJARI標準セルを用いて上記で得られたMEAの両外側に、ガス拡散層としてカーボンペーパー(Ballard社製、GDS2120)と、ガス通路用の溝を切削加工した前記亜鉛―スズ酸化物薄膜を蒸着した金属セパレータを配し、さらにその外側に集電体及びエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効電極面積25cmの燃料電池セルを組み立てた。
【0126】
(金属セパレータの腐食試験)
金属セパレータの腐食試験は、開回路保持試験で行う。試験条件は、燃料電池セルの温度を100℃、水素極ガス入口露点を90℃、空気極ガス入口露点を90℃、水素ガス流量を50mL/min、空気流量を100mL/min、水素極ガス出口背圧を0.1MPaG、空気極ガス出口背圧を0.1MPaGである。
【0127】
上記開回路保持試験後の金属セパレータ表面の外観を目視で確認しても、腐食は確認されない。
【0128】
(比較例)
亜鉛―スズ酸化物薄膜を蒸着してない金属セパレータを用いること以外は、実施例と同様にして、金属セパレータの腐食試験を行うと、目視により、試験後の金属セパレータ表面に腐食の進行が確認される。
【符号の説明】
【0129】
10…燃料電池、12…高分子電解質膜、13a,13b…金属層、14a…アノード触媒層、14b…カソード触媒層、16a,16b…ガス拡散層、18a,18b…セパレータ、20…膜電極接合体(MEA)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料で形成された基材と、
前記基材の表面に形成された導電性金属酸化物からなる薄膜層と、を有するセパレータ。
【請求項2】
前記導電性金属酸化物が、スズ、タンタル、ニオブ、チタン、タングステン、ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の元素を含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記導電性金属酸化物が、スズを含む請求項2に記載のセパレータ。
【請求項4】
高分子電解質膜と該高分子電解質膜を挟持する触媒層とを有する膜電極接合体と、
前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、を有する燃料電池であって、
前記一対のセパレータの少なくとも一方が、請求項1から3のいずれか1項のセパレータであり、前記薄膜層が前記膜電極接合体の側に配置されていることを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【公開番号】特開2013−77436(P2013−77436A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216467(P2011−216467)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】