説明

セメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法

【課題】防水及び漏水防止を必要とする構造物に塗布することにより構造物に水が浸透されることを防ぐ防水機能はもとより、優れた耐化学性、耐候性、耐亀裂性、耐衝撃性、親水性及び高い引っ張り力を有するセメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法の提供。
【解決手段】本発明のセメント入りポリマー系塗膜防水剤は、アクリルエマルジョン65〜75重量%と、マイクロセメント12〜20重量%と、生石灰10〜18重量%と、流動化剤0.02〜0.2重量%と、消泡剤0.02〜0.2重量%と、膨張剤0.02〜0.2重量%と、を含む。また、その製造方法は、第1の円形タンクに液状のアクリルエマルジョンを65〜75重量%用意する第1のステップと、第2の円形タンクに、粉末状態のマイクロセメント12〜20重量%、生石灰10〜18重量%、流動化剤0.02〜0.2重量%、消泡剤0.02〜0.2重量%及び膨張剤0.02〜0.2重量%を用意する第2のステップと、前記第2の円形タンクに用意された中身を前記第1の円形タンクに注いで電動ミキサーにより希釈させる第3のステップと、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法に係り、さらに詳しくは、防水及び漏水防止を必要とする構造物に塗布することにより構造物に水が浸透されることを防ぐ防水機能はもとより、優れた耐化学性、耐候性、耐亀裂性、耐衝撃性、親水性及び高い引っ張り力を有するセメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によるセメント入りポリマー系塗膜防水剤は、建築物の屋上や駐車場及び地下内外壁、橋、ダムなどのコンクリート構造物の露出される個所に防水をするために使用可能であり、これらに限定されるものではなく、種々の分野の鉄製構造物、木製構造物、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)構造物、スタイロフォーム(styrofoam)、タイル及び石などにも同じ目的で適用可能である。
【0003】
以下、コンクリート構造物に適用される場合を例にとって説明する。
【0004】
一般に、コンクリートは防水力が弱いため、ほとんどの建築物への水分の浸透及びそこからの漏水を防ぐための防水剤を用いるが、コンクリート施工面または使用材料によって、アスファルト防水、シート防水、モルタル防水、封止剤防水、塗膜防水に分類され、その主な成分は、アスファルト、塩化カルシウム、脂肪酸石鹸、合成ゴム、天然ゴム、酢酸ビニール、塩化ビニール、アクリル酸エステルなどをセメント中に混入して化学的変化による水密性を高める方法と、塗料性防水剤を用いてコンクリートに水分が浸透することを防ぐ方法とに用いられており、機能的な役割として、防水効果を高めるとともにコンクリートの他の性質に悪影響を与えないことと、気温の変化及び振動によって発生し得る建築物の挙動若しくは微細亀裂を防ぐこととが求められる。
【0005】
また、液状の塗膜には、加熱型、水硬化性、2液硬化型の化学物質が添加された材料を現場で塗布または混合して打設する方式のものがある。
【0006】
前記材料(主として、加熱型アスファルト、常温型アスファルト、クロロフレン、ポリウレタンなど)は養成と同時に弾性挙動をして滑らかな表面を形成する。このような材料は弾性に優れていることから、亀裂部位またはジョイント部位に施工されて保護する機能として用いられる場合もある。
【0007】
さらに、使用条件及び露出条件下での特定の材料やシステムの伸び能は、材料の伸び率、形成される塗膜の厚さ、亀裂及び隙間の両側の未付着部分間の塗膜材の長さなどによって種々に現れる。
【0008】
前記防水皮膜は、高分子系有機質単独状であって、ウレタンとポリイソシアネートとの架橋結合により不特殊性の所定の厚さの皮膜を形成する方法、無機質系と有機質系の混合状を有するセメント入りポリマー系塗膜防水剤であって、無機質系はセメントを主成分とし、有機質系は各種の乳化剤を用いて油相の液状を水中(O/W)において、または、水を油相の液状(W/O)において乳化させた水溶性化状のエマルジョンを混合して残留水分によるセメントの水和反応によりセメント粒子の固まりと球状のポリマーとが連続皮膜を形成して強固な不特殊性皮膜を形成する方法、さらに、アスファルト系(ゴム系アスファルト、乳化アスファルト)の液状または固体状を現場で前処理して表面に塗布する方法などにより外部の水分及び各種の物理的作用から構造体皮膜を保護する役割を果たす。
【0009】
上述したように、コンクリート構造物または構造体を保護するために種々の塗膜防水剤が開発されて用いられているのが現状であり、コンクリートとの接着力が強く、防水性及び耐候性に優れている他、中性化学反応が起こらないことから材料分離の現象がないコンクリートと同じアルカリ性を有するポリマーセメント系の無機質塗膜防水剤がある。
【0010】
前記ポリマーセメント系の無機質塗膜防水剤は塗料性防水剤に近いが、セメントが添加されるため化学反応が起きて水密性を増大させた防水剤として分類されることもある。
【0011】
かようなポリマーセメント系無機質塗膜防水剤は、粉体成分であるセメント、硅砂、セラミック鉱物などと、混合剤であるセメント混和性アクリル系のエマルジョンポリマーなどから構成されている。上記の材料を用いてコンクリート建築物に防水工事をするためには施工現場において組成物を製造することを余儀なくされるが、材料の配合率が一定ではないことはもとより、攪拌及び配合が不足して不均一な組成物になる虞があるという不都合があった。
【0012】
このような不都合を解消するための解決方案として提示された下記の特許文献1は、ポルトランドセメントまたは高炉セメントが10〜30重量部、固形分の含量が40〜50重量部である水分散性アクリル系エマルジョンが20〜50重量部、160メッシュ以下のシリカ質硅砂が30〜60重量部、硬化遅延剤であるケイフッ化ナトリウム、オキシカルボン酸及びその塩、グルコ酸ナトリウム、スクロース、多糖類、糖アルコールが0.5〜1.5重量部、水が1〜10重量部、調色補助剤及び増粘剤、防腐剤、耐熱老化防止剤、耐オゾン防止剤、紫外線安定剤が0.5〜5重量部の割合にて構成されているが、このような先行技術の欠点は、水和反応を抑える種々の硬化遅延剤を用いる点と、結果的には混和剤(エマルジョンポリマー)と粉体(無機質粉末)を現場において配合及び攪拌する点では同一であるため、二重作業による人件費の上昇と材料の無駄使いに起因してコスト高が招かれるという不都合があった。
【0013】
また、下記の特許文献2には、水35〜55重量部を40〜50℃に加熱し、ここに非イオン性界面活性剤5〜10重量部とカルシウムステアレート40〜60重量部を添加して乳化分散させ、180〜200重量部のアクリルエマルジョン樹脂共重合体と混合して製造したエマルジョンA剤と、白色ポルトランドセメント100重量部に7号硅砂50〜70重量部、クロムオキシド5〜9重量部及びポリオキシエチレンラウリルエーテル0.1〜0.5重量部を混合して製造したB剤とを1:0.25重量比になるように混合することが提示されているが、このような先行技術は、エマルジョンA剤をユーザーが自ら製造することが困難であるだけではなく、結果的には現場において配合及び攪拌する点では上記の先行技術と同様である。
【0014】
さらに、例えば、下記の特許文献3は、シリコンエマルジョンを主成分とする液状の結合体と、セメントと骨材が含まれている粉体と、から構成され、前記シリコンエマルジョンの含量は活性含量にてセメント重量に対して4〜17重量%であり、前記セメントと骨材との混合割合は重量比にて1:0.5〜1:5であり、前記セメントのマトリックス構造を安定化させるために補助結合剤がセメントに対して6〜16重量%の範囲内において添加されることが提案されている。
【0015】
このため、上記の先行技術の内容によれば、アクリルまたはシリコンエマルジョンを混和剤として用いており、セメント系の粉体(無機質粉末)と各種の水和反応及び撥水性、耐化学性、引っ張り強度などの性能を向上させるために各種の添加剤を用い、前記製品を施工現場において配合及び攪拌しているという点では同様であるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】大韓民国登録実用新案第20−0175730号
【特許文献2】大韓民国特許登録第10−0406212号
【特許文献3】大韓民国特許登録第10−0661210号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記の先行技術の内容を基に案出されたものであり、その目的は、より簡便に液状の材料と粉末状の他の材料とを別途の円形タンクに用意していて、使用時に両円形タンクの中身を混合さえすれば済むことから、誰でも配合及び希釈して使用できるようにユーザーの使い勝手を向上させたセメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法を提供するところにある。
【0018】
また、本発明の他の目的は、防水及び漏水防止が求められる構造物の施工現場においてアクリルエマルジョンとセメント及びその他の材料を混合して構造物に塗布することにより、構造物に水が浸透することを防ぐ防水機能はもとより、優れた耐化学性、耐候性、耐亀裂性、耐衝撃性、親水性及び高い引っ張り力を有するセメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法を提供するところにある。
【0019】
さらに、本発明のさらに他の目的は、韓国産業標準(KSF4919−「セメント入りポリマー系塗膜防水剤」)において規定する試験項目に適合させ、特に、引っ張り強度及び伸び率を大幅に改善してコンクリート構造物の施工面から離脱しない優れた性能を有するセメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法を提供するところにある。
【0020】
さらに、本発明のさらに他の目的は、セメント系の無機質粉末を用いることから、コンクリートと一緒に収縮及び膨張が行われ、コンクリートの水分を外部に排出し易いことからコンクリートの腐食を防ぐことができて建築物の寿命を延ばすことのできるセメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するための本発明の特徴によれば、アクリルエマルジョン65〜75重量%と、マイクロセメント12〜20重量%と、生石灰10〜18重量%と、流動化剤0.02〜0.2重量%と、消泡剤0.02〜0.2重量%と、膨張剤0.02〜0.2重量%と、を含むことを特徴とするセメント入りポリマー系塗膜防水剤を提供する。
【0022】
このとき、本発明の付加的な特徴によれば、前記アクリルエマルジョン70重量%と、前記マイクロセメント16重量%と、前記生石灰13.8重量%と、
前記流動化剤0.06重量%と、前記消泡剤0.1重量%と、前記膨張剤0.04重量%と、を含むことが好ましい。
【0023】
一方、上記の目的を達成するための本発明の他の特徴によれば、第1の円形タンクに液状のアクリルエマルジョンを65〜75重量%用意する第1のステップと、第2の円形タンクに、粉末状態のマイクロセメント12〜20重量%、生石灰10〜18重量%、流動化剤0.02〜0.2重量%、消泡剤0.02〜0.2重量%及び膨張剤0.02〜0.2重量%を用意する第2のステップと、前記第2の円形タンクに用意された中身を前記第1の円形タンクに注いで電動ミキサーにより希釈させる第3のステップと、を含むことを特徴とするセメント入りポリマー系塗膜防水剤の製造方法を提供する。
【0024】
このとき、本発明の付加的な特徴によれば、前記第1のステップにおいて用意されるアクリルエマルジョンは70重量%であり、前記第2のステップにおいて用意されるマイクロセメントは16重量%であり、生石灰は13.8重量%であり、流動化剤は0.06重量%であり、消泡剤は0.1重量%であり、膨張剤は0.04重量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は施工現場において側剤で使用できるように事前に計量して小包装した粉末状の中身をアクリルエマルジョンに添加して希釈さえすれば済むものであり、配合割合の加減により物性の変化または防水剤の機能を失うという問題点を有さないことから、初心者でも使い易いというメリットがあり、このメリットにより、作業現場の環境や熟練者によらずに一様で且つ優れた品質の塗膜防水剤を希釈して使用することができるという効果がある。
【0026】
また、前記本発明のセメント入りポリマー系塗膜防水剤は、韓国産業標準において定める引っ張り強度及び伸び率の規格よりも遥かに優れた引っ張り強度と伸び率を有することから、コンクリート構造物の挙動にも関わらず完璧に水が浸透することを防ぐ防水機能はもとより、優れた耐化学性、耐候性、耐亀裂性、耐衝撃性、親水性及び高い引っ張り力を有するという効果がある。
【0027】
さらに、前記本発明のセメント入りポリマー系塗膜防水剤は、セメント系の無機質粉末を用いることから、コンクリートと一緒に収縮及び膨張が行われ、コンクリートの水分を外部に排出し易いことからコンクリートの腐食を防ぐことができて建築物の寿命を延ばすことができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態に基づき、本発明のセメント入りポリマー系塗膜防水剤及びその製造方法について詳述する。
【0029】
しかしながら、本発明の明細書において提示される実験や実施形態によって本発明の範囲が限定されることはなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と後述する特許請求の範囲の均等範囲内において種々の修正及び変形が可能であるということが理解できるであろう。
【0030】
本発明のセメント入りポリマー系塗膜防水剤は、アクリルエマルジョン65〜75重量%、マイクロセメント12〜20重量%、生石灰10〜18重量%、流動化剤0.02〜0.2重量%、消泡剤0.02〜0.2重量%及び膨張剤0.02〜0.2重量%を含む。
【0031】
上記のセメント入りポリマー系塗膜防水剤は、第1の円形タンクに液状のアクリルエマルジョンを65〜75重量%用意する第1のステップと、第2の円形タンクに粉末状のマイクロセメント12〜20重量%、生石灰10〜18重量%、流動化剤0.02〜0.2重量%、消泡剤0.02〜0.2重量%及び膨張剤0.02〜0.2重量%を用意する第2のステップと、前記第2の円形タンクに用意された中身を前記第1の円形タンクに注いで電動高速ミキサーにより3分〜5分間希釈する第3のステップと、を含む方法によって製造される。
【0032】
前記アクリルエマルジョンは水と界面活性剤及びアクリル樹脂共重合体などを混ぜ合わせて攪拌した通常のものを用い、このようなアクリルエマルジョンは優れた耐摩耗性、耐候性、耐亀裂性、耐衝撃性及び強度などを有することが知られている。
【0033】
また、前記マイクロセメントは水密性と浸透性を極大化させ、耐久性及び強度を高めるために粉末度8000cm/g以上のマイクロセメント(別名:マイセム8000)を用いることが好ましい。もちろん、性能が一部低下することを認めると、粉末度3000cm/gのポルトランドセメントまたは高炉セメントなどが使用でき、粉末度6000cm/gのマイクロセメント(別名:マイセム6000)も使用できる。
【0034】
さらに、前記生石灰は円滑な水和反応のために用いる。
【0035】
さらに、前記流動化剤はコンクリートを柔らかくするための混合剤であって、セメント粒子の分散のために用いるが、粒子の間に潤滑膜を形成して各成分間の相互付着力を低減させて配合や硬化の行われたコンクリートの品質を変えることなく流動性を大幅に改善する。
【0036】
本出願人は、一般的に知られているCMC−PC、PeraminSMF30、Peramin Conpac149Sなどをはじめとする種々の流動化剤が使用可能であることを実験により確認した。上記において提示した種類の流動化剤だけではなく、他の流動化剤も使用可能である。この種の流動化剤の使用により、化学的に安定化されて高強度のコンクリートの製造が容易になり、スランプロスがほとんどなくなるという効果がある。
【0037】
さらに、前記消泡剤は、泡の発生を抑えるために用いるが、空気量を調節するとともに、気泡を減らす機能を行う。これにより、品質の安定性を確保することが可能になり、強度を高めるという効果がある。
【0038】
本出願人は、一般的に知られているAgitan295、AgitanP803、AgitanP833などをはじめとする種々の消泡剤が使用可能であるということを実験により確認した。もちろん、上記において提示した種類の消泡剤だけではなく、他の消泡剤も使用可能である。
【0039】
さらに、前記膨張剤は、泡を立てて膨らませる物質であり、セメントの膨張のために用いる。本発明においては、一般的に知られている種々の膨張剤が使用可能である。
【0040】
[実施例]
本発明の目的を達成するための実施例について説明すると、下記の通りである。
【0041】
先ず、市販の液状のアクリルエマルジョンを用意する。
【0042】
また、相互化学反応をしないマイクロセメント(マイセム8000)と生石灰を予め小包装して用意し、前記それぞれの添加剤(流動化剤、消泡剤、膨張剤)も一緒に小包装して用意する。
【0043】
前記の各材料の重さを計って、アクリルエマルジョン70重量%、マイクロセメント16重量%、生石灰13.8重量%、流動化剤0.06重量%、消泡剤0.1重量%、膨張剤0.04重量%になるように用意した後、前記液状のアクリルエマルジョンは第1の円形タンクに、残りの粉末状のマイクロセメント、生石灰、流動化剤、消泡剤及び膨張剤は第2の円形タンクに入れて蓋をして保管する。このとき、それぞれの円形タンクは密封されることが好ましく、第1の円形タンクが第2の円形タンクよりも2倍以上の体積を有することが好ましい。ここで、円形タンクを用いる理由は、電動ミキサーを用いて希釈するに際して、円滑な希釈を行うためである。
【0044】
さらに、前記消泡剤及び膨張剤が粉末状ではなく、液状である場合には、これを第1の円形タンクに入れて保管する必要がある。
【0045】
このように中身が入れられて用意された第1及び第2の円形タンクを施工しようとする現場に運び、施工しようとするコンクリート構造物の施工面の異物を高圧噴射機などを用いて除去する。
【0046】
次いで、前記第2の円形タンクに入れられている中身を前記第1の円形タンクに注いだ後、RPM600以上の電動ミキサーにより3分〜5分間希釈して団塊状の粉体が形成されないようにしてセメント入りポリマー系塗膜防水剤を用意する。
【0047】
上記のセメント入りポリマー系塗膜防水剤は、コンクリート構造物の施工面に刷毛、ローラーまたはノズルなどの装備を用いて約2〜4mmの厚さに塗布し、常温下で3〜4時間乾燥することにより、防水工事を終えることができる。
【0048】
また、必要に応じて、乾燥された塗膜防水剤の表面にさらに上塗りを行ってもよい。
【0049】
一方、本発明の出願人は、上記のセメント入りポリマー系塗膜防水剤を実施例の方法と同様にして製造してコンクリートの表面に塗布し、常温下で乾燥し、その物性を測定した。このとき、測定は、結果の客観性のためにソウル産業大学建設技術研究所に依頼した。
【0050】
その結果の品質試験成績書を下記に示す。
【0051】





























ソウル産業大学建設技術研究所
ソウル特別市蘆原区孔陵2洞172番地
TEL:(02)970-6562 FAX:(02)975-0768
品質試験成績書
発給番号:第0907−37号
依頼者:オンヌリ放水 ハ・テフン
住所: 京畿道南楊州市芝錦洞475−1
受付日:2009年7月6日 試験(検査)完了日:2009年7月17日
試料名:セメント入りポリマー系塗膜防水剤(K−1)
試験結果

担当者:オ・サングン(02-977-6690)
*用途:品質管理用
*本研究所は建設技術管理法施行令第48条第8項の国公立試験機関(品質検査専門機関)である。
*備考:この試験成績書は用途以外の使用を禁じ、宣伝、訴訟及びその他の法的要件として使用することができない。
上記内容は依頼者が提供した試料の試験(結果)であり、試料名は依頼者が提示したものである。

2009年7月20日
ソウル産業大学建設技術研究所長
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【0052】
上記の本発明の測定結果値は、KSF4919に基づくものである。
【0053】
前記表1における結果値から明らかなように、付着強度の面においては標準及び浸水後に0.9及び0.8の結果値が得られて「0.8以上」という品質基準を満たしている。なお、耐ヘアクラック性においても「異常なし」という結果値が得られ、且つ、吸水量の面においても0.4の結果値が得られて「2.0以下」という品質基準を満たしている。
【0054】
特に、引っ張り性能の面においては引っ張り強度1.4の結果値が得られて「1.0以上」という品質基準を満たしており、伸び率323の結果値が得られて「50以上」という品質基準を満たしている。要するに、引っ張り強度及び伸び率が品質基準よりも遥かに優れていることが分かる。
【0055】
耐透水性の面においては「透水しないこと」という品質基準を満たしており、湿気透過性の面においては0.73の結果値が得られて「4以下」という品質基準を満たしている。また、耐亀裂性の面においては、零下10℃及び零上20℃における測定の結果、異常なしの結果値が得られて「破談しないこと」という品質基準を満たしており、耐アルカリ性の面においても異常なしの結果値が得られて「異常がないこと」という品質基準を満たしている。
【0056】
したがって、本発明は、コンクリート構造物の亀裂及び挙動にも拘わらず破談せず、完璧に水が浸透することを防ぐ防水機能はもとより、優れた耐化学性、耐候性、耐亀裂性、耐衝撃性、親水性及び高い引っ張り力を有するセメント入りポリマー系ポリマー系塗膜防水剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリルエマルジョン65〜75重量%と、
マイクロセメント12〜20重量%と、
生石灰10〜18重量%と、
流動化剤0.02〜0.2重量%と、
消泡剤0.02〜0.2重量%と、
膨張剤0.02〜0.2重量%と、
を含むことを特徴とするセメント入りポリマー系塗膜防水剤。
【請求項2】
前記アクリルエマルジョン70重量%と、
前記マイクロセメント16重量%と、
前記生石灰13.8重量%と、
前記流動化剤0.06重量%と、
前記消泡剤0.1重量%と、
前記膨張剤0.04重量%と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のセメント入りポリマー系塗膜防水剤。
【請求項3】
第1の円形タンクに液状のアクリルエマルジョンを65〜75重量%用意する第1のステップと、
第2の円形タンクに、粉末状態のマイクロセメント12〜20重量%、生石灰10〜18重量%、流動化剤0.02〜0.2重量%、消泡剤0.02〜0.2重量%及び膨張剤0.02〜0.2重量%を用意する第2のステップと、
前記第2の円形タンクに用意された中身を前記第1の円形タンクに注いで電動ミキサーにより希釈させる第3のステップと、
を含むことを特徴とするセメント入りポリマー系塗膜防水剤の製造方法。
【請求項4】
前記第1のステップにおいて用意されるアクリルエマルジョンは70重量%であり、
前記第2のステップにおいて用意されるマイクロセメントは16重量%であり、生石灰は13.8重量%であり、流動化剤は0.06重量%であり、消泡剤は0.1重量%であり、膨張剤は0.04重量%であることを特徴とする請求項3に記載のセメント入りポリマー系塗膜防水剤の製造方法。

【公表番号】特表2013−520381(P2013−520381A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553822(P2012−553822)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001162
【国際公開番号】WO2011/105734
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512215347)
【Fターム(参考)】