説明

セラミックス積層体の製造方法

【課題】焼成後の誘電体特性を向上させたセラミックス積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミナおよびホウ珪酸ガラスを主成分とするセラミックス・グリーンシートを950℃以下の低温で焼成し、セラミックスLTCC回路基板の製造工程において、このグリーンシート33に対して、排・吸気口37を有する減圧容器31内において減圧下に保持して、焼成後に誘電特性を発現する液体材料32を含浸させる。このようにすることで、焼成後の基板の誘電特性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミックス積層体の製造方法に関し、特に低温で焼成して得られる低温焼結型同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)多層回路基板に用いるセラミックス積層体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時における電子機器の小型化、高機能化の要求に伴い、回路基板の多層化とともに基板内に誘導性、容量性等を有する素子を内蔵することが行われている。LTCC回路基板に使用されているセラミックスの誘電特性を向上させる場合、出発粉体セラミックス材料の変更、原材料の配合比の変更等、出発原料そのものを変更することが主に行われている。この方法をとった場合、比誘電率の高い材料を選択することで、容易に誘電特性を向上させることができる。
【0003】
一方、原材料を変更せずに基板特性を改質させる場合、例えば、特許文献1には、セラミックス改質という意味で焼成後のセラミックスに対して表面改質を目的として、機能性液体(液状セラミックコート剤)を減圧下で微細孔にまで被覆させる方法が開示されている。また、例えば、特許文献2に係る積層電子部品は、グリーンシートに対して、粉砕された機能性粉体(セラミック誘電体粒子)を用いて粘性の高い液体を調整し、表面改質を行った部品に関するものである。これらは、ディプコーティングやスピンコーティング等の一般的な手法により、液状物質を被覆させている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−33327号公報
【特許文献2】特開2000−216041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
誘電特性の向上のために材料変更および原材料配合比の変更を伴う場合、従来は、材料変更や混合比の変更以外に混合条件の変更、熱処理条件の変更を伴っていたが、これらの手法では、焼成時に収縮率変化を引き起こして、配線や電極を損なったり、層間の密着性が悪化して剥離が起ったりする等の間題がある。また、材料変更、混合比の変更を行った場合、LTCC基板の焼成に最適な温度条件が変化するため、同時焼成を行う基板配線や電極の特性、長期信頼性等、特性全体に影響を及ぼすことになる。
【0006】
他方、原材料を変更せずに基板特性を改質させる場合は、グリーンシートの表面特性を改質するためにシートの表面に液状材料を塗布する際、グリーンシート構成樹脂を侵さずに、気孔内部にまで液状材料を充填させる必要性はなく、また、液状材料成分も数ミクロン程度の大きさの粒子を主成分とする泥状の液体の場合もあるため、あくまでも表面特性のみの改質に留まっていた(例えば、特許文献1)。このような理由から、従来の方法では、大きな成分粒子の液状材料を、グリーンシート内部を通る開気孔に万遍なく充填させることは困難であり、焼成後における基板全体の特性改質にまでは至らないという問題がある。
【0007】
また、単に単独で焼成した場合において、焼成後に誘電性を保有するチタン酸バリウム(BaTiO3)のような誘電体材料、あるいはその前駆体をLTCC材料粉末に多量に加えて混合した場合、焼成後の焼結体をXRD分析しても、BaTiO3の単独ピークは得られず、誘電特性も添加量から期待されるほど向上しなかった。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、LTCCグリーンシート積層体からなる基板全体の誘電特性を向上できるセラミックス積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として、例えば、以下の構成を備える。すなわち、本発明に係るセラミックス積層体の製造方法は、所定の金属元素を含んでなる液体材料をセラミックス・グリーンシートに含浸する含浸処理ステップと、上記含浸処理後のセラミックス・グリーンシートを積層するステップと、上記積層したセラミックス・グリーンシートを圧着・成形後、焼成するステップとを備え、上記液体材料が、上記焼成により固有の機能として誘電特性を発現することを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決する他の手段として、例えば、以下の構成を備える。すなわち、本発明に係るセラミックス積層体の製造方法は、所定の金属元素を含んでなる液体材料をセラミックス・グリーンシートに含浸する含浸処理ステップと、少なくとも1層以上の上記含浸処理後のセラミックス・グリーンシートと、上記含浸処理を施していないセラミックス・グリーンシートとを積層するステップと、上記積層したセラミックス・グリーンシートを圧着・成形後、焼成するステップとを備え、上記液体材料は、上記焼成により固有の機能として誘電特性を発現することを特徴とする。
【0011】
例えば、上記液体材料は、金属イオン溶液あるいは有機金属溶液であることを特徴とする。また、例えば、上記液体材料は、粒子径が2nm以上200nm以下の金属あるいは金属酸化物の分散液であることを特徴とする。
【0012】
例えば、上記液体材料は、上記金属元素としてTi,Cu,Ni,Zn,Ru,Ag,Au,Mn,Bi,Ir,In,Sb,Fe、並びに希土類元素のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0013】
また、例えば、上記含浸処理ステップでは、上記セラミックス・グリーンシートの空孔中に上記液体材料を導入した後、その液体中より上記セラミックス・グリーンシートを引き出して乾燥させ、溶媒分を減じた後、再度そのセラミックス・グリーンシートを上記液体中に浸漬して含浸させる処理を、少なくとも2回以上行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、均質なLTCCグリーンシートを得て、焼成後における基板全体の誘電特性を改善できるため、LTCC改質を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。図1は、本実施の形態例におけるLTCCグリーンシートの改質工程を示すフローチャートである。図1のステップS1では、あらかじめ作製しておいた絶縁性材料と、結合剤、可塑剤、溶剤等を含むビヒクルを秤量し(原料粉体の秤量)、ステップS3で、それらの粉体を樹脂製の容器にジルコニアボールとともに封入して、ボールミル架台で混合する。その後、ステップS5において、ボールを取り除いてスラリーを得る。
【0016】
ステップS7では、スラリーをグリーンシート成形機に投入し、アルミナ(Al23)とホウ珪酸ガラスを主成分とするLTCCグリーンシートを得る。図2は、得られたグリーンシート10を側面から見たときの様子を示しており、シート厚tが150μmで、細孔径が10μm程度の多数の細孔(開気孔群)11を有する。なお、これらの細孔のうち、いずれの端部もシートの表面や裏面に繋がっていない密閉された気孔を閉気孔11cといい、いずれか(片側)の端部だけがシート外部に繋がっている孔が開気孔(片側閉塞気孔ともいう)11bであり、シートの表面から裏面まで繋がって貫通している孔が開気孔11aである。
【0017】
次に、ステップS9において、あらかじめ用意した、例えばチタンを含む液状材料をトレーに入れ、これに上記の工程で得られたセラミックスLTCCグリーンシートを浸漬する。この液状材料は、後に詳述するように機能性液体材を含んでなり、LTCCグリーンシートとの同時焼成により誘電特性を発現する金属イオン溶液、あるいは有機金属溶液(金属錯体溶液)である。また、液状材料として、最大直径が数μm以下の金属酸化物粒子分散液(セラミック粒子分散液)、あるいは最大直径が数μm以下の金属粒子分散液を使用することができる。
【0018】
ステップS11では、減圧容器内に設置された液状材料にグリーンシートを浸漬する。すなわち、図3に示すように、液状材料32を入れたトレー35に浸漬されたセラミックスLTCCグリーンシート33を、排・吸気口37を有する減圧容器31内において減圧(0.01MPa)下に5分間保持する。これにより、グリーンシート内部から多くの気泡が発生して、気孔内部に入っていた気体が抜き出され、それらの代わりにLTCCグリーンシート内部に上述した溶液が導入される。
【0019】
ステップS13では、上記のように液状材料を含浸したグリーンシートを液中から引き上げ、そのグリーンシートの表面に残った過剰な液状材料を除去した後、溶液含浸LTCCグリーンシート複数枚を乾燥させ、続くステップS15で積層する。図4に、改質後のグリーンシート積層体40の外観を示す。その後、ステップS17において、そのグリーンシートを、例えば1cm角のチップに成形(切断)する。
【0020】
なお、上述したセラミックス・グリーンシートの空孔中に液体材料を導入する工程(ステップS9,S11)、および、その液体中よりセラミックス・グリーンシートを引き出して乾燥させ、溶媒分を減じる工程(ステップS13)の後、再度、そのセラミックス・グリーンシートを液体中に浸漬して含浸させる処理を、少なくとも2回以上行うようにしてもよい。
【0021】
ステップS19において、上記のように成形したチップを950℃以下の低温(例えば、900℃)で2時間保持して焼成する。なお、本実施の形態例に係る焼成後のチップの厚みは、1mmであった。また、含浸させた液状材料は、900℃で2時間熱処理したところ白色の粉末となり、X線回折装置(XRD)により酸化チタンであることが確認された。
【0022】
ステップS21では、上記のように焼成して得られた積層LTCCチップの電極材として、1cm角チップの両面にAgペーストを十分な厚みで塗布した後、600℃で30分間保持し、電極を焼き付ける(電極形成)。そして、得られた積層セラミックスチップの容量(キャパシタンス)をLCRメータで測定して(測定周波数:1MHz)、比誘電率を算出する。溶液含浸を行わないアルミナおよびホウ珪酸ガラスを主成分とするセラミックス焼成基板の比誘電率が6.8であるのに対して、本実施の形態例で得られた積層セラミックスチップの比誘電率は、10.1であった。これより、焼成することで誘電特性を発揮する成分を含む液状材料の、グリーンシート内部に存在する気孔への導入により含浸グリーンシートが得られ、これを積層して焼成することで、比誘電率が向上したチップを得ることができることがわかった。
【0023】
次に、上述したLTCCグリーンシートの含浸用に使用する、機能性液体材を含んでなる液状材料について説明する。本実施の形態例に係るグリーンシートの改質に使用する含浸液は、例えば、20℃での粘度が25cps、セラミックスLTCCグリーンシート含浸用にシート樹脂アタック性を抑えるように最適化されたコロイド溶液であり、チタンイソプロポキシド等をアルコール(メトキシエタノール等)に加えたものである。なお、チタンの量は、完成品で得たい特性に応じて変更する。
【0024】
本発明に係るグリーンシートの改質では、液状材料をグリーンシートに含浸することを最大の特徴としており、改質対象であるグリーンシート表面の凹凸や閉気孔の存在のみに着目している従来の方法とは大きく異なる。すなわち、本実施の形態例では、グリーンシートの表面から裏面まで繋がって貫通している開気孔群に焦点を当てて液体の含浸を行う。このような含浸を行うのは、焼成後のセラミックは、収縮やそれに含まれる二酸化ケイ素(SiO2)の溶融によって気孔が少なくなり、液状材料を十分に浸透させることができないからである。
【0025】
したがって、気孔径の平均が数ミクロン以下であるこれら開気孔群に充填される機能性液体材料は、その粒子径が2nm以上、200nm以下の金属あるいは金属酸化物の分散液であって、シート中の気孔群に導入された液体成分が、シートの焼成後も周辺成分と反応したり、あるいは誘電性発現成分の主要部分が熱分解したりせずに誘電特性を発揮する。こうすることで、その液体を含浸したLTCCグリーンシートは、焼成によりその誘電特性を向上する。
【0026】
このように、LTCCグリーンシートの気孔群に充填する機能性液体材が、グリーンシートの開気孔に導入可能な大きさの成分粒子、分子、原子、あいはイオンを含む液状材料、つまり、上記の最大直径以下であることは、数ミクロン程度の微小平均径を有するLTCCグリーンシートの開気孔の内部に十分に充填されるために必要な条件となる。
【0027】
さらには、グリーンシート気孔群に充填される液状材料は、グリーンシートの機械的特性を積層および焼成において著しく損なわないことが重要である。グリーンシートに使用されている樹脂は、多くの有機溶媒に溶けるか、あるいは有機溶媒により膨潤するため、適正な溶媒を使用せずにグリーンシートの樹脂成分が損なわれる場合、積層時の積層精度の悪化、シート破れの発生、クラックの発生、密着力不足による層間剥離、強度不足等が生じることになる。よって、セラミックス・グリーンシートに含浸させる液体は、セラミックス・グリーンシートを構成する樹脂分を侵してグリーンシートの柔軟性を減じさせないことが必要となる。
【0028】
次に、上述したLTCCグリーンシートの実施例に対する比較例について説明する。
<比較例1> 原料粉にBaTiO3粉を直接混合したときの改質効果について説明する。ここでは、上述したLTCCグリーンシートを構成する原料粉体材料を加圧成形して、ペレット状に成形した後、LTCC焼成と同じ熱処理を施して焼成したところ、焼結体ペレットの比誘電率は6.8となった。そこで、平均粒径が1160nmのBaTiO3仮焼粉を、このLTCCグリーンシート原料粉に対して10wt%混合してペレット状に成形し、860℃で2時間保持して焼成した。そして、これに電極材としてAgペーストを塗布し、650℃で30分間保持し、外部電極を焼き付けた。
【0029】
このようにして作製したペレットの容量(キャパシタンス)をLCRメータで測定したところ、焼結体の比誘電率は7.3であった。このLTCCグリーンシートのLTCC焼結温度では、通常、BaTiO3は焼結温度に足りず、十分な誘電特性を発揮しないか、あるいは熱分解を起こして炭酸バリウムと酸化チタンに変化してしまい、所望の特性を得ることができない。また、XRD測定を行っても、BaTiO3固有のピークを確認できず、BaTiO3仮焼粉を添加していないLTCC焼結基板の比誘電率(6.8)と比べても、大きな変化は見られなかった。
【0030】
<比較例2> 原料液体をグリーンシート内部気孔へ導入する方法を変えた例について説明する。LTCCグリーンシートにチタンを含む液状材料(上述した実施の形態例で使用した液状材料と同等のもの)に、上記実施の形態例で説明した方法で作製したセラミックスLTCCグリーンシートを30分間浸漬した。そして、このシートに対して、上記実施の形態例と同じ温度と時問で熱処理を施した。なお、上記実施の形態と異なる操作条件として、雰囲気の減圧・加圧は一切行わなかった。
【0031】
その結果、この液状材料に浸漬した際、上記実施の形態例とは異なり、シートからの気泡の発生は見られなかった。また、減圧・加圧操作を行わなかった場合において、LTCCグリーンシートを浸漬溶液から取り出した後、乾燥させて積層、焼成した基板断面の成分分析をしたところ、最表面あるいは層間にチタン元素が偏在していることが確認された。減圧・加圧操作を行わずに溶液に浸漬しただけのLTCCグリーンシートを使用したLTCC積層セラミックスの比誘電率は6.8であり、未改質のLTCC基板の比誘電率6.8から変動しなかったことになる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態例によれば、LTCCグリーンシートの開気孔に導入可能な性状の液状材料、すなわち、機能性液体材料の粒子径がグリーンシートの開気孔群に充填される大きさの液状材料であって、LTCC同時焼成後に誘電特性を発揮できる材料をLTCCグリーンシートの開気孔内に導入し、それらのシートを乾燥後に積層し、焼成することによって、液状材料を含浸した層の比誘電率を向上させることができる。
【0033】
すなわち、本実施の形態例によれば、液状材料をグリーンシートの表層のみに塗布するのではなく、グリーンシート内部の気孔を利用して液状材料を導入するので、均質なグリーンシートが得られ、焼成後におけるセラミック層の誘電特性を大幅に改善でき、焼成後のLTCC改質を達成することができる。
【0034】
本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。グリーンシートを構成する樹脂を損なわない液状材料が含浸されたグリーンシートは、液状材料中にグリーンシートを浸漬しての減圧操作あるいは加圧操作以外にも、温度操作や超音波振動処理を行うことができる。それにより、グリーンシート内部に存在する気孔中に液状材料を導入し、液状材料のグリーンシート開気孔への導入後、グリーンシートを液中より引き上げ、グリーンシート表面に残った過剰な液状材料を除去した後、十分に乾燥し、グリーンシート構成樹脂が表面に出てくるようにすることで、積層時の層間密着を確実に行えるようにする。
【0035】
また、図4に示すように、液状材料を含浸したグリーンシートどうしを積層する他、図5に示すように、液状材料を含浸したグリーンシート52,54と液状材料を含浸していないグリーンシート51,53を、例えば、二層以上積層し、任意の形状に成形後、焼成を行うようにしてもよい。そうすることで、層間剥離、または反りあるいは割れが生じないため、目的とする誘電特性が向上した、アルミナとホウ珪酸ガラスを主成分としたセラミックスを得ることができる。
【0036】
上述した実施の形態例では、セラミックスLTCCグリーンシートを浸漬する液体には、液状材料としてチタンを含む例を挙げたが、これに限定されず、他の金属元素として、例えば、Ti,Cu,Ni,Zn,Ru,Ag,Au,Mn,Bi,Ir,In,Sb,Fe、並びに希土類元素のうち、少なくとも一つを、グリーンシートに含浸させる液体に含むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態例に係るLTCCグリーンシートの改質工程を示すフローチャートである
【図2】多孔質セラミックス・グリーンシート内部の細孔の様子を示す図である。
【図3】LTCCグリーンシートに減圧下で液状材料を含浸している様子を示す図である。
【図4】液状材料を含浸させて改質したグリーンシートの積層体の外観を示す図である。
【図5】液状材料を含浸させて改質したグリーンシートと未改質のグリーンシートとを積層した積層体の外観を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
11a,11b 細孔(開気孔)
11c 細孔(閉気孔)
31 減圧容器
32 液状材料
33 セラミックスLTCCグリーンシート
35 トレー
37 排・吸気口
40,50 グリーンシート積層体
52,54 液状材料含浸グリーンシート
51,53 液状材料非含浸グリーンシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の金属元素を含んでなる液体材料をセラミックス・グリーンシートに含浸する含浸処理ステップと、
前記含浸処理後のセラミックス・グリーンシートを積層するステップと、
前記積層したセラミックス・グリーンシートを圧着・成形後、焼成するステップとを備え、
前記液体材料は、前記焼成により固有の機能として誘電特性を発現することを特徴とするセラミックス積層体の製造方法。
【請求項2】
所定の金属元素を含んでなる液体材料をセラミックス・グリーンシートに含浸する含浸処理ステップと、
少なくとも1層以上の前記含浸処理後のセラミックス・グリーンシートと、前記含浸処理を施していないセラミックス・グリーンシートとを積層するステップと、
前記積層したセラミックス・グリーンシートを圧着・成形後、焼成するステップとを備え、
前記液体材料は、前記焼成により固有の機能として誘電特性を発現することを特徴とするセラミックス積層体の製造方法。
【請求項3】
前記液体材料は、金属イオン溶液あるいは有機金属溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックス積層体の製造方法。
【請求項4】
前記液体材料は、粒子径が2nm以上200nm以下の金属あるいは金属酸化物の分散液であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックス積層体の製造方法。
【請求項5】
前記液体材料は、前記金属元素としてTi,Cu,Ni,Zn,Ru,Ag,Au,Mn,Bi,Ir,In,Sb,Fe、並びに希土類元素のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のセラミックス積層体の製造方法。
【請求項6】
前記含浸処理ステップでは、前記セラミックス・グリーンシートの空孔中に前記液体材料を導入した後、その液体中より前記セラミックス・グリーンシートを引き出して乾燥させ、溶媒分を減じた後、再度そのセラミックス・グリーンシートを前記液体中に浸漬して含浸させる処理を、少なくとも2回以上行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のセラミックス積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−210809(P2007−210809A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29562(P2006−29562)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】