説明

セラミックフィルタ接続体及び浄水カートリッジ

【課題】長尺であっても、耐衝撃性に優れ、しかもセラミックフィルタの継ぎ目の漏水が防止されたセラミックフィルタ接続体と、このセラミックフィルタ接続体を用いた浄水カートリッジを提供する。
【解決手段】セラミックフィルタ41は、多孔質セラミックよりなる中心筒体41aと、この中心筒体41aの外周面に一体化された珪藻土焼結体層41bとを有する。セラミックフィルタ41の端部外周に溝41cが設けられている。セラミックフィルタ41同士をパッキン43を介して継ぎ足してセラミックフィルタ接続体40とする。このセラミックフィルタ接続体40を浄水カートリッジに組み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水などの原水を濾過するためのセラミックフィルタ接続体と、このセラミックフィルタ接続体を用いた浄水カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
水道水中には微細な砂、赤錆等濁りのもととなる成分や、殺菌用の塩素に起因するカルキ臭成分等が含まれている。
【0003】
そこで、水道水(原水)を活性炭等で濾過する浄水カートリッジが広く用いられている。
【0004】
従来、かかる浄水カートリッジとして、円筒形のケース内に円筒形のセラミックフィルタが配置され、該ケースの内周面に沿って円筒形のスペーサ部材が配置され、セラミックフィルタとスペーサ部材との間に活性炭が配置されたものがある(特開2007−167742号公報)。
【0005】
同号公報のスペーサ部材は、円筒形の格子と、この格子に取り付けられた細目のメッシュとを有している。この円筒形の格子は、ケース内周面から所定距離だけ離隔しており、格子とケース内周面との間に通水間隙があいている。水は、この通水間隙から粒状活性炭層に流入し、セラミックフィルタを通って浄水となり、ケース外へ取り出される。
【0006】
特開平5−253451の0062〜0065,0072段落には、セラミックフィルタの端面同士の間にパッキンを介在させてセラミックフィルタを突き合わせて接続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−167742号公報
【特許文献2】特開平5−253451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のセラミックフィルタを備えた浄水カートリッジにあっては、床に落したりして衝撃が加えられたときにセラミックフィルタが割れるおそれがあり、特にセラミックフィルタが長尺になると割れ易いものとなる。
【0009】
上記特開平5−253451のようにパッキンを介してセラミックフィルタの端面同士を突き合わせた場合、パッキンがずれ動いて継ぎ目から漏水が生じるおそれがある。
【0010】
本発明は、長尺であっても、耐衝撃性に優れ、しかもセラミックフィルタの継ぎ目の漏水が防止されたセラミックフィルタ接続体と、このセラミックフィルタ接続体を用いた浄水カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1のセラミックフィルタ接続体は、筒状のセラミックフィルタ同士をパッキンを介して同軸的に接続したセラミックフィルタ接続体において、該セラミックフィルタの端部に該パッキンの係合部を設け、該パッキンを該係合部に係合させたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2のセラミックフィルタ接続体は、請求項1において、該係合部は、該セラミックフィルタの端部の外周側の角縁を周回する溝であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3のセラミックフィルタ接続体は、請求項2において、該セラミックフィルタは、セラミックの多孔質焼結体よりなる中心筒体と、該中心筒体の外周に固着された珪藻土の焼結体層とを備えており、該珪藻土焼結体層が該中心筒体の端部から所定距離後退しており、該珪藻土焼結体層の端面と該中心筒体の外周面とによって前記溝が構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4のセラミックフィルタ接続体は、請求項3において、前記珪藻土焼結体層の端面が前記セラミックフィルタの軸心に対し略垂直であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5のセラミックフィルタ接続体は、請求項1ないし4のいずれか1項において、該セラミックフィルタの係合部に接着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項6のセラミックフィルタ接続体は、請求項5において、該パッキンが透光性を有しかつ前記接着剤が着色されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項7の浄水カートリッジは、筒状のケースと、該ケース内に配置された濾材と、を備え、該ケース内に導入された原水が該濾材を透過し浄水となる浄水カートリッジにおいて、前記濾材は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ接続体と、該セラミックフィルタ接続体の周囲に配置された活性炭とを備えており、原水は該活性炭を透過した後、該セラミックフィルタを透過して浄水となることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のセラミックフィルタ接続体は、セラミックフィルタをパッキンを介して継いだものであり、長尺とすることができる。しかも、セラミックフィルタ同士の間にパッキンが介在されているので、衝撃が加えられても衝撃がパッキンによって吸収されるようになり、割れにくくなる。このパッキンは、セラミックフィルタの端部に設けた係合部に係合されているので、パッキンがずれ動いたりすることがなく、漏水が防止される。
【0019】
請求項2のように、係合部をセラミックフィルタの端部の外周側の角縁に設けた場合、パッキンの装着状況を目視によって確認することができる。
【0020】
請求項3のセラミックフィルタ接続体のセラミックフィルタは、中心筒体がセラミックフィルタの強度を高め、珪藻土焼結体層が微細粒子を濾別する作用を奏するので、強度及び濾過性能に優れたものとなる。
【0021】
また、このセラミックフィルタは、例えば中心筒体を成形及び焼成して製作した後、その外周に珪藻土焼結体層を形成することにより製造することができる。この際、珪藻土焼結体層を中心筒体よりも短く形成することにより、セラミックフィルタの端部の外周角縁に溝を形成することができるので、セラミックフィルタの製作が容易となる。
【0022】
請求項4のセラミックフィルタ接続体は、珪藻土焼結体層の端面がセラミックフィルタの軸心に対し略垂直であるので、パッキンを介してセラミックフィルタ同士を突き合わせたときにパッキンが該珪藻土焼結体層の端面に押し付けられて密着するようになり、セラミックフィルタ同士の継ぎ目の止水性が良好となる。
【0023】
請求項5のセラミックフィルタ接続体は、セラミックフィルタとパッキンの間に接着剤が塗布されているため、接続がより強固になり、かつ接続部の漏水防止が確実になる。
【0024】
請求項6のセラミックフィルタ接続体は、パッキンが透光性を有しかつ接着剤が着色されているため、接着剤が接続部全体に塗布されていることを目視でも確認できるため、セラミックフィルタ接続体の接続部の漏水防止を、特別な検体装置を使わなくても確認できる。
【0025】
本発明の浄水カートリッジは、かかる本発明のセラミックフィルタ接続体を備えたものであり、床に落すなどの衝撃が加えられてもセラミックフィルタ接続体の割れが防止され、耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る浄水カートリッジの縦断面図である。
【図2】袋材及び粒状活性炭を除去した浄水カートリッジの縦断面図である。
【図3】セラミックフィルタ接続体の側面図及び断面図である。
【図4】セラミックフィルタ接続体の断面図である。
【図5】セラミックフィルタの断面図である。
【図6】別の実施の形態に係るセラミックフィルタの断面図である。
【図7】さらに別の実施の形態に係るセラミックフィルタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0028】
<浄水カートリッジ及びセラミックフィルタ接続体の実施の形態>
第1図は実施の形態に係る浄水カートリッジの縦断面図、第2図は説明の便宜上、袋材及び粒状活性炭並びに押え部材81,82を除去した浄水カートリッジの縦断面図、第3図(a)はセラミックフィルタ接続体の途中部分の側面図、(b)図はその縦断面図、第4図(a)は第3図(b)の部分拡大図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。第5図はセラミックフィルタの端部の縦断面図である。
【0029】
なお、以下の実施の形態の説明において、上下は第1図の上下を指称するものである。この浄水カートリッジ1の設置姿勢は何ら限定されるものではなく、キッチンキャビネット等に配置されたケース10の筒軸心方向は、鉛直方向、水平方向、斜め方向のいずれでもよい。
【0030】
この浄水カートリッジ1は、ケース10と、該ケース10に装着されたキャップ20と、ケース10の内周面に沿うスペーサ部材30と、ケース10の中心部に配置されたセラミックフィルタ接続体40と、該セラミックフィルタ接続体40の外周囲に配置された成形濾材42と、成形濾材42を取り囲むように袋材50内に充填された粒状活性炭60と、ケース10の上端側に配置された孔あき板70と、該孔あき板70とセラミックフィルタ接続体40との間に介在する押え部材81,82等を備えている。
【0031】
ケース10は、円筒形の胴部11と、該胴部11の底面を閉塞する底面部12とを有した有底円筒形である。底面部12の中央部は、ケース内に球殻形に湾曲して突出した湾曲部12aとなっている。ケース10内においては、この湾曲部12aの周縁部から環状壁13が立設されている。この環状壁13の直径は成形濾材42の外径よりも若干大きなものとなっている。
【0032】
ケース10の上部外周面には雄ねじ15が設けられている。雄ねじ15よりも上端側のケース10外周面にはOリング溝が周設され、Oリング溝にOリング16が装着されている。雄ねじ15の下側にフランジ17が設けられている。
【0033】
キャップ20は、ケース10の上端側を閉蓋するためのものであり、円形の天蓋部21と、この天蓋部21の周縁に連なる周壁部22と、この周壁部22の内周面の下部に設けられた雌ねじ23と、天蓋部21の中央部から立設されたノズル状の流出口25と、該流出口25と天蓋部21の周縁との間において該天蓋部21から立設されたノズル状の流入口24と、流出口25と同軸に天蓋部21の下面から突設されたジョイント筒部26と、前記周壁部22の内周面の上部に設けられた段部27とを備えている。この段部27に孔あき板70の外周縁が重なるように構成されている。孔あき板70と天蓋部21との間に流入室28が形成されている。
【0034】
スペーサ部材30は、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂の縦糸と横糸とを直交編目状に編組し、交点を熱融着させたシート状の原材を湾曲させたものである。
【0035】
この合成樹脂製のスペーサ部材30をケース10内に挿入し、スペーサ部材30から手を離すと、スペーサ部材30は、それ自身の弾性によって拡開し、ケース10の内周面に当接する。
【0036】
セラミックフィルタ接続体40は、2本の管状のセラミックフィルタ41をパッキン43を介して当接させて継ぎ足したものである。
【0037】
このセラミックフィルタ41の構成について第3図〜第5図を参照して詳細に説明する。
【0038】
このセラミックフィルタ41は、多孔質セラミック焼結体よりなる中心筒体41aと、この中心筒体41aの外周に一体に設けられた珪藻土焼結体層41bとを有する。中心筒体41aの長さは珪藻土焼結体層41bよりも若干長く、珪藻土焼結体層41bの端面が中心筒体41aの端面から所定距離筒軸心方向に後退している。これにより、セラミックフィルタ41の端部の外周側の角縁に、珪藻土焼結体層41bの端面と中心筒体41aの先端部外周面とを溝面とする溝41cが形成されている。なお、溝41cは、セラミックフィルタ41の両端に形成されていることが好ましいが、セラミックフィルタを2本のみ継ぎ足すときにはセラミックフィルタの一端にのみ溝41cを設けてもよい。
【0039】
この溝41cにゴム又はエラストマー等(好ましくはシリコーンゴム)よりなるパッキン43を係合させ、セラミックフィルタ41同士を突き合わせる。パッキン43は、短い円筒形であり、各セラミックフィルタ41の中心筒体41aの外周面よりなる溝面と焼結体層珪藻土41bの端面よりなる溝面の双方に密着する大きさを有している。なお、焼結体層珪藻土41bの端面は、セラミックフィルタ40の筒軸心に対し、略垂直(90°±5°)となっている。そのため、パッキン43の端面は焼結体層珪藻土41bの端面に水密的に密着する。この部分に接着剤90を塗布すると、接続がより強固になるとともに、水漏れ防止がより確実になる。
【0040】
このセラミックフィルタ41の接続体40は、セラミックフィルタ41同士の間にパッキン43が介在しているので、耐衝撃性に優れ、浄水カートリッジ1を床に落したりしても割れることがない。
【0041】
上記セラミックフィルタ41の中心筒体41aは、例えば次の組成のセラミック原料を混合、粉砕したものを円筒形に成形し、1200〜1350℃程度で焼成することにより製造することができる。
【0042】
蝋石 60〜75重量%
石灰石 15〜25重量%
粘土 5〜15重量%
【0043】
また、焼結体層珪藻土41bは、この中心筒体41aの外周面に珪藻土を付着させ、1200〜1300℃で焼成して形成することができる。
【0044】
中心筒体41aの外径は5〜10mm、肉厚((外径−内径)の1/2)は1〜2.2mm程度が好適である。また、珪藻土焼結体層41bの厚みは1.0〜3.0mm程度が好適である。ただし、これに限定されない。
【0045】
このセラミックフィルタ41を取り巻く円筒形の成形濾材42は、この実施の形態では、円筒形に成形された活性炭(例えば活性炭素繊維)よりなるが、これに限定されない。成形濾材の厚さ((外径−内径)の1/2)は通常5〜20mm程度である。
【0046】
セラミックフィルタ41の外周面を構成する珪藻土焼結体層41bは、微細な活性炭屑が中心筒体41aに流入しないようにするためのものである。また、図示は省略するが、成形濾材42の外周には不織布が巻回され、成形濾材42の欠損や崩落等を防止するよう構成している。
【0047】
成形濾材42の上端面及び下端面にはそれぞれ合成樹脂製のエンドプレート53,54が接着されている。
【0048】
第2図に明示の通り、各エンドプレート53,54の中心部には円形の開口が設けられており、この開口に管状セラミックフィルタ41の端部が臨んでいる。各エンドプレート53,54の内周縁とセラミックフィルタ41の端部との間にはシール剤55が充填されている。またエンドプレート53,54の外周縁と成形濾材42の外周縁部との間にシール剤56が充填されている。
【0049】
なお、上側のエンドプレート53からジョイント筒部57が立設され、このジョイント筒部57の上端部の外周にOリングが装着されている。
【0050】
エンドプレート54の下面側の中心部にシール材59が付着され、エンドプレート54の開口及びセラミックフィルタ41の下端面部を閉塞している。なお、エンドプレート54は、開口部のない円板とすることもできる。この場合には、シール材59を付着する必要がない。
【0051】
袋材50は、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維の不織布よりなるものであり、平たく延した状態では、一辺のみが開放した長方形状のものである。この袋材50は、ケース10内で円筒形に拡開させた状態において、ケース10の底面部12及びスペーサ部材30の内周面に重なり、且つ袋材50の入口部がケース10外に延出する大きさを有する。この袋材50の厚さは通常0.1〜0.15mm程度である。また、袋材50内に形成される粒状活性炭60の充填層の厚さは通常15〜35mm程度である。なお、この粒状活性炭60としては平均粒径200〜300μm程度のものが好ましい。
【0052】
孔あき板70は、薄い円板形の合成樹脂板であり、厚さ方向に貫通するように多数の透口71が設けられている。孔あき板70の中心部には、ジョイント筒部26が内挿される円形開口が設けられている。
【0053】
押え部材81,82は、それぞれスポンジなどの不透水性と弾力性を備えた円盤形部材である。上側の押え部材82はケース10の内径よりも小さく、下側の押え部材81は、ケース10の内径とほぼ同一の直径を有している。押え部材81,82の中心部には、ジョイント筒部26が内挿される開口が設けられている。
【0054】
<浄水カートリッジ1の組立手順>
浄水カートリッジ1を組み立てるには、まず、シート状原材を筒形に丸めたスペーサ部材30をケース10内に挿入する。次に、セラミックフィルタ接続体40に成形濾材42を外嵌させたものを袋材50に挿入し、この袋材50をケース10内に挿入し、袋材50の入口部をケース10外に延出させる。この入口部から粒状活性炭60を成形濾材42の外周面と袋材50との間に充填する。なお、この粒状活性炭は、充填しなくてもよい。
【0055】
その後、袋材50の入口部をエンドプレート53の上面に重ねるように折り畳み、押え部材81で押える。なお、このとき、さらに押え部材82を押え部材81に重ねてもよいが、押え部材82はキャップ20のジョイント筒部26に嵌合保持させておいてもよい。
【0056】
キャップ20については、予め孔あき板70を装着しておくと共に、必要に応じ押え部材82を装着しておく。
【0057】
このキャップ20をケース10の上端に係合させて回転させ、雌ねじ23を雄ねじ15にねじ込む。なお、この際、ジョイント筒部26はジョイント筒部57に外嵌する。
【0058】
これにより、第1図に示す浄水カートリッジ1が完成する。
【0059】
<水道水等の浄水動作>
この浄水カートリッジ1の流入口24に水道水などの原水を供給すると、この原水は流入室28及び孔あき板70の透口71を経てスペーサ部材30へ到達する。スペーサ部材30へ到達した水は、スペーサ部材30に案内されてケース10の内周面の全域に供給され、袋材50、粒状活性炭60、成形濾材42、セラミックフィルタ41を透過し、浄水となる。この浄水は、セラミックフィルタ41の内孔から、ジョイント筒部57、26及び流出口25の順に流れてケース10外に取り出される。
【0060】
<効果>
この浄水カートリッジ1にあっては、前述の通り、セラミックフィルタ接続体40のセラミックフィルタ41,41間にパッキン43を介在させており、セラミックフィルタ接続体40の耐衝撃性に優れる。そのため、浄水カートリッジ1を床に落したりしてもセラミックフィルタ41の割れが防止される。
【0061】
なお、本発明者は、中心筒体41aの内径5mm、中心筒体41aの外径8mm、珪藻土焼結体層41bの外径12mm、中心筒体41aの長さ95mm、珪藻土焼結体層41bの長さ90mmのセラミックフィルタ41を製造した。そして、2本のこのセラミックフィルタ41をシリコーンゴム製パッキンを介して継ぎ足したセラミックフィルタ接続体40を用いた浄水カートリッジ1を5個製作した。この浄水カートリッジ1を1mの高さからコンクリート床上に落下させたところ、いずれの浄水カートリッジについてもセラミックフィルタに割れは生じなかった。
【0062】
これに対し、セラミックフィルタとして、全長190mmの1本のもの(中心筒体及び焼結体層珪藻土の構成は同一)を用いて浄水カートリッジを5個製作した。この浄水カートリッジについて同様の落下試験を行ったところ、5個の浄水カートリッジのいずれにおいてもセラミックフィルタに割れが生じた。
【0063】
この実施の形態では、濾材として粒状活性炭60と、活性炭よりなる成形濾材42と、セラミックフィルタ41とを併用しているので、浄水の水質が良好である。
【0064】
この実施の形態では、2個のセラミックフィルタを連結したセラミックフィルタ接続体を用いているが、筒軸方向の長さが大きいケース10の場合には3個以上を連結してもよい。
【0065】
<別の実施の形態>
上記実施の形態では、溝41cは方形の断面形状であるが、第6図のように三角形断面形状の溝44aであってもよく、図示は省略するが四分円弧状断面形状などであってもよい。なお、第6図(a)は溝44aを有するセラミックフィルタ44の端部の断面図、第6図(b)はこのセラミックフィルタ44同士をパッキン45を介して接続したセラミックフィルタ接続体の断面図である。
【0066】
また、本発明では、第7図のセラミックフィルタ46のように、端面に周回溝46aを設け、この周回溝46aにOリング状のパッキン47を装着してセラミックフィルタ46,46同士をつなぎ合わせてもよい。
【0067】
ただし、第1図〜第6図のようにパッキン43,45がセラミックフィルタ接続体の側周面に露呈するセラミックフィルタ接続体にあっては、パッキンの装着状況を目視確認することができ、好適である。
【0068】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 浄水カートリッジ
10 ケース
20 キャップ
30 スペーサ部材
40 セラミックフィルタ接続体
41,44,46 セラミックフィルタ
42 成形濾材
41c,44a,46a 溝
43,45,47 パッキン
50 袋材
53,54 エンドプレート
55,56 シール剤
59 シール材
60 粒状活性炭
70 孔あき板
81,82 押え部材
90 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のセラミックフィルタ同士をパッキンを介して同軸的に接続したセラミックフィルタ接続体において、
該セラミックフィルタの端部に該パッキンの係合部を設け、該パッキンを該係合部に係合させたことを特徴とするセラミックフィルタ接続体。
【請求項2】
請求項1において、該係合部は、該セラミックフィルタの端部の外周側の角縁を周回する溝であることを特徴とするセラミックフィルタ接続体。
【請求項3】
請求項2において、該セラミックフィルタは、セラミックの多孔質焼結体よりなる中心筒体と、該中心筒体の外周に固着された珪藻土の焼結体層とを備えており、該珪藻土焼結体層が該中心筒体の端部から所定距離後退しており、該珪藻土焼結体層の端面と該中心筒体の外周面とによって前記溝が構成されていることを特徴とするセラミックフィルタ接続体。
【請求項4】
請求項3において、前記珪藻土焼結体層の端面が前記セラミックフィルタの軸心に対し略垂直であることを特徴とするセラミックフィルタ接続体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、該セラミックフィルタの係合部に接着剤が塗布されていることを特徴とするセラミックフィルタ接続体。
【請求項6】
請求項5において、該パッキンが透光性を有しかつ前記接着剤が着色されていることを特徴とするセラミックフィルタ接続体。
【請求項7】
筒状のケースと、
該ケース内に配置された濾材と、
を備え、該ケース内に導入された原水が該濾材を透過し浄水となる浄水カートリッジにおいて、
前記濾材は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ接続体と、該セラミックフィルタ接続体の周囲に配置された活性炭とを備えており、
原水は該活性炭を透過した後、該セラミックフィルタを透過して浄水となることを特徴とする浄水カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−184198(P2010−184198A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30030(P2009−30030)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】