説明

セルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置

【課題】燃料電池セルの劣化や破損が抑制されたセルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置を提供する。
【解決手段】内部に第1反応ガス流路9を備え第1反応ガスと第2反応ガスとで発電する柱状の燃料電池セル3を、集電部材を介して複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるとともに、燃料電池セル3の上端側において発電に使用されなかった第1反応ガスと第2反応ガスとを燃焼させる構成のセルスタックとを備えるセルスタック装置であって、燃料電池セル3の上面を覆うように、内部に第1反応ガス流路9を流れた第1反応ガスを燃料電池セル3の上端からさらに上方へ流すための流路が形成されているとともに、上部に燃焼触媒17を備える流路部材8が配置されていることから、燃料電池セル3の劣化や破損を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の燃料電池セルを配列してなるセルスタック装置およびそれを具備する燃料電池モジュールならびに燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と酸素含有ガス(空気等)とを用いて600℃〜1000℃の高温下で発電する燃料電池セルの複数個を、集電部材を介して電気的に直列に接続してなるセルスタックを燃料電池セルに反応ガスを供給するマニホールドに固定してなるセルスタック装置や、それを収納してなる燃料電池モジュール、さらには燃料電池モジュールを収納してなる燃料電池装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなセルスタック装置においては、燃料電池セルの上端側で発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させ、燃料電池セルの温度を上昇させることにより、燃料電池セルの発電を効率よく行なうことができる。
【0004】
また、燃料電池セルの上端が燃料電池セルに供給される酸素含有ガスにて酸化されることを抑制すべく、燃料電池セルの上面を覆うようにセラミック部材を装着した構成のセルスタック装置(例えば、特許文献2参照。)や、燃料電池セルの内部に設けられた複数のガス流路に均一に反応ガスを供給する目的で、燃料電池セルの上面を覆うようにに流路部材を設けた構成のセルスタック装置(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−59377号公報
【特許文献2】特開2006−127826号公報
【特許文献3】特開2004−207006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、燃料電池セルの上端側にて、燃料電池セルの発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成のセルスタック装置においては、燃料電池セルの上端側にて燃料電池セルの発電に使用されなかった燃料ガスの燃焼熱により、燃料電池セルの上端の温度が上昇し、燃料電池セルの上端が劣化や破損するおそれがあった。
【0007】
また、夜間等の消費電力が少ない場合においては、燃料電池装置は低出力で発電するため、燃料電池セルに供給される燃料ガスの量が減少することでセルスタック装置に失火が生じるおそれや、燃料電池装置の作動温度の低下に伴って燃料電池セルが劣化するおそれがあった。
【0008】
それゆえ、本発明の目的は、発電に使用されなかった燃料ガスの燃焼熱による燃料電池セルの劣化や破損を抑制し、長期信頼性の向上したセルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のセルスタック装置は、第1反応ガスを下端から上端へ流すための第1反応ガス流路を内部に備え前記第1反応ガスと第2反応ガスとで発電する柱状の燃料電池セルを、集電部材を介して複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるとともに、前記燃料電池セルの上端側において発電に使用されなかった前記第1反応ガスと前記第2反応ガスとを燃焼させる構成のセルスタックを備えるセルスタック装置であって、前記燃料電池セルの上面を覆うように、前記第1反応ガス流路を流れた前記第1反応ガスを前記燃料電池セルの上端からさらに上方へ流すための流路を内部に備えるとともに、上部に燃焼触媒を備えた流路部材が配置されていることを特徴とする。
【0010】
このようなセルスタック装置においては、燃料電池セルの上面を覆うように、第1反応ガス流路を流れた第1反応ガスを燃料電池セルの上端からさらに上方へ流すための流路を内部に備えるとともに、上部に燃焼触媒を備えた流路部材が配置されていることから、
発電に使用されなかった第1反応ガスが流路部材の内部に形成された流路の出口近傍で燃焼することとなり、燃料電池セルの上端が燃焼により生じた燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、燃料電池セルの上端における温度が上昇することを抑制することができる。
【0011】
それにより、燃料電池セルの上端に生じる熱応力を緩和することができ、燃料電池セルの劣化や破損を抑制することができる。そのため、燃料電池セルの長期信頼性を向上させることができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0012】
さらに、燃料電池装置が低出力で作動する場合において、流路部材が上部に燃焼触媒を有することから、発電に使用されなかった第1反応ガスと第2反応ガスとを効率よく燃焼させることができ、セルスタック装置が失火することを抑制することができる。それにより、燃料電池セルの温度が低下することを抑制することができ、燃料電池セルの劣化を抑制することできる。
【0013】
また、本発明のセルスタック装置は、前記流路部材の上面に燃焼触媒が設けられていることが好ましい。
【0014】
このようなセルスタック装置においては、流路部材の上面に燃焼触媒が設けられていることから、流路部材の上面近傍にて、発電に使用されなかった第1反応ガスと第2反応ガスとが燃焼することとなる。それにより、燃料電池セルの上端の温度が上昇することを抑制することができ、燃料電池セルの上端に生じる熱応力を緩和することができる。そのため、燃料電池セルの劣化や破損を抑制し、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0015】
また、本発明のセルスタック装置は、前記流路部材が、前記流路を構成する壁の表層に前記燃焼触媒が設けられていることが好ましい。
【0016】
このようなセルスタック装置においては、流路部材が、流路を構成する壁の表層に燃焼触媒を設けられていることから、燃料電池装置が低出力で作動する場合においても、セルスタック装置の失火を抑制することができる。そのため、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0017】
また、本発明のセルスタック装置は前記流路部材が柱状であって、該流路部材の上面の外周の角部が面取りされていることが好ましい。
【0018】
このようなセルスタック装置においては、流路部材が柱状であって、流路部材の上面の外周の角部が面取りされていることから、流路部材の上面の外周の角部に熱応力が集中することを抑制することができる。それにより、流路部材の熱応力による劣化を抑制することができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0019】
また、本発明のセルスタック装置は、前記燃料電池セルの上端に前記流路部材が嵌め合わされていることが好ましい。
【0020】
このようなセルスタック装置においては、燃料電池セルの上端に流路部材が嵌め合わされていることから、流路部材を燃料電池セルの上面を覆うように載置する場合においても、流路部材を保持しておくことができ、セルスタック装置の製造工程を簡略化することができる。
【0021】
また、本発明のセルスタック装置は、前記流路部材が耐熱性セラミックスにより形成されていることが好ましい。
【0022】
このようなセルスタック装置においては、流路部材が耐熱性セラミックスにより形成されていることから、流路部材の上端近傍で燃焼が生じる場合においても、流路部材が破損することを抑制することができる。それにより、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0023】
また、本発明のセルスタック装置は、前記燃料電池セルの下端側を固定するとともに、前記燃料電池セルに前記第1反応ガスを供給するためのマニホールドを備えることが好ましい。
【0024】
このようなセルスタック装置においては、燃料電池セルの下端側を固定するとともに、燃料電池セルに第1反応ガスを供給するためのマニホールドを備えることから、燃料電池セルに第1反応ガスを確実に供給することができる。それにより、燃料電池装置が低出力で作動する場合においても、セルスタック装置の失火を抑制することができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0025】
本発明の燃料電池モジュールは、上記のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることを特徴とすることから、長期信頼性の向上した燃料電池モジュールとすることができる。
【0026】
本発明の燃料電池装置は、上記の燃料モジュールと、燃料電池モジュールを作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池装置とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のセルスタック装置は、燃料電池セルの上面を覆うように、内部に第1反応ガス流路を流れた前第1反応ガスを燃料電池セルの上端からさらに上方へ流すための流路が形成されているとともに、上部に燃焼触媒を備えた流路部材が配置されていることから、発電に使用されなかった第1反応ガスが流路部材の内部に形成された流路の出口近傍で燃焼することとなり、燃料電池セルの上端が燃焼により生じた燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、燃料電池セルの上端における温度が上昇することを抑制することができる。
【0028】
それにより、燃料電池セルの上端に生じる熱応力を緩和することができ、燃料電池セルの劣化や破損を抑制することができる。そのため、燃料電池セルの長期信頼性を向上させることができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0029】
あわせて、このセルスタック装置を収納容器内に収納することで、長期信頼性が向上した燃料電池モジュールとすることができ、さらにこの燃料電池モジュールと燃料電池モジュールを動作させるための補機とを外装ケース内に収納することで、長期信頼性が向上した燃料電池装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のセルスタック装置の一例を示し、(a)はセルスタック装置を概略的に示す側面図、(b)は(a)の一部の燃料電池セルを、流路部材をはずした状態で抜粋して示す平面図である。
【図2】本発明のセルスタック装置の一例における燃料電池セルと流路部材とを抜粋して示す概略斜視図である。
【図3】図2に示す燃料電池セルと流路部材とを示す図で、(a)はA−A´線断面図、(b)は平面図である。
【図4】本発明のセルスタック装置の他の一例における燃料電池セルと流路部材とを抜粋して示す概略斜視図である。
【図5】図4に示す燃料電池セルと流路部材とのB−B´線断面図である。
【図6】本発明のセルスタック装置のさらに他の一例における燃料電池セルと流路部材とを抜粋して示す概略斜視図である。
【図7】図6に示す燃料電池セルと流路部材とのC−C´線断面図である。
【図8】本発明の燃料電池モジュールの一例を示す外観斜視図である。
【図9】本発明の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明のセルスタック装置の一例を示し、(a)はセルスタック装置を概略的に示す側面図、(b)は(a)のセルスタック装置1の一部の燃料電池セルを、流路部材をはずした状態で拡大して示す平面図であり、(a)で示した点線枠で囲った部分を抜粋して示している。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。
【0032】
ここで、セルスタック装置1は、内部に第1反応ガス流路9を有して、一対の対向する平坦面をもつ全体的に見て楕円柱状の導電性支持体10の一方の平坦面上に内側電極層11と、固体電解質層12と、外側電極層13とをこの順に積層してなるとともに、他方の平坦面のうち外側電極層13および固体電解質層12が形成されていない部位にインターコネクタ14を積層してなる柱状(中空平板状)の燃料電池セル3を、間に集電部材4を介して立設させた状態で配置することで、燃料電池セル3同士を電気的に直列に接続してなるセルスタック2を備えている。
【0033】
集電部材4は、一枚の板部材に所定の間隔で幅方向にスリットが複数設けられ、上下方向に隣接するスリット間に位置する部位が集電片(図示せず)となる。集電部材4の長手方向に形成されたそれぞれの集電片は、一方側の燃料電池セル3または他方側の燃料電池セル3と接合するように、交互に配置されている。そして、一方側の燃料電池セル3と接合する集電片と、他方側の燃料電池セル3と接合する集電片の間の空間が、第2反応ガスを下方から上方に流すための第2反応ガス流路19となる。
【0034】
また、インターコネクタ14の外面にはP型半導体層15を設けることもできる。集電部材4を、P型半導体層15を介してインターコネクタ14に接続させることより、両者の接触がオーム接触となって電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に抑制することができる。このP型半導体層15は、外側電極層13の外面に設けることもできる。
【0035】
そして、セルスタック2を構成する各燃料電池セル3の下端側が、第1反応ガス流路9を介して燃料電池セル3に第1反応ガスを供給するためのマニホールド7にガラスシール材(図示せず)等の接合材により固定されている。
【0036】
なお、図1に示すセルスタック装置1においては、燃料電池セル3として、第1反応ガス流路9内に燃料ガス(水素含有ガス)を流すとともに、内側電極層11としての燃料極層、外側電極層13としての空気極層を設けてなる固体酸化物形の燃料電池セル3を示している。マニホールド7より第1反応ガスとして燃料ガスを供給し、隣り合う燃料電池セル3間に第2反応ガスとして酸素含有ガス(空気等)を供給することで、燃料電池セル3の発電が行なわれる。以下の説明において第1反応ガスとして燃料ガスを、第2反応ガスとして酸素含有ガスを用いる場合を例示して説明する。
【0037】
また、セルスタック装置1は、燃料電池セル3の配列方向の両端から集電部材4を介してセルスタック2を挟持するように、マニホールド7に下端が固定された弾性変形可能な導電部材5を具備している。ここで、図1に示す導電部材5においては、燃料電池セル3の配列方向に沿って外側に向けて延びた形状で、セルスタック2(燃料電池セル3)の発電により生じる電流を引き出すための電流引出部6が設けられている。
【0038】
このようなセルスタック装置1においては、燃料電池セル3の上端側にて、第1反応ガス流路9より排出され、燃料電池セル3の発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成とすることにより、燃料電池セル3の温度を上昇させるまたは高温に維持することができ、燃料電池セル3(セルスタック装置1)の発電を効率よく行なうことができる。
【0039】
ここで、図1に示すセルスタック装置1においては、各燃料電池セル3の上面を覆うように流路部材8が配置されている。なお、流路部材8については後述する。
【0040】
以下に、図1において示す燃料電池セル3を構成する各部材について説明する。
【0041】
燃料極層11は、一般的に公知のものを使用することができ、多孔質の導電性セラミックス、例えば希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニアと称する)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
【0042】
燃料極層11において、NiおよびNiOのうち少なくとも一方と、希土類元素が固溶しているZrOの含有量は、焼成−還元後における体積比率が、NiO:希土類元素が固溶しているZrO(例えば、NiO:YSZ)が35:65〜65:35の範囲にあるのが好ましい。さらに、この燃料極層11の気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。
【0043】
固体電解質層12は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有することが必要とされ、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrOから形成される。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料等を用いて形成してもよい。
【0044】
さらに、固体電解質層12は、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが5〜50μmであることが好ましい。
【0045】
空気極層13は、導電性セラミックス(例えば、ABO型のペロブスカイト型酸化物)から形成することができ、ガス透過性を有する必要があることから、気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、空気極層13の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
【0046】
インターコネクタ14は、導電性セラミックスから形成することができるが、燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガス(空気等)と接触するため、耐還元性及び耐酸化性を有することが必要であり、それゆえランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が好適に使用される。インターコネクタ14は導電性支持体10に形成された複数の第1反応ガス流路(燃料ガス流路)9を流通する燃料ガス、および導電性支持体10の外側を流通する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好ましい。
【0047】
また、インターコネクタ14の厚みは、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、10〜50μmであることが好ましい。この範囲よりも厚みが薄いと、ガスのリークを生じやすく、またこの範囲よりも厚みが大きいと、電気抵抗が大きく、電位降下により集電機能が低下してしまうおそれがある。
【0048】
導電性支持体10としては、燃料ガスを燃料極層11まで透過するためにガス透過性であること、さらには、インターコネクタ14を介して集電するために導電性であることが要求される。したがって、導電性支持体10としては、かかる要求を満足するものを材質として採用する必要があり、例えば導電性セラミックスやサーメット等を用いることができる。
【0049】
なお、燃料電池セル3を作製するにあたり、燃料極層11または固体電解質層12との同時焼成により導電性支持体10を作製する場合においては、鉄属金属成分と特定希土類酸化物とから導電性支持体10を形成することが好ましい。また、導電性支持体10は、所要ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は50S/cm以上、より好ましくは300S/cm以上、特に440S/cm以上であるのが好ましい。
【0050】
また、導電性支持体10の平坦面nの長さ(導電性支持体10の幅方向の高さ)は、通常、15〜35mm、弧状面mの長さ(弧の長さ)は、2〜8mmであり、導電性支持体10の厚み(平坦面n間の厚み)は1.5〜5mmであることが好ましい。
【0051】
P型半導体層15としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、インターコネクタ14を構成するランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層15の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
【0052】
なお、図示はしていないが、固体電解質層12と空気極層13との間に、固体電解質層12と空気極層13との接合を強固とするとともに、固体電解質層12の成分と空気極層13の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることを抑制する目的で、Ce(セリウム)と他の希土類元素(SmやGd等)とを含有する組成にて形成される中間層を備えることもできる。
【0053】
さらに、図示はしていないが、インターコネクタ14と導電性支持体10との間に、インターコネクタ14と導電性支持体10との間の熱膨張係数差を軽減する等のために、燃料極層11と類似した組成の密着層を設けることもできる。
【0054】
ところで、上述のセルスタック装置1において、燃料電池セル3の上端側にて、第1反応ガス流路9より排出され、燃料電池セル3の発電で使用されなかった第1反応ガス(燃料ガス)を燃焼させる場合に、燃料電池セル3の上端の温度が過度に上昇し、燃料電池セル3の一部(特に上端)が劣化や破損するおそれがあった。
【0055】
それゆえ、本発明のセルスタック装置1においては、燃料電池セル3の上端に、燃料電池セル3の上面を覆うように流路部材8が配置されている。
【0056】
図2は、セルスタック装置1を構成する燃料電池セル3と流路部材8とを抜粋して概略的に示す斜視図であり、図3は、図2に示す燃料電池セル3と流路部材8との(a)はA−A´線断面図、(b)は平面図である。
【0057】
流路部材8は、四角形状であり、内部に第1反応ガス(燃料ガス)を上方に流す流路部材流路16が形成されており、上面および燃料電池セル3の上端における流路部材流路16を構成する壁の表層に燃焼触媒17を備えている。そして、流路部材8は、流路部材流路16と第1反応ガス9とが連通するように、接着材(図示せず)を介して燃料電池セル3の上面を覆うように配置されている。なお図2においては、流路部材8が燃料電池セル3の上面に接続されている。
【0058】
流路部材8の燃料電池セル3の幅方向における長さ(以下、流路部材8の幅と称す。)は、燃料電池セル3の幅と同等以上長いことが好ましく、少なくとも燃料電池セル3に設けられた複数の第1反応ガス流路9のすべてを覆うことができる長さとすることが好ましい。また、詳しくは後述するが、流路部材8の燃料電池セル3の配列方向における長さ(以下、流路部材8の厚みと称す。)は、燃料電池セル3の配列方向における長さ(燃料電池セル3の厚み)よりも長いことが好ましく、隣り合う流路部材8同士の間を第2反応ガス(空気)が流れることができるように流路部材8の厚みを調整することが好ましい。流路部材8の燃料電池セル3の長手方向における長さ(以下、流路部材8の高さと称す。)は、1〜3cm程度であればよい。流路部材8の幅、厚みおよび高さはセルスタック装置の構成に基づき適宜設定すればよい。
【0059】
図3に示す流路部材8においては、流路部材流路16は、燃料電池セル3に設けられた複数の第1反応ガス流路9のすべてと連通するように設けられており、流路部材8を平面視して、流路部材8の幅方向に長軸を有するような楕円形状である。
【0060】
流路部材8が、上部に燃焼触媒17を備え、燃料電池セル3の上面を覆うように配置されていることから、従来は燃料電池セル3の上端近傍(上端側)で生じていた燃焼が流路部材8の上端近傍で生じることとなる。それにより、燃料電池セル3の上端の温度が過剰に上昇することを抑制することができ、燃料電池セル3の上端に生じる熱応力を緩和することができる。そのため、燃料電池セル3(特には上端)の劣化や破損を抑制することができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置1とすることができる。
【0061】
ここで、夜間等の消費電力が少ない場合においては、燃料電池装置は低出力で作動するため、燃料電池セル3に供給される燃料ガスの量が減少する(発電に使用されなかった燃料ガスの量が減少する)ことで、セルスタック装置1に失火が生じるおそれや、燃料電池装置の作動温度の低下に伴って、燃料電池セル3が劣化するおそれがあった。
【0062】
本発明のセルスタック装置1は、上面および燃料電池セル3の上面を覆うように配置され、流路部材流路16を構成する壁の表層に燃焼触媒17を備えた流路部材8を有することから、燃料電池セル3に供給される燃料ガスの量が少ない場合においても、燃焼触媒17により効率的に燃焼を生じさせることができ、セルスタック装置1に失火が生じることを抑制することができる。
【0063】
ここで、流路部材8の上端側とは、流路部材8の上面、側面における上面近傍または燃料電池セル3の上端における流路部材流路16を構成する壁の表層を示す。本発明のセルスタック装置1においては、側面または燃料電池セル3の上端における流路部材流路16を構成する壁の表層とは、それぞれの側面または流路部材流路16構成する壁の、流路部材8の上端から1cm程度の領域を示すが、燃料電池セル3の上端の温度が過剰に上昇しないように、セルスタック装置の構成に合わせて適宜設定すればよい。
【0064】
流路部材8は、耐熱性を有する材料により作製することが好ましく、熱伝導率が低いものがさらに好ましいため、セラミックス等が好適に用いられる。流路部材8を形成するセラミックス材料としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア等のセラミックス材料を例示することができる。なお、これらセラミックス材料は、希土類元素が固溶された部分安定化セラミックス材料や、安定化セラミックス材料とすることもできる。
【0065】
また、流路部材8が燃料電池セル3に接続されることから、絶縁性を有していることが好ましい。それにより、隣り合う燃料電池セル3に接続された流路部材8同士が接触した場合においても、電気的な短絡を防止することができる。
【0066】
流路部材8が絶縁性を有するためには、絶縁性材料から流路部材8を作製してもよいし、アルミナ被膜を形成するような公知の絶縁性コーティングを施してもよい。後述する燃焼触媒17は導電性を有するもののため、流路部材8が外部と接触するおそれがある部位(側面等)に絶縁性コーティングを施すことが好ましい。
【0067】
さらに、燃料電池セル3と接続することから、流路部材8の熱膨張係数と、燃料電池セル3(特には、導電性支持体10)の熱膨張係数とを近づけることが好ましい。流路部材8と導電性支持体10との熱膨張差を小さくすることにより、流路部材8と燃料電池セル3との接続面付近に生じる応力を緩和させることができ、燃料電池セル3の破損を抑制することができる。
【0068】
流路部材8と燃料電池セル3とを接続させる接着材としては、高温下での使用に耐えうるものであれば特に限定はないが、ホウケイ酸ガラス、ソーダ系ガラスが採用される。この接着材を、第1反応ガス流路9および流路部材流路16を塞がないように、第1反応ガス流路9および流路部材流路16をマスキングして、接着面に塗布すればよい。
【0069】
燃焼触媒17としては、白金やロジウム、パラジウム等があげられる。燃焼触媒17を流路部材8に設けることにより、酸素含有ガスと水素含有ガスとの活性度を向上させることができ、効率よく燃焼を行なうことができる。
【0070】
流路部材8の上端側に燃焼触媒17を設ける方法としては、白金等の微粒子と溶液とを混合し、この混合液に流路部材8の燃焼触媒17を設けたい領域を含浸し、その後熱処理を行えばよい。それにより、容易に流路部材8の所定の領域に燃焼触媒17を設けることができる。なお、メッキや塗布により薄い層上の燃焼触媒17層を設けてもよい。それにより、使用する燃焼触媒17の量を減少させることができ、流路部材8のコストを削減することができる。
【0071】
なお、図3に示す流路部材流路16は、流路部材流路16の径が流路部材8の高さによらず一定のものを示したが、流路部材流路16を高くなるにつれ径が小さくなる先細り形状としてもよい。その場合においては、流路部材8の上面の面積を増加させることができ、多くの燃焼触媒を備えることができることから、より流路部材8の上端近傍で燃焼を生じさせることができる。
【0072】
図4は、セルスタック装置1を構成する燃料電池セル3と流路部材18とを抜粋して概略的に示す斜視図であり、図5は、図4に示す燃料電池セル3と流路部材18との側面図である。
【0073】
図4および図5に示す流路部材18は、図2に示す流路部材8の上端における外周の角部をC面加工によって面取りされている。そして、上面、各側面の上面近傍および燃料電池セル3の上端における流路部材流路16を構成する壁の表層に燃焼触媒17が設けられている。
【0074】
流路部材18は上端における外周の角部が面取りされていることにより、流路部材18の上端における外周の角部に熱応力が集中することを防止することができ、流路部材18が破損することを抑制することができる。
【0075】
ここで、本発明の燃料電池モジュール(図示せず)は、燃料電池セル3の内部に設けられた第1反応ガス流路(燃料ガス流路)に燃料ガスを供給し、第2反応ガス導入部材(図示せず)から第2反応ガス(酸素含有ガス)を各燃料電池セル3間の下方に供給する。各燃料電池セル3間の下方に供給された酸素含有ガスは、燃料電池セル3間に形成された第2反応ガス流路(酸素含有ガス流路)19を下方から上方に流れ、流路部材18の上端側に送られる。そして、流路部材18の上端側にて燃料ガスと酸素含有ガスとが反応し、燃料電池モジュールを温めている。
【0076】
図5に示す本発明のセルスタック装置1は、複数の燃料電池セル3が所定の間隔を空けて配列されており、燃料電池セル3間を集電部材(図示せず)を介して電気的に直列に接続している。上述したとおり、一方の燃料電池セル3に接続している一方の集電片(図示せず)と、他方の燃料電池セル3に接続している他方の集電片との間の空間が第2反応ガス流路19となっている。なお、図5においては、1点鎖線で囲った部分を第2反応ガス流路19とする。
【0077】
図5に示す本発明の流路部材18は、上端における外周の角部が面取りされていることにより、第2反応ガス流路19を流れた酸素含有ガスが流路部材流路16の出口に向けて流れやすくなるため、燃料電池セルが低出力に作動する場合において、燃料電池セル3に供給される燃料ガスの量と、酸素含有ガスの量とが少ない場合においても、失火を抑制することができる。それにより、燃料電池セル3の温度が低下することを抑制することができ、燃料電池セル3の劣化を抑制することができる。
【0078】
なお、流路部材18においては、面取り方法としてC面加工した例を示したが、R面加工またはC面加工とR面加工との組み合わせにより、角部の面取りを行なってもよい。また、上端における外周のみを面取りした例を示したが、その他の部分においても必要に応じて適宜面取りを行なえばよい。
【0079】
また、第2反応ガス流路19は、隣り合う燃料電池セル3間における燃料電池セル3の高さに対応する領域を示し、集電部材(図示せず)が設けられている領域である。
【0080】
図6は、本発明のセルスタック装置のさらに他の一例における燃料電池セル3と流路部材20とを抜粋して概略的に示す斜視図であり、図7は、図6に示す燃料電池セル3と流路部材20とのC−C´線断面図である。
【0081】
図6に示す流路部材20は、内部に燃料電池セル3に設けられたそれぞれの第1反応ガス流路9に対応するように複数の流路部材流路16が形成されている。そして、流路部材20と燃料電池セル3の上端とが嵌め合わされている。それにより、容易に燃料電池セル3と流路部材20とを接続することができ、容易にセルスタック装置1を作成することができる。
【0082】
また、流路部材20を燃料電池セル3の上端に嵌め合わせて接続することにより、容易に流路部材20と燃料電池セル3とを接続することができる。そのため、流路部材20が破損した場合においても、容易に交換することができる。
【0083】
さらに、燃料電池セル3の上端と流路部材20とが嵌め合わされていることにより、燃料電池セル3と流路部材20との接続を強固にすることができ、燃料電池セル3と流路部材20との間から燃料ガスがリークすることを抑制することができる。そのため、燃料電池装置が低出力で作動し、燃料電池セル3に少量の燃料ガスが供給される場合においても、失火を抑制することができる。
【0084】
また、流路部材20と燃料電池セル3の上端とを嵌め合わせて接続することにより、燃料電池セル3と流路部材20との接続が強固なものとなるため、燃料電池セル3や流路部材20に応力が生じた場合においても、燃料電池セル3と流路部材20とが剥離を生じたり、破損したりすることを抑制することができる。
【0085】
なお、流路部材20を耐熱性のセラミックス材料にて作製する場合において、流路部材流路16を複数設ける場合においては、流路部材20を押出成形にて作製することで、容易に複数の流路部材流路16を設けた流路部材20を作製することができる。さらに、流路部材流路16の径は第1反応ガス流路9の径と同等以上の大きさとすることが好ましい。それにより、第1反応ガス流路9内にて燃料ガスが流れにくくなることを抑制することができる。
【0086】
燃料電池セル3と流路部材20とを嵌め合わせて接続する場合においても、上述した接着材(図示せず)を用いて接続することができる。接着材は、例えば、第1反応ガス流路9の出口および流路部材流路16の入口を塞がないように塗布することが好ましい。燃料電池セル3と流路部材20とを嵌め合わせて接続することにより、接着面積を増加させることができ、燃料電池セル3と流路部材20とをより強固に接続することができる。第1反応ガス流路9の出口および流路部材流路16の入口を塞がないように接着材を塗布する方法としては、第1反応ガス流路9の出口および流路部材流路16の入口をマスキングして接着材塗布するほか、燃料電池セル3と流路部材20とを接続後に、ガス吸引等により第1反応ガス流路9および流路部材流路16を貫通するように接着材を除去してもよい。
【0087】
なお、柱状の流路部材20を設けた例を示したが、流路部材は柱状でない形状を有してもよい。例えば、板部材等により流路部材を設けてもよい。その場合においても、燃料電池セル3の上端に生じる熱応力を緩和することができ、セルスタックの長期信頼性を向上させることができる。
【0088】
図8は、本発明のセルスタック装置1を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュール25の一例を示す外観斜視図であり、直方体状の収納容器26の内部に、図1に示したセルスタック装置1を収納して構成されている。
【0089】
なお、燃料電池セル3にて使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器27がセルスタック2の上方に配置されている。そして、改質器27で生成された燃料ガスは、ガス流通管28を介してマニホールド7に供給され、マニホールド7を介して燃料電池セル3の内部に設けられた第1反応ガス流路9に供給される。
【0090】
なお、図8においては、収納容器26の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されているセルスタック装置1および改質器27を後方に取り出した状態を示している。ここで、図1に示した燃料電池モジュール25においては、セルスタック装置1を、収納容器26内にスライドして収納することが可能である。なお、セルスタック装置1は、改質器27を含むものとしても良い。
【0091】
また収納容器26の内部に設けられた第2反応ガス導入部材29は、図8においてはマニホールド7に並置されたセルスタック2の間に配置されるとともに、第2反応ガス(酸素含有ガス)が燃料ガスの流れに合わせて、燃料電池セル3の側方を下端から上端に向けて流れるように、燃料電池セル3の下端に酸素含有ガスを供給する。そして、燃料電池セル3の第1反応ガス流路9より排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃料電池セル3の上端側で燃焼させることにより、燃料電池セル3の温度を上昇させるまたは高温に維持することができる。また、燃料電池セル3の上端側にて、燃料電池セル3の燃料ガス流路から排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃焼させることにより、燃料電池セル3(セルスタック2)の上方に配置された改質器27を効率よく温めることができる。それにより、改質器27で効率よく改質反応を行うことができる。
【0092】
さらに、本発明の燃料電池モジュール25においても、長期信頼性が向上した燃料電池セル3を用いて構成されるセルスタック装置1を収納容器26内に収納してなることから、長期信頼性が向上した燃料電池モジュール25とすることができる。
【0093】
ここで、セルスタック装置1に失火が生じると、燃料電池モジュール25の温度が低下するとともに、改質器27を十分に温めることができず、生成度の低い燃料ガスが燃料電池セル3に供給され、燃料電池セル3が劣化し、燃料電池モジュール25の長期信頼性が低下してしまうおそれがあった。
【0094】
本発明の燃料電池モジュール25においては、失火を抑制できるセルスタック装置1を収納容器26内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池モジュール25とすることができる。
【0095】
図9は、外装ケース内に図8で示した燃料電池モジュール25と、セルスタック装置1を作動させるための補機とを収納してなる本発明の燃料電池装置30の一例を示す分解斜視図である。なお、図9においては一部構成を省略して示している。
【0096】
図9に示す燃料電池装置30は、支柱31と外装板32から構成される外装ケース内を仕切板33により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール25を収納するモジュール収納室34とし、下方側を燃料電池モジュール25を動作させるための補機類を収納する補機収納室35として構成されている。なお、補機収納室35に収納する補機類を省略して示している。
【0097】
また、仕切板33には、補機収納室35の空気をモジュール収納室34側に流すための空気流通口36が設けられており、モジュール収納室34を構成する外装板32の一部に、モジュール収納室34内の空気を排気するための排気口37が設けられている。
【0098】
このような燃料電池装置30においては、上述したように、長期信頼性の向上した燃料電池モジュール25をモジュール収納室34に収納して構成することにより、長期信頼性の向上した燃料電池装置30とすることができる。
【0099】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【0100】
例えば、上述したセルスタック装置1においては、第1反応ガスとして燃料ガスを、第2反応ガスとして酸素含有ガスを用いる場合について例示したが、第1反応ガスとして酸素含有ガスを、第2反応ガスとして燃料ガスを用いる構成とすることもできる。この場合においては、内側電極層を空気極層13とし、外側電極層を燃料極層11とする構成の燃料電池セル3とし、第1反応ガス流路9に酸素含有ガスを供給し、第2反応ガス流路19に燃料ガスを供給すればよい。またこの場合において、モジュール20を構成する収納容器21は適宜構成を変更すればよい。
【0101】
また、流路部材を複数の燃料電池セルごとに設けた例を示したが、複数の燃料電池セルごとに流路部材を設けなくてもよい、例えば、それぞれの流路部材を一体化させ、燃料電池セルの配列方向に延在する流路部材を設けてもよい。その場合においては、セルスタックを構成する部材の数を減らすことができ、製造工程が簡略化することができる。
【符号の説明】
【0102】
1:セルスタック装置
2:セルスタック
3:燃料電池セル
5:導電部材
8、18、20:流路部材
9:第1反応ガス流路
16:流路部材流路
17:燃焼触媒
19:第2反応ガス流路
25:燃料電池モジュール
30:燃料電池装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反応ガスを下端から上端へ流すための第1反応ガス流路を内部に備え前記第1反応ガスと第2反応ガスとで発電する柱状の燃料電池セルを、集電部材を介して複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるとともに、前記燃料電池セルの上端側において発電に使用されなかった前記第1反応ガスと前記第2反応ガスとを燃焼させる構成のセルスタックを備えるセルスタック装置であって、
前記燃料電池セルの上面を覆うように、前記第1反応ガス流路を流れた前記第1反応ガスを前記燃料電池セルの上端からさらに上方へ流すための流路を内部に備えるとともに、上部に燃焼触媒を備えた流路部材が配置されていることを特徴とするセルスタック装置。
【請求項2】
前記流路部材の上面に前記燃焼触媒が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のセルスタック装置。
【請求項3】
前記流路部材は、前記流路を構成する壁の表層に前記燃焼触媒が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のセルスタック装置。
【請求項4】
前記流路部材が柱状であって、該流路部材の上面の外周の角部が面取りされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項5】
前記燃料電池セルの上端に前記流路部材が嵌め合わされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項6】
前記流路部材が耐熱性セラミックスにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項7】
前記燃料電池セルの下端側を固定するとともに前記燃料電池セルに前記第1反応ガスを供給するためのマニホールドを備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のセルスタック装置を収納容器に収納してなることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の燃料電池モジュールと、該燃料電池モジュールを作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることを特徴とする燃料電池装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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