説明

セルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法及び装置

セルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法ならびに装置。本方法は、セルロース小片と重合体繊維とを混合してセルロースと重合体繊維の混合物にするステップを含む。この混合物は、セルロースと繊維材料の結合製品を形成するように、重合体繊維が溶け始めてセルロース小片に付着する温度まで加熱される。本方法のための装置(10)が、第1の搬送手段(12)と、第2の搬送手段(34)と、混合手段(40)と、加熱手段(56)とを備える。本装置は、重合体繊維材料と混和する前に、セルロース材料、すなわち、典型的には再生新聞用紙を細断するために主細断機(14)および副細断機(20)をさらに備える。細断機も説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法及び装置に関する。本発明は特に、限定するものではないが、油こぼれ又は他の液体汚染物を清掃するのに適切な吸収マットを製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人のオーストラリア特許出願第2003271417号が、繊維とセルロース材料のふっくらした混合材から製品を形成する方法及び装置を開示している。AU2003271417では、繊維材料が羊毛繊維を含んでおり、この発明は羊毛繊維をセルロースとうまく組み合わせて優れた断熱品質を有する複合材を形成するプロセスに関するものであった。AU2003271417で使用された繊維材料は典型的に、羊毛繊維、繊維性結合材料、繊維性充填剤材料、ポリエステル繊維、及び低融点ポリエステル繊維など、様々な繊維材料の組合せを含んでいる。AU2003271417は、以下の割合、すなわち、約50%の低融点ポリエステル繊維、約25%の充填剤ポリエステル繊維、及び約25%の羊毛繊維という割合にある繊維材料の混和物が好ましいと述べている。AU2003271417の方法及び装置は主として、複合材料から作製された断熱バットか、あるいは油こぼれ又は化学横溢物を吸い取るのに特に有用な吸収マットを製造するために設計されたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】オーストラリア特許出願第2003271417号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AU2003271417の方法及び装置によって形成された製品は、その設計目的に対しては概ね十分に適切であったが、製造過程には多少操業コストが掛かるものであった。さらには、これらの製品に使用された合成繊維材料の割合が比較的高いことからすると、これらはそれほど環境に優しいものではなかった。
【0005】
本発明は、セルロースと繊維材料の結合製品を製造する改良された方法及び装置を提供することを企図して開発された。
【0006】
本明細書における先行技術に対する言及は、例示目的で行われたものにすぎず、したがって、そのような先行技術がオーストラリア又は他の地域で共通の一般的知見の一部であることを容認するものと見なされるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、セルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法が提供されており、本方法は、
平均サイズが約2から6mmのセルロース小片を形成するために、再生新聞用紙をより細かい小片に細断するステップと、
重合体繊維材料を準備するステップと、
セルロース小片と重合体繊維とを混合してセルロースと重合体繊維の混合物にするステップと、
セルロースと繊維材料の結合製品を形成するように、重合体繊維が溶け始めてセルロース小片に付着し始める温度までセルロースと重合体繊維の混合物を加熱するステップと、
を含む。
【0008】
好ましくは、細断するステップが、第1の細断するステップおよび第2の細断するステップを含む。新聞用紙は、第1の細断するステップで主細断機において約10から30mmの平均小片サイズに細断される。より好ましくは、新聞用紙が、第1の細断するステップで主細断機において約20mmの平均小片サイズに細断される。さらには、新聞用紙が、第2の細断するステップで副細断機において約2から6mmの平均小片サイズに細断される。より好ましくは、新聞用紙が、第2の細断するステップで副細断機において約4mmの平均小片サイズに細断される。
【0009】
セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合は、混合物全体の約50重量%から95重量%の間であることが好ましい。より典型的には、セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合が、混合物全体の約70重量%から90重量%の間である。最も好ましくは、セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合が、混合物全体の約80重量%である。それぞれの場合で、混合物の残余は重合体繊維から構成されることが好ましい。本発明による典型的なセルロースと重合体繊維の混合物は、再生新聞用紙に由来する80%のセルロースと20%の低融点ポリエステル繊維とを含む。
【0010】
本発明の別の態様によれば、セルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置が提供されており、本装置は、
平均サイズが約2から6mmのセルロース小片を形成するために、再生新聞用紙をより細かい小片に切断する細断機と、
セルロース小片を搬送する第1の搬送手段と、
重合体繊維材料を搬送する第2の搬送手段と、
該第1の搬送手段及び第2の搬送手段に作用的に連結された、セルロース小片と重合体繊維とを混合してセルロースと重合体繊維の混合物にする混合手段と、
セルロースと繊維材料の結合製品を形成するように、重合体繊維が溶け始めてセルロース小片に付着し始める温度までセルロースと重合体繊維の混合物を加熱する加熱手段と、
を備える。
【0011】
好ましくは、細断機が、1対の細断機、すなわち、新聞用紙を約10から30mmの平均小片サイズに細断する主細断機、及び新聞用紙を約2から6mmの平均小片サイズに細断する副細断機の一方である。より好ましくは、主細断機が新聞用紙を約20mmの平均小片サイズに細断し、副細断機が新聞用紙を約4mmの平均小片サイズに細断する。
【0012】
推奨される実施形態では、副細断機はドラムを備えて、そのドラムの中に、単一の電気モータによって駆動される2本の軸が回転可能に取り付けられている。副細断機の各軸は、その軸上に相互に離間関係で取り付けられた複数の鋭利な切断刃を有する。一実施形態では、切断刃が、よりきれいに切断し、よって発生する粉塵の量を低減する芝刈り刃である。この双軸は、新聞用紙の断片のサイズをさらに低減するために、これらの刃を高速で回転させてセルロース材料を細切れにする。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、セルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置においてセルロース材料を細断するために使用される細断機が提供されており、本細断機は、
ドラムを備えて、そのドラムの内部に複数の軸が回転可能に取り付けられ、
各軸が、その軸上に相互に離間関係で取り付けられた複数の鋭利な切断刃を有し、軸が高速で駆動されるときに、これらの軸は、セルロース材料をより細かい小片に細切れにするために刃を回転させる。
【0014】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明の方法にしたがって製造される、セルロースと繊維材料の結合製品が提供される。
【0015】
本明細書の全体を通して、文脈によって別途に要求されない限り、「備える(含む)」という言葉またはその「三人称現在形」もしくは「現在分詞形」のような変化形は、言及された完全体または完全体のグループの包含を暗示するが、他の任意の完全体または完全体のグループを排除するものではない。同様に、「好ましくは」という言葉または「推奨される」というような変形は、言及された完全体または完全体のグループが望ましいことを暗示するが、本発明の機能にとって不可欠であるわけではない。
【0016】
本発明の本質は、添付の図面を参照して例示としてのみ供されている、融合されたセルロースおよび繊維材料の製品を製造する方法ならびに装置の推奨される実施形態の以下の詳細な説明からより適切に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法及び装置の推奨される実施形態のセルロース区間を例示した図である。
【図2】図1の方法および装置の繊維区間を例示した図である。
【図3】図1の方法および装置の混和区間を例示した図である。
【図4】図1の方法および装置の付着ならびに切断区間を例示した図である。
【図5】本発明の副細断機を示した上方斜視図である。
【図6】動作中の図5の細断機を示した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から4は共に、本発明に係るセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置10の推奨される実施形態を例示する。この製品は、油およびグリースのこぼれのような産業横溢物を吸収するための特定の用途を有する。
【0019】
装置10は、小片状の形態にあるセルロース材料を本装置の次段階に搬送する第1の搬送手段12を好ましく備える。本発明の方法及び装置で使用されるセルロース材料は再生紙、好ましくは新聞用紙から入手されることが好ましく、これらの再生紙は、これらの紙を小片状の形態にあるセルロース材料に変換するために、最初に細断されなければならない。したがって、本実施形態の装置10は、新聞用紙を約10〜30mmの平均小片サイズ、より好ましくは約20mmの小片サイズの断片に細断するために主細断機14をさらに備えることが好ましい。再生新聞用紙は、時間調整された搬送機ベルト16によって回転篩18に送られるが、この回転篩では、それに連結された主細断機14による細断の前に、新聞用紙は何枚もの紙を分離するために翻転される。
【0020】
本実施形態の第1の搬送手段は、細断された紙小片を主細断機14から副細断機20に運ぶ第1の空気流12aと、細断された紙小片を副細断機20から本過程の次段階に運ぶ第2の空気流12bとを備える。しかし、所望の小片サイズのセルロースが装置10に供給される場合は、本過程に細断機14及び20を具備する必要がない。
【0021】
副細断機20はドラム70を備えて、そのドラムの中に、単一の30馬力電気モータ74によって駆動される2本の軸72が回転可能に取り付けられている。副細断機20の各軸72は、その軸上に相互に離間関係で取り付けられた複数の鋭利な切断刃76を有する。芝刈り刃は、それらがよりきれいに切断し、よって発生する粉塵の量を低減するので、この目的には特に適切に機能することが分かっているが、他の種類の刃を使用してもよい。過剰な粉塵が存在しない中で加熱しなければ、これらの材料が、適切な最終製品を実現するために十分に適切に付着し合うことができないので、本発明における粉塵の低減は特に重要であることに留意されるべきである。
【0022】
ドラム70の下面78は孔が形成されている。軸72に対して垂直である下面78の横断面形状は、概ね形状が弓形である。空気の流れが、ドラム70の第1の端部80からドラム70の第2の対向端部82に向かって、概ね水平にかつ軸72に対して垂直に誘導される。この空気流は、紙が刃76によってより効果的に細断されうるように、紙を移動させるために孔を通過する。
【0023】
各軸72は、その長さに沿って軸に対して垂直に取り付けられた複数の円板84を具備する。円板84は、その周辺回りで軸72に対して平行に取り付けられた複数の支持棒86を支持する。刃76は、これらの刃76が支持棒86を中心として回転できるように支持棒86の上に取り付けられる。図示の実施形態では、各軸が3本の支持棒86を具備し、それぞれの支持棒が、その長さに沿って取り付けられた32枚の刃を有する。したがって副細断機20は、合計で192枚の刃を具備する。これらの刃は典型的に、幅が2インチ(約5.1cm)または3インチ(約7.6cm)である。刃76は、各支持棒86のそれぞれの長さに沿って4枚組で枢動可能に取り付けられる。各刃76は、図5に示されているように、静止位置では、隣接する支持棒86上の別の4枚組刃からの刃76と対向方向で重なる。
【0024】
2本の軸72が回転すると、これらの刃は、遠心力により、それらが軸72に対して径方向へ外向きに延伸する位置に外向きに枢動する。2本の軸72は、それぞれの軸上の刃が回転中に完全に外向きに延伸されるとき、これらの刃が、図6に示されているように、完全にではないが、殆ど接触するように十分な距離だけ離間される。この双軸72は、新聞用紙の断片のサイズを約2から6mmの平均小片サイズに、より具体的には約4mmの小片サイズにさらに低減するために、高速で(典型的には毎分約2000回転で)刃を回転させてセルロース材料を細切れにする。この低減した小片サイズは、重合体繊維とのより適切な混合を可能にし、かつ加熱段階でこれらの成分のより適切な混和を可能にする。
【0025】
副細断機20は、本発明で使用するのに適切な小片サイズの細断された新聞用紙の生産を可能にし、しかも過剰量の粉塵を発生させることなく可能にする。これらの刃は、粉塵の発生を低減する鋭く、きれいな切断を可能にする。従来技術の方法では、一般的にハンマーミルを使用して紙を破砕するが、これらの技術は大量の粉塵を発生させることが知られている。
【0026】
細断された新聞用紙(小片状のセルロース材料)は、第3の空気流12cによって副細断機20からサイクロン22に搬送される。サイクロン22の目的は、粉塵を小片状のセルロース材料から分離することである。粉塵は、粉塵抜取り口24を経由してサイクロン22から抜き取られる。新聞用紙の細断中に発生した粉塵はまた、結合製品中の繊維材料に付着しないことも分かっているので、したがって早い段階で除去されるのが最善である。粉塵抜取り口(図示せず)が副細断機20にも設けられてよい。抜き取られた粉塵は、本装置10を格納する施設の外部に配置された粉塵ホッパ(図示せず)に空気流によって運ばれるのが好ましい。
【0027】
小片状のセルロース材料は、難燃剤及び害虫除け化学溶液で化学的に処理されることが好ましい。また小片状のセルロース材料は、疎水性の化学溶液で処理されることも好ましい。この目的のために、本装置10は、適切な化学溶液を小片状のセルロース材料と混和するための第1の混和タンク26をさらに備えることが好ましい。化学溶液は、化学物質噴射システム28を経由して第1の混和タンク26の中へ噴射される。粉塵抜取り口24が、粉塵を第1の混和タンク26から抜き取るために設けられる。本実施形態の処理済みセルロース小片は、重合体繊維材料と混合される準備ができたことになる。第4の空気流12dが、処理済みセルロース小片を混和タンク26から本過程の次段階に搬送する。
【0028】
本装置10は、結合製品を製造する過程における次段階に重合体繊維材料を搬送する第2の搬送手段をさらに備えることが好ましい。本発明の過程で使用される重合体繊維材料は、4デニール×51mmのポリエステルスフのような、低融点ポリエステル繊維であることが好ましい。しかし、重合体繊維が高温に曝されるときに溶け始めれば、任意適切な重合体繊維材料を本発明の過程に使用してもよい。
【0029】
本装置10は、重合体繊維材料の繊維を分離し、かつこれらをより細かい小片に分割するための分離機/微細開繊機30をさらに備えることが好ましい(図2参照)。本実施形態では、第2の搬送手段が1対の爪付き搬送機32a及び32bと、これらの搬送機32間で繊維を搬送するための第1の空気流34aと、繊維を第2の爪付き搬送機32bから分離器/微細開繊機30に搬送するための第2の空気流34bとを備える。第4の空気流34cが、分離されかつ分割された繊維を第2の混和タンク36に搬送する。粉塵抜取り口38が、粉塵及び過剰な空気を第2の混和タンク36から外部に配置された粉塵ホッパ(図示せず)に抜き取る。第4の空気流34dが、第2の混和タンク36の内容物を本過程の次段階に搬送する。
【0030】
本装置10は、第1及び第2の搬送手段に作用的に連結された、セルロース小片と重合体繊維とを混合してセルロースと重合体繊維の混合物にするための混合手段40(図3参照)をさらに備えることが好ましい。第1の混和タンク26及び第2の混和タンク36の両方が、これらは既に図1及び2にそれぞれ例示されたものだが、図3に再び示されている。第1の混和タンク26からの計量された量の処理済みセルロース小片が、分離されかつ分割された繊維と第2の混和タンクの中で混和するために、空気流12dによって第2の混和タンク36に搬送される。第2の混和タンク36で約5分の既定時間(またはこれらの成分を混和するのに十分な時間の長さ)の間混和した後、混和された生成物は、次に空気流34dによって混合手段40に送られる。混合手段40は、セルロース小片と重合体繊維とを完全に混合してセルロースと重合体繊維の混合物にする。一実施形態では、混合手段が1947混毛機であり、これは混合物全体にわたってセルロース小片の均一な混合を実現するようにポリエステル繊維を分離する。
【0031】
重要なことであるが、セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合は、混合物全体の約50重量%から95重量%の間である。より典型的には、セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合が、混合物全体の約70重量%から90重量%の間である。最も好ましくは、セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合が、混合物全体の約80重量%である。それぞれの場合で、混合物の残余は重合体繊維から構成される。したがって、本発明にしたがう典型的なセルロースと重合体繊維の混合物は、再生新聞用紙(新聞紙)に由来する80%のセルロースと20%の低融点ポリエステル繊維とを含む。
【0032】
結合製品におけるセルロースの高い割合は、幾つかの利点を与える。第1に、それはこの製品の大部分が生分解性であり、よってこの製品は、主として合成材料から製造された同等の製品よりも遙かに環境に優しいことを意味する。第2に、セルロースの高い割合は、結合製品が卓越した吸収特性を有することを意味する。実験では、セルロースと繊維材料の乾燥した結合製品は、それ自体の重量の15倍を超える油を吸収できることを示す。例えば、1リットルの油の表面上に5分間置かれた26グラムの重量の乾燥したパッド製品は、458グラムの重量となり、このパッドが、それ自体の重量の16.6倍の油を吸収したことを示す。このパッドは、それから油が少しも滴らずに、油缶から取り上げで運ぶことが可能であった。
【0033】
混合手段40からの混合済み生成物は、次に空気流42によって空気層ホッパ44に搬送される。次いで、ホッパ44の内部の爪付き搬送機46が、混合済み生成物の流れを均一化するために2機の高速叩解機48に通して、この生成物を容積測定供給機システム50の中へ送り出す。容積測定供給機システム50の目的は、混合済み生成物の密度を制御することである。これは、混合済み生成物を容積測定供給機システム50の内部の垂直な空気柱の中へ重力で送ることによって達成される。混合済み生成物は、容積測定供給機システム50を出て、本過程の次段階に生成物を運ぶ搬送機ベルト52の上に達する。粉塵抜取り口54が、粉塵を空気層ホッパ44及び容積測定供給機システム50から外部の粉塵ホッパ(図示せず)に除去する。
【0034】
本装置10は、セルロースと繊維材料の結合製品を形成するように、重合体繊維が溶け始めてセルロース小片に付着し始める温度まで、セルロースと重合体繊維の混合物を加熱するための炉56の形態にある加熱手段をさらに備えることが好ましい。混合済み生成物の層が平坦化ローラ(図示せず)の下を搬送されて、耐熱ケブラー材料から作製された搬送機ベルト52上で炉56の中へ進入する。炉56の温度は典型的に、この生成物が炉を通過する速度に応じて、約125℃から135℃にわたる範囲内で一定に維持される。生成物が炉を通過する速度は生成物層の厚さにもよるが、その厚さは、より厚い層でも生産可能であるけれども、典型的には18mmと40mmとの間の厚さである。炉56の温度は、制御盤58を経由して厳密に制御される。炉の排気ガスは、炉排気口60を介して抜き出される。
【0035】
圧延された生成物が炉56を通過すると、ポリエステル繊維が溶け始めて混合済みのセルロース小片に付着し始め、セルロースと繊維材料の結合されたブランケットを形成する。このブランケットは、搬送機ベルト52の上で炉56を出て、ブランケットを完成された結合製品の適切な幅の細片に切断する複数の切断機62を通過する。完成品の細片は、ロール巻きされるか又はパッドに切断されて、包装されかつ輸送される状態になっている。完成品は、所望の用途に応じて、ブーム、マット、パッド、ロール、モップ、ブランケット、およびピローに形成可能である。上で留意したように、その卓越した吸収特性は、本製品を特に油および化学横溢物の清掃に適切なものにする。しかし、それは、建物及び他の構造物の天井及び壁中のバットのような断熱ならびに断音材にも使用可能である。セルロースとポリエステル繊維の結合製品は、テックスクリューで固定されるのに十分な強度を有しかつ適切に目が粗く、それを特に建設業界にとって魅力あるものにすることが分かった。
【0036】
また図示された実施形態は、セルロースと繊維材料の結合製品を製造する本発明の方法も例示する。本方法は、混合手段40の中で重合体繊維材料と混合されてセルロースと重合体繊維の混合物になる、新聞用紙のようなセルロース材料をセルロース小片として小片状の形態で供給するステップを含む。セルロースと重合体繊維の混合物は、セルロースと繊維材料の結合製品を形成するために、重合体繊維がセルロース小片に付着するように溶け始める温度まで(炉56の中で)加熱される。
【0037】
セルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法ならびに装置の推奨される実施形態が詳細に説明されたので、本実施形態が従来技術に対して以下を包含する幾つかの利点を実現することは明白であろう。すなわち、
(i) 吸収特性を有するセルロースと繊維材料の結合製品を生産し、特に油こぼれ及び化学横溢物の清掃に適切である。
(ii) 従来技術の方法及び装置よりも操業がより経済的である簡素化された過程を伴う。
(iii) 主として合成材料から作製される同等の従来技術の製品よりも環境に優しい、セルロースと繊維材料の結合製品を生産する。
(iv) 殆ど又は全く人間が介在することなく、セルロースと繊維材料の結合製品を生産するために容易に完全自動化が可能である。
(v) 所望のサイズ及び形状に容易に切断可能なセルロースと繊維材料の結合製品を生産する。
(vi) 本方法は再生新聞紙を利用するので、環境に優しい過程である。
【0038】
本発明の基本的な新規の構想から逸脱することなく、既に説明した実施形態に加えて、様々な変型及び改良が以上の実施形態に実施可能であることが当業者には直ちに明白であろう。したがって本発明の範囲は、説明された特定の実施形態に限定されるものではないことが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法であって、
平均サイズが約2から6mmのセルロース小片を形成するために再生新聞用紙をより細かい小片に細断するステップと、
重合体繊維材料を準備するステップと、
前記セルロース小片と前記重合体繊維とを混合してセルロースと重合体繊維の混合物にするステップと、
セルロースと繊維材料の結合製品を形成するように、前記重合体繊維が溶け始めて前記セルロース小片に付着し始める温度まで前記セルロースと重合体繊維の混合物を加熱するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記細断するステップは、第1の細断するステップ及び第2の細断するステップを含む、請求項1に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項3】
前記新聞用紙は、前記第1の細断するステップで主細断機において約10から30mmの平均小片サイズに細断される、請求項2に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項4】
前記新聞用紙は、前記主細断機において約20mmの平均小片サイズに細断される、請求項3に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項5】
前記新聞用紙は、前記第2の細断するステップで副細断機において約2から6mmの平均小片サイズに細断される、請求項4に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項6】
前記新聞用紙は、前記副細断機において約4mmの平均小片サイズに細断される、請求項5に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項7】
前記副細断機はドラムを備えて、前記ドラムの内部に単一の電気モータによって駆動される2本の軸が回転可能に取り付けられている、請求項6に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項8】
前記副細断機の各軸は、前記軸上に相互に離間関係で取り付けられた複数の鋭利な切断刃を有する、請求項7に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項9】
前記セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合は、前記混合物全体の約50重量%から95重量%の間である、前記請求項のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項10】
前記セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合は、前記混合物全体の約70重量%から90重量%の間である、請求項9に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項11】
前記セルロースと重合体繊維の混合物におけるセルロース材料の割合は、前記混合物全体の約80重量%である、請求項10に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項12】
前記混合物の残余は重合体繊維から構成される、請求項9から11のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項13】
本発明にしたがう前記セルロースと重合体繊維の混合物は、再生新聞用紙に由来する80%のセルロースと20%の低融点ポリエステル繊維とを含む、請求項12に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する方法。
【請求項14】
セルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置であって、
平均サイズが約2から6mmのセルロース小片を形成するために再生新聞用紙をより細かい小片に切断する細断機と、
前記セルロース小片を搬送する第1の搬送手段と、
重合体繊維材料を搬送する第2の搬送手段と、
前記第1及び第2の搬送手段に作用的に連結された、前記セルロース小片と前記重合体繊維とを混合してセルロースと重合体繊維の混合物にする混合手段と、
セルロースと繊維材料の結合製品を形成するように、前記重合体繊維が溶け始めて前記セルロース小片に付着し始める温度まで前記セルロースと重合体繊維の混合物を加熱する加熱手段と、
を備える装置。
【請求項15】
前記細断機は1対の細断機の一方であり、前記細断機対は主細断機及び副細断機である、請求項14に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項16】
前記主細断機は、前記新聞用紙を約10から30mmの平均小片サイズに細断する、請求項15に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項17】
前記主細断機は、前記新聞用紙を約20mmの平均小片サイズに細断する、請求項16に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項18】
前記副細断機は、前記新聞用紙を約2から6mmの平均小片サイズに細断する、請求項17に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項19】
前記副細断機は、前記新聞用紙を約4mmの平均小片サイズに細断する、請求項18に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項20】
前記副細断機はドラムを備えて、前記ドラムの内部に単一の電気モータによって駆動される2本の軸が回転可能に取り付けられている、請求項15に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項21】
前記副細断機の各軸は、前記軸上に相互に離間関係で取り付けられた複数の鋭利な切断刃を有する、請求項20に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項22】
前記切断刃は芝刈り刃である、請求項21に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項23】
前記軸は、新聞用紙の断片のサイズをさらに低減するために、前記刃を高速で回転させて前記セルロース材料を細切れにする、請求項21又は請求項22に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項24】
前記ドラムは、前記軸に対して実質的に垂直である、空気流が通過できる孔が形成された下面を具備する、請求項20から23のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項25】
前記下面の横断面形状は、概ね形状が弓形である、請求項24に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項26】
各軸は、前記軸の長さに沿って前記軸に対して垂直に取り付けられた複数の円板を具備する、請求項20から請求項25のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項27】
前記円板は、前記円板の周辺回りで各軸のそれぞれに平行に取り付けられた複数の支持棒を支持する、請求項26に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項28】
前記刃は、前記刃が前記支持棒を中心として回転できるように前記支持棒上に取り付けられる、請求項27に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項29】
各軸は3本の支持棒を具備し、各支持棒はそれぞれに前記支持棒の長さに沿って取り付けられた32枚の刃を有する、請求項28に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項30】
前記刃のそれぞれが、遠心力により、前記刃が各軸に対してそれぞれ径方向へ外向きに延伸する位置に外向きに枢動する、請求項28又は請求項29に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項31】
前記刃は各支持棒のそれぞれの長さ伝いに4枚組であり、各刃が、静止位置では、隣接する支持棒上の別の組の刃からの各刃と対向方向で重なる、請求項27から30のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項32】
前記新聞用紙は、前記主細断機に進入する前に回転篩に進み、前記新聞用紙は、前記主細断機による細断の前に何枚もの紙を分離するために前記回転篩において翻転される、請求項16から31のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項33】
前記第1の搬送手段は第1の空気流を備える、請求項14から32のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項34】
前記細断された新聞用紙は、粉塵抜取りを補助するために、第3の空気流によって前記副細断機からサイクロンに搬送される、請求項15から33のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項35】
前記セルロース小片は、難燃剤及び害虫除け化学溶液で化学的に処理される、請求項14から34のいずれかに記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項36】
前記重合体繊維材料は低融点ポリエステル繊維である、請求項14から34のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項37】
前記低融点ポリエステル繊維は、4デニール×51mmのポリエステルスフである、請求項36に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項38】
前記第2の搬送手段は、1対の爪付き搬送機と、前記重合体繊維を前記それぞれの爪付き搬送機間で搬送するための最初の空気流と、前記繊維を前記第2の爪付き搬送機から分離機に搬送するための第2の空気流とを備える、請求項14から37のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項39】
前記混合手段は、前記セルロース小片と前記重合体繊維とを混合してセルロースと重合体繊維の混合物にするために、前記第1及び第2の搬送手段に作用的に連結される、請求項14から38のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項40】
前記加熱手段は炉の形態にあり、前記炉の温度が約125℃から135℃にわたる範囲内にある、請求項14から39のいずれか一項に記載のセルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項41】
請求項1から13のいずれか一項に記載の本発明の前記方法にしたがって製造される、セルロースと繊維材料の結合製品。
【請求項42】
セルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置においてセルロース材料を細断するために使用される細断機であって、
ドラムを備えて、前記ドラムの内部に複数の軸が回転可能に取り付けられ、
各軸が、前記軸上に相互に離間関係で取り付けられた複数の鋭利な切断刃を有し、前記軸が高速で駆動されるときに、前記軸は、セルロース材料をより細かい小片に細切れにするために前記刃を回転させる、細断機。
【請求項43】
セルロース材料を細断するために使用される細断機であって、
ドラムを備えて、前記ドラムの内部に複数の軸が回転可能に取り付けられ、
各軸が、前記軸上に相互に離間関係で取り付けられた複数の鋭利な切断刃を有し、前記軸が高速で駆動されるときに、前記軸は、セルロース材料をより細かい小片に細切れにするために前記刃を回転させる、細断機。
【請求項44】
前記切断刃は芝刈り刃である、請求項43に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項45】
前記ドラムは、前記軸に対して実質的に垂直である、空気流が通過できる孔が形成された下面を具備する、請求項43又は44に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項46】
前記下面の横断面形状は、概ね形状が弓形である、請求項45に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項47】
各軸は、前記軸の長さに沿って前記軸に対して垂直に取り付けられた複数の円板を具備する、請求項44から46のいずれか一項に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項48】
前記円板は、前記円板の周辺回りで各軸のそれぞれに平行に取り付けられた複数の支持棒を支持する、請求項47に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項49】
前記刃は、前記刃が前記支持棒を中心として枢動できるように前記支持棒上に取り付けられる、請求項48に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項50】
各軸が3本の支持棒を具備し、各支持棒はそれぞれが、前記支持棒の長さに沿って取り付けられた32枚の刃を有する、請求項48又は請求項49に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項51】
前記刃のそれぞれは、遠心力により、前記それぞれの刃が各軸のそれぞれに対して径方向へ外向きに延伸する位置に外向きに枢動する、請求項43から50のいずれか一項に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項52】
前記刃は、各支持棒のそれぞれの長さ伝いに4枚組であり、各刃は、隣接する支持棒上の別の4枚組刃からの各刃と対向方向で重なる、請求項43から51のいずれか一項に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項53】
前記軸は、セルロース材料の断片のサイズをさらに低減するために、前記刃を高速で回転させて前記セルロース材料を細切れにする、請求項43から52のいずれか一項に記載のセルロース材料を細断するために使用される細断機。
【請求項54】
添付の図面を参照して本明細書に実質的に説明されかつ添付の図面に例示される、融合されたセルロースおよび繊維材料の製品を製造する方法。
【請求項55】
添付の図面を参照して本明細書に実質的に説明されかつ添付の図面に例示される、セルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置。
【請求項56】
添付の図面を参照して本明細書に実質的に説明されかつ添付の図面に例示される、セルロースと繊維材料の結合製品を製造する装置においてセルロース材料を細断するために使用される細断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−516912(P2010−516912A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546614(P2009−546614)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000078
【国際公開番号】WO2008/089513
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(509211000)エンバイロバット プロプライアタリー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】