説明

セレノキノン由来の活性有機金属錯体、該錯体の製造方法、および、該錯体の用途

本発明は、セレノキノン由来の、生物活性を有する新規な有機金属錯体の製造、および、癌の予防または治療における該錯体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、セレノキノンから生物活性を有する有機金属錯体を製造する方法に関する。
【0002】
該錯体は、異常な細胞増殖(特に癌)をともなう疾患の予防または治療の分野に応用可能である。
【0003】
以下の記載において、かぎ括弧“[ ]”に挟まれた数字は、本明細書の末尾に記載する先行技術文献一覧を指している。
【0004】
〔背景技術〕
キノンは、化学および生物学において重要な役割を果たす化合物群である[1]。例えば、ビタミンKはその構造(ナフトキノン)内にキノン官能基を有し[2]、抗出血性を有する。ローソン(lawsone)は、アラビア原産の植物(Lawsonia inermis)によって天然に生成されるナフトキノンであり、ヘンナという名称でよく知られ、特に羊毛および絹、または、毛髪を染色するために使用される。アリザリンは、W.H. Perkinが1868年に合成した赤色の天然染料である。
【0005】
キノンの生物活性は、その電子伝達レベルおよび酸化還元電位に関連することが多い[3]。キノン−ヒドロキノンの酸化還元対は、すぐに入手可能であり、良好な電気化学的挙動を示すので電気化学分野の研究において広く使用されてきた[4]。
【0006】
水溶液中のヒドロキノンには、主に還元剤としての作用に起因する多数の用途がある。ヒドロキノンは写真現像における主成分の1つであり、メトール(つまり、4−(メチルアミノ)フェノール)の存在下において、露光された銀塩(銀塩は目に見えない)を還元して金属銀を生成する。ヒトを対象とする医療において、ヒドロキノンは、酵素チロシナーゼの形成を阻害してメラニンの合成を減少させることによって、皮膚疾患の危険性を冒さずに皮膚の色を低減するために、皮膚への塗布用として使用されてきた。ただし、この用途には発癌性作用および「重大な合併症」の恐れがあるので、欧州連合(EU)では2001年2月以降禁止されている。
【0007】
現在、上記のヒドロキノンまたはキノンがπ結合配位子として作用する、有機金属錯体の例はほとんど存在しない[5,6]。例えば、クロム類似体Cr(CO)(η−ヒドロキノン)は、熱的に不安定で空気感受性を有すると報告されており、この理由によって単離することができなかった[7]。したがって、金属および補助配位子の種類が、これらのキノン−ヒドロキノン錯体の安定化において主な役割を果たしているようである。
【0008】
1998年に、本発明者らは、初めて安定なキノン−ヒドロキノン金属錯体の合成に成功した。具体的には、安定なイリジウム−ヒドロキノン錯体[(CMe)Ir(η−ヒドロキノン)]2+、および、イリジウム−キノン錯体[(CMe)Ir(η−キノン)]である[8]。また、2004年に、本発明者らはロジウム−ヒドロキノン錯体[(CMe)Rh(η−ヒドロキノン)]2+、および、ロジウム−キノン錯体[(CMe)Rh(η−キノン)]の合成に成功した[9]。
【0009】
ベンゾキノン(o−およびp−)とは対照的に、そのイオウ類似体であるジチオベンゾキノン(o−およびp−)は非常に不安定な反応性の高い中間体である。このため、このテーマに関する報告が非常に少ないことによってわかるように、ほとんど研究されずにいる。ジチオベンゾキノンが不安定である本質的な理由は、C=O二重結合に比べるとC=S二重結合の不安定性が一般的に高いことに起因する[10]。ただし、2006年および2007年に、発明者らは、革新的な合成プロセスによって、o−異性体およびp−異性体の形態の安定なジチオキノン有機金属錯体の合成に成功した[12]。
【0010】
ただし、遊離キノンの生物学的特性とは対照的に、キノン−ヒドロキノンに由来する有機金属錯体の生物学的特性およびそのイオウ誘導体は、特定されていない。
【0011】
生物学的特性が実証された有機金属錯体の一例としては、シスプラチン、つまりシス−ジアンミンジクロロ白金(II)(CDDP)を挙げることができ、シスプラチンは、例えば、肉腫、細胞腫(小細胞肺癌、卵巣癌など)、または、リンパ腫などの各種癌の治療において使用される白金系錯体である。シスプラチンは、カルボプラチンおよびオキサリプラチンとともに、DNAをアルキル化する種類の化合物に属する。シスプラチンは、DNAのプリン塩基(AまたはG)に選択的に付着してDNA二本鎖の局所的な高次構造に変化をもたらす有機金属錯体である。この高次構造の変化によって、DNAによるRNA複製および転写が阻害されることにより、細胞死が誘起される。シスプラチン−DNA付加体の形成に関連して、タンパク質にはさまざまな修復メカニズムが存在し、これらの修復メカニズムが形成された付加体の一部を認識する。癌治療の研究は、(DNAを制御するためのあるメカニズムが欠如している状態で)癌細胞を毒性の標的とする新規な手段を模索しながら、シスプラチンの細胞傷害性を利用することに基づいている[14]。
【0012】
癌は最大の死亡理由の1つであるため、今日、世界のもっとも重大な公衆衛生問題の1つである。多数の薬物がこれまでに開発され、今も開発されている。ただし、これらの薬物では、すべての症例がうまく治療できるようになるわけではない。また、化学療法において使用される薬物は、望ましくない副作用を示すことがあり、癌細胞に関する薬物作用の有効性および/または特異性が適切ではないこともある。
【0013】
特に、シスプラチンは有毒性のある重篤な副作用を示し、アレルギー、胃腸障害(悪心、嘔吐、消化管の潰瘍)、血液疾患(赤血球数、白血球数、および、血小板数の減少)、腎障害、聴力障害(耳鳴り、高周波数に対する聴力低下、音がどこから来るのかを判断することが非常に難しくなる、耳の分解能の低下)、または、神経障害(多少持続性のあるチクチクする痛みをともなう四肢の錯感覚、および、多少程度の高い運動失調を引き起こす感受性の急激な低下)を引き起こす可能性がある[15]。また、KPtCl塩はシスプラチンの調製において使用されるが、他の対応する金属塩(例えばイリジウム塩IrCl・xHO)の2倍のコストがかかる。
【0014】
したがって、本発明の一つの目的は、抗癌作用を示し、および/または、副作用が比較的少ない、安定で低コストの新規な有機金属錯体を提供することである。本発明の別の目的は、このような錯体の製造方法を提供することである。
【0015】
本発明の発明者らは、初めて、セレノキノンに由来する安定な有機金属錯体を得ることを可能にする、高信頼性、低コスト、再生産可能であり、さらに、実施しやすい新規合成プロセスを予想外に開発した。さらに、本発明者は、これまでに単離されることも特性を明らかにされることもなかった該錯体が、少なくともシスプラチンに匹敵する生物学的特性(細胞傷害性)を示すため、該錯体が異常な細胞増殖(特に癌)をともなう各種疾患の予防または治療において使用可能であることも全く予想外に発見した。
【0016】
「安定」という用語は、好ましくは、調製することができる程度に十分に安定しており、検出することができる程度に十分な期間変化しないままであり、好ましくは、異常な細胞増殖(特に癌)をともなう各種疾患の予防または治療において使用できる程度に十分な期間変化しないままである錯体を意味していると理解すべきである。
【0017】
「異常な細胞増殖」という用語は、正常な調整メカニズム(例えばアポトーシス(プログラムされた細胞死)が関与することよる細胞増殖の停止)とは無関係な増殖を意味していると理解すべきである。
【0018】
したがって、本発明は、第1に、一般式(I)で表わされる単離された有機金属化合物、または、該化合物の薬学的に許容可能な塩に関連する。
(CMe)M(η−C) ・・・ (I)
(ただし、
●Mは金属Ru、Co、Rh、または、Irであり、
●Eは酸素原子、イオウ原子、または、セレン原子であり、
●Eはセレン原子であり、
●R、R、R、および、Rは、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数が1〜8のアルキル基、炭素数が2〜8のアルケニル基、炭素数が2〜8のアルキニル基、炭素数が1〜6のアルコキシル基、炭素数が6〜14のアリール基、または、R’−NHアミン基である。なお、R’は水素原子、炭素数が1〜8のアルキル基、炭素数が2〜8のアルケニル基、または、炭素数が2〜8のアルキニル基である)。
【0019】
「単離」という用語は、一般に、(i)関連する少なくとも1つの天然化合物から分離された化合物、および/または、(ii)人為的に生産、調製、または、製造された化合物を意味していると理解すべきである。
【0020】
「η」という用語は、「ハプト数が4」、すなわち、アレーンが4つの結合を介して金属に結合されていることを意味していると理解すべきである。
【0021】
上記アルキル基は、1個〜8個の炭素原子、好ましくは1個〜6個の炭素原子、特に1個〜2個の炭素原子から構成されていてもかまわない。
【0022】
上記アルケニル基は、2個〜8個の炭素原子、好ましくは2個〜6個の炭素原子、特に2個〜4個の炭素原子から構成されていてもかまわない。また、該アルケニル基は、1つ以上の二重結合を含有していてもかまわない。
【0023】
上記アルキニル基は、2個〜8個の炭素原子、好ましくは2個〜6個の炭素原子、特に2個〜4個の炭素原子から構成されていてもかまわない。また、該アルキニル基は、1つ以上の三重結合を含有していてもかまわない。
【0024】
上記アルコキシル基は、1個〜6個の炭素原子、好ましくは1個〜4個の炭素原子、特に1個〜2個の炭素原子から構成されていてもかまわない。
【0025】
上記アリール基は、芳香族性に関するヒュッケル則を満たす環を1つ、2つ、または、3つ備えた単環式、二環式、または、三環式の炭化水素系を示している。例えば、アリールラジカルは、フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基または、インデニル基などのラジカルであればよい。上記アリール基は、6個〜14個の炭素原子、特に6個〜10個の炭素原子から構成されていてもかまわない。
【0026】
特に明記しないかぎり、上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または、アルコキシル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であってもかまわない。
【0027】
本発明によれば、EおよびEはそれぞれがセレン原子であり、R、R、R、および、Rは上記において規定したとおりである。また、好ましくは、R、R、R、および、Rのうちの少なくとも1つが、炭素数が1〜8のアルキル基、非常に好ましくはメチル基である。例えば、EおよびEはそれぞれがセレン原子であり、RおよびRはそれぞれが水素原子であり、RおよびRはそれぞれがメチル基である。
【0028】
本発明によれば、EおよびEはそれぞれがセレン原子であり、R、R、R、および、Rはそれぞれが水素原子である。
【0029】
本発明によれば、Eはイオウ原子または酸素原子であり、好ましくは酸素原子であり、Eはセレン原子であり、R、R、R、および、Rはそれぞれが水素原子である。
【0030】
本発明によれば、MはIrである。
【0031】
本発明によれば、本発明の有機金属錯体において、EおよびEはo−配置、または、p−配置にある。
【0032】
本発明によれば、上記錯体は以下に示す構造のうちの1つを有している。
【0033】
【化1】

【0034】
さらに、本発明者らは、本発明の有機金属錯体が、少なくともシスプラチンに匹敵する生物学的特性(細胞傷害性)を有していることを実証した。
【0035】
したがって、本発明のある特定の実施形態によれば、本発明の有機金属錯体は、薬物として使用可能であり、特に癌の治療を目的とする薬物の製造のために使用可能である。
【0036】
本発明の有機金属錯体は、必要に応じて、上述した塩の溶媒和物の形態を有していても、その他の生理的に許容できる誘導体の形態を有していてもかまわない。医薬品として使用することが許容できる塩および溶媒は、一般に、関連するカウンタイオンまたは溶媒が、薬学的に許容可能である塩および溶媒である。
【0037】
使用可能な塩は、有機酸、無機酸、有機塩基、または無機塩基であればよい。許容できる酸付加塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フェニル酢酸塩、または、トリフェニル酢酸塩から形成された塩を挙げることができる。
【0038】
さらに、許容できる塩基の塩の例としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、および、一置換アミン、二置換アミン、または、三置換アミンなどの有機塩基から形成された塩を挙げることができる。
【0039】
本発明は、さらに、薬学的に許容可能な媒体内に、本発明に係る少なくとも1つの化合物を有効成分として含有する薬学的組成物にも関する。
【0040】
特に、上記薬学的組成物は、抗癌性組成物であってもかまわない。
【0041】
上記薬学的組成物においては、有効量の上記化合物が使用される。有効量は、当業者であれば各種パラメータに合わせて、特に使用する物質、患者の年齢、体重、および、健康状態、投与法、および、必要な治療法に関して各種パラメータに合わせて決定可能である。当業者が、各患者に対する投与方法および投与量を決定すればよい。
【0042】
とりわけ、本発明に係る化合物は、一日当たり、かつ、患者一人当たり0.1mg〜5000mgの範囲の投与量で投与可能である。
【0043】
上記薬学的組成物は、本発明に係る化合物を0.1mg〜5gの範囲で含有していてもかまわない。
【0044】
上記薬学的組成物は、任意の局所的な形態または全身的な形態でも投与可能であり、特に、非経口的な形態または経腸的な形態でも投与可能である。
【0045】
上記組成物または薬物が経腸経路によって投与される場合には、糖でコーティングした錠剤、硬カプセル、シロップ、懸濁液、溶液、粉末、顆粒、乳濁液、および、マイクロ球体を含めた錠剤の形態で投与可能である。
【0046】
非経口的な経路で投与する場合、上記組成物は、点滴用または注射用の溶液または懸濁液の形態で投与可能である。
【0047】
さらに、上記組成物は、特に着色料、調味料、および、保存料から選択される少なくとも1つの添加物を含有していてもかまわない。当業者は、本発明に内在的に付随する好適な特性が、想定する添加によって悪影響を受けない、またはほぼ受けないように、添加物または添加剤を選択すればよいことは言うまでもない。
【0048】
ある特定の実施形態によれば、本発明に係る組成物は、さらに、癌治療を目的とするもう1つの化合物を含有していてもかまわない。本発明にしたがって使用可能な化合物の例としては、ドキソルビシン(商品名はドキソルビシン(登録商標))、エポチロン、パクリタキセル(商品名はタキソール(登録商標))、および、シスプラチンを挙げることができる。
【0049】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の主題は、異常な細胞増殖(特に癌)をともなう疾患の治療および/または防止を目的とする薬学的組成物の調製における、本発明の少なくとも1つの有機金属錯体の使用である。
【0050】
上記組成物は、ヒトおよび/または動物を対象とする薬剤として使用してもかまわない。上記組成物は、特に、例えば、膵癌、中咽頭癌、胃癌、食道癌、結腸直腸癌、脳癌(特に神経膠腫)、卵巣癌、肝癌、腎癌、喉頭癌、甲状腺癌、肺癌、骨癌、多発性骨髄腫、中皮腫、および、メラノーマ、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、非ホジキンリンパ腫、白血病、ホジキン病、および、軟部組織癌、さらに、ここに言及した各種癌の二次的転移により発生した癌から選択される少なくとも1つの癌の治療または防止を目的としていてもかまわない。
【0051】
本発明は、さらに、本発明の有機金属錯体の製造方法であって、式(II)で表わされる化合物に対し、少なくとも1つの求核試薬YSe(Yはアルカリ金属カチオンである)による求核攻撃を含む方法にも関する。
[(CMe)M(η−C)][Z] ・・・ (II)
(ただし、
●M、R、R、R、および、Rは、上述した規定のとおりであり、
●XおよびXは互いに同一または異なり、それぞれがハロゲン原子Cl、Br、または、Iであり、
●ZはカウンタアニオンBF、PF、または、CFSO(OTf)である)。
【0052】
本発明の製造方法のある特定の実施形態によれば、上記求核攻撃は、セレン化ナトリウム(NaSe)を用いて実施される。
【0053】
さらに他の効果があることも、当業者は添付の図面に例示として示した以下の例を読めば理解できるであろう。
【0054】
図1は、有機金属錯体[(CMe)Ir(η−p−ジセレノベンゾキノン)](8)の結晶構造を示す。
【0055】
〔実施例〕
〔実施例1: イリジウム−セレノキノン錯体7〜8の合成〕
キノン錯体(1〜4)、ジチオキノン錯体(5,6)、ならびに、モノセレノキノン錯体およびジセレノキノン錯体(7,8,9,10)を調製する、異なる3つの製造方法が存在する。錯体群1〜6の製造方法は当該技術分野において周知である[13]が、モノセレノキノン錯体およびジセレノキノン錯体の製造方法は周知ではなく、本発明の主題を構成するものである。
【0056】
〔1: イリジウム−キノン錯体(1〜4)の合成〕
ヒドロキノンと、溶媒和物[(CMe)M(solvent)2+(ただし、MはRhまたはIrである)とを、in situで直接処理し、続いて、塩基による脱プロトン化を行うことによって、p−キノン有機金属錯体p−[(CMe)M(η−キノン)](ただし、MはRh(2)またはIr(4)である)を調製した[8〜9]。
【0057】
同様に、金属フラグメントのアレーン環への結合を可能にするためのアレーンの活性化因子としてのBF・2HOの存在下で、溶媒和物[(CMe)M(solvent)2+(ただし、MはRhまたはIrである)を用いてカテコールを処理し、続いて、脱プロトン化を行うことによって、o−キノン有機金属錯体o−[(CMe)M(η−キノン)](ただし、MはRh(1)またはIr(3)である)を得た[11]。
【0058】
〔2: イリジウム−ジチオキノン錯体(5,6)〕
ヒドロキノンおよびカテコールのイオウ同属体を、上述の異なる製造方法によって得た。これにより、空気感受性を有するo−ジクロロベンゼン有機金属錯体およびp−ジクロロベンゼン有機金属錯体を調製し、微結晶性の白色化合物の形態で単離した。この化合物を硫化水素ナトリウムによって処理することにより、チオキノン有機金属錯体を、o−異性体(5)およびp−異性体(6)の形態で生成した[12]。
【0059】
〔3: イリジウム−モノセレノキノン錯体およびイリジウム−ジセレノキノン錯体(7,8,9,10)の合成〕
上記o−セレノキノン有機金属錯体およびp−セレノキノン有機金属錯体を、以下に示す反応スキームにしたがって合成した。
【0060】
【化2】

【0061】
この合成スキームの第1段階では、o−ジクロロベンゼン[(CMe)Ir(η−CCl)][BF、および、p−ジクロロベンゼン[(CMe)Ir(η−CCl)][BFで表わされる空気感受性を有するハロゲン化有機金属錯体、p−モノクロロヒドロキシベンゼンp−[(CMe)Ir(η−CClOH)][BFで表わされる空気感受性を有するハロゲン化有機金属錯体、ならびに、p−ジクロロジメチルベンゼンp−[(CMe)Ir(η−CCl(CH)][BFで表わされる空気感受性を有するハロゲン化有機金属錯体の調製を行う。
【0062】
〔3−1: p−[(CMe)Ir(η−ジセレノベンゾキノン)]錯体(8)の合成〕
アセトニトリル(使用時に蒸留)を溶媒とするp−[(CMe)Ir(η−CCl)][BF(340mg、0.52mmol)の有色溶液(10ml)を、アルゴン雰囲気下で保存された無水NaSe(650mg、5.2mmol)を入れたシュレンク管に添加した。この反応混合物は、沈殿物(NaClおよびNaBF)を形成するとともに、色がオレンジ色に急速に変化した。この反応を20分間継続させて、続いて溶媒を真空下で除去して、オレンジ色がかった黒い残留物を得た。次に、この化合物を50mlの蒸留済みジクロロメタンを用いて抽出し、アルゴン雰囲気下で、生綿/セライト/生綿を備えた焼結ガラスフィルターを通過させて濾過すると、明るいオレンジ色になった。溶媒を真空下で除去すると、p−[(CMe)Ir(η−CSe)][BFであると特定されたオレンジ色の微結晶性粉末(241mg、0.49mmol、収率は95%)が得られた。
【0063】
化合物(8)は安定であり、アルゴン雰囲気下で長期間保存可能である。化合物(8)は、ジクロロメタン、メタノール、および、アセトン、さらに、大部分の極性有機溶媒に可溶である。
【0064】
IR(ATR)、νcm−1: 2990、1467、1421、1380、1272、1053、1024、731、704、633、431、353。
【0065】
H NMR(400MHz、CDCl)、δ(ppm): 1.89(15H、s、η−CMe);6.26(4H、s、CH p−ジセレノベンゾキノン)。
【0066】
13C{H} NMR(100MHz、CDCl)、δ(ppm): 6.86(CH、s、η−CMe);96.83(CH、s、p−ジセレノキノン);96.97(C=C、s、η−CMe);132.96(C−Se、s、ジセレノキノン)。
【0067】
77Se{H} NMR(400MHz、CDCl)、δ(ppm): 296(2Se、s、C−Se)。
【0068】
〔3−2: o−[(CMe)Ir(η−ジセレノベンゾキノン)]錯体(7)の合成〕
化合物(8)と同様にして、化合物(7)を調製した。この分子の方がp−異性体に比べるといくぶん安定性が低い。合成方法を最適化する研究が、現在進行中である。
【0069】
IR(ATR)、νcm−1: 3373、2912、1585、1467、1378、1258、1019、885、800、728、696、636、608、550、518、464、386、308。
【0070】
〔3−3: 錯体p−[(CMe)Ir(η−モノセレノベンゾキノン)](9)の合成〕
化合物(8)と同様にして、化合物(9)を調製した。ただし、モノクロロ化した有機金属錯体p−[(CMe)Ir(η−CClOH)][BFから開始した。収率は90%であった。
【0071】
H NMR(400MHz、CDCl)、δ(ppm): 1.92(15H、s、η−CMe);5.32(2H、d、6Hz、CH p−ジセレノベンゾキノン);6.29(2H、d、6Hz、CH p−ジセレノベンゾキノン)。
【0072】
IR(ATR)、νcm−1: 2964、2917、1630、1605、1468、1385、1259、1024、802、691、636、606、557、518、452、429。
【0073】
〔3−4: p−[(CMe)Ir(η−2,5−ジメチルジセレノベンゾキノン)]錯体(10)の合成〕
p−[(CMe)Ir(η−CCl(CH)][BFから開始したこと以外は、錯体(8)と同様にして、化合物(10)を調製した。収率は90%であった。
【0074】
H NMR(400MHz、d−MeOH)、δ(ppm): 1.79(15H、s、η−CMe);2.51(6H、s、CH−);6.78(2H、s、CH p−ジセレノベンゾキノン)。
【0075】
IR(ATR)、νcm−1: 3616、3568、1637、1467、1406、1381、1259、1043、893、742、634、606、522、461。
【0076】
〔実施例2: キノン有機金属錯体、チオキノン有機金属錯体、セレノキノン有機金属錯体(1〜10)の生物学的特性〕
上記合成した錯体の生物学的特性(細胞傷害性)について、A2780卵巣癌細胞およびA2780cisR(耐シスプラチン性)卵巣癌細胞を対象にして、後述する従来の手順にしたがって、試験を行った。得られたIC50値を、シスプラチン錯体Pt(NHClについて同一条件下で得られたIC50値と比較した。
【0077】
A2780卵巣癌細胞株およびA2780cisR卵巣癌細胞株を、The European Collection of Cell Cultures(ECACC)(Salisbury、英国)から入手した。これらの細胞を、グルコース、5%のウシ胎仔血清(FCS)、および、抗生物質を包むRPMI培地中で37℃および5%のCO条件の下で培養した。
【0078】
細胞傷害性は、MTT(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド)試験(MOSMANN、1983)によって判定した。
【0079】
この細胞を、1ウェル当たり溶液100μl(細胞約20,000個)を用いて、96ウェルのプレートに単層として分布させて、10%のFCSを補充した培地中で24時間プレインキュベーションした。
【0080】
該化合物のDMSO溶液を調製し、次に培地に溶解させ、適切な濃度まで連続的に希釈して、最終的なDMSO濃度(0.5%)を得た。これらの化合物の溶液100μlを各ウェルに添加し、プレートを72時間インキュベーションした。続いて、MTT(5mg/ml)を細胞に添加し、プレートを2時間インキュベーションした。培地を吸引によって除去し、生細胞のミトコンドリアの脱水素酵素活性によって形成した紫色のホルマザン結晶をDMSO中に溶解させた。
【0081】
生細胞の個数に正比例する光学濃度を、マルチウェルプレートリーダーを用いて540nmで定量化し、生細胞の割合を無処置対照細胞の吸光度から定量化した。それぞれ1濃度レベル当たり3つのマイクロ培養を用い、独立した2回の実験から、評価を実施した。
【0082】
得られたIC50値を下の表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
上記の結果は、ジチオベンゾキノン錯体、特にモノセレノキノン有機金属錯体およびジセレノキノン有機金属錯体(8〜10)が、A2780卵巣癌細胞株に関して、シスプラチン化合物の生物学的特性に匹敵する有意な生物学的特性(細胞傷害性)を有していることを示している。
【0085】
さらに、極めて注目すべきは、2つの錯体(9,10)が、A2780cisR(耐シスプラチン性)卵巣癌細胞株に関して、シスプラチンよりも優位な細胞傷害特性を有していることである。化合物9のIC50値は8.4μmolであって、化合物10のIC50値は7.3μmolである一方で、A2780cisR細胞株に対するcis−[Pt(NHCl]錯体のIC50値は25μmolである。
【0086】
したがって、本発明の有機金属錯体は、異常な細胞増殖(特に癌)をともなう疾患の予防および/または治療において使用可能である。
【0087】
本発明の有機金属錯体の使用は、シスプラチンに基づく治療法があまり効果的ではない、または、全く効果的でないことが示されている疾患の場合にとりわけ有益である。
【0088】
〔実施例3: ジセレノベンゾキノン錯体 p−[(CMe)Ir(η−ジセレノベンゾキノン)](8)の結晶学〕
生物活性分子[(CMe)Ir(η−p−ジセレノベンゾキノン)](8)のメタノール溶液中にエチルエーテルをゆっくりと拡散させることによって、この錯体の結晶を得た。結晶構造は、X線回折によって分析することができる。
【0089】
結晶構造の分析を実施するために、SIR92プログラムを用いて直接法によって構造を解析し[18]、SHELXL−97ソフトウェアパッケージを用いて、全マトリクス最小二乗法によって異方性精密化した[19]。
【0090】
X線回折によって解析した構造(図1)は、この錯体が、P2/c空間群およびZ=4の単斜晶で結晶化することを示している。
【0091】
距離および角度の分析[表2:距離(Å)および角度(°)の選択]によって、p−ジセレノベンゾキノンの形成を確認することができた。このデータは、p−ジセレノベンゾキノンがジエンの4個の炭素原子C(2)、C(3)、C(5)、および、C(6)を介してイリジウムに配位結合していることを示唆していた。これは、Ir(1)−C(1)の距離およびIr(1)−C(4)の距離が、Ir(1)−C(2)、Ir(1)−C(3)、Ir(1)−C(5)、および、Ir(1)−C(6)の各距離より長いからである。その結果、p−ジセレノベンゾキノンは、ボート状のわずかに傾斜した高次構造を採用したのである。[C(2)C(3)C(5)C(6)]平面と[C(2)C(1)C(6)]平面との間の二面角は7.04°である。[C(2)C(3)C(5)C(6)]平面と[C(3)C(4)C(5)]平面との間の二面角は5.94°である。さらに、C(1)−Se(1)の距離およびC(4)−Se(2)の距離は、それぞれ1.876Åおよび1.865Åである。これらの距離は、Se−ArにおけるC−Seの距離(1.925Å)[16]およびコバルト錯体[CoCl(CSe)]におけるC=Seの距離(1.88Å)と比べれば、CとSeとの間の結合の種類は、一重結合ではなく二重結合に一致する[17]。
【0092】
【表2】

【0093】
さらに、結晶レベルでの構造解析は、[(CMe)Ir((η−CSe))で表わされる錯体が、錯体分子間のπ−π相互作用によって、積層構造を形成することを示している。さらに、Cp配位子の芳香環は、隣接する分子(d=3.563Å)のp−ジセレノベンゾキノンのジエン系と相互作用する。このような相互作用は、π−πスタッキングによる結合力が生じ、超分子鎖の形成を可能にする。
【0094】
〔先行技術文献一覧〕
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【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、有機金属錯体[(CMe)Ir(η−p−ジセレノベンゾキノン)](8)の結晶構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表わされる単離された有機金属錯体、または、該錯体の薬学的に許容可能な塩。
(CMe)M(η−C) ・・・ (I)
(ただし、
●Mは金属Ru、Co、Rh、または、Irであり、
●Eは酸素原子、イオウ原子、または、セレン原子であり、
●Eはセレン原子であり、
●R、R、R、および、Rは、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数が1〜8のアルキル基、炭素数が2〜8のアルケニル基、炭素数が2〜8のアルキニル基、炭素数が1〜6のアルコキシル基、炭素数が6〜14のアリール基、または、R’−NHアミン基である。なお、R’は水素原子、炭素数が1〜8のアルキル基、炭素数が2〜8のアルケニル基、または、炭素数が2〜8のアルキニル基である。)
【請求項2】
およびEがそれぞれセレン原子であり、
、R、R、および、Rが請求項1に記載のとおりである、請求項1に記載の錯体。
【請求項3】
、R、R、および、Rの少なくとも1つは、炭素数が1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基である、請求項2に記載の錯体。
【請求項4】
およびRはそれぞれ水素原子であり、
およびRはそれぞれ炭素数が1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基である、請求項3に記載の錯体。
【請求項5】
、R、R、および、Rがそれぞれ水素原子である、請求項2に記載の錯体。
【請求項6】
がイオウ原子または酸素原子であり、好ましくは酸素原子であり、
がセレン原子であり、
、R、R、および、Rがそれぞれ水素原子である、請求項1に記載の錯体。
【請求項7】
MがIrである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項8】
およびEがo−配置またはp−配置である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項9】
以下に示す構造のうちの1つを有する、請求項1に記載の錯体。
【化1】

【請求項10】
薬学的に許容可能な媒体内に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの錯体を有効成分として含有する薬学的組成物。
【請求項11】
薬物として使用するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項12】
上記薬物が癌の予防または治療を目的とする、請求項11に記載の錯体。
【請求項13】
癌の予防または治療を目的とする薬学的組成物を製造するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の錯体の製造方法であって、
式(II)で表わされる錯体に対し、少なくとも1つの求核試薬YSe(Yはアルカリ金属カチオンである)による求核攻撃を含むことを特徴とする製造方法。
[(CMe)M(η−C)][Z] ・・・ (II)
(ただし、
●M、R、R、R、および、Rは、請求項1〜9のいずれか1項に記載のとおりであり、
●XおよびXは互いに同一または異なり、それぞれがハロゲン原子Cl、Br、または、Iであり、
●ZはカウンタアニオンBF、PF、または、CFSOである。)
【請求項15】
上記求核攻撃を、セレン化ナトリウム(NaSe)を用いて実施する、請求項14に記載の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−533612(P2012−533612A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521088(P2012−521088)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051555
【国際公開番号】WO2011/010072
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(506066777)サントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティ フィック セーエヌエールエス (22)
【Fターム(参考)】