説明

センサの製造方法

【課題】本発明は、センサの製造方法に関する物で、センサの特性を安定させることを目的とする。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、樹脂フィルム1と、この樹脂フィルム1上に成膜した金属薄膜2とからなるセンサの製造方法であって、樹脂フィルム1に金属薄膜2を成膜する第1の工程と、この金属薄膜2を成膜した樹脂フィルム1を、加熱アニール処理する第2の工程と、前記加熱アニール処理した金属薄膜2を、センサに加工形成する第3の工程とを順次実施する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、微生物測定装置に用いられるセンサの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のセンサの製造方法は、次のような方法となっていた。
【0003】
すなわち、樹脂フィルムと、この樹脂フィルム上に成膜した金属薄膜とからなるセンサの製造方法であって、樹脂フィルムに金属薄膜を成膜する工程と、前記金属薄膜をセンサに加工形成する工程とを順次実施するようになっていた。
【0004】
そして、金属薄膜の電気抵抗値を低減させるために、金属薄膜にのみ選択的に加熱アニール処理を行う手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−209907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例における加熱アニール処理は、金属薄膜に選択的に加熱アニール処理を行うことで、金属薄膜の電気抵抗値の低減を行なうとともに、金属薄膜の土台となる樹脂フィルムへの加熱ダメージを軽減し、それによりセンサの性能向上ができるものであった。
【0006】
そして、近年、センサ特性向上の要求が、これまで以上に高まってきており、さらなるセンサの性能の向上をはかるとともに、さらなるセンサの特性の安定が望まれるようになってきた。
【0007】
そこで本発明は、センサの特性を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そしてこの目的を達成するために本発明は、樹脂フィルムと、この樹脂フィルム上に成膜した金属薄膜とからなるセンサの製造方法であって、樹脂フィルムに金属薄膜を成膜する第1の工程と、この金属薄膜を成膜した樹脂フィルムを、加熱アニール処理する第2の工程と、前記加熱アニール処理した金属薄膜を、センサに加工形成する第3の工程とを順次実施するセンサの製造方法とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、樹脂フィルムと、この樹脂フィルム上に成膜した金属薄膜とからなるセンサの製造方法であって、樹脂フィルムに金属薄膜を成膜する第1の工程と、
この金属薄膜を成膜した樹脂フィルムを、加熱アニール処理する第2の工程と、前記加熱アニール処理した金属薄膜を、センサに加工形成する第3の工程とを順次実施するセンサの製造方法としたもので、センサの特性を安定させることができる。
【0010】
すなわち、本発明においては、センサの土台となる金属薄膜を成膜した樹脂フィルムを、その樹脂フィルム上にセンサを加工形成する工程の前で、加熱アニール処理するようにしたものであるので、これにより、金属薄膜の電気抵抗値を下げるとともに安定、収束させ、その上、樹脂フィルムを一気に収縮させるとともに、その後の工程で樹脂フィルムの収縮を発生させないように安定させることができる。
【0011】
その結果、センサの土台となる成膜された金属薄膜と樹脂フィルムとが安定した状態で、その樹脂フィルム上にセンサの製造を行うことが出来るので、センサの加工状態も安定した物となり、したがって、センサの特性を安定させることができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態として、微生物測定装置に用いられるバイオセンサの製造方法を図面と共に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態におけるバイオセンサ6の製造方法の基本的なプロセスの概要を示し、図2(a)はバイオセンサ6の拡大平面図である。
【0014】
図2(a)において、7A、7Bはコンタクト部で、これら7A、7B間の端は、リード部8A、8Bを介して、電極部3に接続されており、電極部3は、図2(b)に示すごとく、櫛歯状の電極となっている。
【0015】
まず、図2(a)に示したバイオセンサ6の製造方法の概要を、図1を用いて説明する。
【0016】
図1において、ステップAは、樹脂フィルム1に金属薄膜2をスパッタリングにより成膜する工程を示す。本実施形態では、樹脂フィルム1として、安価であり、さらには耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート(PET)を使用し、金属薄膜2に導電性が高い銀を使用している。ここで樹脂フィルム1の厚さは250μmのものを使用した。成膜した金属薄膜2の厚さは約70nmである。
【0017】
ステップBは、スパッタリング処理後の、金属薄膜2を成膜した樹脂フィルム1に、加熱アニール処理を施す工程を示す。今回、加熱方法としては一般的な恒温槽を用いた。なお、本実施形態における加熱条件は、135℃、1Hrである。また、加熱アニール処理する前には、金属薄膜2を成膜した樹脂フィルム1を枚葉カットする。
【0018】
本実施形態では、枚葉カットサイズをA4サイズとしたが、いずれのサイズでもよい。今回は、後述するレーザトリミングや保護層を設ける工程において実施しやすいサイズとした。この加熱アニール処理する工程については、後で詳細に説明する。
【0019】
ステップCは、樹脂フィルム1上に成膜された金属薄膜に、センサを加工形成する工程を示す。ここでは、図2のバイオセンサ6を金属薄膜2に、パターニングするとともに、ステップEにて個片カットする際に使用される基準孔4とが形成される。
【0020】
基準孔4は、パンチやプレスなどの金型による加工でもレーザによる穴明け加工でも良く、以後の工程における基準となる孔4を加工するものである。
【0021】
また、図2(a)のバイオセンサ6の電極部3のパターニングは、エッチングやレーザトリミングなどいかなる工法でも良く、本実施形態においては電極部3、基準孔4ともレーザ加工を使用し、同時に行う。トリミング工程では、樹脂フィルム1に対しては熱影響を与えず、金属薄膜2にだけレーザ光を吸収させ、剥離加工を行い、穴明けでは金属薄膜2と樹脂フィルム1とを同時に加工を行う。
【0022】
ステップDは、金属薄膜2を酸化膜の発生やスクラッチ傷などから保護するために、図2(a)の保護層5を設ける工程を示す。ここでは、図2(a)のバイオセンサ6において、電極3を囲む範囲5A、および、コンタクト部7A、7Bを囲む範囲5Bを除いた範囲に保護層5を設ける。
【0023】
この工程においてレジストを硬化させるため、熱付与工程が存在する。そして、熱付与工程での熱処理温度は、ステップBでの加熱アニール処理温度よりも低くする。たとえば、本実施形態では、保護層5としてレジストを塗布しており、硬化するために130℃、15minの加熱処理を実施している。前記保護層5は、後述するがバイオセンサ6に電圧を印加するためのコンタクト部7と電極部3にはマスクをすることにより形成せず、主にリード部8に形成する。
【0024】
ステップEは、樹脂フィルム1上に加工形成されたバイオセンサ6の個片カットを実施する工程を示す。バイオセンサ6として個片カットするために、ステップCの工程で加工した基準孔4を用いて、プレスなどにより個片カットを行う。この工程において、バイオセンサ6が個片として切り出される。
【0025】
つぎに、本実施形態で製造されるバイオセンサ6の原理を説明する。
【0026】
図2(a)は、バイオセンサ6の概略を示したのもので、図2(b)は、バイオセンサ6の電極部3を拡大したものであり、図2(c)は、バイオセンサ6の原理を電気回路的に表現したものである。
【0027】
図2(a)で示すように、本実施形態で製造されるバイオセンサ6は、主に電極部3と電圧を印加されるコンタクト部7A、7B、そしてリード部8A、8Bで構成される。簡単にその機能を説明すると、細菌を含んだ導電性の液中に電極部3を浸した状態でコンタクト部7A、7Bに電源から交流電圧が印加されるとリード部8A、8Bを通り、パターン形成されている電極部3に電圧が掛かり、誘電泳動法により電極部3に細菌を収集することができる仕組みとなっている。
【0028】
図2(b)で示すように電極部3は、金属薄膜2がパターニング加工によりトリミングされ、リード部8Aと8Bとが電気的にオープンになっている。つまり金属薄膜2が溝12を削り取られることにより、物理的につながっていない状態となっている。
【0029】
溝12部分は基材である樹脂フィルム1がむき出しとなっており、その幅は、たとえば100μm以下である。そのため電圧をコンタクト部7に印加するとリード部8A、8Bを通じて電極部3には抵抗と溝部12のキャパシタンスにより、インピーダンスが存在することとなる。
【0030】
そして電極部3に電圧が掛かる事で誘電泳動法により、溝部12に細菌が収集され、バイオセンサ6のリード部8A、8Bが導通することになる。
【0031】
図2(c)は、図2(a)の等価回路を示しており、電源7Cが図2(a)のコンタクト部7A、7Bに接続されている状態である。リード部8A,8Bは、抵抗で置き換えられており、電極部3は、CR等価回路で置き換えられている。
【0032】
さて、図2(c)に示すようにリード部8A、8Bでも少なからず金属薄膜2の電気抵抗R1、R2はあるため、リード部8A、8Bでの印加電圧のロスが少なく、コンタクト部7に印加した電圧を効率良く電極部3にかける事がバイオセンサ6の細菌を収集するという性能向上にもつながる。例えば、リード部8A、8Bでの金属薄膜2の電気抵抗値R1、R2が高いと電極部3に印加できる電圧が低くなり、細菌を収集する能力が低下する。
【0033】
また、リード部8A、8B左右の金属薄膜2で電気抵抗値R1、R2に差があったり、更には各バイオセンサ6で電気抵抗値R、R1、R2にばらつきがあったりすると、各バイオセンサ6の電極部3にかかる電圧にばらつきが生じる事で、細菌を収集する能力に差が生じることとなり、バイオセンサ6の信頼性が無くなる。
【0034】
そのため、成膜された金属薄膜2の電気抵抗値を初期段階の樹脂フィルム状態において低減するだけでなく、収束させる事は個片となるバイオセンサ6のばらつきを抑制するためにも非常に重要となる。
【0035】
例えば、図1のプロセス内において、ステップBの加熱アニール処理を実施せずにバイオセンサ6を製造した場合、ステップDの保護層5を硬化する熱付与工程において、樹脂フィルム1には熱収縮による寸法変化が生じ、それと同時に、金属薄膜2の電気抵抗値には抵抗値の変化が生じる。
【0036】
つまり、ステップBの加熱アニール処理を実施せずに、ステップDの熱付与工程を実施すると、樹脂フィルム1に、熱収縮による寸法変化が生じるため、ステップEの個片カットの際に使用する基準孔4の位置や、ステップCで精度良く電極部3をパターニングした電極部3の寸法にも、狂いが生じることになる。
【0037】
また、金属薄膜2の電気抵抗値が低減し始め、その変化にばらつきが生じたり、抵抗値の低減が収束していないため、その後の環境によって電気抵抗値に変化が生じる可能性が高くなる。
【0038】
その結果として、バイオセンサ6の性能が安定せず、つまり、個片となるバイオセンサ6の性能に個体差というばらつきが生じ、製品としての信頼を大きく損ねることにつながることになる。
【0039】
以下に本実施形態の特徴点である、加熱アニール処理について詳細に説明する。
【0040】
まず、アニール処理とバイオセンサ6の関係について説明し、つぎに、アニール処理と金属薄膜2の関係について説明し、そして、アニール処理と樹脂フィルム1の関係について説明し、最後にアニール処理のタイミングについて説明する。
【0041】
まず、アニール処理とバイオセンサ6の関係について説明する。
【0042】
図3は、本実施形態における加熱アニール処理をした場合のバイオセンサ6の性能を示したもので、図3(a)は、バイオセンサ6に、交流電圧の周波数を変化させながら印加して、インピーダンスを測定したコールコールプロットを示し、図3(b)は、バイオセンサ6を用いて実際に細菌収集を行った測定値を示したものである。
【0043】
まず、図3(a)は、一般的なコールコールプロットで、横軸に直列抵抗成分をとり、縦軸にキャパシタンス成分をとったものであり、バイオセンサ6のコンタクト部7に電圧を印加し、コールコールプロット曲線を測定したものである。
【0044】
図3(a)の13からも明らかなように、複数のバイオセンサの測定においてもばらつきは無く、ほぼ安定して同様の曲線を描いていることが分かる。
【0045】
これは、前述のリード部8A、8Bの電気抵抗値R1、R2や複数のバイオセンサ6の電気抵抗値Rにもばらつきが無く、安定していることを示しており、また、同時に電極部3のインピーダンスもばらつきは無く、安定していることを示している。
【0046】
そして図3(b)は、本実施形態における製造方法で作成したバイオセンサ6を、実際の微生物測定装置(図示せず)に使用して微生物の測定を行った実測値を示し、横軸に実際の細菌数、縦軸に電極部での静電容量の変化(細菌の数と等価)をプロットしたものである。
【0047】
図3(b)の14からも明らかなように、3段階に細菌数を分けて測定をしたが、そのいずれにおいてもばらつきは無く、一様に安定した測定値を得ることができた。
【0048】
なお、図3(b)中の低細菌数領域11は、細菌の数が少ないため誤差が生じやすく非常にばらつきやすい領域であるにも関わらず、測定値にばらつきが無いことが分かる。また、細菌数の測定値がその他の段階でも安定していることが分かる。
【0049】
すなわち、図3(a)、図3(b)に示されるごとく、本実施形態における加熱アニール処理をした場合のバイオセンサ6は、個々のばらつきが少なく、安定した性能を確保した物となっている。
【0050】
つぎに、図4は、加熱アニール処理を施していない場合のバイオセンサ6の性能を示したもので、図3と同様に図4(a)にコールコールプロットを示し、図4(b)は、バイオセンサ6を用いて実際に細菌収集を行った測定値を示したものである。なお、加熱アニール処理の有無以外の条件は、図3と同じである。
【0051】
さて、図4(a)で示すところのコールコールプロットにおいては、その半円状となる曲線15にばらつきが発生している。
【0052】
これは、前述のリード部8A、8Bの電気抵抗値R1、R2のばらつきが大きいことや複数のバイオセンサ6の電気抵抗値Rにばらつきがあることを示しており、また、同時に電極部3のインピーダンスもばらつきが大きいことを示している。
【0053】
また、図4(b)の細菌収集時の測定値においても低細菌数領域11ではばらつきが発生しており、その他の段階16においても低細菌数領域11ほどではないがばらつきが見られ、安定した測定値を得ることができていない。
【0054】
このように加熱アニール処理を施していないバイオセンサ6においては、リード部8A、8Bの電気抵抗値R1、R2が一様に安定しておらず、極端な場合8Aと8Bとで電気抵抗値R1、R2に差があることや、個々のバイオセンサ6にばらつきが生じることで電極部3のインピーダンスがコールコールプロットで示すようなばらつきが生じてしまい、細菌収集における測定値も安定しないことにつながる。
【0055】
これはバイオセンサ6単体においては前述のリード部8Aと8Bとの電気抵抗値R1、R2の差であったり、個々のバイオセンサ6にばらつきが生じていることを示している。
【0056】
これに対して、本実施形態のように、樹脂フィルム1に金属薄膜2を成膜した後に、
加熱アニール処理をすると、土台となる樹脂フィルム1の熱収縮が一気に進み、その後は熱収縮を安定させることができ、しかも、金属薄膜2の電気抵抗値を低減させ安定させることができる。そして、その安定した樹脂フィルム1の金属薄膜2にセンサを加工形成することで安定した性能のセンサを作成できるようになる。
【0057】
この熱収縮に関しては、後で詳細に説明する。
【0058】
つまり、リード部8A、8Bの電気抵抗値R1、R2も一様に低減、収束させることができ、その結果、電極部3に効果的に電圧を掛けることができるようになる。そして、電極部3のインピーダンスは、図3(a)の13で示すところのコールコールプロットのようにばらつき無く安定する。
【0059】
つまり、バイオセンサ6の性能を安定させることが出来、どのバイオセンサ6でもばらつき無く細菌収集が可能となり、測定が可能となるのである。
【0060】
つぎに、アニール処理と金属薄膜2の関係について説明する。
【0061】
図5(a)は、図1のステップBの加熱アニール処理による金属薄膜2の電気抵抗値の変化を示すもので、横軸に加熱時間、縦軸に加熱前の抵抗値との差分を示している。
【0062】
金属薄膜2の電気抵抗値の測定として、リード部8A、8Bの抵抗値の測定を実施した。なお、図5(b)はバイオセンサ6の拡大平面図であり、金属薄膜2の抵抗測定部を説明するための図である。図5(b)に示すように、リード部8Aの抵抗値の測定では、リード部8Aの両端を抵抗測定器9に接続することで、抵抗測定器9が測定を行い。また、リード部8Bの抵抗値の測定では、リード部8Bの両端を、それぞれ抵抗測定器9に接続することで、抵抗測定器9が測定を行う(図示せず)。
【0063】
本実験では、各加熱条件において、一枚のシートで約90ヶ所計測し、その平均値をグラフ化した。
【0064】
金属薄膜2の電気抵抗値は、加熱アニール処理することにより、低減することは明らかであり、前述の電気抵抗値は、必ず、加熱前の電気抵抗値の方が高くなり、加熱後の電気抵抗値の方が低くなる。
【0065】
本実験では、加熱アニール処理の設定温度を100℃、135℃、150℃、170℃として実施した。図5(a)の17からも明らかなように、設定温度が100℃では、3hr経過後も金属薄膜2の電気抵抗値が低減、収束に至っていないことが分かる。
【0066】
また、図5(a)の18が示す170℃では、ある時点で135℃や150℃加熱時と同等に収束する電気抵抗値まで低減するが、金属薄膜2表面の酸化が促進されるなど、表面に膜が形成されることにより電気抵抗値が再度上昇する現象が発生し、差分が小さくなってきて電気抵抗値の収束には至っていない。
【0067】
また、図5(a)の19が示す135℃や150℃においては、1hr後に電気抵抗値が低減し、収束に向かっていることが分かる。両者とも3hr後においても電気抵抗値が収束しており、変化していない。
【0068】
なお、図5(c)は、加熱アニール処理1hr経過時の電気抵抗値の変化量をグラフ化したもので、横軸に設定温度、縦軸に60分後の抵抗値の変化量をとってある。これを見ても、135℃〜150℃の間で変化量が少なく、収束している事が分かる。
【0069】
これより、金属薄膜2の電気抵抗値は、135℃〜150℃で1hrの加熱アニール処理をすることで低減し、収束させることができることが確認できる(図5(c)の20)。
【0070】
また、本実施形態においては、製造プロセスや使用環境において135℃〜150℃以上の熱付与される工程および使用方法は無く、金属薄膜2の成膜された樹脂フィルム1あるいは形成されるバイオセンサ6が、製造時や使用時において晒される周囲温度環境下の中では、この加熱アニール処理工程が、最も高い温度での熱付与工程としている。
【0071】
なお、図1のステップCで示すところのレーザによるパターニング加工や穴あけ加工においては、レーザ照射部位が非常に局部であることやレーザ照射時間が極短時間であることから金属薄膜2や樹脂フィルム1自体の温度上昇は非常に少なく、本実施形態の示すところの金属薄膜2や樹脂フィルム1に影響を与えるような高い温度までは至らない。
【0072】
また、図示および説明はしていないが、ステップE以降に形成されたバイオセンサ6を製品機能上、樹脂モールディングするインサート成形を行う場合もある。この場合においてもインサート成形するための樹脂は200℃以上の温度にて溶融され、インジェクションされるが、バイオセンサ6が熱による変形をすることは、バイオセンサ6の性能を妨げることにつながる。
【0073】
そのため、バイオセンサ6を成形金型と接触させたり、インジェクションされる樹脂が金型を通過し、バイオセンサ6に到達することにより、バイオセンサ6が本実施形態の加熱アニール処理温度より高い温度でさらされる事はない。また、成形される時間も短時間である。
【0074】
さらに、アニール処理と樹脂フィルム1の関係について説明する。
【0075】
図6は、本実施形態における樹脂フィルム1に対する加熱アニール処理の効果を説明するための図である。本実施形態では、樹脂フィルム1に金属薄膜2を成膜後、ほぼA4サイズに樹脂フィルム1を枚葉カットし、加熱アニール処理工程を実施している。
【0076】
図6(a)は、ステップBの加熱アニール処理による樹脂フィルム1の収縮度合を示すもので、横軸に加熱時間、縦軸に加熱前の寸法からの変化値を示している。
【0077】
この変化値は、A4サイズの樹脂フィルム1の決まった短辺側約200mm部分を、加熱時間毎に寸法を測定し、その差を示したものである。その測定値によると、樹脂フィルム1は、加熱すると必ず小さくなる。
【0078】
本実験では、加熱アニール処理の設定温度を100℃、135℃、150℃、170℃で実施した。図6(a)に示すように、設定温度が100℃(図6(a)の21)では3hr経過後も若干ではあるが樹脂フィルム1の収縮がうかがえ、収束していないことがわかる。
【0079】
170℃設定においても(図6(a)の22)、3hr後でも収縮は収束せず、さらに加熱時間が1hrにも満たない段階から樹脂フィルム1の加水分解が起こり樹脂フィルム1内に気泡が発生するなど、色や状態に大きな変質が見受けられた。
【0080】
135℃や150℃においては(図6(a)の23)、1hr後にその収縮が収束に向かっていることがうかがえる。3hr後においてもその収縮による寸法変化が収束しており、変化していない。これより、樹脂フィルム1の熱収縮による寸法変化に対しては、135℃〜150℃で1hrの加熱アニール処理をすることで収束させることができることがわかる。
【0081】
また、本実施形態においては、製造プロセスや使用環境において135℃〜150℃以上の熱付与される工程および使用方法は無く、金属薄膜2の成膜された樹脂フィルム1あるいは形成されるバイオセンサ6が、製造時や使用時において晒される周囲温度環境下の中では、この加熱アニール処理工程が、最も高い温度での熱付与工程としている。
【0082】
ただ、150℃の温度環境下において1hr以上加熱すると170℃と同様の樹脂フィルム1が加水分解により変色、変質する現象が発生しており、望ましくは135℃、1hrの加熱条件が良い。
【0083】
図6(b)は、本実施形態で作成する金属薄膜2を成膜した樹脂フィルム1に本発明の加熱アニール処理を施した場合と、施してない場合において、さらに熱付与を施した場合の樹脂フィルム1の収縮量を示した図である。
【0084】
本実施形態では、加熱アニール処理の熱処理条件を135℃、1hrとして実施した。また判定基準としては、金型などに対して許容される限界の0.05mmを許容限界とした。
【0085】
図6(b)の24からも明らかなように、加熱アニール処理をしていない樹脂フィルム1に熱を加えると、その寸法は、いずれの温度においても初期値から大きく変化しており、A4サイズでいうところの短辺側約200mmで1mm近く変化している。
【0086】
これに対し、本実施形態の加熱アニール処理工程を実施した樹脂フィルム1に熱を加えても、その寸法は、ほとんど変わっていないことがわかる(図6(b)の25)。
【0087】
すなわち、本実施形態の加熱アニール処理を行うと、樹脂フィルム1への熱工程による収縮が一気に進み、その後は熱収縮ダメージが収束して収縮が起こらず、そのサイズは安定していることがわかる。
【0088】
そのため、加熱アニール処理後の工程においては、この安定した樹脂フィルム1に加工していくことができる、つまり、金属薄膜2を保護するための保護層5を形成するレジスト硬化処理などの熱付与工程による寸法変化を防ぐことができ、個片カット工程での寸法変化によるバイオセンサ6の寸法ばらつきや基準孔4が寸法変化により使用できない等の工程歩留まりを防ぐことができることになる。
【0089】
また、最も重要である金属薄膜2にパターニングされる電極部3の寸法も安定し、効率良く安定した性能のバイオセンサ6を提供することができるようになる。
【0090】
一方、135℃、1hrの加熱アニール処理を行った後、150℃、1hrの熱付与をした場合には、図6(b)の測定値26からも明らかなように、アニール工程の効果はあるものの樹脂フィルム1の寸法変化が若干大きいことも分かる。
【0091】
すなわち、加熱アニール処理工程にて金属薄膜2を成膜した樹脂フィルム1に付与される温度は、金属薄膜2が成膜された樹脂フィルム1や形成されるバイオセンサ6が製造時や使用時において晒される周囲温度環境下の中で、最も高い温度でなければならない。
【0092】
さらに図6(c)は、加熱アニール処理1hr経過時の樹脂フィルム1の収縮変化量をグラフ化したもので、横軸に設定温度を配し、縦軸に60分後の測定寸法の変化量を配してある。
【0093】
図6(c)の27からも明らかなように、135℃近辺でその変化量が少なく収束している事が分かる。これからも加熱アニール処理の熱処理条件として135℃、1hrが望ましい。
【0094】
最後に、アニール処理のタイミングについて説明する。
【0095】
図7、図8は、本実施形態の加熱アニール処理の効果を説明するため、当該バイオセンサ6を別の工程フローにより製作し、その効果を本実施形態の加熱アニール処理と比較するための別実験を実施した際の工程フローを示す。
【0096】
図7は、本実施形態とは違う工程において、加熱アニール処理を実施した場合の工程フローを示す。
【0097】
本実施形態では、ステップAの樹脂フィルム1に金属薄膜2を成膜した後で、ステップCである電極部3となるパターニング加工をする前に加熱アニール処理を実施するが、この場合は、ステップCのパターニング加工およびステップDの保護層5形成を施した後に本実施形態の加熱アニール処理と同条件で加熱処理ステップB1を実施した。そして、ステップEでバイオセンサ6の個片とした。
【0098】
また、図8は、本実施形態の加熱アニール処理を施さない場合の工程フローを示す。この場合、本実施形態の加熱アニール処理を全く行わずにバイオセンサ6の個片とした。
【0099】
図9は、前述の3パターン(図1、図7、図8)の工程フローにて当該バイオセンサ6を製作し、抵抗値を測定したものを示し、横軸にセンサのサンプル数を配し、縦軸に表面抵抗値を配しているす。抵抗値の測定は、図5(b)のリード部8A、8Bで行った。
【0100】
図9の28からも明らかなように、まず加熱アニール処理を施さない場合、抵抗値が高いところで推移しているのに対し、本実施形態の加熱アニール処理を施したものは(図9の29)抵抗値が低いところで安定しているのが分かる。
【0101】
また、別工程にて本実施形態と同様の加熱処理を実施したものは(図9の30)、十分に抵抗値が低減していないことが分かる。これは、熱付与工程の前に保護層5を硬化させるための熱付与工程があるが、その影響を受けているものと思われる。
【0102】
この結果から、本実施形態の加熱アニール処理をしない場合では、いかなる工程やその環境下で熱付与された時に、バイオセンサ6の抵抗値は変化し、それが個片となるバイオセンサ6のバラツキにつながり、その性能を不安定にする可能性があるこということである。
【0103】
さらに、本実施形態の加熱アニール処理と異なる2パターン(図7、図8)では、バイオセンサ6の重要部分である図2(b)の電極溝部12やバイオセンサ6全体の寸法も、本実験内にあるステップDの保護層5を硬化するための熱付与工程の前後で変化しており、寸法においてもバラツキを生じている(図示せず)。
【0104】
すなわち、本実施形態の加熱アニール処理のように、金属薄膜2が成膜された樹脂フィルム1や、そこに形成されるバイオセンサ6が、製造時や使用時において晒される周囲温度環境下の中で、最も高い温度で加熱アニール処理を行った後、金属薄膜2にパターニング加工や保護層5の硬化工程、またはその他の熱付与工程を行う前に加熱アニール処理を実施する。
【0105】
すると、樹脂フィルム1や、そこに形成されるバイオセンサ6の寸法を安定させることが可能となり、さらに、その上に形成されるバイオセンサ6の抵抗値を低減、収束させることができ、つまり、個片となるバイオセンサ6の性能にばらつきを生じることなく、安定したバイオセンサ6を製造することができる。
【0106】
さて、図10は、図9の抵抗値測定を実施した3パターン(図1、図7、図8)の工程フローにて製作した各バイオセンサ6の金属薄膜2の表面状態を走査型電子顕微鏡にて撮像したものである。
【0107】
図10(a)は、本実施形態の加熱アニール処理を施していないバイオセンサ6の表面写真であり、図10(b)は、本実施形態の加熱アニール処理と同様の熱付与条件を別工程にて実施したバイオセンサ6の表面写真である。
【0108】
図10(a)、(b)からも明らかなように、この両者は、金属薄膜2の表面上の粒子が小さいもしくは不均一である。つまり、粒子が小さく、不均一な状態である場合、抵抗値が高い上、粒子のバラツキが抵抗値の低減、収束につながらず、バイオセンサ6自体の性能にバラツキや影響を与えるのである。
【0109】
一方、図10(c)は、本実施形態の加熱アニール処理を施したバイオセンサ6の表面写真であり、その金属薄膜2の粒子は一様に均一に成長していることが分かる。
【0110】
均一に粒子が成長している場合は、抵抗値が一様に低減、収束させることが可能となる。
【0111】
つまり、金属薄膜2を樹脂フィルム1に成膜した後、電極部3のパターニングやその他の熱付与工程を実施する前にステップBの加熱アニール処理を実施すると、図10(c)のような均一に成長した粒子が生成され、個片となるバイオセンサ6の抵抗値の低減、収束はもちろんのこと性能の安定したバラツキの無いバイオセンサ6を提供することが可能となる。
【0112】
図11は、本実施形態における金属薄膜2の加熱アニール処理後前の抵抗値Aと加熱アニール処理後後の抵抗値Bを測定し、その差分をあらかじめ認識している値Cと比較することで加熱アニール処理工程の終了を判断するシステムの一例を示した図である。
【0113】
あらかじめ認識する値Cは、図5(a)でも示すように加熱アニール処理で金属薄膜2の抵抗値が低減し、収束することを判断することができる値(例えば2.5Ω)とする。
【0114】
まず、ステップ1で、金属薄膜2を成膜した樹脂フィルム1の端部に、測定エリア10を決めて、決められた寸法だけ離れた部分の金属薄膜2表面の抵抗値Aを、抵抗測定器9で測定する。望ましくは四角のエリアなどでパターニングをする方が、後工程で判断できるため良い。
【0115】
次に、ステップ2で、本実施形態の加熱アニール処理工程を実施する。
【0116】
そして、ステップ3で前記測定エリア10において、決められた寸法部で、金属薄膜2表面の抵抗値Bを測定する。
【0117】
そして、ステップ4でステップ3での測定値Bと前記加熱前の測定値Aとの差分を演算し、あらかじめ認識している値Cと比較することで、金属薄膜2の電気抵抗値が十分に低減、収束しているか否かを判断し、加熱アニール処理工程を終了するか判断する。例えば、測定値Aと測定値Bの差分が値Cよりも大きくなると、加熱アニール処理工程を終了し、小さいときには、再度加熱アニール処理を行う。
【0118】
なお、加熱アニール処理工程は、135℃、1hrで行う。
【0119】
以上のように、金属薄膜2を成膜した樹脂フィルム1からなるバイオセンサ6の製造方法において、金属薄膜2を電極部3として加工形成する工程の前に金属薄膜2を成膜した樹脂フィルム1の状態で加熱アニール処理を行い、樹脂フィルム1へのダメージも均一、収束させ、さらに金属薄膜2の電気抵抗値を低減、収束させることで、センサ特性の安定したバイオセンサ6を提供することができる。
【0120】
この方法によれば、加熱アニール処理において付与する加熱温度が、製造プロセスや使用環境においても最も高く設定されるため、樹脂フィルム1の熱収縮量の変化や金属薄膜2の抵抗値の低減だけでなく、収束させることが可能である。
【0121】
そのため、製造プロセスや使用環境においても樹脂フィルム1の寸法が変化したり、金属薄膜2の抵抗値が変化したりすることなく安定したバイオセンサ6を製造することができる。
【0122】
またこの方法において、設定される温度と加熱時間は、樹脂フィルム1自体が加水分解するなど基板材料である樹脂フィルム1にダメージを与えることもなく、金属薄膜2が酸化膜を生成するような温度領域でもない。つまり、基材にも成膜材にも負荷を掛けることなく、加熱アニール処理を実施するため、安定した性能のバイオセンサ6を製造することが可能となる。
【0123】
またこの方法によれば、金属薄膜2と樹脂フィルム1とを同時に加熱アニール処理を行うことができる。例えば、樹脂フィルム1のみ加熱アニール処理した後、金属薄膜2を成膜しても成膜処理中に発生する残留応力や発熱、エネルギーにより、必ず金属薄膜2の抵抗値はバルク値よりも高くなる。また、前述のエネルギーにより樹脂フィルム1にも再度熱収縮や熱応力による変化の可能性を含むこととなる。これは、その後の熱付与工程などで必然的に電気抵抗値の変化、低減が発生することとなる。
【0124】
こうなった場合でも、金属薄膜2を電極部3として加工形成する工程の前に、加熱アニール処理を行うことで、安定した性能のバイオセンサ6を製造することが可能となる。
【0125】
また、前述の従来例のように金属薄膜2のみを選択的に加熱アニール処理すれば、選択された金属薄膜2における発熱により選択された部分の樹脂フィルム1のみが熱収縮を起こす事となり、一部のみで寸法変化が発生する可能性が、本実施形態では、樹脂フィルム1全体にアニール処理を行うので、樹脂フィルム1の寸法は収縮した後安定する。
【0126】
本実施形態では、同時に加熱アニール処理を実施することで工程の短縮はもちろん、樹脂フィルム1の寸法変化および金属薄膜2の電気抵抗値を同時に安定、収束をさせることを目的とするため、製造プロセスで変化する事はない。
【0127】
なお、本実施形態においては金属薄膜2の膜厚をバイオセンサ6の性能特性から70nmとしたが、特に膜厚の指定は無い。ただ学術的に40nm以下の場合、樹脂フィルム1や金属薄膜2に成膜時の残留応力が顕著に存在することが分かっており、効果があると予想される。
【0128】
本実施形態においては、バイオセンサ6の基材となる樹脂フィルム1にポリエチレンテレフタレート(PET)を用いたがその他の熱収縮を起こす熱可塑性の樹脂フィルム材料でも同様の効果を得られる。
【0129】
また、金属薄膜2に銀を用いたがその他のパラジウム、金、銅やアルミなどの導電性金属薄膜材料でも同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上のように本発明は、樹脂フィルムと、この樹脂フィルム上に成膜した金属薄膜とからなるセンサの製造方法であって、樹脂フィルムに金属薄膜を成膜する第1の工程と、
この金属薄膜を成膜した樹脂フィルムを、加熱アニール処理する第2の工程と、前記加熱アニール処理した金属薄膜を、センサに加工形成する第3の工程とを順次実施するセンサの製造方法としたもので、センサの特性を安定させることができる。
【0131】
すなわち、本発明においては、センサの土台となる金属薄膜を成膜した樹脂フィルムを、その樹脂フィルム上にセンサを加工形成する工程の前で、加熱アニール処理するようにしたものであるので、これにより、金属薄膜の電気抵抗値を下げるとともに安定、収束させ、その上、樹脂フィルムを一気に収縮させるとともに、その後の工程で樹脂フィルムの収縮を発生させないように安定させることができる。
【0132】
その結果、センサの土台となる成膜された金属薄膜と樹脂フィルムが安定した状態で、その樹脂フィルム上にセンサの製造を行うことが出来るので、センサの加工状態も安定した物となり、したがって、センサの特性を安定させることができるものとなる。
【0133】
したがって、センサの製造方法として、広く活用が期待されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の一実施形態におけるバイオセンサ製造方法の基本的なプロセス概要図
【図2】(a)本発明の一実施形態で製造されるバイオセンサの概略図(b)そのバイオセンサの電極部詳細図(c)そのバイオセンサを電気回路として表現した図
【図3】(a)そのバイオセンサのインピーダンス測定のコールコールプロット図(b)そのバイオセンサによる細菌収集測定図
【図4】(a)加熱アニール処理を施していないバイオセンサのインピーダンス測定のコールコールプロット図(b)加熱アニール処理を施していないバイオセンサによる細菌収集測定図
【図5】(a)本発明の一実施形態における加熱アニール処理による金属薄膜の電気抵抗値の変化図(b)その金属薄膜の抵抗測定部を説明するための図(c)その加熱アニール処理時における電気抵抗値の変化量を示す図
【図6】(a)その加熱アニール処理による樹脂フィルム収縮度合を示す図(b)その加熱アニール処理の有無での樹脂フィルムの収縮量を示した図(c)その加熱アニール処理時における樹脂フィルム収縮の変化量を示す図
【図7】加熱アニール処理を実施した場合の工程図
【図8】加熱アニール処理を施さない場合の工程図
【図9】バイオセンサの抵抗値の測定図
【図10】(a)バイオセンサの表面の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(b)バイオセンサの表面の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(c)本発明の一実施形態におけるバイオセンサの表面の粒子構造を示す電子顕微鏡写真
【図11】本発明の一実施形態の加熱アニール処理の終了判定説明図
【符号の説明】
【0135】
1 樹脂フィルム
2 金属薄膜
3 電極部
4 基準孔
5 保護層
5A 範囲
5B 範囲
6 バイオセンサ
7A コンタクト部
7B コンタクト部
7C 電源
8A リード部
8B リード部
9 抵抗測定器
10 抵抗測定エリア
11 低細菌数領域
12 電極溝部
13 測定点
14 測定点
15 曲線
16 測定点
17 測定点
18 測定点
19 測定点
20 測定点
21 測定点
22 測定点
23 測定点
24 測定値
25 測定値
26 測定値
27 測定点
28 測定値
29 測定値
30 測定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムと、この樹脂フィルム上に成膜した金属薄膜とからなるセンサの製造方法であって、
樹脂フィルムに金属薄膜を成膜する第1の工程と、
この金属薄膜を成膜した樹脂フィルムを、加熱アニール処理する第2の工程と、
前記加熱アニール処理した金属薄膜を、センサに加工形成する第3の工程とを順次実施するセンサの製造方法。
【請求項2】
前記形成されたセンサを保護する保護層を形成する第4の工程を有し、前記第1の工程から順次実施する構成とし、
前記第4の工程における前記保護層を形成するための熱処理温度は、前記加熱アニール処理する第2の工程での加熱アニール処理温度よりも低くした請求項1に記載のセンサの製造方法。
【請求項3】
前記加熱アニール処理する第2の工程での加熱アニール処理温度は、前記樹脂フィルムが晒される周囲温度環境下の中で、最も高い温度であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサの製造方法。
【請求項4】
加熱アニール処理は、135℃〜150℃の加熱温度で、実質的に1時間の加熱時間を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のセンサの製造方法。
【請求項5】
金属薄膜は、金、銀やパラジウム、銅、アルミの導電体で、膜を形成していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のセンサの製造方法。
【請求項6】
樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のセンサの製造方法。
【請求項7】
加熱アニール処理は、加熱アニール処理後前の抵抗値と処理後の抵抗値を測定し、その差分をあらかじめ認識している値と比較することで、加熱アニール処理工程の終了を判断する加熱終了工程、を有する請求項1から6のいずれか一つに記載のセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−217081(P2010−217081A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65893(P2009−65893)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】