説明

センサー素子およびそれを備えたセンサー装置

【課題】感度を向上可能なセンサー素子を提供する。
【解決手段】センサー素子は、振動子2を備える。振動子2は、基板21と、金属薄膜22とを含む。基板21は、ガラスからなる。金属薄膜22は、PtまたはAuからなり、10〜100nmの膜厚を有する。振動子2は、基板21側から照射されたレーザ光により共振する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサー素子およびそれを備えたセンサー装置に関し、特に、金属薄膜を用いたセンサー素子およびそれを備えたセンサー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電極を用いずに無線によって圧電振動子の共振周波数等の音響量の変化を検出して検出対象物を検知する共振振動子質量検出装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
この共振振動子質量検出装置は、圧電振動子と、試料供給手段と、電場供給手段と、信号解析部とを備える。電場供給手段は、電圧を入力する入力手段と、圧電振動子の振動を受信する受信手段とを有する。
【0004】
圧電振動子は、振動電場が付与されると、圧電効果によって振動する。試料供給手段は、圧電振動子の表面に試料物質を供給する。電場供給手段の入力手段は、電圧を入力して振動電場を圧電振動子に印加する。電場供給手段の受信手段は、圧電振動子の振動を受信する。信号解析部は、受信手段によって受信された圧電振動子の振動に基づいて、検出対象物が圧電振動子に付着することによる共振周波数等の音響量の変化を検出して検出対象物を検知する。
【0005】
そして、共振振動子質量検出装置の感度は、圧電振動子の厚みの2乗に反比例する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−26099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の圧電振動子を用いた共振振動子質量検出装置においては、機械強度を保持するために圧電振動子の厚みを数十μmよりも薄くことが困難であり、その結果、共振振動子質量検出装置の感度が低いという問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、感度を向上可能なセンサー素子を提供することである。
【0009】
また、この発明の別の目的は、感度を向上可能なセンサー素子を備えたセンサー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によれば、センサー素子は、振動子と、保持部材とを備える。保持部材は、振動子を保持し、振動子にレーザ光を照射するための開口部を有する。振動子は、第1の金属薄膜、あるいは、基板と、第1の金属薄膜とを含む。第1の金属薄膜は、基板上に形成されるとともに、検出対象物を補足するたんぱく質が固定される表面を有し、レーザ光の照射により振動する。
【0011】
好ましくは、第1の金属薄膜は、基板に接して形成されている。あるいは、一部の基板が除去され、その部分が振動する状態にある。
【0012】
好ましくは、振動子は、第2の金属薄膜をさらに含む。第2の金属薄膜は、第1の金属薄膜が形成された基板の面と反対面に形成される。
【0013】
好ましくは、振動子は、第2の金属薄膜をさらに含む。第2の金属薄膜は、第1の金属薄膜が形成された基板の面と反対面の一部の領域に形成される。そして、第1の金属薄膜と第2の金属薄膜との距離は、基板の厚みよりも小さい。
【0014】
好ましくは、第2の金属薄膜は、第1の金属薄膜と異なる金属からなる。
【0015】
好ましくは、基板は、絶縁物または半導体からなる。
【0016】
好ましくは、振動子は、薄膜をさらに含む。薄膜は、基板と第1の金属薄膜との間に配置され、基板および第1の金属薄膜に接して形成される。基板は、基板の厚み方向に形成され、薄膜の第1の金属薄膜との接触面と反対面の一部を露出させるための開口部をさらに含む。
【0017】
好ましくは、薄膜は、絶縁物または半導体からなる。
【0018】
好ましくは、第1の金属薄膜は、複数の金属薄膜片からなる。
【0019】
好ましくは、第1の金属薄膜は、酸に対して耐性を有する金属からなる。
【0020】
好ましくは、センサー素子は、第1の金属薄膜の表面に固定されたたんぱく質をさらに備える。
【0021】
また、この発明によれば、センサー装置は、センサー素子と、第1および第2の光源と、検出器とを備える。センサー素子は、検出対象物を補足する。第1の光源は、レーザ光からなる励起光をセンサー素子に照射する。第2の光源は、レーザ光からなるプローブ光をセンサー素子に照射する。検出器は、プローブ光のセンサー素子からの反射光を受け、その受けた反射光に基づいてセンサー素子の音響量を検出し、その検出した音響量の変動に基づいて検出対象物を検出する。センサー素子は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のセンサー素子からなる。第1および第2の光源は、第1の金属薄膜と反対側からそれぞれ励起光およびプローブ光をセンサー素子に照射する。
【発明の効果】
【0022】
この発明によるセンサー素子は、支持部材によって保持された振動子を備え、振動子は、基板上に形成された第1の金属薄膜を含む。そして、第1の金属薄膜は、レーザ光の照射によって振動し、検出対象物が第1の金属薄膜に付着すれば、共振周波数等の音響応答が変動するので、第1の金属薄膜における共振周波数等の音響応答の変動をレーザ光を用いて検出することによって検出対象物が第1の金属薄膜に付着したことを検知可能である。また、第1の金属薄膜が振動するときの共振周波数等の音響応答の変動は、第1の金属薄膜の膜厚の自乗に反比例し、この発明によるセンサー素子においては、第1の金属薄膜は、基板上に形成されるので、第1の金属薄膜の膜厚を薄くできる。
【0023】
したがって、この発明によれば、検出対象物を検出するときの感度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態によるセンサー素子の側面図である。
【図2】図1に示すA方向から見た支持部材の平面図である。
【図3】図1に示すB方向から見た支持部材の平面図である。
【図4】図3に示す線IV−IV間における支持部材の断面図である。
【図5】図1に示すA方向から見た支持部材の平面図である。
【図6】図5に示す線VI−VI間における支持部材の断面図である。
【図7】図1に示す振動子の断面図である。
【図8】パルスエコーの測定結果を示す図である。
【図9】音響フォノン共鳴振動の測定結果を示す図である。
【図10】図9に示すスペクトルをフーリエ変換したときのスペクトルを示す図である。
【図11】ブリルアン振動法の概念図である。
【図12】ブリルアン振動の測定例を示す図である。
【図13】図1に示すセンサー素子を用いた検出対象物の検出方法を説明するための図である。
【図14】図1に示すセンサー素子の金属薄膜における振動の実測例を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態によるセンサー装置の概略図である。
【図16】他の振動子を示す断面図である。
【図17】図16の(b)に示す振動子の振動を示す波形図である。
【図18】さらに他の振動子を示す平面図である。
【図19】図15に示すセンサー装置を用いたセンサーシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0026】
図1は、この発明の実施の形態によるセンサー素子の側面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態によるセンサー素子10は、支持部材1,3と、振動子2とを備える。
【0027】
支持部材1は、たとえば、テフロン(登録商標)からなり、流路11,12と、開口部13と、保持部14とを有する。
【0028】
流路11,12の各々は、支持部材1を貫通する。開口部13は、支持部材1の裏面1Bから保持部14まで支持部材1を貫通する。保持部14は、支持部材1の表面1A側に設けられる。
【0029】
振動子2は、略四角形の平面形状を有し、支持部材1の保持部14によって保持される。
【0030】
支持部材3は、たとえば、テフロン(登録商標)からなり、液溜部31を表面3A側に有する。
【0031】
そして、支持部材1,3は、支持部材1の表面1Aと支持部材3の表面3Aとが接するようにネジ(図示せず)によって固定される。
【0032】
なお、図1には図示されていないが、1mmの厚みを有するシリコンゴムが保持部14に沿って支持部材1,3間に挿入されている。このシリコンゴムは、溶液が液溜部31に流入した場合に溶液が外部へ漏れるのを防止する。
【0033】
図2は、図1に示すA方向から見た支持部材1の平面図である。図2を参照して、支持部材1は、略四角形の平面形状を有する。そして、支持部材1に設けられた流路11,12および開口部13の各々は、円形である。流路11,12の各々は、約2mmの直径を有し、開口部13は、約5mmの直径を有する。
【0034】
図3は、図1に示すB方向から見た支持部材1の平面図である。図3を参照して、保持部14は、略四角形の平面形状を有し、支持部材1の中央部に配置される。そして、保持部14は、振動子2の大きさと略同じ大きさを有する。
【0035】
開口部13は、保持部14の中央部に配置される。また、流路11は、保持部14の一方側に配置され、流路12は、保持部14の他方側に配置される。
【0036】
図4は、図3に示す線IV−IV間における支持部材1の断面図である。図4を参照して、保持部14は、支持部材1の表面1A側に形成された凹部からなる。そして、開口部13は、保持部14に連通している。
【0037】
保持部14は、振動子2の大きさと略同じ大きさを有するため、振動子2を保持部14に挿入することによって振動子2は、保持部14によって保持される。
【0038】
図5は、図1に示すA方向から見た支持部材3の平面図である。また、図6は、図5に示す線VI−VI間における支持部材3の断面図である。
【0039】
図5および図6を参照して、支持部材3は、表面3A側に凹部32を有する。凹部32は、支持部材3の中央部に設けられ、保持部14よりも大きい大きさを有する。
【0040】
支持部材3は、表面3Aが支持部材1の表面1Aに接するように支持部材1と固定されることによって、凹部32は、振動子2との間で液溜部31を形成する。
【0041】
図7は、図1に示す振動子2の断面図である。図2を参照して、振動子2は、基板21と、金属薄膜22とからなる。
【0042】
基板21は、たとえば、ガラスからなる。そして、基板21は、約0.5mmの厚みを有する。
【0043】
金属薄膜22は、白金(Pt)または金(Au)からなり、10〜100nmの膜厚を有する。そして、金属薄膜22は、蒸着によって基板21の表面に形成される。
【0044】
このように、振動子2は、透明な基板21を備えるので、レーザ光を基板21側から金属薄膜22に照射可能である。
【0045】
振動子2を保持部14に挿入する場合、振動子2の基板21だけが保持部14に挿入される。そして、支持部材1の保持部14は、支持部材1の表面1Aから基板21の厚みよりも若干大きい距離だけ窪んでいる。そして、支持部材1と振動子2との間にシリコンゴムを挿入し、ネジで締め付けることで溶液漏れを防ぐ。
【0046】
したがって、振動子2は、基板21だけが支持部材1に接し、金属薄膜22は、支持部材1に接しない。その結果、レーザ光が基板21側から金属薄膜22に照射された場合、金属薄膜22は、振動することができる。
【0047】
レーザ光の照射によって金属薄膜22が振動する機構について説明する。PtまたはAuからなる金属薄膜22を振動させるためにレーザ光をピコ秒オーダーの時間だけ金属薄膜22に照射する。
【0048】
たとえば、約100フェムト(10−15)秒の時間だけレーザ光を金属薄膜22に照射すると、金属薄膜22のうち、照射部分の温度が瞬間的に上昇し、熱応力が金属薄膜22に発生する。
【0049】
そうすると、この熱応力が音源となって主に金属薄膜22の膜厚方向に縦波が伝搬する。そして、縦波は、金属薄膜22内を多重反射し、定在波(共振)モードが金属薄膜22内で発生する。その結果、金属薄膜22は、振動する。
【0050】
次に、金属薄膜22内で発生した振動を検出する方法について説明する。この振動を検出する方法としてパルスエコー法、共振法およびブリルアン振動法の3つの方法がある。
【0051】
(i)パルスエコー法
まず、パルスエコー法について説明する。この方法は、膜厚が50nm以上の薄膜に対して適用される。
【0052】
そして、パルスエコー法は、ポンプ光を薄膜に照射することによって薄膜に発生した弾性パルス波が薄膜内を多重反射するエコーを計測し、エコーの振幅から減衰を評価する方法である。
【0053】
図8は、パルスエコーの測定結果を示す図である。図8において、縦軸は、反射率を表し、横軸は、時間を表す。なお、図8に示す測定結果は、シリコン(Si)上に形成された70nmの膜厚を有するPtにおける測定結果である。
【0054】
図8を参照して、反射率は、約33psごとに大きく変化しており、この時間間隔で弾性波が薄膜内を一往復していることがわかる。
【0055】
そして、図8に示す反射率において、反射率が低下したときの時刻や反射率を用いて共振周波数や減衰等の音響量を求める。また、図8に示す反射率をフーリエ変換して共振周波数等の音響量を求める。
【0056】
(ii)共振法
次に、共振法について説明する。この方法は、第一薄膜の膜厚が50nmよりも薄い薄膜に対して適用される。また、第一薄膜と基板、さらには、第一薄膜と基板と第二薄膜が振動する場合にも適用される。この場合、全体の膜厚は、200nm程度である。
【0057】
そして、共振法は、パルス幅がピコ秒オーダーである極短パルス光を第一または第二薄い薄膜に照射することによって振動子内に発生した共振モードを反射率の変化から観測するものである。
【0058】
図9は、音響フォノン共鳴振動の測定結果を示す図である。また、図10は、図9に示すスペクトルをフーリエ変換したときのスペクトルを示す図である。
【0059】
図9において、縦軸は、反射率を表し、横軸は、時間を表す。また、図10において、縦軸は、振幅を表し、横軸は、周波数を表す。
【0060】
なお、図9および図10においては、5.6nm、13nmおよび34nmの膜厚を有するPt薄膜内で発生した音響フォノン振動の測定結果を示す。
【0061】
図9を参照して、ポンプ光(=励起光)を照射後、Pt薄膜内で共振が発生していることがわかる。また、図9に示すスペクトルをフーリエ変換すると、図10に示すスペクトルが得られる。したがって、図10に示すスペクトルからPt薄膜の共振周波数等の音響量を求めることができる。
【0062】
なお、Pt薄膜の共振周波数等の音響量は、図9に示すスペクトルにおいて、ある反射率が得られる1つの時間を用いて求められてもよい。
【0063】
(iii)ブリルアン振動法
最後に、ブリルアン振動法について説明する。この方法は、弾性波による光の回折現象を利用しており、透明・半透明薄膜(酸化物および半導体)に対して非常に有効な手法である。
【0064】
図11は、ブリルアン振動法の概念図である。図11を参照して、試料表面に10nm程度の薄いAl等の薄膜からなる金属薄膜を成膜し、ポンプ光をその金属薄膜に照射する。そうすると、薄膜の熱膨張により膜厚方向に縦波超音波が励起される。
【0065】
縦波は、粗密波であり、物質内の電荷密度もこれと同じ波長で分布する。つまり、屈折率も、この波長で変化するために、光から見れば超音波は、いわゆる回折格子である。この状態でプローブ光が薄膜内に入射されると、プローブ光の一部は、表面で反射するが、Al薄膜(=金属薄膜)が薄いために、プローブ光の大部分は、試料内に透過して超音波によって回折される。
【0066】
回折条件は、光の物質内での波長(λ/n)が超音波の波長(λ)の2倍に等しいときである。ここで、nは、プローブ光に対する物質の屈折率を表す。
【0067】
超音波が薄膜内部へ進行すると、回折光は、金属薄膜の表面で反射された反射光と干渉し、反射率に振動が生じる。この振動をブリルアン振動と言う。ブリルアン振動の周波数fBOは、次式によって表わされる。
【0068】
BO=2nv/λ・・・(1)
なお、vは、物質内における音速である。
【0069】
図12は、ブリルアン振動の測定例を示す図である。図12において、縦軸は、反射率を表し、横軸は、時間を表す。
【0070】
なお、図12に示すスペクトルは、Si基板上に形成された酸化シリコン(SiO)からのブリルアン振動を示す。
【0071】
図12を参照して、低周波(〜45GHz)の振動の後、高周波(〜450GHz)の振動が観測されている。前者は、SiO薄膜からのブリルアン振動であり、後者は、Si基板からのブリルアン振動である。
【0072】
Siは、SiOよりも屈折率および音速が大きいため、高い周波数のブリルアン振動が観測される。
【0073】
なお、Si基板における振動が減衰しているのは、超音波の減衰ではなく、光が急激に減衰するためである。
【0074】
そして、図12に示す反射率において、ある反射率が得られる1つの時間を用いて共振周波数等の音響量を求める。また、図12に示す反射率をフーリエ変換して共振周波数を求める。
【0075】
この発明の実施の形態においては、上述したパルスエコー法、共振法およびブリルアン振動法のいずれかの方法を用いて試料内で発生した振動の共振周波数等の音響量を検出する。この場合、金属薄膜22の膜厚が50nm以上であるとき、パルスエコー法が用いられ、金属薄膜22の膜厚が50nmよりも薄いとき、共振法が用いられ、ブリルアン振動法は、金属薄膜22の膜厚に無関係に用いられる。
【0076】
図13は、図1に示すセンサー素子10を用いた検出対象物の検出方法を説明するための図である。
【0077】
図13を参照して、センサー素子10の金属薄膜22の表面に分子Bを固定する。そして、センサー素子10の基板21側からレーザ光(=ポンプ光)を金属薄膜22に照射する。これによって、金属薄膜22内で振動が発生する。そして、レーザ光(プローブ光)を基板21側から金属薄膜22に照射し、上述した3つの方法のいずれかを用いて金属薄膜22内で発生した振動の共振周波数等の音響量を検出する。
【0078】
その後、分子Aを流路11を介して液溜部31に注入すると、分子Aは、分子Bと反応し、複合体(AB)が金属薄膜22の表面に形成される。そうすると、複合体(AB)が金属薄膜22の表面に形成された状態でレーザ光(=プローブ光)を照射し、上述した3つの方法のいずれかを用いて金属薄膜22内における振動の共振周波数等の音響量を検出する。
【0079】
複合体(AB)は、分子Bよりも質量が大きいので、複合体(AB)が金属薄膜22の表面に形成されたときの複合体(AB)および金属薄膜22の全体の質量は、分子Bおよび金属薄膜22の全体の質量よりも大きい。
【0080】
その結果、複合体(AB)が金属薄膜22の表面に形成されたときの共振周波数等の音響量は、分子Bが金属薄膜22の表面に固定されているときの共振周波数等の音響量から変化する。
【0081】
したがって、分子Aをセンサー素子10に注入することによる共振周波数等の音響量の変動Δfを検出し、分子Aを検知する。
【0082】
この場合、共振周波数等の音響量が変化する速さは、分子Aと分子Bとの反応速度定数を表すことになる。
【0083】
図14は、図1に示すセンサー素子10の金属薄膜22における振動の実測例を示す図である。
【0084】
図14において、縦軸は、振幅を表し、横軸は、時間を表す。図14に示すスペクトルは、黄色ブドウ球菌プロテインAを金属薄膜22に固定し、ヒト免疫グロブリンG(ヒトIgG)を注入したときの金属薄膜22の振動を示す。
【0085】
図14を参照して、金属薄膜22内における振動は、ヒト免疫グロブリンG(ヒトIgG)を注入した後、大きく変化している。プロテインAは、比較的高い親和性によりヒト免疫グロブリンG(ヒトIgG)と結合するため、IgG分子がセンサー素子10に結合し、振幅等の音響量変化が生じる。
【0086】
図14に示す振動の振幅を周波数変化に換算すると、従来の圧電振動体を用いたときの周波数変化の1万倍を上回ることに相当する。
【0087】
検出対象物が付着する前後の共振周波数等の音響量の変化Δfは、振動子(=金属薄膜22)の膜厚の自乗に反比例する。また、金属薄膜22の膜厚は、ナノメートルオーダーであり、従来の圧電振動体の厚みの約1000分の1である。
【0088】
したがって、センサー素子10における共振周波数等の音響量の変化Δf(=感度)は、従来のセンサーに対して百万倍となる。
【0089】
図15は、この発明の実施の形態によるセンサー装置の概略図である。図15を参照して、この発明の実施の形態によるセンサー装置100は、センサー素子10と、レーザ光源110と、2分の1波長板111と、偏光ビームスプリッタ112と、反射板113,115,116,121〜123と、コーナーリフレクタ114と、レンズ118,120と、音響光学結晶117と、非線形光学結晶119と、ビームスプリッタ124と、ハーモニックセパレータ125と、対物レンズ126と、検出器127とを備える。
【0090】
レーザ光源110は、たとえば、チタン・サファイアパルスレーザからなり、波長800nmのパルス光(パルス幅:ピコ秒オーダー)を生成し、その生成したパルス光を2分の1波長板111へ出射する。
【0091】
2分の1波長板111は、レーザ光源110から受けたパルス光の偏光面を90°回転し、その偏光面を回転したパルス光を偏光ビームスプリッタ112へ導く。
【0092】
偏光ビームスプリッタ112は、2分の1波長板111から受けたパルス光を反射板113へ透過するとともにレンズ118の方向へ反射する。
【0093】
反射板113は、偏光ビームスプリッタ112から受けたパルス光をコーナーリフレクタ114へ反射する。
【0094】
コーナーリフレクタ114は、反射板113から受けたパルス光の光路を調整してパルス光を反射板115へ導く。
【0095】
反射板115は、コーナーリフレクタ114から受けたパルス光を反射板116の方向へ反射する。
【0096】
反射板116は、反射板115から受けたパルス光を音響光学結晶117の方向へ反射する。
【0097】
音響光学結晶117は、反射板116から受けたパルス光を変調し、その変調したパルス光をハーモニックセパレータ125へ出射する。
【0098】
レンズ118は、偏光ビームスプリッタ112から受けたパルス光を平行光にして非線形光学結晶119へ出射する。
【0099】
非線形光学結晶119は、レンズ118から受けたパルス光を倍波(波長=400nm)にしてレンズ120へ出射する。
【0100】
レンズ120は、非線形光学結晶119から受けたパルス光を反射板121に導く。
【0101】
反射板121は、レンズ120から受けたパルス光をビームスプリッタ124の方向へ反射する。
【0102】
反射板122は、反射板123から受けた光を検出器127の方向へ反射する。
【0103】
反射板123は、ビームスプリッタ124から受けた光を反射板122の方向へ反射する。
【0104】
ビームスプリッタ124は、反射板121から受けたパルス光を2つのパルス光に分離し、一方のパルス光をハーモニックセパレータ125へ導くとともに、他方のパルス光を参照光として検出器8127へ導く。また、ビームスプリッタ124は、ハーモニックセパレータ125から受けた光を反射板123の方向へ反射する。
【0105】
ハーモニックセパレータ125は、音響光学結晶117から受けたパルス光を対物レンズ126へ導くとともに、ビームスプリッタ124から受けたパルス光を対物レンズ126へ導き、センサー素子10における反射光をビームスプリッタ124へ導く。
【0106】
対物レンズ126は、ハーモニックセパレータ125から受けた光を集光し、その集光した光をセンサー素子10の振動子2に基板21側から照射する。
【0107】
検出器127は、ビームスプリッタ124から参照光を受け、センサー素子10による反射光を反射板122から受ける。そして、検出器127は、反射光から参照光を減算し、その減算後の光をロックインアンプに入力し、変調周波数成分を抽出する。
【0108】
レーザ光源110は、2分の1波長板111、偏光ビームスプリッタ112、反射板113、コーナーリフレクタ114、反射板115,116、音響光学結晶117、ハーモニックセパレータ125および対物レンズ126を介して、波長800nmのレーザ光LS1をセンサー素子10の振動子2に照射する。これによって、振動子2の金属薄膜22内で振動が生じる。したがって、レーザ光LS1は、ポンプ光(=励起光)と呼ばれる。
【0109】
また、レーザ光源110は、2分の1波長板111、偏光ビームスプリッタ112、レンズ118、非線形光学結晶119、レンズ120、反射板121、ビームスプリッタ124、ハーモニックセパレータ125および対物レンズ126を介して、波長400nmのレーザ光LS2をセンサー素子10の振動子2に照射する。そして、レーザ光LS2の反射光は、ビームスプリッタ124および反射板123,122を介して検出器127に導かれる。そして、検出器127は、レーザ光LS2の反射光から参照光を減算してセンサー素子10の振動子2の共振周波数等の音響量を求める。したがって、レーザ光LS2は、プローブ光と呼ばれる。
【0110】
センサー装置100においては、検出器127は、センサー素子10の流路11から検出対象物を含む溶液を流入しない状態で上述した方法によって振動子2の共振周波数等の音響量f0を検出する。
【0111】
その後、検出対象物を含む溶液が流路11から液溜部31に流入される。そして、検出器127は、検出対象物を含む溶液が液溜部31に溜まった状態で上述した方法によって振動子2の共振周波数等の音響量fmを検出し、その検出した共振周波数等の音響量fmが共振周波数等の音響量f0から変動していることを検知することにより、検出対象物を検出する。
【0112】
図16は、他の振動子を示す断面図である。この発明の実施の形態においては、センサー装置10は、振動子2に代えて図16に示す振動子2A,2B,2Cのいずれかを備えていてもよい。
【0113】
図16の(a)を参照して、振動子2Aは、図7に示す振動子2に金属薄膜23を追加したものであり、その他は、振動子2と同じである。金属薄膜23は、金属薄膜22が形成された基板21の一主面と反対の面に形成される。そして、金属薄膜23は、たとえば、Alからなり、10〜100nmの膜厚を有する。すなわち、金属薄膜23は、金属薄膜22と異なる金属からなる。
【0114】
振動子2Aがセンサー素子10に用いられる場合、検出対象物を補足するための抗体等のたんぱく質が金属薄膜22の表面に固定され、レーザ光LS1,LS2は、金属薄膜23側から振動子2Aに照射される。
【0115】
レーザ光LS1が照射されると、金属薄膜23内において、上述した縦波が金属薄膜23の膜厚方向に発生し、その発生した縦波は、基板21および金属薄膜22に伝搬し、基板21および金属薄膜22,23の全体が振動する。
【0116】
したがって、振動子2Aの共振周波数等の音響量の変動Δfを検出することにより振動子2Aを用いて検出対象物を検知できる。
【0117】
このように、振動子2Aにおいては、金属薄膜23は、音響源として機能する。
【0118】
なお、振動子2Aは、ガラスの一方の面に金属薄膜22を蒸着によって形成し、ガラスの他方の面に金属薄膜23を蒸着によって形成することによって製造される。
【0119】
図16の(b)を参照して、振動子2Bは、金属薄膜22と、薄膜24と、基板25とを含む。
【0120】
基板25は、たとえば、400μm程度の厚みを有するシリコンからなり、開口部251を有する。薄膜24は、たとえば、シリコンナイトライド(SiN)およびシリコンカーバイド(SiC)等の絶縁体または半導体からなり、50〜200nmの膜厚を有する。そして、薄膜24は、金属薄膜22および基板25に接して金属薄膜22と基板25との間に形成される。
【0121】
開口部251は、両端がテーパ構造になった断面形状を有し、薄膜24側で約2mmの直径を有し、基板25の裏面側で約2.5mmの直径あるいは約2.5mm角の正方形状を有する。
【0122】
振動子2Bがセンサー素子10に用いられる場合、検出対象物を補足するための抗体等のたんぱく質が金属薄膜22の表面に固定され、レーザ光LS1,LS2は、基板25の開口部251から薄膜24に照射される。
【0123】
レーザ光LS1が照射されると、薄膜22内において、上述した縦波が薄膜22の膜厚方向に発生し、その発生した縦波は、金属薄膜24に伝搬し、金属薄膜22および薄膜24の全体が振動する。
【0124】
したがって、振動子2Bの共振周波数等の音響量の変動Δfを検出することにより振動子2Bを用いて検出対象物を検知できる。
【0125】
なお、振動子2Bは、プラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)法または熱CVD法によって薄膜24をシリコン基板の一主面に形成し、その後、蒸着やスパッタリングによって金属薄膜22を薄膜24上に形成し、さらに、その後、シリコン基板の一部を裏面からエッチングによって除去し、開口部251を形成することによって製造される。
【0126】
図16の(c)を参照して、振動子2Cは、金属薄膜22,27と、基板26とを含む。基板26は、400μm程度の厚みを有するシリコンからなり、薄膜部261を有する。この薄膜部261は、約100nmの厚みを有する。
【0127】
金属薄膜22は、基板26の一主面に形成される。金属薄膜27は、金属薄膜22が形成された基板26の一主面と反対側において薄膜部261に接して形成される。
【0128】
そして、金属薄膜27は、たとえば、Alまたはクロム(Cr)からなり、約10nmの膜厚を有する。すなわち、金属薄膜27は、金属薄膜22と異なる金属からなる。
【0129】
振動子2Cがセンサー素子10に用いられる場合、検出対象物を補足するための抗体等のたんぱく質が金属薄膜22の表面に固定され、レーザ光LS1,LS2は、基板26側から金属薄膜27に照射される。
【0130】
レーザ光LS1が照射されると、金属薄膜27内において、上述した縦波が金属薄膜27の膜厚方向に発生し、その発生した縦波は、基板26の薄膜部261および金属薄膜22に伝搬し、薄膜部261および金属薄膜22が振動する。
【0131】
したがって、振動子2Cの共振周波数等の音響量の変動Δfを検出することにより振動子2Cを用いて検出対象物を検知できる。
【0132】
このように、振動子2Cにおいては、金属薄膜27は、音響源として機能する。
【0133】
なお、振動子2Cは、金属薄膜22を蒸着によってシリコン基板の一主面に形成し、その後、シリコン基板の一部を裏面からエッチングして薄膜部261を形成し、さらに、その後、金属薄膜27を蒸着によって薄膜部261に形成することによって製造される。
【0134】
センサー素子10において、振動子2A,2B,2Cのいずれかが用いられた場合も、上述したパルスエコー法、共振法、およびブリルアン振動法のいずれかの方法を用いて振動子2A,2B,2Cの共振周波数等の音響量が検出される。
【0135】
図17は、図16の(b)に示す振動子2Bの振動を示す波形図である。図17において、縦軸は、反射率を表し、横軸は、時間を表す。
【0136】
図17を参照して、振動は、ほぼ一定の周期で持続している。したがって、振動子2Bのように、400μm程度の厚みを有する基板25に接した薄膜24にレーザ光LS1を照射して薄膜24を振動させた場合も、その振動は、基板26によって減衰させられることはなく、持続することが実証された。
【0137】
図18は、さらに他の振動子を示す平面図である。この発明の実施の形態によるセンサー素子10は、振動子2に代えて図18に示す振動子20を備えていてもよい。
【0138】
振動子20は、基板201と、複数の振動部材202とを含む。基板201は、たとえば、ガラスまたはSi基板からなる。
【0139】
複数の振動部材202は、基板201の一主面に碁盤目状に配置される。そして、複数の振動部材202の各々は、上述した振動子2,2A,2B,2Cのいずれかからなり、約1mmの直径を有する円形形状からなる。
【0140】
振動子20を備えたセンサー素子10においては、複数の振動部材202に含まれる複数の金属薄膜22の表面に、同じ抗体等のたんぱく質が固定されていてもよく、相互に異なる複数種類の抗体等のたんぱく質が固定されていてもよい。
【0141】
複数種類の抗体等のたんぱく質が複数の金属薄膜22の表面に固定されている場合、複数種類の抗原を同時に検知できる。
【0142】
なお、振動子20が用いられる場合、レーザ光LS1,LS2は、スキャンされながら複数の振動部材202に照射される。
【0143】
また、振動子20においては、複数の振動部材202の各々は、円形に限らず、三角形、四角形および五角形等の多角形からなっていてもよい。
【0144】
図19は、図15に示すセンサー装置100を用いたセンサーシステムの概略図である。図19を参照して、センサーシステム1000は、センサー素子10と、容器301〜305,340と、送液ポンプ310と、配管320と、恒温槽330と、レーザ計測システム350と、パーソナルコンピュータ360とを備える。
【0145】
センサーシステム1000においては、センサー素子10およびレーザ計測システム350がセンサー装置100を構成する。
【0146】
容器301〜305は、送液ポンプ310に接続される。送液ポンプ310は、配管320によってセンサー素子10の流路11に接続される。
【0147】
センサー素子10は、恒温槽330内に配置される。そして、流路11は、配管320に接続され、流路12は、容器340に接続される。
【0148】
レーザ計測システム350は、図15に示すレーザ光源110、2分の1波長板111、偏光ビームスプリッタ112、反射板113,115,116,121〜123、コーナーリフレクタ114、音響光学結晶117、レンズ118,120、非線形光学結晶119、ビームスプリッタ124、ハーモニックセパレータ125、対物レンズ126および検出器127からなる。
【0149】
容器301〜305の各々は、検出対象物を含む溶液を保持する。この場合、容器301〜305には、相互に異なる検出対象物が入っている。
【0150】
送液ポンプ310は、容器301〜305のいずれかから溶液を吸い上げ、その吸い上げた溶液を配管320を介してセンサー素子10へ流入する。
【0151】
センサー素子10へ流入した溶液は、流路11から液溜部31に流れ込み、その後、流路12から容器340へ排出される。
【0152】
レーザ計測システム350は、レーザ光LS1をポンプ光(=励起光)としてセンサー素子10の振動子2に基板21側から照射し、レーザ光LS2をプローブ光としてセンサー素子10の振動子2に基板21側から照射して、参照光と振動子2からの反射光とを検出し、その検出した参照光および反射光に基づいて、振動子2の共振周波数等の音響量の変動Δfを検出して検出対象物を検知する。
【0153】
そして、レーザ計測システム350は、その検出した検出対象物をパーソナルコンピュータ360へ出力する。
【0154】
パーソナルコンピュータ360は、レーザ計測システム350から検出対象物を受け、その受けた検出対象物を表示する。
【0155】
また、パーソナルコンピュータ360は、レーザ計測システム350を制御する。より具体的には、パーソナルコンピュータ360は、レーザ計測システム350に含まれるレーザ光源110を駆動したり、コーナーリフレクタ114による光路の調整を制御する。
【0156】
なお、上記においては、金属薄膜22は、PtおよびAu等の貴金属からなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、金属薄膜22は、銅(Cu)からなっていてもよく、一般的には、酸に対して耐性を有する金属からなっていればよい。
【0157】
また、上記においては、センサー素子10は、溶液中の抗原を検知すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、センサー素子10は、空気中のガスを検知してもよい。
【0158】
この場合、センサー素子10は、支持部材3がなくてもよい。支持部材3を除去することによって、空気中の検出対象物が振動子2に付着し易くなり、センサー素子10における検出感度を向上できる。
【0159】
上述したように、センサー素子10は、振動子2を備え、振動子2は、基板21上に形成された金属薄膜22を有する。そして、センサー素子10においては、レーザ光LS1の照射によって金属薄膜22内に発生する振動する共振周波数等の音響量の変動を検出して検出対象物を検知する。また、共振周波数等の音響量の変動は、金属薄膜22の膜厚の自乗に反比例する。
【0160】
したがって、金属薄膜22の膜厚を薄くすることによって、センサー素子10における検出感度(=共振周波数等の音響量の変動)を飛躍的に向上できる。
【0161】
この発明の実施の形態においては、金属薄膜22は、「第1の金属薄膜」を構成し、金属薄膜23,27の各々は、「第2の金属薄膜」を構成する。
【0162】
また、この発明の実施の形態においては、複数の振動部材202に含まれる複数の金属薄膜22は、「複数の金属薄膜片」を構成する。
【0163】
さらに、この発明の実施の形態においては、レーザ光LS1を2分の1波長板111、偏光ビームスプリッタ112、反射板113,115,116、コーナーリフレクタ115、音響光学結晶117、ハーモニックセパレータ125および対物レンズ126を用いてセンサー素子10に照射するレーザ光源110は、「第1の光源」を構成する。
【0164】
さらに、この発明の実施の形態においては、レーザ光LS2を2分の1波長板111、偏光ビームスプリッタ112、レンズ118,120、非線形光学結晶119、反射板121、ビームスプリッタ124、ハーモニックセパレータ125および対物レンズ126を用いてセンサー素子10に照射するレーザ光源110は、「第2の光源」を構成する。
【0165】
さらに、この発明の実施の形態においては、音響量とは、振動子2,2A,2B,2C,20の共振周波数または振幅を言う。
【0166】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0167】
この発明は、感度を向上可能なセンサー素子に適用される。また、この発明は、感度を向上可能なセンサー素子を備えたセンサー装置に適用される。
【符号の説明】
【0168】
1,3 支持部材、1A,3A 表面、1B 裏面、2,2A,2B,2C,20 振動子、10 センサー素子、11,12 流路、13,251 開口部、14 保持部、21,25,26,201 基板、22,23,27 金属薄膜、24 薄膜、31 液溜部、32 凹部、100 センサー装置、110 レーザ光源、111 2分の1波長板、112 偏光ビームスプリッタ、113,115,116,121〜123 反射板、114 コーナーリフレクタ、117 音響光学結晶、118,120 レンズ、119 非線形光学結晶、124 ビームスプリッタ、125 ハーモニックセパレータ、126 対物レンズ、202 振動部材、261 薄膜部、301〜305,340 容器、310 送液ポンプ、320 配管、330 恒温槽、350 レーザ計測システム、360 パーソナルコンピュータ、1000 センサーシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子と、
前記振動子を保持し、前記振動子にレーザ光を照射するための開口部を有する保持部材とを備え、
前記振動子は、
基板と、
前記基板上に形成されるとともに、検出対象物を補足するたんぱく質が固定される表面を有し、前記レーザ光の照射により振動する第1の金属薄膜とを含む、センサー素子。
【請求項2】
前記第1の金属薄膜は、前記基板に接して形成されている、請求項1に記載のセンサー素子。
【請求項3】
前記振動子は、前記第1の金属薄膜が形成された前記基板の面と反対面に形成された第2の金属薄膜をさらに含む、請求項2に記載のセンサー素子。
【請求項4】
前記振動子は、前記第1の金属薄膜が形成された前記基板の面と反対面の一部の領域に形成された第2の金属薄膜をさらに含み、
前記第1の金属薄膜と前記第2の金属薄膜との距離は、前記基板の厚みよりも小さい、請求項2に記載のセンサー素子。
【請求項5】
前記第2の金属薄膜は、前記第1の金属薄膜と異なる金属からなる、請求項4に記載のセンサー素子。
【請求項6】
前記基板は、絶縁物または半導体からなる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセンサー素子。
【請求項7】
前記振動子は、
前記基板と前記第1の金属薄膜との間に配置され、前記基板および前記第1の金属薄膜に接して形成された薄膜をさらに含み、
前記基板は、前記基板の厚み方向に形成され、前記薄膜の前記第1の金属薄膜との接触面と反対面の一部を露出させるための開口部をさらに含む、請求項1に記載のセンサー素子。
【請求項8】
前記薄膜は、絶縁物または半導体からなる、請求項7に記載のセンサー素子。
【請求項9】
前記第1の金属薄膜は、複数の金属薄膜片からなる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のセンサー素子。
【請求項10】
前記第1の金属薄膜は、酸に対して耐性を有する金属からなる、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のセンサー素子。
【請求項11】
前記第1の金属薄膜の表面に固定された前記たんぱく質をさらに備える、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のセンサー素子。
【請求項12】
検出対象物を補足するセンサー素子と、
レーザ光からなる励起光を前記センサー素子に照射する第1の光源と、
レーザ光からなるプローブ光を前記センサー素子に照射する第2の光源と、
前記プローブ光の前記センサー素子からの反射光を受け、その受けた反射光に基づいて前記センサー素子の音響量を検出し、その検出した音響量の変動に基づいて前記検出対象物を検出する検出器とを備え、
前記センサー素子は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のセンサー素子からなり、
前記第1および第2の光源は、前記第1の金属薄膜と反対側からそれぞれ前記励起光および前記プローブ光を前記センサー素子に照射する、センサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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