説明

センサー装置及び測定システム

【課題】初期化処理において、履歴情報との整合性がある時間情報を設定することが可能なセンサー装置及び測定システム等を提供すること。
【解決手段】センサー装置は、センサー検出情報を出力するセンサー部20と、時間情報を出力する時間情報出力部12と、不揮発性の記憶部と、センサー検出情報と時間情報とを関連付けた情報を、履歴情報として不揮発性の記憶部に記憶する処理部11と、を含む。処理部11は、システムの初期化処理において、不揮発性の記憶部から履歴情報を読み出し、その履歴情報に含まれる時間情報をシステムの時間情報として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー装置及び測定システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、健康意識の高まりから、運動測定を行うための種々のセンサー装置が用いられている。例えば、脈拍センサー装置(例えば特許文献1)や歩数計などを用いて日々の運動履歴を記録し、健康管理に活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−61246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように日々の運動履歴を記録する場合、運動した日時の情報が必要となる。この日時情報は、一般的にはセンサー装置が現在日時として生成するものである。センサー装置は運動測定を行うために体に装着するタイプのものが多く、そのため電池駆動であることが一般的である。
【0005】
ユーザーが電池の交換や充電を忘れた場合、センサー装置が動作を停止し、再度センサー装置を起動すると初期化処理により日時情報が初期値に戻るという課題がある。日時情報がリセットされると、例えばユーザーが現在日時をセットし直す煩わしさが生じたり、それまでの履歴と整合性がない日時の履歴が記録されてしまう。例えば、期間を定めて目標達成を目指す運動プログラムでは、日時情報がリセットされた後にそのままユーザーが運動してしまうと、その運動履歴がプログラムの対象期間外となる。そうすると、運動履歴がデータとして記録されず、ユーザーの運動意欲を損なう原因となってしまう。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、初期化処理において、履歴情報との整合性がある時間情報を設定することが可能なセンサー装置及び測定システム等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、センサー検出情報を出力するセンサー部と、時間情報を出力する時間情報出力部と、不揮発性の記憶部と、前記センサー検出情報と前記時間情報とを関連付けた情報を、履歴情報として前記不揮発性の記憶部に記憶する処理部と、を含み、前記処理部は、システムの初期化処理において、前記不揮発性の記憶部から前記履歴情報を読み出し、前記履歴情報に含まれる前記時間情報をシステムの時間情報として設定するセンサー装置に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、初期化処理において、不揮発性の記憶部から読み出された履歴情報の時間情報に基づいてシステムの時間情報が設定される。これにより、初期化処理において、履歴情報との整合性がある時間情報を設定することが可能になる。
【0009】
また本発明の一態様では、前記処理部は、前記履歴情報に含まれる前記時間情報のうちの直近の時間情報、又は前記直近の時間情報から所定時間経過させた時間情報を、前記システムの時間情報として設定してもよい。
【0010】
このようにすれば、既に履歴情報が存在する場合に、その履歴情報の中の直近の時間情報又は直近の時間情報から所定時間経過させた時間情報を用いることで、履歴情報と整合性のある時間情報を設定できる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記処理部は、前記不揮発性の記憶部に前記履歴情報が存在しない場合には、所定の初期値を前記システムの時間情報として設定してもよい。
【0012】
このようにすれば、履歴情報が存在しない場合に、システムの時間情報を所定の初期値に設定できる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記時間情報出力部からの前記時間情報を、前記システムの時間情報として記憶するRAMを含み、前記処理部は、前記システムの初期化処理において、前記RAMに保持されている前記時間情報を前記システムの時間情報として設定してもよい。
【0014】
また本発明の一態様では、前記処理部は、前記RAMに保持されている前記時間情報が、前記システムの時間情報として正当であるか否かの判定を行い、正当であると判定した場合には、前記RAMに保持されている前記時間情報を前記システムの時間情報として設定してもよい。
【0015】
これらの態様によれば、初期化処理の開始前までRAMに時間情報が保持されていた場合に、その保持された時間情報を利用して初期化処理において時間情報を設定できる。これにより、更に実際の時間に近い時間情報を設定することが可能になる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記処理部は、前記RAMに保持されている前記時間情報が前記システムの時間情報として正当でないと判定した場合には、前記不揮発性の記憶部から前記履歴情報を読み出し、前記履歴情報に含まれる前記時間情報をシステムの時間情報として設定してもよい。
【0017】
このようにすれば、RAM40の時間情報が、例えば電源電圧の低下などにより破壊されていた場合であっても、履歴情報の時間情報を用いて時間情報を設定できる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記処理部は、前記RAMに保持されている前記時間情報が、所定の時間範囲内である場合に、前記システムの時間情報として正当であると判定してもよい。
【0019】
このようにすれば、RAMに保持された時間情報が所定の時間範囲内である場合に、その時間情報が正当なものでないと判定でき、その時間情報を用いてシステムの時間情報を設定できる。
【0020】
また本発明の一態様では、前記処理部は、前記システムの電源電圧が所定電圧よりも低下した場合に、前記システムを省電力モード(省エネモード)に設定し、前記省電力モードにおいて、前記処理部は前記履歴情報の取得を停止し、前記時間情報出力部は前記RAMに対して前記時間情報の出力を継続してもよい。
【0021】
このようにすれば、電源電圧が低下して省電力モードに設定された後、電力消費を抑えながら可能な限り長い期間、システムの時間情報を更新し続けることができる。これにより、初期化処理において、より実際の日時に近い時間情報を設定できる。
【0022】
また本発明の他の態様は、センサー検出情報を出力するセンサー部と、時間情報を出力する時間情報出力部と、不揮発性の記憶部と、前記センサー検出情報と前記時間情報とを関連付けた情報を、履歴情報として前記不揮発性の記憶部に記憶する処理部と、前記時間情報出力部からの前記時間情報を、前記システムの時間情報として記憶するRAMと、を含み、前記処理部は、前記システムの初期化処理において、前記RAMに保持されている前記時間情報を前記システムの時間情報として設定するセンサー装置に関係する。
【0023】
また本発明の他の態様は、センサー検出情報を出力するセンサー部と、時間情報を出力する時間情報出力部と、不揮発性の記憶部と、前記センサー検出情報と前記時間情報とを関連付けた情報を、履歴情報として前記不揮発性の記憶部に記憶する処理部と、前記不揮発性の記憶部に記憶された前記履歴情報を取得し、取得した前記履歴情報に基づいて測定結果の表示用データを生成する表示用データ生成部と、を含み、前記処理部は、システムの初期化処理において、前記不揮発性の記憶部から前記履歴情報を読み出し、前記履歴情報に含まれる前記時間情報をシステムの時間情報として設定する測定システムに関係する。
【0024】
また本発明の他の態様では、前記表示用データ生成部は、取得した前記履歴情報のうち、前記センサー検出情報に関連付けられた前記時間情報が計測期間内である前記履歴情報を用いて、前記測定結果の表示用データを生成してもよい。
【0025】
このようにすれば、例えば測定システムが提供するサービスの計測期間が決まっている場合に、センサー装置の初期化処理において、履歴情報やRAMの時間情報に基づいて時間情報が設定されることで、時間情報を手動設定しなくても計測期間内の測定結果を測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態のセンサー装置の構成例。
【図2】初期化処理における時間情報設定処理のフローチャート。
【図3】本実施形態の測定システムの構成例。
【図4】測定システムにより表示される表示画像の例。
【図5】計測処理におけるセンサー装置の動作説明図。
【図6】初期化処理におけるセンサー装置の動作説明図。
【図7】初期化処理におけるセンサー装置の動作説明図。
【図8】省電力モードにおけるセンサー装置の動作説明図。
【図9】脈拍センサー装置の構成例。
【図10】脈拍センサー装置の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0028】
1.センサー装置
図1に、本実施形態のセンサー装置の構成例を示す。センサー装置は、マイクロプロセッサー10、センサー部20、フラッシュメモリー30(広義には不揮発性の記憶部)、RAM40(Random Access Memory、広義には揮発性の記憶部)、電圧低下検出部50、通信部60、表示部70を含む。なお、本実施形態は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
【0029】
マイクロプロセッサー10は、例えばMPUにより構成され、センサー装置の各部の制御や種々のデータ処理を行うためのプログラムを実行する。マイクロプロセッサー10は、処理部11、時間情報出力部12を含む。
【0030】
処理部11は、上記プログラムを実行し、例えばセンサー部20からのセンサー検出結果のデータ処理や、フラッシュメモリー30への履歴情報の書き込み処理、通信部60を介したPCとの通信処理、センサー装置の初期化処理等を行う。
【0031】
時間情報出力部12は、時刻表示や履歴情報に用いるための日時情報(広義には時間情報)を出力する。例えば、時間情報出力部12は、初期日時からの経過年月日や経過時分秒をカウントするカウンターにより構成され、そのカウンターのカウント値を日時情報として出力する。
【0032】
センサー部20は、ユーザーの生体情報や運動情報のセンシングを行い、センサー検出結果を出力する。センサー部20は、例えば図示しないセンサーとA/D変換部を有し、A/D変換部が、センサーが出力するアナログ信号をA/D変換し、センサー部20が、そのA/D変換されたデジタル信号をセンサー検出結果として出力する。例えば、センサー部は、赤外線センサーや音響センサー、加速度センサー、血糖センサーなどにより構成され、脈拍情報や血圧情報、歩数情報、血糖値情報などのセンシングを行う。
【0033】
フラッシュメモリー30は、電源オン・オフに依らず記憶データを保持するメモリーであり、種々のデータの保存に用いられる。例えば、フラッシュメモリー30には、運動履歴情報データや、ユーザーの設定情報データ(例えば体重、性別、年齢など)などが、マイクロプロセッサー10により書き込まれる。また、フラッシュメモリー30には、マイクロプロセッサー10が実行する種々のプログラムデータが格納されている。
【0034】
RAMは、一時的なデータ記憶に用いられるメモリーであり、例えばSRAMやDRAMにより構成される。例えばRAMは、マイクロプロセッサー10がプログラムを実行する際のワーキングメモリーとして用いられる。また、RAMには、センサー装置の現在日時を表す日時情報が記憶され、その日時情報は、時間情報出力部12からの日時情報により順次更新される。
【0035】
電圧低下検出部50は、図示しない電源(センサー装置の電源、例えば二次電池)からの電源電圧が所定電圧よりも小さくなった場合、処理部11に対して検出信号を出力する。処理部11は、検出信号を受け取ると、センサー装置を省電力モードに設定する。省電力モードでは、時間情報出力部12及びRAM40以外の構成要素の動作を停止し、電力消費を節約する。即ち、日時情報の更新のみが行われ、処理部11によるデータ処理やセンサー部20によるセンシング、通信部60による通信処理、表示部70による表示処理が停止される。
【0036】
例えば、電圧低下検出部50は、図示しないダイオードと分圧回路を有し、電源電圧を分圧回路により分圧した電圧と、ダイオードの両端の電圧を比較することにより、電源電圧が所定電圧より小さくなったことを検出する。
【0037】
通信部60は、センサー装置の外部(例えば図3に示すクレードル110やPC200)との通信処理を行う。通信処理は、無線通信処理であってもよいし、有線通信処理であってもよい。例えば、無線LANやBluetooth、USB等の種々の通信規格に準拠した通信処理であってもよいし、独自規格の通信処理であってもよい。
【0038】
表示部70は、例えば液晶表示装置により構成され、日時や運動履歴、生体情報(例えば血圧、脈拍)、運動情報(例えば運動継続時間、消費カロリー、歩数)、ユーザー設定情報(例えば身長、体重、年齢)などを表示する。
【0039】
2.初期化処理における日時情報設定処理
次に、上述のセンサー装置が行う初期化処理において、センサー装置に残された日時情報を用いて日時設定を行う処理について説明する。
【0040】
ここで、初期化処理(リセット処理)とは、センサー装置がリセットされた状態からセンサー装置を立ち上げ(ブート処理)、センサー装置をユーザーが操作可能な状態にする処理である。例えば本実施形態では、電源電圧が低下すると省電力モードで動作し、その後、電源が充電又は交換されて電源電圧が上昇すると、センサー装置が起動可能な状態となる。ユーザーが起動操作を行うとマイクロプロセッサー10が初期化処理プログラムを実行し、各部の起動やRAM40の初期化を行う。
【0041】
図2に、初期化処理における日時情報設定処理(広義には時間情報設定処理)のフローチャートを示す。図2に示すように、この処理が開始されると、RAM40に保持された日時情報(広義には時間情報)の値の正当性を判定する(ステップS1)。この正当性は、RAM40に保持された日時情報の値が、所定範囲内であるか否かにより判定する。所定範囲は、例えば下記に示す範囲である。
年:出荷年(例えば2011)〜2099
月:1〜12
日:1〜31
時:0〜23
分:0〜59
秒:0〜59
【0042】
この正当性の判定では、RAM40に記憶されたデータが破壊されているか否かを判定している。例えば、電源電圧の低下によりRAM40が記憶データを保持できず、記憶データが破壊されている場合には、RAM40上の日時情報は“00”や“FF”などの値にデータ化けする。本実施形態では、現実に存在する年月日や時分秒の範囲を条件とすることで、このような破壊されたデータを整合性のないデータとして除外する。
【0043】
RAM40上の値に正当性がある場合には、RAM40上の値を日時情報として設定し(ステップS2)、処理を終了する。RAM40上の値に正当性がない場合には、フラッシュメモリー30に日別履歴データが存在するか否かの確認を行う(ステップS3)。
【0044】
日別履歴データが存在する場合には、その日別履歴データの中の、直近に行われた計測の年月日の情報を、日時情報として設定し(ステップS4)、処理を終了する。日時情報のうち時分秒の情報は、例えば00時00分00秒に設定してもよいし、履歴データの中に時分秒の情報があれば、その情報を利用してもよい。日別履歴データが存在しない場合には、所定の初期値(例えば2011年1月1日(土)00時00分00秒)を、日時情報として設定し(ステップS5)、処理を終了する。
【0045】
以上の処理は、初期化処理においてRAM40の記憶内容が初期化される前に行われ、この処理の日時情報の設定により、時間情報出力部12のカウント開始時間が設定される。そして、RAM40の記憶内容が初期化された後に、時間情報出力部12がRAM40の日時情報を更新する。
【0046】
3.測定システム
さて、時計機能を持つ製品では、多くの製品は電池切れによるリセット処理がかかった際に、日付と時間を初期時刻に設定する。例えば、2011年に発売されたものだった場合、日付と時間を「2011年1月1日(土)00時00分00秒」に設定する。
【0047】
このような製品は、計測データを保持する必要がなく、任意のアプリケーションに使用するデータをアップロードするといった機能を持たないという前提で作られている。そのため、計測データを蓄積し、その計測データをアプリケーションで用いようとすると、過去の計測データと時間の整合性が無いデータがアップロードされるという課題がある。この点について、以下に詳細に説明する。
【0048】
なお以下では、上述のセンサー装置100が、赤外線センサーにより脈拍をセンシングする脈拍センサー装置である場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、種々のセンサー装置を利用できる。
【0049】
まず、図3に上述のセンサー装置を用いた測定システムの構成例を示す。測定システムは、センサー装置100、クレードル110、PC200(パーソナルコンピュータ)、サーバーシステム400を含む。
【0050】
センサー装置100は、ユーザーの脈拍をセンシングし、その脈拍やユーザーの体重、身長、年齢に基づいて、例えば消費カロリーなどの運動情報を取得する。センサー装置100は、その運動情報と取得日時を、履歴情報として蓄積する。
【0051】
ユーザーがセンサー装置100のボタンを操作し、履歴情報の送信を実行すると、履歴情報が無線通信によりクレードル110に送信される。クレードル110は、有線通信(例えばUSB)によりPC200に接続されており、センサー装置100からの履歴情報を、その有線通信を介してPC200に送信する。
【0052】
PC200には、センサー装置100と連携するためのソフトウェアが予めインストールされており、センサー装置100からの履歴情報は、そのソフトウェアによりネットワーク300を介してサーバーシステム400に送信される。
【0053】
ネットワーク300(配信網、通信回線)は、例えばインターネットや無線LAN等を利用した通信路であり、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLANの他、電話通信網やケーブル網や無線LAN等の通信網を含むことができる。また通信方法については有線/無線を問わない。
【0054】
サーバーシステム400は、ネットワーク300を介してユーザーに運動プログラムサービスを提供する。即ち、サーバーシステム400は、PC200からネットワーク300を介して受信した履歴情報をデータ処理し、例えば消費カロリーの時系列情報などの表示用データを生成し、その表示用データをネットワーク300を介してPC200に送信する。例えば、表示用データはHTML形式で提供され、PC200は、その表示用データをウェブブラウザーにより表示部に表示する。
【0055】
図4に、測定システムによりPC200の表示部に表示される表示画像の例を示す。図4のA1は、ウェブブラウザーの表示領域を表している。A2〜A4に示すように、ウェブブラウザーの表示領域には、ユーザー設定情報の表示領域、メニュー表示領域、履歴情報表示領域が設けられる。
【0056】
ユーザー設定情報の表示領域には、ユーザーの現在の体重や、目標体重、目標達成率が表示される。メニュー表示領域には、ユーザーが運動プログラムサービスを操作するためのメニューが表示される。履歴情報表示領域には、センサー装置100から送信された履歴情報に基づいて、日々の運動情報(運動結果)が時系列に表示される。また、履歴情報表示領域には運動プログラムサービスが提供される実施期間が表示され、ユーザーは、その実施期間内の目標達成を目指す。
【0057】
このような測定システムにおいて、センサー装置100に電池切れによるリセット処理がかかり、日付が自動的に「2011年1月1日(土)00時00分00秒」の初期時刻に設定されたとする。
【0058】
この場合、ユーザーが充電を終え、初期時刻に設定されていることに気付かない状態で運動計測を行うと、「2011年1月1日(土)00時00分00秒」の計測データが生成されることになる。この計測データを、開始日と終了日が定められた期間内で実施している運動プログラムサービスにアップロードすると、次のような課題が発生する。
【0059】
即ち、初期時刻の運動データは、運動プログラムサービスで設定されている実施期間から大きく外れてしまうため、プログラム対象データとして不適合とされるという課題が発生する。例えば実施期間が2011年10月1日〜2012年3月31日である場合、初期時刻2011年1月1日の計測データは、実施期間内のデータではなく実施期間との整合性がとれないデータであると判断される。
【0060】
この場合、計測データはユーザーの運動実績として使用されず、ウェブブラウザーの運動履歴には表示されなくなってしまう。また、運動プログラムサービスに参加しているユーザーの中で、運動実績のランキングサービスを行う場合、初期時刻の計測データはランキングに反映されないことになる。
【0061】
また、センサー装置100が電池切れしたときにユーザーが時刻を再設定すればよいが、リセットがかかるたびに「2011年1月1日(土)00時00分00秒」に設定されてしまうため、現在の時刻へ修正を行う際のキー操作が多くなり、リセットされる都度発生する時刻修正がユーザーにとって負担となってしまう。
【0062】
この点、本実施形態によれば、図1で説明したようにセンサー装置は、センサー検出情報を出力するセンサー部20と、時間情報(例えば日時情報)を出力する時間情報出力部12と、不揮発性の記憶部(例えばフラッシュメモリー30)と、センサー検出情報と時間情報とを関連付けた情報を履歴情報として不揮発性の記憶部に記憶する処理部11を含む。図2のS3、S4で説明したように、処理部11は、システム(センサー装置100)の初期化処理において、不揮発性の記憶部から履歴情報を読み出し、履歴情報に含まれる時間情報をシステムの時間情報として設定する。
【0063】
例えば本実施形態では、図5に示すように、運動計測処理において、処理部11はRAM40とセンサー部20を参照して時間情報とセンサー検出情報を取得し、センサー検出情報と時間情報を関連付けて日別の運動履歴情報としてフラッシュメモリー30に格納する。なお、センサー検出情報と時間情報を関連付けた情報は、センサー検出情報(例えば脈拍情報)そのものと時間情報を関連付けた情報であってもよいし、センサー検出情報を処理して得られる情報(例えば消費カロリー情報)と時間情報を関連付けた情報であってもよい。
【0064】
また本実施形態では、図6に示すように、初期化処理において、処理部11はフラッシュメモリー30から読み出した履歴情報の中から時間情報を取り出し、その時間情報を時間情報出力部12に設定する。時間情報出力部12は、設定された時間情報から時間のカウントを開始し、システムの時間情報を出力する。
【0065】
なお、上記の図5、図6や、後述する図7、図8では、図示を簡単にするため、電圧低下検出部50や通信部60、表示部70を省略している。
【0066】
ここで、不揮発性の記憶部とは、電源が非供給状態であっても記憶データが保持される記憶部である。例えば、不揮発性の記憶部は、EEPROM(例えばフラッシュメモリー)や、ハードディスクドライブ等により実現できる。
【0067】
このようにすれば、センサー装置100において履歴情報の整合性を保証する機能を提供できる。即ち、仮にユーザーが初期時刻を設定し忘れて運動した場合であっても、作成される履歴情報が、運動プログラムサービスの実施期間内の運動データとなるため、整合性のとれたデータを作成できる。また、履歴情報を参照し、その履歴情報に基づいて自動的に日時修正を行えるため、初期値「2011年1月1日(土)00時00分00秒」から手動で修正するよりも手軽に日時修正を行うことができる。例えば、日時の修正時間を短縮できるため、ユーザーの煩わしさが軽減される。
【0068】
また本実施形態では、処理部11は、履歴情報に含まれる時間情報のうちの直近の時間情報、又はその直近の時間情報から所定時間(例えば1日)経過させた時間情報を、システムの時間情報として設定する。
【0069】
ここで、直近の時間情報とは、履歴情報に記録された時間情報のうち最も後の(最新の)時間情報である。例えば、2011年10月1日〜2011年10月15日の履歴情報がある場合、2011年10月15日が直近の時間情報である。なお、直近の時間情報は、最も後の時間情報に限定されず、最も後の時間情報から所定時間(例えば3日)以内の時間情報であればよい。
【0070】
このようにすれば、既に履歴情報が存在する場合に、その履歴情報と整合性のあるデータを計測できる。即ち、初期化処理後に測定されたデータを、既に測定された履歴情報よりも後の日時のデータとして記録でき、できるだけ実際の測定時間に近い時間の計測データとして記録できる。
【0071】
また本実施形態では、図2のS3、S5で説明したように、処理部11は、不揮発性の記憶部に履歴情報が存在しない場合には、所定の初期値(例えば「2011年1月1日(土)00時00分00秒」)をシステムの時間情報として設定する。
【0072】
このようにすれば、履歴情報が存在しない場合、即ちセンサー装置100が工場出荷時の状態である場合や一度も使用されていない状態である場合に、初期化処理後の時間として初期値を設定できる。
【0073】
また本実施形態では、図1で説明したように、センサー装置100は、時間情報出力部12からの時間情報を、システムの時間情報として記憶するRAM40を含む。図2のS1、S2に示すように、処理部11は、システムの初期化処理において、RAM40に保持されている時間情報をシステムの時間情報として設定する。
【0074】
具体的には、処理部11は、RAM40に保持されている時間情報が、システムの時間情報として正当であるか否かの判定を行い、正当であると判定した場合には、RAM40に保持されている時間情報をシステムの時間情報として設定する。
【0075】
例えば本実施形態では、電源電圧が低下して処理部11が動作を停止した後、電源電圧が時間情報出力部12の動作可能電圧より低くなるまでは、RAM40の時間情報が更新される。時間情報出力部12が電源電圧低下により停止した後も、電源電圧がRAM40の記憶保持可能電圧より低くなるまでは、時間情報出力部12が最後に出力した時間情報がRAM40に保持されている可能性がある。
【0076】
図7に示すように、初期化処理において、処理部11は、RAM40の時間情報記憶領域を参照し、RAM40に保持された時間情報を取得する。処理部11は、取得した時間情報が正当な場合には、その時間情報を時間情報出力部12に設定する。例えば、充電前の電源電圧がRAM40の記憶保持可能電圧より低い場合、時間情報は破壊されて異常な数値のデータとなっており、そのような場合には非正当なデータと判定する。時間情報出力部12は、設定された時間情報からカウントを開始する。
【0077】
このようにすれば、初期化処理の開始前(例えば充電開始前)までRAM40に時間情報が保持されていた場合に、その保持された時間情報を利用して初期化処理において自動的に時刻設定できる。RAM40には、時間情報出力部12からの時間情報が記憶されているため、履歴情報を用いる場合よりも更に現実の測定時間に近い時間を設定できる。
【0078】
また本実施形態では、図2のS1、S3、S4や図6に示すように、処理部11は、RAM40に保持されている時間情報が、システムの時間情報として正当でないと判定された場合には、不揮発性の記憶部から履歴情報を読み出し、その履歴情報に含まれる時間情報をシステムの時間情報として設定する。
【0079】
このようにすれば、RAM40の時刻情報が電源電圧の低下により破壊されていた場合であっても、できるだけ現実の日時に近いと考えられる履歴情報の時間情報を用いて時間情報の修正を行うことができる。
【0080】
また本実施形態では、図2のS1で説明したように、処理部11は、RAM40に保持されている時間情報が、所定の時間範囲内である場合に、システムの時間情報として正当であると判定する。
【0081】
このようにすれば、RAM40に残された時間情報が実際には存在し得ない時間範囲であった場合に、その時間情報が正当なものでないと判定できる。これにより、電源電圧の低下などにより破壊された時間情報により、でたらめな時刻が設定されることを避けられる。
【0082】
また本実施形態では、図1で説明したように、処理部11は、システムの電源電圧が所定電圧よりも低下した場合に、システムを省電力モードに設定する。図8に示すように、省電力モードにおいて、処理部11は履歴情報の取得を停止し、時間情報出力部12はRAM40に対して時間情報の出力を継続する。
【0083】
このようにすれば、電源電圧が低下してユーザーからはセンサー装置の機能が停止して見える状態となった後も、電力消費を最小限に抑えながら可能な限り長い期間、システムの時間情報を更新し続けることができる。これにより、充電後の初期化処理において、可能な限り実際の日時に近い時間情報を設定できる。
【0084】
また本実施形態では、図3で説明したように、測定システムは、センサー装置100と表示用データ生成部を含む。表示用データ生成部は、不揮発性の記憶部に記憶された履歴情報を取得し、取得した履歴情報に基づいて測定結果の表示用データを生成する。
【0085】
具体的には表示用データ生成部は、取得した履歴情報のうち、センサー検出情報に関連付けられた時間情報が計測期間(実施期間)内である履歴情報を用いて、測定結果の表示用データを生成する。
【0086】
例えば図3の測定システムでは、サーバーシステム400が表示用データ生成部に対応し、表示用データ生成部は、ネットワーク300を介して履歴情報を取得し、生成した表示用データをネットワーク300を介してPC200の表示部に表示させる。なお、本実施形態はこれに限定されず、ネットワーク300やサーバーシステム400を用いず、PC200がスタンドアローンとして履歴情報を取得し、表示用データを生成してもよい。
【0087】
このようにすれば、センサー装置を用いた運動測定システムを構成できる。上述の運動プログラムサービスのようにサービス実施期間が決まっている場合、本実施形態のように初期化処理において時刻情報が自動的に設定されることにより、時刻設定に煩わされることなくすぐに計測を開始でき、サービス実施期間内のデータとして用いることができる。
【0088】
4.脈拍センサー装置
図9、図10に、脈拍センサー装置の構成例を示す。図9に示すように、脈拍センサー装置は、ユーザーの手首に脈拍センサー装置を固定するためのベルト130、筐体120、時刻や計測情報を表示するための表示部140、電源のオン・オフ状態や充電状態を表示するためのLED150、ユーザーが脈拍センサー装置を操作するための複数のボタン161〜164を含む。
【0089】
表示部140が全画面オフの電池切れの状態となった後、図3のクレードル110に脈拍センサー装置をセットして充電を開始すると、LED150が点灯するとともに表示部140の画面表示がオンになる。このとき、表示部140には、充電前の一番新しい履歴の計測終了時の時間、又は、RAM40に残っていた時間が表示される。
【0090】
また図10に示すように、脈拍センサー装置は、クレードル110の充電用端子又は充電アダプターの端子に接続される充電用端子170と、脈拍センサー部180を含む。脈拍センサー部180は、ベルト130によりユーザーの手首に接触され、手首の血管の拍動をセンシングする。具体的には、脈拍センサー部180は、手首に向かって赤外線を出射する光源部181と、手首からの赤外線の反射光を検出するフォトセンサー182を含む。血管の拍動により、赤外線の反射光量が変化し、その変化をフォトセンサー182で検出することで、脈拍が検出される。
【0091】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またセンサー装置、測定システム等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 マイクロプロセッサー、11 処理部、12 時間情報出力部、
20 センサー部、30 フラッシュメモリー、50 電圧低下検出部、
60 通信部、70 表示部、100 センサー装置、110 クレードル、
120 筐体、130 ベルト、140 表示部、161〜164 ボタン、
170 充電用端子、180 脈拍センサー部、181 光源部、
182 フォトセンサー、300 ネットワーク、400 サーバーシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー検出情報を出力するセンサー部と、
時間情報を出力する時間情報出力部と、
不揮発性の記憶部と、
前記センサー検出情報と前記時間情報とを関連付けた情報を、履歴情報として前記不揮発性の記憶部に記憶する処理部と、
を含み、
前記処理部は、
システムの初期化処理において、前記不揮発性の記憶部から前記履歴情報を読み出し、前記履歴情報に含まれる前記時間情報をシステムの時間情報として設定することを特徴とするセンサー装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記処理部は、
前記履歴情報に含まれる前記時間情報のうちの直近の時間情報、又は前記直近の時間情報から所定時間経過させた時間情報を、前記システムの時間情報として設定することを特徴とするセンサー装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記処理部は、
前記不揮発性の記憶部に前記履歴情報が存在しない場合には、所定の初期値を前記システムの時間情報として設定することを特徴とするセンサー装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記時間情報出力部からの前記時間情報を、前記システムの時間情報として記憶するRAMを含み、
前記処理部は、
前記システムの初期化処理において、前記RAMに保持されている前記時間情報を前記システムの時間情報として設定することを特徴とするセンサー装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記処理部は、
前記RAMに保持されている前記時間情報が、前記システムの時間情報として正当であるか否かの判定を行い、正当であると判定した場合には、前記RAMに保持されている前記時間情報を前記システムの時間情報として設定することを特徴とするセンサー装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記処理部は、
前記RAMに保持されている前記時間情報が前記システムの時間情報として正当でないと判定された場合には、前記不揮発性の記憶部から前記履歴情報を読み出し、前記履歴情報に含まれる前記時間情報をシステムの時間情報として設定することを特徴とするセンサー装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかにおいて、
前記処理部は、
前記RAMに保持されている前記時間情報が、所定の時間範囲内である場合に、前記システムの時間情報として正当であると判定することを特徴とするセンサー装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかにおいて、
前記処理部は、
前記システムの電源電圧が所定電圧よりも低下した場合に、前記システムを省電力モードに設定し、
前記省電力モードにおいて、前記処理部は前記履歴情報の取得を停止し、前記時間情報出力部は前記RAMに対して前記時間情報の出力を継続することを特徴とするセンサー装置。
【請求項9】
センサー検出情報を出力するセンサー部と、
時間情報を出力する時間情報出力部と、
不揮発性の記憶部と、
前記センサー検出情報と前記時間情報とを関連付けた情報を、履歴情報として前記不揮発性の記憶部に記憶する処理部と、
前記時間情報出力部からの前記時間情報を、前記システムの時間情報として記憶するRAMと、
を含み、
前記処理部は、
前記システムの初期化処理において、前記RAMに保持されている前記時間情報を前記システムの時間情報として設定することを特徴とするセンサー装置。
【請求項10】
センサー検出情報を出力するセンサー部と、
時間情報を出力する時間情報出力部と、
不揮発性の記憶部と、
前記センサー検出情報と前記時間情報とを関連付けた情報を、履歴情報として前記不揮発性の記憶部に記憶する処理部と、
前記不揮発性の記憶部に記憶された前記履歴情報を取得し、取得した前記履歴情報に基づいて測定結果の表示用データを生成する表示用データ生成部と、
を含み、
前記処理部は、
システムの初期化処理において、前記不揮発性の記憶部から前記履歴情報を読み出し、前記履歴情報に含まれる前記時間情報をシステムの時間情報として設定することを特徴とする測定システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記表示用データ生成部は、
取得した前記履歴情報のうち、前記センサー検出情報に関連付けられた前記時間情報が計測期間内である前記履歴情報を用いて、前記測定結果の表示用データを生成することを特徴とする測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85612(P2013−85612A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227058(P2011−227058)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】