センサ及びその製造方法
【課題】単一の端子線と複数の芯線とを、容易に且つ確実に溶接して一体化することができるセンサ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1の抵抗溶接によって、導電線37を構成する複数の芯線33同士を溶融接合して一体化し、その後、端子線20と導電線37とを、軸方向に重ね合わせて、第2の抵抗溶接により接続するので、従来に比べて、容易に且つ確実に、端子線20と導電線37とを接続することができる。つまり、第1の抵抗溶接によって細径の複数の芯線33が一体化して実質的に太くなった導電線37に対して、第2の抵抗溶接によって端子線20を接続するので、第2の抵抗溶接における溶接電流の設定を適切に行うことができる。また、ほどけた芯線に応じて何度も溶接を行う必要が無く、太い導電線37に対して必要最小限の回数の溶接を行えば良いので、作業効率が高いという利点がある。
【解決手段】第1の抵抗溶接によって、導電線37を構成する複数の芯線33同士を溶融接合して一体化し、その後、端子線20と導電線37とを、軸方向に重ね合わせて、第2の抵抗溶接により接続するので、従来に比べて、容易に且つ確実に、端子線20と導電線37とを接続することができる。つまり、第1の抵抗溶接によって細径の複数の芯線33が一体化して実質的に太くなった導電線37に対して、第2の抵抗溶接によって端子線20を接続するので、第2の抵抗溶接における溶接電流の設定を適切に行うことができる。また、ほどけた芯線に応じて何度も溶接を行う必要が無く、太い導電線37に対して必要最小限の回数の溶接を行えば良いので、作業効率が高いという利点がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば感温素子の感温部から伸びる端子線と複数の芯線からなる導電線(例えばリード線)とが溶接により接合されたセンサ及びその製造方法に関する。詳しくは、例えば車載用温度センサ又は設置式汎用エンジン等の排ガス測定に用いられる高温用センサなど、本体部やリード線の周囲等に振動が加わるような使用条件でも好適に適用できるセンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばエンジンの排気ガスなどの温度を測定するために、温度センサが用いられており、この温度センサとしては、種々の構造のものが提案されている。
例えば下記特許文献1には、サーミスタ素子を絶縁体で覆うとともに、サーミスタ素子から伸びる端子線と絶縁被覆線の端部から突出する複数の芯線とを、半田にて接合する技術が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、温度センサの内部の後端側にて、サーミスタ素子から伸びて碍子管を通された端子線とリード線を構成する複数の芯線とを、溶接にて接合する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−300688号公報
【特許文献2】特開平7−140012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した従来技術のうち、サーミスタ素子から伸びる端子線とリード線の複数の芯線とを抵抗溶接にて接合する場合には、溶接電流の制御が容易でないという問題があった。
【0006】
具体的には、リード線が複数の細径の芯線からなる場合には、溶接電流が高いと溶接時に芯線が溶断することがあり、その対策として、溶接電流を低めに設定すると、十分に溶接がなされず溶接部分が剥離することがあった。
【0007】
また、板状又は棒状の一本の端子線に対して、バラ線状の複数の芯線を確実に溶接するためには、溶接回数を4回から5回程度行う必要があり、溶接作業に手間がかかるという問題もあった。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、単一の端子線と複数の芯線とを、容易に且つ確実に溶接して一体化することができるセンサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)かかる問題を解決するためになされた本発明は、(センサの製造方法の発明である)第1態様として、雰囲気変化に応じて電気的特性が変化する検知部と、該検知部から軸方向に延びる端子線とを有する検知素子と、複数の芯線を撚ってなり、前記軸方向に延びると共に、前記検知素子から電気信号を取り出す導電線と、とを備え、前記端子線と前記導電線とを前記軸方向に重ね合わせて配置して溶接により接合したセンサの製造方法において、第1の溶接により、前記複数の芯線の一部を溶融することで、前記複数の芯線を一体化する第1工程と、第2の溶接により、前記端子線と前記導電線とを、両線の重ね合わせ領域に第2の溶着部を形成することによって接続する第2工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
本態様では、第1の溶接によって、導電線を構成する複数の芯線同士を溶融接合して一体化し、その後、この(一体化した)複数の芯線を撚ってなる導電線と端子線とを、軸方向に重ね合わせた領域に、第2の溶接により第2の溶着部を形成することで接続するので、従来に比べて、容易に且つ確実に、端子線と導電線とを一体に接合することができる。
【0011】
つまり、本態様では、第1の溶接によって細径の複数の芯線が一体化して実質的に(各芯線より)太くなった導電線に対して、第2の溶接によって端子線を溶接にて接続するので、第2の溶接における溶接電流の設定を適切に行うことができる。即ち、(複数の芯線からなる)太い導電線に対応した溶接電流を設定できる。これにより、(高すぎる溶接電流による)溶接時の芯線が溶断することを防止できるとともに、(低すぎる溶接電流による)溶接部分の剥離を防止できる。
【0012】
また、従来のように、ほどけた芯線に応じて何度も溶接を行う必要が無く、単一の太い導電線に対して必要最小限の回数(例えば1回)の溶接を行えば良いので、作業効率が高いという利点がある。
【0013】
(2)本発明は、第2態様として、前記第1の溶接によって、前記複数の芯線をその先端にて接合して一体化することを特徴とする。
【0014】
本態様では、第1の溶接によって、複数の芯線をその先端にて溶融接合して一体化するので、(接合後の導電線においては)芯線がばらつきにくいという効果がある。また、第2の溶接によって端子線を溶接する場合には、導電線の先端の溶接箇所より後端側にて溶接すればよいので、溶接できる範囲が広く溶接作業が容易という利点がある。
なお、ここで、芯線の先端とは、導電線からみた長手方向(軸方向)における先端を意味し、後端側とは、先端側と反対側を意味する(以下同様)。したがって、導電線においては、芯線を絶縁被覆している部位が後端側にあたり、芯線が絶縁被覆されずに露出している部位が先端側にあたる。
【0015】
(3)本発明は、第3態様として、前記第1の溶接によって、前記複数の芯線をその先端より後端側にて接合して一体化することを特徴とする。
本態様では、第1の溶接によって、複数の芯線をその先端より後端側にて溶融接合して一体化するので、第1の溶接を行うことができる範囲が広く、第1の溶接の作業が容易である。
【0016】
(4)本発明は、第4態様として、前記第1の溶接によって前記複数の芯線を一体化した第1の溶着部を形成し、該第1の溶着部と少なくとも一部が重なるように、前記第2の溶接によって前記第2の溶着部を形成することを特徴とする。
【0017】
本態様では、第1の溶着部と第2の溶着部との少なくとも一部が重なるように溶接を行っても良い。この場合には、第1の溶着部を避けて第2の溶接を行う必要がないため、端子線と導電線との接合を、容易に行うことができる。
【0018】
なお、ここで、第2の溶着部の位置は、第1の溶着部より(導電線の)先端側でも後端側でもよい。
【0019】
(5)本発明は、第5態様として、前記第1の溶接によって前記複数の芯線を一体化した第1の溶着部を形成し、該第1の溶着部より後端側にて、前記第2の溶接によって前記第2の溶着部を形成することを特徴とする。
本態様では、第1の溶着部と第2の溶着部との溶接箇所が異なり、離間しているので、第2の溶接を行う場合には、第1の溶着部の影響を受けず(例えば抵抗溶接の際に、主として第1の溶着部に電流が流れてしまうことがなく)、確実に第2の溶接を行うことができるという利点がある。
【0020】
(6)本発明は、(センサの発明である)第6態様として、雰囲気変化に応じて電気的特性が変化する検知部と、該検知部から軸方向に伸びる端子線とを有する検知素子と、複数の芯線を撚ってなり、前記軸方向に延びると共に、前記検知素子から電気信号を取り出す導電線と、が軸方向に重ね合わせて配置されて溶接により接合されたセンサにおいて、前記複数の芯線は、溶接により一体化された第1の溶着部を有し、前記端子線と前記導電線とが、両線の重ね合わせ領域に形成された第2の溶着部により接続されていることを特徴とする。
つまり、本態様のセンサは、複数の芯線が第1の溶着部によって一体化されているため、第2の溶着部を形成するにあたって、ほどけた芯線に応じて何度も溶接を行う必要が無く、単一の太い導電線に対して必要最小限の回数(例えば1回)の溶接を行えば良いので、作業効率が高いという利点がある。
【0021】
(7)本発明は、(センサの発明である)第7態様として、前記重ね合わせ領域に前記第1の溶着部が形成されていることを特徴とする。
撚った複数の芯線に第1の溶着部を形成することで一体化したとしても、第1の溶着部から離れるにつれて芯線がほどけるリスクがあるため、第1の溶着部から遠い位置で第2の溶着部を形成したとしても、十分に接合されない虞があるが、本態様のセンサは、第1の溶着部と第2の溶着部が共に、端子線と導電線との重ね合わせ領域に形成されているので、芯線がほどけるリスクが低く、端子線と導電線とが十分に接合可能であるという利点がある。
【0022】
(8)本発明は、(センサの発明である)第8態様として、前記検知素子は、一対の前記端子線を有し、前記複数の芯線は、自身の先端にて溶接により一体化された前記第1の溶着部を有することを特徴とする。
一対の端子線間の距離が狭いセンサの場合、導電線の先端がほどけていると、隣接した導電線の芯線同士が接触してショートする虞があるが、本態様のセンサは、複数の芯線の先端が第1の溶着部が形成されて一体化しているため、導電線の先端がほどけることがなく、ゆえに隣接した導電線の芯線が接触してショートする虞がない。
【0023】
(9)本発明は、(センサの発明である)第9態様として、前記第1の溶着部よりも後端側にて、前記端子線と前記導電線との溶接により、前記第2の溶着部が形成されていることを特徴とする。
本態様のセンサは、複数の芯線が溶接により一体化された第1の溶着部より後端側にて、第2の溶着部が形成されているので、端子線と導電線との接続が確実になされているという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の温度センサを軸方向に沿って破断して示す断面図である。
【図2】実施例1の温度センサのリード線を軸方向に対して垂直に破断して示す断面 図である。
【図3】実施例1の温度センサを軸方向に沿って破断し、リード線と中継線との接合 部分を拡大して示す断面図である。
【図4】実施例1の温度センサの製造方法において、内部先端部と内部後端部とを組 み合わせる前の状態を、各部を軸方向に沿って破断して示す断面図である。
【図5】(a)は第1の抵抗溶接を模式的に示す説明図、(b)は第1の溶着部を示 す説明図、(c)は第2の抵抗溶接を模式的に示す説明図、(d)は第2の抵抗溶接 後の状態を模式的に示す説明図である。
【図6】(a)は内部先端部と内部後端部とを接合して一体化した内部構造体を軸方 向に沿って破断して示す断面図、(b)は補助リングと絶縁碍管とを当接させた内部 構造体を軸方向に沿って破断して示す断面図である。
【図7】取付金具に金属パイプをロウ付けした状態を、各部材を軸方向に沿って破断 して示す断面図である。
【図8】金属パイプに内部構造体を収容した状態を、各部材を軸方向に沿って破断し て示す断面図である。
【図9】実施例2の温度センサの製造方法において、(a)は第1の抵抗溶接を模式 的に示す説明図、(b)は第1の溶着部を示す説明図、(c)は第2の抵抗溶接を模 式的に示す説明図、(d)は第2の抵抗溶接後の状態を模式的に示す説明図である。
【図10】実施例3の温度センサの製造方法において、(a)は第1の抵抗溶接を模 式的に示す説明図、(b)は第1の溶着部を示す説明図、(c)は第2の抵抗溶接を 模式的に示す説明図、(d)は第2の抵抗溶接後の状態を模式的に示す説明図である 。
【図11】実施例4の温度センサの製造方法において、(a)は第2の抵抗溶接を模 式的に示す説明図、(b)は第2の抵抗溶接後の状態を模式的に示す説明図である。
【図12】実施例5の温度センサの製造方法において、(a)は第2の抵抗溶接を模 式的に示す説明図、(b)は第2の抵抗溶接後の状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明が適用されたセンサ及びその製造方法の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0026】
ここでは、センサとして、自動車のエンジンの排気マニホールドに取り付けられて、排気ガスの温度を測定する車載用の温度センサを例に挙げて説明する。
a)まず、本実施例の温度センサの構成について説明する。
【0027】
図1に示す様に、本実施例の温度センサ1は、温度センサ1自身を排気マニホールド(図示せず)に取り付ける取付金具3と、取付金具3の軸中心に開けられた中心孔5に貫挿された金属パイプ7と、金属パイプ7の内部孔9の先端側(図1の下方)に配置された温度センサ素子11と、温度センサ素子11の後端側(図1の上方)に配置された絶縁碍管13と、絶縁碍管13の後端側に配置された補助リング15と、絶縁碍管13の一対の貫通孔17に配置された一対の中継線19と、補助リング15の一対の貫通孔21に配置された一対のリード線23と、を備えている。以下、各構成について説明する。
【0028】
まず、前記取付金具3は、例えばS10Cからなる締付ナットであり、その軸中心には中心孔5が開けられている。また、取付金具3の中央の外側には、例えば銅からなる環状のガスケット25が配置され、ガスケット25より先端側の外周面には、取付金具3を排気マニホールドに固定するためのネジ部27が設けられている。
【0029】
前記金属パイプ7は、例えばSUS304Lからなる有底円筒の長尺の部材(例えば外径φ4.1mm×内径φ3.5mm×長さ40mm)であり、取付金具3の中心孔5に圧入されることにより固定されている。この金属パイプ7の先端は半球状に閉塞されており、この先端側は取付金具3の先端から突出するとともに、後端側は取付金具3の後端から突出している。
【0030】
前記温度センサ素子11は、サーミスタ焼結体である感温部29と、感温部29から突出する例えばNi線からなる一対の電極線(ジュメット線)31とから構成されている。また、感温部29の後端側は、セメント33によって絶縁碍管13の先端側に接合されて固定されている。
【0031】
前記絶縁碍管13は、例えばKP−85からなる電気的な絶縁部材であり、温度センサ素子11の一対の電極線31を収容するように、軸方向に貫通する一対の貫通孔17を備えている。
【0032】
前記中継線19は、例えばSUS304からなる短冊状の板材(例えば長さ23.5mm×幅0.65mm×厚み0.5mm)であり、絶縁碍管13の貫通孔17に貫挿されている。この一対の中継線19の先端側と温度センサ素子11の一対の電極線31の後端側とは、抵抗溶接によって一体に接合されている。また、一対の中継線19の後端側は、絶縁碍管13から突出している。なお、ここでは、(一体に接合されている)電極線31と中継線19とが、本発明の端子線20に該当する。また、中継線19が存在しない態様であれば、電極線31が、本発明の端子線20に該当する。
【0033】
前記補助リング15は、例えばシリコンゴムからなる電気的絶縁性を有するシール部材であり、一対のリード線23を収容するように、軸方向に貫通する一対の貫通孔21を備えている。この補助リング15の先端側は、絶縁碍管13の後端側に当接するとともに、後端側は、金属パイプ7より突出している。
【0034】
前記リード線23は、図2に示す様に、複数の細径の芯線33が束ねられた構成(例えば直径1.4mmの芯線33が12本束ねられてねじられた構成)を有しており、その外側は例えばPFAからなる絶縁被膜35により覆われている。なお、以下では、各芯線33が束ねられた導通部分全体を、導電線37と称する。
【0035】
また、図1に示す様に、一対のリード線23は、補助リング15より後端側にて、例えばガラス編素シリコンワニスからなる保護チューブ39に収容されている。
特に本実施例では、図3に要部を拡大して示す様に、補助リング15の一対の貫通孔21の内部において、一対のリード線23の導電線37を構成する各芯線33の先端側は、第1の抵抗溶接によって形成された各第1の溶着部39よって、それぞれ一体に溶融接合されている。
【0036】
また、絶縁碍管13の後端側から突出する一対の中継線19は、補助リング15の一対の貫通孔21において、第2の抵抗溶接によって形成された各第2の溶着部41によって、それぞれリード線23の導電線37と接続されている。
【0037】
b)次に、本実施例の温度センサ1の製造方法について説明する。
図4に示す様に、まず、温度センサ1の内部の先端側の構成(内部先端部43)を作製する。
【0038】
具体的には、温度センサ素子11の電極線31の後端側に、周知の抵抗溶接によって、中継線19を接合する。
次に、この中継線19を絶縁碍管13の貫通孔17に通した後に、セメント33によって、温度センサ素子11の感温部29の上部(図4上方)を絶縁碍管13の下端(図4下方)に接合する。
【0039】
一方、温度センサ1の内部の後端側の構成(内部後端部45)は、補助リング15の貫通孔21にリード線23を通して作製する。
このとき、後述する第1、第2の抵抗溶接等の作業のために、補助リング15の先端側よりリード線23が突出するように、補助リング15を(図4の上方に)ずらしておく。
【0040】
次に、図5(a)、(b)に示す様に、第1の抵抗溶接によって、各芯線33を溶融接合して一体化する。
具体的には、図5(a)に示す様に、リード線23の各芯線33の先端を挟むように、第1の抵抗溶接に用いる一対の治具(溶接用電極)47を配置し、この溶接用電極47間に電流を流して、ジュール熱を発生させて芯線33を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0041】
この第1の抵抗溶接によって、図5(b)に示す様に、各芯線33を溶融接合して一体化した第1の溶着部39が形成される。
次に、図5(c)、(d)に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線37と中継線19とを接続する。
【0042】
具体的には、図5(c)に示す様に、リード線23の導電線37と中継線19とを、軸方向を合わせるとともに、中継線19を第1の溶着部39よりも後端側(図5右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。そして、第1の溶着部39よりも後端側にて、導電線37と中継線19とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる(第1の抵抗溶接と同様な)溶接用電極47を配置し、この溶接用電極47間に電流を流して、ジュール熱を発生させて芯線33及び中継線19を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0043】
この第2の抵抗溶接によって、図5(d)に示す様に、導電線37と中継線19とを両線の重ね合わせ領域にて接続する第2の溶着部41が形成される。
そして、この第2の抵抗溶接によって、図6(a)に示す様に、内部先端部43と内部後端部45とが接続される。
【0044】
次に、図6(b)に示す様に、補助リング15を先端側(図6下方)に移動させて、絶縁碍管13の後端面に当接させる。これにより、温度センサ1の内部の内部構造体49が完成する。
【0045】
また、これとは別に、図7に示す様に、取付金具3の中心孔5に金属パイプ7をロウ付けし、取付金具3に金属パイプ7を固定する。なお、本固定方法によらず、例えば圧入で固定してもよい。
【0046】
次に、図8に示す様に、取付金具3に固定した金属パイプ7の後端側(図8上方)の開口部51から、上述した内部構造体49を、温度センサ素子11を先端側にして嵌め込む。
【0047】
次に、金属パイプ7の後端を外周側から加締め、内部構造体49(特に補助リング15部分)と金属パイプ7とを一体に固定する。
c)本実施例は、上述した構成によって、以下の効果を奏する。
【0048】
本実施例では、第1の抵抗溶接によって、導電線37を構成する複数の芯線33同士を溶融接合して一体化し、その後、(一体化した)複数の芯線33からなる導電線37と端子線20とを、軸方向に重ね合わせて、第2の抵抗溶接により接続するので、従来に比べて、容易に且つ確実に、導電線37と端子線20とを接続することができる。
【0049】
つまり、本実施例では、第1の抵抗溶接によって細径の複数の芯線33が一体化して、実質的に(各芯線33より)太くなった導電線37に対して、第2の抵抗溶接によって端子線20を溶接にて接続するので、第2の抵抗溶接における溶接電流の設定を適切に行うことができる。即ち、(複数の芯線33からなる)太い導電線37に対応した溶接電流を設定できる。これにより、(高すぎる溶接電流による)溶接時の芯線33が溶断することを防止できるとともに、(低すぎる溶接電流による)溶接部分の剥離を防止できる。
【0050】
また、従来のように、ほどけた芯線に応じて何度も溶接を行う必要が無く、単一の太い導電線37に対して必要最小限の回数(例えば1回)の溶接を行えば良いので、作業効率が高いという利点がある。
【0051】
しかも、本実施例では、第1の抵抗溶接によって、複数の芯線33をその先端にて接合して一体化するので、(接合後の導電線37においては)芯線33がばらつきにくいという効果がある。また、第2の抵抗溶接によって端子線20を溶接する場合には、先端の第1の溶着部39より後端側にて溶接すればよいので、溶接できる範囲が広く溶接作業が容易という利点がある。
【0052】
その上、本実施例では、第1の溶着部39と第2の溶着部41との溶接箇所が異なり、離間しているので、第2の抵抗溶接を行う場合には、第1の溶着部39の影響を受けず(例えば主として第1の溶着部39に電流が流れてしまうことがなく)、確実に第2の抵抗溶接を行うことができるという利点がある。
【実施例2】
【0053】
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の温度センサは、第1、第2の抵抗溶接の工程以外は、前記実施例1と同様であるので、特徴部分である第1、第2の抵抗溶接の工程について説明する。
【0054】
まず、図9(a)、(b)に示す様に、第1の抵抗溶接によって、各芯線61を溶融接合して一体化する。
具体的には、図9(a)に示す様に、リード線63の絶縁被覆65から突出した導電線67のうち、導電線67の先端と中央(軸方向中央)との間を挟むように、第1の抵抗溶接に用いる一対の溶接用電極69を配置し、この溶接用電極69間に電流を流して芯線61を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0055】
この第1の抵抗溶接によって、図9(b)に示す様に、各芯線61を接合して一体化した第1の溶着部71が形成される。
次に、図9(c)、(d)に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線67と中継線73とを接続する。
【0056】
具体的には、図9(c)に示す様に、リード線63の導電線67と中継線73との軸方向を合わせ、中継線73を第1の溶着部71よりも後端側(図9右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。そして、第1の溶着部71よりも後端側にて、導電線67と中継線73とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる前記溶接用電極69を配置し、この溶接用電極69間に電流を流して芯線61及び中継線73を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0057】
この第2の抵抗溶接によって、図9(d)に示す様に、導電線67と中継線73とを両線の重ね合わせ領域にて接続する第2の溶着部75が形成される。
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、(実施例1に比べて)第1の抵抗溶接を行う範囲の自由度が大きく、その作業が容易であるという利点がある。
【0058】
なお、本実施例に限らず、第1の溶着部71よりも後端側で、かつ少なくともリード線63の絶縁被覆65から先端側へ離間した位置で溶接すれば良い。
【実施例3】
【0059】
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の温度センサは、第1、第2の抵抗溶接の工程以外は、前記実施例1と同様であるので、特徴部分である第1、第2の抵抗溶接の工程について説明する。
【0060】
まず、図10(a)、(b)に示す様に、第1の抵抗溶接によって、各芯線81を溶融接合して一体化する。
具体的には、図10(a)に示す様に、リード線83の絶縁被覆85から突出した導電線87のうち、導電線87の中央(軸方向中央)を挟むように、第1の抵抗溶接に用いる一対の溶接用電極89を配置し、この溶接用電極89間に電流を流して芯線81を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0061】
この第1の抵抗溶接によって、図10(b)に示す様に、各芯線81を接合して一体化した第1の溶着部91が形成される。
次に、図10(c)、(d)に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線87と中継線93とを接続する。
【0062】
具体的には、図10(c)に示す様に、リード線83の導電線87と中継線93との軸方向を合わせ、中継線93を第1の溶着部91よりも後端側(図10右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。そして、第1の溶着部91よりも後端側にて、導電線87と中継線93とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる前記溶接用電極89を配置し、この溶接用電極89間に電流を流して芯線81及び中継線93を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0063】
この第2の抵抗溶接によって、図10(d)に示す様に、導電線87と中継線93とを接続する第2の溶着部95が形成される。
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、(実施例1のような導電線の先端での溶接作業ではないので)第1の抵抗溶接を行う作業が容易であるという利点がある。
【0064】
なお、本実施例に限らず、第1の溶着部91よりも後端側で、かつ少なくともリード線83の絶縁被覆85から先端側へ離間した位置で溶接すれば良い。
【実施例4】
【0065】
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の温度センサは、第1、第2の抵抗溶接の工程以外は、前記実施例1と同様であるので、特徴部分である第1、第2の抵抗溶接の工程について説明する。
【0066】
ここでは、図11(a)に示す様に、上述した各実施例と同様にして、リード線101の絶縁被覆103から突出した導電線105のうち、導電線105のほぼ中央(軸方向中央)に、第1の抵抗溶接によって第1の溶着部107を形成する。
【0067】
そして、同図に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線105と中継線109とを接続する。
具体的には、リード線101の導電線105と中継線109とを軸方向を合わせるとともに、中継線109を第1の溶着部107よりも後端側(図11右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。
【0068】
そして、第1の溶着部107の先端側と一部が重なる位置にて、導電線105と中継線109とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる溶接用電極111を配置し、この溶接用電極111間に電流を流して芯線113及び中継線109を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0069】
この第2の抵抗溶接によって、図11(b)に示す様に、導電線105と中継線109とを両線の重ね合わせ領域にて接続する第2の溶着部115が形成される。なお、この第2の溶着部115は第1の溶着部107と一体になっている。
【0070】
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
【実施例5】
【0071】
次に、実施例5について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の温度センサは、第1、第2の抵抗溶接の工程以外は、前記実施例1と同様であるので、特徴部分である第1、第2の抵抗溶接の工程について説明する。
【0072】
ここでは、図12(a)に示す様に、上述した各実施例と同様にして、リード線121の絶縁被覆123から突出した導電線125のうち、導電線125のほぼ中央(軸方向中央)に、第1の抵抗溶接によって第1の溶着部127を形成する。
【0073】
そして、同図に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線125と中継線129とを接続する。
具体的には、リード線121の導電線125と中継線129とを軸方向を合わせるとともに、中継線129を第1の溶着部127よりも後端側(図11右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。
【0074】
そして、第1の溶着部127の後端側と一部が重なる位置にて、導電線125と中継線129とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる溶接用電極131を配置し、この溶接用電極111間に電流を流して芯線133及び中継線129を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0075】
この第2の抵抗溶接によって、図12(b)に示す様に、導電線125と中継線129とを両線の重ね合わせ領域にて接続する第2の溶着部135が形成される。なお、この第2の溶着部135は第1の溶着部127と一体になっている。
【0076】
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0077】
例えば本発明は、温度センサの端子線と(複数の芯線からなる)導電線とを溶接する場合に限らず、各種のセンサ(例えば酸素センサなど)の端子線と導電線との溶接に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
1…温度センサ
11…温度センサ素子
13…絶縁碍管
15…補助リング
19、73、93、109、129…中継線
20…端子線
23、63、83、101、121…リード線
29…感温部
31…電極線
33、61、81、113、133…芯線
37、67、87、105、125…導電線
39、71、91、107、127…第1の溶着部
41、75、95、115、135…第2の溶着部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば感温素子の感温部から伸びる端子線と複数の芯線からなる導電線(例えばリード線)とが溶接により接合されたセンサ及びその製造方法に関する。詳しくは、例えば車載用温度センサ又は設置式汎用エンジン等の排ガス測定に用いられる高温用センサなど、本体部やリード線の周囲等に振動が加わるような使用条件でも好適に適用できるセンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばエンジンの排気ガスなどの温度を測定するために、温度センサが用いられており、この温度センサとしては、種々の構造のものが提案されている。
例えば下記特許文献1には、サーミスタ素子を絶縁体で覆うとともに、サーミスタ素子から伸びる端子線と絶縁被覆線の端部から突出する複数の芯線とを、半田にて接合する技術が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、温度センサの内部の後端側にて、サーミスタ素子から伸びて碍子管を通された端子線とリード線を構成する複数の芯線とを、溶接にて接合する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−300688号公報
【特許文献2】特開平7−140012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した従来技術のうち、サーミスタ素子から伸びる端子線とリード線の複数の芯線とを抵抗溶接にて接合する場合には、溶接電流の制御が容易でないという問題があった。
【0006】
具体的には、リード線が複数の細径の芯線からなる場合には、溶接電流が高いと溶接時に芯線が溶断することがあり、その対策として、溶接電流を低めに設定すると、十分に溶接がなされず溶接部分が剥離することがあった。
【0007】
また、板状又は棒状の一本の端子線に対して、バラ線状の複数の芯線を確実に溶接するためには、溶接回数を4回から5回程度行う必要があり、溶接作業に手間がかかるという問題もあった。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、単一の端子線と複数の芯線とを、容易に且つ確実に溶接して一体化することができるセンサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)かかる問題を解決するためになされた本発明は、(センサの製造方法の発明である)第1態様として、雰囲気変化に応じて電気的特性が変化する検知部と、該検知部から軸方向に延びる端子線とを有する検知素子と、複数の芯線を撚ってなり、前記軸方向に延びると共に、前記検知素子から電気信号を取り出す導電線と、とを備え、前記端子線と前記導電線とを前記軸方向に重ね合わせて配置して溶接により接合したセンサの製造方法において、第1の溶接により、前記複数の芯線の一部を溶融することで、前記複数の芯線を一体化する第1工程と、第2の溶接により、前記端子線と前記導電線とを、両線の重ね合わせ領域に第2の溶着部を形成することによって接続する第2工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
本態様では、第1の溶接によって、導電線を構成する複数の芯線同士を溶融接合して一体化し、その後、この(一体化した)複数の芯線を撚ってなる導電線と端子線とを、軸方向に重ね合わせた領域に、第2の溶接により第2の溶着部を形成することで接続するので、従来に比べて、容易に且つ確実に、端子線と導電線とを一体に接合することができる。
【0011】
つまり、本態様では、第1の溶接によって細径の複数の芯線が一体化して実質的に(各芯線より)太くなった導電線に対して、第2の溶接によって端子線を溶接にて接続するので、第2の溶接における溶接電流の設定を適切に行うことができる。即ち、(複数の芯線からなる)太い導電線に対応した溶接電流を設定できる。これにより、(高すぎる溶接電流による)溶接時の芯線が溶断することを防止できるとともに、(低すぎる溶接電流による)溶接部分の剥離を防止できる。
【0012】
また、従来のように、ほどけた芯線に応じて何度も溶接を行う必要が無く、単一の太い導電線に対して必要最小限の回数(例えば1回)の溶接を行えば良いので、作業効率が高いという利点がある。
【0013】
(2)本発明は、第2態様として、前記第1の溶接によって、前記複数の芯線をその先端にて接合して一体化することを特徴とする。
【0014】
本態様では、第1の溶接によって、複数の芯線をその先端にて溶融接合して一体化するので、(接合後の導電線においては)芯線がばらつきにくいという効果がある。また、第2の溶接によって端子線を溶接する場合には、導電線の先端の溶接箇所より後端側にて溶接すればよいので、溶接できる範囲が広く溶接作業が容易という利点がある。
なお、ここで、芯線の先端とは、導電線からみた長手方向(軸方向)における先端を意味し、後端側とは、先端側と反対側を意味する(以下同様)。したがって、導電線においては、芯線を絶縁被覆している部位が後端側にあたり、芯線が絶縁被覆されずに露出している部位が先端側にあたる。
【0015】
(3)本発明は、第3態様として、前記第1の溶接によって、前記複数の芯線をその先端より後端側にて接合して一体化することを特徴とする。
本態様では、第1の溶接によって、複数の芯線をその先端より後端側にて溶融接合して一体化するので、第1の溶接を行うことができる範囲が広く、第1の溶接の作業が容易である。
【0016】
(4)本発明は、第4態様として、前記第1の溶接によって前記複数の芯線を一体化した第1の溶着部を形成し、該第1の溶着部と少なくとも一部が重なるように、前記第2の溶接によって前記第2の溶着部を形成することを特徴とする。
【0017】
本態様では、第1の溶着部と第2の溶着部との少なくとも一部が重なるように溶接を行っても良い。この場合には、第1の溶着部を避けて第2の溶接を行う必要がないため、端子線と導電線との接合を、容易に行うことができる。
【0018】
なお、ここで、第2の溶着部の位置は、第1の溶着部より(導電線の)先端側でも後端側でもよい。
【0019】
(5)本発明は、第5態様として、前記第1の溶接によって前記複数の芯線を一体化した第1の溶着部を形成し、該第1の溶着部より後端側にて、前記第2の溶接によって前記第2の溶着部を形成することを特徴とする。
本態様では、第1の溶着部と第2の溶着部との溶接箇所が異なり、離間しているので、第2の溶接を行う場合には、第1の溶着部の影響を受けず(例えば抵抗溶接の際に、主として第1の溶着部に電流が流れてしまうことがなく)、確実に第2の溶接を行うことができるという利点がある。
【0020】
(6)本発明は、(センサの発明である)第6態様として、雰囲気変化に応じて電気的特性が変化する検知部と、該検知部から軸方向に伸びる端子線とを有する検知素子と、複数の芯線を撚ってなり、前記軸方向に延びると共に、前記検知素子から電気信号を取り出す導電線と、が軸方向に重ね合わせて配置されて溶接により接合されたセンサにおいて、前記複数の芯線は、溶接により一体化された第1の溶着部を有し、前記端子線と前記導電線とが、両線の重ね合わせ領域に形成された第2の溶着部により接続されていることを特徴とする。
つまり、本態様のセンサは、複数の芯線が第1の溶着部によって一体化されているため、第2の溶着部を形成するにあたって、ほどけた芯線に応じて何度も溶接を行う必要が無く、単一の太い導電線に対して必要最小限の回数(例えば1回)の溶接を行えば良いので、作業効率が高いという利点がある。
【0021】
(7)本発明は、(センサの発明である)第7態様として、前記重ね合わせ領域に前記第1の溶着部が形成されていることを特徴とする。
撚った複数の芯線に第1の溶着部を形成することで一体化したとしても、第1の溶着部から離れるにつれて芯線がほどけるリスクがあるため、第1の溶着部から遠い位置で第2の溶着部を形成したとしても、十分に接合されない虞があるが、本態様のセンサは、第1の溶着部と第2の溶着部が共に、端子線と導電線との重ね合わせ領域に形成されているので、芯線がほどけるリスクが低く、端子線と導電線とが十分に接合可能であるという利点がある。
【0022】
(8)本発明は、(センサの発明である)第8態様として、前記検知素子は、一対の前記端子線を有し、前記複数の芯線は、自身の先端にて溶接により一体化された前記第1の溶着部を有することを特徴とする。
一対の端子線間の距離が狭いセンサの場合、導電線の先端がほどけていると、隣接した導電線の芯線同士が接触してショートする虞があるが、本態様のセンサは、複数の芯線の先端が第1の溶着部が形成されて一体化しているため、導電線の先端がほどけることがなく、ゆえに隣接した導電線の芯線が接触してショートする虞がない。
【0023】
(9)本発明は、(センサの発明である)第9態様として、前記第1の溶着部よりも後端側にて、前記端子線と前記導電線との溶接により、前記第2の溶着部が形成されていることを特徴とする。
本態様のセンサは、複数の芯線が溶接により一体化された第1の溶着部より後端側にて、第2の溶着部が形成されているので、端子線と導電線との接続が確実になされているという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の温度センサを軸方向に沿って破断して示す断面図である。
【図2】実施例1の温度センサのリード線を軸方向に対して垂直に破断して示す断面 図である。
【図3】実施例1の温度センサを軸方向に沿って破断し、リード線と中継線との接合 部分を拡大して示す断面図である。
【図4】実施例1の温度センサの製造方法において、内部先端部と内部後端部とを組 み合わせる前の状態を、各部を軸方向に沿って破断して示す断面図である。
【図5】(a)は第1の抵抗溶接を模式的に示す説明図、(b)は第1の溶着部を示 す説明図、(c)は第2の抵抗溶接を模式的に示す説明図、(d)は第2の抵抗溶接 後の状態を模式的に示す説明図である。
【図6】(a)は内部先端部と内部後端部とを接合して一体化した内部構造体を軸方 向に沿って破断して示す断面図、(b)は補助リングと絶縁碍管とを当接させた内部 構造体を軸方向に沿って破断して示す断面図である。
【図7】取付金具に金属パイプをロウ付けした状態を、各部材を軸方向に沿って破断 して示す断面図である。
【図8】金属パイプに内部構造体を収容した状態を、各部材を軸方向に沿って破断し て示す断面図である。
【図9】実施例2の温度センサの製造方法において、(a)は第1の抵抗溶接を模式 的に示す説明図、(b)は第1の溶着部を示す説明図、(c)は第2の抵抗溶接を模 式的に示す説明図、(d)は第2の抵抗溶接後の状態を模式的に示す説明図である。
【図10】実施例3の温度センサの製造方法において、(a)は第1の抵抗溶接を模 式的に示す説明図、(b)は第1の溶着部を示す説明図、(c)は第2の抵抗溶接を 模式的に示す説明図、(d)は第2の抵抗溶接後の状態を模式的に示す説明図である 。
【図11】実施例4の温度センサの製造方法において、(a)は第2の抵抗溶接を模 式的に示す説明図、(b)は第2の抵抗溶接後の状態を模式的に示す説明図である。
【図12】実施例5の温度センサの製造方法において、(a)は第2の抵抗溶接を模 式的に示す説明図、(b)は第2の抵抗溶接後の状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明が適用されたセンサ及びその製造方法の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0026】
ここでは、センサとして、自動車のエンジンの排気マニホールドに取り付けられて、排気ガスの温度を測定する車載用の温度センサを例に挙げて説明する。
a)まず、本実施例の温度センサの構成について説明する。
【0027】
図1に示す様に、本実施例の温度センサ1は、温度センサ1自身を排気マニホールド(図示せず)に取り付ける取付金具3と、取付金具3の軸中心に開けられた中心孔5に貫挿された金属パイプ7と、金属パイプ7の内部孔9の先端側(図1の下方)に配置された温度センサ素子11と、温度センサ素子11の後端側(図1の上方)に配置された絶縁碍管13と、絶縁碍管13の後端側に配置された補助リング15と、絶縁碍管13の一対の貫通孔17に配置された一対の中継線19と、補助リング15の一対の貫通孔21に配置された一対のリード線23と、を備えている。以下、各構成について説明する。
【0028】
まず、前記取付金具3は、例えばS10Cからなる締付ナットであり、その軸中心には中心孔5が開けられている。また、取付金具3の中央の外側には、例えば銅からなる環状のガスケット25が配置され、ガスケット25より先端側の外周面には、取付金具3を排気マニホールドに固定するためのネジ部27が設けられている。
【0029】
前記金属パイプ7は、例えばSUS304Lからなる有底円筒の長尺の部材(例えば外径φ4.1mm×内径φ3.5mm×長さ40mm)であり、取付金具3の中心孔5に圧入されることにより固定されている。この金属パイプ7の先端は半球状に閉塞されており、この先端側は取付金具3の先端から突出するとともに、後端側は取付金具3の後端から突出している。
【0030】
前記温度センサ素子11は、サーミスタ焼結体である感温部29と、感温部29から突出する例えばNi線からなる一対の電極線(ジュメット線)31とから構成されている。また、感温部29の後端側は、セメント33によって絶縁碍管13の先端側に接合されて固定されている。
【0031】
前記絶縁碍管13は、例えばKP−85からなる電気的な絶縁部材であり、温度センサ素子11の一対の電極線31を収容するように、軸方向に貫通する一対の貫通孔17を備えている。
【0032】
前記中継線19は、例えばSUS304からなる短冊状の板材(例えば長さ23.5mm×幅0.65mm×厚み0.5mm)であり、絶縁碍管13の貫通孔17に貫挿されている。この一対の中継線19の先端側と温度センサ素子11の一対の電極線31の後端側とは、抵抗溶接によって一体に接合されている。また、一対の中継線19の後端側は、絶縁碍管13から突出している。なお、ここでは、(一体に接合されている)電極線31と中継線19とが、本発明の端子線20に該当する。また、中継線19が存在しない態様であれば、電極線31が、本発明の端子線20に該当する。
【0033】
前記補助リング15は、例えばシリコンゴムからなる電気的絶縁性を有するシール部材であり、一対のリード線23を収容するように、軸方向に貫通する一対の貫通孔21を備えている。この補助リング15の先端側は、絶縁碍管13の後端側に当接するとともに、後端側は、金属パイプ7より突出している。
【0034】
前記リード線23は、図2に示す様に、複数の細径の芯線33が束ねられた構成(例えば直径1.4mmの芯線33が12本束ねられてねじられた構成)を有しており、その外側は例えばPFAからなる絶縁被膜35により覆われている。なお、以下では、各芯線33が束ねられた導通部分全体を、導電線37と称する。
【0035】
また、図1に示す様に、一対のリード線23は、補助リング15より後端側にて、例えばガラス編素シリコンワニスからなる保護チューブ39に収容されている。
特に本実施例では、図3に要部を拡大して示す様に、補助リング15の一対の貫通孔21の内部において、一対のリード線23の導電線37を構成する各芯線33の先端側は、第1の抵抗溶接によって形成された各第1の溶着部39よって、それぞれ一体に溶融接合されている。
【0036】
また、絶縁碍管13の後端側から突出する一対の中継線19は、補助リング15の一対の貫通孔21において、第2の抵抗溶接によって形成された各第2の溶着部41によって、それぞれリード線23の導電線37と接続されている。
【0037】
b)次に、本実施例の温度センサ1の製造方法について説明する。
図4に示す様に、まず、温度センサ1の内部の先端側の構成(内部先端部43)を作製する。
【0038】
具体的には、温度センサ素子11の電極線31の後端側に、周知の抵抗溶接によって、中継線19を接合する。
次に、この中継線19を絶縁碍管13の貫通孔17に通した後に、セメント33によって、温度センサ素子11の感温部29の上部(図4上方)を絶縁碍管13の下端(図4下方)に接合する。
【0039】
一方、温度センサ1の内部の後端側の構成(内部後端部45)は、補助リング15の貫通孔21にリード線23を通して作製する。
このとき、後述する第1、第2の抵抗溶接等の作業のために、補助リング15の先端側よりリード線23が突出するように、補助リング15を(図4の上方に)ずらしておく。
【0040】
次に、図5(a)、(b)に示す様に、第1の抵抗溶接によって、各芯線33を溶融接合して一体化する。
具体的には、図5(a)に示す様に、リード線23の各芯線33の先端を挟むように、第1の抵抗溶接に用いる一対の治具(溶接用電極)47を配置し、この溶接用電極47間に電流を流して、ジュール熱を発生させて芯線33を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0041】
この第1の抵抗溶接によって、図5(b)に示す様に、各芯線33を溶融接合して一体化した第1の溶着部39が形成される。
次に、図5(c)、(d)に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線37と中継線19とを接続する。
【0042】
具体的には、図5(c)に示す様に、リード線23の導電線37と中継線19とを、軸方向を合わせるとともに、中継線19を第1の溶着部39よりも後端側(図5右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。そして、第1の溶着部39よりも後端側にて、導電線37と中継線19とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる(第1の抵抗溶接と同様な)溶接用電極47を配置し、この溶接用電極47間に電流を流して、ジュール熱を発生させて芯線33及び中継線19を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0043】
この第2の抵抗溶接によって、図5(d)に示す様に、導電線37と中継線19とを両線の重ね合わせ領域にて接続する第2の溶着部41が形成される。
そして、この第2の抵抗溶接によって、図6(a)に示す様に、内部先端部43と内部後端部45とが接続される。
【0044】
次に、図6(b)に示す様に、補助リング15を先端側(図6下方)に移動させて、絶縁碍管13の後端面に当接させる。これにより、温度センサ1の内部の内部構造体49が完成する。
【0045】
また、これとは別に、図7に示す様に、取付金具3の中心孔5に金属パイプ7をロウ付けし、取付金具3に金属パイプ7を固定する。なお、本固定方法によらず、例えば圧入で固定してもよい。
【0046】
次に、図8に示す様に、取付金具3に固定した金属パイプ7の後端側(図8上方)の開口部51から、上述した内部構造体49を、温度センサ素子11を先端側にして嵌め込む。
【0047】
次に、金属パイプ7の後端を外周側から加締め、内部構造体49(特に補助リング15部分)と金属パイプ7とを一体に固定する。
c)本実施例は、上述した構成によって、以下の効果を奏する。
【0048】
本実施例では、第1の抵抗溶接によって、導電線37を構成する複数の芯線33同士を溶融接合して一体化し、その後、(一体化した)複数の芯線33からなる導電線37と端子線20とを、軸方向に重ね合わせて、第2の抵抗溶接により接続するので、従来に比べて、容易に且つ確実に、導電線37と端子線20とを接続することができる。
【0049】
つまり、本実施例では、第1の抵抗溶接によって細径の複数の芯線33が一体化して、実質的に(各芯線33より)太くなった導電線37に対して、第2の抵抗溶接によって端子線20を溶接にて接続するので、第2の抵抗溶接における溶接電流の設定を適切に行うことができる。即ち、(複数の芯線33からなる)太い導電線37に対応した溶接電流を設定できる。これにより、(高すぎる溶接電流による)溶接時の芯線33が溶断することを防止できるとともに、(低すぎる溶接電流による)溶接部分の剥離を防止できる。
【0050】
また、従来のように、ほどけた芯線に応じて何度も溶接を行う必要が無く、単一の太い導電線37に対して必要最小限の回数(例えば1回)の溶接を行えば良いので、作業効率が高いという利点がある。
【0051】
しかも、本実施例では、第1の抵抗溶接によって、複数の芯線33をその先端にて接合して一体化するので、(接合後の導電線37においては)芯線33がばらつきにくいという効果がある。また、第2の抵抗溶接によって端子線20を溶接する場合には、先端の第1の溶着部39より後端側にて溶接すればよいので、溶接できる範囲が広く溶接作業が容易という利点がある。
【0052】
その上、本実施例では、第1の溶着部39と第2の溶着部41との溶接箇所が異なり、離間しているので、第2の抵抗溶接を行う場合には、第1の溶着部39の影響を受けず(例えば主として第1の溶着部39に電流が流れてしまうことがなく)、確実に第2の抵抗溶接を行うことができるという利点がある。
【実施例2】
【0053】
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の温度センサは、第1、第2の抵抗溶接の工程以外は、前記実施例1と同様であるので、特徴部分である第1、第2の抵抗溶接の工程について説明する。
【0054】
まず、図9(a)、(b)に示す様に、第1の抵抗溶接によって、各芯線61を溶融接合して一体化する。
具体的には、図9(a)に示す様に、リード線63の絶縁被覆65から突出した導電線67のうち、導電線67の先端と中央(軸方向中央)との間を挟むように、第1の抵抗溶接に用いる一対の溶接用電極69を配置し、この溶接用電極69間に電流を流して芯線61を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0055】
この第1の抵抗溶接によって、図9(b)に示す様に、各芯線61を接合して一体化した第1の溶着部71が形成される。
次に、図9(c)、(d)に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線67と中継線73とを接続する。
【0056】
具体的には、図9(c)に示す様に、リード線63の導電線67と中継線73との軸方向を合わせ、中継線73を第1の溶着部71よりも後端側(図9右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。そして、第1の溶着部71よりも後端側にて、導電線67と中継線73とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる前記溶接用電極69を配置し、この溶接用電極69間に電流を流して芯線61及び中継線73を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0057】
この第2の抵抗溶接によって、図9(d)に示す様に、導電線67と中継線73とを両線の重ね合わせ領域にて接続する第2の溶着部75が形成される。
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、(実施例1に比べて)第1の抵抗溶接を行う範囲の自由度が大きく、その作業が容易であるという利点がある。
【0058】
なお、本実施例に限らず、第1の溶着部71よりも後端側で、かつ少なくともリード線63の絶縁被覆65から先端側へ離間した位置で溶接すれば良い。
【実施例3】
【0059】
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の温度センサは、第1、第2の抵抗溶接の工程以外は、前記実施例1と同様であるので、特徴部分である第1、第2の抵抗溶接の工程について説明する。
【0060】
まず、図10(a)、(b)に示す様に、第1の抵抗溶接によって、各芯線81を溶融接合して一体化する。
具体的には、図10(a)に示す様に、リード線83の絶縁被覆85から突出した導電線87のうち、導電線87の中央(軸方向中央)を挟むように、第1の抵抗溶接に用いる一対の溶接用電極89を配置し、この溶接用電極89間に電流を流して芯線81を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0061】
この第1の抵抗溶接によって、図10(b)に示す様に、各芯線81を接合して一体化した第1の溶着部91が形成される。
次に、図10(c)、(d)に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線87と中継線93とを接続する。
【0062】
具体的には、図10(c)に示す様に、リード線83の導電線87と中継線93との軸方向を合わせ、中継線93を第1の溶着部91よりも後端側(図10右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。そして、第1の溶着部91よりも後端側にて、導電線87と中継線93とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる前記溶接用電極89を配置し、この溶接用電極89間に電流を流して芯線81及び中継線93を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0063】
この第2の抵抗溶接によって、図10(d)に示す様に、導電線87と中継線93とを接続する第2の溶着部95が形成される。
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、(実施例1のような導電線の先端での溶接作業ではないので)第1の抵抗溶接を行う作業が容易であるという利点がある。
【0064】
なお、本実施例に限らず、第1の溶着部91よりも後端側で、かつ少なくともリード線83の絶縁被覆85から先端側へ離間した位置で溶接すれば良い。
【実施例4】
【0065】
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の温度センサは、第1、第2の抵抗溶接の工程以外は、前記実施例1と同様であるので、特徴部分である第1、第2の抵抗溶接の工程について説明する。
【0066】
ここでは、図11(a)に示す様に、上述した各実施例と同様にして、リード線101の絶縁被覆103から突出した導電線105のうち、導電線105のほぼ中央(軸方向中央)に、第1の抵抗溶接によって第1の溶着部107を形成する。
【0067】
そして、同図に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線105と中継線109とを接続する。
具体的には、リード線101の導電線105と中継線109とを軸方向を合わせるとともに、中継線109を第1の溶着部107よりも後端側(図11右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。
【0068】
そして、第1の溶着部107の先端側と一部が重なる位置にて、導電線105と中継線109とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる溶接用電極111を配置し、この溶接用電極111間に電流を流して芯線113及び中継線109を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0069】
この第2の抵抗溶接によって、図11(b)に示す様に、導電線105と中継線109とを両線の重ね合わせ領域にて接続する第2の溶着部115が形成される。なお、この第2の溶着部115は第1の溶着部107と一体になっている。
【0070】
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
【実施例5】
【0071】
次に、実施例5について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例の温度センサは、第1、第2の抵抗溶接の工程以外は、前記実施例1と同様であるので、特徴部分である第1、第2の抵抗溶接の工程について説明する。
【0072】
ここでは、図12(a)に示す様に、上述した各実施例と同様にして、リード線121の絶縁被覆123から突出した導電線125のうち、導電線125のほぼ中央(軸方向中央)に、第1の抵抗溶接によって第1の溶着部127を形成する。
【0073】
そして、同図に示す様に、第2の抵抗溶接によって、導電線125と中継線129とを接続する。
具体的には、リード線121の導電線125と中継線129とを軸方向を合わせるとともに、中継線129を第1の溶着部127よりも後端側(図11右側)に伸びるようにして重ね合わせて配置する。
【0074】
そして、第1の溶着部127の後端側と一部が重なる位置にて、導電線125と中継線129とを挟むように、第2の抵抗溶接に用いる溶接用電極131を配置し、この溶接用電極111間に電流を流して芯線133及び中継線129を溶かし、周知の抵抗溶接を行う。
【0075】
この第2の抵抗溶接によって、図12(b)に示す様に、導電線125と中継線129とを両線の重ね合わせ領域にて接続する第2の溶着部135が形成される。なお、この第2の溶着部135は第1の溶着部127と一体になっている。
【0076】
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0077】
例えば本発明は、温度センサの端子線と(複数の芯線からなる)導電線とを溶接する場合に限らず、各種のセンサ(例えば酸素センサなど)の端子線と導電線との溶接に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
1…温度センサ
11…温度センサ素子
13…絶縁碍管
15…補助リング
19、73、93、109、129…中継線
20…端子線
23、63、83、101、121…リード線
29…感温部
31…電極線
33、61、81、113、133…芯線
37、67、87、105、125…導電線
39、71、91、107、127…第1の溶着部
41、75、95、115、135…第2の溶着部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雰囲気変化に応じて電気的特性が変化する検知部と、該検知部から軸方向に延びる端子線とを有する検知素子と、
複数の芯線を撚ってなり、前記軸方向に延びると共に、前記検知素子から電気信号を取り出す導電線と、とを備え、
前記端子線と前記導電線とを前記軸方向に重ね合わせて配置して溶接により接合したセンサの製造方法において、
第1の溶接により、前記複数の芯線の一部を溶融することで、前記複数の芯線を一体化する第1工程と、
第2の溶接により、前記端子線と前記導電線とを、両線の重ね合わせ領域に第2の溶着部を形成することによって接続する第2工程と、
を有することを特徴とするセンサの製造方法。
【請求項2】
前記第1の溶接によって、前記複数の芯線をその先端にて接合して一体化することを特徴とする請求項1に記載のセンサの製造方法。
【請求項3】
前記第1の溶接によって、前記複数の芯線をその先端より後端側にて接合して一体化することを特徴とする請求項1に記載のセンサの製造方法。
【請求項4】
前記第1の溶接によって前記複数の芯線を一体化した第1の溶着部を形成し、該第1の溶着部と少なくとも一部が重なるように、前記第2の溶接によって前記第2の溶着部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサの製造方法。
【請求項5】
前記第1の溶接によって前記複数の芯線を一体化した第1の溶着部を形成し、該第1の溶着部より後端側にて、前記第2の溶接によって前記第2の溶着部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサの製造方法。
【請求項6】
雰囲気変化に応じて電気的特性が変化する検知部と、該検知部から軸方向に伸びる端子線とを有する検知素子と、
複数の芯線を撚ってなり、前記軸方向に延びると共に、前記検知素子から電気信号を取り出す導電線と、
が軸方向に重ね合わせて配置されて溶接により接合されたセンサにおいて、
前記複数の芯線は、溶接により一体化された第1の溶着部を有し、
前記端子線と前記導電線とが、両線の重ね合わせ領域に形成された第2の溶着部により接続されていることを特徴とするセンサ。
【請求項7】
前記重ね合わせ領域に前記第1の溶着部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
前記検知素子は、一対の前記端子線を有し、
前記複数の芯線は、自身の先端にて溶接により一体化された前記第1の溶着部を有することを特徴とする請求項6に記載のセンサ。
【請求項9】
前記第1の溶着部よりも後端側にて、前記端子線と前記導電線との溶接により、前記第2の溶着部が形成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項1】
雰囲気変化に応じて電気的特性が変化する検知部と、該検知部から軸方向に延びる端子線とを有する検知素子と、
複数の芯線を撚ってなり、前記軸方向に延びると共に、前記検知素子から電気信号を取り出す導電線と、とを備え、
前記端子線と前記導電線とを前記軸方向に重ね合わせて配置して溶接により接合したセンサの製造方法において、
第1の溶接により、前記複数の芯線の一部を溶融することで、前記複数の芯線を一体化する第1工程と、
第2の溶接により、前記端子線と前記導電線とを、両線の重ね合わせ領域に第2の溶着部を形成することによって接続する第2工程と、
を有することを特徴とするセンサの製造方法。
【請求項2】
前記第1の溶接によって、前記複数の芯線をその先端にて接合して一体化することを特徴とする請求項1に記載のセンサの製造方法。
【請求項3】
前記第1の溶接によって、前記複数の芯線をその先端より後端側にて接合して一体化することを特徴とする請求項1に記載のセンサの製造方法。
【請求項4】
前記第1の溶接によって前記複数の芯線を一体化した第1の溶着部を形成し、該第1の溶着部と少なくとも一部が重なるように、前記第2の溶接によって前記第2の溶着部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサの製造方法。
【請求項5】
前記第1の溶接によって前記複数の芯線を一体化した第1の溶着部を形成し、該第1の溶着部より後端側にて、前記第2の溶接によって前記第2の溶着部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサの製造方法。
【請求項6】
雰囲気変化に応じて電気的特性が変化する検知部と、該検知部から軸方向に伸びる端子線とを有する検知素子と、
複数の芯線を撚ってなり、前記軸方向に延びると共に、前記検知素子から電気信号を取り出す導電線と、
が軸方向に重ね合わせて配置されて溶接により接合されたセンサにおいて、
前記複数の芯線は、溶接により一体化された第1の溶着部を有し、
前記端子線と前記導電線とが、両線の重ね合わせ領域に形成された第2の溶着部により接続されていることを特徴とするセンサ。
【請求項7】
前記重ね合わせ領域に前記第1の溶着部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
前記検知素子は、一対の前記端子線を有し、
前記複数の芯線は、自身の先端にて溶接により一体化された前記第1の溶着部を有することを特徴とする請求項6に記載のセンサ。
【請求項9】
前記第1の溶着部よりも後端側にて、前記端子線と前記導電線との溶接により、前記第2の溶着部が形成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−68610(P2013−68610A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187296(P2012−187296)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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