説明

センサ情報処理システム

【課題】 多種・多様なセンサ情報を一元管理し、融合処理して、情報を整理して操作者に提示する。
【解決手段】 センサ情報処理システムをJDL準拠の構成とし、各種センサからの情報を画像、シンボル、文字、数値及び音のまま保持、管理するマルチメディアDBMS(データベース・マネージメント・システム)121に登録し、登録したセンサ情報の物理的な性質に基づき、パターン認識及びセンサ信号融合処理を施し、操作者が必要とする情報に加工する。加工された情報は、操作者の作業目的に応じた表示とその表示に基づく操作を提供するため、エージェントと呼ぶ操作者の操作パターンに基づき提示する。したがって、多種・多様なセンサ情報を一元管理し、融合処理して、情報を整理して操作者に提示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のセンサ情報を収集し、操作者の要求に応じて提示するセンサ情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、哨戒機に搭載の戦闘指揮システム及び戦術情報表示処理システムに代表されるセンサ情報処理システムでは、単独のセンサ(レーダ等)から入力された画像情報を自動類識別するシステムが実現されている。また、電子装置の小型化、省電力化により、哨戒機にも多種多様なセンサが搭載され、センサ情報処理システムでも多くのセンサ情報を取り扱うようになりつつある。
【0003】
しかしながら、従来のセンサ情報処理システムでは、センサ情報が多種・多様化しているにもかかわらず、個別に検出結果を提示しているにすぎない。このため、操作者は各センサの提示内容を瞬時に読み取る技能が要求される等、その負荷は非常に大きく、提示される情報の確認とそれに対する操作に追われ、各人の持つ能力を十分に発揮できない。
【0004】
尚、特許文献1に、情報融合による識別処理装置に関する技術が開示されている。この識別処理装置は、観測対象に関する複数の情報を融合(処理,統合)して、識別結果などの観測目標に関する情報の確からしさを改善することを目的としており、観測対象の種別に応じた推論モデルと推論手順からなる情報融合手法に関する融合知識ベースを用いて、観測目標に関する情報の融合処理を行い、表示装置への識別結果などの図示表示または印刷出力装置への印刷出力を行うようにしている。しかしながら、この文献に記載の装置は、観測対象毎の情報融合を行っているにすぎず、統合的な情報管理を行っている訳ではない。
【特許文献1】特開平06−266560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上述べたように、従来のセンサ情報処理システムでは、センサ情報が多種・多様化しているにもかかわらず、個別に検出結果を提示しているにすぎない。このため、操作者は各センサの提示内容を瞬時に読み取る技能が要求される等、その負荷は非常に大きく、提示される情報の確認とそれに対する操作に追われ、各人の持つ能力を十分に発揮できない。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、多種・多様な情報を一元管理し、融合処理して、情報を整理して操作者に提示することのできるセンサ情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明に係るセンサ情報処理システムは、複数のセンサからセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段と、前記複数のセンサから取得されるセンサ情報をメディア別にデータベースに保持し、管理するマルチメディア・データベース管理手段と、前記データベースに保持されたセンサ情報についてパターン認識及び融合処理を施し、要求される形態の情報に加工する第1の融合処理手段と、前記加工された情報を入力操作パターンに基づいて類識別し提示する提示手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
前記第1の融合処理手段は、要求される形態に合わせて一体化類識別の支援情報を作成することを特徴とする。
【0009】
さらに、前記提示手段の類識別結果に基づいて上位の融合処理を施す第2の融合処理手段を備えることを特徴とする。
【0010】
前記第1及び第2の融合処理手段は、JDL(Joint Directors of Laboratories)が提唱するデータ融合モデルに準拠することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多種・多様な情報を一元管理し、融合処理して、情報を整理して操作者に提示することのできるセンサ情報処理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、ここでは説明を簡単にするため、前述の哨戒機搭載の場合を想定する。
【0013】
図1は本発明に係るセンサ情報処理システムの一実施形態を示すブロック構成図である。図1において、11は情報源であり、自機センサ群のセンサ検出結果を収集するための自機センサ入力インターフェース111と、艦艇センサ群、僚機センサ群それぞれのセンサ検出結果を収集するための他ユニットセンサ入力インターフェース112を備える。各入力インターフェース111,112で取り込まれたセンサ情報は、それぞれシンボル、数値、文字情報、環境状況を含む各センサ情報の特徴情報とともに、データベース管理システム12のマルチメディア・データベース・マネージメント・システム(以下、DBMS)121に送られる。このマルチメディアDBMS121は、入力されたセンサ信号をその特徴情報に基づいて分類し、例えばカタログ別、特徴量別に仕分けして登録する。
【0014】
第1融合処理部13は上記マルチメディアDBMS121の格納情報のパターン認識及びセンサ信号融合処理を行うことで、後述するJDL(Joint Directors of Laboratories)が提唱するデータ融合モデルのレベル0(前処理),1(目標認識)の処理を実行する。パターン認識は、操作者のセンサ解析手順に基づいて画像処理及び音声処理を施し、センサ信号から特徴量を抽出する。また、センサ信号融合処理は、センサ信号の特徴量から統計的手法等により、一体化類識別の支援情報を作成する。このようにして得られたパターン認識結果及びセンサ信号融合処理結果は、HCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション:Human Computer Interaction)14に送られる。
【0015】
このHCI14は、人間とコンピュータとの意志疎通を図るためのもので、操作者の類識別手順を支援するため、必要な情報、不要な情報を整理して、センサ信号の一体化表示及びマルチメディアDBMS121の情報を統合して表示するエージェント指向インターフェース141を備える。HCI14におけるエージェント指向な表示例としては、状況に対応したセンサ情報の自動表示、画像データの鮮明化(目標表示を鮮明化)、操作者への積極的な情報提示手法(目標のマーキング)等がある。
【0016】
操作者が類識別した結果は、上位機能の第2融合処理部15に送られる。この第2融合処理部15は、エージェント指向インターフェース14からの類識別結果から状況評価、脅威見積評価、プロセス洗練化を実行して、JDL提唱モデルの融合レベル2,3,4を実行するものである。
【0017】
上記構成において、第1及び第2融合処理部13,15のデータ融合処理は、図2に示すJDL提唱のデータ融合モデルに準拠する。すなわち、JDLでは、データ融合機能をレベル0〜4の5段階に分けている。レベル0の前処理では、信号の画素レベルにおける関連付け、特徴抽出、入力データの最適融合処理機能への振り分け等を行う。レベル1の目標認識では、データの整合、目標位置の見積り・相関目標の識別等を行う。レベル2の状況評価では、目標間の関連性、敵の兵力組成等の状況を評価する。レベル3の脅威見積り/評価では、脅威の分析(敵の能力・意図)、戦闘状況の予測、彼我の脆弱性の評価を行う。レベル4のプロセス洗練化では、データ融合処理機能が最適に実施されるように各融合処理性能を監視し、融合結果の改善に必要なデータ等を明確化し、任務達成のために必要な情報源を割り当て、収集データ形式の指定等センサの制御を行う。
【0018】
以上のデータ融合処理は、データベース管理システム12とリンクされ、サポートデータベースと融合データベースの両方を用い、関連する知的データの蓄積はサポートデータベースで、情報源11からのデータ等及び処理結果の蓄積は融合データベースで行われる。
【0019】
このように、JDL準拠の構成によるセンサ情報処理システムでは、各種センサからの情報を画像、シンボル、文字、数値及び音のまま保持、管理するマルチメディアDBMS(データベース・マネージメント・システム)121に登録し、登録したセンサ情報の物理的な性質に基づき、パターン認識及びセンサ信号融合処理を施し、操作者が必要とする情報に加工する。加工された情報は、操作者の作業目的に応じた表示とその表示に基づく操作を提供するため、エージェントと呼ぶ操作者の操作パターンに基づき提示する。したがって、多種・多様なセンサ情報を一元管理し、融合処理して、情報を整理して操作者に提示することができる。
【0020】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るセンサ情報処理システムの一実施形態を示すブロック構成図。
【図2】本発明のシステムが準拠するJDL提唱のデータ融合モデルを示すブロック構成図。
【符号の説明】
【0022】
11…情報源、111…自機センサ入力インターフェース、112…他ユニットセンサ入力インターフェース、12…データベース管理システム、121…マルチメディア・データベース・マネージメント・システム(DBMS)、13…第1融合処理部、14…HCI(Human Computer Interaction)、15…第2融合処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサからセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段と、
前記複数のセンサから取得されるセンサ情報をメディア別にデータベースに保持し、管理するマルチメディア・データベース管理手段と、
前記データベースに保持されたセンサ情報についてパターン認識及び融合処理を施し、要求される形態の情報に加工する第1の融合処理手段と、
前記加工された情報を入力操作パターンに基づいて類識別し提示する提示手段とを具備することを特徴とするセンサ情報処理システム。
【請求項2】
前記第1の融合処理手段は、要求される形態に合わせて一体化類識別の支援情報を作成することを特徴とする請求項1記載のセンサ情報処理システム。
【請求項3】
さらに、前記提示手段の類識別結果に基づいて上位の融合処理を施す第2の融合処理手段を備えることを特徴とする請求項1記載のセンサ情報処理システム。
【請求項4】
前記第1及び第2の融合処理手段は、JDL(Joint Directors of Laboratories)が提唱するデータ融合モデルに準拠することを特徴とする請求項3記載のセンサ情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−71598(P2006−71598A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258612(P2004−258612)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】