説明

センサ装置

【課題】センサデータ送信先のマイクロコンピュータのデータ処理負荷を軽減することのできるセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサ装置10は、センサ素子1が、入力された物理量を電気信号に変換し、増幅器2が、センサ素子1から出力される電気信号を増幅し、AD変換器3が、増幅器2から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換し、CPU4が、メインコンピュータ100からのセンシング指示を解釈し、その指示に適合した処理プログラムをプログラムメモリ6から読み出して、AD変換器3から出力されたデジタルデータに対するデータ処理を行い、出力部5が、CPU4により処理されたデータをメインコンピュータ100へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロコンピュータを用いて各種機器の制御を行うことが一般的に行われている。その1つとして、加速度や圧力、湿度などの物理量をセンサで検出し、その検出量の変化に応じてマイクロコンピュータが機器の動作を制御することが行われている。
【0003】
そのような制御を行うとき、センサから出力されたアナログ信号をマイクロコンピュータで処理可能なデジタル信号に変換するため、アナログ−デジタル変換(AD変換)が必要となる。また、一般に、センサは、マイクロコンピュータとは離れた位置に設置されるため、AD変換したデータをマイクロコンピュータへ送信するための通信回路が必要となる。
【0004】
そのため、従来、センサと、AD変換器と、通信回路とを1つの筐体に収めたセンサ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このような従来のセンサ装置を用いた場合、センサ装置からのデータを受信したマイクロコンピュータは、受信したセンサデータに何らかのデータ処理(例えば、上述の提案のセンサ装置の例では、センサ特性のバラツキ補正)を行って、制御対象の機器の制御を行う必要がある。
【0006】
しかし、このようなマイクロコンピュータは、機器制御のために、センサデータの処理以外にも様々な演算処理を行う必要があり、センサデータに関する処理を行うことは、マイクロコンピュータの負荷を増大させる、という問題があった。
【特許文献1】特開平9−113310号公報 (第5−7ページ、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、センサデータ送信先のマイクロコンピュータのデータ処理負荷を軽減することのできるセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、メインコンピュータからの指示を受けてセンシング動作を行い、その結果を前記メインコンピュータへ送信するセンサ装置であって、入力された物理量を電気信号に変換するセンサ手段と、前記センサ手段から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換するAD変換手段と、前記メインコンピュータからの指示を解釈し、その指示に適合した処理プログラムをプログラムメモリから読み出して、前記AD変換手段から出力された前記デジタルデータに対するデータ処理を行なうCPUと、前記CPUにより処理されたデータを前記メインコンピュータへ送信する出力手段とを有することを特徴とするセンサ装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、センサデータ送信先のマイクロコンピュータのデータ処理負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の実施例に係るセンサ装置の構成の例を示すブロック図である。
【0012】
本実施例のセンサ装置10は、メインコンピュータ100からの指示を受けてセンシング動作を行い、センシングした結果をセンシングデータとしてメインコンピュータ100へ送信するセンサ装置であって、入力された物理量を電気信号に変換するセンサ素子1と、センサ素子1から出力される電気信号を増幅する増幅器2と、増幅器2から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換するAD変換器3と、メインコンピュータ100からのセンシング指示を解釈し、その指示に適合した処理プログラムをプログラムメモリ6から読み出して、AD変換器3から出力されたデジタルデータに対するデータ処理を行なうCPU4と、CPU4により処理されたデータをメインコンピュータ100へ送信する出力部5と、を有する。
【0013】
ここで、メインコンピュータ100は、例えば、メインコンピュータ100が制御している機器の制御の必要に応じて、センサ装置10へセンシングデータを送信する間隔を指示する。
【0014】
図2に、この送信間隔の指示の例を示す。この例では、送信間隔の指定が3通りあり、ここでは、それぞれを、高速モード、通常モード、間欠モード、と称することとする。
【0015】
高速モードが最も送信間隔が短く、以下、通常モード、間欠モードの順に送信間隔が長くなる。
【0016】
CPU4は、このメインコンピュータ100からの送信間隔の指定を受けて、それぞれのモードに適合した処理プログラムを選択する。
【0017】
このとき、処理プログラムには、それぞれのモードにおけるセンシングデータの送信間隔に応じて、その送信間隔中のAD変換実行回数、AD変換出力の処理方法、センサデータの送信方法の設定が記述されているものとする。
【0018】
例えば、上述の、高速モード、通常モード、間欠モードの各モードに対しては、次のような処理内容が記述されている。
<高速モード>
(1)AD変換実行回数:2回
(2)AD変換出力の処理方法:2回の実行結果の平均化
(3)センサデータの送信方法、送信速度:シリアル通信、高速度
<通常モード>
(1)AD変換実行回数:8回
(2)AD変換出力の処理方法:8回の実行結果の平均化
(3)センサデータの送信方法、送信速度:シリアル通信、中速度
<間欠モード>
(1)AD変換実行回数:1回
(2)AD変換出力の処理方法:そのまま出力
(3)センサデータの送信方法、送信速度:シリアル通信、低速度
ここで、高速モード、通常モードにおいて、AD変換を複数回実行し、その実行結果の平均化を行うのは、指定された送信間隔中の物理量入力の変動による測定誤差を少なくするためである。
【0019】
CPU4は、このプログラムの設定に応じて、AD変換器3へAD変換の実行を指示する変換指示信号の出力タイミングを調節し、AD変換器3から出力されたデジタルデータに対するデータ処理を行ない、また、出力部5へ送信速度の指定を行う出力制御信号を出力する。
【0020】
図3に、メインコンピュータ100からの送信間隔の指定の違いによる処理の違いをフロー図で示す。
【0021】
本実施例のセンサ装置10は、メインコンピュータ100からのセンサデータ送信間隔の指示を受けると(ステップS01)、CPU4が、その指示に適合した処理プログラムを選択し(ステップS02)、データ処理モード、送信速度の設定を行う(ステップS03)。
【0022】
ここで、メインコンピュータ100からの送信間隔の指定が<高速モード>であるときは、AD変換器3がAD変換を2回実行し(ステップS11)、CPU4が、そのAD変換結果の平均化を行い(ステップS12)、出力部5が、CPU4により処理されたデータをシリアルデータに変換し、センサデータとして高速度でメインコンピュータ100へ送信する(ステップS13)。
【0023】
その後、メインコンピュータ100からセンサデータ送信間隔の新規の指示があるかどうか確認し(ステップS14)、新規の指示がなければ(N)、ステップS11の処理へ戻り、新規の指示があれば(Y)、ステップS02の処理へ戻って、以降の処理を繰り返す。
【0024】
一方、メインコンピュータ100からの送信間隔の指定が<通常モード>であるときは、AD変換器3がAD変換を8回実行し(ステップS21)、CPU4が、そのAD変換結果の平均化を行い(ステップS22)、出力部5が、CPU4により処理されたデータをシリアルデータに変換し、センサデータとして中速度でメインコンピュータ100へ送信する(ステップS23)。
【0025】
その後、メインコンピュータ100からセンサデータ送信間隔の新規の指示があるかどうか確認し(ステップS24)、新規の指示がなければ(N)、ステップS21の処理へ戻り、新規の指示があれば(Y)、ステップS02の処理へ戻って、以降の処理を繰り返す。
【0026】
また、メインコンピュータ100からの送信間隔の指定が<間欠モード>であるときは、AD変換器3がAD変換を1回実行し(ステップS31)、出力部5が、その変換結果をシリアルデータに変換し、センサデータとして低速度でメインコンピュータ100へ送信し(ステップS32)、指定された送信間隔期間の間、待機状態となる(ステップS33)。
【0027】
その後、メインコンピュータ100からセンサデータ送信間隔の新規の指示があるかどうか確認し(ステップS34)、新規の指示がなければ(N)、ステップS31の処理へ戻り、新規の指示があれば(Y)、ステップS02の処理へ戻って、以降の処理を繰り返す。
【0028】
図4は、上述の各モードにおけるセンサ装置10の動作の様子を模式的波形図で示したものである。
【0029】
図4(a)は、<高速モード>のときの各部の動作の様子を示す。
【0030】
<高速モード>のときは、メインコンピュータ100から指示されたセンサデータ送信間隔に対して、CPU4が2回の変換指示信号を出力し、AD変換器3は、2回のAD変換を実行する。CPU4は、AD変換器3から出力された2つのAD変換結果の平均化処理を行う。出力部5は、CPU4により処理されたデータをシリアルデータに変換し、センサデータとして高速度でメインコンピュータ100へ送信する。
【0031】
図4(b)は、<通常モード>のときの各部の動作の様子を示す。
【0032】
<通常モード>のときは、メインコンピュータ100から指示されたセンサデータ送信間隔に対して、CPU4が8回の変換指示信号を出力し、AD変換器3は、8回のAD変換を実行する。CPU4は、AD変換器3から出力された8つのAD変換結果の平均化処理を行う。出力部5は、CPU4により処理されたデータをシリアルデータに変換し、センサデータとして中速度でメインコンピュータ100へ送信する。
【0033】
図4(c)は、<間欠モード>のときの各部の動作の様子を示す。
【0034】
<間欠モード>のときは、メインコンピュータ100から指示されたセンサデータ送信間隔に対して、CPU4が1回の変換指示信号を出力し、AD変換器3は、1回のAD変換を実行する。出力部5は、その変換結果をシリアルデータに変換し、センサデータとして低速度でメインコンピュータ100へ送信する。
【0035】
このように、上述の例では、出力部5はセンサデータをシリアルデータとしてメインコンピュータ100へ送信している。
【0036】
そこで、図5に、センサデータをシリアルデータとして送信する出力部5の構成の例を示す。
【0037】
図5に示す例では、出力部5は、CPU4から出力されるパラレルデータをシリアルデータに変換し、センサデータとして出力するパラレル/シリアル変換シフトレジスタ51と、このパラレル/シリアル変換シフトレジスタ51のシフトクロックとなる送信クロックを出力する送信クロック周波数切り替え部52と、を有する。
【0038】
送信クロック周波数切り替え部52は、CPU4から出力される出力制御信号の指示に従って、出力する送信クロックの周波数を切り替える。
【0039】
すなわち、高速モード、通常モード、間欠モードに対応して、送信クロックの周波数を高、中、低、と切り替える。
【0040】
この切り替えにより、パラレル/シリアル変換シフトレジスタ51のデータシフトの速度が変化し、センサデータの送信速度が変化する。
【0041】
このような本実施例によれば、センサデータ送信先のマイクロコンピュータからの指示に応じて、内部で行うデータ処理の内容や送信速度の変更を行うことができる。これにより、送信先のマイクロコンピュータが必要とするデータを送信先のマイクロコンピュータが必要とする時期に送信することができ、送信先のマイクロコンピュータのデータ処理の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例に係るセンサ装置の構成の例を示すブロック図。
【図2】メインコンピュータから出力されるセンシング要求間隔の例を示す波形図。
【図3】本発明の実施例に係るセンサ装置の処理の流れの例を示すフロー図。
【図4】本発明の実施例に係るセンサ装置の動作の様子を示す模式的波形図。
【図5】本発明の実施例に係るセンサ装置の出力部の構成の例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0043】
1 センス素子
2 増幅器
3 AD変換器
4 CPU
5 出力部
51 パラレル/シリアル変換シフトレジスタ
52 送信クロック周波数切り替え部
6 プログラムメモリ
10 センサ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインコンピュータからの指示を受けてセンシング動作を行い、その結果を前記メインコンピュータへ送信するセンサ装置であって、
入力された物理量を電気信号に変換するセンサ手段と、
前記センサ手段から出力される電気信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換するAD変換手段と、
前記メインコンピュータからの指示を解釈し、その指示に適合した処理プログラムをプログラムメモリから読み出して、前記AD変換手段から出力された前記デジタルデータに対するデータ処理を行なうCPUと、
前記CPUにより処理されたデータを前記メインコンピュータへ送信する出力手段と
を有することを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記CPUは、
前記メインコンピュータから指示されたセンサデータ送信の間隔にもとづいて、前記データ処理の実行間隔を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記CPUが、
前記データ処理の実行間隔の期間に前記AD変換手段から出力された前記デジタルデータの平均化処理を行う
ことを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記CPUは、
前記メインコンピュータからのセンサデータ送信間隔の指示にもとづいて、前記出力手段の送信速度を設定する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記メインコンピュータとの通信方式に合わせてデータ出力形式を整える
ことを特徴とする請求項4に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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