説明

センサ装置

【課題】本発明は、センサ装置の信頼性を向上させることを目的とする。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、時間情報を測定し、前記被故障診断部に前記時間情報を伝達する時間測定手段17を設け、前記被故障診断部が前記時間情報をその出力に付加することにより前記故障検知信号と前記センス信号とを前記時間情報により対応付けたものである。この構成により、前記故障検知信号と前記センス信号とを時間的に対応付けることが可能となるため、出力されたセンス信号が正常時のものか故障時のものかを正確に判断することができ、信頼性を向上させることができるのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種電子機器等に用いられるセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のセンサ装置は、図5に示すごとく、駆動信号を出力する駆動回路部1A、1Bと、前記駆動回路部1A、1Bからの駆動信号が入力される検知素子2と、前記検知素子2から応答信号を取り出す検出回路部3A、3Bと、前記検出回路部3A、3Bからの応答信号からセンス信号を取り出す処理回路部4A、4Bと、前記処理回路部4A、4Bからのセンス信号を出力する出力回路部5A、5Bと、前記検出回路部3A、3B、前記処理回路部4A、4B、前記出力回路部5A、5Bの内少なくともいずれか1つを被故障診断部とし、前記被故障診断部が正常か異常かを判断し、その結果に基づいた故障検知信号を出力する故障診断回路6とを備えている。
【0003】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平8−327363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のセンサ装置では、その信頼性の向上に関して問題となっていた。
【0005】
すなわち、上記従来の構成においては、前記センス信号と前記故障検知信号とが時間的に対応付けされておらず、出力されたセンス信号が正常時のものか故障時のものか瞬時に正確に判断することができないため、当該センサ装置により制御される自動車等の制御対象が、故障時のセンス信号を用いて制御されてしまう可能性があり、信頼性の向上に関して問題となっていた。
【0006】
そこで本発明は、センサ装置の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明は、時間情報を測定し、前記被故障診断部からの出力に前記時間情報を付加する時間測定手段を設け、前記故障検知信号と前記センス信号とを前記時間情報により対応付けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この構成により、前記故障検知信号と前記センス信号とを時間的に対応付けることが可能となるため、出力されたセンス信号が正常時のものか故障時のものかを正確に判断することができ、当該センサ装置により制御される自動車等の制御対象が、故障時のセンス信号を用いて制御されてしまう可能性を低減することができ、その結果として、信頼性を向上させることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるセンサ装置について図面を参照しながら説明する。本実施の形態におけるセンサ装置は、図1に示すごとく、駆動信号を出力する駆動回路部11A、11Bと、前記駆動回路部11A、11Bからの駆動信号が入力される検知素子12(角速度検知素子12A、加速度検知素子12B)と、前記検知素子12から応答信号を取り出す検出回路部13A、13Bと、前記検出回路部13A、13Bからの応答信号からセンス信号を取り出す処理回路部14A、14Bと、前記処理回路部14A、14Bからのセンス信号を出力する出力回路部15A、15Bと、前記検出回路部13A、13B、前記処理回路部14A、14B、前記出力回路部15A、15Bの内少なくともいずれか1つを被故障診断部とし、前記被故障診断部が正常か異常かを判断し、その結果に基づいた故障検知信号を出力する故障診断回路16とを備えている。
【0010】
ここで、第1の駆動回路部11Aは、第1の処理回路部14Aからの第1のモニタ信号に基づき第1の駆動信号の振動振幅を調整し、第2の駆動回路部11Bは、第2の処理回路部14Bからの第2のモニタ信号に基づき第2の駆動信号の振動振幅を調整している。
【0011】
そして、時間情報を測定し、前記被故障診断部からの出力に前記時間情報を付加する時間測定手段17を設け、前記故障検知信号と前記センス信号とを前記時間情報により対応付けた構成としている。
【0012】
具体例として、被故障診断部を第1、第2の検出回路部13A、13Bとした場合を説明する。まず、時間測定手段17を前記第1、第2の検出回路部13A、13Bに電気的に接続すると共に、測定された時間情報を伝達する。そして、図2に示すごとく、第1、第2の検出回路部13A、13Bから、応答信号(r011〜r998)を出力するに際し、前記時間情報(t01〜t99)を付加する。そして、この時間情報(t01〜t99)が付加された応答信号(r011〜r998)が、図1に示した前記第1、第2の処理回路部14A、14Bを経由し、前記第1、第2の出力回路部15A、15Bよりセンス信号として出力される際にも、この時間情報(t01〜t99)が付加された状態となっている。一方、被故障診断部である前記第1、第2の検出回路部13A、13Bが正常か異常かを故障診断回路16が判断しており、その結果に基づいた故障検知信号を前記故障診断回路16が出力するわけであるが、第1、第2の検出回路部13A、13Bが故障診断回路16へ向けて故障検知に関する情報を出力するに際しても、図3に示すごとく、上述した応答信号(r011〜r998)と同一の時間情報(t01〜t99)が付加されており、故障診断回路16にて前記故障検知に関する情報から故障検知信号(f011〜f998)が生成され、出力される際にも、前記時間情報(t01〜t99)が付加された状態となっている。
【0013】
このような構成により、前記故障検知信号(f011〜f998)と前記センス信号とを、時間情報(t01〜t99)を用いて時間的に対応付けることが可能となるため、出力されたセンス信号が正常時のものか故障時のものかを正確に判断することができ、当該センサ装置により制御される自動車等の制御対象が、故障時のセンス信号を用いて制御されてしまう可能性を低減することができ、その結果として、信頼性を向上させることができるのである。
【0014】
なお、本実施の形態においては、検知素子12として角速度検知素子12Aと加速度検知素子12Bとの2つを用い、これに対応する回路構成として、第1、第2の駆動回路部11A、11B、第1、第2の検出回路部13A、13B、第1、第2の処理回路部14A、14Bを有する構成を用いて説明したが、検知素子を1つとし、これに対応する回路構成として、駆動回路部、検出回路部、処理回路部をそれぞれ1つずつのみ設ける構成としても構わない。
【0015】
なお、本実施の形態では被故障診断部を第1、第2の検出回路部13A、13Bとし、角速度検知系、加速度検知系それぞれにおける同一部分を被故障診断部とする例を説明したが、第1の被故障診断部を第1の出力回路部15Aとし、第2の被故障診断部を第2の処理回路部14Bとするように、2つの被故障診断部を角速度検知系、加速度検知系それぞれにおいて同一部分としない構成としても構わない。その際においては、第1の出力回路部15Aからのセンス信号と、前記第1の出力回路部15Aが故障診断回路16へ向けて出力する故障検知に関する情報との双方に共通する第1の時間情報を、前記センス信号及び前記故障検知に関する情報に付加すると共に、第2の処理回路部14Bからのセンス信号と、前記第2の処理回路部14Bが故障診断回路16へ向けて出力する故障検知に関する情報との双方に共通する第2の時間情報を、前記センス信号及び前記故障検知に関する情報に付加する必要があることに留意する。
【0016】
また、本実施の形態においては、角速度検知系、加速度検知系それぞれにおけるある1つの部分を被故障診断部としたが、故障診断回路16が複数の被故障診断部を有する構成としても構わない。具体的には、例えば第1、第2の検出回路部13A、13B、第1、第2の処理回路部14A、14B、第1、第2の出力回路部15A、15Bの全てに故障診断回路16を電気的に接続し、それぞれの故障検知信号を出力する構成とすることが可能である。このような構成により、1つの被故障診断部では検知できなかった故障を複数の被故障診断部で故障診断することにより検知することができ、故障検知の精度を向上させることができる。
【0017】
なお、本実施の形態においては、角速度検知素子12A、加速度検知素子12Bなどを用いて説明したが、その他圧力センサなど、各種センサ装置についても実施することが可能である。
【0018】
なお、故障診断回路16が被故障診断部は異常である旨の故障検知信号を出力した場合には、当該故障検知信号が有する時間情報と同一時点の時間情報を有するセンス信号を第1、第2の出力回路部15A、15Bが出力しない構成とすることが望ましい。自動車等の制御対象側で当該センサ装置からの故障検知信号に基づき、それに対応付けられた前記センス信号の使用可否を判断するまでも無く、異常時におけるセンス信号を当該制御対象に送信しない構成を実現することができるためである。具体的な構成としては、故障診断回路16に電気的に接続されるか、あるいは故障診断回路16内又は第1、第2の出力回路部15A、15B内に内蔵された出力回路部制御回路(図示せず)を設け、この出力回路部制御回路(図示せず)が、被故障診断部は異常である旨の故障検知信号を故障診断回路16が出力したと判断した場合には、当該故障検知信号が有する時間情報と同一時点の時間情報を有するセンス信号を第1、第2の出力回路部15A、15Bから出力させない構成として実現することができる。
【0019】
なお、図4に示すごとく、第1、第2の処理回路部14A、14Bからの第1、第2のセンス信号と故障診断回路16からの故障検知信号とを出力する出力回路部18を共通化し、前記センス信号と前記故障検知信号とを時分割方式にてデジタル出力する構成とすることにより、端子18Aの数を削減し、小型化を実現することができる。また、この出力回路部18において、前記時間情報に基づいて対応付けられた前記第1、第2のセンス信号と前記故障検知信号とを、時分割方式にて連結させて出力する構成とすることにより、制御対象側において、前記時間情報に基づいて対応付けられた前記センス信号と前記故障検知信号とを連結させる処理を省略することができるため望ましい。
【0020】
なお、図4に示す実施例においても、故障診断回路16が被故障診断部は異常である旨の故障検知信号を出力した場合には、当該故障検知信号が有する時間情報と同一時点の時間情報を有するセンス信号を出力回路部18が出力しない構成とすることが望ましい。自動車等の制御対象で当該センサ装置からの故障検知信号に基づき、それに対応付けられた前記センス信号の使用可否を判断するまでも無く、異常時におけるセンス信号を当該制御対象に送信しない構成を実現することができるためである。具体的な構成としては、故障診断回路16に電気的に接続されるか、あるいは故障診断回路16内又は出力回路部18内に内蔵された出力回路部制御回路(図示せず)を設け、この出力回路部制御回路(図示せず)が、被故障診断部は異常である旨の故障検知信号を故障診断回路16が出力したと判断した場合には、当該故障検知信号が有する時間情報と同一時点の時間情報を有するセンス信号を出力回路部18から出力させない構成として実現することができる。
【0021】
なお、図4に示す実施例においても、被故障診断部は、角速度検知系、加速度検知系それぞれにおけるある1つの部分を被故障診断部としてもよく、また、複数の被故障診断部を有する構成としても構わないが、複数の被故障診断部を有する構成とすることにより、1つの被故障診断部では検知できなかった故障を複数の被故障診断部で故障診断することにより検知することができ、故障検知の精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のセンサ装置は、信頼性を向上させることができるという効果を有し、デジタルカメラ、カーナビゲーション等の各種電子機器や自動車において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置を示す電気回路図
【図2】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の時間情報が付加された応答信号を示す図
【図3】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置の時間情報が付加された故障検知信号を示す図
【図4】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置のその他の実施例を示す電気回路図
【図5】従来のセンサ装置を示す電気回路図
【符号の説明】
【0024】
11A 駆動回路部(第1の駆動回路部)
12 検知素子
13A 検出回路部(第1の検出回路部)
14A 処理回路部(第1の処理回路部)
15A 出力回路部(第1の出力回路部)
16 故障診断回路
17 時間測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号を出力する駆動回路部と、
前記駆動回路部からの駆動信号が入力される検知素子と、
前記検知素子から応答信号を取り出す検出回路部と、
前記検出回路部からの応答信号からセンス信号を取り出す処理回路部と、
前記処理回路部からのセンス信号を出力する出力回路部と、
前記検出回路部、前記処理回路部、前記出力回路部の内少なくともいずれか1つを被故障診断部とし、
前記被故障診断部が正常か異常かを判断し、
その結果に基づいた故障検知信号を出力する故障診断回路とを備え、
時間情報を測定し、前記被故障診断部からの出力に前記時間情報を付加する時間測定手段を設け、
前記故障検知信号と前記センス信号とを前記時間情報により対応付けた
センサ装置。
【請求項2】
駆動信号を出力する駆動回路部と、
前記駆動回路部からの駆動信号が入力される検知素子と、
前記検知素子から応答信号を取り出す検出回路部と、
前記検出回路部からの応答信号からセンス信号を取り出す処理回路部と、
前記検出回路部、前記処理回路部の内少なくともいずれか1つを被故障診断部とし、
前記被故障診断部が正常か異常かを判断し、
その結果に基づいた故障検知信号を出力する故障診断回路と、
前記処理回路部からのセンス信号と前記故障診断回路からの故障検知信号とを
時分割方式により出力する出力回路部とを備え、
時間情報を測定し、前記被故障診断部からの出力に前記時間情報を付加する時間測定手段を設け、
前記故障検知信号と前記センス信号とを前記時間情報により対応付けた
センサ装置。
【請求項3】
前記出力回路部が、前記故障診断回路から前記被故障診断部が異常である旨の故障検知信号を受信した場合には、
前記故障検知信号が有する時間情報と同一時点の時間情報を有するセンス信号を
出力しない構成とした
請求項1又は2に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−96602(P2010−96602A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267024(P2008−267024)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【特許番号】特許第4289439号(P4289439)
【特許公報発行日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】