説明

センサ

【課題】一般的なセンサに、一部の構造を追加すると共に、ネジ付き締付け部材を組み合わせるだけで、そのセンサのボスへの取付けにおいて、素子の検知部の位置に大きな位置ズレを発生させることなく、ボスの突出量や外径を小さくできるようにした、その取付け構造が得られるようにする。
【解決手段】主体金具11には、主体金具側ネジ12の先端側の外周面に、周方向に連なり、半径方向外向きに突出すると共にネジ付き締付け部材91の先端が当接するように形成された環状フランジ41を設けた。ネジ付き締付け部材91は、主体金具側多角形部19と環状フランジ41との間で、軸線G回りに回転自在に外嵌させた。ネジ付き締付け部材91を、排気管501のボス503のメスネジ505にねじ込むことで、その先端にて環状フランジ41を先端側に押し、センサ1をそのボス503に取付けるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスなどの被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するための酸素センサやNOxセンサ、HCセンサといったガスセンサ、或いは被測定ガスの温度を検出するための温度センサなどのように、測定対象を検知(検出)するための検知部を備えてなるセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の空燃比制御に、排気ガス中の特定ガス成分の濃度に応じて電気的特性が変化するセンサ素子(以下、素子とも言う)を備えたガスセンサが使用されており、この種のセンサとしては種々のものが知られている(特許文献1)。図8は、このようなガスセンサ(以下、センサとも言う)1を用いた取付け構造を、センサの内部構造を省略して示した一部破断面図である。このガスセンサ1は、例えば、酸素イオン伝導性を有する固体電解質よりなるセンサ素子21と、この素子21を先端から突出させた状態で保持するための筒状の主体金具(金具本体)11と、この主体金具11の後端(図示上端)側に包囲状に設けられた金属製の保護筒(外筒)81などから構成されている。
【0003】
このうち、主体金具11は、その先端寄り部位の外周面にネジ(以下、主体金具側ネジとも言う)12を備えている。このセンサ1はネジ12を介して排気管等の排気マニホールド系部位(以下、単に排気管ともいう)501の外部(表面)に突出状に設けられたボス等の取付け対象部位(以下、ボスとも言う)503の貫通穴の内周面に形成されたメスネジ505にねじ込まれることでその取付けがなされる。ただし、ねじ込みは、主体金具11のネジ12の後方に径方向に突出するように設けられた多角形部(ねじ込み用の多角形部)19に、ねじ込み用の回螺工具(以下、単に工具ともいう)を掛けて回動することで行われる。なお、本明細書において、センサ1、又は主体金具11等の構成部品若しくは部位(部分)に関して、「先端」というときは、図8のセンサ1、又は構成部品等に関する下端をいい、「後端」というときは、その逆の端(上端)をいうものとする。
【0004】
ところで、この種のセンサ1では、その後端部からリード線(配線コード)61が延びているのが普通であり、とくに、センサがNOxセンサの場合にはそのリード線61の端部に、内部に回路基板を収納したボックス65を備えているのが普通である。このため、主体金具11に形成されたネジ12により、ねじ込み方式で、取付け対象部位503に取付ける構成のこの種のセンサ1(以下、ネジ一体型センサ、又は単にセンサともいう)においては、このようなボックス65及びリード線61も、センサ1のねじ込み作業に対応させて回転させる必要がある。したがって、その取付けが面倒な作業となっていた。しかも、センサ1自体が回転することから、素子21の向きを一定にして取り付けるのは容易でない。これにより、例えば、平板状の素子21のように、本来はガスの受圧面をガスの流れ(図中、破線矢印)に垂直にすると検出精度が高められる、というものでは、その検出精度を高度に一定に保持することは容易でない。なお、図8中の18は素子21のプロテクタであり、20は、多角形部(主体金具側多角形部とも言う)19が着座するボス503の座面との間のシールを保持するためのワッシャである。
【0005】
こうした中、センサを構成する主体金具自体にはネジを形成せず、これとは別の中空ボルト状のネジ付き締付け部材(ボルト部材)を、主体金具の軸線回りに回転自在に外嵌し、そのネジ付き締付け部材のネジをボスのメスネジにねじ込むように構成したセンサがある(特許文献2参照)。このようなセンサ(以下、取付け用ネジ別体型センサ)では、センサ(本体)自体を回転させることなく、そのネジ付き締付け部材をねじ込むことでその取付けができる。したがって、排気管のボス(取付け対象部位)への取り付け過程では、センサの後端から延びているリード線を回す必要もない。しかも、センサ自体を回転させないで済むから、素子の向きを所望とする一定の向きとすることも容易である。
【0006】
しかし、このような取付け用ネジ別体型センサは、実際には、極めて例外的な特殊取付け構造のものであり、一般には、図8に示したような主体金具11自体にネジ12を形成してなるセンサ(ネジ一体型センサ)が広く使用されているというのが実情である。というのは、このような例外的な特殊取付け構造の取付け用ネジ別体型センサを、一般的なネジ一体型センサとは全く別に、それ専用の主体金具を製造して、センサ全体として組立てる場合には、新規部品の製造やその製造設備の増大等による製造効率の低下、及びそれに伴うコストアップ等の問題が大きいためである。
【0007】
そこで考えられるのは、図9に示したように、図8に示したのと同じネジ一体型センサ1において、その主体金具11に設けられた多角形部(ねじ込み用多角形部)19の後方から、主体金具11に、上記したような中空ボルト状のネジ付き締付け部材91を外嵌し、その後端側の多角形部94bを回転させて、これを排気管501のボス503内に形成されたメスネジ505にねじ込む、ということが考えられる。すなわち、従来一般に使用されているネジ一体型センサ1において、その主体金具11のネジ12は使用せず、ネジ付き締付け部材91が備える締め付けネジ93をボス503のメスネジ505にねじ込み、これによって主体金具11の多角形部19を先端側に押さえつけて、その取付けを行うというものである。このような取付け構造のセンサとすることで、ねじ込み過程では、センサ1自体を回転させる必要がなくなるし、別途に、最初から新規のセンサを設計し、製造する必要もないため、コストアップも小さく抑えることができるためである。
【0008】
なお、センサをこのような取付け構造とする場合には、それを構成する主体金具11のネジ12は使用しないことから、主体金具は、そのネジ12が形成されていないもの(主体金具仕掛品。本願書類における主体金具には、このような仕掛品も含む)を用いてもよい。すなわち、主体金具は、その外周面に、センサ自身をねじ込み方式で取付けるための主体金具側ネジが形成されておらず、そのネジを形成するための円筒状部位を備えている段階のもの(ネジ一体型センサに用いられる主体金具のネジ加工前のもの)、又は、そのネジを切削して除去してなる円筒状部位を有しているものを用いることとしてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−47093号公報
【特許文献2】特開2001−221769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、図9に示したようなセンサ1の取付け構造においては、ボス503のメスネジ505の径は、主体金具11の多角形部19の外径より大きくする必要があることから、ボス503自体の外径を従来のそれに比べて大きくする必要がある。しかも、ボス503における排気管501の外周面からの外方への突出高さH1が著しく大きくなる。これは、ネジ付き締付け部材91の先端で、主体金具11のネジ12の後方にある多角形部19の後端向き面を先端側に押え付ける構造となることから、ボス503の排気管501の外周面からの外部への突出高さH1を大きくして、メスネジ505の位置を排気管501の外周面から離間させる必要があるためである。このように、図9に示したような取付け構造とする場合には、ボス503の外径が大きくなり、かつ、その突出高さH1が大きいものとなることから、ボス503の周辺スペースを大きく確保する必要があるという問題がある。
【0011】
一方、こうした問題のうち、ボス503の排気管501の外周面からの外方への突出高さH1を、図8に示したものと同様に小さくするには、図10に示したように、ボス503の奥の部位を排気管501の内側に大きく入り込ませる必要がある。しかし、このようにすると、センサ1はその先端寄り部位の素子21が、排気管501の径方向(断面)における所望とする設定位置からボス503の反対側に入り込みすぎとなってしまう。すなわち、もともとセンサ1は、その取付け後において、先端側の素子21の検知部が排気管501の径方向(横断面)の設定位置(例えば中心)に位置するように、ボス503の突出高さ等の寸法に応じて、そのネジ12長が設定されている。したがって、図10に示したようにした場合には、排気管501内における素子21の位置にズレ(位置ズレ)が生じることになり、検出精度上においても好ましいことでない。しかも、このようにしても、ボス503の外径寸法を小さくすることはできない。
【0012】
本発明は、如上の問題点に鑑みてなされたもので、従来、一般に使用されているセンサの基本構造を改変することなく、一部の構造を追加ないし変更すると共に、ネジ付き締付け部材を組み合わせるだけで、センサのボスへの取付けにおいて、素子の検知部の位置に大きな位置ズレを発生させることなく、しかも、ボスの突出量や外径を小さくできるようにした、センサの取付け構造が得られるようにすることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明は、検知部を主体金具の先端側に備えると共に、該主体金具の外周面に、センサ自身をねじ込み方式で取付けるための主体金具側ネジ、又は円筒状部位を備えると共に、その主体金具側ネジ又は該円筒状部位の後方に主体金具側多角形部を備え、かつセンサ自身の後端側から外部に引き出されたリード線を備えてなるセンサと、
センサが取付けられる取付け対象部位の内周面に形成されたメスネジに螺合する締付け用ネジを外周面に備えて、前記主体金具にその軸線回りに回転自在に外嵌された中空ボルト状のネジ付き締付け部材とを含んでおり、
該ネジ付き締付け部材を前記メスネジにねじ込むことで、前記センサを前記取付け対象部位に取付けるように構成されたセンサにおいて、
前記主体金具には、前記主体金具側ネジ又は前記円筒状部位の先端側の外周面に、周方向に連なり、半径方向外向きに突出すると共に前記ネジ付き締付け部材の先端が当接するように形成された環状フランジを備えており、
該ネジ付き締付け部材は、前記主体金具側多角形部と前記環状フランジとの間において該主体金具の軸線回りに回転自在に外嵌され、しかも、前記主体金具側多角形部にて後端側への分離が防止された状態にあり、かつ該ネジ付き締付け部材を前記メスネジにねじ込むことで、該ネジ付き締付け部材の先端にて前記環状フランジを先端側に押し、前記センサを前記取付け対象部位に取付けるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の本発明は、前記ネジ付き締付け部材は、前記主体金具側多角形部と前記環状フランジとの間で、先後方向に所定量の移動が許容されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサである。
請求項3に記載の本発明は、前記ネジ付き締付け部材は、後端側が大径部をなし、先端側が小径部をなす異径環状体構造をなし、
該大径部の内径が、前記主体金具側多角形部の対角方向の外径より大きく形成されていると共に、前記大径部の外周面にねじ込み用多角形部が設けられており、
前記小径部の内径が前記主体金具側多角形部の対角方向の外径より小さく形成されていると共に、前記締付け用ネジを該小径部の外周面に形成したことを特徴とする請求項2に記載のセンサである。
【0015】
請求項4に記載の本発明は、前記ネジ付き締付け部材における前記小径部の先端が、前記環状フランジの後端向き面に当接している状態において、前記主体金具における前記主体金具側多角形部の少なくとも後端寄り部位が、該ネジ付き締付け部材における前記ねじ込み用多角形部の後端より後方に位置するように、前記ネジ付き締付け部材が、前記主体金具側多角形部と前記環状フランジとの間で、先後方向に所定量の移動が許容されていることを特徴とする請求項3に記載のセンサである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のセンサは、従来のセンサを構成する主体金具におけるネジ(主体金具側ネジ)を用いることなく、ネジ付き締付け部材を用いることで、排気管のボスのメスネジに取り付け得るものである。しかし、従来のそのようなセンサのように、ネジ付き締付け部材で主体金具側多角形部の後端向き面を先端側に押え付ける構成のものとはその構成が異なる。すなわち、本発明のセンサは、上記構成のように組み付けられたネジ付き締付け部材で、主体金具側ネジの先端側に設けられた環状フランジの後端向き面を先端側に押え付ける形で、そのネジ付き締付け部材をボスのメスネジにねじ込むことができる。このため、ボスへのセンサの取付けにおいて、従来のように、センサの検知部の位置に大きな位置ズレを発生させることがない。しかも、ボスの排気管の外周面における突出量を小さくできるし、従来のように、ボス内に主体金具側多角形部を入り込ませる必要がないため、ボス内のメスネジの径を小さくできる分、ボスの外径を小さくできる。これにより、ボスの周辺スペースを従来より小さくできる。
【0017】
しかも、センサをなす主体金具は、その外周面にネジ(主体金具側ネジ)が形成されているものであってもよいが、そのネジは使用されない。したがって、主体金具は、その外周面に、センサ自身をねじ込み方式で取付けるための主体金具側ネジが形成されておらず、そのネジを形成するための円筒状部位を備えている段階のもの(ネジ一体型センサに用いられる主体金具の仕掛品)、又は、そのネジを切削して除去し、或いはネジ形成用の円筒状部位を切削して除去してなる円筒状部位を有しているものを用いることとしてもよい。そして、このようなネジ形成前の円筒状部位を備えている主体金具を用いる場合には、そのネジ加工(例えば転造)を要しない分、部品の製造工程の簡略化が図られる。一方、主体金具側ネジを有するものを用いる場合には、ネジ一体型センサに用いられる主体金具をそのまま用いることができるので、その製造や在庫の管理が容易となる。
【0018】
本発明では、ネジ付き締付け部材が先後方向へ移動できないとしても、これを主体金具の軸線回りに回転させることができれば、よい。しかし、請求項2に記載の発明のようにその移動ができるようにしておくと、ねじ込み作業が容易となる。また、請求項3に記載の本発明のようにしておくことで、ねじ込み作業が一層容易となる。さらに請求項4に記載の本発明では、その構成に基づき、ネジ付き締付け部材をメスネジにねじ込む際の最終段階(締め上げる段階)で、主体金具側多角形部に工具を掛けることができるため、主体金具を含むセンサ本体がネジ付き締付け部材と一緒に回るいわゆる共回りを容易に防止できる。これにより、検知部の向きを所望とする向きに容易に保持できるため、検知(出力)精度が安定する。
【0019】
さらに、本発明では、ネジ付き締付け部材は、主体金具側多角形部と環状フランジとで、その脱落ないし分離の防止が図られているから、取扱いが容易かつ便利である。なお、本発明では、ネジ付き締付け部材をボスのメスネジにねじ込むことで、ネジ付き締付け部材の先端(先端面)が、主体金具に設けられた環状フランジの後端向き面を直接押え付けるものとしてもよいが、要すれば、パッキン(シール部材)等を介して押え付けるものとしてもよい。また、主体金具側多角形部又は環状フランジとの間において、別途、スリップワッシャ等の別部材を介在させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のセンサを具体化した第1実施形態例の縦断面図。
【図2】図1のセンサを構成するネジ付き締付け部材であって、Aはこれを後端側から見た図、Bは、正面半断面図、Cは先端側から見た図。
【図3】図1のセンサを排気管のボスに取付けた状態の説明用断面図。
【図4】図1のセンサの変形例を排気管のボスに取付けた状態の説明用断面図。
【図5】図1のセンサの他の変形例を排気管のボスに取付けた状態の説明用断面図。
【図6】図5のセンサを構成するネジ付き締付け部材であって、Aはその正面半断面図、Bは、先端側から見た図。
【図7】図1〜図3に示した第1実施形態例のセンサを構成する主体金具において主体金具側ネジを形成することなく、その外周面を円筒状部位として本発明を具体化した実施形態の説明用断面図。
【図8】従来のネジ一体型センサを用いた取付け構造を、センサの内部構造を省略して示した一部破断面図。
【図9】従来の一般的なネジ一体型センサにおいて、その主体金具に設けられた多角形部(ねじ込み用多角形部)の後方から、主体金具にネジ付き締付け部材を外嵌し、これを排気管のボス内に形成されたメスネジにねじ込むことでそのボスに取付けた状態の説明図。
【図10】図9において、ボスの排気管の外周面からの外部への突出高さを従来(図8)と同じとして、センサを取付けた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のセンサを具体化した実施形態例(第1実施形態例)について、図1〜図3に基づいて詳細に説明する。ただし、本形態では、センサ1はNOxセンサとする。また、本発明は、基本的には、従来のネジ一体型センサを利用するものであり、本形態では、センサ自体としては、それを構成する主体金具11の主体金具側ネジ12の先端側の外周面に、周方向に連なり、外向きに突出する環状フランジ41を設けた点と、主体金具側多角形部19とこの環状フランジ41との間に、中空ボルト状をなすネジ付き締付け部材91を回転自在に外嵌したという点が相違する他は、従来のネジ一体型センサと基本的に共通する。このため、以下、このような相違点を中心として各図に基づいて詳細に説明する。
【0022】
すなわち、本形態のセンサ1は、例えば、センサ素子21と、この素子21を内側において気密状態とし、その先端側の検知部21aを突出させるように保持する筒状の主体金具(金具本体)11と、この主体金具11の後端(図示上端)側に包囲状に設けられた金属製の保護筒(外筒)81と、保護筒81内に配置された絶縁部材からなる端子包囲部材70と、この中央に挿入された、素子21の後端寄り部位に形成された各電極(図示せず)に圧着された各端子金具51と、この端子金具51に接続され保護筒81の後端83から後方に引き出されたリード線61などからなり、その詳細は次のようである。
【0023】
上記の構成のうち、主体金具11は、その内周面が先端側から後端に向けて順次、同心で大径をなすように形成されており、外周面は、先端が2重のプロテクタ18を取り付ける小円筒部13をなし、この小円筒部13に続く後方にはこれより大径のネジ(ネジ一体型センサとして使用される際のネジ)12を備えており、このネジ12の後方には、これより大径の多角形部(例えば、六角ボルトの頭部形状部)19を備えている。そして、この多角形部19の後方には、これより小径で、保護筒81を外嵌めして固定する部位をなす円筒部15を備えている。
【0024】
しかして、このような本体11の内側のうち、その下方の段部に内ツバが支持されてなる筒体30が介挿され、その筒体30の内側であって、その内ツバの上に、下からアルミナから形成されたホルダ31、シール材(本例では滑石)32、33、そしてその上にはスリーブ35が順次配置されている。そして、これらの中央を先後に貫くように、センサ素子21が軸線Gに沿って挿入されており、リングワッシャ36を介して、本体11の後端寄り部位の円筒部15に連設されたカシメ用円筒部16を内側に折り曲げてスリーブ35の後端を先端側に圧縮することで、素子21を主体金具11の内側に気密状に固定している。
【0025】
このような素子21は、先端側の検知部21aを主体金具11の先端より所定量(長さ)突出させており、後端(図1の上端)寄り部位を主体金具11の後端より所定量(長さ)突出させている。一方、この素子21の先端(検知部21a)には、その周囲を包囲するように複数の穴(通気孔)の設けられた二重構造のプロテクタ(保護カバー)18が被せられており、その後端側を主体金具11の先端の小円筒部13に外嵌させて、溶接で固定されている。
【0026】
さて本例では、この主体金具11のねじ12の先端側、すなわち、その主体金具側ネジ12の先端と、主体金具11の先端の小円筒部13との境界をなす先端向き面に、プロテクタ18の後端寄り部位を包囲する形で、外周面に円環状に突出する環状フランジ41を有する円筒体40が、その後端を同心状にして突き合わせ、その突合せ部10において周方向に沿って例えば、レーザ溶接され、固定されている。これにより環状フランジ41が主体金具側ネジ12の先端より先方に設けられている。なお、この円筒体40における環状フランジ41の半径方向外方への突出量、すなわち、環状フランジ41の外径は、ネジ12の外径より大きく、本例では六角の多角形部19の対角寸法より小さめに設定されている。そして、環状フランジ41の先後方向における位置が、主体金具11の先端と略同位置とされている。なお、この円筒体40の外径はネジ12の外径と同じかそれより小さくされている。
【0027】
そして、主体金具側多角形部19と環状フランジ41との間には、本例では、その間で先後方向への所定量L1の移動が許容される状態で、中空ボルト状をなすネジ付き締付け部材91が、主体金具11の軸線G回りに回転自在にして外嵌されている。ただし、これは環状フランジ41をなす円筒体40を溶接する前に組み付けられる。本例では、このネジ付き締付け部材91は、後端側が大径部94をなし、先端側が小径部95をなす異径環状(円環又は円筒)体構造をなしている(図2参照)。そして、大径部94の内径が主体金具側多角形部19の対角方向の外径より大きくされていると共に、大径部94の外周面は、軸線G方向から見たとき、例えば六角なすように形成され、ねじ込み用多角形部94bとされ、これがねじ込み用(時)の回動部位をなしている。
【0028】
また、小径部95の内径は、主体金具側多角形部19の外径より小さく、主体金具11のネジ12の外径より若干大きく設定されており、この小径部95の外周面には、センサ1の取付け対象部位であるボス503のメスネジ505に螺合する締付け用ネジ93が形成されている。このようなネジ付き締付け部材91は、主体金具側多角形部19と環状フランジ41とで、主体金具11からの分離が防止されている一方、先後方向へ所定量L1の移動が許容されている。そして、小径部95の先端が環状フランジ41の後端向き面に当接しているとき、主体金具側多角形部19は、その略全体がネジ付き締付け部材91におけるねじ込み用多角形部94bの後端より後方に位置するように設定されている。なお、環状フランジ41は、ボス503内のメスネジ505の奥において内向きに突出する円環状の座面507に着座させ得るように、環状フランジ41の外径はメスネジ505の内径より小さく、かつ座面507の内径より大きく設定され、座面507の内周面509の内径は円筒体40の外径より大きくされている(図3参照)。また、ネジ付き締付け部材91における締付け用ネジ93は、排気管501に設けられたボス503内のメスネジ505に螺合するネジとされている。
【0029】
上記においても一応説明したように、主体金具11の後端に固定されている保護筒81等は、従来のセンサ構造と異なる点はないが、以下にこれらの構成ついてさらに説明する。すなわち、保護筒81内には、端子包囲部材70が配置されている。この端子包囲部材70は、セラミック等の電気的な絶縁材からなり、内部の各端子用空孔75には、各端子金具51が位置決め収容され、保護筒81内面と、さらには端子金具51相互間の絶縁が保持されるように形成されている。端子金具51は、各空孔75において、先端の板バネ部である端子接続部53を、自身のバネ性によって、端子包囲部材70の中心に位置する素子21の後端寄り部位に設けられた図示しない各電極端子(検知部21aからの検出出力取り出し用のものと、素子21に形成された図示しないヒーターへの電圧印加用の電極)に押付けられ、それぞれ電気的に接続されている。また、端子金具51は、端子接続部53から中継線部55を介してその後端に位置する圧着部(バレル)57をかしめて、リード線61の先端(芯線部)に接続されている。そして、各リード線61は、保護筒81の後端83寄り部位(小径部)内において径方向に圧縮、配置されたシール用弾性部材101に貫通、形成されたリード線挿通用の貫通孔(空孔)105を通されて外部に引き出されている。なお、リード線61の図示しない端部には、図示はしないが回路基板を収容したボックスが接続されている。また、端子包囲部材70は、支持筒77を介して保護筒81内に保持されており、支持筒77は保護筒81の中間部位を縮径状にカシメることで保護筒81内に固定されている。
【0030】
しかして、本例のセンサ1は、図3に示したように、これを排気管501に所定高さH2で突出するように設けられたボス503に、そのネジ付き締付け部材91を、ボス503の内周面に形成されたメスネジ505にねじ込むことで、その取付けがなされる。すなわち、本例のセンサ1では、ネジ付き締付け部材91を用いるネジ一体型センサ1ではあるが、従来のそれのように、ネジ付き締付け部材91で、主体金具側多角形部19の後端向き面を先端側に押え付ける構成とは異なり、主体金具側ネジ12の先端側に設けられた環状フランジ41の後端向き面を先端側に押え付ける形で、ネジ付き締付け部材91を排気管501の外周面に突出するように設けられたボス503に形成されたメスネジ(ネジ穴)505にねじ込むことができる。このため、図1又は図3に示したように、ボス501へのセンサ1の取付けにおいて、センサの検知部21aの位置に大きな位置ズレを発生させることがない。しかも、ボス503の排気管501の外周面からの突出量(高さH2)を従来より小さくできるし、従来のように、ボス503内に主体金具側多角形部19を入り込ませる必要がないため、ボス内のメスネジ505の径を小さくできるから、ボス503自体の外径を小さくできる。
【0031】
なお、上記構成のセンサ1のボス503への取り付けは次のようにして行うことができる。すなわち、センサ1の先端のプロテクタ18がボス503の内側に入り込むようにする。このとき、素子21の検知部21aの向きを考慮しながら、環状フランジ41を形成してなる円筒体40のうち、その先端寄り部位を、ボス503内のメスネジ505の奥の座面507の内周面(貫通円穴)509に通し、環状フランジ41をその座面507に着座させるようにする。本例では、ネジ付き締付け部材91の許容移動量L1が、この着座が可能な寸法に設定されている。このため、その着座後は、要すれば、主体金具11又はセンサ本体を把持するようにしつつ、ネジ付き締付け部材91をねじ込むだけで、その取付けができる。反面、このL1が大きいと、センサの検知部21aの排気管501内における位置は設定位置から後方へずれる。他方、このL1が小さい場合には、ねじ込み前には環状フランジ41を上記のように座面507に着座させることはできないが、検知部21aの位置ズレ防止の観点からは、L1は小さい方がよい。
【0032】
なお、上記構成の本例センサでは、ねじ込みの少なくとも最終段階(締め上げ段階)では、ねじ込み用多角形部94bに工具を掛けてこれを所定トルクで回す必要がある。一方、このときは、ネジ付き締付け部材91の先端と環状フランジ41との摩擦によりセンサ1自体も共回りしようとする。しかし、本例では、主体金具側多角形部19が、ネジ付き締付け部材91の後端よりその略全体が後方に露出するように位置するものであるため、これに工具を掛けることができる。したがって、容易にその共回りを防止できるという効果もある。
【0033】
なお、上記例では、ネジ付き締付け部材91を、後端側が大径部94をなし、先端側が小径部95をなす異径環状体構造のものとし、大径部94の内径を、主体金具側多角形部19の対角方向の外径より大きく形成し、この大径部94の外周面にねじ込み用多角形部94bを設けたものを例示している。しかし、図3において図4に示した変形例のように、ねじ込み用多角形部94bは、大径部94の内周面に設けることもできる。すなわち、大径部94の内周面のねじ込み用多角形部94bに、嵌合する多角形部を外周面に有する回螺工具601を挿入し得るようにしておいてもよい。すなわち、本発明においてネジ付き締付け部材91は、ねじ込み用の回動部位(ボルトの頭部等に相当する部位)があればよい。すなわち、センサをねじ込み方式で取り付ける際に、そのネジ付き締付け部材91を回動させ得るように形成されていればよく、したがって、例えば、これを多角形部とする場合でも、外周面でなく形成してもよい。
【0034】
さて次に、上記形態のさらなる変形例とでもいうべき実施形態について、図5、図6に基づいて説明する。ただし、このものは、上記形態におけるそれと、ネジ付き締付け部材91の形状、構造が、若干相違するのみであるから、その相違点のみについて説明し、同一部位には同一の符号を付すに止める。すなわち、本形態では、ネジ付き締付け部材91の後端寄り部位を大径部94とし、その外径は、上記例と同様に先端寄り部位の小径部95に比べて大きいが、内径は、小径部95と同じとして、大径部94の後端を平坦状にし、ネジ付き締付け部材91が主体金具側多角形部19と、環状フランジ41との間において先後に移動できる量(上記例のL1に相当する量)を小さくしたものである。このものでは、その構成上、ボス503のメスネジ505へのねじ込み開始時において、環状フランジ41を奥の座面507に着座させることはできない反面、素子21の先端の検知部21aの位置ズレを小さくできる。これより理解されるが、本発明では、環状フランジ41は、主体金具側ネジ12の先端にできるだけ近い位置となるようにし、かつ、上記例のL1をできるだけ小さくするとともに、ねじ込み用部位(例えばねじ込み用多角形部94b)の厚み(先後方向の厚み)をできるだけ小さくするのが、その位置ズレを防止する上で好ましいといえる。
【0035】
なお、上記各形態例では、主体金具11に、その外周面に主体金具側ネジ12を備えると共に、その主体金具側ネジ12の後方に主体金具側多角形部19を備えているものを用い、この主体金具側ネジ12の先端側の外周面に、周方向に連なり、半径方向外向きに突出すると共にネジ付き締付け部材91の小径部95の先端が当接するように形成された環状フランジ41を備えている構成のものとして具体化した。したがって、主体金具11には従来のネジ一体型センサに用いる主体金具そのものを用いることができる。しかし、本発明は、上記いずれの形態例でも、その主体金具11はその外周面に主体金具側ネジ12を備えているものである必要はない。すなわち、そのネジ12は使用されないのであるから、主体金具11はそのネジ12加工前の円筒状部位を有するもの(ネジ一体型センサに用いられる主体金具の仕掛品)を用いることもできるし、そのネジ12を切削して除去し、或いはネジ形成用の円筒状部位を切削して除去してなる円筒状部位を有しているものを用いることとしてもよい。いずれも、ネジ一体型センサに用いられる主体金具の製造用素材を用いることができるためである。
【0036】
図7は、主体金具に、主体金具側ネジ12を備えているものに代えて、そのネジ12に対応する外周面を、単に円筒状部位としてなるものを用いた実施形態例を示したものである。すなわち、図7は、図1〜図3に示した第1実施形態例において、主体金具11の外周面に主体金具側ネジ12を形成することなく、そのネジ形成用の円筒状部位12bをなしている段階(ネジ加工前の段階)で、その加工を終えたものを主体金具として使用して、センサに用いたものである。なお、図7では、図3に対応する説明用断面図で示している。ただし、このセンサ1は、図1〜図3に示した第1実施形態例における主体金具側ネジ12の部位が、その形成前の単なる円筒面からなる円筒状部位12bであるという点のみが相違するだけである。このため、その他の同一部位には同一の符号を付すに止め、他の説明は省略する。このものでは、上記もしたように、主体金具11の製造において主体金具側ネジ12を形成することなく、それを製造できる分、例えば転造ネジとする場合には、転造工程を省略できる。なお、円筒状部位12bの外径は、主体金具11の軸線回りにおいて、ネジ付き締付け部材91が回転自在となるものであればよく、したがって、円筒体40の固定上等において支障がない限り、例えば、図1における主体金具側ネジ12の谷の径近くまで削り込んで、小径化しておいてもよい。このようにすれば、小径化する分、ネジ付き締付け部材91等の径も小さくできるため、センサ取付け構造の全体の小型化も図られる。
【0037】
本発明のセンサは、上記各形態のものに限定されるものではなく、適宜に変更して具体化できる。また、上記においては、NOxセンサにおいて具体化したが、本発明のセンサは温度センサなど、その他のセンサにおいても具体化できる。
【符号の説明】
【0038】
1 センサ
11 主体金具
12 主体金具側ネジ
12b 円筒状部位
19 主体金具側多角形部
21 センサ素子
21a 検知部
41 環状フランジ
61 リード線を備
91 ネジ付き締付け部材
93 締付け用ネジ
94 ネジ付き締付け部材の後端側が大径部
95 ネジ付き締付け部材の先端側の小径部
503 排気管の(センサが取付けられる取付け対象部位)
505 ボスのメスネジ
G 主体金具の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知部を主体金具の先端側に備えると共に、該主体金具の外周面に、センサ自身をねじ込み方式で取付けるための主体金具側ネジ、又は円筒状部位を備えると共に、その主体金具側ネジ又は該円筒状部位の後方に主体金具側多角形部を備え、かつセンサ自身の後端側から外部に引き出されたリード線を備えてなるセンサと、
センサが取付けられる取付け対象部位の内周面に形成されたメスネジに螺合する締付け用ネジを外周面に備えて、前記主体金具にその軸線回りに回転自在に外嵌された中空ボルト状のネジ付き締付け部材とを含んでおり、
該ネジ付き締付け部材を前記メスネジにねじ込むことで、前記センサを前記取付け対象部位に取付けるように構成されたセンサにおいて、
前記主体金具には、前記主体金具側ネジ又は前記円筒状部位の先端側の外周面に、周方向に連なり、半径方向外向きに突出すると共に前記ネジ付き締付け部材の先端が当接するように形成された環状フランジを備えており、
該ネジ付き締付け部材は、前記主体金具側多角形部と前記環状フランジとの間において該主体金具の軸線回りに回転自在に外嵌され、しかも、前記主体金具側多角形部にて後端側への分離が防止された状態にあり、かつ該ネジ付き締付け部材を前記メスネジにねじ込むことで、該ネジ付き締付け部材の先端にて前記環状フランジを先端側に押し、前記センサを前記取付け対象部位に取付けるように構成されていることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記ネジ付き締付け部材は、前記主体金具側多角形部と前記環状フランジとの間で、先後方向に所定量の移動が許容されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記ネジ付き締付け部材は、後端側が大径部をなし、先端側が小径部をなす異径環状体構造をなし、
該大径部の内径が、前記主体金具側多角形部の対角方向の外径より大きく形成されていると共に、前記大径部の外周面にねじ込み用多角形部が設けられており、
前記小径部の内径が前記主体金具側多角形部の対角方向の外径より小さく形成されていると共に、前記締付け用ネジを該小径部の外周面に形成したことを特徴とする請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記ネジ付き締付け部材における前記小径部の先端が、前記環状フランジの後端向き面に当接している状態において、前記主体金具における前記主体金具側多角形部の少なくとも後端寄り部位が、該ネジ付き締付け部材における前記ねじ込み用多角形部の後端より後方に位置するように、前記ネジ付き締付け部材が、前記主体金具側多角形部と前記環状フランジとの間で、先後方向に所定量の移動が許容されていることを特徴とする請求項3に記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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