説明

センサ

【課題】剥離を抑制することができるシール構造を有するセンサを提供する。
【解決手段】NOxセンサの回路部10は、台座部12を備える出力基台11を有しており、台座部12の頂部に位置する設置面12aには、NOxセンサの個体情報が記憶された記憶媒体17が実装された配線基板16が配されている。また、台座部12の側周面には、設置面12aの配置位置の反対側に対向した状態で当該台座部12の側周面を取り囲む壁部13が形成されている。そして、回路部10は、配線基板16の周囲を覆うと共に、壁部13に当接した状態で台座部12の側周面を覆うことで、配線基板16を水密に封止するシール部15を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
検出対象ガス中の特定成分を検出するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検出対象ガス中の特定ガス成分濃度(例えば内燃機関の排気ガス中のNOx濃度)を検出するガスセンサが知られている。このようなガスセンサには、特定ガス成分濃度に応じた信号を生成するセンサ素子や、センサ素子を加熱するヒータ等が設けられており、ヒータにより加熱されたセンサ素子からの信号に基づき、特定ガス成分濃度の検出が行われる。
【0003】
ここで、このようなガスセンサにおいては、センサ素子からの信号と特定ガス成分濃度との関係を表すガス濃度特性や、ヒータの抵抗値とヒータ温度との関係を表すヒータ温度特性に、ガスセンサ毎の個体間のばらつきが存在し得る。
【0004】
また、上述のガスセンサ以外にも、検出対象ガス中の煤の濃度を検出する煤センサが知られており、このような煤センサにおいても、センサ素子からの信号と検出対象ガス中の煤の濃度との関係を表す特性に、煤センサ毎の個体間のばらつきが存在し得る。
【0005】
これに対し、特許文献1に記載のNOxセンサには、当該NOxセンサにおけるガス濃度特性やヒータ温度特性等を示す個体情報が記憶された記憶媒体が設けられている。そして、該NOxセンサを制御するセンサ制御装置は、該記憶媒体から個体情報を取得し、この個体情報を用いて個体間のばらつきを補正することで、NOx濃度をより正確に検出するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−064587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1に記載のNOxセンサでは、センサ制御装置からのケーブルが接続されるコネクタ部分に、NOxセンサの個体情報が記憶されている記憶媒体を有する回路部100が配されている(図5参照)。この回路部100では、記憶媒体111が実装された配線基板110が出力基台120の頂部に位置する設置面121に配置されており、また、該出力基台120の側面には、第1の側周面122と、第1の側周面122よりも外側に突出した第2の側周面123が形成されている。そして、設置面121と第1の側周面122の全体が熱可塑性樹脂からなるシール部130により覆われており、これにより配線基板110が水密に保たれている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のNOxセンサでは、回路部100におけるシール部130は、その外面131が第2の側周面123に沿うようにして配されており、シール部130と出力基台120との当接面が第2の側周面123に達していない。このため、回路部100の周囲に温度変化に起因してシール部130が収縮すると、第1の側周面122と第2の側周面123の境界付近からシール部130が剥離してしまうおそれがある。
【0009】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、配線基板の水密を保つためのシール部の剥離を抑制することができるシール構造を有するセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑みてなされた本発明のセンサは、検出対象ガス中の特定成分を検出するセンサ素子と、センサ素子に関する個体情報が記憶されている記憶媒体が実装されている配線基板と、自身の頂部をなす設置面上に配線基板が配置されていると共に、設置面に連なる側周面に、設置面の反対側に向く状態で該側周面を取り囲む壁面を有する剥離抑制部が形成された出力基台と、を備えることを特徴とする。また、配線基板の周囲を取り囲むようにして出力基台の頂部を覆うと共に、剥離抑制部に当接した状態で側周面を取り囲むように覆い、配線基板を水密に保つシール部を備えることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、周囲の温度変化に起因してシール部の収縮が生じた際には、シール部における剥離抑制部の周辺に位置する部分が頂部の方向に向かって収縮するため、剥離抑制部の壁面とシール部との間の密着力が向上する。このため、シール部の出力基台からの剥離が抑制されると共に、さらに、シール部の防水効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】NOxセンサを備えるガス検出装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】NOxセンサにおける回路部の構成を示す上面図や側面図等である。
【図3】NOxセンサにおける接続用ケーブル部等の構成を示す断面図である。
【図4】変形例における回路部の断面図である。
【図5】特許文献1に記載のNOxセンサにおける回路部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0014】
[全体構成]
図1は、本発明が適用されたNOxセンサ2を備えるガス検出装置1の概略構成を示す構成図である。
【0015】
図1に示すように、ガス検出装置1は、車両の内燃機関やボイラ等の各種燃焼機器の排気経路内に設けられて排気ガス中の特定ガス成分濃度としての窒素酸化物(NOx)濃度を検出するNOxセンサ2と、このNOxセンサ2を制御するセンサ制御装置3とを備えている。
【0016】
NOxセンサ2は、NOx濃度に応じた濃度信号をセンサ制御装置3に出力するセンサ素子60と、このセンサ素子60に第1リード線40を介して接続されたコネクタ30を有する接続用ケーブル部4と、接続用ケーブル部4に取り付けられるコネクタブーツ50とを備えている。
【0017】
コネクタ30は、センサ制御装置3に接続されたリード線の一端に設けられたコネクタ5に対して着脱可能な構成をなし、コネクタ30がコネクタ5に嵌合して取り付けられることにより、NOxセンサ2とセンサ制御装置3とが電気的に接続される。
【0018】
また、接続用ケーブル部4は、コネクタ30に第2リード線20を介して接続されてセンサ制御装置3に対して入出力を行う回路部10を有する。回路部10は、NOxセンサ2(センサ素子60)毎の個体間のばらつきを補正するために予め設定された個体情報を記憶しており、センサ制御装置3からの要求信号に応じて、センサ制御装置3に個体情報を出力するように構成されている。なお、第1リード線40や、第2リード線20や、コネクタ5とセンサ制御装置3とをつなぐリード線は複数本存在するが、図1ではガス検出装置1の構成の理解を容易にするために1本で表示している。
【0019】
なお、本実施形態のガス検出装置1と、特許文献1における「発明を実施するための形態」に記載のガス検出装置とは、回路部10の構成が異なっているが、他の部位は同様の構成を有している。このため、以下の説明では、回路部10を中心に説明し、他の部位については概略のみを説明する。
【0020】
センサ素子60は、第1酸素ポンプセル,酸素分圧検知セル,第2酸素ポンプセル,第1測定室,第2測定室,酸素基準室等を有するセンサ本体部や、センサ本体部を加熱するヒータを備えた公知の構成からなる。なお、第1酸素ポンプセル、酸素分圧検知セル、第2酸素ポンプセルは、それぞれ酸素イオン伝導性の固体電解質層に一対の電極を設けた構成からなる。
【0021】
一方、センサ制御装置3は、第1酸素ポンプセル,酸素分圧検知セル,第2酸素ポンプセルを駆動するセンサ駆動部と、ヒータを駆動するヒータ駆動部と、センサ駆動部及びヒータ駆動部を制御する制御部とを備えている。
【0022】
センサ制御装置3の制御部は、ヒータ駆動部を介してヒータの温度制御を行うと共に、センサ駆動部を制御する。そして、検出対象ガス中の酸素濃度を示す濃度信号として、第1酸素ポンプセルを流れる第1ポンプ電流Ip1を得ると共に、検出対象ガス中のNOx濃度を示す濃度信号として、第2酸素ポンプセルを流れる第2ポンプ電流Ip2を得る。具体的には、センサ制御装置3はセンサ駆動部を制御することで、第1測定室に導入された排気ガスの酸素濃度に応じて酸素分圧検知セルにて生じる起電力が所定の電圧値(例えば、425mV)になるように、第1酸素ポンプセルに流す第1ポンプ電流Ip1を制御し、第1酸素ポンプセルによる酸素ポンピング動作によって第1測定室中の酸素濃度を調整する。このとき、センサ駆動部は第1ポンプ電流Ip1を検出する。また、第1測定室にて酸素濃度が調整されたガス(調整ガス)は、第2測定室に流入される。そして、第2測定室に一方の電極を配置し、他方の電極を第2測定室外に配置した第2酸素ポンプセルに対し一定の電圧(例えば、450mV)を印加することで、調整ガス中に含まれるNOxが解離されることになる。そして、センサ駆動部は、第2酸素ポンプセルによりNOxの解離によって生じた酸素を第2測定室の外部に汲み出す際に、一対の電極間に流れる第2ポンプ電流Ip2を検出する。
【0023】
そして、センサ制御装置3の制御部は、第1ポンプ電流Ip1に基づき排気ガス中の酸素濃度を検出し、また、第2ポンプ電流Ip2に基づきNOx濃度を検出する濃度検出処理を実行するが、このとき、NOxセンサ2の回路部10から取得したセンサ素子60の個体情報により、濃度信号の補正を行う。この個体情報としては、第1ポンプ電流Ip1と酸素濃度との関係を表す特性を設定するための情報(O2ゲインとO2オフセット)や、第2ポンプ電流Ip2とNOx濃度との関係を表す特性を設定するための情報(NOxゲインとNOxオフセット)等が考えられる。また、制御部は、検出した酸素濃度やNOx濃度を、図示しない外部装置(例えば、エンジンECU)に送出する。
【0024】
[回路部の構成]
次に、回路部10について説明する。図2の(a)は回路部10の上面図であり、(b),(c)は回路部10の側面図であり、(d)は回路部10のA−A´断面図である。
【0025】
なお、本実施形態のガス検出装置1における回路部10と、特許文献1における「発明を実施するための形態」に記載のガス検出装置における回路部とは、シール部15の構成と出力基台11の構成が異なっており、他の部位は同様の構成を有している。このため、以下では、この相違点を中心に説明する。
【0026】
図2に示すように、回路部10は、NOxセンサ2についての個体情報を記憶する記憶媒体17と、記憶媒体17が実装される板状の配線基板16と、第2リード線20に接続され、記憶媒体17から個体情報を出力するための柱状の端子部21が貫通して配置された設置面12aを有する出力基台11と、配線基板16を水密に覆うシール部15とを備えている。
【0027】
また、出力基台11は、ナイロン系樹脂(例えば、PA66ナイロン)を材料として形成され、第2リード線20を収容するためのケース部14と、ケース部14に繋がる台座部12を備える。なお、台座部12の内側には、ケース部14の内部に連通する空洞領域が形成されており、この空洞領域において、端子部21が第2リード線20に接続されている。また、ケース部14には、出力基台11とコネクタ30とを連結するための長板状(金属製)のブラケット(詳細は後述する)を取り付けるためのブラケット取付面14aが形成されている。
【0028】
台座部12は、その頂部が上述の設置面12aとして形成されていると共に、該設置面12a(設置面12aの外周縁)に繋がる第1の側周面12cと、ケース部14に繋がる第2の側周面12dと、設置面12aの反対側に向き、当該台座部12の側周面を取り囲む壁面として構成された壁部13を有している。壁部13は、第1の側周面12cと第2の側周面12dとの間の段差をなしており、第1の側周面12cは、第2の側周面12dに対して外側に突出するように配される。
【0029】
また、配線基板16は、当該配線基板16を厚み方向に貫通して形成された貫通孔16aを有し、この貫通孔16aに端子部21が挿入された上で、記憶媒体17が実装された面に対向する面が、台座部12の設置面12aに突設された突設部12bに当接して支持される。配線基板16における記憶媒体17が実装された面には、貫通孔16aの周縁に記憶媒体17に電気的に接続される接続部が設けられており、接続部は、端子部21に接合(例えば、ハンダ付け)される。
【0030】
このようにして、突設部12bに配線基板16が支持されることで、出力基台11の設置面12aと配線基板16との間に、突設部12bの高さの分の隙間が形成される。
一方、シール部15は、熱可塑性樹脂により形成され、このシール部15は、配線基板16の周囲を覆い、さらに、台座部12の第1の側周面12cと壁部13とを覆うと共に、壁部13に沿って第2の側周面12dを取り囲むように覆った状態で配されている。
【0031】
シール部15を形成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、本実施形態では、出力基台11(台座部12)を形成するナイロン系樹脂よりも熱膨張率の高いホットメルト樹脂(例えば、ヘンケルジャパン(株)製のマクロメルト(登録商標))を用いた。
【0032】
また、シール部15の形成に際して、最初に熱可塑性樹脂により配線基板16周辺のみを覆う封止部を形成し、次に、該封止部や台座部12等を覆うように熱可塑性樹脂を充填させることで、シール部15を形成しても良い。こうすることにより、配線基板16を安定させることや、シール部15の内部に気泡が生じることを防ぐことができる。
【0033】
[接続用ケーブル部の構成]
次に、コネクタブーツ50の内部に配された接続用ケーブル部4について説明する。図3は、コネクタブーツ50を接続用ケーブル部4に取り付ける方法を示すと共に、接続用ケーブル部4をコネクタ30の上方側から見た図であり、接続用ケーブル部4のうちコネクタブーツ50及び回路部10を断面で示している。
【0034】
なお、図3では、第1リード線40が2本しか図示されていないが、実際には、センサ素子60の構成に応じて必要な数(本実施形態では6本)の第1リード線40がコネクタ30に接続されている。
【0035】
図3に示すように、接続用ケーブル部4は、上述のコネクタ30及び回路部10に加えて、回路部10を構成する出力基台11とコネクタ30とを連結するための長板状(金属製)のブラケット70を備えている。
【0036】
また、コネクタ30には、センサ制御装置3に接続されたコネクタ5が嵌合される嵌合面32と、第1リード線40,第2リード線20が挿入される挿入孔が設けられた挿入面31と、ブラケット70を取り付けるためのブラケット取付面とが形成されている。
【0037】
そして、ケース部14から引き出された第2リード線20は、ケース部14内に配設された方向と逆向きに折り曲げられ、挿入面31の挿入孔に挿入されることによって、コネクタ30(詳細には、コネクタ30内に収容される端子)と電気的に接続される。
【0038】
一方、出力基台11においては、ブラケット70を取り付けるための略矩形状のブラケット取付面14aがケース部14の下方側に形成されている。また、出力基台11は、このブラケット取付面14aにおいてブラケット70を保持するための保持部を備えている。
【0039】
また、接続用ケーブル部4は、第1,第2リード線40,20と、コネクタ30との接続箇所付近を保護するためのコネクタブーツ50に挿入される。
コネクタブーツ50は、ゴム製の筒状をなした弾性部材であり、第1,第2リード線40,20のうちコネクタ30に接続される側の端部を包囲する開口部51と、回路部10及び第2リード線20を収容する収容部52とを備えている。なお、収容部52は、コネクタ30に接続された第1リード線40の一部も収容する。
【0040】
さらに、コネクタブーツ50は、収容部52から第1リード線40を引き出す開口部である引出部53を備えている。なお、引出部53から外部に引き出された第1リード線40は、引出部53に嵌合される被覆部材(図示せず)により被覆される。
【0041】
つまり、コネクタブーツ50では、収容部52に回路部10や第1,第2リード線40,20が収容されることにより、これらに塵や埃が付着することを防止すると共にこれらに水滴が付着するのを軽減し、開口部51が第1,第2リード線40,20を包囲することにより、コネクタ30の挿入面31付近におけるリード線の屈曲を防止している。
【0042】
[効果]
本実施形態のガス検出装置1のNOxセンサ2の回路部10では、出力基台11の頂部をなす設置面12a上に配線基板16が配されると共に、側周面には、ケース部14が配置された側に対向する壁部13が形成されている。そして、シール部15は、配線基板16の周囲と、設置面12aと壁部13に繋がる第1の側周面12cと、壁部13を覆った状態で配されている。
【0043】
このような構成によれば、周囲の温度変化に起因してシール部15の収縮が生じた際には、シール部15における壁部13の周辺に位置する部分が頂部(設置面12a)の方向に向かって収縮(詳細には、シール部15は、配線基板16の周囲を覆う比較的容積が大きい領域が比較的収縮が進むため、シール部15のうち壁部13の周囲に位置する部分がそれに追従して設置面12aの方向に向かって収縮)し、壁部13とシール部15との間の密着力が向上する。このため、シール部15の出力基台11からの剥離が抑制されると共に、さらに、シール部15の防水効果を高めることができる。
【0044】
[他の実施形態]
(1)本実施形態のガス検出装置1の回路部10は、出力基台11の側周面に壁部13が形成されており、シール部15は、配線基板16の周囲と壁部13を覆った状態で配されている。
【0045】
しかしながら、図4(a)に記載の回路部10の断面図が示すように、台座部12の第1の側周面12cに台座部12を取り囲む環状の鍔部18を形成しても良い。そして、配線基板16の周囲と鍔部18を覆うと共に、鍔部18のうちで設置面12aと反対側に向く壁面18aに沿って第1の側周面12cを取り囲んだ状態で、シール部15を配しても良い。
【0046】
このような場合であっても、鍔部18の壁面18aにシール部15が当接しているため、周囲の温度変化に起因してシール部15の収縮が生じた場合に、壁面18aとシール部15との間の密着力が向上する。このため、シール部15の出力基台11からの剥離が抑制され、さらに、シール部15の防水効果を高めることができる。
【0047】
(2)また、図4(b)に記載の回路部10の断面図が示すように、台座部12の第1の側周面12cに台座部12を取り囲む溝部19を形成しても良い。なお、溝部19のうちで設置面12aと反対側に向く壁面を第一壁面19a、設置面12aと同じ方向を向く壁面を第二壁面19bとする。そして、配線基板16の周囲と、第一壁面19aと、溝部19と設置面12aの間に位置する第1の側周面12cを覆うと共に、第一壁面19aに沿って溝部19の底面を取り囲むように覆い、第二壁面19bには当接しない状態で、シール部15を配しても良い。
【0048】
このような場合であっても、溝部19の第一壁面19aにシール部15が当接しているため、シール部15の収縮が生じた場合に、第一壁面19aとシール部15との間の密着力が向上し、シール部15の出力基台11からの剥離が抑制され、さらに、シール部15の防水効果を高めることができる。また、シール部15は第二壁面19bに当接していないため、シール部15に収縮方向の反対方向に働く密着力が生じず、第一壁面19aとシール部15との間の密着力を十分に向上させることができる。
【0049】
(3)本実施形態では、NOx濃度を検出するガス検出装置1を例に挙げて説明を行ったが、これに限定されること無く、本実施形態の回路部10の構成は、センサ素子の個体情報による補正を行うことで、検出対象ガス中の特定のガスの有無や濃度を検出するガス検出装置に適用することができる。また、検出対象ガス中の煤の濃度を検出する煤センサが知られており、このような煤センサにおいても、センサ素子の個体情報に基づく補正を行うことが考えられるが、本実施形態の回路部10の構成は、このような煤センサに適用することもできる。
【0050】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。出力基台11における壁部13,鍔部18の壁面18a,溝部19の第一壁面19aが、剥離抑制部に相当する。
【符号の説明】
【0051】
1…ガス検出装置、2…NOxセンサ、3…センサ制御装置、4…接続用ケーブル部、5…コネクタ、10…回路部、11…出力基台、12…台座部、12a…設置面、12b…突設部、12c…第1の側周面、12d…第2の側周面、13…壁部、14…ケース部、14a…ブラケット取付面、15…シール部、16…配線基板、16a…貫通孔、17…記憶媒体、18…鍔部、19…溝部、20…第2リード線、21…端子部、30…コネクタ、31…挿入面、32…嵌合面、40…第1リード線、50…コネクタブーツ、51…開口部、52…収容部、53…引出部、60…センサ素子、70…ブラケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象ガス中の特定成分を検出するセンサ素子と、
前記センサ素子に関する個体情報が記憶されている記憶媒体が実装されている配線基板と、
自身の頂部をなす設置面上に前記配線基板が配置されていると共に、前記設置面に連なる側周面に、前記設置面の反対側に向く状態で該側周面を取り囲む壁面を有する剥離抑制部が形成された出力基台と、
前記配線基板の周囲を取り囲むようにして前記出力基台の前記頂部を覆うと共に、前記剥離抑制部の前記壁面に当接した状態で前記側周面を取り囲むように覆い、前記配線基板を水密に保つシール部と、
を備えることを特徴とするセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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