説明

センタタップ終端部品、センタタップ終端部品を用いたプリント配線板、及びプリント配線板を内部に有する電子機器

【課題】 差動信号伝送配線に配置されるセンタタップ終端部品を、簡単で安価な構成とすることで、差動信号配線による不要輻射ノイズの抑制効果を維持したまま、実装コストを低減し、高密度実装を実現し、基板設計の自由度を向上させる。
【解決手段】 センタタップ終端部品を、差動信号伝送配線の差動インピーダンスにマッチングした抵抗値の約半分の抵抗値をもつ2個の抵抗と、該2個の抵抗に電気的に接続された少なくとも1つのコンデンサとを1パッケージ部品、1チップ部品、1IC部品等からなる1部品として形成し、上記抵抗は、その一端が上記差動信号伝送配線にそれぞれ電気的に接続され、多端が上記コンデンサの一端に電気的に接続され、上記コンデンサの他端はプリント配線板のグランドへ接地されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高速電気信号をプリント配線、ケーブルなどの伝送線路を介して差動信号を伝送する差動信号伝送回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、高速信号をプリント配線板やケーブルで伝送する場合、不要輻射ノイズを抑制するために、低電圧差動信号(Low Voltage Differential Signal:LVDS)伝送技術が利用されている。差動信号の流れる2本の伝送線路間には逆相のディファレンシャル電流だけが流れるように差動信号送信ICは設計されている。しかし、非常に短いタイミングにおいて差動信号線上に流れる電流に対して、正確な逆相状態を実現する事は困難である。LVDSの場合、H論理→L論理に遷移する瞬間とL論理→H論理に遷移する瞬間のどちらにおいても、2本の差動信号線の一方はHからLへ、もう一方はLからHへ遷移する。つまり、瞬間的に2本の信号線は立ち上がりと立ち下がりがちょうど重なることになる。LVDSに限らず、信号出力のtr/tf特性は完全に一致させるのが原理的に困難であるために、瞬間的に差動信号線間に僅かな同相のコモンモード電流が流れる。また、プリント配線やケーブル等における、差動信号伝送回路の差動インピーダンスのアンマッチング、差動信号伝送線間のスキューなどによってもコモンモード電流の発生要因となる。これらの2本の差動信号配線に同相で流れるコモンモード電流成分は、LVDS伝送系から不要電磁波が輻射される主な原因となっていた。
【0003】差動信号伝送回路の不要輻射ノイズの抑制には、このコモンモード電流を抑制することが必要である。しかしながら、通常使用されている差動信号受信ICの直前に差動信号伝送回路の差動インピーダンスにマッチングした値の抵抗を、2本の差動信号配線間に直列に配置する終端方法では、プリント配線板のグランドパターンに対して積極的に結合がされていないため、コモンモード電流を抑制する事ができない。そこで、「トランジスタ技術」1997年7月号特集p.280 に記載されているように、センタタップ終端と呼ばれる、複数のセンタタップ終端部品を実装する終端方法を用いる事で不要輻射ノイズ問題を解決することが知られている。
【0004】図7(a)(b)(c)は従来のセンタタップ終端方法で、受信側プリント配線板が片面プリント配線板である場合の差動信号伝送の構成図である。図中51a、51bは不図示の送信側IC等に接続された差動信号配線である。52、53は差動信号配線51a、51bに設けられたランドパターン52a、53aとランドパターン52b、53bにそれぞれ両端が実装されるチップ抵抗である。ランドパターン52b、53bからお互いが並列に配線されるように配置されたランドパターン54aと、プリント配線板のグランドパターンに接続されるランドパターン54bにチップコンデンサ54の両端が実装される。
【0005】差動信号配線51a、51bは、チップ抵抗52、53への接点となるランドパターン52a、53aを経て、受信側IC55がはんだ等により実装されているランドパターン55a、55bに接続されている。
【0006】図7(a)はランドパターン52b、53b、54aが2本の差動信号配線の間に設けられており、ランドパターン52b、53bは並列に配置されている。ランドパターン54bは2本の差動信号配線の外側に設けられている。図7(b)は図7(a)と同様にランドパターン52b、53b、54bが2本の差動信号配線の間に設けられており、ランドパターン52b、53b、54bはすべて並列に配置されている。ランドパターン54aは2本の差動信号配線の外側に設けられている。図7(c)はランドパターン52b、53b、54a、54bはすべて2本の差動信号配線の外側に設けられている。
【0007】上記のセンタタップ終端部品は、差動信号伝送線路の差動インピーダンスにマッチングした抵抗値の約半分の抵抗値をもつ2個のチップ抵抗52、53を、差動信号受信ICの近傍で2本の差動信号配線に対しそれぞれ直列に接続し、チップ抵抗52、53の間にバイパスコンデンサ54でプリント配線板のグランドパターンへ接地する構成をとっている。そのため、プリント配線板のグランドパターンに対して積極的に結合がなされ、コモンモード電流を抑制する事ができた。
【0008】また、差動信号受信用IC55は、2本の差動信号配線間に直列に挿入された終端抵抗に流れるディファレンシャル電流成分を、抵抗にかかる電位差として受信するだけなので、バイパスコンデンサ54を通じてプリント配線板のグランドに流れるコモンモード電流成分は差動信号受信用ICでの受信波形に影響を及ぼすことはない。
【0009】また、プリント配線板のグランドパターンに対して積極的に結合がなされたセンタタップ終端部品は、コモンモード電流成分に対するリターン電流を形成し易く、磁界の打ち消し効果によって差動信号伝送路からの不要輻射ノイズが抑制できるという効果がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記に示した従来技術は、センタタップ終端には抵抗2個とコンデンサ1個と計3個の部品を基板に実装する必要がある。そのため、少なくとも6箇所をはんだ等により実装しなければならず、実装にかかるコストが高くなってしまうという問題点があった。またプリント基板に少なくとも6個のランドパターンを形成する必要があり、プリント基板の面積利用率が高く、高密度実装を行う上では問題となっている。また、基板設計を行う際に、各ランドパターンの位置や配線の位置を充分に検討する必要があり、基板設計の自由度が著しく損なわれると言う問題点があった。
【0011】また、多くの場合片面プリント配線板上で2本の差動信号線の間にグランドパターンを設けるのは難しく、チップコンデンサ54のグランド端子を2本の差動信号配線の外側でグランドパターンと接続している。そのため、各ランドパターンの配置によっては、差動信号配線が非等長配線になってしまったり、対称性の崩れた配線になったりしてしまう。差動信号配線が非等長配線や対称性の崩れた配線になってしまうと、差動信号配線による不要輻射ノイズの抑制効果が低下してしまうという問題点があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明においては、差動信号伝送配線に配置されるセンタタップ終端部品において、差動インピーダンスにマッチングした抵抗値の約半分の抵抗値をもつ2個の抵抗と、該2個の抵抗に電気的に接続された少なくとも1つのコンデンサとが1部品として形成されたセンタタップ終端部品を提案している。
【0013】また、本発明においては、差動信号伝送配線に配置されるセンタタップ終端部品において、差動インピーダンスにマッチングした抵抗値の約半分の抵抗値をもつ2個の抵抗と、該抵抗に接続された少なくとも1つのコンデンサとを1部品として形成し、上記抵抗の一端が上記差動信号伝送配線にそれぞれ電気的に接続され、多端が上記コンデンサの一端に電気的に接続され、上記コンデンサの他端はプリント配線板のグランドへ接地されているセンタタップ終端部品を提案している。
【0014】また、本発明においては、上記コンデンサはチップコンデンサであり、上記抵抗はチップ抵抗であり、上記コンデンサは、並列して配置された上記抵抗の上に積層されて配置され、上記コンデンサと上記抵抗は第1の導電部材により電気的に接続され、上記コンデンサとプリント配線板のグランドは第2の導電部材により電気的に接続されており、上記コンデンサと上記抵抗が1つのパッケージ部品として形成したセンタタップ終端部品を提案している。
【0015】また、本発明においては、上記コンデンサと上記抵抗が1つのチップ部品として形成されているセンタタップ終端部品を提案している。
【0016】また、本発明においては、上記コンデンサと上記抵抗が1つのIC部品として形成されているセンタタップ終端部品を提案している。
【0017】また、本発明においては、上記センタタップ終端部品を用いたプリント配線板及び、そのプリント配線板を内部に有する電子機器を提案している。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0019】(第1の実施形態)図1は本発明の差動信号伝送方式におけるセンタタップ終端部品の第1の実施形態を示したものである。図中13は信号送信側プリント配線板で、14は信号受信側プリント配線板である。信号送信側プリント配線板13には、LVDS送信用IC11の出力ピンが、ランドパターン11a、11bにおいてはんだ等により実装されており、信号受信側プリント配線板14には、LVDS受信用IC12の出力ピンが、ランド12a、12bにおいてはんだ等により実装されている。
【0020】19は信号送信側プリント配線板13と外部のケーブルとを接続するコネクタであり、20は信号受信側プリント配線板13と外部のケーブルとを接続するコネクタである。ランド11a、11bとコネクタ19とは、差動信号配線16a、16bにより配線されており、ランド12a、12bとコネクタ20は差動信号配線17a、17bにより配線されている。コネクタ19とコネクタ20は差動信号ケーブル15a、15bにより接続されている。
【0021】18は本発明の特徴となるセンタタップ終端部品であり、受信側プリント配線板14上の差動信号受信用IC12の近傍に配置され、差動信号配線17a、17bに設けられたランドパターン18a、18b及びグランドとなるランドパターン18c、18dにおいて実装されている。センタタップ終端部品18は差動信号配線16a、16b、差動信号ケーブル15a、15b、差動信号配線17a、17bに流れるコモンモード電流を抑制している。
【0022】図2はセンタタップ終端部品18の構成詳細図である。センタタップ終端部品18は2個のチップ抵抗と1個のチップコンデンサを内包した3端子回路を内部に形成する1つのパッケージで形成されている。センタタップ終端部品18の底面には、差動信号線17a、17bにコンタクトするためのランドパターン18a、18bに実装される電極21a、21bと、プリント配線板のグランドにコンタクトするランドパターン18c、18dに実装される電極21c、21dとが設けられている。センタタップ終端部品18の内部には、2つのチップ抵抗22、23が並列に配置され、それらの上に積層されて1つのチップコンデンサ24が配置されている。チップ抵抗22,23の一端22a、23aは電極21a、21bに接続されており、チップ抵抗22,23の他端はともに導電性部材25に接続されている。導電性部材25はチップコンデンサ24の一端24bにも接続されている。チップコンデンサの他端24aは導電部材26と接続されている。導電部材26は2股に分かれており、電極21c、21dに接続されグランドに接地されている。導電部材25、26はアルミニウム等の導電性の金属であればかまわないが、薄型、軽量である事が望まれる。
【0023】なお、これらの構成部材がお互いに非意図的に電気的コンタクトする事を避けるため、センタタップ終端部品18の内部は樹脂等の非導電性材料によって埋め尽くされている。
【0024】また、差動信号線の配線パターン17a、17bの差動インピーダンスを一定に保つために、センタタップ終端部品18の実装部分で差動信号線の配線パターンの間隔が広がることは望ましくない。パターンが広がらないようにするためには、センタタップ終端部品18の電極21a、21bの間隔は差動信号線の配線パターン17a、17bの間隔にほぼ位置したサイズであることが望まれる。
【0025】チップ抵抗22、23の抵抗値に関しては、プリント配線板上の差動信号線の差動インピーダンスとマッチングした値になるようにその都度選択する事が必要である。例えばプリント配線板上の差動信号線の差動インピーダンスが100Ωであったら、チップ抵抗22、23はその半分の値である50Ωに近い値であれば良い。また差動インピーダンスが150Ωであれば、その半分である75Ωに近い値であれば良い。チップコンデンサ54の容量値に関しては、100pF以上1μF以下であれば問題ない。
【0026】以上のようにセンタタップ終端部品18を1つのパッケージにより構成する事により部品点数を減らす事ができ、実装コストを大幅に削減する事ができる。またランドターンを4箇所にする事ができるため、プリント基板の面積利用率が低くなり高密度実装に有利となる。また、基板設計の自由度も増す。また2本差動信号配線は等長であり、かつ対称に形成する事ができるため、差動信号配線による放射ノイズの抑制効果も充分に発揮できる。
【0027】(第2の実施形態)次に図3(a)(b)を参照して、本発明における第2の実施形態のセンタタップ終端部品に関する説明をする。図3(a)はセンタタップ終端部品を1つのチップ部品として構成した場合の構成図である。図3(b)は図3(a)に示したセンタタップ終端部品の内部の回路構成を示した図である。
【0028】図3(a)において図1と共通の部分は同じ番号を付し、その説明は省略する。31はセンタタップ終端部品で、差動信号配線17a、17bに接続されたランド31a、31b及び、差動信号配線17a、17bの間に設けられたグランド用ランド31cにおいてはんだ等により実装されている。
【0029】尚、片面プリント配線板でなく多層プリント配線板の場合には、中心に位置するグランド端子からビアを切り返し、その他の層のグランドへ接続することも可能である。
【0030】図3(b)はセンタタップ終端部品31の内部の回路構成を示した図である。センタタップ終端部品31は2つの抵抗と1つコンデンサを有しそれらを1つのチップ部品として形成されている。第1の実施形態と同様に2つの抵抗はそれぞれランド31a、31bと接続されており、コンデンサはグランド用ランド31cと接続されている。
【0031】本実施の形態は、片面プリント配線板で差動信号線の配線パターン間にグランドパターンを形成できる場合に有効で、実装するランドパターンを3箇所にする事ができるので、上記第1の実施の形態に比べて更にプリント基板の面積利用率が低くなり高密度実装に有利となる。また、基板設計の自由度も増す。また2本差動信号配線は等長であり、かつ対称に形成する事ができるため、差動信号配線による不要輻射ノイズがの抑制効果も充分に発揮できる。
【0032】(第3の実施形態)次に図4(a)(b)を参照して、本発明における第3の実施形態のセンタタップ終端部品に関する説明をする。図4(a)はセンタタップ終端部品を1つのICにより構成した場合の差動信号伝送の構成図である。図4(b)は図4(a)に示したセンタタップ終端部品の内部の回路構成を示した図である。
【0033】図4(a)において図1と共通の部分は同じ番号を付し、その説明は省略する。32はセンタタップ終端部品で、差動信号配線17a、17bに接続されたランド32a、32b及び、差動信号配線17a、17bの外部に設けられたグランド用ランド32cにおいてはんだ等で実装されている。
【0034】図4(b)はセンタタップ終端部品32の内部の回路構成を示した図である。センタタップ終端部品32は2つの抵抗と1つコンデンサを有しそれらにより1つのIC部品として形成されている。第1の実施形態と同様に2つの抵抗はそれぞれランド32a、32bと接続されており、コンデンサはグランド用ランド32cと接続されている。
【0035】本実施の形態は、特にグランド端子を差動信号線の外側に持ってくることが容易であり、片面プリント配線板で差動信号線間にグランドパターンを形成できない場合に使用する事が可能である。実装するランドを3箇所にする事ができるので、上記第1の実施の形態に比べて更にプリント基板の面積利用率が低くなり高密度実装に有利となる。また、基板設計の自由度も増す。また2本差動信号配線は等長であり、かつ対称に形成する事ができるため、差動信号配線による放射ノイズの抑制効果も充分に発揮できる。
【0036】(第4の実施形態)次に図5(a)(b)を参照して、本発明における第4の実施形態のセンタタップ終端部品に関する説明をする。図5(a)は第3の実施形態と同様に、センタタップ終端部品を1つのICにより構成した場合の差動信号伝送の構成図である。図5(b)は図5(a)に示したセンタタップ終端部品の内部の回路構成を示した図である。
【0037】図5(a)において図1と共通の部分は同じ番号を付し、その説明は省略する。33はセンタタップ終端部品で、差動信号配線17a、17bに接続されたランド33a、33b、差動信号配線17a、17bの外部に設けられたグランド用ランド33c、33d、33e、33fにおいてはんだ等で実装されている。
【0038】図5(b)はセンタタップ終端部品33の内部の回路構成を示した図である。センタタップ終端部品33は2つの抵抗と4つコンデンサを有しそれらにより1つのIC部品として形成されている。2つの抵抗はそれぞれランド33a、33bと接続されており、4つのコンデンサはグランド用ランド33c、33、33e、33fに接続されている。
【0039】本実施の形態は、特にグランド端子を差動信号線の外側に持ってくることが容易であり、片面プリント配線板で差動信号線間にグランドパターンを形成できない場合に使用する事が可能である。
【0040】尚、本実施形態においては、6ピンのICを使用したが、同様に8ピン、またより多ピン数のセンタタップ終端部品を構成することが可能である。センタタップ終端部品を多ピン数で構成した場合においては、内部回路もセンタタップ終端回路を複数形成し、複数の差動信号伝送回路に対する終端回路アレイ部品を構成することが可能である。
【0041】また本実施形態は、センタタップ終端部品33のグランドピンをランドパターン33c、33d、33e、33fの4点で実装しており、コンデンサからプリント配線板のグランドパターンへの結合を、低インダクタンスでより強めることができる。そのため、センタタップ終端部品33のプリント配線板のグランドパターンに対して結合が弱いと差動信号伝送路からの不要電磁波の輻射が生じ易いが、コモンモード電流成分に対するプリント配線板のグランドパターンとの結合を強めた本実施形態では、コモンモード電流成分に対するリターン電流を形成し易く、磁界の打ち消し効果によって差動信号伝送路からの不要電磁波の輻射を抑制する事ができる。さらに、第3の実施例よりも半田実装による確実な固定が容易であるという利点を持っている。
【0042】(第5の実施形態)図6は第1乃至第4の実施形態のセンタタップ終端部品のいずれかを用いた、プリント配線板及びケーブルを内蔵したに電子機器の例であり、ここでは特にデジタル複写機の例をあげる。デジタル複写機から輻射される不要電磁波の大きな一因として、画像信号の伝送にまつわる不要電磁波の輻射が挙げられる。これを抑制するために画像信号をLVDSで伝送する技術が広く使用されている。
【0043】図中41はデジタル複写機を示す。42は紙等に記載された情報をレーザー等で読み取る光学読取装置である。光学読取装置42の内部には、読み取った画像信号を蓄えるプリント配線板43が設けられており、プリント配線板43から画像信号がケーブル44を通じて画像信号が、LVDSで画像処理基板45に伝送される。この伝送系において、上記した第1乃至第4の実施形態のセンタタップ終端部品が、プリント配線板43に実装されている。
【0044】尚、上記実施形態はデジタル複写機に関して記載しているが、本実施の形態はそれに特定されるものではなく、プリンタやFAX等の電子機器であれば広く適用可能である。
【0045】第1乃至第4の実施形態のセンタタップ終端部品をデジタル複写機に使用することで、不要電磁波の輻射を抑制すると同時に、センタタップ終端部品点数の削減する事ができ実装コストを低減させる事ができる。また、プリント配線板の面積利用率を向上させ、高密度実装が可能になるためデジタル複写機の小型化に寄与する事が、電気設計自由度の向上、等の理由からデジタル複写機のトータルコストを低く抑えることが可能になる。
【0046】また、本発明の構成は上述した図1、図2、図3、図4、図5、図6の実施形態に限定されるものではなく、センタタップ終端部品を1つの部品として実装できるものであればどのような構成でもかまわない。また、上記実施形態においては片面プリント配線板で構成された差動信号伝送においてセンタタップ終端部品を用いる方法について述べたが、必要に応じて両面プリント配線板、多層プリント配線板に適応することが可能である。
【0047】
【発明の効果】以上に示したように、本発明の差動信号伝送の終端方法によれば、差動信号送信IC出力波形に元来存在するコモンモード電流に対して、センタタップ終端部品17において実現される終端抵抗の中点からコンデンサでプリント配線板のグランドと接続することによって、コモンモード電流に対するリターン電流を増加させる効果をもち、強いてはリターン電流との磁界の打ち消し効果によって不要輻射ノイズを抑制することが可能になる。
【0048】また、2個の抵抗と1個のコンデンサとを1チップに集積したセンタタップ終端部品を用いることで、センタタップ終端の部品点数の減らすことができるため、実装にかかるコストを大幅に削減する事ができる。また、部品の実装に必要なランドパターンの数を減らす事ができるため、プリント基板の面積利用率が低くなり高密度実装に有利となる。また基板設計の自由度を著しく向上させる事ができる。
【0049】また、差動信号伝送路にコモンモード電流が発生する要因である非対称な非等長配線を排除した、理想的な直線による配線パターンが実現できるので、コモンモード電流を減少することが可能になり、従って不要輻射ノイズを低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に関わるのセンタタップ終端部品を用いた差動信号伝送方式。
【図2】第1の実施形態に関わるのセンタタップ終端部品の構成詳細図。
【図3】第2の実施形態に関わるのセンタタップ終端部品を用いた差動信号伝送方式。
【図4】第3の実施形態に関わるのセンタタップ終端部品を用いた差動信号伝送方式。
【図5】第4の実施形態に関わるのセンタタップ終端部品を用いた差動信号伝送方式。
【図6】センタタップ終端部品を用いたデジタル複写機。
【図7】従来のセンタタップ終端終端部品を用いた差動信号伝送方式。
【符号の説明】
11 LVDS送信用IC
11a、11b LVDS送信用ICを実装するランドパターン
12 LVDS受信用IC
12a、12b LVDS受信用ICを実装するランドパターン
13 信号送信側プリント配線板
14 信号受信側プリント配線板
15a、15b 差動信号のケーブル
16a、16b 送信側プリント配線板上の差動信号の配線パターン
17a、17b 受信側プリント配線板上の差動信号の配線パターン
18 センタタップ終端抵抗部品
19 送信側プリント配線板のコネクタ
20 受信側プリント配線板のコネクタ
21a、21b 差動信号線コンタクト用電極
24c、24d プリント配線板グランドコンタクト用電極
22、23 チップ抵抗
24 チップコンデンサ
2526 導電性部材
51 チップ部品からなるセンタタップ終端部品
51a、51b LVDS受信用ICを実装するランドパターン
52、53 チップ抵抗
54 チップコンデンサ
55 LVDS受信用IC
55a、55b LVDS受信用ICを実装するランドパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 差動信号伝送配線に配置されるセンタタップ終端部品において、差動インピーダンスにマッチングした抵抗値の約半分の抵抗値をもつ2個の抵抗と、該2個の抵抗に電気的に接続された少なくとも1つのコンデンサとが1部品として形成されている事を特徴とするセンタタップ終端部品。
【請求項2】 前記抵抗は、その一端が前記差動信号伝送配線にそれぞれ電気的に接続され、他端が上記コンデンサの一端に電気的に接続され、上記コンデンサの他端はプリント配線板のグランドへ接地されている事を特徴とする請求項第1項記載のセンタタップ終端部品。
【請求項3】 前記コンデンサはチップコンデンサであり、前記抵抗はチップ抵抗であり、前記コンデンサは、並列して配置された前記抵抗の上に積層されて配置され、前記コンデンサと前記抵抗は第1の導電部材により電気的に接続され、前記コンデンサとプリント配線板のグランドは第2の導電部材により電気的に接続されており、前記コンデンサと前記抵抗が1つのパッケージ部品として形成されている事を特徴とする請求項第2項記載のセンタタップ終端部品。
【請求項4】 前記コンデンサと前記抵抗が1つのチップ部品として形成されている事を特徴とする請求項第2項記載のセンタタップ終端部品。
【請求項5】 前記コンデンサと前記抵抗が1つのIC部品として形成されている事を特徴とする請求項第2項記載のセンタタップ終端部品。
【請求項6】 請求項第1項乃至第5項のいずれか一項に記載のセンタタップ終端部品を用いた事を特徴とするプリント配線板。
【請求項7】 請求項6に記載のプリント配線板を内部に有する事を特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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