説明

ゼオライトの製造方法

【課題】有機構造規定剤(有機SDA)を用いることなく目的とするゼオライトを容易にかつ安価に製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を含むゲルと、ゼオライトの種結晶とを反応させて、該ゼオライトと同種の骨格構造を有するゼオライトを製造する方法である。前記のゲルとして、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、そのコンポジット・ビルディング・ユニットとして、目的とするゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むものとなる組成のゲルを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライトの種結晶を用いたゼオライトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ゼオライトは結晶性アルミノシリケートであり、その結晶構造に起因するオングストロームサイズの均一な細孔を有している。この特徴を生かして、合成ゼオライトは、特定の大きさを有する分子のみを吸着する分子ふるい吸着剤や親和力の強い分子を吸着する吸着分離剤、又は触媒基剤として工業的に利用されている。
【0003】
合成ゼオライトの製造方法は種々提案されている。例えば合成ゼオライトの一種であるベータ型ゼオライトを例に挙げると、このゼオライトの一般的な製造方法は、テトラエチルアンモニウムイオンを有機構造規定剤(以下「有機SDA」と略称する。)として用いる方法である。そのような方法は例えば以下の特許文献1に記載されている。しかしながら、テトラエチルアンモニウムイオンを含む化合物は高価である上に、ベータ型ゼオライト結晶化終了後はほとんどが分解してしまうため、回収して再利用することは不可能である。そのために、この方法により製造したベータ型ゼオライトは高価である。更に、結晶中にテトラエチルアンモニウムイオンが取り込まれるため、吸着剤や触媒として使用する際には焼成除去する必要がある。その際の排ガスは環境汚染の原因となり、また、合成母液の無害化処理のためにも多くの薬剤を必要とする。このように、有機SDAを用いるゼオライトの合成方法は、高価であるばかりでなく、環境負荷の大きい製造方法であることから、有機SDAを用いない製造方法の実現が望まれていた。
【0004】
このような状況の中で、最近、有機SDAを使用しないベータ型ゼオライトの合成方法が提案された(非特許文献1参照)。この方法では、テトラエチルアンモニウムイオンを用いて合成したベータ型ゼオライトを焼成して有機物成分を除去したものを種結晶として用い、これを、有機物を含まないナトリウムアルミノシリケート反応混合物に添加して、水熱処理を行うことにより結晶化を行っている。しかしながら、この方法においては、テトラエチルアンモニウムイオンを用いて合成したベータ型ゼオライトを焼成して種結晶として用いているので、有機SDAの使用量は減少するものの常に有機SDAとしてのテトラエチルアンモニウムイオンが必要となる。またこの方法によれば、種結晶の種類は一種のみであり、ナトリウムアルミノシリケート反応混合物の組成も数値限定された一例のみである。したがって、合成されたベータ型ゼオライトの組成は明記されていないが、決まった値のみとなると考えられる。
【0005】
一方、非特許文献1の著者による特許文献2には、種結晶のSiO2/Al23比が開示されているとともに、ナトリウムアルミノシリケート反応混合物の組成が点組成ではなく点から離れた狭い範囲として記載されている。しかしながら、同文献の開示内容は、基本的には前記の非特許文献1の内容と同じ技術であり、反応混合物の組成範囲が狭いので、ベータ型ゼオライトのSiO2/Al23比は限られた範囲のみに限定される。多様な需要に対応するためには幅広いSiO2/Al23比範囲のゼオライトが望ましい。また、環境負荷を可能な限り低減するためには、焼成の必要がない種結晶を用い、有機SDAを用いないゼオライトの新しい製造方法の提案が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,308,069号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101249968A号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Chemistry of Materials, Vol.20, No.14, p.4533-4535 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るゼオライトの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討した結果、ゼオライトの種結晶と、ゼオライト合成のためのゲルとを反応させて、有機SDAフリーのゼオライトを製造するに際して、ゼオライトの種結晶の種類とゲルの組成との選択に、ゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットの概念を導入することで、目的とするゼオライトを容易に得ることができることを知見した。
【0010】
本発明は前記の知見に基づきなされたものであり、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を含むゲルと、ゼオライトの種結晶とを反応させて、該ゼオライトと同種の骨格構造を有するゼオライトを製造する方法であって、
前記のゲルとして、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、そのコンポジット・ビルディング・ユニットとして、目的とするゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むものとなる組成のゲルを用いることを特徴とするゼオライトの製造方法を提供することにより前記の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のゼオライトの製造方法によれば、ゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットの観点に基づいてゼオライトの種結晶の種類及びゲルの組成を適切に選択することで、有機SDAを用いることなく目的とするゼオライトを容易にかつ安価に製造することができる。特に本発明の方法は、これまで有機SDAを用いないと製造することのできなかったゼオライトの製造に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、MFI型ゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットを示す図である。
【図2】図2は、モルデナイト(MOR)のコンポジット・ビルディング・ユニットを示す図である。
【図3】図3(a)〜(e)は、種結晶のゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットと、ゲルのみから生成するゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットとの関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明の製造方法の手順の例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施例1−1等で用いた種結晶のX線回折図である。
【図6】図6(a)及び(b)は、実施例1−1及び実施例1−8で得られたゼオライトのX線回折図である。
【図7】図7は、実施例2−1等で用いた種結晶のX線回折図である。
【図8】図8(a)ないし(c)は、実施例2−1、実施例2−5及び実施例2−7で得られたゼオライトのX線回折図である。
【図9】図9は、実施例3−1等で用いた種結晶のX線回折図である。
【図10】図10(a)ないし(c)は、実施例3−3、実施例3−5及び実施例3−6で得られたゼオライトのX線回折図である。
【図11】図11は、実施例4−1等で用いた種結晶のX線回折図である。
【図12】図12(a)ないし(c)は、実施例4−4、実施例4−7及び実施例4−14で得られたゼオライトのX線回折図である。
【図13】図13は、実施例5−1等で用いた種結晶のX線回折図である。
【図14】図14(a)及び(b)は、実施例5−1及び実施例5−3で得られたゼオライトのX線回折図である。
【図15】図15(a)ないし(c)は、実施例6−1、実施例6−3及び実施例6−6で得られたゼオライトのX線回折図である。
【図16】図16(a)及び(b)は、実施例6−1及び実施例6−2で得られたゼオライトの27Al MAS NMRスペクトルである。
【図17】図17(a)ないし(c)は、実施例7−1ないし実施例7−3で得られた、脱アルミニウム化後のベータ型ゼオライトのX線回折図である。
【図18】図18(a)ないし(c)は、実施例7−4ないし実施例7−6で得られた、脱アルミニウム化後の各種ゼオライトのX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のゼオライトの製造方法では、ゼオライトの種結晶及びゼオライト合成のためのゲルを用いる。そして、種結晶とゲルとを混合し反応させることで、目的とするゼオライトを製造する。
【0014】
ゼオライトの種結晶としては、目的とするゼオライトと同種の骨格構造を有するものを用いる。「同種の骨格構造」とは、例えば種結晶がベータ型ゼオライトである場合、目的とするゼオライトもベータ型ゼオライトであることを言う。この場合、種結晶のベータ型ゼオライトにおけるSi/Alの値等と、目的とするベータ型ゼオライトにおけるSi/Alの値等とは同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。種結晶として用いるゼオライトの種類に特に制限はなく、目的とするゼオライトと同種の骨格構造を有するものを適宜用いることができる。例えば目的とするゼオライトとしては、これを国際ゼオライト学会で規定されているアルファベットの大文字3つを用いた構造コードで表記すると、MFI、MEL、MSE、MTW、BEA、TUN、MFS、MOZ、EON、LTFなどが挙げられるが、これらに限られない。
【0015】
ゼオライトの種結晶を得る方法としては、これまで知られている種々の方法を採用することができる。例えば(イ)有機SDAを用いずにゼオライトを製造する方法を採用することができる。あるいは(ロ)有機SDAを用いてゼオライトを製造する方法を採用することもできる。この場合には、焼成によって有機SDAを除去した後のゼオライトが用いられる。また(ハ)有機SDAを用いて製造したゼオライトを種結晶として用い本発明に従ってゼオライトを製造し、製造された該ゼオライトを種結晶として用いることもできる。(ハ)の方法を採用する場合には、これまで有機SDAを用いてしか製造することのできなかったゼオライトを、完全に有機SDAフリーで製造することができるという大きな利点がある。
【0016】
ゼオライトの種結晶の大きさに特に制限はない。一般に平均粒径が100〜2000nm、特に200〜1000nmの種結晶を用いることで、満足すべき結果が得られる。この平均粒径は、走査型電子顕微鏡による観察における最大頻度の結晶の粒子直径のことである。しかしながら、種結晶の平均粒径によって本発明の範囲が制限されることはない。
【0017】
ゼオライトの種結晶におけるSiO2/Al23比は、用いるゼオライトの種類に応じて適切な範囲が選択される。ゼオライトの種結晶として例えばMFIを用いる場合には、SiO2/Al23比は5〜200、特に10〜100であることが好ましい。MELを用いる場合も同様に、SiO2/Al23比は5〜200、特に10〜100であることが好ましい。MSEを用いる場合には、SiO2/Al23比は10〜50、特に15〜40であることが好ましい。MTWを用いる場合には、SiO2/Al23比は5〜200、特に10〜100であることが好ましい。BEAを用いる場合には、SiO2/Al23比は8〜50、特に10〜30であることが好ましい。なお、これらのSiO2/Al23比は、目的とするゼオライトの製造条件に応じて、目的とするゼオライトにおけるSiO2/Al23比と同じになる場合もあれば、異なる場合もある。
【0018】
ゼオライトの種結晶の使用量は少ない方が、本発明の利点が一層際立つ点から好ましいが、目的とするゼオライトの生成速度等を考慮して適宜決定される。一般には、ゲルに含まれるシリカ成分に対して0.1〜30重量%、特に1〜20重量%、とりわけ1〜10重量%とすることが好ましい。
【0019】
ゼオライトの種結晶とともに本発明において用いられるゲルは、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を含むものである。また、このゲルは、これを単独で加熱した場合に、ある種のゼオライトが生成する組成を有するものでもある。
【0020】
シリカ源としては、シリカそのもの及び水中でケイ酸イオンの生成が可能なケイ素含有化合物が挙げられる。具体的には、湿式法シリカ、乾式法シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸ナトリウム、アルミノシリケートゲルなどが挙げられる。これらのシリカ源は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのシリカ源のうち、シリカ(二酸化ケイ素)を用いることが、不要な副生物を伴わずにゼオライトを得ることができる点で好ましい。
【0021】
アルミナ源としては、例えば水溶性アルミニウム含有化合物を用いることができる。具体的には、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。また、水酸化アルミニウムも好適なアルミナ源の一つである。これらのアルミナ源は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのアルミナ源のうち、アルミン酸ナトリウムや水酸化アルミニウムを用いることが、不要な副生物(例えば硫酸塩や硝酸塩等)を伴わずにゼオライトを得ることができる点で好ましい。
【0022】
アルカリ源としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムなどを用いることができる。なお、シリカ源としてケイ酸ナトリウムを用いた場合やアルミナ源としてアルミン酸ナトリウムを用いた場合、そこに含まれるアルカリ金属成分であるナトリウムは同時にNaOHとみなされ、アルカリ成分でもある。したがって、Na2O、K2O及びLi2Oは反応混合物中のすべてのアルカリ成分の和として計算される。
【0023】
本発明で用いられるゲルは、上述の各成分を含有し、かつ該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、そのコンポジット・ビルディング・ユニットとして、目的とするゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むものとなる組成のゲルである。このようなゲルの組成について詳述する前に、ゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットについて説明する。
【0024】
これまでに知られているゼオライトは、三次元の基本構造体の組み合わせから骨格構造が構成されていることが判っている。この基本構造体はコンポジット・ビルディング・ユニットと呼ばれており、現在47種類が知られている。国際ゼオライト学会では、各コンポジット・ビルディング・ユニットを、アルファベットの小文字3つを用いたコードで表記している。例えばMFI型ゼオライトは、図1に示す4つのコンポジット・ビルディング・ユニット、すなわちcas、mor、mel及びmfiの組み合わせから骨格構造が構成されている。またモルデナイト(MOR)は、図2に示すように、morという1つのコンポジット・ビルディング・ユニットだけが骨格構造中に含まれている。各ゼオライトの骨格構造を構成するコンポジット・ビルディング・ユニットについては、"Atlas of Zeolite Framework Types", 6th Revised Edition 2007, Structure Commission of the International Zeolite Associationに記載されている。コンポジット・ビルディング・ユニットは、ゼオライトの骨格構造を構成する基本単位を幾何学的に分類したものであり、コンポジット・ビルディング・ユニットの構造を有する化合物が存在するわけではないことに留意すべきである。
【0025】
本発明の製造方法における目的とするゼオライトがMFI型ゼオライトである場合には、そのコンポジット・ビルディング・ユニットは上述のとおり、cas、mor、mel及びmfiの4つであり、そのときに用いられるゲルは、該ゲルから合成された該ゼオライトが、cas、mor、mel及びmfiのうちの少なくとも1種のコンポジット・ビルディング・ユニットを含むものとなる組成のゲルである。そのようなゲルとしては、例えばmorをコンポジット・ビルディング・ユニットとして含むゼオライトであるモルデナイト(MOR)が生成する組成のゲルを用いればよい。この関係を図3に整理して示す。
【0026】
図3(a)に示すように、ゼオライトの種結晶としてMFI型ゼオライトを用いた場合には、ゲルとして、MFI型ゼオライトの骨格構造を構成するcas、mor、mel及びmfiの4つのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むゼオライトであるモルデナイト(MOR)が生成する組成のゲルを用いれば、目的とするゼオライトとしてMFI型ゼオライトが得られる。
【0027】
また、図3(b)に示すように、ゼオライトの種結晶としてMEL型ゼオライトを用いた場合には、ゲルとして、MEL型ゼオライトの骨格構造を構成するmor、mel及びmfiの3つのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むゼオライトであるモルデナイト(MOR)が生成する組成のゲルを用いれば、目的とするゼオライトとしてMEL型ゼオライトが得られる。
【0028】
図3(c)に示すようにゼオライトの種結晶としてMSE型ゼオライトを用いた場合には、ゲルとして、MSE型ゼオライトの骨格構造を構成するbea、mtw及びmorの3つのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むゼオライトであるモルデナイト(MOR)が生成する組成のゲルを用いれば、目的とするゼオライトとしてMSE型ゼオライトが得られる。MSE型ゼオライトは、現在のところ、N,N,N’,N’−テトラエチルビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3:5,6−ジピロリジニウムジアイオダイドという特殊な有機SDAを用いないと合成することができない。
【0029】
図3(d)に示すようにゼオライトの種結晶としてMTW型ゼオライトを用いた場合には、ゲルとして、MTW型ゼオライトの骨格構造を構成するbik,jbw,mtw及びcasの4つのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むゼオライトであるMFIが生成する組成のゲル、又はMFIを含む複数の化合物が生成する組成のゲルを用いれば、目的とするゼオライトとしてMTW型ゼオライトが得られる。
【0030】
更に、図3(e)に示すようにゼオライトの種結晶としてベータ型ゼオライト(BEA)を用いた場合には、ゲルとして、ベータ型ゼオライトの骨格構造を構成するbea、mtw及びmorの3つのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むゼオライトであるモルデナイト(MOR)が生成する組成のゲルを用いれば、目的とするゼオライトとしてベータ型ゼオライトが得られる。なお、図3(e)に示すベータ型ゼオライトは、先に述べた図3(c)に示すMSE型ゼオライトとコンポジット・ビルディング・ユニットは同一であるが、骨格構造が相違するものである。
【0031】
本発明において用いられるゲルとしては、該ゲルのみから合成されたゼオライトが、種結晶のゼオライトと異種の骨格構造のものとなる組成のゲルを用いることができる。この場合が、これまでに説明してきた図3(a)〜(e)に示すゲルである。
【0032】
本発明で用いられるゲルに含まれる各種の成分の割合は、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、該ゼオライトがどのようなコンポジット・ビルディング・ユニットを含むかに応じて適宜決定すればよい。具体的には、図3(a)に示す場合には、ゲルとして、好ましくは以下の(a)又は(b)に示すモル比で表される組成となるように、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を混合したものを用いればよい。
(a)
SiO2/Al23=40〜200、特に44〜200
Na2O/SiO2=0.24〜0.4、特に0.25〜0.35
2O/SiO2=10〜50、特に15〜25
(b)
SiO2/Al23=10〜40、特に12〜40
Na2O/SiO2=0.05〜0.25、特に0.1〜0.25
2O/SiO2=5〜50、特に10〜25
【0033】
本発明のゼオライトの製造方法は、従来有機SDAを用いなければ製造できなかったゼオライトの製造に特に有利であるが、有機SDAを用いなくても得ることのできるゼオライトの製造にも有利である場合がある。例えばMFI型ゼオライトは、有機SDAを使用しなくても合成できるゼオライトであるが、その場合のSiO2/Al23比は24までしか下げることはできず、それよりも低いSiO2/Al23比を有するMFI型ゼオライトを得ることはできない。これに対して、本発明の製造方法に従いMFI型ゼオライトを合成すると、後述する実施例1−1〜1−8に示すように、24よりも小さいSiO2/Al23比を有するMFI型ゼオライトを得ることができる。
【0034】
図3(b)に示す場合には、ゲルとして、好ましくは以下の(a)又は(b)に示すモル比で表される組成となるように、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を混合したものを用いればよい。
(a)
SiO2/Al23=40〜200、特に44〜200
Na2O/SiO2=0.24〜0.4、特に0.25〜0.35
2O/SiO2=10〜50、特に15〜25
(b)
SiO2/Al23=10〜40、特に12〜40
Na2O/SiO2=0.05〜0.25、特に0.1〜0.25
2O/SiO2=5〜50、特に10〜25
【0035】
図3(c)に示す場合には、ゲルとして、好ましくは以下の(a)又は(b)に示すモル比で表される組成となるように、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を混合したものを用いればよい。すなわち、ナトリウムイオンのみを含むゲルを用いてもよいし、ナトリウム及びカリウムの双方を含むゲル、つまり混合イオンを含むゲルを用いてもよい。混合イオンを含むゲルを用いてゼオライトを合成すると、ナトリウムイオンのみを含むゲルを用いて合成する場合に比べて、不純物の副生、特に副生微量ゼオライトの発生を一層防止ができるので有利である。カリウムイオンのみを含むゲルからでもゼオライトの合成は可能であるが、カリウムイオンの比率が高くなると、結晶化速度が遅くなり、得られるゼオライトの結晶度が低くなる傾向にある。カリウムイオン源としては例えば水酸化カリウムを用いることが好ましい。また、K2O/(Na2O+K2O)比を調整するために、それ以外のカリウムイオン源として、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウムなどのカリウム塩を用いてもよい。
(a)
SiO2/Al23=40〜200、特に44〜200
(Na2O+K2O)/SiO2=0.24〜0.4、特に0.25〜0.35
2O/(Na2O+K2O)=0〜0.7、特に0.01〜0.65
2O/SiO2=10〜50、特に15〜25、
(b)
SiO2/Al23=10〜40、特に12〜40
(Na2O+K2O)/SiO2=0.05〜0.25、特に0.1〜0.25
2O/(Na2O+K2O)=0〜0.7、特に0.01〜0.65
2O/SiO2=5〜50、特に10〜25
【0036】
図3(d)に示す場合には、ゲルとして、好ましくは以下に示すモル比で表される組成となるように、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を混合したものを用いればよい。
SiO2/Al23=10〜150、特に30〜120
Na2O/SiO2=0.075〜0.23、特に0.1〜0.2
2O/SiO2=5〜50、特に8〜20
【0037】
図3(e)に示す場合には、ゲルとして、好ましくは以下の(a)又は(b)に示すモル比で表される組成となるように、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を混合したものを用いればよい。
(a)
SiO2/Al23=40〜200、特に44〜200
Na2O/SiO2=0.24〜0.4、特に0.25〜0.35
2O/SiO2=10〜50、特に15〜25
(b)
SiO2/Al23=10〜40、特に12〜40
Na2O/SiO2=0.05〜0.25、特に0.1〜0.25
2O/SiO2=5〜50、特に10〜25
【0038】
図3(e)に示す場合には、更に本発明者らは、ゲル中にリチウムイオンを添加することで、(i)種結晶を添加しない場合はモルデナイトが結晶化し、(ii)種結晶としてベータ型ゼオライトを添加すればベータ型ゼオライトが得られることを見出した。リチウムイオン源としては、例えば塩化リチウム及び臭化リチウムなのどのリチウムハロゲン化物や、酢酸リチウムなどのリチウム塩類を用いてもよいし、水酸化リチウムを用いてもよい。特にリチウムイオン源として水酸化リチウムを用いることが好ましい。種結晶としてベータ型ゼオライトを用いる場合には、ゲルとして、以下の(c)に示すモル比で表される組成となるように、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、リチウムイオン源及び水を混合したものを用いればよい。
(c)
SiO2/Al23=6〜40、特に10〜40
Na2O/SiO2=0.05〜0.25、特に0.1〜0.25
Li2O/SiO2=0.005〜0.25、特に0.01〜0.15
2O/SiO2=5〜50、特に10〜25
【0039】
前記の(c)に示す組成のゲルを用いると、前記の(a)又は(b)に示す組成のゲルを用いた場合に比較して、SiO2/Al23比が低いベータ型ゼオライトが得られるので有利である。また、前記の(c)に示す組成のゲルを用いて得られたベータ型ゼオライトについて、27Al MAS NMRスペクトルを測定すると、意外にも、4配位のアルミニウムに加えて6配位のアルミニウムが存在することが、本発明者らの検討の結果判明した。6配位のアルミニウムの存在状態の詳細は明らかではない。前記の(c)に示す組成のゲルを用いて得られたベータ型ゼオライトについて、窒素吸着量測定によるBET表面積を測定したところ、その値は、前記の(a)又は(b)に示す組成のゲルを用いて得られたベータ型ゼオライトのBET表面積の値と同等又はそれ以上の値となることが判明した。
【0040】
図3(a)ないし(e)のいずれに示す場合であっても、ゲルを調製するときの各原料の添加順序は、均一なゲルが得られ易い方法を採用すればよい。例えば、室温下、水酸化ナトリウム水溶液にアルミナ源を添加して溶解させ、次いでシリカ源を添加して攪拌混合することにより、均一なゲルを得ることができる。ゲルを調製するときの温度にも特に制限はなく、一般的には室温(20〜25℃)で行えばよい。
【0041】
ゼオライトの種結晶とゲルとの混合は、例えばゲルの調製過程において、シリカ源に種結晶を加えながら混合することができる。あるいは、ゲルの調製過程において、シリカ源を添加する前又は後に、ゲルに種結晶を加えることもできる。また、結晶化時間の短縮の観点から、ゲルを熟成又は一時加熱した後に種結晶を添加する方法が有効である(例えば後述する実施例5−10参照)。いずれの場合においても、その後、種結晶が均一に分散するように攪拌混合する。
【0042】
図4には、ゼオライトの種結晶とゲルとの反応によるゼオライトの製造の手順の例が示されている。本発明においては、同図において、<1>、<2>、<3>、<6>の順に製造を行うことができる。この手順を採用すると、幅広い範囲のSiO2/Al23比のゼオライトを製造することができる。また同図において、<1>、<2>、<4>、<3>、<6>の順に製造を行うこともできる。この手順を採用すると、熟成を行った後に静置加熱することによって、低SiO2/Al23比の種結晶を有効に使用できる場合が多い。
【0043】
更に、図4において、<1>、<2>、<4>、<5>、<6>の順に製造を行うこともできる。この手順では、熟成及び攪拌の操作が行われる。熟成及び攪拌の操作は、ゼオライトの量産化のために必要な新しい方法である。その理由は、量産化のためには大型の加圧容器が必要なところ、そのような加圧容器の内部温度を均一に保つためには攪拌操作が不可欠だからである。しかしながら、熟成操作なしに攪拌を行うと、不純物を同伴して純度が低下し易い。
【0044】
本発明の製造方法では、以下の三通りの順序も可能である。
・<7>、<2>、<3>、<6>
・<7>、<2>、<4>、<3>、<6>
・<7>、<2>、<4>、<5>、<6>
これらの三通りの方法では、使用する種結晶として、本発明の方法によって得られたゼオライトを用いている。すなわち、この三通りの製造方法では種結晶が繰り返し使用可能なので、本質的に有機SDAを使用しない。要するに、この三通りの製造方法は、環境負荷が究極的に小さいグリーンプロセスによるゼオライトの製造方法ということができる。これらの製造方法によって初めて、“グリーンゼオライト”が製造される。
【0045】
以上の各手順においては、種結晶を含むゲルを、密閉容器中に入れて加熱して反応させ、目的とするゼオライトを結晶化する。このゲルには有機SDAは含まれていない。
【0046】
種結晶として、SiO2/Al23比の低いものを用いた場合は、熟成をした後に、攪拌することなく加熱する方が、結晶化が進行し易い(<1>、<2>、<4>、<3>、<6>の手順)。熟成とは、反応温度よりも低い温度で一定時間その温度に保持する操作を言う。熟成においては、一般的には、攪拌することなしに静置する。熟成を行うことで、不純物の副生を防止すること、不純物の副生なしに攪拌下での加熱を可能にすること、反応速度を上げることなどの効果が奏されることが知られている。しかし作用機構は必ずしも明らかではない。熟成の温度と時間は、前記の効果が最大限に発揮されるように設定される。本発明では、好ましくは20〜80℃、更に好ましくは20〜60℃で、好ましくは2時間から1日の範囲で熟成が行われる。
【0047】
加熱中にゲルの温度の均一化を図るため攪拌をする場合は、熟成を行った後に加熱攪拌すれば、不純物の副生を防止することができる(<1>、<2>、<4>、<5>、<6>の手順)。攪拌はゲルの組成と温度を均一化するために行うものであり、攪拌羽根による混合や、容器の回転による混合などがある。攪拌強度や回転数は、温度の均一性や不純物の副生具合に応じて調整すればよい。常時攪拌ではなく、間歇攪拌でもよい。このように熟成と攪拌を組み合わせることによって、工業的量産化が可能となる。
【0048】
以下に記載する三通りの方法は、本発明の特徴の一つであるグリーンプロセスによるゼオライトの製造法である。この三通りの方法によれば、種結晶として本発明によって得られたゼオライトを用いた無限回の自己再生産が可能となり、有機SDAを全く使用しない製造プロセスが可能となる。すなわち、<7>、<2>、<3>、<6>の順の方法、<7>、<2>、<4>、<3>、<6>の順の方法、<7>、<2>、<4>、<5>、<6>の順の方法である。それぞれの工程の特徴は前記のとおりである。本発明によって得られたゼオライトを種結晶とする場合は、そのSiO2/Al23比が低いにも関わらず、静置合成の場合は熟成操作なしでもゼオライトの結晶化が可能な場合が多い。有機SDAを用いて合成したゼオライトを種結晶とする場合は、これを焼成したものを用いるが、本発明で得られたゼオライトを用いる場合はその焼成の必要がない。この違いが、種結晶としての効果の違いに現れていると推定されるが、詳細は明らかではない。しかしながら、攪拌加熱を行う場合は、熟成を行うことが好ましい。
【0049】
静置法及び攪拌法のどちらの場合も、加熱温度は100〜200℃、好ましくは120〜180℃の範囲であり、自生圧力下での加熱である。100℃未満の温度では結晶化速度が極端に遅くなるのでゼオライトの生成効率が悪くなる場合がある。一方、200℃超の温度では、高耐圧強度のオートクレーブが必要となるため経済性に欠けるばかりでなく、不純物の発生速度が速くなる。加熱時間は本製造方法において臨界的ではなく、結晶性の十分に高いゼオライトが生成するまで加熱すればよい。一般に5〜240時間程度の加熱によって、満足すべき結晶性のゼオライトが得られる。
【0050】
本発明のゼオライトの製造方法において、加熱時間が不十分な場合はアモルファス成分が同伴する。また、目的とするゼオライトの結晶化が終了した後更に加熱を継続すると、ゲルのみからゼオライトを合成したときに生じる該ゼオライトの生成及び成長が始まり、目的とするゼオライトの割合が減少する。目的とするゼオライトのみが単一相として安定に存在する時間は温度によって異なるが、一般に長くはない。目的とするゼオライトを単一相で得るためには、ゲルのみからゼオライトを合成したときに生じる該ゼオライトの生成及び成長が始まる前に加熱を終了して密閉容器を冷却し、反応を終了させる。極微量の不純物ゼオライトの同伴は、目的とするゼオライトの特性を著しく損なうものではなく、かつそのようなゼオライトは十分使用に耐え得る。
【0051】
前記の加熱によって、目的とするゼオライトの結晶が得られる。加熱終了後は、生成した結晶粉末をろ過によって母液と分離した後、水又は温水で洗浄して乾燥する。得られたゼオライトの結晶は、乾燥したままの状態で有機物を含んでいないので焼成の必要はなく、脱水を行えば吸着剤などとして使用可能である。また、固体酸触媒として使用する際は、例えば結晶内のNa+イオンをNH4+イオンに交換した後、焼成することによってH+型として使用することができる。
【0052】
このようにして目的とするゼオライトが得られたら、このゼオライトに後処理を施してもよい。そのような後処理として、クエン酸又はその塩を用いた脱アルミニウム化が挙げられる。脱アルミニウム化を行うことで、ゼオライトのSi/Al比を一層高くすることができる。Si/Al比を高くすることで、ゼオライトの用途が拡大する。
【0053】
脱アルミニウム化は、Na型、K型若しくはLi型又はそれらの混合型のゼオライトに対して直接に行うことができる。また、脱アルミニウム化は、処理対象のゼオライトと、クエン酸の水溶液とを混合するか、又は混合液を自生圧力下に加熱することで行うことができる。混合液におけるクエン酸又はその塩の濃度は0.1〜2mol/L、特に0.5〜1mol/Lとすることが好ましい。混合液におけるゼオライトの濃度は10〜40g/L、特に15〜25g/Lとすることが好ましい。混合液の温度は25〜135℃、特に72〜90℃とすることが好ましい。混合液の加熱時間は、加熱温度が上述の範囲であることを条件として、6時間〜7日、特に15〜30時間とすることが好ましい。混合液を加熱する場合には一般にオートクレーブを用い、混合液を攪拌しながら加熱すればよい。
【0054】
前記の混合液には硝酸アンモニウムや塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩を共存させておいてもよい。こうすることで、脱アルミニウム化に起因して起こり得るゼオライトのアモルファス化を効果的に防止でき、ゼオライトの結晶性を安定化させることができる。この効果を一層顕著なものとする観点から、硝酸アンモニウムの濃度は0.5〜2mol/L、特に0.8〜1.2mol/Lとすることが好ましい。
【0055】
脱アルミニウム化後には、ゼオライトを水洗し、大気下に焼成してゼオライトをH型に変換することが好ましい。焼成は400〜550℃、特に400〜500℃で行うことが好ましい。このときの焼成時間は、3〜6時間、特に3〜5時間とすることが好ましい。
【0056】
上述の脱アルミニウム化によって、ゼオライトにおけるSi/Al比を好ましくは5〜50、更に好ましくは10〜40に高めることができる。この脱アルミニウム化は、ゼオライトとしてベータ型ゼオライトを用いる場合に円滑に進行する。
【0057】
クエン酸又はその塩を用いたゼオライトの脱アルミニウム化は、上述の操作を1回行ってもよく、あるいは複数回繰り返して行ってもよい。複数回の脱アルミニウム化を行うことで、ゼオライトにおけるSiO2/Al23比の上限値を好ましくは400まで高めることが可能である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「重量%」を意味する。なお、以下の実施例、比較例及び参考例で用いた分析機器は以下のとおりである。
【0059】
・粉末X線回折装置:マック サイエンス社製、粉末X線回折装置 MO3XHF22、Cukα線使用、電圧40kV、電流30mA、スキャンステップ0.02°、スキャン速度2°/min
・組成分析装置:(株)バリアン製、ICP−AES LIBERTY SeriesII・BET表面積測定装置:(株)カンタクローム インスツルメンツ社製 AUTOSORB−1
【0060】
〔実施例1−1〕
MFI型ゼオライトの合成
(1)種結晶の準備
以下の種結晶1〜4を準備した。これらの種結晶のX線回折図を図5に示す。
種結晶1(SiO2/Al23=24.0):東ソー(株)製品 HSZ−820NAAを用いた。このゼオライトは、有機構造規定剤を用いないで製造したMFI型ゼオライトである。これを焼成することなく種結晶として用いた。BET比表面積:316m2/g。
種結晶2(SiO2/Al23=40.0):アルミン酸ナトリウムをアルミナ源、微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)をシリカ源、水酸化ナトリウムをアルカリ源とし、有機構造規定剤を用いない従来公知の方法により攪拌加熱を行って得られたMFI型ゼオライトである。攪拌加熱の条件は170℃、96時間である。ゼオライトのSiO2/Al23比は40.0であった。これを焼成することなく種結晶として用いた。BET表面積:295m2/g。
種結晶3及び4:テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドを有機構造規定剤として用い、アルミン酸ナトリウムをアルミナ源、微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)をシリカ源とする従来公知の方法により攪拌加熱を行って得られたMFI型ゼオライトである。攪拌加熱の条件は150℃、72時間である。ゼオライトのSiO2/Al23比は52.0(種結晶3)及び60.8(種結晶4)であった。これらを550℃で10時間、空気中で焼成したものを種結晶として用いた。
【0061】
(2)ゼオライトの合成
純水12.88gに、アルミン酸ナトリウム0.115gと、36%水酸化ナトリウム2.582gを溶解して水溶液を得た。微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)2.427gと、0.243gの種結晶1とを混合したものを、前記の水溶液に少しずつ添加して攪拌混合し、表1に記載した組成のゲルを得た。このゲルは、これのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。ゲルと種結晶の混合物を60ccのステンレス製密閉容器に入れて、熟成及び攪拌することなしに160℃で20時間、自生圧力下で静置加熱した。密閉容器を冷却後、生成物をろ過、温水洗浄して白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図6(a)に示す。同図から判るように、この生成物は不純物を含まないMFI型ゼオライトであった。組成分析の結果、そのSiO2/Al23比及びBET比表面積は表1に示すとおりであった。
【0062】
〔実施例1−2〜1−10及び比較例1−1〜1−4〕
表1及び表2に示す組成のゲル及び種結晶を用い、かつこれらの表に記載の反応条件を用いる以外は実施例1−1と同様にしてゼオライトを合成した。その結果を、表1及び表2に示す。また、実施例1−8で得られた生成物のX線回折図を図6(b)に示す。なお、これらの実施例及び比較例で用いたゲルは、いずれも該ゲルのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
〔実施例2−1〕
MEL型ゼオライトの合成
(1)種結晶の準備
以下の種結晶1及び2を準備した。これらの種結晶のX線回折図を図7に示す。
種結晶1及び2:テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを有機構造規定剤として用い、アルミン酸ナトリウムをアルミナ源、微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)をシリカ源とする従来公知の方法により攪拌加熱を行って得られたMEL型ゼオライトである。攪拌加熱の条件は180℃、96時間である。ゼオライトのSiO2/Al23比は66.0(種結晶1)及び34.0(種結晶2)であった。これを550℃で10時間、空気中で焼成したものを種結晶として用いた。BET比表面積は種結晶1が426m2/g、種結晶2が416m2/gであった。
【0066】
(2)ゼオライトの合成
純水12.88gに、アルミン酸ナトリウム0.113gと、36%水酸化ナトリウム2.582gを溶解して水溶液を得た。微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)2.427gと、0.243gの種結晶1とを混合したものを、前記の水溶液に少しずつ添加して攪拌混合し、表3に記載した組成のゲルを得た。このゲルは、これのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。ゲルと種結晶の混合物を60ccのステンレス製密閉容器に入れて、熟成及び攪拌することなしに140℃で15時間、自生圧力下で静置加熱した。密閉容器を冷却後、生成物をろ過、温水洗浄して白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図8(a)に示す。同図から判るように、この生成物は不純物を含まないMEL型ゼオライトであった。組成分析の結果、そのSiO2/Al23比及びBET比表面積は表3に示すとおりであった。
【0067】
〔実施例2−2〜2−7及び比較例2−1〜2−4〕
表3及び表4に示す組成のゲル及び種結晶を用い、かつこれらの表に記載の反応条件を用いる以外は実施例2−1と同様にしてゼオライトを合成した。その結果を、表3及び表4に示す。また、実施例2−5及び実施例2−7で得られた生成物のX線回折図を図8(b)、図8(c)に示す。なお、これらの実施例及び比較例で用いたゲルは、いずれも該ゲルのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。
【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
〔実施例3−1〕
MSE型ゼオライトの合成
(1)種結晶の準備
以下の種結晶を準備した。この種結晶のX線回折図を図9に示す。
有機構造規定剤としてN,N,N’,N’−テトラエチルビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3:5,6−ジピロリジニウムジアイオダイドを用いた。米国特許第6049018号明細書の記載にしたがって、水酸化アルミニウムをアルミナ源、コロイダルシリカをシリカ源、水酸化カリウムをアルカリ源として反応混合物を調製し、160℃で16日間静置法で加熱した。生成物を空気中で540℃で8時間加熱して焼成して得られたMSE型ゼオライトを種結晶とした。そのSiO2/Al23比は24.0であった。
【0071】
(2)ゼオライトの合成
純水10.74gに、アルミン酸ナトリウム0.096gと、36%水酸化ナトリウム2.147gを溶解して水溶液を得た。微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)2.022gと、0.202gの種結晶とを混合したものを、前記の水溶液に少しずつ添加して攪拌混合し、表5に記載した組成のゲルを得た。このゲルは、これのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。ゲルと種結晶の混合物を60ccのステンレス製密閉容器に入れて、熟成及び攪拌することなしに160℃で29時間、自生圧力下で静置加熱した。密閉容器を冷却後、生成物をろ過、温水洗浄して白色粉末を得た。
【0072】
〔実施例3−2及び3−3並びに比較例3−1〜3−3〕
表5及び表6に示す組成のゲル及び種結晶を用い、かつこれらの表に記載の反応条件を用いる以外は実施例3−1と同様にしてゼオライトを合成した。その結果を、表5及び表6に示す。なお、これらの実施例及び比較例で用いたゲルは、いずれも該ゲルのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。実施例3−3で得られた生成物のX線回折図を図10(a)に示す。同図から判るように、この生成物は微量のベータ型ゼオライト(BEA)を含むMSE型ゼオライトであった。
【0073】
〔実施例3−4〕
純水10.13gに、アルミン酸ナトリウム0.096gと、36%水酸化ナトリウム2.08g、1mol/L水酸化カリウム水溶液0.67gを溶解して水溶液を得た。微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)2.026gと、実施例3−1で用いた種結晶0.203gとを混合したものを、前記の水溶液に少しずつ添加して攪拌混合し、表5に記載した組成のゲルを得た。このゲルは、これのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。ゲルと種結晶の混合物を60ccのステンレス製密閉容器に入れて、熟成及び攪拌することなしに140℃で57時間、自生圧力下で静置加熱した。密閉容器を冷却後、生成物をろ過、温水洗浄して白色粉末を得た。この生成物はX線回折測定の結果、不純物を含まないMSE型ゼオライトであった。
【0074】
〔実施例3−5〜3−8及び比較例3−4〜3−8〕
2O/(Na2O+K2O)>0であるこれらの実施例及び比較例においては、Naイオン源、Kイオン源として適切な濃度の水酸化ナトリウム水溶液と水酸化カリウム水溶液の混合割合を変えて使用して、表5及び表6に示した組成のゲル及び種結晶を用い、かついこれらの表に記載の反応条件を用いる以外は実施例3−4と同様にしてゼオライトを合成した。その結果を、表5及び表6に示す。また、実施例3−5及び3−6で得られた生成物のX線回折図を図10(b)及び(c)に示す。なお、これらの実施例及び比較例で用いたゲルは、いずれも該ゲルのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。
【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
MTW型ゼオライトの合成
〔実施例4−1〕
(1)種結晶の準備
以下の種結晶を準備した。この種結晶のX線回折図を図11に示す。
テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを有機構造規定剤として用い、アルミン酸ナトリウムをアルミナ源、コロイダルシリカ(LUDOX,HS−40)をシリカ源とする従来公知の方法により静置加熱を行って得られたMTW型ゼオライトである。静置加熱の条件は160℃、120時間である。ゼオライトのSiO2/Al23比は94.6であった。これを550℃で10時間、空気中で焼成したものを種結晶として用いた。
【0078】
(2)ゼオライトの合成
純水10.85gに、アルミン酸ナトリウム0.231gと、36%水酸化ナトリウム2.027gを溶解して水溶液を得た。微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)4.893gと、0.489gの種結晶とを混合したものを、前記の水溶液に少しずつ添加して攪拌混合し、表7に記載した組成のゲルを得た。このゲルは、これのみからゼオライトを合成すると、MFI型ゼオライトを含む複数の化合物が生成する組成のものであった。ゲルと種結晶の混合物を60ccのステンレス製密閉容器に入れて、熟成及び攪拌することなしに165℃で4日間、自生圧力下で静置加熱した。密閉容器を冷却後、生成物をろ過、温水洗浄して白色粉末を得た。この生成物のX線回折の結果、この生成物は不純物を含まないMTW型ゼオライトであることが確認された。
【0079】
〔実施例4−2〜4−11及び比較例4−1〜4−5〕
表7及び表8に示す組成のゲル及び種結晶を用い、かつこれらの表に記載の反応条件を用いる以外は実施例4−1と同様にしてゼオライトを合成した。その結果を、表7及び表8に示す。また、実施例4−4及び4−7で得られた生成物のX線回折図を図12(a)及び(b)に示す。なお、これらの実施例及び比較例で用いたゲルは、いずれも該ゲルのみからゼオライトを合成すると、MFI型ゼオライトを含む複数の化合物が生成する組成のものであった。また、比較例4−5で用いたゲルは、該ゲルのみからゼオライトを合成するとモルデナイトが生成する組成のものであった。
【0080】
〔実施例4−12〜4−14〕
種結晶として実施例4−7で得られたMTW型ゼオライトを用いた。ゲルとして表7に示す組成のものを用いた。そして、同表に記載の反応条件を用いる以外は実施例4−1と同様にしてゼオライトを合成した。その結果を、表7に示す。また、実施例4−14で得られた生成物のX線回折図を図12(c)に示す。これらの実施例で得られたゼオライトは、本質的に有機SDAを使用しないで得られた“グリーンゼオライト”である。なお、これらの実施例で用いたゲルは、いずれも該ゲルのみからゼオライトを合成すると、MFI型ゼオライトを含む複数の化合物が生成する組成のものであった。
【0081】
【表7】

【0082】
【表8】

【0083】
〔実施例5−1〕
BEA型ゼオライトの合成
(1)種結晶の準備
以下の種結晶を準備した。この種結晶のX線回折図を図13に示す。
テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを有機構造規定剤として用い、アルミン酸ナトリウムをアルミナ源、微粉状シリカ(Mizukasil、P707)をシリカ源とする従来公知の方法により攪拌加熱を行って得られたBEA型ゼオライトである。攪拌加熱の条件は165℃、96時間である。ゼオライトのSiO2/Al23比は24.0であった。これを550℃で10時間、空気中で焼成したものを種結晶として用いた。
【0084】
(2)ゼオライトの合成
純水12.88gに、アルミン酸ナトリウム0.127gと、36%水酸化ナトリウム2.562gを溶解して水溶液を得た。微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)2.426gと、0.243gの種結晶とを混合したものを、前記の水溶液に少しずつ添加して攪拌混合し、表9に記載した組成のゲルを得た。このゲルは、これのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。ゲルと種結晶の混合物を60ccのステンレス製密閉容器に入れて、熟成及び攪拌することなしに140℃で32時間、自生圧力下で静置加熱した。密閉容器を冷却後、生成物をろ過、温水洗浄して白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図14(a)に示す。同図から判るように、この生成物は不純物を含まないBEA型ゼオライトであった。
【0085】
〔実施例5−2〜5−9及び比較例5−1〜5−3〕
表9及び表10に示す組成のゲル及び種結晶を用い、かつこれらの表に記載の反応条件を用いる以外は実施例5−1と同様にしてゼオライトを合成した。その結果を、表9及び表10に示す。また、実施例5−3で得られた生成物のX線回折図を図14(b)に示す。なお、本実施例で用いたゲルは、いずれも該ゲルのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。
【0086】
〔実施例5−10〕
実施例5−9で用いたものと同じ組成のゲルを、種結晶を添加せずに140℃で5時間加熱した。加熱終了後、密閉容器を冷却した。ゲルの温度が室温まで低下した後に密閉容器のふたを開け、実施例5−9と同じ種結晶を同実施例と同量添加してゲルを均一に攪拌した。その後ふたを密閉して再度140℃で25時間加熱してゼオライトを合成した。生成物は表9に示すとおりであった。本実施例と実施例5−9との対比から明らかなように、結晶化時間は実施例5−9に比較して大幅に短縮された。
【0087】
【表9】

【0088】
【表10】

【0089】
〔実施例6−1〕
BEA型ゼオライトの合成
(1)種結晶の準備
種結晶は、実施例5−1で使用したものと同じものを使用した。
【0090】
(2)ゼオライトの合成
純水14.54gに、アルミン酸ナトリウム0.477gと、36%水酸化ナトリウム0.822gと、水酸化リチウム一水和物0.141gとを溶解して水溶液を得た。微粉状シリカ(Cab−O−Sil、M−5)2.017gと、0.202gの種結晶とを混合したものを、前記の水溶液に少しずつ添加して攪拌混合し、表11に記載した組成のゲルを得た。このゲルは、これのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。ゲルと種結晶の混合物を60ccのステンレス製密閉容器に入れて、80℃で16時間静置熟成を行った後、攪拌することなしに150℃で72時間、自生圧力下で静置加熱した。密閉容器を冷却後、生成物をろ過、温水洗浄して白色粉末を得た。この生成物のX線回折図を図15(a)に示す。同図から判るように、この生成物は不純物を含まないBEA型ゼオライトであった。
【0091】
〔実施例6−2〜6−7及び比較例6−1〜6−4〕
表11及び表12に示す組成のゲル及び種結晶を用い、かつこれらの表に記載の反応条件を用いる以外は実施例6−1と同様にしてゼオライトを合成した。その結果を、表11及び表12に示す。また、実施例6−3及び6−6で得られた生成物のX線回折図を図15(b)及び(c)に示す。なお、本実施例で用いたゲルは、いずれも該ゲルのみからゼオライトを合成すると、モルデナイト(MOR)が生成する組成のものであった。また、実施例6−1及び6−2で得られた生成物の27Al MAS NMRスペクトルを図16(a)及び(b)に示す。これらのスペクトルから求めた4配位のアルミニウムと6配位のアルミニウムの存在割合(モル比)を表11に示す。
【0092】
【表11】

【0093】
【表12】

【0094】
〔実施例7−1〕
ゼオライトの脱アルミニウム化
1Mのクエン酸水溶液10mlと、実施例5−9で得られたベータ型ゼオライトを0.2とを混合して混合液を得た。この混合液をオートクレーブ内に入れ、135℃で96時間加熱し、ゼオライトの脱アルミニウム化を行った。加熱終了後、ゼオライトを濾過、水洗し、次いで大気雰囲気下、550℃で6時間にわたり焼成した。焼成後のゼオライトについて、Si2O/Al23比及びNa/Al比を化学分析した。分析にはICP−AESを用いた。その結果を以下の表13に示す。また得られたゼオライトのX線回折図を図17(a)に示す。
【0095】
〔実施例7−2〕
脱アルミニウム化の条件として、以下の表13に示す条件を採用した以外は実施例7−1と同様にしてゼオライトの脱アルミニウム化を行った。得られたゼオライトについて実施例7−1と同様の分析を行った。その結果を以下の表13に示す。また得られたゼオライトのX線回折図を図17(b)に示す。
【0096】
〔実施例7−3〕
1Mのクエン酸水溶液に代えて、1Mのクエン酸及び1Mの硝酸アンモニウムの混合水溶液を用いた。また、脱アルミニウム化の条件として、以下の表13に示す条件を採用した。これら以外は実施例7−1と同様にしてゼオライトの脱アルミニウム化を行った。得られたゼオライトについて実施例7−1と同様の分析を行った。その結果を以下の表13に示す。また得られたゼオライトのX線回折図を図17(c)に示す。
【0097】
〔実施例7−4ないし7−6〕
実施例7−1で用いたベータ型ゼオライトに代えて、実施例2−2で得られたMEL型ゼオライト(実施例7−4)、実施例3−6で得られたMSE型ゼオライト(実施例7−5)、実施例4−7で得られたMTW型ゼオライト(実施例7−6)を用いた。また、脱アルミニウム化の条件として、以下の表13に示す条件を採用した。これら以外は実施例7−1と同様にしてゼオライトの脱アルミニウム化を行った。得られたゼオライトについて実施例7−1と同様の分析を行った。ただし、実施例7−5については、Na/Al比に加えてK/Al比の分析も行った。その結果を以下の表13に示す。また得られたゼオライトのX線回折図を図18(a)ないし(c)に示す。
【0098】
【表13】

【0099】
表13に示す結果から明らかなように、クエン酸を用いた脱アルミニウム化によって、ゼオライトのSi2O/Al23比が非常に高くなることが判る。またNa/Al比がゼロに近くなり、H型のゼオライトに変換されたことが判る。更に図17及び図18に示す結果から、脱アルミニウム化を行っても、ゼオライトの結晶性が維持されることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水を含むゲルと、ゼオライトの種結晶とを反応させて、該ゼオライトと同種の骨格構造を有するゼオライトを製造する方法であって、
前記のゲルとして、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、そのコンポジット・ビルディング・ユニットとして、目的とするゼオライトのコンポジット・ビルディング・ユニットのうちの少なくとも1種を含むものとなる組成のゲルを用いることを特徴とするゼオライトの製造方法。
【請求項2】
前記のゲルとして、該ゲルのみから合成されたゼオライトが、種結晶のゼオライトと異種の骨格構造のものとなる組成のゲルを用いる請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
目的とするゼオライトがMFI型ゼオライトであり、
前記の種結晶としてMFI型ゼオライトを用い、
前記のゲルとして、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、モルデナイトとなる組成のゲルを用いる請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記のゲルとして、以下の(a)又は(b)に示す組成を有するものを用いる請求項3記載の製造方法。
(a)
SiO2/Al23=40〜200
Na2O/SiO2=0.24〜0.4
2O/SiO2=10〜50
(b)
SiO2/Al23=10〜40
Na2O/SiO2=0.05〜0.25
2O/SiO2=5〜50
【請求項5】
目的とするゼオライトがMEL型ゼオライトであり、
前記の種結晶としてMEL型ゼオライトを用い、
前記のゲルとして、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、モルデナイトとなる組成のゲルを用いる請求項2記載の製造方法。
【請求項6】
前記のゲルとして、以下の(a)又は(b)に示す組成を有するものを用いる請求項5記載の製造方法。
(a)
SiO2/Al23=40〜200
Na2O/SiO2=0.24〜0.4
2O/SiO2=10〜50
(b)
SiO2/Al23=10〜40
Na2O/SiO2=0.05〜0.25
2O/SiO2=5〜50
【請求項7】
目的とするゼオライトがMSE型ゼオライトであり、
前記の種結晶としてMSE型ゼオライトを用い、
前記のゲルとして、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、モルデナイトとなる組成のゲルを用いる請求項2記載の製造方法。
【請求項8】
前記のゲルとして、以下の(a)又は(b)に示す組成を有するものを用いる請求項7記載の製造方法。
(a)
SiO2/Al23=40〜200
(Na2O+K2O)/SiO2=0.24〜0.4
2O/(Na2O+K2O)=0〜0.7
2O/SiO2=10〜50
(b)
SiO2/Al23=10〜40
(Na2O+K2O)/SiO2=0.05〜0.25
2O/(Na2O+K2O)=0〜0.7
2O/SiO2=5〜50
【請求項9】
目的とするゼオライトがMTW型ゼオライトであり、
前記の種結晶としてMTW型ゼオライトを用い、
前記のゲルとして、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、MFI型ゼオライトを含む複数の化合物となる組成のゲルを用いる請求項2記載の製造方法。
【請求項10】
前記のゲルとして、以下に示す組成を有するものを用いる請求項9記載の製造方法。
SiO2/Al23=10〜150
Na2O/SiO2=0.075〜0.23
2O/SiO2=5〜50
【請求項11】
目的とするゼオライトがベータ型ゼオライトであり、
前記の種結晶としてベータ型ゼオライトを用い、
前記のゲルとして、該ゲルのみからゼオライトを合成したときに、合成された該ゼオライトが、モルデナイトとなる組成のゲルを用いる請求項2記載の製造方法。
【請求項12】
前記のゲルとして、以下の(a)、(b)又は(c)に示す組成を有するものを用いる請求項11記載の製造方法。
(a)
SiO2/Al23=40〜200
Na2O/SiO2=0.24〜0.4
2O/SiO2=10〜50
(b)
SiO2/Al23=10〜40
Na2O/SiO2=0.05〜0.25
2O/SiO2=5〜50
(c)
SiO2/Al23=6〜40
Na2O/SiO2=0.05〜0.25
Li2O/SiO2=0.005〜0.25
2O/SiO2=5〜50
【請求項13】
後工程として、Na型、K型若しくはLi型又はそれらの混合型のゼオライトと、クエン酸又はその塩の水溶液とを混合し、混合水溶液を自生圧力下に加熱して、該ゼオライトの脱アルミニウム化を行う、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
ゼオライトとしてベータ型ゼオライトを用いる請求項13記載の製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−126632(P2012−126632A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140636(P2011−140636)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】