説明

ゼリー入りデザートの製造方法

【課題】牛乳などの乳原料を含む液状部中に、乳成分を含有しないゼリーが分散した状態のゼリー入りデザートの製法であって、ゼリーを別途製造することなく、液状部とゼリー部を同時に調製する方法を提供する。
【解決手段】乳原料を含む液状部に、乳原料を含まないゼリー液を充填することにより、液状部中でゼリー化させる。ゼリー液に、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上を含有する。乳原料を含む液状部の液温を0〜30℃とし、ゼリー液の液温をゼリー液のゲル化温度より5〜20℃高い温度として液状部中でゼリー化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳などの乳原料を含む液状部中に、乳成分を含有しないゼリーが分散した状態のゼリー入りデザートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼリー食品は、ゲル特有の柔らかな弾力性に富んだ組織を有し、また口に含んだときの滑らかな舌触りが好まれている。また近年はゼリーと飲料との組み合わせデザートも広く検討されており、ミルク入り飲料にゼリーを添加したものなども知られている。
【0003】
牛乳などの乳原料を含む飲料にゼリーを添加した飲料の製造方法としては、例えば、乳成分を含む液状部にゼリーを添加してなるゼリー入り液状食品であって、乳成分中の乳蛋白の量を低く設定するゼリー入りコーヒー飲料(特許文献1)には、ゼリーと飲料を別々に調製する方法が記載されている。しかし、これらはゼリーと飲料を別々に調製する方法であり、製造工程が複雑になるという問題点があった。
【0004】
また、液状ミルクを含有するコーヒーゼリーの調製方法として、アルギン酸ナトリウム、LMペクチン、カラギーナン、ローカストビーンガム及びコーヒー粉末を含むゲル部分を水に分散し、他方の液状食品として、乳酸カルシウム、グァガム、脱脂粉乳を含む液状食品をスポイドを用いて滴下によりゲル部分の分散液に接触させることにより製造する方法が記載されている(特許文献2)。しかし、この方法ではスポイドを用いて滴下することによりゲルを生成させているものであり、また、ゲル状物の内部に液状部を内在させる特殊な製法である。
【0005】
更に、外層用ゼリーミックスとしてネイティブ型ジェランガム、グルコマンナン、キサンタンガム、脱脂粉乳を含む外層用ゼリーミックスを70℃で容器充填し、次いで、寒天、インスタントコーヒーなどを含む内層用ゼリーミックスを75℃で容器充填した後、冷却ゲル化させて製造するゼリー食品(特許文献3)が記載されている。しかし、この方法では外層と内層の両方がゲル化するゼリーインゼリーとなってしまう。
【0006】
また、乳成分を含有する液状部中に乳成分を含有しないゼリー部を形成させる場合には、液状部中の乳成分がゼリー部へ移行してゼリーが白濁するなどの問題がおこっていた。
【0007】
【特許文献1】特開2002−223733号公報
【特許文献2】特開2002−27925号公報
【特許文献3】特開2002−125602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、牛乳などの乳原料を含む液状部中に、乳成分を含有しないゼリーが分散した状態のゼリー入りデザートであって、液状部とゼリー部の内容成分の移行が見られないゼリー入りデザートを提供することを目的とする。詳細には、ゼリー部において乳原料により白濁化が起こることが抑制されること等により良好な外観を有するゼリー入りデザートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、意外にも乳原料を含む液状部に、乳原料を含まないゼリー液を直接充填することで、液状部中でゼリー化させることができ、乳飲料とゼリーを別途調製する必要がなく、乳原料を含む液状部中で乳原料を含まないゼリーが形成することを見いだした。好ましい製法としては、ゼリー液に、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、及びカラギナンから選ばれる1種以上を含有することにより、液状部とゼリー部の内容成分の移行が見られない良好な外観となることを見いだした。更に、乳原料を含む液状部の液温を0〜30℃とし、ゼリー液の液温をゼリー液のゲル化温度より5〜20℃高い温度として液状部中でゼリー化させることにより、乳成分のゼリーへの移行が抑制された更に良好なゼリー入りデザートとなることを見つけた。
【0010】
また、本発明のゼリー入りデザートは、コーヒーゼリー入りミルク飲料のような中性ドリンクだけでなく、酸性の乳原料を含む製品にも応用できるため、簡便に、ゼリー入り酸性乳飲料も調製できることを見いだした。
【0011】
すなわち本発明は、以下の態様を有するゼリー入りデザートの製造方法に関する;
項1.乳原料を含む液状部に、乳原料を含まないゼリー液を充填することにより、液状部中でゼリー化させることを特徴とするゼリー入りデザートの製造方法。
項2.ゼリー液に、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上を含有する、項1に記載のゼリー入りデザートの製造方法。
項3.乳原料を含む液状部の液温を0〜30℃とし、ゼリー液の液温をゼリー液のゲル化温度より5〜20℃高い温度として液状部中でゼリー化させる、項1又は2に記載のゼリー入りデザートの製造方法。
項4.乳原料を含む液状部のpHが2.5〜7.5である、項1乃至3のいずれかに記載のゼリー入りデザートの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、乳飲料とゼリーとを別途調製する必要がなく、乳原料を含む液状部中で乳原料を含まないゼリーを形成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、乳原料を含む液状部に、乳原料を含まないゼリー液を充填することにより、液状部中でゼリー化させることを特徴とするゼリー入りデザートの製造方法に関する。ゼリー液の充填方法としては、従来、滴下法など、ゼリー液を少しずつ滴下し、滴下分が液中でゼリーとなる方法が知られているが、本発明は、液状部に一気にゼリー液を充填することで、ゲルを液状部中で形成させることによりゼリー入りデザートを調製することができるのが特徴である。また、デザート用の容器に液状部を充填し、続けてゼリー液を充填することにより製造しても良く、また、製造タンクに溶液部を充填した後、ゼリー液を投入しゼリー入りデザートを製造してから容器充填を行っても良い。タンクによりゼリー入りデザートを製造する場合には、ゼリー液が溶液部の全体に行き渡るようにゼリー液充填後攪拌を行うことが好ましい。
【0014】
本発明では、ゼリー液に使用するゼリー基材として、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上を含有することが好ましい。中でも、脱アシル型ジェランガムとネイティブ型ジェランガムの併用、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの併用、ローカストビーンガム及びカラギナンの併用、寒天及びローカストビーンガムの併用などを好ましく挙げることができる。
【0015】
更には、耐熱性を有するゼリー基材を加えて調製することにより、殺菌時において、乳原料を含む成分のゼリーへの移行を抑制することができる。これら耐熱性を有するために用いられるゼリー基材として、例えば、前述の脱アシル型ジェランガム、寒天の他に、ファーセレラン、ペクチン、プルラン等から選ばれる1種以上を挙げることができる。中でも、脱アシル型ジェランガムを用いるのが好ましい。
【0016】
ゼリー液に使用するゼリー基材として、上記以外にも一般的に用いられているものを用いることができ、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、グァーガム、タマリンドシードガム、ゼラチン、マンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、澱粉などが挙げられ、これらから1種以上を選択して用いることもできる。
【0017】
ゼリー液中のゼリー基材の添加量であるが、ゼリー基材として、ネイティブ型ジェランガムを用いる場合、ゼリー液100質量部中、ネイティブ型ジェランガム0.01〜1.0質量部、脱アシル型ジェランガムを用いる場合は、0.1〜1.0質量部、寒天を用いる場合は0.1〜2.0質量部、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを併用する場合は、それぞれ、0.05〜1.0質量部及び0.05〜1.0質量部、ローカストビーンガム及びカラギナンを併用する場合は、それぞれ、0.05〜1.0質量部及び0.05〜1.0質量部となるように設定するのが好ましい。
【0018】
また、ゼリーのゲル化力を補完するために、ゼリー液にゼリー基材に加えてアルカリ土類金属塩を添加してもよい。
【0019】
アルカリ土類金属塩として、カルシウム塩、マグネシウム塩等を挙げることができ、好ましくはカルシウム塩である。カルシウム塩の例として、乳酸カルシウム、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、水酸化カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、硫酸カルシウム等の水可溶性のカルシウム塩の形態で用いられるか、または牛乳や豆乳などの動・植物性乳並びにこれらの乳製品の形態で用いることができる。アルカリ土類金属塩の添加量は、使用するアルカリ土類金属塩の種類や脱アシル型ジェランガムの添加量によって、適宜調整することができるが、例えば、カルシウム塩として乳酸カルシウムを添加する場合、液状部やゼリー液100質量部に対して、0.05〜0.5質量部を例示することができる。
また、アルカリ金属塩として、ナトリウム塩、カリウム塩も添加しても良い。
【0020】
本発明でいう乳原料は、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、濃縮乳、クリーム、練乳、バター等の乳成分が含有されている原料を指すが、本発明では液状部にはこれら乳原料を含み、ゼリー液には含まないことを特徴とするものである。特に、乳原料として、牛乳、脱脂粉乳、クリーム及び練乳から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。なお、本発明では乳原料に大豆由来の豆乳製品も使用することが可能である。このような乳原料を使用する液状部のpHとしては、2.5〜7.5といった、酸性域から中性域までの幅広いpHを挙げることができる。
【0021】
乳原料の添加量としては、乳固形分の量として、乳原料の液状部100質量部に対して1〜10質量部を挙げることができる。例えば、牛乳を使用する場合は、乳原料の液状部100質量部に対して、1〜100質量部、脱脂粉乳を使用する場合は同1〜20質量部を挙げることができる。
【0022】
更に、本発明では、乳原料をそのまま使用しても良いが、酸性化した状態で使用しても良い。乳原料の酸性化の方法としては、ドリンクヨーグルト、乳酸菌飲料等の発酵乳飲料(生菌、及び殺菌タイプ両者を含む)、及びそれらを凍結させたフローズンヨーグルト等の、発酵工程を含む乳飲料及びその乳飲料を含む食品(ドリンクヨーグルトタイプ)、あるいは、牛乳、全脂粉乳、加糖練乳、脱脂粉乳、脱脂粉乳、加糖脱脂練乳、脱脂乳濃縮乳、クリーム、発酵乳、バター、加工乳等の乳原料や豆乳、大豆粉等に、乳酸、クエン酸等の有機酸を添加することで酸性化した飲料(直接酸乳タイプ)等があげられる。酸性化した乳原料を使用する場合の液状部のpHは2.5〜6.0、好ましくは、3.0〜4.0程度を挙げることができる。
【0023】
また、乳原料を酸性化させて使用する場合には、安定剤として、水溶性ヘミセルロース(大豆多糖類)、ペクチン、発酵セルロース、微小繊維状セルロースなどの繊維状不溶性セルロース、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、タマリンドシードガム、寒天、ゼラチン、プロピレングリコールエステル、トラガントガム、カラヤガム、プルラン、CMC−Na、カラギナン、ネイティブ型ジェランガム、アラビアガム、カードラン、ラムザンガム、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、澱粉、加工・化工澱粉等から選ばれる1種以上を併用することが好ましい。
【0024】
更に、本発明では、乳原料を含む液状部及びゼリー液の液温を調整してゼリー液をゲル化させることにより、液状部にゼリー液の内容成分が移行しにくいゼリー入りデザートを調製することができる。詳細には、乳原料を含む液状部の液温を0〜30℃とし、ゼリー液の液温をゼリー液のゲル化温度より5〜20℃高い温度として液状部中でゼリー化させる方法を挙げることができる。
【0025】
例えば、ゼリー基材にネイティブ型ジェランガムを使用する場合には、ゼリー液の液温を60〜75℃として充填するのが好ましく、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを併用する場合には、50〜60℃、カラギナンを使用する場合は40〜50℃、寒天を使用する場合は35〜40℃とするのが好ましい。このような液温に設定することにより、乳原料を含む液状部中でゼリー液がゲル化しやすくなるからである。このように、本発明の製造方法により、予めゲル化したゼリーを調製する必要がなく、乳原料を含む液状部中に、簡便に任意形状の乳原料を含まないゼリーを形成させることができる。
【0026】
本発明で用いる液状部は、前述の乳原料を含んでいればよいが、必要に応じて、高甘味度甘味料、酸味料、調味料、色素、香料、果汁、カット果実、さのう、ピューレ、保存料、エキス、糊料、pH調整剤、洋酒、ビタミン、その他ミネラル類等を任意に添加することもできる。
【0027】
糖類としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)等をあげることができる。
【0028】
また、従来公知若しくは将来知られ得る甘味成分も糖類の代わりに用いることができ、具体的には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末、等の甘味成分を用いてもよい。
【0029】
本発明で用いるゼリー液は、前記ゼリー基材を含む溶液であれば良く、これに、必要に応じて、甘味料、高甘味度甘味料、酸味料、調味料、色素、香料、果汁、ピューレ、保存料、エキス、pH調整剤、洋酒、ビタミン、その他ミネラル類等を任意に添加することもできる。
【0030】
液状部及びゼリー液のpH、ブリックスも任意に調整することができ、また、液状部とゼリー液の配合割合も任意に調整することが出来る。液状部及びゼリー液の配合割合によって、ゼリーの浮上、沈降が問題となる系の場合は、液状部及びゼリー液を同等のpH、ブリックスにあわせておく方が好ましい。なお、液状部とゼリー液の配合割合は、重量比で20:80〜80:20、より好ましくは、40:60〜60:40の割合に配合することが出来る。
【実施例】
【0031】
以下に、実験例及び実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
【0032】
実施例1〜3:コーヒーゼリー入りミルク飲料の調製
下記のゼリー液処方に示す組成のうち、砂糖、インスタントコーヒー及びゼリー基材を水に加え、80℃10分間加熱溶解後、香料を加えゼリー液を調製した(pH5.5)。また、下記の液状部を処方通りに配合し、液状部を得た(pH7.5)。液状部をカップ容器の半分まで充填し、10℃に調整した後、前記ゼリー液を表1に記載の液温に設定して、液状部入りカップ容器に充填した後、冷却固化し、コーヒーゼリー入りミルク飲料を調製した。本方法は、ゼリーを別途製造することなく、液状部とゼリー部を同時に調製することができる点で有用性が高い。
【0033】
ゼリー液処方 部
砂糖 10
インスタントコーヒー 2
ゼリー基材 表1記載
香料(コーヒーエッセンス*) 0.15
水にて 100とする
【0034】
【表1】

【0035】
液状部処方 部
牛乳 50
砂糖 5
香料(ミルクフレーバー NO.2318*) 0.1
水にて 100とする
【0036】
実施例4〜5:マンゴーゼリー入りヨーグルトデザートの調製
下記のゼリー液処方に示す組成のうち、砂糖、甘味料及びゼリー基材を水に加え、80℃10分間加熱溶解後、クエン酸、色素及び香料を加えゼリー液を調製した(pH3.8)。また、下記の液状部のうち、砂糖、脱脂粉乳、安定剤を配合し、80℃10分間加熱攪拌溶解した後、クエン酸及び香料を添加して全量補正し液状部を得た(pH3.8)。10℃に調整した液状部60部をカップ容器に充填した後、前記ゼリー液を表2に記載の液温に調整して、液状部入りカップ容器に充填したのち、冷却固化し、マンゴーゼリー入りヨーグルトデザートを調製した。得られたデザートは、ヨーグルト飲料中に、マンゴーゼリー部の内容成分の移行が見られない良好な外観を有するゼリー入りデザートとなった。また、本方法は、ゼリーを別途製造することなく、液状部とゼリー部を同時に調製することができる点で有用性が高い。
【0037】
マンゴーゼリー液処方 部
砂糖 10
甘味料(サンスイート※SU-100*) 2
クエン酸(無水) 0.15
ゼリー基材 表2記載
色素(カロチンベースNO.80-SV*) 0.1
香料(マンゴーフレーバーNO.76358*) 0.1
水にて 100とする
【0038】
【表2】

【0039】
液状部(ヨーグルト飲料)処方 部
砂糖 10
脱脂粉乳 1
粉末発酵乳(スターム C−1*) 0.1
安定剤(SM-666*;HMペクチン含有) 0.2
クエン酸(無水) 0.1
香料(ヨーグルトフレーバー NO.73592*)0.1
水にて 100とする
【0040】
実施例6:黒糖ゼリー入り抹茶ミルクデザートの調製
下記のゼリー液処方に示す組成のうち、砂糖、甘味料及びゼリー基材を水に加え、80℃10分間加熱溶解後、色素及び香料を加えゼリー液を調製した(pH6.7)。また、下記の液状部のうち、砂糖、脱脂粉乳、安定剤を配合し、80℃10分間加熱撹拌溶解後、色素及び香料を加え、全量補正し150kgf/cmの圧力でホモゲナイズし液状部を得た(pH6.8)。10℃に調整した液状部60部をカップ容器に充填した後、前記ゼリー液を50℃〜60℃に調整して、液状部入りカップ容器に残り40部充填したのち、冷却固化し、黒糖ゼリー入り抹茶ミルクデザートを調製した。得られたデザートは、液状部とゼリー部の内容成分の移行が見られない良好な外観を有するゼリー入りデザートとなった。また、本方法は、ゼリーを別途製造することなく、液状部とゼリー部を同時に調製することができる点で有用性が高い。
【0041】
ゼリー液処方 部
砂糖 10
黒糖液 5
甘味料(サンスイート※SU-100*) 0.03
ゼリー基材(ゲルアップ※J-2710 *注1))1.5
香料(黒糖フレーバーNO.92015*) 0.15
水にて 100とする
【0042】
注1)ゼリー基材(ゲルアップ※J-2710 *:ローカストビーンガム36%、キサンタンガム20%、脱アシル型ジェランガム10%、でん粉30%含有)
【0043】
液状部(抹茶ミルク飲料)処方 部
砂糖 7.0
牛乳 10.0
脱脂粉乳 3.5
抹茶 0.5
乳化剤(ホモゲン※NO.2210(F)*) 0.5
色素(メロンカラーL*) 0.03
クエン酸(無水) 0.1
香料(マッチャフレーバー NO.67003*) 0.12
水にて 100とする
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明により、液状部とゼリーを別途調製する必要がなく、牛乳などの乳原料を含む液状部中に、乳成分を含有しないゼリーが分散した状態のゼリー入りミルク飲料などのデザートを調製することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳原料を含む液状部に、乳原料を含まないゼリー液を充填することにより、液状部中でゼリー化させることを特徴とするゼリー入りデザートの製造方法。
【請求項2】
ゼリー液に、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、及びカラギナンから選ばれる1種以上を含有する、請求項1に記載のゼリー入りデザートの製造方法。
【請求項3】
乳原料を含む液状部の液温を0〜30℃とし、ゼリー液の液温をゼリー液のゲル化温度より5〜20℃高い温度として液状部中でゼリー化させる、請求項1又は2に記載のゼリー入りデザートの製造方法。
【請求項4】
乳原料を含む液状部のpHが2.5〜7.5である、請求項1乃至3のいずれかに記載のゼリー入りデザートの製造方法。

【公開番号】特開2010−88357(P2010−88357A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262320(P2008−262320)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000175283)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 (429)
【Fターム(参考)】