説明

ソフトな触感で排水性の優れる弾性フィルムの製作に使用される機械

機械は、ソフトな触感で弾性があって排水性の優れる、フィルムの製作に使用される。その様な機械により製造されるフィルムは、少なくとも一方の表面において、三次元のミクロファンネルの実質的に連続するパターンを示しており、三次元(3D)のミクロコーンは、ミクロ開口が発生する表面に対して実質的に垂直な状態で方向付けられる。それは、反対側の表面において、マクロファンネルが発生する表面に対して実質的に垂直な状態で方向付けられる、3Dのマクロコーンからなる連続したパターンを示す。「ミクロファンネル」という用語は、人間の目で450mm以上の距離において認識不能な多数のファンネルを説明することが意図される。一方、「マクロファンネル」という用語は、人間の目で450mmより大きな距離において明確に見えるファンネルを説明することが意図される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収パッド、パンティー裏地、タンポン(止血栓)等の女性用使い捨て衛生製品に関連する技術に関する。多数のその様な製品が、三次元開口を有する、細孔(perforated)フィルムにより形成されていて消費者に接触する、側部を有することが知られている。これらの開口は、体液の通過後において乾燥していて清浄な状態を保持しながら、体液を素早く収集する。
【背景技術】
【0002】
その様な細孔フィルムの欠点は、消費者に不快感を与える、視覚的及び感触的にプラスティックの感覚である。
従って、三次元開口のあるフィルムであって、触感がソフトで織物材料と同様な外観でありながら、上記の細孔フィルムのような体液の取り扱い特性を保持する、フィルムが求められる。
【0003】
現在、ミクロ(微細)孔を有するフィルムが製造されている。三次元のミクロ孔のタイプのフィルムもまた製造されており、三次元のミクロ孔は、材料の感触をソフトにする。
【0004】
これらのミクロコーン(円錐体)は、加圧水技術により形成可能であるか、又は真空圧形成により形成可能である。前述の2つの方法は、既知技術である。
【0005】
方法及び結果の改善は、三次元孔のマクロ(大きな)コーンの列を、ミクロ孔を含むフィルムに適用することにより実現され、その結果、製品の排水性能の改善が達成された。
マクロコーン(円錐体)の製作は、事前に製作されたミクロコーンを破壊せずに実施されなければならない。
その様な結果は、異なる方法により実現可能である。
【0006】
米国特許US4839216において、米国特許US4609518のように、フィルムにおいて、形の整っていないマクロ開口の製造が開示されており、フィルムには加圧水技術を使用して、ミクロ孔が既に形成されている。
その様な方法は、マクロコーンを熱成形しないので、フィルムの排水特性は制限される。
【0007】
米国特許US6780372において、熱成形されたマクロ開口の製作方法が開示されており、それによると、フィルムは、ミクロ孔の周辺区域を加熱しないで、熱成形領域において局部的に処理される。
高温の針による穴あけ技術は、既知技術であるが、マクロコーンの熱成形方法の欠点は、フィルムを硬化させる傾向があることである。
またフィルムは、針にくっつく傾向があり、切り離すのに手間がかかる。
【0008】
米国特許出願US2.004.161.586において、熱溶解コーン周囲に形成された溶解材料リム(縁)の問題は、フィルムと高温針との間の直接的接触を回避するように、高溶融材料の層を介在させることにより解決する。
高溶融材料は、加工されたフィルムに比べると、機械的により弾性があり、高温針からフィルムを離すことを大いに補助する。
この最後の方法の欠点は、上記の高溶融材料の介在が、フィルムのコストの増大及び所望されない厚みの増大を意味することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、三次元の開口が開けられたフィルムの製造を目的としており、該フィルムは、触感がソフトで、弾性があり、艶消し仕上げされ、体液の有効で適切な処理に適しており、このことは、フィルムの上記の欠点を解消するものであり、更には、その様なフィルムを実現する方法を提供することを目的とする。
【0010】
その様なフィルムは、少なくとも一方で、三次元のミクロコーンの実質的に連続するパターンを示しており、三次元のミクロコーンは、ミクロ開口が発生する表面に対して垂直で接近した軸線に従い配置される。
他方において、マクロ開口が発生する表面に対して垂直で接近した軸線に従い配置される、三次元のマクロコーンからなる連続したパターンが存在し、そこでは、上記のミクロコーン及びマクロコーンの向きは、反対である。
【0011】
「ミクロコーン」という用語は、人間の目で450mm以上の距離において認識不能なコーンを意味するが、しかし「マクロコーン」という用語は、人間の目で450mmより大きな距離において明確に見えるコーンを意味する。
【0012】
マクロコーンは、既にミクロコーンを含む、熱可塑性フィルムにおいて熱成形されるので、方法は、ミクロコーンの過剰破壊を引き起こし得る。解決されるべき技術的問題は、事前に製作されたミクロコーンに損傷を与えずにマクロコーンを熱成形すること、及び同時に、得られたフィルムの柔らかさを維持することである。
【0013】
今日適用可能な技術的解決案は、高温針技術を使用してコーンを熱成形する方法を可能にしており、フィルムをカランダー(calander)を通り強制的に通過させており、カランダーにおいて、一方のリールには、針が設けられるが、もう一方には、穴が設けられ、各針は、もう一方のリール上で対応するスロット(穴)内に適合しており、熱成形が可能なように、穴を開けて、針とフィルムとの間の接触を強制的に実施する。
【0014】
しかし、針とフィルムとの間の接触時間は、フィルム全体が軟化点付近の温度、即ち針リールからのフィルムの切り離しを妨げる条件、に達することを回避するために、非常に制限される。
針とフィルムとの間の短い接触時間は、熱可塑性フィルムを部分的に溶解させる、より高い針温度を必要とし、冷却後に、熱可塑性フィルムは、硬化して、触感が心地よくない作用を生じる。
【0015】
市場が与える、より低いフィルムのgsmは、上記の理由により、実際の高温針技術を実行可能としていない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、マクロコーンの熱成形にための、細孔リールと高温針カランダーとの間、及び針からの切り離しのための、真空リールと高温針カランダーとの間におけるミクロ細孔フィルムの移動を図式的に示す。
【図2】図2は、一連の溝付リールを通って局部的引き伸ばしを行う、製品の移動を図式的に示す。
【図3】図3は、反対方向に形成されたミクロ孔とマクロ孔を有する、フィルムを図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書は、熱成形されたマクロ開口を、熱可塑性マトリックス(基盤)に形成する方法を説明しており、この際、前記マトリックスにはミクロ孔が既に存在しており、更に本明細書は、体液の収集性能及び排出の保持力を維持し、更に所望の感触及び外観特性と、ソフトな触感と、孔分布及び艶消し仕上げを実現する方法を説明する。
【0018】
熱可塑性フィルムの局部的な溶融を回避するために、溶融点より低い温度と協働する必要がある。孔の正しい形成を実現するためには、軟化点より高い温度だが、溶融点よりは実質的に低い温度と協働する必要があるので、針とフィルムとの間における、より長い接触時間を採用する必要がある。
【0019】
コーンの形成は、第1のリールの針と第2のリールの対応するスロットとの間においてフィルムを強制移動することにより実施される。一旦コーンが生成されると、フィルムは、適切な時間の間、針に接触し続けて、正常な熱成形を実施する。この際、針とフィルムとの間の結合力により材料が破壊されるので、単純に引っ張るのでは実行不可能な、針からのフィルムの切り離しを実施する、軟化点付近の温度に、フィルム全体が達することが含まれる。この所望されない効果は、より低いフィルムgsmの使用により、更により以上に促進される。この問題の解決のために、第3の細孔リールが使用される。このリールは、回転中に各スロットが対応する針に係合するような状態で分布する、孔を有する外部スリーブを具備する。
【0020】
外部スリーブは、中空の固定シャフトを回転させる。中空の固定シャフトは、その長さに沿って、針と第3の細孔リールとの間の接触領域を覆うのに十分な広さの開口を有する。
真空状態は、中空の固定シャフト内に形成され、それは、フィルムに損傷を生じることなしでフィルムを針から離れさせるように、熱成形されたコーンのベース(基部)において引っ張り力を生じる。
【0021】
熱成形プロセス(工程)の速度が、減少して、フィルムの焼きなましを最少化したとしても、加熱工程により生じる、硬化又は剛性化されたある程度の領域を完全に排除することは不可能である。
更にこの硬化を最少化するために、別の手順が開発され、それによりフィルムは溝付きの1つ以上のリールを通過する。
フィルムは、熱成形工程において硬化された領域、特には、マクロコーンの周囲を破壊し、軟化するように局部的に適切に引き伸ばされる。
【0022】
本発明が、熱可塑性フィルムを、針から切り離すように使用可能である、別の方法は、静電気を使用しており、その静電気により、減圧領域を形成する代わりに、静電気力が熱成形されたコーンのベースにおいて生成されるような方法で、第3の細孔リールにおいてフィルムを、反対の極性の静電荷を帯電させることができる。この力は、前述の要点で述べた方法と同様な方法で、フィルムを針から切り離す。
局部的な引き伸ばしシステムは、軸方向及び半径方向の両方向において溝を具備可能であり、それにより、機械の方向又は横断方向において、局部的な引き伸ばし状態を生成する。
【0023】
図1から分かるように、熱可塑性フィルムn1(通常、1dpe及び11dpeベース)は、鋳造技術により押出成形される。
依然塑性状態にあるフィルムは、マトリックス7に設置され、密度が平方cm当たり140孔から平方cm当たり1024孔までの間の種々のマクロ開口を有しており、即座に真空下に置かれて、フィルムを内側に破裂させることにより、三次元のミクロコーンを形成する。
【0024】
フィルムは、十分な時間が経過する間、マトリックスに接触する状態に保持されるので、フィルムの温度は、フィルムがマトリックスから離れることを可能にする、温度に変化する。
その様に形成されたフィルムn2はここで、マクロ穿孔の準備が整う。
【0025】
その後、針を有するリール3は、熱可塑性フィルムの熱成形温度の付近の温度で適切に熱的に調整されており、回転するよう設定され、針の密度と等しい孔密度を有する、一対の細孔リール4と5に同期させられる。
2つの細孔リールは、熱的に調整可能である。
【0026】
細孔リール4は、三次元コーンを形成する機能を有しており、高密度の剛毛を有するブラシリールにより置換可能である。
細孔リール5は、細孔フィルムを針から切り離す機能を有する。
【0027】
マクロ細孔フィルムは、三次元のマクロ開口を生成する、一対のリール3、4を通過する。
フィルムはその後、必要な時間の間、針と接触する状態で保持されて、適切な熱成形を実現する。その様な方法により、既知の方法に比べて、かなりより低い作動温度が可能になる。実際には、フィルムと針との間のその様な長い接触時間は、針の作動温度を、熱成形温度付近にするか又は、常にフィルムの溶融温度より低くすることを可能にし、フィルムに凹凸をつけ且つしわをつける、焼きなまし現象を抑制する。
【0028】
フィルムと針との間の接触時間を長くすることは、フィルムにおける焼きなまし効果を制限するが、しかし不幸にもフィルム全体は、フィルムを針から切り離し難くする、より高い温度に達する。針に接触するフィルムは、好適には約50から60℃の間の温度を保持する必要がある。
【0029】
低いgsmフィルム(15−30gsm)は、その様な高温において、その機械的特性を大幅に失うので、針と形成された直後のマクロ孔との間の接着力は、フィルムに直接的に作用する力を使用することにより、フィルムを損傷する可能性があるので、フィルムを切り離すことを実行不可能にする可能性があることが知られている。
【0030】
製品を損傷させることなく、うまく切り離しを実現するために、切り離し力は、マクロ孔の底部に適用することが望まれる。
細孔リール5は、空圧式真空チャンバを有するので、軽い力をマクロコーンのベースに作用させて、回転中に、空圧式真空の作用力は、製品の特性を変化させることなく、フィルムを針から切り離す。
更に、減圧される部分を横断する、空気の体積は、形成直後のマクロコーンを冷却する。
【0031】
フィルムは、真空により針から切り離されて、真空開口から離れるように移動するので、ローラーは必要ない。
フィルム6、206は、ミクロ穿孔により形成されたミクロコーン207と、マクロ穿孔により形成されたマクロコーン208とを有する。
【0032】
製品はここで、図2に示されるように溝付の、1つ以上の対のリール101、102を通過する。
フィルム103は、適切に引き伸ばされるので、熱成形工程により、結果的に硬化された領域、特には、マクロコーンの周囲を破壊する。
フィルム104は、冷却され巻かれる準備が整っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔フィルムであって、
触感がソフトである上面と、
対向する面と、
を具備する、細孔フィルムにおいて、
下面から前記上面まで前記フィルムを横断する、三次元開口の実質的に連続的パターンは、三次元の孔を形成しており、
前記上面は、前記上面から前記下面(10)まで伸びる三次元のマクロ孔を有する、ことを特徴とする細孔フィルム。
【請求項2】
前記ミクロ孔は、細孔マトリックスにおいて軟化された状態でフィルムを押出成形すること及び前記マトリックス内のその様なフィルムを空圧の真空を使用して引っ張ることにより製作される、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記ミクロ孔は、成形マトリックスに設置された前記フィルムに実質的に均一な圧力を適用することにより製作される、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記マクロ孔は、高温針による熱成形方法により製作される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項5】
前記マクロ孔内に設けられた前記ミクロ孔は、熱成形方法において閉じられる、ことを特徴とする請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記マクロ孔は、減圧部分を有する細孔リールを使用して、前記高温針から切り離される、ことを特徴とする請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
前記マクロ孔は、静電気的に帯電されていて且つ前記フィルムの反対に帯電された、細孔リールを使用して、前記高温針から切り離される、ことを特徴とする請求項5に記載のフィルム。
【請求項8】
前記ミクロ孔は、前記マクロ孔の反対の方向に向けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記ミクロ孔は、前記マクロ孔と同じ方向に向けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記フィルムは、一連の溝と一連の峰を有する、一対の整形されたリール間を通過するので、第1のリールの各峰は、第2のリールの対応する溝の実質的に中央に位置し、前記フィルムは強制的に、局部的に引き伸ばされることを特徴とする請求項1,6及び7のいずれか一項に記載のフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−538752(P2009−538752A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512778(P2009−512778)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【国際出願番号】PCT/IT2007/000381
【国際公開番号】WO2007/138640
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508353204)テクソール ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (1)
【Fターム(参考)】