説明

ソーセージ製品、ソーセージ及びソーセージ製造装置

本発明は、共押出し法によるソーセージ製品の製造方法と装置に関し、食品生地を供給する工程、粘性の皮形成塊状物質を供給する工程、及び共押出しを使用して、皮形成塊状物質層で少なくとも部分的に被覆された食品生地の中心部を押出してソーセージストランドを生産する工程を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共押出し法でソーセージ製品を製造する方法であって、A)食品生地を供給する工程、B)粘性の皮形成物質を供給する工程、及びC)共押出し法により、少なくとも部分的に前記皮形成物質層が形成される食品生地の中央を押出す、ソーセージストランドを供給する工程を備える方法に関する。また本発明は、このような方法によるソーセージ、及びこの方法を実施するための製造装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
当初、ソーセージは、血、器官及びスクラップなどの食肉解体物質を保存し、かつ経済的に使用するために生産されていた。多くの種類のソーセージがあり、それらの多くは、肉だけでなく、魚製品及び/又は野菜製品のような他の成分を含むか、あるいはそれらから成っている。ソーセージは均一でなくても良く、ソーセージの中央(ソーセージの芯とも言える)は、異なったタイプの生地を含んでいる。ソーセージの消費が世界的に広がるにつれ、高価で入手しにくく、かつ加工して生産される天然の皮形成物質の代替として、自動的なソーセージセ生産方法が要望されている。公知のソーセージの自動的かつ大量生産方法は、共押出し法を採用している。共押出し法は、実質的に全てが均一な皮形成層として供給される連続的な食品のストリング(ストリングとは、芯状、螺旋状、中心、ロープ状を意味する)を押出すことにより形成する共押出し手段によっている。ストリングの押出し手段、及び皮形成層の押出し手段は、単一の共押出しヘッド内に組み入れても、連続的な押出し手段として物理的に分離されていても良いが、物理的に分離されている場合には、両押出し手段は、共同/集合的関係で作動する。このようなストリング及び皮形成層の押出しを、本明細書では、「共押出し」と称する。被覆層は、共押出し後にゲル化処理を受けて(例えば凝集)、皮形成物質から水の一部を除去し、及び/又は皮形成物質を架橋し、これにより、前記皮形成物質を固化して安定化するゲルを含ませる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ソーセージの共押出しは、連続的で効果的な生産方法であるが、例えば成分/出発物質、物質の条件及び加工時間に対する生産上の要求により、皮形成組成物及び生産される構造の自由度は制限されている。
【0004】
本発明の一般的な目的は、共押出し法でソーセージ製品を製造する改良された方法、及びこの方法により生産されるソーセージ製品を卓越したものとする生産装置を提供すること、換言すると、従来の自動化されたソーセージ製造方法によるよりも、共押出し法で生産されるソーセージに、多くのタイプと変形を可能にする方法を提供することにある。また本発明は、新規タイプのソーセージ製品を提供することも目的としている。更に他の目的は、公知の共押出し法の効率を改良すること、及び/又は新規な皮形成物質を使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ソーセージ製品を製造する方法を提供するもので、中心部(の外側表面)は、少なくとも局所的に形成される複数層の皮形成塊状物質層を有し、この複数層の皮形成塊状物質層の少なくとも1層が、印加されるpHの影響下で、少なくとも部分的に実質的な固化状態に変換されるようになっている。これに関連し、「固化状態」とは、機械的な取り扱いに耐えるに十分な強度を有して、形状が保持されることを意味し、ある時間経過後に、少なくとも1層の皮形成塊状物質層を損傷させることなく、ソーセージを取り扱うことができ、「固化状態」の皮形成塊状物質層の構造は、形成時又はその直後の前記物質の粘度が増加する。前記中心部の外側表面が、少なくとも局所的に複数の皮形成塊状物質層を有するということは、前記中心部が複数の皮形成塊状物質層で、少なくとも局所的に被覆されていること、あるいは少なくとも局所的に、複数の皮形成塊状物質層が中心部に形成されることを意味する。中心部に皮形成物質を形成する際の皮形成塊状物質は、高粘性であり、その状態の物質は、成形ペーストと呼ばれている。前記皮形成塊状物質は、中心部に形成する前、及び/又は形成時に、液体であっても良い。複数層形成の利点は、その形成が、自動化されたソーセージ生産と組み合わされた異なった機能的な要求、例えば成形強度、バイト、弾性、予備波形構造、保存可能期間、風味、透過性、捩れ、及び/又は外観に関する要求を満たすことができることにある。
【0006】
新規な機能が、例えば時間経過により硬化する第2の皮形成層で被覆された、硬化しないか、又は部分的にのみ硬化する第1層を形成することにより付与され、これにより、完全には硬化されていない下層の皮形成層に起因して、硬化した皮が中心部から容易に剥離できる硬化した皮を有するソーセージを提供することができる。この二重構造の他の利点は、前記中心部の生産後の乾燥が少ないことである。複数層の皮は、単一層の皮より薄くても厚くても良い。本発明によると、自動化ソーセージ押出し法で生産される厚いソーセージの皮を生成して、高収率又は他の特性が得られる。
【0007】
工程B)では、少なくとも2層の異なった粘性の皮形成塊状物質が供給され、皮形成塊状物質の異なった層が形成される。両皮形成塊状物質は、提供しなければならない機能を最適化できる。換言すると、異なった皮形成塊状物質層は、複数の相反することもある機能を、単一の皮形成塊状物質層内に組み合わせる必要なしに、異なった機能を提供できる。このような機能最適化の例は、引き続く層に、アルギン酸塩とコラーゲンの両者を提供できることである。本発明の以前には、2種類の成分が、コラーゲンとは異なるアルギン酸塩の混合物(ハイブリッド)として使用され、塩浴を通過した後に捻り形成の機会を与えていたが、アルギン酸塩は、食品生地の中心部が与えるリン酸塩との接触に起因して経時的に溶解し、アルギン酸塩は、要求されるバイトをソーセージに与えない。アルギン酸塩及びコラーゲンにより、ソーセージに与えられる機能をできるだけ最適化することが要求される。本発明は、2種類の物質を物理的に混合する必要なく、アルギン酸塩及びコラーゲンの皮形成層から要求される効果を最適化させることができる。
【0008】
異なった皮形成層の機能を分離する他の可能性は、皮形成物質の成分コストを減少させる機会を与えることである。皮形成物質のうち、少なくとも1つの物質は、水、及びコラーゲン、及び/又はアルギン酸塩のような親水コロイドで、周知の皮形成層を与え、他の皮形成物質層は、任意の食用(例えば野菜又はミルク蛋白質)組成物でも良い。
【0009】
特定の態様では、筋繊維、及び/又は脂肪を含んで成る皮形成物質のブレンドを使用できる。筋繊維、及び/又は脂肪を皮形成塊状物質として使用する場合、前記塊状物質を、第1の皮形成層及び第3の皮形成層間に挟むことが好ましい。第1及び第3の皮形成層は、コラーゲンを含むことが好ましい。このような皮形成層で使用されるコラーゲンの量は、0.1重量%から6重量%の間であることがより好ましい。これにより、食品生地から外側(つまり第3の皮形成層)へのイオン交換は大きく減少する。香料やハーブのような異なった成分を、異なったコラーゲンを含む皮形成層で使用することも可能である。
【0010】
本発明方法の他の態様では、第1の皮形成層は、好ましくは、0.1重量%から6重量%の間の、より好ましくは、アルブミン又は鶏卵蛋白質である動物又は野菜蛋白質を含んでいる。第2(外側)層は、好ましくは0.1重量%から6重量%の間のアルギン酸塩を含んでいる。
【0011】
前記第1層が蛋白質を含む場合、更に難溶性のカルシウム塩を含んでいると、特に好ましい。第1の皮形成層から、アルギン酸塩を含む第2の皮形成層へカルシウムイオンは、比較的遅く放出されるため、長い保存可能期間と、良好なベーキング特性が得られる。次の1又は2以上のカルシウム塩を使用することが、特に好ましい。炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫化カルシウム、酒石酸カルシウム、又はこれらの混合物。
【0012】
使用可能で、かつ膜形成脳を有する皮形成塊状物質用の他の成分には、例えばアルギン酸塩、ペクチン、カラギーン及びキトサンのような多糖類、及びゼラチン、コラーゲン、水溶性蛋白質、鶏卵蛋白質、大豆蛋白質、カゼイン又はこれらの蛋白質のフラクション及び/又はペプチド、小麦グルテン、コーンザイン、乳漿蛋白質及び/又は豆蛋白質などの蛋白質がある。特に好ましいのは、アルギン酸塩とキトサンの組み合わせである。更に他の選択肢は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及び/又はカルボキシメチルセルロース(CMC)等の膜形成脳を有する水溶性セルロースエーテル類の使用である。更に、可塑剤をバイオフィルムに添加することが好ましく、その例は、ポリエチレングリコール(PRG)、ソルビトール及び/又はグリセリンである。皮形成物質への添加物の種類はほぼ無限であり、乳化剤のような界面活性剤を添加して、例えば湿潤性、及び/又は接着性を改良できる。異なった成分は、異なった膜形成方法を必要とする。 例えば、セルロースエーテルは、成形性と水の蒸発が必要であり、他方蛋白質は、熱変性することができ、更に酵素及び/又は架橋剤で架橋させることができる。アルギン酸塩やカラギーナン(カッパ及びイオタ)のような多糖類は、カルシウムの存在下で(カラギーナンはカリウムの存在下でも)ゲルを形成する。
【0013】
本発明によると、異なった皮形成物質組成物を使用する選択肢が増加し、ソーセージの皮として要求される全ての機能が、単一の皮形成塊状物質のブレンドで提供される訳ではない。2又はそれ以上の異なった皮形成物質組成物が、互いの機能に影響を及ぼす。
【0014】
他に生じる選択肢は、ある程度加熱されたときに、視覚的に変化する皮形成塊状物質を添加することであり、例えば、強度、バイト又は透過性に関する他の機能を追加することなく、ソーセージが安全な消費のために十分加熱されていることを示すか、あるいは皮形成を、温度及び保存可能期間によって、外観が変化するようデザインできる。
【0015】
発明によるソーセージ製品の製造方法の特定の実施形態において、少なくとも1層の皮形成塊状物質層を、少なくとも実際上の固化状態に積極的に変換する。このような変換は、製造時又は製造後の必要な時点で、少なくとも1層の皮形成塊状物質層の化学的、酵素的、電気的、熱的、及び/又は物理的処理で実現される。前記変換の利点は、例えば良好な品質の保証、及び必要長手方向空間と加工器具の節約を可能にする全加工時間を短縮する機会を提供することである。しかし、消極的に、すなわち単に時間を経過させることにより、皮形成塊状物質層を変換させることも可能である。
【0016】
本発明の方法においては、ソーセージストランドを固定浴を通し、これにより、皮形成塊状物質層の少なくとも1層を、少なくとも部分的に固化状態に変換する。前記固定浴は、特に皮形成塊状物質の外側の層の接着力を、積極的かつ迅速に増加させることを可能にする(加工の時点において)。
【0017】
少なくとも1層の皮形成塊状物質層を、少なくとも部分的に固化状態に変換した後、ソーセージストランドを個別化された製品に分割する。この個別化された製品は、互いに自由にカットされるが、個別化後、例えば捻りによる個別化後に、関連付けて、接続されていても良い。この個別化は、ソーセージの更なる加工、事業計画の作成及び販売の助けになる。
【0018】
本発明の製造方法の実施時に、構造改良剤を、工程B)又はC)の間に、皮形成塊状物質層に添加しても良い。このような構造改良剤は、1又は2以上の化学的、生化学的、酵素的及び/又は機械的な(例えば繊維)添加物である。構造改良剤を使用すると、少なくとも1層の皮形成塊状物質層の硬化を促進し、及び/又は他の機能(例えば外観、色、強度、形状)が与えられる。複数の皮形成塊状物質層は、該皮形成塊状物質層の2層間に添加剤を位置させることを可能にする。
【0019】
本発明方法の他の実施形態では、少なくとも1層の皮形成塊状物質層が、加工の後半にソーセージストランドから除去される。このような一時的な皮形成層は、生産されるソーセージのデザイン、及び/又は組成を卓越したものにする機会を与えるために使用できる。少なくとも1層の皮形成塊状物質層の除去は、ソーセージの個別化により、又はソーセージが個別化される前の加工の早期に行われる。前記層は、例えば剥離、洗浄、化学的処理、溶解化、酵素処理、電気的処理、及び/又は蒸発により除去される。他の選択肢は、ソーセージ製造の間、又はその後に、複数の皮形成塊状物質層を融合させること、そしてこれにより、複数層の皮を単一の皮形成塊状物質層に変換することである。ある状況では、皮形成層を、例えばこの層を剥離することにより除去することが好ましい。このような状況では、複数層は、製造時にのみ、例えば厚い皮の形成を可能にするか、あるいは保護又は他の理由で、加工のスピードアップを要求される。皮形成物質層の中間層(食品生地中心部と皮形成物質の外側層の間)の形成を選択して、前記皮及び食品生地中心部間の接合を増加させることにより、前記皮(の少なくとも一部)の容易な除去を促進するか、あるいはその逆に、前記皮(の少なくとも一部)の容易な除去を防止する。このことは、使用しているソーセージ製造方法による。皮形成物質の中間層の性質は、所望の(少なくとも一部の)皮の除去仕様を得るのに影響する。
【0020】
既述の通り、少なくとも1層の皮形成塊状物質層を実質的な固化状態に変換する。これは、少なくとも1層の皮形成塊状物質層の状態を変換しないことも、選択肢の1つであることを意味する。皮形成塊状物質の取り扱い要求は、他の状態に変換される1層(又は2層以上)によるが、これにより、皮形成塊状物質の少なくとも他の1層の皮形成塊状物質を、初期状態に保存する機会が提供される。
【0021】
皮形成塊状物質層の少なくとも1層を、ソーセージストランドの全長に亘って、不連続的に形成することも可能である。このような皮形成塊状物質層の少なくとも1層の不連続的な形成は、個別化された製品におけるソーセージストランドの後の分割に有利に働く。皮形成塊状物質層の少なくとも1層の不連続的な形成は、ソーセージ製造に複数の新規な機会を提供する。従って、個別化されたソーセージの異なった箇所に異なった機能を与えることができ、例えば個別化工程で圧縮されなければならない端部を、ソーセージ端部間のソーセージのパーツとは異なった皮形成塊状物質組成物で形成できる。他の選択肢は、追加的な視覚情報を提供することである。このような視覚情報の例は、製品同一性を確保するために「分割指示」(例えばリムの概略)又は「グリル・マーク」を付することである。
【0022】
食品生地の中心部の押出し、及び第1の皮形成塊状物質層の形成は同時に、例えば1秒以内、好ましくは0.5秒未満、更に好ましくは0.2秒未満で行っても良い。このように、前記中心部と第1の皮形成塊状物質層を組み合わせて製造すると、全加工時間が短縮され、既述の通り生産時間の短縮という利点が得られる。皮形成塊状物質の第1層、あるいはそれ以上の層を、前記中心部と同様に押出し法で押出し形成しても良く、これは単一の二重押出しヘッドで実現できる。しかし、皮形成塊状物質の第1層(及び引き続く層)を形成するための他の生産技術がある。このような代替形成技術は、例えばスプレイ、散布、浸漬及び浴浸漬である。実際的な有利な技術は、第1の皮形成物質層を押出し、引き続くスプレイステーション又は浴で半製品に導くことである。積極的に制御できるジェットシステムを使用して、皮形成物質を形成できる。このような積極的に制御できるジェットシステムを、皮形成物質の静電的接合と組み合わせても良い。積極的に制御できるジェットシステムの利点は、皮形成物質の価格を最適化できること、皮形成物質層の厚さの局所的多様化を可能にすること、皮形成物質層のパターンを導入することである。順序立てて複数層を形成することに代えて、複数層を同時形成しても良い。好ましい製造方法で安定な製品を実現するために、引き続く皮形成塊状物質層を形成する前に、食品生地の中心部に、少なくとも1層の皮形成塊状物質層を形成し、この層を処理して、粘性の皮形成塊状物質を、固化状態に変換する。このような処理は、熱処理(例えば加熱及び/又は冷却)又は乾燥である。
【0023】
本発明は、複数の皮形成塊状物質層の少なくとも1層が、実質的に固化状態に変換された、該複数層が少なくとも局所的に押出し形成された食品生地の中心部を含んでいる、上述の方法で製造されたソーセージ製品をも提供する。このようなソーセージが有する利点等については、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
好ましい態様では、ソーセージ製品の押出し形成された食品生地の中心部に、局所的に筋繊維を含む皮形成塊状物質層が形成され、かつ引き続く皮形成塊状物質層が、コラーゲン及びアルギン酸塩の少なくとも一方を含んでいる。このようなソーセージ製品には、例えば中心部に融合され、バイト及び/又はスナップ性を有する天然の皮の性質に類似する性質を有する人工の皮が用いられている。
【0025】
本発明は更に、食品生地供給手段、粘性皮形成塊状物質の少なくとも2回の供給手段、食品生地の中心部を形成するソーセージストランドの押出し用の押出しヘッド、第1の皮形成塊状物質層を形成する第1の形成手段、及び少なくとも局所的に、1又は2以上の引き続く皮形成塊状物質層を形成するための追加的形成手段を備え、前記少なくとも1個の第1の形成手段及び皮形成塊状物質用の追加的形成手段が、皮形成塊状物質押出し手段である、前述の方法によるソーセージ製品用製造装置をも提供する。ソーセージストランドの押出し用ヘッド、及び第1の皮形成塊状物質層用の第1の押出し手段を単一器具内、例えば共押出しヘッド内で組み合わせても良い。生産装置が複数の皮形成塊状物質押出し手段を備えている場合には、複数の(多分全ての)皮形成塊状物質層を押出しで形成できる。
【0026】
特定の態様では、この製造装置は、更にソーセージストランドからソーセージ製品を個別化する手段、及び/又は引き続く押出し手段を備える皮形成塊状物質の追加的形成手段を備えている。このような製造装置の利点を明らかにするために、本発明の方法と関連づけて明確に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明方法による、ソーセージ製品の製造装置の概略断面図。
【図2】本発明方法による、ソーセージ製品の製造装置の別の概略断面図。
【図3】本発明方法による、ソーセージ製品の製造装置の第2の代替態様の概略断面図。
【図4A】本発明方法による、ソーセージ製品の製造装置の第3の代替態様の一部破断斜視図。
【図4B】図4Aに部分的に示した、ソーセージ製品の製造装置の第3の代替態様の外部斜視図。
【図5】図5Aから図5Eは、本発明方法により、製造したソーセージ製品の種々の断面図及び斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を、図面に示した非限定的な実地例に基づいて、更に詳細に説明する。
【0029】
図1は、多層ソーセージ製品2の製造装置1の断面を示す。食品生地は、パイプを通して、共押出しヘッド3に供給され(矢印P1参照)、ポンプ4が前記食品生地を、押出し孔5を通して押出し、食品生地の中心部6を形成する。前記共押出しヘッド3に引き続く工程では、皮形成塊状物質を押出しリング7に供給して(矢印P2参照)、前記食品生地6の中心部6を被覆する第1の皮形成塊状物質層8を押出し形成する。第1の皮形成塊状物質層8で被覆された食品生地6の中心部は、引き続き、第2のタイプの皮形成塊状物質が供給される(矢印P3参照)、皮形成物質浴9に導かれ、第1の皮形成塊状物質層8の表面に位置する第2のタイプの皮形成塊状物質層10が形成される。ソーセージ最終製品2は、皮形成塊状物質の2層8,10で全体が被覆された食品生地の中心部6を有する。
【0030】
図2は、三重押出しにより、多層ソーセージ製品21の製造装置20の代替態様の概略断面図を示す。図1に示した製造装置1と対応する部材には、同じ符号を付してある。パイプを通して、食品生地が二重押出しヘッド22に供給され(矢印P1参照)、ここでポンプ4が前記食品生地を、押出し孔5を通して押出し、食品生地の中心部6を形成する。図1にも示した通り、引き続く工程で、皮形成塊状物質が押出しリング7に供給され(矢印P2参照)、前記食品生地の中心部6を被覆する第1の皮形成塊状物質層8を押出し形成する。第1の皮形成塊状物質層8で被覆された食品生地の中心部6は、引き続き第2の押出しリング23を通過し、前記第1の皮形成塊状物質層8を被覆する第2の皮形成塊状物質層24を押出し形成する(矢印P4のように供給される)。図1と同じように、ソーセージ最終製品21は、皮形成塊状物質の2層8、10で全体が被覆された食品生地の中心部6を有し、第2の皮形成塊状物質層24は、第1の皮形成塊状物質層8を被覆している。
【0031】
図3は、多層ソーセージ製品31の製造装置30の代替態様の概略断面図を示す。前述と同じように、図1及び図2で示した生産装置1、20に対応する部材には、同じ符号を付してある。パイプを通して、食品生地が二重押出しヘッド32に供給され(矢印P1参照)、ここで、ポンプ4が前記食品生地を、押出し孔5を通して押出し、食品生地の中心部6を形成する。前述の製造装置1、20とは異なり、引き続く工程で、皮形成塊状物質が、シャワーヘッドタイプのノズル33に供給され(矢印P5参照)、食品生地の中心部6を被覆する第1の皮形成塊状物質層34を形成する。第1の皮形成塊状物質層34で被覆された食品生地の中心部6は、引き続き押出しリング23を通過し、前記第1の皮形成塊状物質層34を被覆する第2の皮形成塊状物質層24を押出し形成する(矢印P4のように供給される)。前述の通り、このソーセージ最終製品31は、皮形成塊状物質の2層34、24で全体が被覆された食品生地の中心部6を有し、第2の皮形成塊状物質層24は、第1の皮形成塊状物質層34を被覆している。
【0032】
図4Aは、共押出しヘッド3を使用する3層ソーセージ製品41を製造するための製造装置40を、図1と関連付けて示す。しかし多層製品は、三重押出しヘッド又は芯と3層又はそれ以上の皮形成層を押出す押出しヘッド(四重押出しヘッド又はより多重の押出し層カウントヘッド)で生産することもできる。食品生地及び第1のタイプの皮形成塊状物質が共押出しヘッド3に供給される。この押出し法は、前述の通り(図1に関する説明を参照)、半製品42(第1の皮形成塊状物質層8で被覆された食品生地の中心部6)を生成する。この半製品42は、引き続き、第2のタイプの皮形成塊状物質を前記半製品にスプレイする第1スプレイ装置43に案内される。この第1スプレイ装置43の後に、前記食品ストランドは、第3のタイプの皮形成塊状物質をスプレイする第2のスプレイ装置44に案内されて、第3の皮形成塊状物質層を提供する(例えば固定のため)。前記3層食品ストランド41は、次いで、インダクションユニット46を通って、前記皮形成物質層の1つを少なくとも部分的に固化し、前記3層食品ストランド41を取り扱うことを可能にする。
【0033】
図4Bは、図4Aで説明した製造装置40の外観図である。共押出しヘッド3は、スプレイ装置43、44及びインダクションユニット46を保持する3個のキャビネット47に接続されている。インダクションユニット46を保持する最後のキャビネット47の後方の生産ラインには、3層ソーセージストランド41からソーセージ製品49を個別化する単一化装置48が示されている。
【0034】
図5Aは、本発明のソーセージストランド50の概略断面図で、食品生地の中心部51は、2つの皮形成塊状物質層52、53で被覆されている。外方の皮形成塊状物質層53上に、複数の皮形成塊状物質層54が間隔を空けて局所的に形成されている。皮形成塊状物質層54は、ソーセージストランド50を局所的に強化するために形成され、前記ストランドは、後のソーセージ製品の個別化、又はマーク(最終消費者や他の顧客の利便性のためにマークを分割する)形成時に分離される。
【0035】
図5Bは、本発明による代替ソーセージストランド55の概略断面図で、食品生地の中心部51(前述の通り、図5Aに示したソーセージストランド50に対応する部材には同じ符号を付してある)は、まず皮形成塊状物質層の部分56により部分的に被覆され、かつ皮形成塊状物質層の部分56の間の食品生地51及び前記皮形成物質層の部分56上に、他の皮形成塊状物質層57が形成される。
【0036】
図5Cは、分割(個別化)が実施され、両端62、63を除いて、第1の皮形成塊状物質層61で被覆された食品生地の中心部51を有する個別化されたソーセージ60を示す。しかし、これらのソーセージの端部62、63は、第1の皮形成塊状物質層61とは異なったタイプの皮形成塊状物質製の部分的な第2の皮形成塊状物質層で被覆され、かつ第2の皮形成塊状物質層64と異なった性質のため、食品生地部分は、流動でき、分割のために、自由になる食品生地の中心部51の部分をカバーできる。
【0037】
図5Dのソーセージ70の断面図は、粘着性を有する第1の皮形成塊状物質層71で被覆された食品生地の中心部51を示している。第2の皮形成塊状物質層72は、少なくともその実質的な部分は、調味料/スパイスを含み、第3の皮形成塊状物質層73は、消費の準備のために部分的に溶融するまでの保護層である。第4の非食用の皮形成塊状物質層74は、熱処理間の保護のために形成され、消費の前に除去される。このソーセージ70の複数の皮形成塊状物質層71、72、73、74は、異なった厚さを有する。前記非食用の皮形成塊状物質層74を容易に剥離するため、この層に前もって刻みを付けたり、及び/又は孔を開けたりしてもよい。このような孔は、他の皮形成塊状物質層でも有用であり、例えばそれらを、流体及び/又はガスに対して透過性とすることができる。他の選択肢は、非透過性の特定の皮形成塊状物質層を使用して、ソーセージ製品中のガス及び/又は流体を意図的に捕捉することである。
【0038】
図5Eのソーセージ75の断面は、形成後に、溶融された2層の皮形成塊状物質層76、77で被覆された食品生地の中心部51を示す。時間の経過とともに起こる、1又は2層以上の非食用の皮形成塊状物質層の不可避的な変化を、ソーセージ製品の形状変化(例えば折り曲げ)に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 製造装置
2 ソーセージ製品
3 共押出しヘッド
4 ポンプ
5 押出し孔
6 中心部
7 リング
8 第1の皮形成塊状物質層
9 皮形成物質浴
10 第2の皮形成塊状物質層
20 製造装置
21 ソーセージ製品
22 押出しヘッド
23 押出しリング
24 第2の皮形成塊状物質層
30 製造装置
31 ソーセージ製品
32 押出しヘッド
33 ノズル
34 第1の皮形成塊状物質層
40 製造装置
41 ソーセージ製品
42 半製品
43 第1スプレイ装置
44 第2スプレイ装置
46 インダクションユニット
47 キャビネット
48 単一化装置
49 ソーセージ製品
50 ソーセージストランド
51 中心部
52、53 皮形成塊状物質層
54 皮形成塊状物質層
55 ソーセージストランド
56 皮形成塊状物質層の部分
60 ソーセージ
61 第1の皮形成塊状物質層
62、63 両端
64 第2の皮形成塊状物質層
70 ソーセージ
71 第1の皮形成塊状物質層
72 第2の皮形成塊状物質層
73 第3の皮形成塊状物質層
74 第4の皮形成塊状物質層
75 ソーセージ
76、77 皮形成塊状物質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共押出しによるソーセージ製品の製造方法であって、
A)食品生地を供給する工程、
B)粘性の皮形成塊状物質を供給する工程、及び
C)共押出しを使用して、皮形成塊状物質層で少なくとも部分的に被覆された食品生地の中心部を押出してソーセージストランドを生産する工程を備え、
前記中心部には、少なくとも2層の皮形成塊状物質層が形成され、この少なくとも2層の皮形成塊状物質層の少なくとも1層は、少なくとも部分的に実質的な固化状態に変換されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
工程B)の間に、少なくとも2層の異なった粘性の皮形成塊状物質を供給して、皮形成塊状物質の異なった層を形成させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの皮形成塊状物質は、水、及びコラーゲン及び/又はアルギン酸塩のような親水コロイドを含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の皮形成物質層は、0.1%から6重量%の蛋白質、好ましくは動物又は野菜蛋白質、より好ましくはアルブミン又は鶏卵蛋白質を含んで成り、第2の皮形成物質層は、アルギン酸塩、好ましくは0.1%から6重量%のアルギン酸塩を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の皮形成物質層は、更に、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、又はこれらの混合物のような難溶性カルシウム塩を含んでいることを特徴とする請求項4項に記載の方法。
【請求項6】
第1の皮形成物質層は、コラーゲンを含み、第2の皮形成物質層は、食用脂肪又は油を含み、第3の皮形成物質層は、コラーゲンを含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1層の皮形成塊状物質層が、少なくとも部分的に固化状態に変換されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ソーセージストランドが、固定用浴を通るように案内され、これにより、少なくとも1層の皮形成塊状物質層が、少なくとも部分的に固化状態に変換されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1層の皮形成塊状物質層を、少なくとも部分的に固化状態に変換した後に、ソーセージストランドを、個別化された製品に分割することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
構造改良剤が、工程B)又はC)の間に、皮形成塊状物質層に添加されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1層の皮形成塊状物質層が、ソーセージストランドから除去されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1層の皮形成塊状物質層の状態が変換されていないことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
皮形成塊状物質の少なくとも1層は、ソーセージストランドの長さ方向に不連続に形成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1層の皮形成塊状物質層の不連続な形成は、後の個別化製品のソーセージストランドの分割に同調していることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
食品生地の中心部の押出し及び第1の皮形成塊状物質層の形成を同時に行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
皮形成塊状物質層を、散布、スプレイ又は浴浸漬により形成する請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
引き続く皮形成塊状物質層が形成される前に、少なくとも1層の皮形成塊状物質層を有する食品生地の中心部を処理して、粘性の皮形成塊状物質をより固化状態に変換することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
複数の皮形成塊状物質層の少なくとも1層が実質的に固化状態に変換された、該複数層が少なくとも局所的に押出し形成された食品生地の中心部を含んで成る、請求項1〜17までのいずれか1項に記載の方法で製造されたソーセージ製品。
【請求項19】
押出し形成された食品生地の中心部に、局所的に筋繊維を含む皮形成塊状物質層が形成され、かつ引き続く皮形成塊状物質層がコラーゲン及びアルギン酸塩の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項18に記載のソーセージ製品。
【請求項20】
−食品生地供給手段、
−粘性皮形成塊状物質の少なくとも2回の供給手段、
−食品生地の中心部を形成するソーセージストランドの押出し用の押出しヘッド、
−第1の皮形成塊状物質層を形成する第1の形成手段、及び
−少なくとも局所的に、1又は2以上の引き続く皮形成塊状物質層を形成するための追加的形成手段を備え、
前記少なくとも1個の第1の形成手段及び皮形成塊状物質用の追加的形成手段が、皮形成塊状物質押出し手段である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によるソーセージ製造装置。
【請求項21】
複数の皮形成塊状物質押出し手段を備えていることを特徴とする請求項20に記載の製造装置。
【請求項22】
更にソーセージストランドからソーセージ製品を個別化する手段を備えていることを特徴とする請求項20又は21に記載の製造装置。
【請求項23】
皮形成塊状物質の追加的形成手段が、押出し手段であることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【公表番号】特表2013−516171(P2013−516171A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547045(P2012−547045)
【出願日】平成22年12月30日(2010.12.30)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050898
【国際公開番号】WO2011/087359
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512171799)マレル タウンゼント ファーザー プロセッシング ベスローテン フェンノートシャップ (1)
【Fターム(参考)】