説明

ゾレア/オマリズマブ/E25と免疫抑制剤の相乗的組み合わせ剤

本発明は、抗IgE抗体および少なくとも1種のさらなる免疫抑性剤(ここで、これらの活性成分はいずれの場合も遊離形または薬学的に許容される塩の形で存在する)ならびに所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、同時の、別々のまたは連続的使用のための医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
アレルギー疾患の処置において一般的に認められている目的は、症状の軽減、生活の質の改善ならびに急性および慢性両方の合併症の予防の提供である。アレルギー疾患の処置は、症状の重症度およびタイプに伴い変化する。短期的目的は、即時の症状の軽減を含み、一方長期的目的はまた将来のアレルギー性反応を避けることを含む。これらの治療目的を達成するために、アレルギー疾患を有する患者に投薬することがしばしば必要である。例えば、デキサメサゾンまたはプレドニゾンのようなコルチコステロイドは免疫応答を減少させ、そしてアレルギー疾患の症状を軽減するために処方でき、ジフェンヒドラミンのような抗ヒスタミンは、軽度から中程度の症状のよい軽減を提供でき、エピネフリンは気道の腫脹およびアレルギー疾患の他の生命を脅かす症状の軽減のために使用できる。一般に、特に食物または薬剤に対するアレルギー性反応では、アレルゲンを避けることが長期処置には重要である。また、アレルゲンを避けることができないならば、脱感作(免疫治療)がしばしば推奨される。脱感作は、投与量を漸増させながら、アレルゲンの定期的な注射を含む。
【背景技術】
【0002】
例えば、アレルギー性喘息において、処置は投薬を介した症状の制御を目的とする。アレルギー性喘息の処置のために種々の薬剤が利用可能である。これらの薬剤は、例えば、抗炎症物質、ロイコトリエン阻害剤、気管支拡張剤、クロモリンナトリウムおよびアミノ−またはテオフィリンのような、種々の化学的クラスおよび治療的クラスの抗アレルギー性化合物を含む。軽度の喘息、すなわち、稀に発作が起こる患者は、必要に応じて気管支拡張剤を使用でき、一方、顕著な喘息、例えば1週間に2回以上症状が起こる患者は、抗炎症性薬剤、好ましくは吸入コルチコステロイドと、それに加えて気管支拡張剤で処置すべきである。急性の重篤な喘息は、医学的評価を必要とし、入院、酸素、および静脈内投薬が必要となり得る。
【0003】
しかしながら、一般に、症状をより良く制御するための既存の薬剤の改善、ならびにアレルギー疾患の制御の治療的要求に応じるための根本的な疾患過程を軽減の必要性が残っている。
【発明の開示】
【0004】
発明の要約
本発明は、活性成分として抗IgE抗体および少なくとも1種の免疫応答抑制剤(これらの活性成分は、いずれの場合も遊離形または薬学的に許容される塩の形で存在する)、および所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、同時の、別々のまたは連続的使用のための医薬組成物に関する。
【0005】
また提供されるのは、温血動物に治療的有効量の本発明の組成物を投与することを含む、アレルギー疾患の予防、進行遅延または処置法である。
【0006】
本発明の他の局面において、薬剤としての本発明の組成物の使用が提供される。
さらに、アレルギー疾患を有する温血動物の処置用薬剤の製造のための本発明の組成物の使用が提供される。
【0007】
別の局面において、活性剤としての本発明の組成物を、アレルギー疾患の予防、進行遅延または処置におけるそれらの同時の、別々のまたは連続的使用のための指示書と共に含む、キットを提供する。
【0008】
発明の詳細な記載
本発明は、とりわけアレルギー疾患、とりわけアレルギー性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーおよびアレルギー疾患と関連する疾患および状態およびアレルギー疾患と関連する疾患および状態の予防、進行遅延または処置における、同時の、別々のまたは連続的使用のための、抗IgE抗体および少なくとも1種の免疫抑性剤(ここで、これらの活性成分はいずれの場合も遊離形または薬学的に許容される塩の形で存在する)および所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、各々組み合わせ製剤または医薬組成物のような組み合わせ剤に関する。
【0009】
抗IgE抗体および少なくとも1種の免疫抑性剤は、独立して、またはこれらの成分の区別される量での異なる固定された組み合わせ剤の使用により、投薬できる。次いで、複数パーツのキットのパーツを、例えば、時間的にずらして、すなわち、異なる時点で、複数パーツのキットいずれかのパーツに対して等しいまたは異なる時間間隔で投与できる。好ましくは、時間間隔は、処置する疾患または状態に対するこれらのパーツの組み合わせた使用での効果が、成分のいずれか一方のみの使用により得られるであろう効果よりも大きいように選択する。好ましくは、少なくとも1個の利点、例えば活性成分の効果の相互の増強、さらなる有利な効果、少ない副作用、一方または各々の活性成分の非治療有効量での組み合わさった治療効果、およびとりわけ相乗作用、例えば相加効果以上の効果が、上記の抗IgE抗体と、少なくとも1種のさらなる化合物各々の間に存在する。
【0010】
本発明の意味の範囲内での“抗IgE抗体”は、IgE抗体に対する全ての抗体、特にIgE抗体のFc部分に対する抗体であり得る。好ましくは、本抗IgE抗体はヒト化マウス抗体または完全なヒト抗体である。好ましくは、本抗IgE抗体は、非アナフィラキシー性抗IgE抗体である。故に、好ましくは、本発明のIgE抗体は、肥満細胞または好塩基球からのヒスタミン放出をもたらさない。
【0011】
好ましい本発明の抗IgE抗体は、下記にさらに定義する通りの、オマリズマブ(E25)、E26、CGP56901、CGP51901、またはそれらのフラグメントおよび誘導体と呼ばれる抗体である。最も好ましくは、本抗IgE抗体はオマリズマブであり、これはまた“E25”または“ゾレア(登録商標)”と呼ばれる。他の特に好ましい抗IgE抗体は、下記にさらに定義する通り、“E26”と呼ばれる。
【0012】
一般に、抗IgE抗体は先行文献に記載され、国際出願WO93/04173およびWO99/01556に非常に詳細に記載されている。特許出願を引用しているいずれの場合も、化合物に関連する対象を引用により本願に包含させる。例えば、WO99/01556は、オマリズマブを、図12、および配列番号13−14で具体的に記載している。E26配列を含む抗体分子はWO99/01556に記載され、図12−15に従い、F(ab)フラグメント(配列番号19−20)、sFvフラグメント(配列番号22)およびF(ab)'フラグメント(配列番号24−25)から成る群から選択される。本発明の範囲内で、用語E25およびE26はそれに応じて解釈すべきである。
本発明にまた包含されるのは、US特許US6,066,718;US6,072,035およびUS5,958,708に具体的に記載されている抗体である。
【0013】
U.S.特許5,449,760は、一般に可溶性IgEと結合するが、B細胞または好塩基球の表面上のIgEとは結合しない抗IgE抗体を記載する。このような抗体は、可溶性IgEと結合し、IgE活性を、例えば、IgE受容体結合部位の遮断により、抗原結合部位の遮断によりおよび/または単にIgEを循環から除くことにより、阻害する。抗IgE抗体由来のさらなる抗IgE抗体およびIgE結合フラグメントは、U.S.特許5,656,273に記載されている。U.S.特許5,543,144は、可溶性IgEおよびIgE発現B細胞上の膜に結合したIgEと結合するが、好塩基球に結合したIgEとは結合しない抗IgE抗体を記載する。本明細書の文脈内での用語“免疫抑制剤”または“免疫抑性剤”は、移植臓器拒絶反応(同種移植片拒絶反応)の予防に有用な化合物を意味する。本発明の“免疫抑性剤”は、(1)Tヘルパー細胞活性化阻害剤、(2)カルシニューリン(calcinneurin)阻害剤、(3)IL−2アンタゴニスト、(4)Tリンパ球増殖阻害剤、(5)Tリンパ球移動阻害剤から成る群から選択され得る。
【0014】
現在知られている免疫抑制剤は、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンまたはアスコマイシン、例えばシクロスポリンA(NEORAL(登録商標))、ISAtx-247、FK506(タクロリムス)、FK778、ABT-281またはASM981、mTOR阻害剤、例えばラパマイシンまたはその誘導体、例えばシロリムス(RAPAMUNE(登録商標))、エベロリムス(Certican(登録商標))、CCI779、ABT578、バイオリムス−7、バイオリムス−9、ラパログ、例えばAP23573、アザチオプリン、キャンパス(campath)1H、S1P受容体モジュレーター、例えばFTY720またはその類似体、抗IL−8抗体、ミコフェノール酸またはその塩、例えばナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPT(登録商標))、OKT3(ORTHOCLONE OKT3(登録商標))、プレドニゾン、ATGAM(登録商標)、THYMOGLOBULIN(登録商標)、ブレキナール(brequinar)ナトリウム、OKT4、T10B9.A-3A、33B3.1、15−デオキシスペルグアリン、トレスペリムス、レフルノミドARAVA(登録商標)、CTLA1-Ig、抗CD25、抗IL2R、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))、ダクリズマブ(ZENAPAX(登録商標))、ミゾルビン(mizorbine)、メトトレキサート、デキサメサゾン、ISAtx-247、SDZ ASM 981(ピメクロリムス、Elidel(登録商標))、CTLA4Ig(Abatacept)、LEA29Y、LFA3Ig、hu5C8、エタネルセプト(ImmunexからEnbrel(登録商標)として販売)、アダリムマブ(Humira(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、抗LFA−1抗体、ナタリズマブ(Antegren(登録商標))、UO126、B7RP-1-fc、hul 124、BTI-322、allotrap-HLA-B270、Enlimomab、ABX-CBL、抗胸腺細胞免疫グロブリン、Medi-500、Medi-507、アレファセプトおよびエファリズマブを含むが、これらに限定されない。
【0015】
一つの局面において、本発明はゾレア(登録商標)ならびに少なくとも1種の免疫抑性剤を含む医薬組成物を提供する。本免疫抑性剤は、好ましくはカルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンまたはアスコマイシン、例えばシクロスポリンA(NEORAL(登録商標))、ISAtx-247、FK506(タクロリムス)、FK778、ABT-281またはASM981、mTOR阻害剤、例えばラパマイシンまたはその誘導体、例えばシロリムス(RAPAMUNE(登録商標))、エベロリムス(Certican(登録商標))、CC1779、ABT578、バイオリムス−7、バイオリムス−9、ラパログ、例えばAP23573、アザチオプリン、キャンパス1H、S1P受容体モジュレーター、例えばFTY720またはその類似体、抗IL−8抗体、ミコフェノール酸またはその塩、例えばナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPT(登録商標))、OKT3(ORTHOCLONE OKT3(登録商標))、プレドニゾン、ATGAM(登録商標)、THYMOGLOBULIN(登録商標)、ブレキナールナトリウム、OKT4、T10B9.A-3A、33B3.1、15−デオキシスペルグアリン、トレスペリムス、レフルノミドARAVA(登録商標)、CTLA1-Ig、抗CD25、抗IL2R、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))、ダクリズマブ(ZENAPAX(登録商標))、ミゾルビン、メトトレキサート、デキサメサゾン、ISAtx-247、SDZ ASM 981(ピメクロリムス、Elidel(登録商標))、CTLA4Ig(Abatacept)、LEA29Y、LFA3Ig、hu5C8、エタネルセプト(ImmunexからEnbrel(登録商標)として販売)、アダリムマブ(Humira(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、抗LFA−1抗体、ナタリズマブ(Antegren(登録商標))、UO126、B7RP-1-fc、hul 124、BTI-322、allotrap-HLA-B270、Enlimomab、ABX-CBL、抗胸腺細胞免疫グロブリン、Medi-500、Medi-507、アレファセプトおよびエファリズマブから成る群から選択される。
【0016】
好ましい態様において、本発明は、ゾレア(登録商標)ならびに、好ましくは抗IL2R抗体、抗CD25抗体、バシリキシマブ、ダクリズマブ、抗IL−8抗体、アダリムマブ、インフリキシマブ、hu5C8、OKT3、OKT4、抗TACac、T10B9.A-3A、33B3.1、hul 124、BTI-322、allotrap-HLA-B270、Enlimomab、ABX-CBL、抗胸腺細胞免疫グロブリン、Medi-500、Medi-507、アレファセプトおよびエファリズマブから成る群から選択される少なくとも1種の免疫抑制剤抗体を含む、医薬組成物を提供する。特に好ましい態様において、本免疫抑制剤は抗IL2R抗体、例えばバシリキシマブまたはダクリズマブである。
【0017】
他の好ましい態様において、本免疫抑制剤は、好ましくはシクロスポリンA、FK506またはピメクロリムスから成る群から選択されるカルシニューリン阻害剤(calcineurinhibitor)である。
【0018】
さらに別の好ましい態様において、本免疫抑制剤は、例えば抗IL2R抗体、抗CD25抗体、バシリキシマブまたはダクリズマブのように、IL−2受容体を遮断することによりT細胞活性化を阻害する。T細胞活性化およびサイトカイン分泌は、慢性喘息における気道炎症の発生および増強に中心的役割を有するように見える。重篤なステロイド耐性喘息の患者は、IL−2受容体陽性活性化T細胞の著しく高い割合、および末梢血白血球の培養における上昇したIL−2レベルを有することが判明している。活性化T細胞上に発現しているIL−2受容体のターゲティングは、喘息における気道の炎症および破壊に至る免疫事象のカスケードを阻害する。本発明によって、抗IgE抗体とIL−2R依存性阻害剤の組み合わせ剤のT細胞活性化は、特にアレルギー応答の処置または予防に有効であることが判明した。
【0019】
慣用のコルチコステロイド処置は、主にTヘルパー2細胞応答に作用することにより明確な治療的利点を有するが、IgE経路にはほとんど影響しない。本発明に従う、抗CD25抗体のような有効なT細胞阻害剤とゾレアの組み合わせ剤は、治療的利点を付加する。本発明の組み合わせ剤はまた、適応性免疫応答および体液性免疫応答の同時の処置を可能にする治療的利点も提供する。さらに、本発明の一つの態様によって、免疫抑性剤は、ゾレアと組み合わせて投与したとき、毒性用量より少ない量で治療的に有益である。
【0020】
好ましい態様において、本免疫抑制剤は、T細胞活性化を少なくとも10%、20%、50%、80%、90%、95%または99%阻害する。T細胞活性化阻害は、例えば精製したT細胞がアクティベーター(例えばモノクローナル抗体またはサイトカイン)で刺激され、そして増殖がT細胞阻害剤の存在下および非存在下で測定される、T細胞活性化のためのアッセイを使用した、適当なアッセイにより測定できる(例えばAnderson et al., Nature Medicine, 2000, 6:211-214;Staffler et al., The Journal of Immunology, 2003, 171:1707-1714参照)。
【0021】
IL−2Rアンタゴニストは、活性化Tリンパ球上のIL−2R(インターロイキン2受容体)に結合し、受容体の活性を阻害する。IR−2Rアンタゴニストは、ダクリズマブ、バシリキシマブ、BT563、および7G8(まとめて抗CD25抗体として既知)のようなヒトIL−2Rのアルファ鎖(またはCD25)に結合する薬剤、またはヒトIL−2Rのベータ鎖に結合するMigベータ−2のような他のサブユニットに結合する薬剤を含む。
【0022】
具体的態様において、IL−2Rアンタゴニストは抗CD25抗体である。いくつかの場合、抗CD25剤はダクリズマブ(ZENAPAX(登録商標))である。ダクリズマブは、活性化リンパ球の表面上に発現するヒト高親和性インターロイキン−2(IL−2)受容体のアルファサブユニット(p55アルファ、CD25、またはTacサブユニット)に特異的に結合する、組み換えDNA技術により産生した免疫抑制性、ヒト化IgG1モノクローナル抗体である。ダクリズマブは、ヒト(90%)およびマウス(10%)抗体配列の混合物である。ヒト配列は、ヒトIgG1の定常領域とEu骨髄腫抗体の可変フレームワーク領域由来であった。マウス配列は、マウス抗Tac抗体の相補性決定領域に由来した。DNA配列決定から推測される分子量は144キロダルトンである。
【0023】
他の態様において、抗CD25剤はバシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))である。SIMULECTは、活性化Tリンパ球の表面上のIL−2Rのアルファ鎖に特異的に結合し、遮断する、免疫抑性剤として機能する組み換えDNA技術により製造したキメラ(マウス/ヒト)モノクローナル抗体(IgG 1k)である。バシリキシマブは、IL−2R(アルファ)に選択的に結合する、RFT5抗体をコードするヒト重および軽鎖定常領域遺伝子およびマウス重および軽鎖可変領域遺伝子を含むプラスミドを発現するように、遺伝子操作した、確立されたマウス骨髄腫細胞株の発酵により得た糖タンパク質である。アミノ酸配列に基づき、本タンパク質の計算された分子量は144キロダルトンである。
【0024】
いくつかの例で、本IL−2Rアンタゴニストは抗CD25抗体の組み合わせである。例えば、ダクリズマブおよびバシリキシマブを一緒にカクテルとして投与し、またはこれらの薬剤は投与スケジュールにより交互である。
【0025】
コード番号、一般名または商品名により同定されている活性剤の構造は、標準概論“The Merck Index”または“Physician's Desk Reference(PDR)”の現版からまたはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から取り得る。それらの対応する内容は引用によりここに包含させる。当業者は、これらの文献に基づき活性剤を十分に同定することが可能であり、同様に製造でき、インビトロおよびインビボの両方の標準モデルで薬学的適応症および特性を試験できる。
【0026】
方法の記載において、活性成分への言及はまた薬学的に許容される塩も含むことを意味することは理解される。これらの活性成分が、例えば、少なくとも1種の塩基性中心を有するならば、それらは酸付加塩を形成できる。対応する酸付加塩はまた、所望により、さらに塩基性中心を有して形成できる。酸基(例えばCOOH)を有する活性成分はまた塩基との塩を形成できる。活性成分または薬学的に許容されるその塩はまた水和物の形でまたは結晶化に使用した他の溶媒を含んでも使用できる。
【0027】
例えば、オマリズマブ(ゾレア(登録商標))のような抗IgE抗体および少なくとも1種の免疫抑性剤(いずれの場合も遊離形または少なくとも1個の塩形成基が存在するならば薬学的に許容される塩の形で存在する)を含む組み合わせ剤は、以後“本発明の組み合わせ剤”と呼ぶ。好ましい本発明の組み合わせ剤は、オマリズマブと、シクロスポリンA(NEORAL(登録商標))、ISAtx-247、FK778、ABT-281またはASM981、アザチオプリン、キャンパス1H、FTY720またはその類似体、抗IL−8抗体、ミコフェノール酸またはその塩、例えばミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPT(登録商標))、OKT3(ORTHOCLONE OKT3(登録商標))、ATGAM(登録商標)、THYMOGLOBULIN(登録商標)、ブレキナールナトリウム、OKT4、T10B9.A-3A、33B3.1、15−デオキシスペルグアリン、トレスペリムス、レフルノミドARAVA(登録商標)、CTLA1-Ig、抗CD25、抗IL2R、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))、ダクリズマブ(ZENAPAX(登録商標))、ミゾルビン、ISAtx-247、CTLA4Ig(Abatacept)、LEA29Y、LFA3Ig、hu5C8、エタネルセプト(ImmunexからEnbrel(登録商標)として販売)、アダリムマブ(Humira(登録商標)、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、抗LFA−1抗体、ナタリズマブ(Antegren(登録商標))、UO126、B7RP-1-fc、hul 124、BTI-322、allotrap-HLA-B270、Enlimomab、ABX-CBL、抗胸腺細胞免疫グロブリン、Medi-500、Medi-507、アレファセプトおよびエファリズマブから成る群から選択される少なくとも1種の免疫抑性剤である。
【0028】
本発明の組み合わせ剤は、アレルギー応答の予防ならびに既に存在するアレルギー状態の処置に適している。
【0029】
ここで使用する用語“処置”は、障害の1個以上の症状の軽減、障害の程度の軽減、障害の安定、障害進行の遅延または鈍化、障害の改善または緩和、および部分的または完全な寛解を含む。
用語“温血動物”または“哺乳動物”はヒトを含む。
【0030】
用語“予防”は、ここに記載の疾患の発症を予防するための健常患者への本組み合わせ剤の予防的投与を意味する。さらに、用語“予防”は、処置すべきアレルギー疾患の前段階にある患者へのこのような組み合わせ剤の投与を意味する。
【0031】
ここで使用する用語“進行遅延”は、処置すべきアレルギー疾患の前段階にある患者への本組み合わせ剤の投与を意味し、ここで、患者は対応する疾患の前形態であることが診断されている。
【0032】
用語“アレルギー疾患”は、医学分野におけるその意味に従い理解されるべきである。特に、本発明の意味の範囲内のアレルギー疾患は、アレルギー疾患を有する患者においてアレルギー性および/またはアトピー性症状をもたらす、抗原に対するアレルギー性および/またはアトピー性免疫学的応答により特徴付けられる疾患を含む。用語“アレルギー疾患”は、特に上昇した循環IgEレベルにより特徴付けられる疾患を含む。アレルギー疾患は、しばしば抗原特異的IgEの産生および該IgE抗体の結果として生ずる効果により特徴付けられる。当分野で既知の通り、IgEは肥満細胞および好塩基球上のIgE受容体に結合している。本IgEにより認識される抗原へのその後の暴露により、本抗原はIgEを肥満細胞および好塩基球上に交差架橋させ、これらの細胞の脱顆粒を起こす。
【0033】
アレルギー疾患の好ましい例は、アレルギー性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーである。
【0034】
故に、好ましい態様において、“本発明の組み合わせ剤”は、アレルギー性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーの処置に使用する。
【0035】
他の好ましい態様において、“本発明の組み合わせ剤”は、アレルギー疾患、例えばアレルギー性喘息と、季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎、またはアトピー性皮膚炎、または慢性鼻副鼻腔炎、またはCOPDまたは例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーの組み合わせの処置に使用する。他の組み合わせは、季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎;季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎と下記:アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーの一つ;アトピー性皮膚炎と慢性鼻副鼻腔炎、COPDまたは例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギー;慢性鼻副鼻腔炎とCOPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギー;COPDと例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0036】
さらに別の好ましい態様において、“本発明の組み合わせ剤”は移植臓器拒絶反応の処置または予防、急性腎臓同種移植片拒絶反応の予防に使用される。
【0037】
アレルギー性喘息は、気道炎症;可逆性である気道閉塞;および過敏症と呼ばれる増加した感受性により特徴付けられる、臨床障害である。気流閉塞は、ベースライン肺活量測定との比較により得られる1秒あたりの強制呼気量(FEVI)の減少により測定される。気道の過敏症は非常に低レベルのヒスタミンまたはメタコリンに応答したFEVIの減少により認識される。過敏症は、気道へのアレルゲンの暴露により悪化し得る。アレルギー試験は、持続的な喘息患者におけるアレルゲンの同定において役立ち得る。一般的なアレルゲンはペットのフケ、イエダニ、ゴキブリアレルゲン、カビ、および花粉を含む。一般的な呼吸器刺激物はタバコの煙、汚染物質、および燃えている木からの煙霧またはガスを含む。
【0038】
アレルギー性鼻炎は、鼻鬱血、鼻漏、くしゃみ、および掻痒により特徴付けられる臨床障害である。これらの症状は年ごとに変化し得、時々本質的な寛解がある。故に、アレルギー性鼻炎は、症状が一定の季節の間のみ起こる(SARまたは季節性アレルギー性鼻炎)または一年中起こる(PARまたは通年性アレルギー性鼻炎)かのいずれかに分類される。季節性のものは、草、木、雑草、およびカビ胞子のような、受粉のために風を利用する植物からの花粉が原因である。鼻ポリープ、再発性副鼻腔炎、再発性耳感染症、および難聴のような重篤な合併症が、アレルギー性鼻炎を処置していないか、または処置不十分のときに起こり得る。心理社会的影響は、仕事または学校の頻繁の欠席、成績不振、食欲不振、不定愁訴、および慢性疲労を含む。
【0039】
アトピー性皮膚炎は、炎症、掻痒、および鱗屑化により特徴付けられる皮膚内の過敏性反応が関与する皮膚障害である。アトピー性皮膚炎は小児型または成体型で起こり得る。喘息、枯草熱、湿疹、乾癬、または他のアレルギー疾患またはアレルギー関連障害の家族病歴がしばしば存在する。成人において、それは一般に慢性状態である。神経皮膚炎もまたアトピー性皮膚炎の一形態である。それは、自己永続性の「引っ掻く−痒い」のサイクルにより特徴付けられる。症状はストレス時に悪化し得るが、神経線維における生理学的変化も存在する。過敏性反応が皮膚において起こり、慢性炎症を起こす。
【0040】
食物アレルギーは、免疫系が、特定の食物タンパク質を摂取したときに保護的に応答するときに起こるアレルギー性反応である。成体において、最も一般的な食物が原因のアレルギー性反応は:小エビ、イセエビ、ロブスターおよびカニのような甲殻類;直ぐに処置をしなければ致死的であり得る重篤なアナフィラキシー、血圧の急激な低下の原因の主要な食物の一つであるピーナッツ、マメ科植物;ウォールナッツのような木の堅果;魚;および卵を含む。小児において、このパターンは幾分異なる。子供で問題を起こす最も一般的な食物アレルゲンは、卵、牛乳、およびピーナッツである。成体はそのアレルギーが無くなることはないが、小児はときどきそれを脱し得る。小児は、ピーナッツ、魚、または小エビに対するアレルギーよりも、牛乳または大豆に対するアレルギーから脱する傾向が高い。
【0041】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性気管支炎、気腫および慢性喘息を含む数種の肺疾患に関する一般的用語である。COPDは、血中に行く酸素の量を減らし得るため、心臓に負荷を加える。COPDの2つの主な原因は喫煙およびアルファl抗トリプシン欠乏である。空気汚染および職業的粉塵も、とりわけもしこれらに曝される者が喫煙者であるならば、COPDに関与し得る。
【0042】
慢性鼻副鼻腔炎は、鼻腔および副鼻腔の粘膜の、少なくとも12週間連続して続く炎症により特徴付けられる障害である。慢性鼻副鼻腔炎に関与する因子は、全身性(すなわち、アレルギー性の、免疫不全性の、遺伝的/先天的な、粘膜繊毛機能不全、内分泌の、神経機構)、局所的(すなわち、解剖学的、新生物的、後天性粘膜繊毛機能不全)、および環境的(すなわち、微生物[ウイルス、細菌、真菌]、有害化学物質、汚染物質、タバコ、薬剤、外傷、手術)因子を含む。
【0043】
アレルギー疾患および関連疾患または状態の性質は、多因子である。ある上昇下で、ことなる作用機構の薬剤を組み合わせ得る。しかしながら、ことなる作用の薬剤の組み合わせを単に考えるだけでは、有利な効果を有する組み合わせには必ずしも至らない。
【0044】
何よりも驚くことは、“本発明の組み合わせ剤”の組み合わせ投与が、“本発明の組み合わせ剤”に使用される薬学的に活性成分の一方のみを適用する単剤療法と比較して、優れた、とりわけ相乗的な、治療効果をもたらし、および/または驚くべき作用時間の延長、より広い治療的処置およびアレルギー性喘息または季節性アレルギー性鼻炎に関連する疾患および状態に対する驚くべき有利な効果のような、さらなる利点をもたらすとの発見である。
【0045】
従って、本発明は、例えばオマリズマブのような抗IgE抗体および少なくとも1種の免疫抑性剤、または可能であれば、このような化合物の薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物を提供する。
【0046】
好ましくは、本免疫抑性剤は、抗体、特に抗CD25抗体である。本抗体は、特に非経腸、および、特に、皮下投与のための固定された組み合わせで投与するのに適する。
【0047】
オマリズマブでの処置は、それぞれ、本発明の免疫抑性剤での処置の前に、続いて、または同時に開始し得る。
【0048】
アレルギー性喘息または季節性アレルギー性鼻炎のようなアレルギー疾患の疾患症状における本発明の処置後の全ての統計学的に有意な減弱が、本発明の範囲内であることは理解される。
【0049】
実際的な使用において、免疫抑性剤は、活性成分として、慣用の薬剤配合技術に従い、薬学的担体と、密接に混合され得る。担体は、投与、例えば皮下投与、経口または非経腸投与(静脈内を含む)のために望まれる製剤の形に依存して、種々の形を取り得る。経口または皮下投与形態溶組成物の製造において、通常の医薬媒体のいずれか、または担体、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いることができる。例えば、粉末、カプセルおよび錠剤のような経口固体製剤の場合、固体経口製剤が液体製剤よりも好ましい。投与が容易なため、錠剤およびカプセルが最も有利な経口投与単位形態を代表し、この場合、固体薬学的担体を明らかに用いる。好ましい投与形態は液体、または再構成された溶液のいずれかである。
【0050】
好ましい投与経路は皮下または静脈内である。また好ましいのは、“本発明の組み合わせ剤”の鼻腔内または吸入送達である。
【0051】
特に好ましい態様において、“本発明の組み合わせ剤”はWO97/04801に記載の通り製剤する。
【0052】
本発明のさらなる局面は、アレルギー疾患、特にアレルギー性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーまたは疾患またはアレルギー疾患と関連する状態の予防、進行遅延または処置用薬剤の製造のための、“本発明の組み合わせ剤”を含む医薬組成物の使用である。
【0053】
アレルギー疾患の予防、進行遅延または処置のための方法および予防、進行遅延または処置のための医薬組成物がさらに提供される。本処置は、このような処置を必要とする患者に、薬学的担体および治療的有効量の“本発明の組み合わせ剤”を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0054】
本発明のさらなる局面は、アレルギー疾患、特にアレルギー性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーまたはアレルギー疾患と関連する疾患もしくは状態を有する温血動物、とりわけヒトの処置法であって、該動物に、アレルギー疾患に対して併用で治療的に有効な量で“本発明の組み合わせ剤”(ここで、活性成分はまたそれらの薬学的に許容される塩でも存在できる)を同時に、または任意の順番で連続的に、別々に、または固定された組み合わせ剤で投与することを含む、方法である。
【0055】
上記局面の好ましい態様において、アレルギー疾患の組み合わせ、例えばアレルギー性喘息と、季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎、またはアトピー性皮膚炎、または慢性鼻副鼻腔炎、またはCOPDまたは例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーを有する温血動物、とりわけヒトの予防、進行遅延または処置法が提供される。他の組み合わせは、季節性アレルギー性鼻炎と、通年性アレルギー性鼻炎;季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎と下記:アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーの1個;アトピー性皮膚炎と慢性鼻副鼻腔炎、またはCOPDまたは例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギー;慢性鼻副鼻腔炎とCOPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギー;COPDと例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0056】
上記局面のさらに別の好ましい態様において、移植臓器拒絶反応、例えば急性腎臓同種移植片拒絶反応の予報法が提供される。
【0057】
本発明は、特に、併用で治療的有効量の“本発明の組み合わせ剤”を、アレルギー疾患、アレルギー性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーまたはアレルギー疾患と関連する疾患もしくは状態の処置における使用のための指示書と共に含む、キットまたは市販包装物に関する。
【0058】
組み合わせ治療に用いる活性成分の各々の治療的有効量は、用いる特定の化合物または医薬組成物、投与形態、処置する状態、処置する状態の重症度、温血動物種、体重、性別、食習慣および年齢に依存して変化し得る。故に、本発明の化合物を用いる投与レジメンは、投与経路ならびに患者の腎臓および肝臓機能を含む種々の因子に従い選択する。通常の医師、臨床医または獣医師は、本状態の進行を予防する、逆転させるまたは停止させるのに必要な薬剤の有効量を容易に決定し、処方できる。毒性を伴わない効果を発現する活性成分濃度の範囲を達成するための最適な詳細は、標的部位の活性成分の利用能の動態に基づく投与レジメンを必要とする。これは、薬剤の分布、平衡および除去の考慮を含む。故に、後記の“本発明の組み合わせ剤”のいずれかの成分個々の投与レジメン、すなわち投与レベルおよび投与頻度は、最適な治療応答を提供するように調節できる。
【0059】
“共投与”は、投与により、例えば、両方の成分が同時に胃腸管に存在するように、本発明の組み合わせ剤の成分の一緒の、または実質的に同時の、例えば15分以内の、同じ媒体中または別々の媒体中での投与を意味する。本化合物は、固定された組み合わせ剤として投与してよく、または別々の投与形態で投与してよい。
【0060】
それぞれの投与形態の個々の用量中に含まれる1個の活性成分または複数の活性成分の単位含量は、必要な有効量が複数の投与単位の投与により達成できるため、それ自体有効量を構成する必要はないことは認識される。
【0061】
本発明は、下記実施例を参照してより完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは本発明の範囲を限定すると解釈してはならない。
【0062】
実施例1
確立された試験モデルおよび特にここで記載の試験モデルにより、“本発明の組み合わせ剤”が、アレルギー疾患、および特にアレルギー性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎およびアトピー性皮膚炎およびアレルギー疾患と関連する疾患および状態のより有効な予防、または、好ましくは、処置をもらすことが示され得る。
【0063】
関連分野の当業者は、前記および後記で示される治療的適応症および有利な効果を評価するための、適切なインビトロまたは動物試験モデルの選択が十分に可能である。しばしば、関連分野の当業者は、前記および後記で示す治療的適応症および有利な効果を評価するための適切な臨床試験を行うであろう。例えば、試験すべき組成物または組み合わせ剤中の抗IgE抗体は、霊長類およびヒト以外の小さい哺乳動物由来のIgEと交差反応できない。
【0064】
臨床試験
臨床試験は、例えば、“本発明の組み合わせ剤”の相乗作用を証明する。本明細書で定義のアレルギー疾患およびアレルギー疾患と関連する状態に対する有利な効果は、直接これらの試験結果を介して、または当業者に既知の試験設計の変化により決定できる。
【0065】
本試験は、特に、例えば、オマリズマブのような抗IgE抗体およびここに記載の他の活性成分での単剤療法の、例えば、排泄速度、症状制御、使用中の併用薬剤または例えば肺機能のようなアレルギー疾患の他の関連する機能的パラメータに対する効果を、“本発明の組み合わせ剤”と比較して評価するのに適する。遊離IgEの測定もまた治療効果のマーカーとして働き得る。各試験の長さは試験すべき組み合わせ剤に依存して、多くの場合、最低16週間の期間が必要である可能性がある。
【0066】
組み合わせパートナーと一緒に投与した抗IgE抗体の効果を評価するためのアレルギー性喘息の対象における、臨床、二重盲検、無作為並行群試験の例
アレルギー性喘息の診断を受けた対象をこれらの利権のために選択する。レスキュー薬剤摂取(例えば抗ヒスタミンおよびコルチコステロイド)の減少および/または臨床症状の減少に対する効果を、プラセボで達成したコントロールと共に、本試験において決定する。
【0067】
効果パラメータスコアは、患者が毎日評価した臨床症状に基づき計算する、毎日の症状スコアの平均値および中央値である。症状は7分野(鼻詰まり、鼻水、鼻の痒み、くしゃみおよび目の痒み、涙目、目の充血)に分類する。各カテゴリーは0−3(無し−軽度−中程度−重度)で採点し得る。毎日のレスキュー薬剤投薬スコアも提供する:0は投薬なし;1は局所抗ヒスタミン剤;2は全身性抗ヒスタミン剤、3は経口または局所コルチコステロイド。1日あたりの最大スコアのみを評価する。
【0068】
一時評価項目は、症状負荷である(毎日の症状スコアの平均+毎日のレスキュー薬剤投薬スコアの平均)。臨床効果副次評価項目は:症状(毎日の症状スコアの平均)、レスキュー薬剤投薬スコア(花粉症の季節全体の間の毎日のレスキュー薬剤投薬スコアの平均)、レスキュー薬剤および/または併用剤使用日の割合、処置耐容性の治験医による全体評価である。
安全性評価は、全ての有害事象および重篤な有害事象のモニタリングおよび記録、血清学、血清化学および尿検査値評価を含む。
【0069】
16−24週間の二重盲検処置開始前に、対象に、例えば、オマリズマブのような抗IgE抗体、適合するプラセボおよび組み合わせパートナーに適合するプラセボを4週間投与する(期間I)。次いで、対象を16−24週間の二重盲検(期間II)のために、表1に記載の通りの4処置群に分ける。約50〜250名の対象を処置群辺りに無作為化する。各対象についての準備(run-in)期間を含む全試験期間は、例えば20−28週間であり得る。統計学的分析を、当分野で既知の方法により行い得る。
【0070】
【表1】

皮下投与
【0071】
抗IgE抗体がオマリズマブである一つの臨床試験において、下記投与および投与スキームを選択する:
オマリズマブを、滅菌、凍結乾燥製剤として提供し、それは、125mg/mlの最終オマリズマブ濃度に再構成できる。各10mlバイアルは、208mg rhuMAb−E25を含む。オマリズマブは対象に投与する時間まで冷蔵庫(2℃−8℃)で貯蔵すべきであり、凍結しない。各バイアルを、1.3mlの滅菌注射用水(SWI)で再構成し、内容物を30秒間穏やかに回し、次いで5分静置して安定化させる。1.2mlを次いで吸引し、150mgのrhuMAb−E25を送達する。本製剤は防腐剤を含まず、一用量投与のためのみに使用すべきである。
【0072】
再構成後、患者を、オマリズマブに無作為化された患者は、そのベースラインIgEレベルに依存して、盲検化試験薬を受ける。対応するプラセボ群は、IgEレベルに依存してプラセボを受ける。
【0073】
オマリズマブを、使い捨て25ゲージ針および使い捨てプラスチックツベルクリン型シリンジを使用して、投与する。注射を、右腕の三角筋領域に投与する。あるいは、医学的に明白な理由により三角筋領域への投与が不可能であるならば、注射を、右太腿部にしてよい。注射は皮下的に投与する。
【0074】
ベースライ遊離血清IgEレベルに基づくオマリズマブ投与量は、遊離血清IgEを、25ng/mlより低く抑制するように設計する。例えば、喘息患者において、オマリズマブ 150−375mgを、2または4週間毎に皮下投与してよい(表2および3)。
【0075】
【表2】

【0076】
オマリズマブの用量は、表3に示すスキームに従い、処置前に測定した患者の体重および血清IgEレベルの両方に基づく。
【0077】
【表3】

【0078】
2週間に1回スケジュール(Q2wk)は、1回の来院で投与した注射用量の残留が多すぎる場合、調整すべきである。
【0079】
上記の種々試験パラメータを、例えば、ここに記載の具体的疾患または適応症のための用量を最適化するために、試験中の耐容性の問題に対処するために、または少ない努力で類似のまたは同等な結果を得るために、修飾できる。例えば、異なる対象集団を、このような臨床試験に含ませてよく、プラセボ準備期間(期間I)の期間を変化してよく、すなわち、それを伸しても、短くしても、または無くしてよく;来院スケジュールを延ばしてよく;来院指示を変えてよく;または上記の試験中に決定すべき1個またはそれ以上のパラメータを無くしてよく、もしくはさらなるパラメータ(下記参照)を加えてよい。
【0080】
さらなるパラメータは、例えば、さらなる試験により、試験期間中に決定できる。例えば、肺容量を測定するための単純な装置である最大流量計測を、肺機能の確認のために家で毎日使用できる。個人の最大値の50−80%の最大流量容量は、中程度の喘息悪化を示し、一方50%を下回る値は重篤な悪化を示す。
【0081】
結果
“本発明の組み合わせ剤”の組み合わせ投与は、“本発明の組み合わせ剤”に使用した活性成分の一方のみを用いる単剤療法と比較して、とりわけアレルギー疾患に対して有益な、とりわけ相乗的な治療効果および/またはさらなる利点、または改善された安全性プロファイルをもたらす。さらなる利点は、例えば、本発明に従い組み合わせる個々の薬剤の少ない用量を、投与量を減らすために使用でき、これは、例えば、しばしば必要な用量が少ないだけでなく、少ない頻度でも適用され、または、副作用の事象を減らすために使用できる。
【0082】
さらに、ここに記載の多くの組み合わせ剤において、活性成分の一方で観察される副作用は、驚くべきことに、“本発明の組み合わせ剤”の適用により蓄積されない。
【0083】
加えて、有益な治療的効果、付加的利点およびまた驚くべき有益な効果が、“本発明の組み合わせ剤”の一成分での単剤療法でほとんど制御できない患者において、特に観察される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として抗IgE抗体および少なくとも1種の免疫抑性剤(これらの活性成分はいずれの場合も遊離形または薬学的に許容される塩の形で存在する)ならびに所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、同時の、別々のまたは連続的使用のための医薬組成物。
【請求項2】
抗IgE抗体および少なくとも1種のさらなる免疫抑性剤が1個の医薬製剤中に含まれる、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該免疫抑性剤がシクロスポリンA(NEORAL(登録商標))、ISAtx-247、FK778、ABT-281またはASM981、アザチオプリン、キャンパス(campath)1H、FTY720またはその類似体、抗IL−8抗体、ミコフェノール酸またはその塩、例えばミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPT(登録商標))、OKT3(ORTHOCLONE OKT3(登録商標))、ATGAM(登録商標)、THYMOGLOBULIN(登録商標)、ブレキナール(brequinar)ナトリウム、OKT4、T10B9.A-3A、33B3.1、15−デオキシスペルグアリン、トレスペリムス、レフルノミドARAVA(登録商標)、CTLA1-Ig、抗CD25、抗IL2R、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))、ダクリズマブ(ZENAPAX(登録商標))、ミゾルビン(mizorbine)、ISAtx-247、CTLA4Ig(Abatacept)、LEA29Y、LFA3Ig、hu5C8、エタネルセプト(ImmunexからEnbrel(登録商標)として販売)、アダリムマブ(Humira(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、抗LFA−1抗体、ナタリズマブ(Antegren(登録商標))、UO126、B7RP-1-fc、hul 124、BTI-322、allotrap-HLA-B270、Enlimomab、ABX-CBL、抗胸腺細胞免疫グロブリン、Medi-500、Medi-507、アレファセプトおよびエファリズマブから成る群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
免疫抑性剤が抗IL2R抗体、抗CD25抗体、バシリキシマブ、ダクリズマブ、抗IL−8抗体、アダリムマブ、インフリキシマブ、hu5C8、OKT3、OKT4、抗TACac、T10B9.A-3A、33B3.1、hul 124、BTI-322、allotrap-HLA-B270、Enlimomab、ABX-CBL、抗胸腺細胞免疫グロブリン、ISAtx-247、Medi-500、Medi-507、アレファセプトおよびエファリズマブから成る群から選択される、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
免疫抑性剤がT細胞活性化を阻害する、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
免疫抑性剤がT細胞活性化を少なくとも10%阻害する、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
アレルギー疾患の予防または処置のための、請求項1から6のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項8】
抗IgE抗体がオマリズマブである、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
オマリズマブを処置する患者のベースラインIgEレベルに依存した濃度で投与することを特徴とする、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
抗IgE抗体および免疫抑性剤がそれぞれアレルギー疾患に対して併用で治療的に有効である量で存在する、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
抗IgE抗体および免疫抑性剤がそれぞれ喘息に対して併用で治療的に有効である量で存在する、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
温血動物に治療的有効量の請求項1から11のいずれかに記載の組成物を投与することを含む、アレルギー疾患の予防、進行遅延または処置法。
【請求項13】
薬剤としての、請求項1から11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項14】
アレルギー疾患を有する温血動物の処置用薬剤の製造のための、請求項1から11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項15】
該アレルギー疾患がアレルギー性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性鼻副鼻腔炎、COPD、例えばピーナッツアレルギーのような食物アレルギーならびにアレルギー疾患と関連する疾患および状態または該疾患の組み合わせから成る群から選択される、請求項1から11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項16】
移植臓器拒絶反応の処置もしくは予防または急性腎臓同種移植片拒絶反応の予防用薬剤の製造のための、請求項1から11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項17】
活性剤としての請求項1から11のいずれかに記載の組成物を、アレルギー疾患の予防、進行遅延または処置におけるそれらの同時の、別々のまたは連続的使用のための指示書と共に含む、キット。

【公表番号】特表2008−528650(P2008−528650A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553536(P2007−553536)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000911
【国際公開番号】WO2006/082052
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】