説明

タイムスタンプ付与装置、デジタル放送記録装置、デジタル放送再生装置およびタイムスタンプ付与回路

【課題】帯域が安定しない回線でデジタル放送のトランスポートストリームが配信される場合、受信機が各パケットに付与したタイムスタンプのタイミングでパケットを処理する従来技術では、トランスポートストリームの再生を実現することはできない。
【解決手段】本発明のタイムスタンプ付与装置10は、第1のパケットおよび第2のパケットを含むトランスポートストリームを入力し、第1のパケットおよび第2のパケットの基準時刻を検出する基準時刻検出部11と、基準時刻検出部11から入力した第1のパケットおよび第2のパケットの検出位置および基準時刻を基に、トランスポートストリームの各パケットに付与するタイムスタンプ値を算出するタイムスタンプ算出部12と、タイムスタンプ算出部12が算出したタイムスタンプ値を、トランスポートストリームの各パケットに付与するタイムスタンプ付与部13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送のトランスポートストリームを構成するパケットにタイムスタンプを付与する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送の放送局は、番組の情報を27MHzの基準クロックで符号化し、固定長のパケットに分割して、トランスポートストリームとして送出する。一方、デジタル放送の受信機は、放送局が送出したトランスポートストリームを受信し、符号化の周波数と同じ27MHzの基準クロックで復号化する。しかし、放送局側の基準クロックの速度と、受信機側の基準クロックの速度には誤差が発生する。
【0003】
基準クロックの速度の誤差を補正するために、放送局は送出するトランスポートストリームの特定のパケットに、放送局側の基準クロックで計測した基準時刻の情報を付与する。一方、受信機はトランスポートストリームから基準時刻を含むパケットを検出し、受信機側の基準クロックで計測した基準時刻との誤差を算出し、受信機側の基準クロックの速度を補正する。これにより、受信機側の基準クロックの速度は、放送局側の基準クロックの速度に一致し、誤差は解消される。
【0004】
また、放送局が複数の番組を放送する場合、放送局は、複数の番組のパケットを多重化し、さらに、特定のパケットに多重化に関する情報を付与したトランスポートストリームを送出する。受信機は、複数の番組のパケットが多重化されたトランスポートストリームから、多重化に関する情報を含むパケットを検出し、さらに、検出した多重化に関する情報に基づいて目的の番組のパケットを抽出する。
【0005】
このとき、受信機は目的の番組以外のパケットを破棄するので、トランスポートストリームを構成するパケットの数は減少する。受信機が抽出された目的の番組のパケットを直ちに復号化する場合は、パケットの数の減少は問題にならないが、一定の時間が経過した後に復号化する場合は、パケットの数が減少した分だけ、復号化のタイミングが早くなる。受信機は、映像と音声、字幕等の付加情報とを個別に復号化するので、復号化のタイミングが早くなることにより、映像と音声、字幕等の付加情報とを同期して処理することができなくなる。
【0006】
従来、パケットの数の減少による同期の問題を解決するために、受信機は、トランスポートストリームを受信し、目的の番組のパケットを抽出する際に、基準クロックで計測した各パケットの受信時刻の情報をタイムスタンプとして、トランスポートストリームの各パケットに付与する。そして、受信機が一定の時間が経過した後に復号化する場合は、パケットに付与したタイムスタンプのタイミングでパケットを復号化する。
【0007】
トランスポートストリームの配信が電波や専用回線等により行われる場合は、トランスポートストリームが放送局から送出されてから受信機に受信されるまでの遅延時間が一定である。このため、トランスポートストリームの各パケットの受信時刻を用いて、受信機が各パケットに付与したタイムスタンプの示すパケット間の間隔は、放送局がトランスポートストリームの各パケットを送出した時刻の示すパケット間の間隔を再現する。
【0008】
したがって、受信機が各パケットに付与されたタイムスタンプのタイミングでパケットを処理することで、目的の番組のパケットを抽出したことに起因する同期の問題を回避し、トランスポートストリームの再生を実現することができる。これらの従来技術としては、例えば特許文献1および特許文献2に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−283996号公報
【特許文献2】特開2005−277816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、トランスポートストリームの配信がネットワーク等の汎用回線により行われる場合は、回線の帯域が安定しないため、トランスポートストリームが放送局から送出されてから、受信機に受信されるまでの到着間隔は一定でない。
【0011】
このため、トランスポートストリームの各パケットの受信時刻を用いて、受信機が各パケットに付与したタイムスタンプの示すパケット間の間隔は、放送局がトランスポートストリームの各パケットを送出した時刻の示すパケット間の間隔を再現しない。したがって、受信機が各パケットに付与されたタイムスタンプのタイミングでパケットを処理することでは、目的の番組のパケットを抽出したことに起因する同期の問題を回避することはできず、結果として、トランスポートストリームの再生を実現することはできないという問題点がある。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、放送局がトランスポートストリームの各パケットを送出した時刻が示すパケット間の間隔を再現するタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、第1のパケットおよび第2のパケットを含むトランスポートストリームにタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与装置であり、前記第1のパケットの第1の基準時刻および前記第2のパケットの第2の基準時刻を検出する基準時刻検出部と、前記基準時刻検出部から入力した前記第1のパケットの第1の検出位置、前記第2のパケットの第2の検出位置、前記第1の基準時刻および前記第2の基準時刻を基に、前記トランスポートストリームの各パケットに付与するタイムスタンプ値を算出するタイムスタンプ算出部と、前記タイムスタンプ算出部が算出した前記タイムスタンプ値を、前記トランスポートストリームの各パケットに付与するタイムスタンプ付与部とを有することとした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トランスポートストリーム中の基準時刻を用いて、各パケットにタイムスタンプを付与するという構成にしたことにより、各パケットに付与されるタイムスタンプの示すパケット間の間隔は、放送局がトランスポートストリームを送出する時刻が示すパケット間の間隔を再現する。したがって、この付与されたタイムスタンプのタイミングでパケットを処理することで、トランスポートストリームの再生を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係るタイムスタンプ付与装置の構成図である。
【図2】本発明に係るタイムスタンプ付与装置によって付与されたタイムスタンプ値、パケット番号、および入力パケットに含まれる基準時刻の関係を示すグラフである。
【図3】本発明に係るタイムスタンプ付与装置によって付与されたタイムスタンプ値、パケット番号、および入力パケットに含まれる基準時刻の例を示す表である。
【図4】第2の実施形態に係るタイムスタンプ付与装置の構成図である。
【図5】第3の実施形態に係るデジタル放送記録装置の構成図である。
【図6】第4の実施形態に係るデジタル放送再生装置の構成図である。
【図7】第5の実施形態に係るデジタル放送記録装置の構成図である。
【図8】第6の実施形態に係るデジタル放送再生装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態におけるタイムスタンプ付与装置、デジタル放送記録装置およびデジタル放送再生装置について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るタイムスタンプ付与装置10の構成図である。タイムスタンプ付与装置10は、基準時刻検出部11、タイムスタンプ算出部12、タイムスタンプ付与部13、およびストリームバッファ14から構成される。
【0018】
基準時刻検出部11は、タイムスタンプ付与装置10に入力されたトランスポートストリームをストリームバッファ14に出力するとともに、トランスポートストリーム中の基準時刻を検出する。そして、基準時刻を含むパケットの検出位置、即ち、パケット番号と基準時刻の値とをタイムスタンプ算出部12に出力する。ここで、検出する基準時刻の種類は、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group phase2)規格のPCR(Program Clock Reference)のように、放送局がトランスポートストリームを送出する際に特定のパケットに付与した、放送局側の基準クロックで計測した基準時刻である。
【0019】
タイムスタンプ算出部12は、入力された基準時刻を含む2つ以上のパケットのパケット番号と基準時刻の値との相関関係を基に、トランスポートストリームのパケット単位の基準時刻の増分を算出する。この算出結果を用いて、ストリームバッファ14に蓄積されたトランスポートストリームの各パケットに付与するタイムスタンプ値を算出する。そして、ストリームバッファ14に蓄積されたトランスポートストリームの各パケットのパケット番号と付与するタイムスタンプ値とをタイムスタンプ付与部13に出力する。
【0020】
図2は、タイムスタンプ算出部12に入力される基準時刻を含むパケットのパケット番号と基準時刻、タイムスタンプ算出部12が出力する各パケットのパケット番号と付与するタイムスタンプ値の関係を示すグラフである。
【0021】
図2に示すように、タイムスタンプ値の算出範囲は、基準時刻を検出したパケット間の内挿と外挿のいずれも使用可能である。また、タイムスタンプ値の算出方法は、図2に示すように一次式による直線内挿を例として挙げているが、一次式以外を用いて算出可能であり、外挿による算出も可能である。
【0022】
図2において、タイムスタンプ値の算出に直線内挿を使用する場合、基準時刻を検出したパケット1のパケット番号をN1、基準時刻をP1、パケット1の次に基準時刻を検出したパケット2のパケット番号をN2、基準時刻をP2とすると、パケット1、パケット2、およびパケット1とパケット2との間のパケット番号Nの各パケットに付与するタイムスタンプ値Aの算出式の例はA=P1+(N−N1)÷(N2−N1)×(P2−P1)となる。これらの数値例を図3に示す。
【0023】
図3において、パケット番号が100のパケットが図2に示すパケット1、パケット番号が900のパケットが図2に示すパケット2である。したがって、パケット1のパケット番号N1が100、基準時刻P1が1000、パケット2のパケット番号N2が900、基準時刻P2が1416578となり、パケット1とパケット2、および、パケット1とパケット2との間のパケット番号が260のパケット、パケット番号が420のパケットのそれぞれに付与するタイムスタンプ値Aは図3に示す通りとなる。
【0024】
タイムスタンプ付与部13は、入力されたパケット番号に対応するパケットをストリームバッファ14から入力し、入力されたタイムスタンプ値を付与し、タイムスタンプ付与装置10の外部に出力する。
【0025】
本実施形態によれば、上記の構成により、トランスポートストリーム中の基準時刻を用いて、各パケットにタイムスタンプが付与される。用いる基準時刻の種類を適切に選択すれば、トランスポートストリーム中の基準時刻間の間隔は、放送局がトランスポートストリームを送出する時刻が示す基準時刻間の間隔に一致するので、各パケットに付与されるタイムスタンプの示すパケット間の間隔は、放送局がトランスポートストリームを送出する時刻が示すパケット間の間隔を再現する。したがって、このタイムスタンプのタイミングでパケットを処理することで、トランスポートストリームの再生を実現することができる。
【0026】
ここでタイムスタンプの付与方法は、タイムスタンプ付与装置10にトランスポートストリームが入力された時点で各パケットにタイムスタンプが付与されていない場合に、タイムスタンプを追加するだけでなく、タイムスタンプが付与されている場合に、これを上書きすることで補正することも可能である。
【0027】
また、トランスポートストリームの各パケットにタイムスタンプが付与されている場合に、付与されているタイムスタンプを保持するか、タイムスタンプ算出部12が算出したタイムスタンプ値で、付与されているタイムスタンプを上書きするかを選択可能にすることも可能である。
【0028】
従来、トランスポートストリームが放送局から受信機に到着するまでの過程で、トランスポートストリームの各パケットにタイムスタンプを付与する技術がある。この場合、タイムスタンプを付与する装置の精度が受信機の想定する精度を満たさず、このタイムスタンプと、基準クロックで計測した各パケットの受信時刻を基に付与されるタイムスタンプとを同等に扱うことができない場合がある。したがって、このタイムスタンプのタイミングでパケットを処理することでは、目的の番組のパケットを抽出したことに起因する同期の問題を回避することはできず、結果として、トランスポートストリームの再生を実現することはできない。
【0029】
このような場合、本実施形態のタイムスタンプ装置により、既に付与されているタイムスタンプを上書きすることで補正することが有用である。
【0030】
また、本実施形態において、基準となるパケット2は、必ずしもパケット1の次に基準時刻が検出されたパケットでなくてもよい。
【0031】
さらに、タイムスタンプ付与装置10は単一のLSI(Large Scale Integration)に構成可能である。タイムスタンプ付与装置10は、その全体または一部を汎用プロセッサで動作するソフトウェアで代替可能である。この場合、汎用プロセッサは主記憶に格納されたトランスポートストリームの参照、複製、または変更等を行う。
【0032】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係るタイムスタンプ付与装置40の構成図である。本実施形態において、第1の実施形態と同様の部分については、その詳細な説明を省略する。
【0033】
タイムスタンプ付与装置40は、基準時刻検出部41、タイムスタンプ算出部42、およびタイムスタンプ付与部43から構成される。本実施形態と第1の実施形態との相違点は、ストリームバッファ14をタイムスタンプ付与装置40内部に持たない点である。
【0034】
基準時刻検出部41は、タイムスタンプ付与装置40に入力されたトランスポートストリーム中の基準時刻を検出する。そして、基準時刻を含むパケットの検出位置、即ち、パケット番号と基準時刻の値とをタイムスタンプ算出部42に出力する。ここで、検出する基準時刻の種類は図1に示す基準時刻検出部11と同様である。
【0035】
タイムスタンプ算出部42は、入力された基準時刻を含む2つ以上のパケットのパケット番号と基準時刻の値との相関関係を基に、トランスポートストリームのパケット単位の基準時刻の増分を算出する。この算出結果を用いて、基準時刻を含む2つ以上のパケットおよびその間のパケットのそれぞれに付与するタイムスタンプ値を算出する。そして、基準時刻を含む2つ以上のパケットおよびその間のパケットのそれぞれのパケット番号と付与するタイムスタンプ値とをタイムスタンプ付与部43に出力する。ここで、タイムスタンプ値の算出方法は図1に示すタイムスタンプ算出部12と同様である。
【0036】
タイムスタンプ付与部43は、入力されたパケット番号に対応するパケットを入力されたトランスポートストリームから抽出し、入力されたタイムスタンプ値を付与し、タイムスタンプ付与装置40の外部に出力する。ここで、タイムスタンプの付与方法は図1に示すタイムスタンプ付与部13と同様である。
【0037】
ここでタイムスタンプの付与方法は、第1の実施形態におけるタイムスタンプ付与装置10と同様、タイムスタンプ付与装置40にトランスポートストリームが入力された時点で各パケットにタイムスタンプが付与されていない場合に、タイムスタンプを追加するだけでなく、タイムスタンプが付与されている場合に、これを上書きすることで補正することも可能である。
【0038】
また、トランスポートストリームの各パケットにタイムスタンプが付与されている場合に、付与されているタイムスタンプを保持するか、タイムスタンプ算出部42が算出したタイムスタンプ値で、付与されているタイムスタンプを上書きするかを選択可能にすることも可能である。
【0039】
図4に示すタイムスタンプ付与装置40は、トランスポートストリームを基準時刻検出部41とタイムスタンプ付与部43との両方に入力する必要があるが、図1に示すタイムスタンプ付与装置10と比べて、ストリームバッファ14に対応する構成部を持たない。図1のタイムスタンプ付与装置10と、図4のタイムスタンプ付与装置40はいずれも単一のLSIに構成可能であるが、図4のタイムスタンプ付与装置40の構成にすることで、図1に示すタイムスタンプ付与装置10と比べて、LSIの規模を小さくすることが可能である。
【0040】
本実施形態におけるタイムスタンプ付与装置40は、その全体または一部を汎用プロセッサで動作するソフトウェアで代替可能である。この場合、汎用プロセッサは主記憶に格納されたトランスポートストリームの参照、複製、または変更等を行う。
【0041】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係るデジタル放送記録装置50の構成図である。本実施形態において、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
デジタル放送記録装置50は、第1の実施形態におけるタイムスタンプ付与装置10に加え、トランスポートストリームを受信する受信部51、トランスポートストリームを記録する記録部52、および記録媒体53から構成される。
【0043】
受信部51は、外部のネットワーク等から、放送局が送出するトランスポートストリームを入力し、タイムスタンプ付与装置10に入力する。
【0044】
記録部52は、タイムスタンプ付与装置10から、各パケットにタイムスタンプが付与されたトランスポートストリームを入力し、記録媒体53に記録する。
【0045】
記録媒体53は、HDD(Hard Disk Drive)等のデジタルデータを蓄積する装置であり、デジタル放送記録装置50の外部に接続される場合もある。
【0046】
本実施形態によれば、上記の構成により、トランスポートストリームが放送局から送出されてから、受信機であるデジタル放送記録装置50に受信されるまでの遅延時間が一定でない場合、または、デジタル放送記録装置50に受信された時点で付与済みのタイムスタンプの精度が十分でない場合であっても、タイムスタンプ付与装置10が付与したタイムスタンプの、パケット間の間隔は、放送局がトランスポートストリームを送出した時刻の、パケット間の間隔を再現する。したがって、記録媒体53に記録されたトランスポートストリームを再生する際は、このタイムスタンプのタイミングでパケットを処理することで、目的の番組のパケットを抽出したことに起因する同期の問題を回避し、トランスポートストリームの再生を実現することができる。
【0047】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態に係るデジタル放送再生装置60の構成図である。本実施形態において、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0048】
デジタル放送再生装置60は、第1の実施形態におけるタイムスタンプ付与装置10に加え、トランスポートストリームを受信する受信部61およびトランスポートストリームを所定の表示装置100に出力する再生部62から構成される。
【0049】
受信部61は、外部のネットワーク等から、放送局が送出するトランスポートストリームを入力し、タイムスタンプ付与装置10に入力する。
【0050】
再生部62は、タイムスタンプ付与装置10から、各パケットにタイムスタンプが付与されたトランスポートストリームを入力し、復号化した映像と音声のデータとして外部の表示装置100に出力する。
【0051】
表示装置100は、TV(Television)等の映像の表示と音声の出力を行う装置であり、デジタル放送再生装置60に内蔵される場合もある。
【0052】
本実施形態によれば、上記の構成により、トランスポートストリームが放送局から送出されてから、受信機であるデジタル放送再生装置60に受信されるまでの遅延時間が一定でない場合、または、デジタル放送再生装置60に受信された時点で付与済みのタイムスタンプの精度が十分でない場合であっても、タイムスタンプ付与装置10が付与したタイムスタンプの、パケット間の間隔は、放送局がトランスポートストリームを送出した時刻の、パケット間の間隔を再現する。したがって、再生部62がトランスポートストリームを復号化する際は、このタイムスタンプのタイミングでパケットを処理することで、目的の番組のパケットを抽出したことに起因する同期の問題を回避し、トランスポートストリームの再生を実現することができる。
【0053】
(第5の実施形態)
図7は、本発明の第5の実施形態に係るデジタル放送記録装置70の構成図である。本実施形態において、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
デジタル放送記録装置70は、第2の実施形態におけるタイムスタンプ付与装置40、ならびに第3の実施形態における記録部52および記録媒体53に加え、受信部71から構成される。
【0055】
受信部71は、外部のネットワーク等から、放送局が送出するトランスポートストリームを入力し、タイムスタンプ付与装置40に入力する。ここで受信部71は、共有メモリ等に確保した図7では示していないバッファを介して、トランスポートストリームを基準時刻検出部41とタイムスタンプ算出部42との両方に入力する必要がある。
【0056】
本実施形態によれば、上記の構成により、タイムスタンプ付与装置40自体のLSIの規模を小さくしつつ、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0057】
(第6の実施形態)
図8は、本発明の第6の実施形態に係るデジタル放送再生装置80の構成図である。本実施形態において、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0058】
デジタル放送再生装置80は、第2の実施形態におけるタイムスタンプ付与装置40、第4の実施形態における再生部62、第5の実施形態における受信部71から構成される。
【0059】
本実施形態によれば、上記の構成により、タイムスタンプ付与装置40自体のLSIの規模を小さくしつつ、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
以上のように、従来、放送の配信形態の多くは帯域が保障された専用の回線が用いられてきた。この場合、トランスポートストリームが放送局から送出されてから、受信機に受信されるまでの遅延時間が一定であり、受信機は受信の時刻を利用して放送局がトランスポートストリームを送出するタイミングを再現することで、トランスポートストリームの記録や再生を実現できた。
【0061】
しかし、現在は放送の配信形態の多様化により、帯域が保障されない回線が用いられること、または回線の途中で精度が十分でないタイムスタンプが付与されることが起こっている。このような状況下で、受信機であるデジタル放送記録装置やデジタル放送再生装置に、トランスポートストリームの記録や再生の機能を実現させるために、本発明は有効である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、タイムスタンプ付与回路に適用できる。また、本発明は、当該タイムスタンプ付与回路を搭載したDTV(Digital Television)、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ/レコーダ、BD(Blu-ray Disc(登録商標))プレーヤ/レコーダ等に適用できる。
【符号の説明】
【0063】
10 タイムスタンプ付与装置
11 基準時刻検出部
12 タイムスタンプ算出部
13 タイムスタンプ付与部
14 ストリームバッファ
40 タイムスタンプ付与装置
41 基準時刻検出部
42 タイムスタンプ算出部
43 タイムスタンプ付与部
50 デジタル放送記録装置
51 受信部
52 記録部
53 記録媒体
60 デジタル放送再生装置
61 受信部
62 再生部
70 デジタル放送記録装置
71 受信部
80 デジタル放送再生装置
100 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパケットおよび第2のパケットを含むトランスポートストリームにタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与装置において、
前記第1のパケットの第1の基準時刻および前記第2のパケットの第2の基準時刻を検出する基準時刻検出部と、
前記基準時刻検出部から入力した前記第1のパケットの第1の検出位置、前記第2のパケットの第2の検出位置、前記第1の基準時刻および前記第2の基準時刻を基に、前記トランスポートストリームの各パケットに付与するタイムスタンプ値を算出するタイムスタンプ算出部と、
前記タイムスタンプ算出部が算出した前記タイムスタンプ値を、前記トランスポートストリームの各パケットに付与するタイムスタンプ付与部とを有する
ことを特徴とするタイムスタンプ付与装置。
【請求項2】
前記タイムスタンプ算出部は、前記第1の検出位置、前記第2の検出位置、前記第1の基準時刻および前記第2の基準時刻の相関関係を基に、前記トランスポートストリームの各パケット単位の基準時刻の増分を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項3】
前記第2のパケットは、前記第1のパケットの次に基準時刻を含む前記トランスポートストリーム中のパケットである
ことを特徴とする請求項2に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項4】
前記タイムスタンプ算出部は、前記第1のパケットおよび前記第2のパケットの間にあるパケットに付与するタイムスタンプ値を直線内挿で算出する
ことを特徴とする請求項3に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項5】
前記タイムスタンプ算出部は、前記第1のパケットおよび前記第2のパケットの間にあるパケット以外の、前記トランスポートストリームを構成するパケットに付与するタイムスタンプ値を、直線外挿で算出する
ことを特徴とする請求項3に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項6】
前記タイムスタンプ付与部は、タイムスタンプが付与されていない前記トランスポートストリームのパケットに、タイムスタンプを追加する
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項7】
前記タイムスタンプ付与部は、タイムスタンプが付与されている前記トランスポートストリームのパケットに、タイムスタンプを上書きする
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項8】
前記タイムスタンプ付与部は、前記トランスポートストリームにおいてタイムスタンプが付与されている第3のパケットに対し、前記第3のパケットに付与されているタイムスタンプを保持するか、前記タイムスタンプ算出部が算出したタイムスタンプ値で前記第3のパケットに付与されているタイムスタンプを上書きするかを選択する
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項9】
前記基準時刻検出部は、放送局が前記トランスポートストリームを送出する際に、前記放送局の基準クロックで計測した基準時刻を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項10】
前記基準時刻検出部から出力された前記トランスポートストリームを格納するストリームバッファをさらに有し、
前記タイムスタンプ付与部は、
前記タイムスタンプ算出部から出力された第4の検出位置に対応する、第4のパケットを前記ストリームバッファから入力し、前記第4のパケットにタイムスタンプ値を付与する
ことを特徴とする請求項1に記載のタイムスタンプ付与装置。
【請求項11】
請求項1に記載のタイムスタンプ付与装置と、
前記トランスポートストリームを受信し、前記基準時刻検出部に前記トランスポートストリームを出力する受信部と、
前記タイムスタンプ付与部によってタイムスタンプが付与されたトランスポートストリームを所定の記録媒体に記録する記録部とを有する
ことを特徴とするデジタル放送記録装置。
【請求項12】
請求項1に記載のタイムスタンプ付与装置と、
前記トランスポートストリームを受信し、前記基準時刻検出部に前記トランスポートストリームを出力する受信部と、
前記タイムスタンプ付与部によってタイムスタンプが付与されたトランスポートストリームを所定の表示装置に出力する再生部とを有する
ことを特徴とするデジタル放送再生装置。
【請求項13】
請求項10に記載のタイムスタンプ付与装置と、
前記トランスポートストリームを受信し、前記基準時刻検出部および前記タイムスタンプ算出部に前記トランスポートストリームを出力する受信部と、
前記タイムスタンプ付与部によってタイムスタンプが付与されたトランスポートストリームを所定の記録媒体に記録する記録部とを有する
ことを特徴とするデジタル放送記録装置。
【請求項14】
請求項10に記載のタイムスタンプ付与装置と、
前記トランスポートストリームを受信し、前記基準時刻検出部および前記タイムスタンプ算出部に前記トランスポートストリームを出力する受信部と、
前記タイムスタンプ付与部によってタイムスタンプが付与されたトランスポートストリームを所定の表示装置に出力する再生部とを有する
ことを特徴とするデジタル放送再生装置。
【請求項15】
請求項1または10に記載のタイムスタンプ付与装置は、単一のLSI(Large Scale Integration)で構成されていることを特徴とするタイムスタンプ付与回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−161032(P2012−161032A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20952(P2011−20952)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】