説明

タイム計測装置

【課題】低コスト化を図りつつ、測定場所の制限を緩和することが可能なタイム計測装置を提供する。
【解決手段】タイム計測装置1は、地図データを記憶した地図データ記憶部20と、地図データ記憶部20により記憶された地図データに基づく地図上にタイム計測用のコースを生成する計測コース生成部51と、計測コース生成部51により生成されたコースにタイム計測開始箇所、及び、タイム計測終了箇所を設定する計測基準箇所設定部52と、GPS衛星からの電波によって自己位置を検出する自己位置検出部53と、自己位置検出部53により検出された自己位置が、計測基準箇所設定部52により設定されたタイム計測開始箇所を出発してからタイム計測終了箇所に達するまでのタイムを計測するタイム計測部54とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイム計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラにて撮像された路面画像からスタート地点とゴール地点とを認識して、スタート地点からゴール地点までのタイムを計測するタイム計測システムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−109594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のタイム計測システムでは、スタート地点やゴール地点となる基準線が路面に描かれていなければならず、測定場所が限られてしまう。また、画像解析を行う必要があり、タイムが測定される対象となる車両、競技者及び船舶等に対してカメラを設置する必要があると共に、画像解析を実行してタイムを計測する装置が必要となり、決して低コストであると言えない。
【0004】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、低コスト化を図りつつ、測定場所の制限を緩和することが可能なタイム計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のタイム計測装置は、地図データを記憶した地図データ記憶手段と、地図データ記憶手段により記憶された地図データに基づく地図上にタイム計測用のコースを生成する計測コース生成手段と、計測コース生成手段により生成されたコースにタイム計測開始箇所、及び、タイム計測終了箇所を設定する計測基準箇所設定手段と、GPS衛星からの電波によって自己位置を検出する自己位置検出手段と、自己位置検出手段により検出された自己位置が、計測基準箇所設定手段により設定されたタイム計測開始箇所を出発してからタイム計測終了箇所に達するまでのタイムを計測するタイム計測手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明のタイム計測装置は、地図データを読み出して地図上にタイム計測用のコースを生成すると共に、タイム計測開始箇所、及び、タイム計測終了箇所を設定し、GPS衛星からの電波によって自己位置を把握し、把握された自己位置がタイム計測開始箇所からタイム計測終了箇所に達するまでのタイムを計測する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地図上にコースを設定し、GPS衛星からの電波によって自己位置を検出して、自己位置が、コース上に設定されるタイム計測開始箇所を出発してからタイム計測終了箇所に達するまでのタイムを計測する。このため、GPS電波を受信可能であれば、タイムの計測が可能となり、測定場所が限られてしまう事態を防止することができる。また、タイムが測定される対象となる車両、競技者及び船舶等に対してカメラを設置する必要がなく、画像解析する装置も必要がない。従って、低コスト化を図りつつ、測定場所の制限を緩和することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態
に係るタイム計測装置の構成図である。同図に示すタイム計測装置1は、車両、競技者及び船舶等のタイムの測定対象に対して設置され、例えば測定対象がスタート地点からゴール地点に達するまでのタイムを計測するものである。このタイム計測装置1は、GPS(Global Positioning System)電波受信部10と、地図データ記憶部(地図データ記憶手
段)20と、操作部30と、表示部40と、制御部50とを備えている。
【0009】
GPS電波受信部10は、GPS衛星からの電波を受信するものである。地図データ記憶部20は、一般道路、有料道路等の各種道路、及び、周辺の建物等からなる地図データを記憶したものである。各種道路の情報はノード及びリンクからなっている。操作部30は、ユーザからの操作を受け付けるものであって、後述する計測コースの生成操作、中継地点の設定操作等を行うものである。表示部40は、タイム計測装置1の各種状態等を表示するものである。
【0010】
制御部50は、タイム計測装置1の全体を制御するものであって、計測コース生成部(計測コース生成手段)51と、計測基準箇所設定部(計測基準箇所設定手段)52と、自己位置検出部(自己位置検出手段)53と、タイム計測部(タイム計測手段)54と、修正実行部(修正実行手段)55とを備えている。
【0011】
計測コース生成部51は、地図データ記憶部20により記憶された地図データに基づく地図上にタイム計測用のコースを生成するものである。また、計測コース生成部51は、通常モードとラップタイムモードとの2つモードを有し、それぞれのモードでコース生成方法が異なっている。
【0012】
図2は、図1に示した計測コース生成部51による通常モード時のコース生成の様子を示す図である。まず、ユーザは、操作部30を操作し、図2(a)に示すように地図上にポイント101を設定する。次いで、ユーザは、図2(b)に示すように、地図上に2つ目のポイント102を設定する。これにより、両ポイント101,102を結ぶ最短ルートがコース201として生成される。なお、計測コース生成部51は、地図データ記憶部20に記憶されるリンク上で最短となるものを最短ルートとして選択する。
【0013】
その後、ユーザは、図2(c)〜(e)に示すように、地図上に順次ポイント103〜105を設定していく。これにより、各ポイント102〜105を結ぶ最短ルートがコース202〜204として生成される。
【0014】
そして、ユーザがコース設定の完了操作を行ったとする。これにより、図2(f)に示すように、ポイント101からポイント105までを結ぶ区間をタイム計測用のコース210として生成することとなる。
【0015】
再度、図1を参照する。計測基準箇所設定部52は、計測コース生成部51により生成されたコース210にスタート地点(タイム計測開始箇所)、及びゴール地点(タイム計測終了箇所)を設定するものである。具体的に計測基準箇所設定部52は、図2(f)に示すように、コース生成に際して最初に設定されたポイント101の箇所をスタート地点として設定する。また、計測基準箇所設定部52は、コース設定の完了操作が行われた直前に設定されたポイント105の箇所をゴール地点として設定することとなる。
【0016】
なお、計測基準箇所設定部52は、ポイント104のような中継地点を設定可能となっている。具体的に計測基準箇所設定部52は、ポイント設定の後に、ユーザから操作部30を介して中継地点の設定操作が行われた場合、指定のポイントを中継地点として設定することとなる。
【0017】
図3は、図1に示した計測コース生成部51によるラップタイムモード時のコース生成の様子、及び、図1に示した計測基準箇所設定部52によるスタート地点等の設定の様子を示す図である。なお、図3では、レース場などでコースを生成する場合について説明する。
【0018】
図3(a)に示すように、レース場のコース220が地図データ記憶部20により記憶されているものとする。そして、図3(b)に示すように、ユーザが地図上にポイント111を設定する。その後、ユーザがさらに他のポイント112を設定し、中継地点の設定操作を行ったとする。これにより、計測コース生成部51は、ポイント111から中継地点112までを結ぶ最短ルートをコース231として生成する。
【0019】
なお、図3に示す例の場合、地図データ記憶部20により記憶されているコース220は、分岐等がないコースである。このため、中継地点112からポイント111に達するルートは1つしか存在しない。このため、計測コース生成部51は、図3(c)に示すように、中継地点112からポイント111を結ぶルートについてもコース232として生成する。
【0020】
そして、ユーザがコース設定の完了操作を行ったとする。これにより、図3(d)に示すように、ポイント111から中継地点112を通過してポイント111まで周を形成する区間をタイム計測用のコース240として生成することとなる。
【0021】
また、この場合において計測基準箇所設定部52は、地図上に生成されたタイム計測用のコースが交わる地点(ポイント111の地点)を、スタート地点及びゴール地点として設定する。
【0022】
図4は、図1に示した計測コース生成部51によるラップタイムモード時のコース生成の様子、及び、図1に示した計測基準箇所設定部52によるスタート地点等の設定の様子を示す第2の図である。なお、図4では、図3とは異なる形状のレース場などでコースを生成する場合について説明する。
【0023】
図4(a)に示すように、レース場のコース250が地図データ記憶部20により記憶されているものとする。そして、図4(b)に示すように、ユーザが地図上にポイント121を設定する。その後、ユーザがさらに他のポイント122を設定し、中継地点の設定操作を行ったとする。これにより、計測コース生成部51は、ポイント121から中継地点122までを結ぶ最短ルートをコース261として生成する。
【0024】
なお、図4に示す例の場合、地図データ記憶部20により記憶されているコース250は、逆走(時計回りが順走)しない限り、中継地点122からポイント121に到達することができない。このため、計測コース生成部51は、図4(c)に示すように、中継地点122から、逆走しないで最もポイント111に近くなる地点123までを結ぶルートをコース262として生成する。
【0025】
そして、ユーザがコース設定の完了操作を行ったとする。これにより、図4(d)に示すように、地点123から中継地点122を通過して地点123までの周を形成する区間をタイム計測用のコース270として生成することとなる。
【0026】
また、この場合において計測基準箇所設定部52は、地図上に生成されたタイム計測用のコース270が交わる地点123を、スタート地点及びゴール地点として設定する。なお、この場合、計測基準箇所設定部52はポイント121をスタート地点に設定し、地点123をゴール地点に設定してもよい。
【0027】
再度、図1を参照する。自己位置検出部53はGPS衛星からの電波によって自己位置を検出するものである。タイム計測部54は、自己位置検出部53により検出された自己位置が計測基準箇所設定部52により設定されたスタート地点を出発してからゴール地点に達するまでのタイムを計測するものである。また、タイム計測部54は、スタート地点からゴール地点に限らず、スタート地点から中継地点や、タイム計測用のコースが周回コースである場合にはラップタイムなどについても計測する。
【0028】
以上のような構成であるため、タイム計測装置1は、計測コース生成部51によりタイム計測用のコースを生成し、計測基準箇所設定部52によりスタート地点等を設定する。その後、車両等の計測対象がスタート地点を出発すると、タイム計測部54が計測を開始する。なお、計測対象の位置は自己位置検出部53により検出される。そして、計測対象がゴール地点に到達すると、タイム計測部54はスタート地点からゴール地点までのタイムを記憶する。
【0029】
また、スタート地点からゴール地点に到達するまでにおいて表示部40は、スタート地点からの経過時間、中継地点の通過時間、及びラップタイム等の各種情報、並びにタイム計測用コースに対する自己位置の情報などを表示する。
【0030】
再度、図1を参照する。修正実行部55は、計測基準箇所設定部52により設定されたスタート地点及びゴール地点の少なくとも一方の箇所の修正処理を実行するものである。この修正実行部55の処理について図5及び図6を参照して説明する。
【0031】
図5は、図1に示した修正実行部55の処理内容を示す第1の図である。なお、図5に示す修正処理は、スタート地点及びゴール地点の少なくとも一方が計測基準箇所設定部52によって一定の距離を有したラインとして設定された場合における処理を示している。
【0032】
図5(a)に示すように、タイム計測用コース300上にスタート地点又はゴール地点となるべきライン301が存在している。しかし、計測基準箇所設定部52の設定誤差、及び、地図データ記憶部20に記憶される地図データの誤差等によっては、スタート地点やゴール地点がライン301と重なるように設定されず、ライン301から歪んだ位置のライン302として設定される場合がある。この場合、タイムの計測が不正確となる可能性がある。
【0033】
そこで、修正実行部55は、ライン302に対する計測対象の進入角度を求める。そして、修正実行部55は、進入角度に沿う直線303の垂線304を求める。次に、修正実行部55は、図5(b)に示すように、ライン302と垂線304との中間線305を求め、この中間線305を新たなラインとする。これにより、本来スタート地点やゴール地点となるべきライン301と、修正後のライン305との角度差を小さくすることができる。
【0034】
図6は、図1に示した修正実行部55の処理内容を示す第2の図である。なお、図6に示す修正処理は、スタート地点及びゴール地点の少なくとも一方が計測基準箇所設定部52によって一定の範囲を有したエリアとして設定された場合における処理を示している。
【0035】
図6(a)に示すように、タイム計測用コース300上にスタート地点又はゴール地点としてのエリア311が設定されたとする。しかし、このエリア311はタイム計測用コース300をはみ出すほどの大きさであり、スタート地点及びゴール地点としては大き過ぎで望ましいものではない。
【0036】
そこで、修正実行部55は、自己位置検出部53により検出された検出対象がエリア311を通過したときの通過箇所を求める。図6(a)に示すように、検出対象は、エリア311の上部のみを通過している。このため、エリア311の下部は不要な箇所といえる。よって、修正実行部55は、このような通過箇所に基づいてエリアを縮小し、図6(b)に示すような縮小エリア312を生成する。これにより、より適切なエリア設定を行って、スタート地点及びゴール地点の適正化を図るようにしている。
【0037】
なお、図6に示す例では、複数の通過箇所に基づいて縮小エリア312を求めることが望ましいが、これに限らず、1つの通過箇所に基づいて縮小エリア312生成してもよい。また、検出対象が縮小エリア312を通過しない場合には、縮小エリア312を拡大するようにしてもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係るタイム計測装置1の動作をフローチャートを参照して説明する。図7は、本実施形態に係るタイム計測装置1におけるタイム計測用コースの生成等に関する処理を示すフローチャートである。
【0039】
まず、制御部50は、現在通常モードであるか否かを判断する(S1)。通常モードであると判断した場合(S1:YES)、計測コース生成部51はポイント設定されたか否かを判断する(S2)。ポイント設定されていないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS8に移行する。
【0040】
一方、ポイント設定されたと判断した場合(S2:YES)、計測コース生成部51は設定されたポイントが1つ目であるか否かを判断する(S3)。1つ目であると判断した場合(S3:YES)、計測基準箇所設定部52は1つ目のポイントをスタート地点として設定する(S4)。その後、処理はステップS8に移行する。
【0041】
また、設定されたポイントが1つ目でないと判断した場合(S3:NO)、計測コース生成部51は前回設定されたポイントと、今回設定されたポイントとの最短ルートをコースとして設定する(S5)。そして、処理はステップS6に移行する。このようにタイム計測用コースは、上記ステップS5を繰り返すことによって徐々に生成されていくこととなる。ここで、最短ルートは、地図データ記憶部20にリンク情報が記憶されている場合、リンクに沿ったものとなるが、リンク情報が記憶されていない場合、ポイント間をつなぐ直線となる。
【0042】
ステップS6において計測基準箇所設定部52は、中継地点の設定操作が行われたか否かを判断する(S6)。中継地点の設定操作が行われていないと判断した場合(S6:NO)、処理はステップS8に移行する。他方、中継地点の設定操作が行われたと判断した場合(S6:YES)、計測基準箇所設定部52は今回設定されたポイントを中継地点として設定し(S7)、処理はステップS8に移行する。
【0043】
ステップS8において制御部50は完了操作が行われたか否かを判断する(S8)。完了操作が行われなかったと判断した場合(S8:NO)、処理はステップS2に移行する。一方、完了操作が行われたと判断した場合(S8:YES)、計測コース生成部51はステップS5を繰り返すことによって生成されたコースを、タイム計測用コースとして決定する(S9)。そして、計測基準箇所設定部52は、最後に設定された最終ポイントをゴール地点として設定し(S10)、図7に示す処理は終了する。
【0044】
ところで、ステップS1において通常モードでないと判断された場合(S1:NO)、すなわちラップタイムモードであると判断された場合、計測コース生成部51は、1つ目のポイントとなる初期ポイントが設定されたか否かを判断する(S11)。初期ポイント
が設定されていないと判断した場合(S11:NO)、設定されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。初期ポイントが設定されたと判断した場合(S11:YES)、計測コース生成部51は、次のポイントが設定されたか否かを判断する(S12)。
【0045】
次のポイントが設定されていないと判断した場合(S12:NO)、処理はステップS15に移行する。一方、次のポイントが設定されたと判断した場合(S12:YES)、計測基準箇所設定部52は、中継地点の設定操作が行われたか否かを判断する(S13)。中継地点の設定操作が行われていないと判断した場合(S13:NO)、処理はステップS14に移行する。
【0046】
他方、中継地点の設定操作が行われたと判断した場合(S13:YES)、計測基準箇所設定部52は設定されたポイントを中継地点として設定する(S14)。そして、計測コース生成部51は前回設定されたポイントと、今回設定されたポイントとの最短ルートをコースとして設定する(S15)。なお、この場合において、計測コース生成部51は、図3を参照して説明したように、中継地点から初期ポイントに達するルートが1つしか存在しない場合、中継地点から初期ポイントまでのルートをタイム計測用コースとして生成してもよい。また、図4を参照して説明したように、逆走しない限り、中継地点から初期ポイントに到達することができないような場合、計測コース生成部51は、中継地点から、逆走しないで最も初期ポイントに近くなる地点までを結ぶルートをタイム計測用コースとして生成してもよい。
【0047】
そして、ステップS16において制御部50は完了操作が行われたか否かを判断する(S16)。完了操作が行われなかったと判断した場合(S16:NO)、処理はステップS12に移行する。一方、完了操作が行われたと判断した場合(S16:YES)、計測コース生成部51は、ステップS15において生成されたコースをタイム計測用コースとして決定する(S17)。その後、計測基準箇所設定部52は、スタート地点及びゴール地点を設定する(S18)。この場合、計測基準箇所設定部52は、図3及び図4を参照して説明したようにしてスタート地点及びゴール地点を設定することとなる。その後、図7に示す処理は終了する。
【0048】
図8は、本実施形態に係るタイム計測装置1におけるタイムの計測に関する処理を示すフローチャートである。タイムの計測にあたっては、まず計測対象がスタート地点を通過したか、又は操作部30を介してスタート指令があったか否かを判断する(S21)。双方ともになかったと判断した場合(S21:NO)、計測対象がスタート地点を通過したか、又は操作部30を介してスタート指令があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0049】
計測対象がスタート地点を通過したか、又は操作部30を介してスタート指令があったと判断された場合(S21:YES)、制御部50は計時を開始する(S22)。その後、制御部50は、計測コース生成部51により生成されたタイム計測用コースが通常モードにより生成されたか否かを判断する(S23)。
【0050】
生成されたタイム計測用コースが通常モードにより生成されたものであると判断した場合(S23:YES)、自己位置検出部53により検出された自己位置が中継地点を通過したか否かを判断する(S24)。自己位置が中継地点を通過していないと判断した場合(S24:NO)、処理はステップS26に移行する。一方、自己位置が中継地点を通過したと判断した場合(S24:YES)、タイム計測部54は、ステップS21において「YES」と判断されてから、中継地点を通過するまでの経過時間を計測すると共に記憶する(S25)。そして、処理はステップS26に移行する。なお、記憶された時間の情報は、表示部40において表示されたり、ユーザ操作によって他の機器に出力されたりな
どする。
【0051】
ステップS26において制御部50は、自己位置検出部53により検出された自己位置がゴール地点を通過したか否かを判断する(S26)。自己位置がゴール地点を通過していないと判断した場合(S26:NO)、処理はステップS24に移行する。自己位置がゴール地点を通過したと判断した場合(S26:YES)、タイム計測部54は、ステップS21において「YES」と判断されてから、ゴール地点を通過するまでの経過時間を計測すると共に記憶する(S27)。そして、制御部50は計時を終了し(S28)、図8に示す処理は終了する。なお、ステップS27において記憶された時間の情報についても、表示や出力などされる。
【0052】
ところで、生成されたタイム計測用コースが通常モードにより生成されたものでないと判断した場合(S23:NO)、すなわちラップタイムモードにて生成された場合、自己位置検出部53により検出された自己位置が中継地点を通過したか否かを判断する(S29)。自己位置が中継地点を通過していないと判断した場合(S29:NO)、処理はステップS31に移行する。一方、自己位置が中継地点を通過したと判断した場合(S29:YES)、タイム計測部54は、前回スタート地点を通過してからの経過時間を算出する(S30)。そして、処理はステップS31に移行する。なお、操作部30を介してスタート指令があったことによりステップS21において「YES」と判断され、且つ、1周目における中継地点の通過であった場合には、スタート指令があってから中継地点を通過するまでの経過時間が算出される。また、算出された時間の情報は、表示されたり出力されたりする。
【0053】
次いで、ステップS31において制御部50は、自己位置検出部53により検出された自己位置がゴール地点を通過したか否かを判断する(S31)。自己位置がゴール地点を通過していないと判断した場合(S31:NO)、処理はステップS29に移行する。自己位置がゴール地点を通過したと判断した場合(S31:YES)、制御部50は、計測対象が規定周回数走行したか否かを判断する(S32)。
【0054】
計測対象が規定周回数走行していないと判断した場合(S32:NO)、すなわちゴールしていないと判断できる場合、タイム計測部54は、1周分の経過時間に相当するラップタイムを算出する(S33)。その後、処理はステップS29に移行する。なお、算出された時間は、表示されたり出力されたりする。
【0055】
計測対象が規定周回数走行していないと判断した場合(S32:YES)、タイム計測部54は、ステップS21において「YES」と判断されてから、規定周回数走行し終えるまでの経過時間を計測すると共に記憶する(S34)。ここで、記憶された時間の情報は、表示されたり出力されたりする。そして、制御部50は計時を終了し(S35)、図8に示す処理は終了する。
【0056】
このようにして、本実施形態に係るタイム計測装置1によれば、地図上にコースを設定し、GPS衛星からの電波によって自己位置を検出して、自己位置が、コース上に設定されるタイム計測開始箇所を出発してからタイム計測終了箇所に達するまでのタイムを計測する。このため、GPS電波を受信可能であれば、タイムの計測が可能となり、測定場所が限られてしまう事態を防止することができる。また、タイムが測定される対象となる車両、競技者及び船舶等に対してカメラを設置する必要がなく、画像解析する装置も必要がない。従って、低コスト化を図りつつ、測定場所の制限を緩和することができる。
【0057】
また、地図上に生成されたタイム計測用のコースが交わる地点を、タイム計測開始箇所及びタイム計測終了箇所の少なくとも一方に設定する。ここで、タイム計測用のコースが
交わる地点が存在するということは、生成されたコースが周回を要するコースであるといえる。さらに、周回を要するコースでは1周毎にラップタイムを算出することが望ましい。このため、生成されたタイム計測用のコースが交わる地点を、タイム計測開始箇所及びタイム計測終了箇所の少なくとも一方に設定することで、ラップタイムを算出するための起点を生成することとなり、利便性を向上させることができる。
【0058】
また、タイム計測開始箇所及びタイム測定終了箇所の少なくとも一方が一定の距離を有したラインとして設定された場合、自己位置がそのラインを通過したときの進入角度を求めた後に、進入角度の垂線を求め、求めた垂線とラインとの中間線を新たなラインとする。このため、当初ラインが正確な角度で設定されていなくとも、実際の進入角度からから修正を施していくこととなり、ラインを正確な角度とすることができる。従って、タイムの計測精度を向上させることができる。
【0059】
また、タイム計測開始箇所及びタイム測定終了箇所の少なくとも一方が一定の範囲を有したエリアとして設定された場合、自己位置がエリアを通過したときの通過箇所を求め、通過箇所に基づいてエリアを縮小していく。このため、当初エリアが大きく設定されすぎた場合であっても、通過箇所の隔たりから、エリアを縮小して不要な箇所をカットすることができ、タイム計測開始箇所及びタイム測定終了箇所の設定精度は向上することとなる。従って、タイムの計測精度を向上させることができる。
【0060】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係るタイム計測装置の構成図である。
【図2】図1に示した計測コース生成部による通常モード時のコース生成の様子を示す図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示し、(c)は第3の状態を示し、(d)は第4の状態を示し、(e)は第5の状態を示し、(f)は第6の状態を示している。
【図3】図1に示した計測コース生成部によるラップタイムモード時のコース生成の様子、及び、図1に示した計測基準箇所設定部によるスタート地点等の設定の様子を示す図であって、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示し、(c)は第3の状態を示し、(d)は第4の状態を示している。
【図4】図1に示した計測コース生成部によるラップタイムモード時のコース生成の様子、及び、図1に示した計測基準箇所設定部52によるスタート地点等の設定の様子を示す図であって、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示し、(c)は第3の状態を示し、(d)は第4の状態を示している。
【図5】図1に示した修正実行部の処理内容を示す第1の図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示している。
【図6】図1に示した修正実行部の処理内容を示す第2の図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示している。
【図7】本実施形態に係るタイム計測装置におけるタイム計測用コースの生成等に関する処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係るタイム計測装置におけるタイムの計測に関する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1…タイム計測装置
10…GPS電波受信部
20…地図データ記憶部
30…操作部
40…表示部
50…制御部
51…計測コース生成部(計測コース生成手段)
52…計測基準箇所設定部(計測基準箇所設定手段)
53…自己位置検出部(自己位置検出手段)
54…タイム計測部(タイム計測手段)
55…修正実行部(修正実行手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶した地図データ記憶手段と、
前記地図データ記憶手段により記憶された地図データに基づく地図上にタイム計測用のコースを生成する計測コース生成手段と、
前記計測コース生成手段により生成されたコースにタイム計測開始箇所、及び、タイム計測終了箇所を設定する計測基準箇所設定手段と、
GPS衛星からの電波によって自己位置を検出する自己位置検出手段と、
前記自己位置検出手段により検出された自己位置が、前記計測基準箇所設定手段により設定された前記タイム計測開始箇所を出発してから前記タイム計測終了箇所に達するまでのタイムを計測するタイム計測手段と、
を備えることを特徴とするタイム計測装置。
【請求項2】
前記計測基準箇所設定手段は、地図上に生成されたタイム計測用のコースが交わる地点を、前記タイム計測開始箇所及び前記タイム計測終了箇所の少なくとも一方に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のタイム計測装置。
【請求項3】
前記計測基準箇所設定手段により設定された前記タイム計測開始箇所及び前記タイム測定終了箇所の少なくとも一方の箇所の修正処理を実行する修正実行手段をさらに備え、
前記修正実行手段は、前記タイム計測開始箇所及び前記タイム測定終了箇所の少なくとも一方が前記計測基準箇所設定手段によって一定の距離を有したラインとして設定された場合、前記自己位置検出手段により検出された自己位置が前記ラインを通過したときの進入角度を求めた後に、進入角度に沿う直線の垂線を求め、求めた垂線とラインとの中間線を新たなラインとする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のタイム計測装置。
【請求項4】
前記計測基準箇所設定手段により設定された前記タイム計測開始箇所及び前記タイム測定終了箇所の少なくとも一方の箇所の修正処理を実行する修正実行手段をさらに備え、
前記修正実行手段は、前記タイム計測開始箇所及び前記タイム測定終了箇所の少なくとも一方が一定の範囲を有したエリアとして設定された場合、前記自己位置検出手段により検出された自己位置が前記エリアを通過したときの通過箇所を求め、通過箇所に基づいてエリアを縮小していく
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のタイム計測装置。
【請求項5】
地図データを読み出して地図上にタイム計測用のコースを生成すると共に、タイム計測開始箇所、及び、タイム計測終了箇所を設定し、
GPS衛星からの電波によって自己位置を把握し、把握された自己位置がタイム計測開始箇所からタイム計測終了箇所に達するまでのタイムを計測する
ことを特徴とするタイム計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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