タイヤの動的接地面計測装置およびタイヤの動的接地面計測方法
【課題】タイヤの動的接地面形状を正確に測定することができるタイヤの動的接地面計測装置およびタイヤの動的接地面計測方法を提供する。
【解決手段】路面3上に導電性を有する被接地面4が形成されている。タイヤ2のトレッド面2Aに、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが形成されている。タイヤ2が路面3上を転動することにより、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが被接地面4に接地すると、第1、第2の電極体1202、1204は被接地面4を介して導通する。動歪み計20は、第1、第2の電極体1202、1204が非導通のときに、第1の歪み量を測定し、第1、第2の電極体1202、1204が導通のときに、第2の歪み量を測定する。パーソナルコンピュータ22は動歪み計20から供給される時系列データとしての歪み量に基づいてタイヤ2の動的接地面形状を算出する。
【解決手段】路面3上に導電性を有する被接地面4が形成されている。タイヤ2のトレッド面2Aに、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが形成されている。タイヤ2が路面3上を転動することにより、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが被接地面4に接地すると、第1、第2の電極体1202、1204は被接地面4を介して導通する。動歪み計20は、第1、第2の電極体1202、1204が非導通のときに、第1の歪み量を測定し、第1、第2の電極体1202、1204が導通のときに、第2の歪み量を測定する。パーソナルコンピュータ22は動歪み計20から供給される時系列データとしての歪み量に基づいてタイヤ2の動的接地面形状を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの動的接地面形状を測定するタイヤの動的接地面計測装置およびタイヤの動的接地面計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤを、透明板の上を走行させて下からビデオ観察することによりタイヤの動的な接地面形状を測定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、圧力センサをドラムの内周面に二次元に密に配置し、タイヤをドラムの内周面で転動させ、圧力センサによって検出される圧力に基づいてタイヤの動的な接地圧力を測定する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−230328号公報
【特許文献2】特開2000−226778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の従来技術では、ドライバーが自動車を運転した状態で、特定のカメラ上を走行通過中のタイヤの接地面のビデオ観察を行うということから、タイヤの走行条件を細かく規定して測定することが難しい。それに加え、走行速度が速くなるほど接地端は境界が不明瞭となり、タイヤの動的接地面形状を確定し正確に測定することは難しい。
また、後者の従来技術では、以下の理由から動的接地面形状を正確に測定することが難しい。
例えば、300km/hでタイヤが走行した場合、圧力センサの検出信号を処理する計測装置の応答性が100kHzであっても、走行方向の空間解像度は0.83mmである。
タイヤの開発を行うにあたっては、高速における動的接地面形状を正確に測定すること、言い換えると、空間分解能ならびに、各センサ間の信号の同期性(すなわち、タイヤがセンサを押圧してからセンサから信号が出るまでの時間が各センサで同期しいていること)を高めることが非常に重要である。
後者の技術で用いる圧力センサのように、接触−変形−電気的応答の順番で伝わる信号経路では、センサの突起部をタイヤが踏み押して初めて接地を検出するが、突起長さは真の接地以前に接地を検出して誤差を誘引するし、突起を低くすると突起を押す力が弱くなり感度が低下するし、感度を高くすると接地が終了して突起が下に戻るまでに遅延が大きくなるなど、接触から応答までの信号のずれ或いは遅延がアンコントロールに生じるため、特にセンサ間の信号の位相精度は揺らぎ信用が置けないものとなり、動的接地面形状を正確に測定することが難しい。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、タイヤの動的接地面形状を正確に測定することができるタイヤの動的接地面計測装置およびタイヤの動的接地面計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のタイヤの動的接地面計測装置は、タイヤのトレッド面に形成された複数の電極体と、前記タイヤが導電性を有する被接地面上で転動した際に、前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を示す接地データを検出する導通検出手段と、前記接地データに基づいて前記タイヤの接地面形状を算出する接地面形状算出手段とを備えることを特徴とする。
また本発明のタイヤの動的接地面計測方法は、導電性を有する被接地面を設け、タイヤのトレッド面に複数の電極体を形成し、前記タイヤを前記被接地面上で転動させ、前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を示す接地データを検出し、前記接地データに基づいて前記タイヤの接地面形状を算出するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の計測装置および計測方法によれば、接地データは、電極体同士が被接地面を介して導通状態であるか、非導通状態であるかで決定されることから、遅延やセンサ間の信号の位相ずれを生じる要素がなく、被接地面と電極体との接触から応答までの信号の遅延やセンサ間の信号の位相ずれを最低限に抑制することができる。
したがって、算出されるタイヤの接地面形状の空間分解能及びセンサ間の前後の揺らぎなき状態を確保することができ、動的接地面形状を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態においてタイヤの動的接地面計測装置10が搭載された車両と路面とを模式的に示す斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】第1の実施の形態におけるタイヤの動的接地面計測装置10の構成図である。
【図4】第1の実施の形態における第1、第2の電極体1202、1204の説明図である。
【図5】動歪み計20で検出される歪み量を示す線図である。
【図6】各第1の電極体1202に対応する歪み量の波形を示す波形図である。
【図7】(A)は各第1の電極体1202に対応する歪み量の波形図、(B)は動的接地面形状を求める説明図である。
【図8】算出されたタイヤ2の動的接地面形状Wの一例を示す説明図である。
【図9】1つの第2の電極体1204が複数の第1の電極体1202の周囲を囲むように延在形成されている場合を示す説明図である。
【図10】1つの第2の電極体1204が1つの第1の電極体1202の周囲を囲むように延在形成されている場合を示す説明図である。
【図11】第1の電極体1202がタイヤ2の幅方向に延在する直線上に間隔をおいて配置され、第2の電極体1204が前記直線と交差しかつタイヤ2の周方向に延在している場合を示す説明図である。
【図12】複数の電極体12が互いに近接した箇所に配置された2つの電極体1210を一対とする電極体対30を複数含んで構成されている場合を示す説明図である。
【図13】(A)は第1の電極体1202がタイヤ2の幅方向およびタイヤ2の周方向の全域にわたって設けられたタイヤ2を示す斜視図、(B)は第1の電極体1202をタイヤ2の幅方向に対して交差する方向に間隔をおいて1列に並べて設けられたタイヤ2を示す斜視図である。
【図14】図13(B)に示すタイヤ2を用いた場合に動歪み計20で検出される歪み量を示す線図である。
【図15】第2の実施の形態における計測装置10の要部を示す説明図である。
【図16】第1の電極体1202−1乃至1202−4に対応する歪み量の波形図である。
【図17】第3の実施の形態におけるタイヤ2のトレッド面2Aに配置された第1、第2の電極体1202、1204および第1、第2のタイヤ側配線1402、1404の説明図である。
【図18】図17のAA線断面図である。
【図19】(A)はトレッド面2Aに配置された第1、第2の電極体1202、1204の説明図、(B)は第1の電極体1202と算出された動的接地面形状Wとの対応を示す説明図である。
【図20】第4の実施の形態におけるタイヤ2のトレッド面2A近傍の断面図である。
【図21】第4の実施の形態における動歪み計20で検出される歪み量を示す線図である。
【図22】電極体12をフレキシブル基板を用いて構成した変形例を示す説明図である。
【図23】被接地面4を路面体46に設けた変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態に係るタイヤの動的接地面計測装置をタイヤの動的接地面計測方法と共に図面を参照して説明する。
まず、本実施の形態のタイヤの動的接地面計測装置(以下計測装置という)を用いてタイヤの動的接地面の形状を計測する際に使用される車両および路面について説明する。
図1は計測装置10(図3)が搭載された車両と路面とを模式的に示す斜視図、図2は図1のA矢視図である。
図1に示すように、車両1には、4つのタイヤ2が装着されている。
例えば、左前輪のタイヤ2を計測対象として動的接地面形状を計測する場合には、このタイヤ2のトレッド面2Aに後述する複数の電極体12を設ける。
なお、計測対象とするタイヤ2を4つのタイヤ2のうちのどのタイヤにするかは任意であり、計測対象とするタイヤの数は2つ以上であってもよい。
【0009】
車両1が走行する路面3上、すなわち、タイヤ2が転動する路面3上には、図1、図2、図3に示すように、導電性を有する被接地面4が形成されている。
被接地面4は、計測対象となるタイヤ2が転動した際に、複数の電極体12が接触し、かつ、動的接地面形状を計測するに足る大きさと形状で形成されていればよく、被接地面4は少なくともトレッド面2Aの接地面6(図4)以上の大きさを有していれば良い。
被接地面4は、例えば、図1、図2に示すように、被接地面4が車両1の進行方向と交差(直交)する方向に延在する帯状を呈していてもよいし、被接地面4が路面3の全域にわたって形成されていてもよい。
被接地面4の電気導電率は、計測装置10の計測対象となるタイヤ2のトレッド面2Aの電気導電率の103倍以上あればよい。
被接地面4は、導電性を有する材料で形成された板、例えば鉄板、銅板などを路面3に設置することで構成することができる。
また、被接地面4は、導電性を有する導電層を路面3上に形成することで構成することもできる。
導電層は、メタライジング、スパッタリング、メッキなどの従来公知のさまざまな方法で形成することができる。あるいは、導電塗料を塗布したり、硫酸銅などの導電性を有する材料を含む液体を塗布することで形成することもできる。
要するに導電性を有する被接地面4を路面3に形成できれば被接地面4の構成は限定されない。
【0010】
次に図3を参照して計測装置10の構成について説明する。
計測装置10は、複数の電極体12と、タイヤ側配線14と、スリップリング16と、中継配線18と、動歪み計20と、パーソナルコンピュータ22とを含んで構成されている。
【0011】
図3、図4に示すように、複数の電極体12は、タイヤ2のトレッド面2Aに形成されている。
複数の電極体12は、第1の電極体1202と、第1の電極体1202の近傍に配置された第2の電極体1204とを含んで構成されている。
第1の電極体1202と第2の電極体1204とはタイヤ2の幅方向に間隔をおいて配置されている。
第1の電極体1202はタイヤ2の幅方向に延在する直線上に(タイヤ2の周方向と交差する方向に延在する直線上に)沿って等間隔をおいて複数設けられ、第2の電極体1204は1つ設けられている。
したがって、第2の電極体1204の数は第1の電極体1202の数よりも少ない。
第2の電極体1204のタイヤ2の周方向に沿った長さは第1の電極体1202の周方向に沿った長さよりも長く、かつ、タイヤ2の周方向において第1の電極体1202は第2の電極体1204の周方向の中間に位置している。
なお、図3では、図面を簡略化するために第1の電極体1202を1つのみ示している。
【0012】
タイヤ2が路面3上を転動することにより、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが被接地面4に接地すると、第1の電極体1202と第2の電極体1204とは被接地面4を介して導通する。
すなわち、図4に破線で示すようにトレッド面2Aのうち被接地面4に接触する部分、すなわち接地面6上に位置する第1の電極体1202と第2の電極体1204とが被接地面4を介して導通し、接地面6から外れた第1の電極体1202は第2の電極体1204と導通しない。
第1、第2の電極体1202、1204は、トレッド面2Aに銀ペーストを印刷、あるいは塗布あるいは転写することで構成される。本実施の形態では、第2の電極体1204は、少なくとも第1の電極体1202が被接地面4に接触している期間、被接地面4に接触するように構成されている。
第1の電極体1202の形状は、例えば、直径1.0mmの円であり、第2の電極体1204の形状は、幅1.0mm、長さ10mmの直線状である。
【0013】
このような銀ペーストの抵抗率は例えば10−4Ω・cm以下である。
なお、銀ペーストのトレッド面2Aへの印刷方法として、例えば、従来公知のタンポ印刷を用いることができる。
すなわち、シリンコンゴムなどの弾性材で成形されたタンポ転写体の表面に、電極体12の形状で描かれた銀ペーストを転写したのち、タンポ転写体の表面をトレッド面2Aに押し付けることにより銀ペーストをトレッド面2Aに転写させることにより、電極体12をトレッド面2Aに形成するものである。
なお、本実施の形態では、電極体12を銀ペーストを用いて構成したため、被接地面4(走行路面)に対する傷付き防止を図ることができ、例えば、後述する図23で示すように、被接地面4が無端ベルトや回転ドラムのドラム面で構成されている場合、無端ベルトや回転ドラムの耐久性の向上を図る上で有利となる。
しかしながら、このような被接地面4に対する傷付きをそれほど考慮する必要がない場合は、磨耗の少ない硬い金属ピンを、トレッド面2Aに対して凹凸のないように埋め込むことによって電極体12を構成しても良い。すなわち、試験状況に応じて電極体12を構成する電極材料や電極体12の取付け構造は任意に選択可能である。
すなわち、電極体12は上述の構成に限定されるものではなく、後述するように従来公知のさまざまな部材、部品を用いて構成することが可能である。
【0014】
図3に示すように、タイヤ側配線14は、第1、第2の電極体1202、1204とスリップリング16とを接続するものである。
より詳細には、タイヤ側配線14は、複数の第1の電極体1202とスリップリング16とをそれぞれ接続する複数の第1のタイヤ側配線1402と、第2の電極体1204とスリップリング16とを接続する第2のタイヤ側配線1404とを備えている。
タイヤ側配線14は、第1、第2の電極体1202、1204からタイヤ2の部分、例えば、トレッドブロックを貫通してスリップリング16まで延在するリード線で構成することができる。
あるいは、第1、第2の電極体1202、1204と同じ銀ペーストを第1、第2の電極体1202、1204からタイヤ主溝側面の箇所まで塗布することにより配線パターンを形成し、この配線パターンに一端を接続したリード線を主溝、ラグ溝を経由してタイヤ2側面まで引き回してタイヤ2に固定し、リード線の他端をスリップリング16に接続することで構成してもよい。この場合、前記の配線パターンは絶縁皮膜で覆うことにより絶縁する。
【0015】
スリップリング16は、ホイール5の中心軸上に設けられ、タイヤ側配線14と中継配線18とを電気的に接続するものであり、市販品が使用可能である。
【0016】
中継配線18は、スリップリング16を介してタイヤ側配線14と後述する動歪み計20の第1の入力端2002、第2の入力端2004とを電気的に接続するものである。
より詳細には、中継配線18は、第1のタイヤ側配線1402と動歪み計20の第1の入力端2002とを接続する複数の第1の中継配線18と、第2のタイヤ側配線1404と動歪み計20の第2の入力端2004とを接続する第2の中継配線18とを備えている。
本実施の形態では、中継配線18に、第1の抵抗を構成するバイアス抵抗RBと、第2の抵抗を構成するダミー抵抗RDとが設けられている。
バイアス抵抗RBは、各第1の中継配線1802に直列に接続される。
バイアス抵抗RBは、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通したときに動歪み計20の第1、第2の入力端2002、2004に流れる検出電流を制限するためのものであり、例えば、5kΩ程度に設定される。
ダミー抵抗RDは、第1の入力端2002と第2の入力端2004との間に接続され、本実施の形態では、中継配線18と基準電位(アース電位)との間に接続される。
ダミー抵抗RDは、動歪み計20の第1、第2の入力端2002、2004に流れる検出電流が適切な範囲となるようにするものである。
通常、動歪み計20の第1、第2の入力端2002、2004(入力チャンネル)には、所定の抵抗値(例えば120Ω)の歪みゲージが接続されるため、ダミー抵抗RDもこの抵抗値と同程度に設定される。
本実施の形態では、第1の電極体1202毎に1つのバイアス抵抗RBと1つのダミー抵抗RDとが設けられ、各バイアス抵抗RBは同一の抵抗値とされ、各ダミー抵抗RDも同一の抵抗値とされている。
【0017】
動歪み計20は、第1、第2の入力端2002、2004からなる一組の入力端(入力チャンネル)を複数組(複数チャンネル)備えている。
動歪み計20は、第1、第2の入力端2002、2004に歪みゲージが接続された場合、この歪みゲージから入力される検出電流(検出電圧)に基づいて検出した歪みゲージの抵抗値から歪み量を算出し、歪み量を時系列データとして測定し記録するものであり、このような動歪み計20は市販されている。
動歪み計20による歪み量の算出は、予め定められたサンプリング周期でサンプリングされた検出電流に基づいてなされ、したがって、歪み量は、前記のサンプリング周期でサンプリングされた時系列データである。
本実施の形態では、動歪み計20の第1の入力端2002は各第1の電極体1202に対応する第1の中継配線1802に接続されている。第2の入力端2004は第2の電極体1204に対応する第2の中継配線1804に接続されると共に、前記の基準電位(アース電位)に接続されている。
なお、本実施の形態では、第2のタイヤ側配線1404と、スリップリング16と、第2の中継配線18とが、第2の入力端2004と第2の電極体1204とを接続する信号線を構成している。
したがって、動歪み計20は、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが非導通であるときに、ダミー抵抗RDの抵抗値に対応する第1の歪み量を測定し、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが被接地面4を介して導通したときに、ダミー抵抗RDとバイアス抵抗RBとが並列接続された抵抗値に対応する第2の歪み量を測定する。
したがって、第1の歪み量が検出された第1の電極体1202は、被接地面4に接地しておらず、第2の歪み量が検出された第1の電極体1202は、被接地面4に接地していることになる。
本実施の形態では、動歪み計20によって検出される歪み量が第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介した導通状態を示す接地データであり、歪み量の時系列データが接地データの時系列データである。
なお、動歪み計20の応答周波数は、例えば、2.5kHz以上であることがタイヤ2の動的接地面形状を算出する際の空間分解能を確保する上で好ましく、10kHz以上であることが空間分解能を確保する上でより好ましい。
【0018】
パーソナルコンピュータ22は、予めインストールされた接地面形状算出用のプログラムを実行することにより、動歪み計20から供給される時系列データとしての歪み量に基づいてタイヤ2の動的接地面形状を算出するものである。
タイヤ2の接地面形状の算出は、時系列データと、タイヤ2の走行速度と、第1、第2の電極体1202、1204の位置データとに基づいてなされる。
【0019】
本実施の形態では、タイヤ側配線14と、スリップリング16と、中継配線18と、動歪み計20とによって、第1の電極体1202と第2の電極体1204との導通状態を示す接地データを検出する導通検出手段24が構成されている。
また、パーソナルコンピュータ22によって、接地データに基づいてタイヤ2の接地面形状を測定する接地面形状算出手段26が構成されている。
【0020】
次に計測装置10の動作について説明する。
図1、図3に示すように、複数の電極体12(第1の電極体1202、第2の電極体1204)がトレッド面2Aに形成されたタイヤ2が装着された車両1を用意する。
車両1で路面3を走行させて計測対象となるタイヤ2を被接地面4上で転動させ、計測装置10によるタイヤ2の動的接地面の形状の計測動作を実行する。
【0021】
図5は動歪み計20で検出される歪み量を示す線図であり、横軸は時間、縦軸は歪み量(μST)を示す。
第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通していない期間(第1の電極体1202と被接地面4とが接地していない期間)は歪み量が第1の値を維持する。
第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通すると歪み量が第1の値よりも小さい第2の値まで低下し、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通している期間(第1の電極体1202と被接地面4とが接地している期間)、歪み量が第2の値を維持し、やがて第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通しなくなると歪み量が第1の値に戻る。
本実施の形態では、第1の電極体1202がタイヤ2の幅方向に一列に並べられているため、各第1の電極体1202に対応する歪み量は、タイヤ2が1回転する毎に1回生じる矩形状のパルス波形を呈する。
【0022】
図6は第1の電極体1204が4つ設けられた場合における各第1の電極体1204に対応する歪み量の波形を示す波形図である。
この場合、4つの第1の電極体1204に対応して4つの歪み量S1〜S4が動歪み計20によって検出される。
図6に示すように、トレッド面2Aが被接地面4に接地する動的接地面形状に応じた各歪み量の波形が検出される。
すなわち、歪み量が第1の値から第2の値となるタイミングがトレッド面2Aが被接地面4に接地した位置を示し、歪み量が第2の値から第1の値となるタイミングがトレッド面2Aが被接地面4から離間した位置を示す。
また、歪み量が第2の値を維持している期間が、トレッド面2Aが被接地面4に接地している期間を示す。
【0023】
図7(A)は各第1の電極体1202に対応する歪み量の波形図、(B)は動的接地面形状を求める説明図である。
図7(A)に示すように各歪み量S1〜S4が検出されたものとする。
この場合、各歪み量が第2の値に遷移した時点を接地開始点P1、第2の値から第1の値に遷移した時点を接地終了点P2とする。
図7(B)に示すように、タイヤ走行方向をX軸とし、タイヤ幅方向をY軸とする2次元座標の平面を考え、タイヤ2の動的接地面形状Wの輪郭をX座標とY座標とで規定する。図中、記号●は、タイヤ2の動的接地面形状Wの輪郭を示すX座標とY座標とで規定される座標点を示す。
すると、X座標はタイヤ2の走行速度V(路面体12の走行速度)と接地開始点P1および接地終了点P2に対応する時間との積によって決定され、Y座標はタイヤ2の幅方向における各電極体の位置によって決定される。
図7(B)では、タイヤ2の幅方向において4つの電極体が等間隔ΔWで並んでいる例を示す。
パーソナルコンピュータ22は、動的歪み計24によって検出され記録された各歪み量の時系列データと、既知であるタイヤ2の走行速度Vと、既知であるタイヤ2の幅方向における各電極体の位置とから上述した原理に基づいてタイヤ2の動的接地面形状Wを特定する座標値を算出し、任意の記録媒体に記憶する。
そして、パーソナルコンピュータ22は、算出された座標値に基づいてタイヤ2の動的接地面形状Wをディスプレイに表示出力し、あるいは、プリンタから印刷出力する。
図8は、タイヤ2の幅方向において30個の第1の電極体1202が等間隔で並んでいる場合に算出されたタイヤ2の動的接地面形状Wの一例を示す説明図である。
このようにして算出されたタイヤ2の動的接地面形状Wは、タイヤ2の開発、評価、試験などさまざまな目的に供される。
【0024】
以上説明したように本実施の形態によれば、導電性を有する被接地面4を設け、タイヤ2のトレッド面2Aに複数の電極体12を形成し、タイヤ2を被接地面4上で転動させ、複数の電極体12同士の被接地面4を介した導通状態を示す接地データを検出し、接地データに基づいてタイヤ2の接地面形状を算出するようにした。
そのため、接地データは、電極体12同士が被接地面4を介して導通状態であるか、非導通状態であるかで決定されることから、遅延やセンサ間の信号の位相ずれを生じる要素がなく、被接地面4と電極体12との接触から応答までの信号の遅延やセンサ間の信号の位相ずれを最低限に抑制することができる。したがって、算出されるタイヤの接地面形状の空間分解能及びセンサ間の前後の揺らぎなき状態を確保することができ、動的接地面形状を正確に測定することができる。
また、計測装置10による動的接地面形状の計測にあたっては、被接地面4と、計測装置10とを電気的に接続する必要がなく、電極体12を設けたタイヤ2を車両1に装着すると共に、車両1側に計測装置10を搭載するだけでよい。
したがって、タイヤ2の動的接地面形状の計測を屋内で行わなければならないという制約がなくなり、車両1を路面3で走行させた状態での動的接地面形状の計測を簡単に行うことができる。そのため、タイヤ2を含む車両1全体としての走行性能やドライブフィーリングと、タイヤ2の動的接地面形状との双方を同時に計測する上で有利となる。
また、被接地面4を路面3上に設けるという簡単な構成で計測を実施できるため、タイヤ2の動的接地面形状の計測に要する設備コストを抑制する上で有利となる。
【0025】
また、本実施の形態では、導通検出手段24を市販されている動歪み計20を用いて構成したので、計測装置10を簡単に構成することができる。
しかしながら、導通検出手段24は接地データを検出することができればよく、動歪み計20に代えて従来公知のさまざまな信号検出回路を用いることができることは無論である。
【0026】
なお、第1の電極体1202が被接地面4に被接地面4に接触している際に、第2の電極体1204が被接地面4に対して安定して接触していないと、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を安定して行うことができない。
本実施の形態では、第2の電極体1204は、少なくとも第1の電極体1202が被接地面4に接触している期間、被接地面4に接触するように構成されているため、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を安定して行うことができる。
【0027】
また、本実施の形態では、1つの第2の電極体1204に対して複数の第1の電極体1202を設けることにより、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を行うようにした。
すなわち、第1、第2の電極体1202、1204および被接地面4が、第2の電極体1204を共通端子としたスイッチを構成することになる。
したがって、第2の電極体1204に関わる配線数、すなわち、第2のタイヤ側配線1404の数、第2の中継配線1804の数、スリップリング16の極数を抑制することができる。そのため、配線の簡素化を図りつつ第1の電極体1202の数を増やすことができ、動的接地面形状の計測箇所の数を確保する上で有利となる。
なお、本実施の形態では、1つの第2の電極体1204に対して複数の第1の電極体1202を設けた場合について説明したが、複数の第2の電極体1204を離散的に配置した場合についても、本実施の形態と同様に、スリップリング16を経由する前に電気的に束ねて合体してすれば、スリップリング16の極数を抑制することができる。
【0028】
また、本実施の形態では、図4に示すように、第2の電極体1204のタイヤ2の周方向に沿った長さが第1の電極体1202の周方向に沿った長さよりも長く、かつ、タイヤ2の周方向において第1の電極体1202は第2の電極体1204の周方向の中間に位置している場合について説明したが、以下のような形態であってもよい。
(1)図4において、第1、第2の電極体1202、1204からなる一列の電極体12がタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられていてもよい。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
【0029】
(2)図9に示すように、1つの第2の電極体1204が複数の第1の電極体1202の周囲を囲むように延在形成されている。
この場合、第2の電極体1204は、少なくとも第1の電極体1202が被接地面4に接触している期間、被接地面4に接触するように構成されているため、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を安定して行うことができる。
また、図9において、第1、第2の電極体1202、1204からなる一列の電極体12がタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられていてもよい。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
【0030】
(3)図10に示すように、1つの第2の電極体1204が1つの第1の電極体1202の周囲を囲むように延在形成されている。
この場合も、上記(2)の構成と同様に、第2の電極体1204は、少なくとも第1の電極体1202が被接地面4に接触している期間、被接地面4に接触するように構成されているため、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を安定して行うことができる。
また、図10において、第1、第2の電極体1202、1204からなる一列の電極体12がタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられていてもよい。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
【0031】
(4)図11に示すように、第1の電極体1202は、タイヤ2の幅方向に延在する直線上に(タイヤ2の周方向と交差する方向に延在する直線上に)間隔をおいて配置され、第2の電極体1204は、前記直線と交差しかつタイヤ2の周方向に延在している。
第1の電極体1202からなる一列の電極体はタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられている。
この場合、導通検出手段24は、第1の電極体1202のそれぞれと、第2の電極体1204との導通状態を接地データとして検出する。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
また、第1の電極体1202の数に拘らず、第2の電極体1204が1つで済むため、第2の電極体1204に関わる配線数を抑制する上でより有利となる。そのため、配線の簡素化を図りつつ第1の電極体1202の数を増やすことができ、動的接地面形状の計測箇所の数を確保する上で有利となる。
【0032】
(5)図12に示すように、複数の電極体12は、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体1210を一対とする電極体対30を複数含んで構成されている。
導通検出手段24は、各電極対30の導通状態を接地データとして検出する。
そして、タイヤ側配線14および中継配線18は、1つの電極体対30を構成する2つの電極体1210のうちの一方の電極体1210を第1の入力端2002側に接続し、他方の電極体1210を第2の入力端2004側に接続するように構成される。
パーソナルコンピュータ22によるタイヤ2の動的接地面形状の算出は、時系列データと、タイヤ2の走行速度と、電極体対30を構成する2つの電極体1210の位置データとに基づいてなされる。
この場合、電極体12は互いに近接した箇所に配置されていればよく、電極体12を第1の電極体1202と第2の電極体1204とに分化しない(区別しない)ため、電極体12の構成が簡素化され、電極体12の製造コストを抑制する上で有利となる。
また、図12において、電極体対30からなる一列の電極体12がタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられていてもよい。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
【0033】
さらに、上述した(1)〜(4)の構成において、第1の電極体1202の配置が以下のような形態であってもよい。
(6)図13(A)に示すように、第1の電極体1202を互いにタイヤ2の幅方向およびタイヤ2の周方向の全域にわたって設ける。第1の電極体1202はタイヤ2の幅方向および周方向に等間隔をおいて配置される。なお、図13(A)、(B)において第2の電極体1204の図示は省略している。
この場合は、トレッド面2Aの全域にわたって動的接地面形状Wを測定することができる。
なお、図13(A)の場合においては、パーソナルコンピュータ22において、動的歪み計24によって検出され記録された各歪み量の時系列データと、既知であるタイヤ2の走行速度Vと、既知であるタイヤ2の幅方向およびタイヤ2の走行方向における各第1の電極体1202の位置とから第1の実施の形態で説明した原理に基づいてタイヤ2の動的接地面形状Wを特定する座標値を算出することになる。
【0034】
(7)図13(B)に示すように、第1の電極体1202を互いにタイヤ2の幅方向に対して傾斜する方向に等間隔をおいて1列に並べて設ける。言い換えると、第1の電極体1202を互いにタイヤ2の周方向と交差する方向に延在する直線上に)に等間隔をおいて1列に並べて設ける。
そして、第1の電極体1202を1つの第1のタイヤ側配線1402に共通接続すると共に、ダミー抵抗RD、バイアス抵抗RBも1つずつ設ける。
動歪み計20では、図14に示すような歪み量S10が検出される。
パーソナルコンピュータ22は、既知であるタイヤ2の周方向における第1の電極体1202の位置に基づいて、歪み量S10から各第1の電極体1202に対応する歪み量S11、S12、S13、S14をそれぞれ分離して求め、それら歪み量S11、S12、S13、S14に基づいて、動的接地面形状Wを算出する。
この場合は、スリップリング16に接続されるタイヤ側配線14の数を抑制することができるので、第1の電極体1202の数を確保しつつコスト低減を図ることができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付して説明を省略し、あるいは、説明を簡単に行う。
第2の実施の形態は、タイヤ側配線14に中継器32を設けることにより、タイヤ側配線14の数を抑制したものである。
図15は第2の実施の形態における計測装置10の要部を示す説明図、図16は4つの第1の電極体1202−1〜1202−4に対応する歪み量の波形図である。
図15に示すように、4つの第1の電極体1202−1〜1202−4と、1つの第2の電極体1204が設けられている。第2の実施の形態においても第1の実施の形態(図4)と同様に、第1の電極体1202はタイヤ2の幅方向に延在する直線上に沿って等間隔をおいて1列に設けられている。
そして、4つの第1の電極体1202−1〜1202−4のそれぞれに第1乃至第4のバイアス抵抗RB1〜RB4がそれぞれ直列に接続され、各バイアス抵抗RB1〜RB4は、スリップリング16に対して1本のリード線を介して共通接続されている。これにより、スリップリング16に接続されるタイヤ側配線14(第1のタイヤ側配線1402)が抑制されている。
言い換えると、第1の抵抗は、一端が第1の電極体1202に接続され、他端が共通接続された互いに抵抗値が異なるN個(Nは2以上の自然数)の抵抗を備える中継器32で構成され、共通接続された箇所がスリップリング16、第1の中継配線1802を介して第1の入力端2002に接続されている。
第2の電極体1204は、第2のタイヤ側配線1404、スリップリング16、第2の中継配線1804を介して第2の入力端2004に接続されている。
【0036】
第1乃至第4のバイアス抵抗RB1〜RB4は互いに異なる抵抗値とされ、本実施の形態では、RB1=40kΩ、RB2=20kΩ、RB3=10kΩ、RB4=5kΩである。すなわち、RB1:RB2:RB3:RB4は、8:4:2:1(23:22:21:20)の比率となっている。
このような計測装置10を用いて歪み量Sの検出を行うと、図16に示すような波形が得られる。
この場合、4つの第1の電極体1202−1〜1202−4がこの順番で被接地面4に順番に接地され、かつ、逆の順番で被接地面4との接地が解除されるものとする。
すると、第1乃至第4のバイアス抵抗RB1〜RB4の抵抗値が上述のような大小関係にあることから、図16に示すように、歪み量Sは、バイアス抵抗の組み合わせに応じて4段階に変化することになる。
歪み量Sの波形のA点乃至H点と、電極体と、バイアス抵抗の組み合わせとの関係は以下の通りである。
A点、H点:1つの第1の電極体1202−1が接地し、第1のバイアス抵抗RB1が機能
B点、G点:2つの第1の電極体1202−1、1202−2が接地し、第1、第2のバイアス抵抗RB1、RB2が並列抵抗として機能
C点、F点:3つの第1の電極体1202−1、1202−2、1202−3が接地し、第1、第2、第3のバイアス抵抗RB1、RB2、RB3が並列抵抗として機能
D点、E点、:4つの第1の電極体1202−1、1202−2、1202−3、1202−4が接地し、第1、第2、第3、第4のバイアス抵抗RB1、RB2、RB3、RB4が並列抵抗として機能
したがって、各第1の電極体1202−1〜1202−4が被接地面4に接地している期間は以下のように特定される。
1つ目の第1の電極体1202−1が被接地面4に接地している期間:A点からH点までの期間
2つ目の第1の電極体1202−2が被接地面4に接地している期間:B点からG点までの期間
3つ目の第1の電極体1202−3が被接地面4に接地している期間:C点からF点までの期間
4つ目の第1の電極体1202−4が被接地面4に接地している期間:D点からE点までの期間
パーソナルコンピュータ22は、接地面形状算出用のプログラムを実行することにより、動歪み計20によって検出された歪み量Sの波形から歪み量Sの大きさに基づいてA点乃至H点をそれぞれ判別し、各電極体が被接地面4に接地している期間を特定することにより、動的接地面形状Wを算出する。
【0037】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏することは無論のこと、中継器32を設けることにより、スリップリング16に接続されるタイヤ側配線14を抑制することができる。したがって、第1の電極体1202の数を確保しつつコスト低減を図ることができる。
【0038】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、互いに間隔をおいて配置された複数の電極体12の間隔をタイヤ2の部分において局所的に異ならせたものである。
図17は第3の実施の形態におけるタイヤ2のトレッド面2Aに配置された第1、第2の電極体1202、1204および第1、第2のタイヤ側配線1402、1404の説明図、図18は図17のAA線断面図、図19(A)はトレッド面2Aに配置された第1、第2の電極体1202、1204の説明図、(B)は第1の電極体1202と算出された動的接地面形状Wとの対応を示す説明図である。
【0039】
図17、図18に示すように、12個の第1の電極体1202が互いにタイヤ2の幅方向に間隔をおいて一列に設けられ、1個の第2の電極体1204が設けられている。第1の実施の形態と同様に、第2の電極体1204のタイヤ2の周方向に沿った長さが第1の電極体1202の周方向に沿った長さよりも長く、かつ、タイヤ2の周方向において第1の電極体1202は第2の電極体1204の周方向の中間に位置している。
本実施の形態では、トレッド面2Aには、4本の主溝202A乃至202Dによって5つの陸部204A乃至204Eが区画されている。
中央寄りの3つの陸部204B、204C、204Dには、それぞれの陸部の両側寄りの箇所に第1の電極体1202が1個ずつ設けられている。
両側の2つの陸部204A、204Eには、幅方向両側の主溝202とショルダー部2Bとの間に3つの第1の電極体1202が間隔をおいてそれぞれ設けられている。
12個の第1の電極体1202のうち、中央の陸部204B、204C、204Dに設けられた合計6個の第1の電極体1202はそれぞれ1本のリード線を介してスリップリング16に接続されている。
12個の第1の電極体1202のうち、両側の陸部204A、204Eに設けられたそれぞれ3個の第1の電極体1202は中継器32および1本のリード線を介してスリップリング16に接続されている。
中央の陸部204Cには第2の電極体1204が設けられ、第2の電極体1204は1本のリード線を介してスリップリング16に接続されている。
本実施の形態では、陸部204B、204C、204Dのうち主溝寄りの箇所にそれぞれ第1の電極体1202を配置すると共に、ショルダー部2B寄りの箇所に3つの第1の電極体1202を配置することにより、第1の電極体1202の間隔を局所的に異ならせた。
【0040】
図19(A)はトレッド面2Aに配置された第1の電極体1202、第2の電極体1204の説明図、(B)は第1の電極体1202と算出された動的接地面形状Wとの対応を示す説明図である。図中、記号●は、タイヤ2の動的接地面形状Wの輪郭を示すX座標とY座標とで規定される座標点を示す。
図19(A)、(B)から明らかなように、トレッド面2Aのうち第1の電極体1202の間隔を密にした箇所、本実施の形態では主溝寄りの箇所およびショルダー部2B寄りの箇所の動的接地面形状Wをよりきめ細かく算出することができる。
したがって、動的接地面形状Wをよりきめ細かく得ることが必要なトレッド面2Aの箇所に設ける第1の電極体1202の間隔をより密にし、そうではない箇所に設ける第1の電極体1202の間隔を疎にすることで、電極体の数を抑制しつつ必要とする動的接地面形状をよりきめ細かく得ることができる。
なお、第3の実施の形態では、タイヤ2の幅方向に並べられた第1の電極体1202の間隔をタイヤ2の部分において局所的に異ならせた場合について説明した。
しかしながら、図13(A)のように第1の電極体1202をタイヤ2の幅方向およびタイヤ2の周方向の全域にわたって設けた場合には、タイヤ2の幅方向および周方向の双方あるいは一方における第1の電極体1202の間隔を局所的に異ならせても良い。
また、図13(B)のように第1の電極体1202をタイヤ2の幅方向に対して傾斜する方向に1列に並べた場合は、前記傾斜する方向における第1の電極体1202の間隔を局所的に異ならせても良い。
また、第1、第2の電極体1202,1204の構成は、図17,図18に示したものに限定されるものではなく、前述した図9,図10,図11に示すような構成であってもよい。
あるいは、図12に示すように、複数の電極体12は、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体1210を一対とする電極体対30を複数含んで構成されてもよい。この場合は、一対となる2つの電極体1210の間隔を、タイヤ2の部分において局所的に異ならせればよい。
【0041】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、第1の電極体1202の表面を感圧抵抗層で覆うことによりトレッド面2Aの動的接地面形状に加えて接地圧分布を算出するようにしたものである。
図20は第4の実施の形態におけるタイヤ2のトレッド面2A近傍の断面図、図21は第4の実施の形態における動歪み計20で検出される歪み量を示す線図である。
図20に示すように、トレッド面2Aに形成された第1の電極体1202の表面の全域が感圧抵抗層40で覆われている。なお、第2の電極体1204の表面は、第1乃至第3の実施の形態と同様に、感圧抵抗層40で覆われておらず、被接地面4に接地したときに被接地面4と導通するように露出している。
感圧抵抗層40は、感圧抵抗層40に加わる圧力に応じて抵抗が変化する(圧力が大きくなるほど抵抗が低下する)材料で形成されている。このような材料として感圧導電性インクなど従来公知のさまざまな材料が使用可能である。
このような感圧抵抗層40の抵抗率は例えば104〜106Ω・cmである。
したがって、第1の電極体1202に感圧抵抗層40で構成される抵抗が直列に接続されることになる。
このように第1の電極体1202の表面に感圧抵抗層40を設けた場合は、図21に示す歪み量Sが動歪み計20で検出される。
すなわち、タイヤ2が被接地面4上を転動した状態で感圧抵抗層40が被接地面4に接地すると、歪み量Sは、時間経過と共に、次第に低下しやがてピークに到達し、次いでピークから上昇し元の値(非接地状態における値)に戻る。
上述のように検出される歪み量Sから求められる接地圧を、パーソナルコンピュータ22を用いて、タイヤ走行方向のX座標とタイヤ幅方向のY座標とで規定される座標点ごとに算出することにより、動的接地面形状に加えて、動的な接地圧分布を算出することができる。
この場合、タイヤ側配線14(第1、第2のタイヤ側配線1402、1404)と、スリップリング16と、中継配線18(第1、第2の中継配線1802、1804)と、動歪み計20とによって、歪み量をトレッド面2Aに加わる接地圧データとして検出する接地圧検出手段が構成される。
また、パーソナルコンピュータ22によって、接地圧データに基づいてタイヤ2の接地圧分布を算出する接地圧分布算出手段が構成される。
したがって、第1の電極体1202の表面に感圧抵抗層40を設けるという簡単な構成により、タイヤ2の動的接地面形状および動的な接地圧分布を同時に得ることができ、計測装置10の有用性を高めることができる。
【0042】
(電極体12の変形例)
次に電極体12を、フレキシブル基板を用いて構成した変形例について説明する。
図22に示すように、フレキシブル基板42の表面に銅箔のパターンによって複数の第1の電極体1202と、1つの第2の電極体1204とが形成されている。第1,第2の電極体1202,1204は露出しており、第1,第2の電極体1202,1204を除く銅箔のパターンは絶縁膜によって覆われて絶縁されている。
フレキシブル基板42は、第1、第2の電極体1202、1204と接続された配線部44が設けられており、この配線部44がスリップリング16を介して中継配線18(図3)に接続されている。したがって、配線部44がタイヤ側配線部14を構成している。配線部44は絶縁膜によって覆われて絶縁されている。
第1の電極体1202は、第1の直線L1上に間隔をおいて配置され、第2の電極体1204は、第1の直線L1と直交する第2の直線L2に沿って延在形成されている。
第2の電極体1204の長さは第1の電極体1202の第2の直線L2方向に沿った長さよりも長く、かつ、第2の直線L2方向において第1の電極体1202は第2の電極体1204の第2の直線L2方向の中間に位置している。
フレキシブル基板42は、第1の直線L1をタイヤ2の幅方向と平行させた状態でタイヤ2のトレッド面2Aに接着剤、あるいは、粘着テープを用いて接着されることにより取着されている。
配線部44も同様に接着剤、あるいは、粘着テープを用いてタイヤ2のショルダー部などに接着されることにより取着されている。
このように、電極体12は従来公知のさまざまな部材、部品を用いて構成することが可能である。
なお、第1、第2の電極体1202、1204の構成は、図22に限定されるものではなく、前述した前述した図9,図10,図11に示すような構成であってもよい。
あるいは、図12に示すように、複数の電極体12は、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体1210を一対とする電極体対30を複数含んで構成されてもよい。
【0043】
(被接地面4の変形例)
なお、実施の形態では、被接地面4を路面3上に設けた場合について説明したが、被接地面4を以下のように構成することもできる。
図23に示すように、路面体46と、駆動手段48と、支持手段50とを設ける。
路面体46は、導電性を有する被接地面4を備えるものであり、導電性を有するスチールなどの金属材料で形成された無端ベルトで構成されている。
路面体46は、導電性を有する被接地面4を備えればよく、非導電性を有する無端ベルトの表面に導電性を有する材料が形成されることで被接地面4を構成するなど任意である。
また、路面体46は、モータなどの駆動源により回転される回転ドラムであってもよく、その場合は、被接地面4は回転ドラムの外周面に形成される。
【0044】
駆動手段48は路面体46を駆動するものである。
駆動手段48は、駆動ドラム52Aと、従動ドラム52Bと、駆動モータ54とを含んで構成されている。
路面体46は、駆動ドラム52Aと、従動ドラム52Bとにわたって掛け回されている。
駆動ドラム52Aは、駆動モータ54によって回転駆動される。
従動ドラム52Bは、回動可能に支持されている。
駆動ドラム52Aが駆動モータ54によって回転駆動されることにより路面体46が駆動ドラム52Aと従動ドラム52Bとの間で回転駆動される。
駆動モータ54の回転速度は、図示しないモータ駆動装置により可変され、これにより、路面体46の走行速度が調整可能となっている。
駆動ドラム52Aおよび従動ドラム52Bの少なくとも一方は導電性を有するスチールなどの金属材料で形成されている。
導電性を有する方のドラムの電位は基準電位とされており、本実施の形態では基準電位はアース電位である。したがって、ドラムに接触する路面体46もアース電位とされている。
なお、駆動手段48が路面体46を駆動したが、駆動手段48は、タイヤ2および路面体46の少なくとも一方を駆動すればよい。
【0045】
支持手段50は、被接地面4上でタイヤ2を回転可能に支持するものである。
より詳細には、タイヤ2はホイール5のリムに組み付けられており、支持手段50は、ホイール5が着脱自在に取り付けられ、タイヤ2を回動可能に支持し、かつ、タイヤ2に加える負荷荷重を調整できるように構成されている。
支持手段50によってタイヤ2のトレッド面2Aを路面体46の被接地面4に接地させた状態で駆動モータ54により路面体46を走行させることにより、タイヤ2が転動される。
なお、支持手段50は、タイヤ2のキャンバー角、スリップ角、制動力、駆動力の少なくとも1つを調整できるように構成されていてもよい。
このような支持手段50として、従来公知のさまざまなタイヤの支持機構が使用可能である。
このように構成した場合は、支持手段50によってタイヤ2に関するパラメータを細かく設定した状態でタイヤ2の動的接地面形状の測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
2……タイヤ、2A……トレッド面、3……路面、4……被接地面、10……タイヤの動的接地面計測装置、12……電極体、1202……第1の電極体、1204……第2の電極体、1210……電極体、14……タイヤ側配線、1402……第1のタイヤ側配線、1404……第2のタイヤ側配線、16……スリップリング、18……中継配線、1802……第1の中継配線、1804……第2の中継配線、20……動歪み計、2002……第1の入力端、2004……第2の入力端、22…………パーソナルコンピュータ、24……導通検出手段、26……接地面形状算出手段、30……電極体対、32……中継器、40……感圧抵抗層、RB……バイアス抵抗(第1の抵抗)、RD……ダミー抵抗(第2の抵抗)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの動的接地面形状を測定するタイヤの動的接地面計測装置およびタイヤの動的接地面計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤを、透明板の上を走行させて下からビデオ観察することによりタイヤの動的な接地面形状を測定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、圧力センサをドラムの内周面に二次元に密に配置し、タイヤをドラムの内周面で転動させ、圧力センサによって検出される圧力に基づいてタイヤの動的な接地圧力を測定する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−230328号公報
【特許文献2】特開2000−226778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の従来技術では、ドライバーが自動車を運転した状態で、特定のカメラ上を走行通過中のタイヤの接地面のビデオ観察を行うということから、タイヤの走行条件を細かく規定して測定することが難しい。それに加え、走行速度が速くなるほど接地端は境界が不明瞭となり、タイヤの動的接地面形状を確定し正確に測定することは難しい。
また、後者の従来技術では、以下の理由から動的接地面形状を正確に測定することが難しい。
例えば、300km/hでタイヤが走行した場合、圧力センサの検出信号を処理する計測装置の応答性が100kHzであっても、走行方向の空間解像度は0.83mmである。
タイヤの開発を行うにあたっては、高速における動的接地面形状を正確に測定すること、言い換えると、空間分解能ならびに、各センサ間の信号の同期性(すなわち、タイヤがセンサを押圧してからセンサから信号が出るまでの時間が各センサで同期しいていること)を高めることが非常に重要である。
後者の技術で用いる圧力センサのように、接触−変形−電気的応答の順番で伝わる信号経路では、センサの突起部をタイヤが踏み押して初めて接地を検出するが、突起長さは真の接地以前に接地を検出して誤差を誘引するし、突起を低くすると突起を押す力が弱くなり感度が低下するし、感度を高くすると接地が終了して突起が下に戻るまでに遅延が大きくなるなど、接触から応答までの信号のずれ或いは遅延がアンコントロールに生じるため、特にセンサ間の信号の位相精度は揺らぎ信用が置けないものとなり、動的接地面形状を正確に測定することが難しい。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、タイヤの動的接地面形状を正確に測定することができるタイヤの動的接地面計測装置およびタイヤの動的接地面計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のタイヤの動的接地面計測装置は、タイヤのトレッド面に形成された複数の電極体と、前記タイヤが導電性を有する被接地面上で転動した際に、前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を示す接地データを検出する導通検出手段と、前記接地データに基づいて前記タイヤの接地面形状を算出する接地面形状算出手段とを備えることを特徴とする。
また本発明のタイヤの動的接地面計測方法は、導電性を有する被接地面を設け、タイヤのトレッド面に複数の電極体を形成し、前記タイヤを前記被接地面上で転動させ、前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を示す接地データを検出し、前記接地データに基づいて前記タイヤの接地面形状を算出するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の計測装置および計測方法によれば、接地データは、電極体同士が被接地面を介して導通状態であるか、非導通状態であるかで決定されることから、遅延やセンサ間の信号の位相ずれを生じる要素がなく、被接地面と電極体との接触から応答までの信号の遅延やセンサ間の信号の位相ずれを最低限に抑制することができる。
したがって、算出されるタイヤの接地面形状の空間分解能及びセンサ間の前後の揺らぎなき状態を確保することができ、動的接地面形状を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態においてタイヤの動的接地面計測装置10が搭載された車両と路面とを模式的に示す斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】第1の実施の形態におけるタイヤの動的接地面計測装置10の構成図である。
【図4】第1の実施の形態における第1、第2の電極体1202、1204の説明図である。
【図5】動歪み計20で検出される歪み量を示す線図である。
【図6】各第1の電極体1202に対応する歪み量の波形を示す波形図である。
【図7】(A)は各第1の電極体1202に対応する歪み量の波形図、(B)は動的接地面形状を求める説明図である。
【図8】算出されたタイヤ2の動的接地面形状Wの一例を示す説明図である。
【図9】1つの第2の電極体1204が複数の第1の電極体1202の周囲を囲むように延在形成されている場合を示す説明図である。
【図10】1つの第2の電極体1204が1つの第1の電極体1202の周囲を囲むように延在形成されている場合を示す説明図である。
【図11】第1の電極体1202がタイヤ2の幅方向に延在する直線上に間隔をおいて配置され、第2の電極体1204が前記直線と交差しかつタイヤ2の周方向に延在している場合を示す説明図である。
【図12】複数の電極体12が互いに近接した箇所に配置された2つの電極体1210を一対とする電極体対30を複数含んで構成されている場合を示す説明図である。
【図13】(A)は第1の電極体1202がタイヤ2の幅方向およびタイヤ2の周方向の全域にわたって設けられたタイヤ2を示す斜視図、(B)は第1の電極体1202をタイヤ2の幅方向に対して交差する方向に間隔をおいて1列に並べて設けられたタイヤ2を示す斜視図である。
【図14】図13(B)に示すタイヤ2を用いた場合に動歪み計20で検出される歪み量を示す線図である。
【図15】第2の実施の形態における計測装置10の要部を示す説明図である。
【図16】第1の電極体1202−1乃至1202−4に対応する歪み量の波形図である。
【図17】第3の実施の形態におけるタイヤ2のトレッド面2Aに配置された第1、第2の電極体1202、1204および第1、第2のタイヤ側配線1402、1404の説明図である。
【図18】図17のAA線断面図である。
【図19】(A)はトレッド面2Aに配置された第1、第2の電極体1202、1204の説明図、(B)は第1の電極体1202と算出された動的接地面形状Wとの対応を示す説明図である。
【図20】第4の実施の形態におけるタイヤ2のトレッド面2A近傍の断面図である。
【図21】第4の実施の形態における動歪み計20で検出される歪み量を示す線図である。
【図22】電極体12をフレキシブル基板を用いて構成した変形例を示す説明図である。
【図23】被接地面4を路面体46に設けた変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態に係るタイヤの動的接地面計測装置をタイヤの動的接地面計測方法と共に図面を参照して説明する。
まず、本実施の形態のタイヤの動的接地面計測装置(以下計測装置という)を用いてタイヤの動的接地面の形状を計測する際に使用される車両および路面について説明する。
図1は計測装置10(図3)が搭載された車両と路面とを模式的に示す斜視図、図2は図1のA矢視図である。
図1に示すように、車両1には、4つのタイヤ2が装着されている。
例えば、左前輪のタイヤ2を計測対象として動的接地面形状を計測する場合には、このタイヤ2のトレッド面2Aに後述する複数の電極体12を設ける。
なお、計測対象とするタイヤ2を4つのタイヤ2のうちのどのタイヤにするかは任意であり、計測対象とするタイヤの数は2つ以上であってもよい。
【0009】
車両1が走行する路面3上、すなわち、タイヤ2が転動する路面3上には、図1、図2、図3に示すように、導電性を有する被接地面4が形成されている。
被接地面4は、計測対象となるタイヤ2が転動した際に、複数の電極体12が接触し、かつ、動的接地面形状を計測するに足る大きさと形状で形成されていればよく、被接地面4は少なくともトレッド面2Aの接地面6(図4)以上の大きさを有していれば良い。
被接地面4は、例えば、図1、図2に示すように、被接地面4が車両1の進行方向と交差(直交)する方向に延在する帯状を呈していてもよいし、被接地面4が路面3の全域にわたって形成されていてもよい。
被接地面4の電気導電率は、計測装置10の計測対象となるタイヤ2のトレッド面2Aの電気導電率の103倍以上あればよい。
被接地面4は、導電性を有する材料で形成された板、例えば鉄板、銅板などを路面3に設置することで構成することができる。
また、被接地面4は、導電性を有する導電層を路面3上に形成することで構成することもできる。
導電層は、メタライジング、スパッタリング、メッキなどの従来公知のさまざまな方法で形成することができる。あるいは、導電塗料を塗布したり、硫酸銅などの導電性を有する材料を含む液体を塗布することで形成することもできる。
要するに導電性を有する被接地面4を路面3に形成できれば被接地面4の構成は限定されない。
【0010】
次に図3を参照して計測装置10の構成について説明する。
計測装置10は、複数の電極体12と、タイヤ側配線14と、スリップリング16と、中継配線18と、動歪み計20と、パーソナルコンピュータ22とを含んで構成されている。
【0011】
図3、図4に示すように、複数の電極体12は、タイヤ2のトレッド面2Aに形成されている。
複数の電極体12は、第1の電極体1202と、第1の電極体1202の近傍に配置された第2の電極体1204とを含んで構成されている。
第1の電極体1202と第2の電極体1204とはタイヤ2の幅方向に間隔をおいて配置されている。
第1の電極体1202はタイヤ2の幅方向に延在する直線上に(タイヤ2の周方向と交差する方向に延在する直線上に)沿って等間隔をおいて複数設けられ、第2の電極体1204は1つ設けられている。
したがって、第2の電極体1204の数は第1の電極体1202の数よりも少ない。
第2の電極体1204のタイヤ2の周方向に沿った長さは第1の電極体1202の周方向に沿った長さよりも長く、かつ、タイヤ2の周方向において第1の電極体1202は第2の電極体1204の周方向の中間に位置している。
なお、図3では、図面を簡略化するために第1の電極体1202を1つのみ示している。
【0012】
タイヤ2が路面3上を転動することにより、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが被接地面4に接地すると、第1の電極体1202と第2の電極体1204とは被接地面4を介して導通する。
すなわち、図4に破線で示すようにトレッド面2Aのうち被接地面4に接触する部分、すなわち接地面6上に位置する第1の電極体1202と第2の電極体1204とが被接地面4を介して導通し、接地面6から外れた第1の電極体1202は第2の電極体1204と導通しない。
第1、第2の電極体1202、1204は、トレッド面2Aに銀ペーストを印刷、あるいは塗布あるいは転写することで構成される。本実施の形態では、第2の電極体1204は、少なくとも第1の電極体1202が被接地面4に接触している期間、被接地面4に接触するように構成されている。
第1の電極体1202の形状は、例えば、直径1.0mmの円であり、第2の電極体1204の形状は、幅1.0mm、長さ10mmの直線状である。
【0013】
このような銀ペーストの抵抗率は例えば10−4Ω・cm以下である。
なお、銀ペーストのトレッド面2Aへの印刷方法として、例えば、従来公知のタンポ印刷を用いることができる。
すなわち、シリンコンゴムなどの弾性材で成形されたタンポ転写体の表面に、電極体12の形状で描かれた銀ペーストを転写したのち、タンポ転写体の表面をトレッド面2Aに押し付けることにより銀ペーストをトレッド面2Aに転写させることにより、電極体12をトレッド面2Aに形成するものである。
なお、本実施の形態では、電極体12を銀ペーストを用いて構成したため、被接地面4(走行路面)に対する傷付き防止を図ることができ、例えば、後述する図23で示すように、被接地面4が無端ベルトや回転ドラムのドラム面で構成されている場合、無端ベルトや回転ドラムの耐久性の向上を図る上で有利となる。
しかしながら、このような被接地面4に対する傷付きをそれほど考慮する必要がない場合は、磨耗の少ない硬い金属ピンを、トレッド面2Aに対して凹凸のないように埋め込むことによって電極体12を構成しても良い。すなわち、試験状況に応じて電極体12を構成する電極材料や電極体12の取付け構造は任意に選択可能である。
すなわち、電極体12は上述の構成に限定されるものではなく、後述するように従来公知のさまざまな部材、部品を用いて構成することが可能である。
【0014】
図3に示すように、タイヤ側配線14は、第1、第2の電極体1202、1204とスリップリング16とを接続するものである。
より詳細には、タイヤ側配線14は、複数の第1の電極体1202とスリップリング16とをそれぞれ接続する複数の第1のタイヤ側配線1402と、第2の電極体1204とスリップリング16とを接続する第2のタイヤ側配線1404とを備えている。
タイヤ側配線14は、第1、第2の電極体1202、1204からタイヤ2の部分、例えば、トレッドブロックを貫通してスリップリング16まで延在するリード線で構成することができる。
あるいは、第1、第2の電極体1202、1204と同じ銀ペーストを第1、第2の電極体1202、1204からタイヤ主溝側面の箇所まで塗布することにより配線パターンを形成し、この配線パターンに一端を接続したリード線を主溝、ラグ溝を経由してタイヤ2側面まで引き回してタイヤ2に固定し、リード線の他端をスリップリング16に接続することで構成してもよい。この場合、前記の配線パターンは絶縁皮膜で覆うことにより絶縁する。
【0015】
スリップリング16は、ホイール5の中心軸上に設けられ、タイヤ側配線14と中継配線18とを電気的に接続するものであり、市販品が使用可能である。
【0016】
中継配線18は、スリップリング16を介してタイヤ側配線14と後述する動歪み計20の第1の入力端2002、第2の入力端2004とを電気的に接続するものである。
より詳細には、中継配線18は、第1のタイヤ側配線1402と動歪み計20の第1の入力端2002とを接続する複数の第1の中継配線18と、第2のタイヤ側配線1404と動歪み計20の第2の入力端2004とを接続する第2の中継配線18とを備えている。
本実施の形態では、中継配線18に、第1の抵抗を構成するバイアス抵抗RBと、第2の抵抗を構成するダミー抵抗RDとが設けられている。
バイアス抵抗RBは、各第1の中継配線1802に直列に接続される。
バイアス抵抗RBは、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通したときに動歪み計20の第1、第2の入力端2002、2004に流れる検出電流を制限するためのものであり、例えば、5kΩ程度に設定される。
ダミー抵抗RDは、第1の入力端2002と第2の入力端2004との間に接続され、本実施の形態では、中継配線18と基準電位(アース電位)との間に接続される。
ダミー抵抗RDは、動歪み計20の第1、第2の入力端2002、2004に流れる検出電流が適切な範囲となるようにするものである。
通常、動歪み計20の第1、第2の入力端2002、2004(入力チャンネル)には、所定の抵抗値(例えば120Ω)の歪みゲージが接続されるため、ダミー抵抗RDもこの抵抗値と同程度に設定される。
本実施の形態では、第1の電極体1202毎に1つのバイアス抵抗RBと1つのダミー抵抗RDとが設けられ、各バイアス抵抗RBは同一の抵抗値とされ、各ダミー抵抗RDも同一の抵抗値とされている。
【0017】
動歪み計20は、第1、第2の入力端2002、2004からなる一組の入力端(入力チャンネル)を複数組(複数チャンネル)備えている。
動歪み計20は、第1、第2の入力端2002、2004に歪みゲージが接続された場合、この歪みゲージから入力される検出電流(検出電圧)に基づいて検出した歪みゲージの抵抗値から歪み量を算出し、歪み量を時系列データとして測定し記録するものであり、このような動歪み計20は市販されている。
動歪み計20による歪み量の算出は、予め定められたサンプリング周期でサンプリングされた検出電流に基づいてなされ、したがって、歪み量は、前記のサンプリング周期でサンプリングされた時系列データである。
本実施の形態では、動歪み計20の第1の入力端2002は各第1の電極体1202に対応する第1の中継配線1802に接続されている。第2の入力端2004は第2の電極体1204に対応する第2の中継配線1804に接続されると共に、前記の基準電位(アース電位)に接続されている。
なお、本実施の形態では、第2のタイヤ側配線1404と、スリップリング16と、第2の中継配線18とが、第2の入力端2004と第2の電極体1204とを接続する信号線を構成している。
したがって、動歪み計20は、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが非導通であるときに、ダミー抵抗RDの抵抗値に対応する第1の歪み量を測定し、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが被接地面4を介して導通したときに、ダミー抵抗RDとバイアス抵抗RBとが並列接続された抵抗値に対応する第2の歪み量を測定する。
したがって、第1の歪み量が検出された第1の電極体1202は、被接地面4に接地しておらず、第2の歪み量が検出された第1の電極体1202は、被接地面4に接地していることになる。
本実施の形態では、動歪み計20によって検出される歪み量が第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介した導通状態を示す接地データであり、歪み量の時系列データが接地データの時系列データである。
なお、動歪み計20の応答周波数は、例えば、2.5kHz以上であることがタイヤ2の動的接地面形状を算出する際の空間分解能を確保する上で好ましく、10kHz以上であることが空間分解能を確保する上でより好ましい。
【0018】
パーソナルコンピュータ22は、予めインストールされた接地面形状算出用のプログラムを実行することにより、動歪み計20から供給される時系列データとしての歪み量に基づいてタイヤ2の動的接地面形状を算出するものである。
タイヤ2の接地面形状の算出は、時系列データと、タイヤ2の走行速度と、第1、第2の電極体1202、1204の位置データとに基づいてなされる。
【0019】
本実施の形態では、タイヤ側配線14と、スリップリング16と、中継配線18と、動歪み計20とによって、第1の電極体1202と第2の電極体1204との導通状態を示す接地データを検出する導通検出手段24が構成されている。
また、パーソナルコンピュータ22によって、接地データに基づいてタイヤ2の接地面形状を測定する接地面形状算出手段26が構成されている。
【0020】
次に計測装置10の動作について説明する。
図1、図3に示すように、複数の電極体12(第1の電極体1202、第2の電極体1204)がトレッド面2Aに形成されたタイヤ2が装着された車両1を用意する。
車両1で路面3を走行させて計測対象となるタイヤ2を被接地面4上で転動させ、計測装置10によるタイヤ2の動的接地面の形状の計測動作を実行する。
【0021】
図5は動歪み計20で検出される歪み量を示す線図であり、横軸は時間、縦軸は歪み量(μST)を示す。
第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通していない期間(第1の電極体1202と被接地面4とが接地していない期間)は歪み量が第1の値を維持する。
第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通すると歪み量が第1の値よりも小さい第2の値まで低下し、第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通している期間(第1の電極体1202と被接地面4とが接地している期間)、歪み量が第2の値を維持し、やがて第1の電極体1202と第2の電極体1204とが導通しなくなると歪み量が第1の値に戻る。
本実施の形態では、第1の電極体1202がタイヤ2の幅方向に一列に並べられているため、各第1の電極体1202に対応する歪み量は、タイヤ2が1回転する毎に1回生じる矩形状のパルス波形を呈する。
【0022】
図6は第1の電極体1204が4つ設けられた場合における各第1の電極体1204に対応する歪み量の波形を示す波形図である。
この場合、4つの第1の電極体1204に対応して4つの歪み量S1〜S4が動歪み計20によって検出される。
図6に示すように、トレッド面2Aが被接地面4に接地する動的接地面形状に応じた各歪み量の波形が検出される。
すなわち、歪み量が第1の値から第2の値となるタイミングがトレッド面2Aが被接地面4に接地した位置を示し、歪み量が第2の値から第1の値となるタイミングがトレッド面2Aが被接地面4から離間した位置を示す。
また、歪み量が第2の値を維持している期間が、トレッド面2Aが被接地面4に接地している期間を示す。
【0023】
図7(A)は各第1の電極体1202に対応する歪み量の波形図、(B)は動的接地面形状を求める説明図である。
図7(A)に示すように各歪み量S1〜S4が検出されたものとする。
この場合、各歪み量が第2の値に遷移した時点を接地開始点P1、第2の値から第1の値に遷移した時点を接地終了点P2とする。
図7(B)に示すように、タイヤ走行方向をX軸とし、タイヤ幅方向をY軸とする2次元座標の平面を考え、タイヤ2の動的接地面形状Wの輪郭をX座標とY座標とで規定する。図中、記号●は、タイヤ2の動的接地面形状Wの輪郭を示すX座標とY座標とで規定される座標点を示す。
すると、X座標はタイヤ2の走行速度V(路面体12の走行速度)と接地開始点P1および接地終了点P2に対応する時間との積によって決定され、Y座標はタイヤ2の幅方向における各電極体の位置によって決定される。
図7(B)では、タイヤ2の幅方向において4つの電極体が等間隔ΔWで並んでいる例を示す。
パーソナルコンピュータ22は、動的歪み計24によって検出され記録された各歪み量の時系列データと、既知であるタイヤ2の走行速度Vと、既知であるタイヤ2の幅方向における各電極体の位置とから上述した原理に基づいてタイヤ2の動的接地面形状Wを特定する座標値を算出し、任意の記録媒体に記憶する。
そして、パーソナルコンピュータ22は、算出された座標値に基づいてタイヤ2の動的接地面形状Wをディスプレイに表示出力し、あるいは、プリンタから印刷出力する。
図8は、タイヤ2の幅方向において30個の第1の電極体1202が等間隔で並んでいる場合に算出されたタイヤ2の動的接地面形状Wの一例を示す説明図である。
このようにして算出されたタイヤ2の動的接地面形状Wは、タイヤ2の開発、評価、試験などさまざまな目的に供される。
【0024】
以上説明したように本実施の形態によれば、導電性を有する被接地面4を設け、タイヤ2のトレッド面2Aに複数の電極体12を形成し、タイヤ2を被接地面4上で転動させ、複数の電極体12同士の被接地面4を介した導通状態を示す接地データを検出し、接地データに基づいてタイヤ2の接地面形状を算出するようにした。
そのため、接地データは、電極体12同士が被接地面4を介して導通状態であるか、非導通状態であるかで決定されることから、遅延やセンサ間の信号の位相ずれを生じる要素がなく、被接地面4と電極体12との接触から応答までの信号の遅延やセンサ間の信号の位相ずれを最低限に抑制することができる。したがって、算出されるタイヤの接地面形状の空間分解能及びセンサ間の前後の揺らぎなき状態を確保することができ、動的接地面形状を正確に測定することができる。
また、計測装置10による動的接地面形状の計測にあたっては、被接地面4と、計測装置10とを電気的に接続する必要がなく、電極体12を設けたタイヤ2を車両1に装着すると共に、車両1側に計測装置10を搭載するだけでよい。
したがって、タイヤ2の動的接地面形状の計測を屋内で行わなければならないという制約がなくなり、車両1を路面3で走行させた状態での動的接地面形状の計測を簡単に行うことができる。そのため、タイヤ2を含む車両1全体としての走行性能やドライブフィーリングと、タイヤ2の動的接地面形状との双方を同時に計測する上で有利となる。
また、被接地面4を路面3上に設けるという簡単な構成で計測を実施できるため、タイヤ2の動的接地面形状の計測に要する設備コストを抑制する上で有利となる。
【0025】
また、本実施の形態では、導通検出手段24を市販されている動歪み計20を用いて構成したので、計測装置10を簡単に構成することができる。
しかしながら、導通検出手段24は接地データを検出することができればよく、動歪み計20に代えて従来公知のさまざまな信号検出回路を用いることができることは無論である。
【0026】
なお、第1の電極体1202が被接地面4に被接地面4に接触している際に、第2の電極体1204が被接地面4に対して安定して接触していないと、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を安定して行うことができない。
本実施の形態では、第2の電極体1204は、少なくとも第1の電極体1202が被接地面4に接触している期間、被接地面4に接触するように構成されているため、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を安定して行うことができる。
【0027】
また、本実施の形態では、1つの第2の電極体1204に対して複数の第1の電極体1202を設けることにより、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を行うようにした。
すなわち、第1、第2の電極体1202、1204および被接地面4が、第2の電極体1204を共通端子としたスイッチを構成することになる。
したがって、第2の電極体1204に関わる配線数、すなわち、第2のタイヤ側配線1404の数、第2の中継配線1804の数、スリップリング16の極数を抑制することができる。そのため、配線の簡素化を図りつつ第1の電極体1202の数を増やすことができ、動的接地面形状の計測箇所の数を確保する上で有利となる。
なお、本実施の形態では、1つの第2の電極体1204に対して複数の第1の電極体1202を設けた場合について説明したが、複数の第2の電極体1204を離散的に配置した場合についても、本実施の形態と同様に、スリップリング16を経由する前に電気的に束ねて合体してすれば、スリップリング16の極数を抑制することができる。
【0028】
また、本実施の形態では、図4に示すように、第2の電極体1204のタイヤ2の周方向に沿った長さが第1の電極体1202の周方向に沿った長さよりも長く、かつ、タイヤ2の周方向において第1の電極体1202は第2の電極体1204の周方向の中間に位置している場合について説明したが、以下のような形態であってもよい。
(1)図4において、第1、第2の電極体1202、1204からなる一列の電極体12がタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられていてもよい。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
【0029】
(2)図9に示すように、1つの第2の電極体1204が複数の第1の電極体1202の周囲を囲むように延在形成されている。
この場合、第2の電極体1204は、少なくとも第1の電極体1202が被接地面4に接触している期間、被接地面4に接触するように構成されているため、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を安定して行うことができる。
また、図9において、第1、第2の電極体1202、1204からなる一列の電極体12がタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられていてもよい。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
【0030】
(3)図10に示すように、1つの第2の電極体1204が1つの第1の電極体1202の周囲を囲むように延在形成されている。
この場合も、上記(2)の構成と同様に、第2の電極体1204は、少なくとも第1の電極体1202が被接地面4に接触している期間、被接地面4に接触するように構成されているため、第1の電極体1202と第2の電極体1204との被接地面4を介しての導通状態および非導通状態の検出を安定して行うことができる。
また、図10において、第1、第2の電極体1202、1204からなる一列の電極体12がタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられていてもよい。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
【0031】
(4)図11に示すように、第1の電極体1202は、タイヤ2の幅方向に延在する直線上に(タイヤ2の周方向と交差する方向に延在する直線上に)間隔をおいて配置され、第2の電極体1204は、前記直線と交差しかつタイヤ2の周方向に延在している。
第1の電極体1202からなる一列の電極体はタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられている。
この場合、導通検出手段24は、第1の電極体1202のそれぞれと、第2の電極体1204との導通状態を接地データとして検出する。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
また、第1の電極体1202の数に拘らず、第2の電極体1204が1つで済むため、第2の電極体1204に関わる配線数を抑制する上でより有利となる。そのため、配線の簡素化を図りつつ第1の電極体1202の数を増やすことができ、動的接地面形状の計測箇所の数を確保する上で有利となる。
【0032】
(5)図12に示すように、複数の電極体12は、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体1210を一対とする電極体対30を複数含んで構成されている。
導通検出手段24は、各電極対30の導通状態を接地データとして検出する。
そして、タイヤ側配線14および中継配線18は、1つの電極体対30を構成する2つの電極体1210のうちの一方の電極体1210を第1の入力端2002側に接続し、他方の電極体1210を第2の入力端2004側に接続するように構成される。
パーソナルコンピュータ22によるタイヤ2の動的接地面形状の算出は、時系列データと、タイヤ2の走行速度と、電極体対30を構成する2つの電極体1210の位置データとに基づいてなされる。
この場合、電極体12は互いに近接した箇所に配置されていればよく、電極体12を第1の電極体1202と第2の電極体1204とに分化しない(区別しない)ため、電極体12の構成が簡素化され、電極体12の製造コストを抑制する上で有利となる。
また、図12において、電極体対30からなる一列の電極体12がタイヤ2の周方向に間隔をおいた複数箇所に設けられていてもよい。
この場合は、電極体12の列を設けた複数箇所における動的接地面形状Wを測定することができる。
【0033】
さらに、上述した(1)〜(4)の構成において、第1の電極体1202の配置が以下のような形態であってもよい。
(6)図13(A)に示すように、第1の電極体1202を互いにタイヤ2の幅方向およびタイヤ2の周方向の全域にわたって設ける。第1の電極体1202はタイヤ2の幅方向および周方向に等間隔をおいて配置される。なお、図13(A)、(B)において第2の電極体1204の図示は省略している。
この場合は、トレッド面2Aの全域にわたって動的接地面形状Wを測定することができる。
なお、図13(A)の場合においては、パーソナルコンピュータ22において、動的歪み計24によって検出され記録された各歪み量の時系列データと、既知であるタイヤ2の走行速度Vと、既知であるタイヤ2の幅方向およびタイヤ2の走行方向における各第1の電極体1202の位置とから第1の実施の形態で説明した原理に基づいてタイヤ2の動的接地面形状Wを特定する座標値を算出することになる。
【0034】
(7)図13(B)に示すように、第1の電極体1202を互いにタイヤ2の幅方向に対して傾斜する方向に等間隔をおいて1列に並べて設ける。言い換えると、第1の電極体1202を互いにタイヤ2の周方向と交差する方向に延在する直線上に)に等間隔をおいて1列に並べて設ける。
そして、第1の電極体1202を1つの第1のタイヤ側配線1402に共通接続すると共に、ダミー抵抗RD、バイアス抵抗RBも1つずつ設ける。
動歪み計20では、図14に示すような歪み量S10が検出される。
パーソナルコンピュータ22は、既知であるタイヤ2の周方向における第1の電極体1202の位置に基づいて、歪み量S10から各第1の電極体1202に対応する歪み量S11、S12、S13、S14をそれぞれ分離して求め、それら歪み量S11、S12、S13、S14に基づいて、動的接地面形状Wを算出する。
この場合は、スリップリング16に接続されるタイヤ側配線14の数を抑制することができるので、第1の電極体1202の数を確保しつつコスト低減を図ることができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付して説明を省略し、あるいは、説明を簡単に行う。
第2の実施の形態は、タイヤ側配線14に中継器32を設けることにより、タイヤ側配線14の数を抑制したものである。
図15は第2の実施の形態における計測装置10の要部を示す説明図、図16は4つの第1の電極体1202−1〜1202−4に対応する歪み量の波形図である。
図15に示すように、4つの第1の電極体1202−1〜1202−4と、1つの第2の電極体1204が設けられている。第2の実施の形態においても第1の実施の形態(図4)と同様に、第1の電極体1202はタイヤ2の幅方向に延在する直線上に沿って等間隔をおいて1列に設けられている。
そして、4つの第1の電極体1202−1〜1202−4のそれぞれに第1乃至第4のバイアス抵抗RB1〜RB4がそれぞれ直列に接続され、各バイアス抵抗RB1〜RB4は、スリップリング16に対して1本のリード線を介して共通接続されている。これにより、スリップリング16に接続されるタイヤ側配線14(第1のタイヤ側配線1402)が抑制されている。
言い換えると、第1の抵抗は、一端が第1の電極体1202に接続され、他端が共通接続された互いに抵抗値が異なるN個(Nは2以上の自然数)の抵抗を備える中継器32で構成され、共通接続された箇所がスリップリング16、第1の中継配線1802を介して第1の入力端2002に接続されている。
第2の電極体1204は、第2のタイヤ側配線1404、スリップリング16、第2の中継配線1804を介して第2の入力端2004に接続されている。
【0036】
第1乃至第4のバイアス抵抗RB1〜RB4は互いに異なる抵抗値とされ、本実施の形態では、RB1=40kΩ、RB2=20kΩ、RB3=10kΩ、RB4=5kΩである。すなわち、RB1:RB2:RB3:RB4は、8:4:2:1(23:22:21:20)の比率となっている。
このような計測装置10を用いて歪み量Sの検出を行うと、図16に示すような波形が得られる。
この場合、4つの第1の電極体1202−1〜1202−4がこの順番で被接地面4に順番に接地され、かつ、逆の順番で被接地面4との接地が解除されるものとする。
すると、第1乃至第4のバイアス抵抗RB1〜RB4の抵抗値が上述のような大小関係にあることから、図16に示すように、歪み量Sは、バイアス抵抗の組み合わせに応じて4段階に変化することになる。
歪み量Sの波形のA点乃至H点と、電極体と、バイアス抵抗の組み合わせとの関係は以下の通りである。
A点、H点:1つの第1の電極体1202−1が接地し、第1のバイアス抵抗RB1が機能
B点、G点:2つの第1の電極体1202−1、1202−2が接地し、第1、第2のバイアス抵抗RB1、RB2が並列抵抗として機能
C点、F点:3つの第1の電極体1202−1、1202−2、1202−3が接地し、第1、第2、第3のバイアス抵抗RB1、RB2、RB3が並列抵抗として機能
D点、E点、:4つの第1の電極体1202−1、1202−2、1202−3、1202−4が接地し、第1、第2、第3、第4のバイアス抵抗RB1、RB2、RB3、RB4が並列抵抗として機能
したがって、各第1の電極体1202−1〜1202−4が被接地面4に接地している期間は以下のように特定される。
1つ目の第1の電極体1202−1が被接地面4に接地している期間:A点からH点までの期間
2つ目の第1の電極体1202−2が被接地面4に接地している期間:B点からG点までの期間
3つ目の第1の電極体1202−3が被接地面4に接地している期間:C点からF点までの期間
4つ目の第1の電極体1202−4が被接地面4に接地している期間:D点からE点までの期間
パーソナルコンピュータ22は、接地面形状算出用のプログラムを実行することにより、動歪み計20によって検出された歪み量Sの波形から歪み量Sの大きさに基づいてA点乃至H点をそれぞれ判別し、各電極体が被接地面4に接地している期間を特定することにより、動的接地面形状Wを算出する。
【0037】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏することは無論のこと、中継器32を設けることにより、スリップリング16に接続されるタイヤ側配線14を抑制することができる。したがって、第1の電極体1202の数を確保しつつコスト低減を図ることができる。
【0038】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、互いに間隔をおいて配置された複数の電極体12の間隔をタイヤ2の部分において局所的に異ならせたものである。
図17は第3の実施の形態におけるタイヤ2のトレッド面2Aに配置された第1、第2の電極体1202、1204および第1、第2のタイヤ側配線1402、1404の説明図、図18は図17のAA線断面図、図19(A)はトレッド面2Aに配置された第1、第2の電極体1202、1204の説明図、(B)は第1の電極体1202と算出された動的接地面形状Wとの対応を示す説明図である。
【0039】
図17、図18に示すように、12個の第1の電極体1202が互いにタイヤ2の幅方向に間隔をおいて一列に設けられ、1個の第2の電極体1204が設けられている。第1の実施の形態と同様に、第2の電極体1204のタイヤ2の周方向に沿った長さが第1の電極体1202の周方向に沿った長さよりも長く、かつ、タイヤ2の周方向において第1の電極体1202は第2の電極体1204の周方向の中間に位置している。
本実施の形態では、トレッド面2Aには、4本の主溝202A乃至202Dによって5つの陸部204A乃至204Eが区画されている。
中央寄りの3つの陸部204B、204C、204Dには、それぞれの陸部の両側寄りの箇所に第1の電極体1202が1個ずつ設けられている。
両側の2つの陸部204A、204Eには、幅方向両側の主溝202とショルダー部2Bとの間に3つの第1の電極体1202が間隔をおいてそれぞれ設けられている。
12個の第1の電極体1202のうち、中央の陸部204B、204C、204Dに設けられた合計6個の第1の電極体1202はそれぞれ1本のリード線を介してスリップリング16に接続されている。
12個の第1の電極体1202のうち、両側の陸部204A、204Eに設けられたそれぞれ3個の第1の電極体1202は中継器32および1本のリード線を介してスリップリング16に接続されている。
中央の陸部204Cには第2の電極体1204が設けられ、第2の電極体1204は1本のリード線を介してスリップリング16に接続されている。
本実施の形態では、陸部204B、204C、204Dのうち主溝寄りの箇所にそれぞれ第1の電極体1202を配置すると共に、ショルダー部2B寄りの箇所に3つの第1の電極体1202を配置することにより、第1の電極体1202の間隔を局所的に異ならせた。
【0040】
図19(A)はトレッド面2Aに配置された第1の電極体1202、第2の電極体1204の説明図、(B)は第1の電極体1202と算出された動的接地面形状Wとの対応を示す説明図である。図中、記号●は、タイヤ2の動的接地面形状Wの輪郭を示すX座標とY座標とで規定される座標点を示す。
図19(A)、(B)から明らかなように、トレッド面2Aのうち第1の電極体1202の間隔を密にした箇所、本実施の形態では主溝寄りの箇所およびショルダー部2B寄りの箇所の動的接地面形状Wをよりきめ細かく算出することができる。
したがって、動的接地面形状Wをよりきめ細かく得ることが必要なトレッド面2Aの箇所に設ける第1の電極体1202の間隔をより密にし、そうではない箇所に設ける第1の電極体1202の間隔を疎にすることで、電極体の数を抑制しつつ必要とする動的接地面形状をよりきめ細かく得ることができる。
なお、第3の実施の形態では、タイヤ2の幅方向に並べられた第1の電極体1202の間隔をタイヤ2の部分において局所的に異ならせた場合について説明した。
しかしながら、図13(A)のように第1の電極体1202をタイヤ2の幅方向およびタイヤ2の周方向の全域にわたって設けた場合には、タイヤ2の幅方向および周方向の双方あるいは一方における第1の電極体1202の間隔を局所的に異ならせても良い。
また、図13(B)のように第1の電極体1202をタイヤ2の幅方向に対して傾斜する方向に1列に並べた場合は、前記傾斜する方向における第1の電極体1202の間隔を局所的に異ならせても良い。
また、第1、第2の電極体1202,1204の構成は、図17,図18に示したものに限定されるものではなく、前述した図9,図10,図11に示すような構成であってもよい。
あるいは、図12に示すように、複数の電極体12は、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体1210を一対とする電極体対30を複数含んで構成されてもよい。この場合は、一対となる2つの電極体1210の間隔を、タイヤ2の部分において局所的に異ならせればよい。
【0041】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、第1の電極体1202の表面を感圧抵抗層で覆うことによりトレッド面2Aの動的接地面形状に加えて接地圧分布を算出するようにしたものである。
図20は第4の実施の形態におけるタイヤ2のトレッド面2A近傍の断面図、図21は第4の実施の形態における動歪み計20で検出される歪み量を示す線図である。
図20に示すように、トレッド面2Aに形成された第1の電極体1202の表面の全域が感圧抵抗層40で覆われている。なお、第2の電極体1204の表面は、第1乃至第3の実施の形態と同様に、感圧抵抗層40で覆われておらず、被接地面4に接地したときに被接地面4と導通するように露出している。
感圧抵抗層40は、感圧抵抗層40に加わる圧力に応じて抵抗が変化する(圧力が大きくなるほど抵抗が低下する)材料で形成されている。このような材料として感圧導電性インクなど従来公知のさまざまな材料が使用可能である。
このような感圧抵抗層40の抵抗率は例えば104〜106Ω・cmである。
したがって、第1の電極体1202に感圧抵抗層40で構成される抵抗が直列に接続されることになる。
このように第1の電極体1202の表面に感圧抵抗層40を設けた場合は、図21に示す歪み量Sが動歪み計20で検出される。
すなわち、タイヤ2が被接地面4上を転動した状態で感圧抵抗層40が被接地面4に接地すると、歪み量Sは、時間経過と共に、次第に低下しやがてピークに到達し、次いでピークから上昇し元の値(非接地状態における値)に戻る。
上述のように検出される歪み量Sから求められる接地圧を、パーソナルコンピュータ22を用いて、タイヤ走行方向のX座標とタイヤ幅方向のY座標とで規定される座標点ごとに算出することにより、動的接地面形状に加えて、動的な接地圧分布を算出することができる。
この場合、タイヤ側配線14(第1、第2のタイヤ側配線1402、1404)と、スリップリング16と、中継配線18(第1、第2の中継配線1802、1804)と、動歪み計20とによって、歪み量をトレッド面2Aに加わる接地圧データとして検出する接地圧検出手段が構成される。
また、パーソナルコンピュータ22によって、接地圧データに基づいてタイヤ2の接地圧分布を算出する接地圧分布算出手段が構成される。
したがって、第1の電極体1202の表面に感圧抵抗層40を設けるという簡単な構成により、タイヤ2の動的接地面形状および動的な接地圧分布を同時に得ることができ、計測装置10の有用性を高めることができる。
【0042】
(電極体12の変形例)
次に電極体12を、フレキシブル基板を用いて構成した変形例について説明する。
図22に示すように、フレキシブル基板42の表面に銅箔のパターンによって複数の第1の電極体1202と、1つの第2の電極体1204とが形成されている。第1,第2の電極体1202,1204は露出しており、第1,第2の電極体1202,1204を除く銅箔のパターンは絶縁膜によって覆われて絶縁されている。
フレキシブル基板42は、第1、第2の電極体1202、1204と接続された配線部44が設けられており、この配線部44がスリップリング16を介して中継配線18(図3)に接続されている。したがって、配線部44がタイヤ側配線部14を構成している。配線部44は絶縁膜によって覆われて絶縁されている。
第1の電極体1202は、第1の直線L1上に間隔をおいて配置され、第2の電極体1204は、第1の直線L1と直交する第2の直線L2に沿って延在形成されている。
第2の電極体1204の長さは第1の電極体1202の第2の直線L2方向に沿った長さよりも長く、かつ、第2の直線L2方向において第1の電極体1202は第2の電極体1204の第2の直線L2方向の中間に位置している。
フレキシブル基板42は、第1の直線L1をタイヤ2の幅方向と平行させた状態でタイヤ2のトレッド面2Aに接着剤、あるいは、粘着テープを用いて接着されることにより取着されている。
配線部44も同様に接着剤、あるいは、粘着テープを用いてタイヤ2のショルダー部などに接着されることにより取着されている。
このように、電極体12は従来公知のさまざまな部材、部品を用いて構成することが可能である。
なお、第1、第2の電極体1202、1204の構成は、図22に限定されるものではなく、前述した前述した図9,図10,図11に示すような構成であってもよい。
あるいは、図12に示すように、複数の電極体12は、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体1210を一対とする電極体対30を複数含んで構成されてもよい。
【0043】
(被接地面4の変形例)
なお、実施の形態では、被接地面4を路面3上に設けた場合について説明したが、被接地面4を以下のように構成することもできる。
図23に示すように、路面体46と、駆動手段48と、支持手段50とを設ける。
路面体46は、導電性を有する被接地面4を備えるものであり、導電性を有するスチールなどの金属材料で形成された無端ベルトで構成されている。
路面体46は、導電性を有する被接地面4を備えればよく、非導電性を有する無端ベルトの表面に導電性を有する材料が形成されることで被接地面4を構成するなど任意である。
また、路面体46は、モータなどの駆動源により回転される回転ドラムであってもよく、その場合は、被接地面4は回転ドラムの外周面に形成される。
【0044】
駆動手段48は路面体46を駆動するものである。
駆動手段48は、駆動ドラム52Aと、従動ドラム52Bと、駆動モータ54とを含んで構成されている。
路面体46は、駆動ドラム52Aと、従動ドラム52Bとにわたって掛け回されている。
駆動ドラム52Aは、駆動モータ54によって回転駆動される。
従動ドラム52Bは、回動可能に支持されている。
駆動ドラム52Aが駆動モータ54によって回転駆動されることにより路面体46が駆動ドラム52Aと従動ドラム52Bとの間で回転駆動される。
駆動モータ54の回転速度は、図示しないモータ駆動装置により可変され、これにより、路面体46の走行速度が調整可能となっている。
駆動ドラム52Aおよび従動ドラム52Bの少なくとも一方は導電性を有するスチールなどの金属材料で形成されている。
導電性を有する方のドラムの電位は基準電位とされており、本実施の形態では基準電位はアース電位である。したがって、ドラムに接触する路面体46もアース電位とされている。
なお、駆動手段48が路面体46を駆動したが、駆動手段48は、タイヤ2および路面体46の少なくとも一方を駆動すればよい。
【0045】
支持手段50は、被接地面4上でタイヤ2を回転可能に支持するものである。
より詳細には、タイヤ2はホイール5のリムに組み付けられており、支持手段50は、ホイール5が着脱自在に取り付けられ、タイヤ2を回動可能に支持し、かつ、タイヤ2に加える負荷荷重を調整できるように構成されている。
支持手段50によってタイヤ2のトレッド面2Aを路面体46の被接地面4に接地させた状態で駆動モータ54により路面体46を走行させることにより、タイヤ2が転動される。
なお、支持手段50は、タイヤ2のキャンバー角、スリップ角、制動力、駆動力の少なくとも1つを調整できるように構成されていてもよい。
このような支持手段50として、従来公知のさまざまなタイヤの支持機構が使用可能である。
このように構成した場合は、支持手段50によってタイヤ2に関するパラメータを細かく設定した状態でタイヤ2の動的接地面形状の測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
2……タイヤ、2A……トレッド面、3……路面、4……被接地面、10……タイヤの動的接地面計測装置、12……電極体、1202……第1の電極体、1204……第2の電極体、1210……電極体、14……タイヤ側配線、1402……第1のタイヤ側配線、1404……第2のタイヤ側配線、16……スリップリング、18……中継配線、1802……第1の中継配線、1804……第2の中継配線、20……動歪み計、2002……第1の入力端、2004……第2の入力端、22…………パーソナルコンピュータ、24……導通検出手段、26……接地面形状算出手段、30……電極体対、32……中継器、40……感圧抵抗層、RB……バイアス抵抗(第1の抵抗)、RD……ダミー抵抗(第2の抵抗)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッド面に形成された複数の電極体と、
前記タイヤが導電性を有する被接地面上で転動した際に、前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を示す接地データを検出する導通検出手段と、
前記接地データに基づいて前記タイヤの接地面形状を算出する接地面形状算出手段と、
を備えることを特徴とするタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項2】
前記複数の電極体は、第1の電極体と、前記第1の電極体の近傍に配置された第2の電極体とを含んで構成され、
前記導通検出手段は、前記第1の電極体と前記第2の電極体との導通状態を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項3】
前記第1の電極体と前記第2の電極体とは前記タイヤの幅方向に間隔をおいて配置され、
前記第2の電極体の前記タイヤの周方向に沿った長さが前記第1の電極体の前記周方向に沿った長さよりも長く、かつ、前記周方向において前記第1の電極体は前記第2の電極体の周方向の中間に位置している、
ことを特徴とする請求項2記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項4】
図9、図10
前記第2の電極体は、前記第1の電極体の周囲を囲むように延在形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項5】
前記複数の電極体は、前記タイヤの周方向と交差する方向に延在する直線上に間隔をおいて配置された複数の第1の電極体と、前記直線と交差しかつ前記タイヤの周方向に延在する第2の電極体とを含んで構成され、
前記導通検出手段は、前記複数の第1の電極体のそれぞれと、前記第2の電極体との導通状態を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項6】
前記第2の電極体の数は前記第1の電極体の数よりも少ない、
ことを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項7】
前記第2の電極体は、少なくとも前記第1の電極体が前記被接地面に接触している期間、前記被接地面に接触するように構成されている、
ことを特徴とする請求項3乃至6に何れか1記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項8】
前記複数の電極体は、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体を一対とする電極体対を複数含んで構成され、
前記導通検出手段は、前記各電極対の導通状態を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項9】
前記導通検出手段は、
第1、第2の入力端の間に接続される抵抗の大きさに基づいて歪み量を検出する動歪み計と、
前記第1の入力端と前記第1の電極体との間に直列に接続された第1の抵抗と、
前記第2の入力端と前記第2の電極体とを接続する信号線と、
前記第1の入力端と第2の入力端との間に接続された第2の抵抗とを含んで構成され、
前記第1の抵抗は、前記第1の電極体と前記第2の電極体とが前記被接地面とを介して導通したときに前記第1、第2の入力端を流れる検出電流を制限するものであり、
前記第2の抵抗は、前記検出電流が適切な範囲となるようにするものであり、
前記導通検出手段は、前記歪み量を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項2乃至7に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項10】
前記第1の抵抗は、一端が前記第1の電極体に接続され、他端が共通接続された互いに抵抗値が異なるN個(Nは2以上の自然数)の抵抗を備える中継器で構成され、
前記共通接続された箇所が前記第1の入力端に接続されている、
ことを特徴とする請求項9記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項11】
圧力に応じて抵抗が変化する材料で形成され、前記第1の電極体の表面を覆うように設けられた感圧抵抗層と、
前記歪み量を前記トレッド面に加わる接地圧データとして検出する接地圧検出手段と、
前接地圧データに基づいて前記タイヤの接地圧分布を算出する接地圧分布算出手段とをさらに備える、
ことを特徴とする請求項9または10記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項12】
前記複数の電極体は互いに間隔をおいて配置され、
前記間隔は前記タイヤの部分において局所的に異なっている、
ことを特徴とする請求項1乃至11に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項13】
前記接地データは、前記導通検出手段によって予め定められたサンプリング周期でサンプリングされた時系列データであり、
前記接地面形状算出手段による前記タイヤの接地面形状の測定は、前記時系列データと、前記タイヤの走行速度と、前記電極体の位置データとに基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項1乃至12に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項14】
導電性を有する被接地面を設け、
タイヤのトレッド面に複数の電極体を形成し、
前記タイヤを前記被接地面上で転動させ、
前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を示す接地データを検出し、
前記接地データに基づいて前記タイヤの接地面形状を算出するようにした、
ことを特徴とするタイヤの動的接地面計測方法。
【請求項15】
前記複数の電極体を、第1の電極体と、前記第1の電極体の近傍に配置された第2の電極体とを含んで構成し、
前記接地データを、前記第1の電極体と前記第2の電極体との導通状態として検出する、
ことを特徴とする請求項14記載のタイヤの動的接地面計測方法。
【請求項16】
前記複数の電極体を、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体を一対とする電極体対を複数含んで構成し、
前記接地データを、前記各電極対の導通状態を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項14記載のタイヤの動的接地面計測方法。
【請求項17】
前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を検出する導通検出手段によって予め定められたサンプリング周期でサンプリングされた時系列データを前記接地データとし、
前記タイヤの接地面形状の算出を、前記時系列データと、前記タイヤの走行速度と、前記電極体の位置データとに基づいて行う、
ことを特徴とする請求項14乃至16に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測方法。
【請求項1】
タイヤのトレッド面に形成された複数の電極体と、
前記タイヤが導電性を有する被接地面上で転動した際に、前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を示す接地データを検出する導通検出手段と、
前記接地データに基づいて前記タイヤの接地面形状を算出する接地面形状算出手段と、
を備えることを特徴とするタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項2】
前記複数の電極体は、第1の電極体と、前記第1の電極体の近傍に配置された第2の電極体とを含んで構成され、
前記導通検出手段は、前記第1の電極体と前記第2の電極体との導通状態を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項3】
前記第1の電極体と前記第2の電極体とは前記タイヤの幅方向に間隔をおいて配置され、
前記第2の電極体の前記タイヤの周方向に沿った長さが前記第1の電極体の前記周方向に沿った長さよりも長く、かつ、前記周方向において前記第1の電極体は前記第2の電極体の周方向の中間に位置している、
ことを特徴とする請求項2記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項4】
図9、図10
前記第2の電極体は、前記第1の電極体の周囲を囲むように延在形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項5】
前記複数の電極体は、前記タイヤの周方向と交差する方向に延在する直線上に間隔をおいて配置された複数の第1の電極体と、前記直線と交差しかつ前記タイヤの周方向に延在する第2の電極体とを含んで構成され、
前記導通検出手段は、前記複数の第1の電極体のそれぞれと、前記第2の電極体との導通状態を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項6】
前記第2の電極体の数は前記第1の電極体の数よりも少ない、
ことを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項7】
前記第2の電極体は、少なくとも前記第1の電極体が前記被接地面に接触している期間、前記被接地面に接触するように構成されている、
ことを特徴とする請求項3乃至6に何れか1記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項8】
前記複数の電極体は、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体を一対とする電極体対を複数含んで構成され、
前記導通検出手段は、前記各電極対の導通状態を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項9】
前記導通検出手段は、
第1、第2の入力端の間に接続される抵抗の大きさに基づいて歪み量を検出する動歪み計と、
前記第1の入力端と前記第1の電極体との間に直列に接続された第1の抵抗と、
前記第2の入力端と前記第2の電極体とを接続する信号線と、
前記第1の入力端と第2の入力端との間に接続された第2の抵抗とを含んで構成され、
前記第1の抵抗は、前記第1の電極体と前記第2の電極体とが前記被接地面とを介して導通したときに前記第1、第2の入力端を流れる検出電流を制限するものであり、
前記第2の抵抗は、前記検出電流が適切な範囲となるようにするものであり、
前記導通検出手段は、前記歪み量を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項2乃至7に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項10】
前記第1の抵抗は、一端が前記第1の電極体に接続され、他端が共通接続された互いに抵抗値が異なるN個(Nは2以上の自然数)の抵抗を備える中継器で構成され、
前記共通接続された箇所が前記第1の入力端に接続されている、
ことを特徴とする請求項9記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項11】
圧力に応じて抵抗が変化する材料で形成され、前記第1の電極体の表面を覆うように設けられた感圧抵抗層と、
前記歪み量を前記トレッド面に加わる接地圧データとして検出する接地圧検出手段と、
前接地圧データに基づいて前記タイヤの接地圧分布を算出する接地圧分布算出手段とをさらに備える、
ことを特徴とする請求項9または10記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項12】
前記複数の電極体は互いに間隔をおいて配置され、
前記間隔は前記タイヤの部分において局所的に異なっている、
ことを特徴とする請求項1乃至11に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項13】
前記接地データは、前記導通検出手段によって予め定められたサンプリング周期でサンプリングされた時系列データであり、
前記接地面形状算出手段による前記タイヤの接地面形状の測定は、前記時系列データと、前記タイヤの走行速度と、前記電極体の位置データとに基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項1乃至12に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測装置。
【請求項14】
導電性を有する被接地面を設け、
タイヤのトレッド面に複数の電極体を形成し、
前記タイヤを前記被接地面上で転動させ、
前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を示す接地データを検出し、
前記接地データに基づいて前記タイヤの接地面形状を算出するようにした、
ことを特徴とするタイヤの動的接地面計測方法。
【請求項15】
前記複数の電極体を、第1の電極体と、前記第1の電極体の近傍に配置された第2の電極体とを含んで構成し、
前記接地データを、前記第1の電極体と前記第2の電極体との導通状態として検出する、
ことを特徴とする請求項14記載のタイヤの動的接地面計測方法。
【請求項16】
前記複数の電極体を、互いに近接した箇所に配置された2つの電極体を一対とする電極体対を複数含んで構成し、
前記接地データを、前記各電極対の導通状態を前記接地データとして検出する、
ことを特徴とする請求項14記載のタイヤの動的接地面計測方法。
【請求項17】
前記複数の電極体同士の前記被接地面を介した導通状態を検出する導通検出手段によって予め定められたサンプリング周期でサンプリングされた時系列データを前記接地データとし、
前記タイヤの接地面形状の算出を、前記時系列データと、前記タイヤの走行速度と、前記電極体の位置データとに基づいて行う、
ことを特徴とする請求項14乃至16に何れか1項記載のタイヤの動的接地面計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−185072(P2012−185072A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49168(P2011−49168)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
[ Back to top ]