説明

タイヤの受ける老化度を表示する方法

本発明は、車両の使用中にタイヤに生じる老化度を表示する方法であって、温度をタイヤ上の少なくとも1つの箇所で局所的に測定し、タイヤがその温度にさらされた時間を測定し、タイヤのモデルを用いてこれら測定値を分析する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤが車両によって駆動されているときにタイヤの受ける老化度を表示する方法に関する。本発明は又、タイヤが車両によって駆動されているときにタイヤの受ける老化度の指標を求めるためのタイヤの1つの箇所における少なくとも1つの局所温度測定値及びこの温度への暴露時間の測定値の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、この種の用途には限定されないが、本発明を重量物運搬車型の車両、例えばローリ、バス、トラクタ、トレーラ等に装着されるタイヤに関して具体的に説明する。車両、例えばローリ用のタイヤの費用は、物品の輸送費のうち、取るに足りないとは言えないほどの割合を占めている。したがって、タイヤの効率を最適化することが常に望ましい。
【0003】
1つの最初に考えられる手法は、特にタイヤの寿命を延長することを目的としてこれらタイヤについてなされる使用を最適化することにある。この手法を補完する別の手法は、タイヤのトレッドが摩耗したときにタイヤを更生又は山掛け(retreading:摩耗したトレッドを取り除いて新しいトレッドを取り付けること)する可能性が少なくとも存在するようにすることにある。
【0004】
例えばこのようなタイヤは、各側部がビード領域内に繋留されていて、クラウン補強材を半径方向に載せたカーカス補強材を有し、クラウン補強材は、少なくとも2つの重ね合わされた層から成り、これら層は、各層内で平行なスレッド又はケーブルで形成されている。クラウン補強材は、円周方向と45°〜90°の角度をなす完全に伸長性ではない金属ケーブル又はスレッドの層を更に有する場合があり、交差補強材と呼ばれているこのプライは、カーカス補強材と、作動層と呼ばれている第1のクラウン層との間に半径方向に位置し、カーカス補強材及び第1のクラウン層の各々は、絶対値で言って、せいぜい45°の角度をなして平行なスレッド又はケーブルで形成されている。
【0005】
作動層は、各層内で相互に平行であり、或る1つの層から次の層まで交差され、円周方向と10°〜45°の角度をなす非伸長性金属補強要素で形成されている。作動補強材を形成する上述の作動層は又、有利には弾性補強要素と呼ばれている金属製であり且つ伸長性の補強要素で構成された保護層と呼ばれている少なくとも1つの層で覆われている場合がある。
【0006】
「ロードタイヤ(road tire:路上走行タイヤ)」と呼ばれている幾つかの今日のタイヤは、道路輸送ネットワークの改良及び世界中の自動車道路ネットワークの成長に鑑みて、高速でますます長い距離にわたって走行するようになっている。タイヤの摩耗度が低いので、例えばこのようなタイヤが駆動されなければならない状況における条件の全てにより、走行可能な距離数の増加が可能であるが、これは、タイヤ、特にクラウン補強材の耐久性を犠牲にしている。
【0007】
これは、軸方向に最も短いクラウン層の端部のところの作動温度の取るに足りないとは言えないほどの増大と組み合わさって、クラウン補強材中に応力が存在し、特に、クラウン層相互間に剪断応力が存在するからであり、かかる応力により、亀裂が上述の端部のところのゴム配合物中に現われて広がる。この問題は、補強要素の2つの層の縁部の場合に存在し、これら層は、必ずしも半径方向に隣り合う必要はない。
【0008】
例えば、トレッドが摩耗した後にタイヤを山掛けする要望が存在する場合、実施可能な新たなトレッドの使用を最適化するためには、老化が目立ちすぎるようになる前にタイヤを山掛けする必要がある。
【0009】
検討対象の形式のタイヤのクラウン補強材の耐久性を向上させるために、構造体及びプライの端部、特に軸方向に最も短いプライの端部相互間且つ(或いは)これらの周りに配置されたゴム配合物の層及び(又は)異形材の品質に関する解決策が、既に利用された。
【0010】
仏国特許第1389428号明細書は、クラウン補強材縁部の近くに位置するゴム配合物の耐劣化性を向上させるために、ヒステリシスの低いトレッドと関連して、少なくともクラウン補強材の側部及び周縁部を覆い、ヒステリシスの低いゴム配合物を構成するゴム異形材の使用を推奨している。
【0011】
仏国特許第2222232号明細書は、クラウン補強材プライ相互間の分離を回避する目的で、ショアAスケール硬度が、クラウン補強材を包囲しているトレッドのショアAスケール硬度とは異なり、クラウン補強材プライの縁部とカーカス補強材との間に配置された異形ゴムコンパウンド要素のショアAスケール硬度よりも大きいゴムのマットで補強材の端部を被覆することを教示している。
【0012】
仏国特許出願公開第2728510号明細書は、一方において円周方向と少なくとも60°の角度をなし、軸方向幅が最も短い作動クラウンプライの軸方向幅に少なくとも等しい非伸長性金属ケーブルで作られた軸方向に連続したプライを、カーカス補強材と回転軸線の半径方向最も近くに位置するクラウン補強材作動プライとの間に配置すること及び他方において円周方向に実質的に平行に差し向けられた金属製要素で作られた追加のプライを、2つの作動クラウンプライ相互間に配置することを提案している。
【0013】
国際公開第99/24269号パンフレットは更に、或る1つのプライから次のプライまで交差する補強要素で作られた2つの作動クラウンプライを、赤道面の各側で或る特定の軸方向距離にわたり且つ円周方向に実質的に平行な補強要素の追加のプライのすぐ隣りの軸方向延長部内で結合し、次に、少なくとも上述の2つの作動プライに共通の幅の残部にわたりゴム配合物の異形材によって切り離すことができるようにすることを提案している。
【0014】
それにもかかわらず、どのステップが採用されてもタイヤの使用条件に応じて、長距離にわたる運転の結果として、タイヤは相当な老化度を呈する場合のあることが判明した。
【0015】
タイヤの円周方向又は長手方向は、タイヤの周囲に対応すると共にタイヤの走行方向によって定められる方向である。
【0016】
タイヤの横方向又は軸方向は、タイヤの回転軸線に平行である。
【0017】
半径方向は、タイヤの回転軸線と交差し且つこれに垂直な方向である。
【0018】
タイヤの回転軸線は、タイヤが通常の使用中に回転する中心となる軸線である。
【0019】
半径方向平面又は子午面は、タイヤの回転軸線を含む平面である。
【0020】
円周方向中間平面又は赤道面は、タイヤを2つの半部に区分するタイヤの回転軸線に垂直な平面である。
【0021】
また、タイヤに関する情報の収集、記憶及び(又は)伝送を含む種々の形式の用途のためにタイヤの中に設けられた電子モジュールを採用することが慣例である。
【0022】
かかる電子モジュールは、受動型コンポーネント、例えば識別チップ又はRFID及び(又は)自蔵式電力供給システム、例えばバッテリ又は変形例として誘導結合システムに接続された能動型コンポーネントを含む場合がある。これら電子モジュールは、周波数及び電力が注意深く調整された無線波を介し且つ特定の送信プロトコルに従って例えばユーザインタフェースとして用いられる外部モジュールと情報交換するよう設計されている場合がある。これら電子モジュールは又、後日これら電子モジュールに問い合わせすることができるよう情報を記憶するよう設計されている場合がある。
【0023】
特に欧州特許第1275949号明細書から分かるように、タイヤ内に及ぼされた力又は応力を求めるためにワイヤレスセンサをタイヤ中に植え込むことは、慣例である。
【0024】
欧州特許第0937615号明細書は、その一部に、特にタイヤグリップを測定するためにタイヤの中に組み込まれた表面音響波ワイヤレスセンサの使用を記載している。例えばこのようなセンサは、近くのエネルギー源を必要としないで、無線波によりワイヤレスでこのセンサに遠隔から問い合わせることができるという利点を有している。遠隔問い合わせ装置により送られる問い合わせ無線波のエネルギーは、センサが応答の際に改変された無線波を送り出すのに十分高い。
【0025】
電子モジュール、例えば表面音響波(SAW)ワイヤレスセンサ又はバルク音響波(BAW)センサも又、物理的パラメータを測定するためにタイヤ中に用いられる場合がある。1つの重要な利点は、近くの電源を必要としないで、これらセンサに無線波によって遠隔から問い合わせることができるということにある。
【0026】
したがって、電子モジュールは、タイヤがいったんホイールに取り付けられると、タイヤによって形成されるキャビティ内に設けられるのが良く、或いは、変形例として、タイヤのゴム配合物内に植え込まれても良い。
【0027】
したがって、本発明者は、タイヤを山掛けできるかどうかの決定のために例えばタイヤの受けた老化度を推定することができる仕事に取り組んだ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】仏国特許第1389428号明細書
【特許文献2】仏国特許第2222232号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2728510号明細書
【特許文献4】国際公開第99/24269号パンフレット
【特許文献5】欧州特許第1275949号明細書
【特許文献6】欧州特許第0937615号明細書
【発明の概要】
【0029】
この目的は、本発明によれば、タイヤが車両によって駆動されているときにタイヤの受ける老化度を表示する方法において、タイヤの少なくとも1つの箇所のところの温度を局所的に測定し、温度への暴露時間を測定し、タイヤのモデルを用いてこれら測定値を分析することを特徴とする方法を用いることによって達成された。
【0030】
本発明の意味の範囲内において、タイヤのモデルを用いる分析では、例えば、測定値の結果を求めるために測定値をこのモデルに適用する必要がある。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、タイヤのモデルは、グラフ体系及び(又は)数値モデルである。
【0032】
本発明の意味の範囲内において、タイヤのモデルは、タイヤ上の一点のところの温度パラメータの関数として且つこの温度に対する暴露時間の関数としてタイヤの受けた老化の表示を意味している。この種のモデルは、当業者の技量の範囲内にあり、実験的に且つ(或いは)数値シミュレーションによって得られる。
【0033】
本発明者は、タイヤの走行距離とは無関係に、タイヤ上の一点のところのタイヤの温度及び運転中におけるこれら温度への暴露時間が、タイヤの受けた老化度の決定的な要因であることを立証することができた。かくして、タイヤに特有のモデルを用いることにより、各測定値から、運転により生じ、これら温度条件に寄与した老化度を推定することが可能である。
【0034】
したがって、本発明は、理論的に、所与のサイズの所与のタイヤの場合、或いは、技術的に類似した寸法及び特徴を備えた1組のタイヤの場合、タイヤのこのモデルを作るステップである予備ステップを必要とする。
【0035】
得られた結果は、当然のことながら、老化度の推定値に過ぎない。というのは、所与の使用の場合にタイヤの受けた老化度を表す値を割り当てることが可能であるが、今日得られる知識では、この値を未知のままのタイヤの寿命に関連づけることは可能ではなく、かかる寿命は、多くのパラメータ、例えばタイヤの使用条件に依存すると共にタイヤの実際の設計に依存するからである。
【0036】
本発明の有利な一変形形態では、タイヤの作動プライの端部のところの温度を測定する。上述したように、タイヤのこれら領域のゴム配合物の温度は、タイヤの老化の観点で特に適切である。
【0037】
この場合、有利には、電子モジュール、例えば上述した電子モジュールを用いることによりタイヤ温度測定値は、これら領域に関して直接得られる。
【0038】
本発明の第1の実施形態によれば、測定値を記録し、分析するのは、蓄積された組をなす測定値である。本発明のこの実施形態によれば、タイヤ内部に挿入された電子モジュールは、車両に装着されたタイヤの行った走行距離全体を通じて温度測定値及びこれら温度への暴露時間を記録することができよう。
【0039】
これら記録により、分析をタイヤのモデルの使用により所与の時点で行うことができ、しかも、行われた走行により生じた老化を推定することができる。例えば、トレッドの摩耗に続き、山掛け技術者は、タイヤを山掛けできるかどうかに関する決定を行うことになる。この決定は、超えてはならない最大老化度に対して行われる。超えてはならないこの最大レベルは、例えば他のタイヤの試験手段、特に破壊試験を用いて所与のタイヤについて技術者によって経験的に定められる。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、測定値を即座に分析し、情報を車両の運転手に伝送する。本発明のこの第2の実施形態によれば、測定値の分析は、連続して行われ、情報は、運転手に送られる。この情報は、特に、車両タイヤの受ける老化度を低くするために、運転スタイルを変えることを目的とした情報又はアドバイスの形態に書き換えられるのが良い。
【0041】
かくして、車両の運転手は、自分の運転スタイルを変えて条件に合わせることができ、かくしてタイヤの受ける老化度を最小限に抑えることができる。
【0042】
本発明は又、これら2つの実施形態の組み合わせを想定しており、連続情報を運転手に与えることができる一方で、それと同時に、後日、特に、タイヤを山掛けできるかどうかについての決定を下すことが必要な場合に、問い合わせ可能なバッファメモリに記憶させることが可能である。
【0043】
本発明の有利な一実施形態は、記録及び(又は)通信手段と関連した少なくとも1つの温度センサをタイヤの中に、好ましくはタイヤの作動プライの軸方向端部の近くに挿入することを想定している。例えばこのような実施形態は、上述した技術に従って実施することができ、かかる実施形態により、温度及び暴露時間の正確な測定値に対する接近が可能であり、距離から得られた測定値を外挿することによって得られる値の場合のような考慮に入れられるべき遅延又は損失は存在しない。
【0044】
しかしながら、変形実施形態では、本発明は、例えばタイヤのキャビティ内に位置決め可能な遠隔設置型センサを用いて測定値を得ることを想定している。この場合、かかる測定値は、先の場合と同じほど正確ではなく、遅延を受けるが、かかるセンサは特に製造の点において安価なので経済的な観点からは有利であり、特に、分析されようとしているのが、累積した組をなす測定値である場合に有利である。
【0045】
本発明は又、タイヤの1つの箇所のところの少なくとも1つの局所温度測定値及び車両によってタイヤが駆動されているときにタイヤの受ける老化度の指標を求めるための温度への暴露時間の測定値の使用であって、タイヤのモデルを用いてこれら測定値を分析することによる使用を提案する。
【0046】
本発明の第1の実施形態によれば、タイヤの1つの箇所のところの少なくとも1つの局所温度測定値及びこの温度への暴露時間の測定値のかかる使用により、山掛けに関するタイヤの適合性を判定することができる。
【0047】
本発明の第2の実施形態によれば、タイヤの1つの箇所のところの少なくとも1つの局所温度測定値及びこの温度への暴露時間の測定値のかかる使用により、車両の運転手に採用されるべき運転スタイルに関する情報を提供することができる。
【0048】
本発明の別の細部及び利点は、以下において図1を参照して行われる本発明の幾つかの実施形態についての説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】タイヤの概略子午面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図を理解しやすくするために、図は、縮尺通りには作成されていない。
【0051】
図1は、軸線XX′に関して対称に延びるタイヤ1の半分の部分図であり、軸線XX′は、タイヤの円周方向中間平面又は赤道面を表している。特に、タイヤ1の底領域及びビードは、この図には描かれていない。
【0052】
図1は、タイヤ1を示しており、このタイヤは、半径方向に差し向けられた金属製補強要素を有する単一の層2で構成されたカーカス補強材を有する蒸留物運搬型の車両に用いられるようになっている。
【0053】
カーカス層2は、ビード内でタイヤ1の各側に繋留されており、ビードのベースは、リム受座に取り付けられるようになっている。各ビードの半径方向外方の延長部として、サイドウォール3が設けられ、このサイドウォール3は、外部に向かって半径方向にトレッド4と合体している。
【0054】
タイヤ1は、クラウン補強材5を更に有し、このクラウン補強材の細部は、図には描かれていない。クラウン補強材は、相互に平行であり、円周方向と鋭角をなす補強要素の2つの層を有するのが良く、これら補強要素は、或る1つの層から次の層まで交差されている。
【0055】
本発明によれば、タイヤは、温度測定システム6を有する。この測定システム6は、SAW(表面音響波)レゾネータ型のワイヤレス温度センサである。この種のセンサは、上述したように、関連の電源を必要としないという利点を有し、このセンサは、これが受信したり再送信したりする波を改変することにより、このセンサの周りのゴム配合物の塊の温度に関する情報を提供する。
【0056】
タイヤは、上述の第1のセンサと同一であり、軸線XX′に関して対称に位置決めされた第2のセンサを有するのが良い。
【0057】
センサと通信する問い合わせ装置が、有利には、車両に設けられる。この場合、この問い合わせ装置は、信号を測定温度に対する暴露時間に関連づけ、タイヤのモデルを参照することによってこの信号を分析することができ、次に、情報を運転手に送ることができる。変形例として、問い合わせ装置は、記憶装置と関連しても良く、その結果、次に分析されるのは、蓄積された組をなす温度及び対応の暴露時間である。
【0058】
本発明の他の変形実施形態によれば、温度測定センサは、タイヤ内に設けられた1つ又は2つ以上の他の電子モジュールと関連しても良く、これら他のモジュールは、種々の温度に対する暴露時間を定めると共にこの情報を記憶する機能を備えている。例えばこのような実施形態により、特に例えばこのタイヤを山掛けできるかどうかをこの情報から判定するために、問題のタイヤのモデルに基づいて分析のためにこの情報に後日問い合わせることができる。
【0059】
蓄積された組をなす温度及び対応の暴露時間のこの分析は、特に上述したようにタイヤを山掛けできるかどうかに関する決定の際に有利である。
【0060】
タイヤのモデルは、前もって行われた試験又はシミュレーションから定められ、この試験又はシミュレーションは、例えば、測定された温度の関数として且つこの温度への暴露時間関数としてタイヤの受けた老化度を定めることから成る。
【0061】
転動路上試験機械に取り付けられた幾つかの同一の315/70R22.5タイヤについて試験を行った。
【0062】
熱電対型のセンサを作動層の軸方向端部のところでタイヤの各々の中に挿入した。幾つかのタイヤに関し直線で10,000キロメートルから240,000キロメートルまで様々な距離に対応した走行期間中に測定値を取った。
【0063】
用いられた運転状況(例えば速度の変化)により、タイヤに互いに異なる発熱が生じた。
【0064】
これら初期走行後、全てのタイヤについて常に同一の他の試験を行った。次に、タイヤを5°の角度をつけて斜めに配置した。これらサイズの走行試験は、非常に過酷なものであり、かかる試験により、タイヤが劣化する前にタイヤの走行した距離を測定し、かくして、タイヤを分類し、これらタイヤのうちのどれが初期走行試験後に山掛けできたものであるかを特定することができた。
【0065】
さらに、初期走行試験後、本発明に従って、温度の測定値及びかかる温度への暴露時間に基づいて行った分析を、どのタイヤを山掛けできるかどうかを特定するために行った。
【0066】
同一のあらかじめ定められたモデルを用いて蓄積された組をなす温度及びかかる温度への暴露時間に基づいて本発明に従って取られた測定値の分析により、初期走行試験中にタイヤの走行した距離及びタイヤの受けた温度変化に応じて、タイヤを山掛けできるかどうかについて異なる結論が導かれた。
【0067】
タイヤが損傷状態になるまでタイヤを走行させることを含む第2の走行試験により、本発明に従って行われた分析が確認され、具体的に言えば、第1の走行試験後にタイヤ1の幾つかを山掛けすることができるかどうかについての決定が、第2の試験中、タイヤを山掛けすることができるのに十分満足の行くものであると見なされるタイヤの走行した距離によって確認された。同様に、第2の試験は、タイヤの走行した距離が不十分であると見なされるので、数本のタイヤを山掛けすることができないという決定が確認された。
【0068】
これら試験は、運転パラメータを変化させる多くの回数実施され、かかる試験により、本発明に従ってタイヤの受けた老化度を表示する方法が、タイヤを山掛けできるかどうかについての良好な指標を提供することができるということが確認される。本発明のこの方法は、分析速度が速いので、特に非常に有利である。それにもかかわらず、最大許容老化度の決定と関連して主観的な部分が存在し、それにより、山掛け専門家のノウハウが必要である。
【0069】
これとは対照的に、この老化を制限するために採用されるべき運転スタイルに関してアドバイスの形態で運転手にとって連続的に利用できるタイヤの受けた瞬間老化度に関する情報を作成するにあたり、追加のノウハウは全く不要である。
【0070】
また、試験中に得られた結果により、タイヤの走行した距離は、これらタイヤの受ける老化に対して直接的な影響はないということが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤが車両によって駆動されているときにタイヤの受ける老化度を表示する方法において、前記タイヤの少なくとも1つの箇所のところの温度を局所的に測定し、前記温度への暴露時間を測定し、前記タイヤのモデルを用いてこれら測定値を分析する、方法。
【請求項2】
前記モデルは、グラフ体系及び(又は)数値モデルである、請求項1記載のタイヤが駆動されているときにタイヤの受ける老化度を表示する方法。
【請求項3】
前記温度は、前記タイヤの作動プライの端部のところで測定される、請求項1又は請求項2記載のタイヤが駆動されているときにタイヤの受ける老化度を表示する方法。
【請求項4】
前記測定値を記録し、分析するのは、蓄積された組をなす測定値である、請求項1乃至3の何れか1項に記載のタイヤが駆動されているときにタイヤの受ける老化度を表示する方法。
【請求項5】
前記測定値を即座に分析し、情報を車両の運転手に伝送する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のタイヤが駆動されているときにタイヤの受ける老化度を表示する方法。
【請求項6】
記録及び(又は)通信手段と関連した少なくとも1つの温度センサが、前記タイヤ中に挿入される、請求項1乃至5の何れか1項に記載のタイヤが駆動されているときにタイヤの受ける老化度を表示する方法。
【請求項7】
タイヤの1つの箇所のところの少なくとも1つの局所温度測定値及び車両によって前記タイヤが駆動されているときに前記タイヤの受ける老化度の指標を求めるための前記温度への暴露時間の測定値の使用であって、前記タイヤのモデルを用いてこれら測定値を分析することによる使用。
【請求項8】
山掛けに関するタイヤの適合性を判定するための請求項7記載の少なくとも1つの温度測定値及び請求項7記載の前記温度への暴露時間の測定値の使用。
【請求項9】
車両の運転手に採用されるべき運転スタイルに関する情報を提供するための請求項7記載の少なくとも1つの温度測定値及び前記温度への暴露時間の測定値の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−506787(P2010−506787A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532770(P2009−532770)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060717
【国際公開番号】WO2008/046766
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】