説明

タイヤテスト装置

【課題】少なくとも一つのタイヤと接することが可能なレーンと、例えば少なくとも一つのレールの形をとる、このレーンに従う強制ガイド部とを備える、タイヤテストのためのタイヤテスト装置であって、タイヤテストが、可能な限り現実に近い条件のもと、しかしながら多彩で、簡易かつ正確に再現可能な基本条件でもって可能であるテスト装置を提供する。
【解決手段】この課題は、強制ガイド部5によりガイドされており、かつ、タイヤから独立して自律して駆動可能及び/又はブレーキ可能な可動テスト台2に特徴を有し、この可動テスト台2に少なくとも一つのタイヤが取付け可能であって、かつこの可動テスト台2が、可動テスト台2から独立しており自律している、駆動のための及び/又はブレーキのための装置を有することを特徴とする前記タイヤテスト装置によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのタイヤにより接触可能なレーンと、例えば少なくとも一つのレールの形をとる、このレーンに沿う強制ガイド部とからなるタイヤテスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のタイヤの特性をテストするために、これまでに様々な装置が提案されてきた。静的なテスト運転に対しては、タイヤをローラーまたはコンベア(Band)と接触させ、これらが制御可能な装置によって駆動可能であるので、特性が、タイヤが転がる際に検査可能であるというのが通常である。しかしながらコンベアもロールも、タイヤが目的に応じて車両で使用される実際の表面とはくらべることはできない。またテスト走行の際に装置の慣性にも縛りをうける。
【0003】
現実の走行レーンでのタイヤテストは、例えばタイヤを貨物トレーラーにまたは特別なタイヤテストトレーラーに取り付けることによって可能である。そのようなテストは、しかし、貨物車両のまたは牽引する車両のスペック上の拘束のため、全基本条件に関して制限され、更にその上、タイヤがテストされる、テスト走行の間の基礎部分のまたは表面状態の迅速な交換は不可能である。例えば特許文献1には、現実の道路を通って走行するテスト車両のタイヤテストが記載されている。
【0004】
現実の道路を運転されるテスト車両による全てのテスト走行に共通するのは、タイヤ自体に関する基本条件、つまり、その空気圧、キャンバー、トー等が、テスト走行の間ほとんど変更できないか、手間のかかる手段によってのみ変更可能であり、適切な調整または変更を一定に保ち、および再現するのは困難を伴ってのみ可能であるということである。
【0005】
特許文献2には、交差点の領域において適当な切り抜かれた部分(Ausschnitt)を持つガイドレールを有する、ベルヌーイのレムニスケート(Bernoulli-Lemniskate)(カッシーニの卵形線(Cassinische Kurve))の形のテストコースが開示されており、一方で特許文献3は、横からのせん断力のもとのタイヤの消耗を計測するためのまっすぐなテストコースを対象としている。その際、テスト車両はテストコース軸に対するある角度のもとガイドレールに固定して位置決めされており、車両駆動装置に駆動されて、コースの一方の端から他方へと移動する。その際、車両がストッパーに接触した際には、テスト装置の制御ユニットが車両を転換する。両テストコースの特別な点は、異なるテストタイヤに対して同一のテスト条件を保持する目的で、テスト車両が、テストコース上に存在するガイドレールまたはガイド軌道と、例えばローラー(Laufrolle)によって接続されているという点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願第102006026436号公開明細書
【特許文献2】スイス国特許第771497号明細書
【特許文献3】スイス国特許出願819609号公開明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、タイヤテストが、可能な限り現実に近い条件のもと、しかしながら多彩で、簡易かつ正確に再現可能な基本条件でもって可能であるテスト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題のために、強制ガイド部によりガイドされており、かつ、タイヤから独立して自律して駆動可能及び/又はブレーキ可能な可動テスト台に特徴を有し、この可動テスト台に少なくとも一つのタイヤが取付け可能であって、かつこの可動テスト台が、可動テスト台から独立しており自律している、駆動のための及び/又はブレーキのための装置を有することを特徴とするタイヤテスト装置が意図される。自律した可動テスト台を通じて、テスト車両によってよりもずっと多様なタイヤへの影響が、様々な負荷および形状を引き起こすために及ぼされうる。これによって、内容に富んでおりかつ再現可能なタイヤテストが、検査可能なパラメーターや基本条件の制限なく実施可能である。自律しており、可動テスト台から独立したブレーキユニットおよび駆動ユニットの作用によって、さらに高いフレキシビリティーがテスト走行の条件に対して与えられ、例えば現実に近い加速過程およびブレーキ過程がテスト走行に組み込まれることが可能である。
【0009】
可動テスト台が、タイヤを通じて駆動可能及び/又はブレーキ可能でること、および可動テスト台が、可動台速度に影響を与えるために適切な力を発生することを特徴とする本発明に係るタイヤテスト装置の別の実施例が、特に有利な方式にある。したがって基本的には、可動台における駆動・ブレーキユニットは、車輪における駆動・ブレーキユニットに対して反力を表わす。可動台は、このようにして車両を「シミュレート」し、真の車両よりも高いその独自の質量を駆動ユニットを通じて相殺する。このようにして簡単なマニューバーのほかにも、山における雪上での発進のような複雑なマニューバーも可能であり、ABSブレーキ過程も同様である。
【0010】
大きな労力なくタイヤを異なる走行レーン舗装面上でテストできるよう、本発明の有利な実施例では、レーンが異なる表面状態の領域を有する。これに加えて有利には、レーンが、長手方向において、相並んで位置する複数の領域であって、異なる表面構造を有する領域に区分されていることが意図されている。
【0011】
一つの同一のタイヤを大きな労力なく走行レーンの異なる舗装面上でテストできるよう、有利には、強制ガイド部における可動テスト台、または、タイヤのための取付け構造が、可動テスト台に対して及び/又はレーンに対して位置調節可能であることが意図されている。
【0012】
更に、タイヤテスト装置が、レーンの異なる表面状態を発生させるための装置、例えば散水装置を備えると、簡単な方法でかつできるだけ良く再現可能なタイヤテストが、走行レーンの様々な表面状態で実施可能であり、外部からの影響に依存することはない。
【0013】
以下に本発明を添付の図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るテスト装置の一部分の斜視図である。このテスト装置中に可動テスト台が存在する。
【図2】簡略断面図で表わした、本発明に係るタイヤテスト装置のレーン
【図3】本発明に係るタイヤテスト装置の例示的デザイン。上面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1による本発明に係るタイヤテスト装置の実施例において、テストするタイヤ1は、独立して駆動可能でありかつブレーキ可能な可動テスト台2に取付けられている。この可動テスト台2は、ベース構造または担持構造3、およびタイヤの取付け構造4から成り、この取付け構造は、好ましくはベース構造3に対して相対的に、特に走行方向を横切って、手動にてまたは自動的に位置調節可能である。可動テスト台2のベース構造3は、表されている例では、可動テスト台2の強制ガイド部を構成する2つのレール5に懸架され案内されている。これらレール5は、タイヤが接触するレーン6の鉛直上方に存在しており、タイヤが接触するレーン6に対していくらか側方にずらされていて、くぼみ状の担持構造7に懸架されている。このくぼみ状の担持構造はレーン6の側方で地面に体を支えている。可動テスト台2またはレーン6に対する相対的な他の位置決め部のように、他の方式の強制ガイド部もまた考えうる。
【0016】
図3の線A−Aに沿う断面を表す図2中において分かるとおり、レーン6は、地面にはめ込まれた基礎7、およびテストするタイヤによって本来接触される走行レーン8から成る。この走行レーン8は、表されている事例では、レーンの長手方向に、合い並んで配置されている三つの部分であって、異なる構造と、それにともなって異なる表面状態を有する三つの部分からなる。タイヤの可動テスト台2に対する適切な組み付け、またはタイヤ1のための組付け構造若しくは可動テスト台2の横方向位置調節によって、タイヤ1は、異なる舗装面タイプ(Belagstypen)9の各一つと接触する状態とされうる。
【0017】
長く持続するテスト走行のために、レーン6のデザインが長距離にわたって閉じた形状であると特に有利である。したがって、例えば、図3に表されているデザインが選択される。このデザインにおいては、二つのまっすぐかつ平行なレーン部分10が、基本的に半円形に丸められたレーン部分11と共に、閉じており、かつ基本的に長円形のテスト区間へと形成される。有利には、まっすぐなレーン部分10の一方から一つのレーン部分が分岐しており、このレーン部分が、準備およびメンテナンス領域12へと通じている。
【0018】
レーン6の全長にわたってか、または、所定の点に限って、これでもってレーン部分のおよび個々の表面領域の表面状態を変更することができる装置が設けられることが可能である。すなわち、例えば、散水装置、降雪装置、砂、砂利の導入装置などが設けられることが可能である。また、タイヤテストを凍結した走行レーン上で実施することができるよう、レーン6が、冷却装置を装備することも可能である。別の、特に現実に近いタイヤテストのために、様々な障害が設置可能である構造もまた設けることが可能である。場合によっては、レーン6がまた、もともと適切な方法で実施され、凹凸、長手方向および横断方向の段などを有するということも可能である。
【0019】
レーン6に分配されてか、または可動テスト台2に、好ましくは様々な計測装置およびセンサーが取り付けられている。これらは特に、ハイスピードカメラ、ステレオカメラまたは同様の光学計測装置であるか、音響装置を含むことも可能である。
【0020】
様々なタイヤテストのために、適切に適合された可動テスト台2が導入されることが可能であり、一方ではまた、ある程度調整可能なまたは適応可能な可動テスト台2も使用されることが可能である。タイヤ1のための駆動装置及び/又はブレーキ装置であって、可動テスト台2の駆動システムまたはブレーキシステムから独立しており自律して作用するため、現実に近いブレーキ過程をタイヤテスト走行に取り入れることができる駆動装置及び/又はブレーキ装置を有する可動テスト台2は、特に有利である。可動テスト台2は、もっぱらタイヤ1を通じて駆動可能及び/又はブレーキ可能ということもありうる。それゆえ、可動テスト台2は、可動テスト台2の速度に影響を与えるべく、定義可能な力を発生することができる。制御可能またはプログラム可能な、可動テスト台2における駆動ユニット/ブレーキユニットは、したがって、タイヤ1における駆動ユニット/ブレーキユニットに対する反力を発生することができる。可動テスト台は、テストされるタイヤ1が通常使用される車両を、このような方法で「シミュレート」し、その際、真の車両の質量よりも高い自身の独自の質量を、この組み込まれた駆動ユニットを通じて相殺する。よって、簡単なマニューバーの他、山における雪上での発進のような複雑なマニューバーも可能であり、ABSブレーキ過程もまた同様である。
【符号の説明】
【0021】
1 タイヤ
2 可動テスト台
3 ベース構造又は担持構造
4 取付け構造
5 レール
6 レーン
7 くぼみ状の担持構造
8 走行レーン
9 舗装面タイプ
10 まっすぐなレーン部分
11 半円形に丸められたレーン部分
12 準備およびメンテナンス領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤテスト装置であって、少なくとも一つのタイヤにより接触可能なレーン(6)と、例えば少なくとも一つのレールの形をとる、このレーンに沿う強制ガイド部(5)とからなるタイヤテスト装置において、
強制ガイド部(5)によりガイドされており、かつ、タイヤから独立して自律して駆動可能及び/又はブレーキ可能な可動テスト台(2)に特徴を有し、この可動テスト台(2)に少なくとも一つのタイヤが取付け可能であって、かつこの可動テスト台(2)が、可動テスト台(2)から独立しており自律している、駆動のための及び/又はブレーキのための装置を有することを特徴とする前記タイヤテスト装置。
【請求項2】
タイヤ(1)が、可動テスト台(2)によって駆動可能及び/又はブレーキ可能であり、可動テスト台(2)が、可動台速度に影響を与えるために適切な力を発生することを特徴とする請求項1に記載のタイヤテスト装置
【請求項3】
異なる表面状態の領域を有するレーン(6)に特徴を有する請求項1または2に記載のタイヤテスト装置。
【請求項4】
レーン(6)が、長手方向において、相並んで位置する複数の領域(9)であって、異なる表面構造を有する領域(9)に区分されていることを特徴とする請求項3に記載のタイヤテスト装置。
【請求項5】
強制ガイド部(5)における可動テスト台(2)、または、可動テスト台(2)におけるタイヤ(1)のための取付け構造(4)が、可動テスト台に対して及び/又はレーン(6)に対して位置調節可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤテスト装置。
【請求項6】
レーン(6)の異なる表面状態を発生させるための装置、例えば散水装置に特徴を有する請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤテスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−47943(P2011−47943A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188966(P2010−188966)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(398055255)アー・ファウ・エル・リスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (30)