説明

タイヤ回転式バーコード読取装置、タイヤ選別装置およびタイヤ回転式バーコード読取方法

【課題】タクトサイクルが改善されたタイヤ回転式バーコード読取装置およびタイヤ選別装置を提供し、さらに、タクトサイクルが改善されたタイヤ回転式バーコード読取方法を提供する。
【解決手段】タイヤTの移送中に、センタリング装置の下流側支点ローラ31BをタイヤTの移送方向と同方向に移動させることによりセンタリング装置を開状態として、ローラコンベア2上を横置き状態で移送されるタイヤTの内周縁を、各支点ローラ31A、31Bに当接させながらセンタリングを行い、その後、タイヤTを回転させ、バーコードリーダ6によりタイヤTに付されたバーコードBを読み取るタイヤ回転式バーコード読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに付されたバーコードからタイヤの識別情報を読み取ってタイヤを選別するために用いるタイヤ回転式バーコード読取装置、タイヤ選別装置およびタイヤ回転式バーコード読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造工程においては、一般的に、多種多様なタイヤが混在して移送されている。そのため、各タイヤの識別情報をタイヤ上にバーコードとして付すことが従来より行われており、例えば、特許文献1に示されるようなバーコードラベルなどが提案されている。
【0003】
そして、このようなバーコードを読み取る方法の1つとして、カメラ式バーコード読取装置による方法があった。しかし、カメラ式バーコード読取装置による読取方法を用いた場合には、タクトサイクルはタイヤ1本あたり約2秒と速いものの、当初の設備投資費用が大きく、また、装置を維持するために高額のメンテナンス費用やランニングコストを必要とするという問題点があった。さらに、装置を取り巻く環境に大きく影響されるという対環境面が弱いという問題点もあった。
【0004】
このような問題点を解決する方法として、タイヤ回転式バーコード読取装置による方法がある。ここで、従来のタイヤ回転式バーコード読取装置を用いたバーコード読取方法につき、図9〜図11を用いて以下に説明する。なお、図9、図10は従来のタイヤ回転式バーコード読取装置の概要を模式的に示した平面図ならびに側面図であり、図11は従来のタイヤ回転式バーコード読取装置におけるセンタリング装置の動作を説明する平面図である。
【0005】
図9、図10に示すように、従来のタイヤ回転式バーコード読取装置は、タイヤ識別用のバーコードBが付されたタイヤTを横置き状態で下流側(図9の白抜き矢印)に移送するコンベア91と、移送されるタイヤTを認識する光電管などのタイヤ認識装置(図示せず)と、コンベア91のバーコード読み取り可能位置の上方に配置された上流側支点ローラ92Aおよび下流側支点ローラ92Bを有するセンタリング装置94と、左右に二分割された分割コンベア95からなる回転装置96と、タイヤTのバーコードBを読み取るバーコードリーダ(図示せず)とを備えている。なお、上流側支点ローラ92Aおよび下流側支点ローラ92Bは、それぞれ、上流側シリンダ93Aおよび下流側シリンダ93Bにより回転装置96に対して昇降自在に配置され、さらに、上流側シリンダ93Aは、タイヤの移送方向と逆方向に往復動自在となるように配置されている。
【0006】
次に、装置の具体的な動作につき説明する。
タイヤ認識装置が移送されるタイヤTを認識すると、センタリング装置94は上流側支点ローラ92Aを下降させて移送中のタイヤTの内周縁内に挿入させる。下降した上流側支点ローラ92Aはタイヤストッパーとして働き、上流側支点ローラ92Aがタイヤの内周縁に当接した時点で、タイヤの移送を一旦停止させる。同時に、下流側支点ローラ92Bを下降させて移送中のタイヤTの内周縁内に挿入させる。
【0007】
その後、図11に示すように、上流側支点ローラ92AをタイヤTの移送方向とは逆の方向に移動させる(上流側支点ローラ92Aと下流側支点ローラ92Bとは開状態になる)。そして、下流側支点ローラ92BがタイヤTの内周縁に当接し、タイヤTが所定の位置に到達した時点で、タイヤTの移動が停止しセンタリングを完了する。次に、回転装置96の分割コンベア95を相互に逆方向に回転させることにより、停止したタイヤTを回転させ、バーコードリーダによりタイヤTに付されたバーコードBを読み取る。バーコードBの読み取りが完了した後は、上流側支点ローラ92AがタイヤTの移送方向に移動して下流側支点ローラ92Bと閉状態にされた後、両支点ローラ92A、92Bはコンベア91の上方に格納される。これにより、タイヤTは開放されて、下流側に搬出される。
【特許文献1】特開平7−266811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したタイヤ回転式バーコード読取装置による読取方法は、カメラ式バーコード読取装置による読取方法に比べ、安価に導入することができる。即ち、カメラ式バーコード読取装置に比べ、構成がシンプルであり、故障の発生する確率も低く、カメラ式バーコード読取装置のような定期保守も不要であり、メンテナンスに要する費用も少なくて済む。また、安価な市販の電子部品を用いることが可能であるため、安価に製造でき、予備品の確保も容易である。
【0009】
このようにカメラ式バーコード読取装置に比べ、経費面で好ましいタイヤ回転式バーコード読取装置であるが、従来のタイヤ回転式バーコード読取装置では、上記のように、移送中のタイヤを、上流側支点ローラがタイヤの内周縁に当接した後、コンベアの上流側に押し戻すことによりセンタリングを行っているため、タクトサイクルについては、カメラ式バーコード読取装置に比べタイヤ1本当たり約10秒と遅くなる問題があった。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、タクトサイクルが改善されたタイヤ回転式バーコード読取装置を提供することをその課題とする。また、そのタイヤ回転式バーコード読取装置が組み込まれたタイヤ選別装置を提供することを課題とする。さらに、タクトサイクルが改善されたタイヤ回転式バーコード読取方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係るタイヤ回転式バーコード読取装置は、
タイヤ識別用のバーコードが付されたタイヤを横置き状態で移送するコンベアと、
前記コンベアの幅方向中央部のバーコード読み取り可能位置で前記タイヤを停止させるセンタリング装置と、
前記センタリング装置により停止した前記タイヤを回転させる回転装置と、
前記回転装置により回転する前記タイヤの前記バーコードを読み取るバーコードリーダとを備え、
前記回転装置は、前記バーコード読み取り可能位置に配置された前記コンベアを前記タイヤの移送方向の左右に二分割してなる分割コンベアを有し、左右の前記分割コンベアの間に前記タイヤの移送方向に沿った隙間が形成され、左右の前記分割コンベアに前記タイヤを跨らせた状態で左右の前記分割コンベアを同方向に回転させて前記タイヤを移送し、かつ、左右の前記分割コンベアを相互に逆方向に回転させて前記タイヤを回転させるように構成され、
前記センタリング装置は、前記回転装置の前記隙間の上方または下方に昇降自在に配置された支点ローラを有し、前記支点ローラは前記隙間に沿った前記タイヤ移送方向の上流側および下流側に配置され、さらに下流側の前記支点ローラは前記タイヤの移送方向に往復動自在となるように配置され、
前記支点ローラを移送中の前記タイヤの内周縁内に挿入させると共に、下流側の前記支点ローラを前記タイヤの移送方向と同方向に移動させることにより、上流側および下流側の前記支点ローラを前記タイヤの内周縁に当接させながら前記タイヤのセンタリングを行い、所定の位置に前記タイヤを停止させることを特徴としている。
【0012】
本発明に係るタイヤ選別装置は、
前記のタイヤ回転式バーコード読取装置を備えたタイヤ選別装置であって、さらに、内径寸検知機構および次工程振り分け機構を備え、前記タイヤ回転式バーコード読取装置によるバーコード読取時、前記内径寸検知機構により前記タイヤの内径寸を測定し、その結果に基づいて前記次工程振り分け機構により前記タイヤの次工程を振り分けることを特徴としている。
【0013】
本発明に係るタイヤ回転式バーコード読取方法は、
前記のタイヤ回転式バーコード読取装置を用いて行うタイヤ回転式バーコード読取方法であって、
コンベアにより、タイヤ識別用のバーコードが付されたタイヤを横置き状態で移送する移送工程と、
センタリング装置により、前記支点ローラを移送中の前記タイヤの内周縁内に挿入させると共に、下流側の前記支点ローラを前記タイヤの移送方向と同方向に移動させてセンタリング装置を開状態にすることにより、上流側および下流側の前記支点ローラを前記タイヤの内周縁に当接させながら前記タイヤのセンタリングを行い、所定の位置に前記タイヤを停止させるセンタリング工程と、
回転装置により、前記センタリング装置により停止した前記タイヤを回転させる回転工程と、
バーコードリーダにより、回転する前記タイヤの前記バーコードを読み取るバーコード読み取り工程と、
下流側の前記支点ローラを前記タイヤの移送方向と逆方向に移動させ、前記支点ローラを前記タイヤの内周縁内から脱出させてセンタリング装置を閉状態にすることにより、前記支点ローラに当接させた前記タイヤを開放し、コンベアにより前記タイヤを搬出するタイヤ搬出工程とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、タクトサイクルが改善されたタイヤ回転式バーコード読取装置、およびタイヤ選別装置を提供することができる。さらに、タクトサイクルが改善されたタイヤ回転式バーコード読取方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0016】
A.第1の実施の形態
第1の実施の形態として、センタリング装置がローラコンベアの下方に配置されているタイヤ回転式バーコード読取装置およびこのような読取装置を用いたバーコード読取方法について説明する。
【0017】
1.タイヤ回転式バーコード読取装置の概要
図1は、本実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置の概要を模式的に示した斜視図である。図1において、ローラコンベア2は、複数のコンベアローラ21およびローラ駆動ベルト8を備えている。また、センタリング装置は、上流側支点ローラ31Aおよび下流側支点ローラ31Bを備えている。さらに、回転装置4は、複数の分割ローラ41およびローラ駆動ベルト9を備えた分割コンベア40を左右に備えている。そして、バーコードリーダ6は、支柱61に取り付けられている。
【0018】
タイヤ回転式バーコード読取装置1は、上記したローラコンベア2、センタリング装置、回転装置4、バーコードリーダ6、および図1には図示しないタイヤ認識装置を備えており、図示しない制御装置により各装置の動作が制御されている。
なお、各装置についての説明は後述する。
【0019】
2.タイヤ回転式バーコード読取方法の概要
はじめに、本実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置を用いたバーコード読取方法の概略は以下の通りである。なお、各工程についての説明は後述する。
図1において、バーコードBを付されたタイヤTは、ローラコンベア2上を横置き状態で矢印方向に移送される。タイヤTの移送(搬入)は、タイヤ認識装置により認識される。次に、タイヤTを、センタリング装置が、ローラコンベア2の幅方向中央部のバーコード読み取り可能位置に停止させる。停止したタイヤTは、回転装置4により回転する。そして、バーコードリーダ6により回転するタイヤからバーコードBが読み取られる。
【0020】
3.タイヤ回転式バーコード読取装置および読取方法の詳細
次に、本実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置および読取方法の詳細を、読取工程に従って説明する。
(1)移送工程
図2および図3は、タイヤ回転式バーコード読取装置におけるコンベア部近傍の概要を平面図および側面図として模式的に示したものである。図2、図3に示すように、ローラコンベア2はタイヤTの移送方向に列設された複数本のコンベアローラ21を備え、各コンベアローラ21は図示しない駆動モータおよび伝達手段(ローラ駆動ベルト8)により同一方向に回転している。また、詳しくは後述するが、ローラコンベア2の中間部に設けられた回転装置4を構成する左右の分割コンベア40の分割ローラ41も、ローラ駆動ベルト8、9により、コンベアローラ21と同方向に回転している。
これにより、タイヤTは、矢印方向に移送される。
【0021】
移送されたタイヤTは、タイヤ認識装置5により認識される。タイヤ認識装置5としては、特に限定されず、例えば光電管を用いることができる。タイヤTを認識した信号は、センタリング装置3に出力される。
【0022】
(2)センタリング工程
図2、図3に示すように、センタリング装置3は、2対の支点ローラ(上流側支点ローラ31Aおよび下流側支点ローラ31B)を備えており、支点ローラ31A、31Bにおける各々の支点ローラはローラコンベア2のセンターラインで対称の位置に配置されている。そして、上流側支点ローラ31Aおよび下流側支点ローラ31Bには、それぞれシリンダ32A、32Bが設けられている。シリンダ32A、32Bにより、支点ローラ31A、31Bは自在に上下動して、隙間Qにおいて、タイヤTの内周縁内に挿入したり、タイヤTの内周縁内から脱出したりするよう構成されている。
【0023】
図4および図5は、センタリング装置3の概要を模式的に示す平面図および側面図である。下流側支点ローラ31Bのシリンダ32Bは、取り付け部材35を介して、左右一対のガイドバー33に摺動自在に取り付けられ、シリンダ34によってローラコンベア2の移送方向に沿って往復動できるように構成されている。なお、図4には、後述する内径寸検知センサ71が示されている。
【0024】
次いで、センタリング装置3の具体的な動作につき、詳しく説明する。
タイヤTを認識した信号を受信することにより、支点ローラ31A、31Bが、先端がタイヤTの下側ビードに当接できる高さまで上昇し、タイヤTの内周縁内に挿入される。このとき、支点ローラ31A、31BのどちらもタイヤTの内周縁とはまだ当接していない(図2に示された状態)。
【0025】
支点ローラ31A、31Bの挿入後もタイヤTは下流側に向けて移送される。この移送中に、下流側支点ローラ31Bが下流側に向けて移動する(上流側支点ローラ31Aはその位置で停止している)。即ち、センタリング装置3を開状態にする。
【0026】
そして、タイヤTの上流側の内周縁に上流側支点ローラ31Aが当接されると同時またはわずかな時間に、下流側支点ローラ31BもタイヤTの下流側の内周縁に当接されて、タイヤTのセンタリングが行われる。それと同時にタイヤTは回転装置4上において停止する。この様子を図6に示す。なお、本実施の形態においては、上流側および下流側支点ローラは各々1対であるが、各々が1つの場合には、下流側支点ローラがタイヤTの下流側の内周縁に当接した後も下流側支点ローラの移動は継続し、タイヤTがローラコンベアの幅方向中央部に移動した時点でタイヤTのセンタリングが完了する。
【0027】
このように、本実施の形態においては、下流側支点ローラをタイヤの移送中に移送方向と同方向に移動させているため、短時間で支点ローラをタイヤの内周縁に当接させながらタイヤを所定の位置に停止させることができ、タクトサイクルを改善することができる。
【0028】
なお、本実施の形態においては、センタリング装置がローラコンベアの下方に配置されており、センタリング装置をローラコンベアの上方に配置する場合に比べて、ローラコンベアとセンタリング装置との距離が短いため、支点ローラの昇降ストロークを小さくすることができる。また、支点ローラの上昇をタイヤTの下側ビードに当接できる高さまでとしているため、支点ローラの昇降ストロークは、さらに小さくすることができる。その結果、タクトサイクルをより改善することができる。
【0029】
上流側支点ローラと下流側支点ローラとは、別々にタイヤの内周縁内に挿入してもよいが、双方を同時に挿入してセンタリング装置の開動作を行うと、タクトサイクルをさらに改善することができ好ましい。
【0030】
また、上流側および下流側の各支点ローラのそれぞれは1つであってもよいが、本実施の形態に示されるように、一対の支点ローラが配置されていることが好ましい。この場合、次工程の回転工程において、支点ローラがタイヤの内周縁に当接する支点を分散させることができ、回転時の安定性を向上させることができる。
【0031】
(3)回転工程
図2に示すように、回転装置4は、ローラコンベア2の中間部に設けられており、ローラコンベア2の幅方向中央部の左右に配置された分割コンベア40を備えている。分割コンベア40は複数本の分割ローラ41により構成されている。これにより、分割コンベア40の間にはローラコンベア2の移送方向に沿った隙間Qが形成される。
【0032】
一方の分割コンベア40の分割ローラ41は、コンベアローラ21を駆動させる駆動モータおよびローラ駆動ベルト8により、コンベアローラ21と同じ方向に回転する。そして、もう一方の分割コンベア40の分割ローラ41は、コンベアローラ21を駆動させる駆動モータとは異なる駆動モータおよびローラ駆動ベルト9により、コンベアローラ21と同方向あるいは逆方向どちらにも回転できる。図7に示すように、左右の分割ローラ41が相互に逆方向に回転する(白抜き矢印の方向)ことにより、回転装置4上に停止したタイヤTが矢印で示す方向に回転する。
【0033】
なお、左右の分割コンベアの分割ローラの径は、コンベアローラの径よりも大きく設計されていることが好ましい。この場合、タイヤは分割コンベアにのみ接触した状態で回転させることができ、摩擦によるタイヤTの回転不良を抑制することができる。
【0034】
(4)バーコード読み取り工程
図1に示されるように、バーコードリーダ6は、ローラコンベア2のサイドの支柱61に下向きにして取り付けられて、回転するタイヤTのバーコードBを読み取る。バーコードリーダ6としては、特に限定はされず、市販の固定式バーコードリーダ、例えば、ラスタースキャンタイプのバーコードリーダ等を用いることができる。バーコードBを読み取ることにより、タイヤTが識別される。
【0035】
なお、本実施の形態においては、バーコードリーダは支柱から下向きに設置しているが、タイヤのバーコードが読み取れる箇所であれば、ローラコンベア2の下方から上向きに設置しても、さらにはローラコンベア2の上下両側に設置しても良い。また、上方あるいは下方にバーコードリーダを複数設置してバーコードの読み取りを行っても良い。複数のバーコードリーダを設置した場合には、バーコードBの読取速度が速くなり、タクトサイクルをさらに短縮することが可能となる。
【0036】
(5)タイヤ搬出工程
バーコードBの読み取りが完了した後は、センタリング装置3の下流側支点ローラ31Bを復動させてセンタリング装置3を閉状態にし、さらに支点ローラ31A、31Bを降下させて、タイヤTを開放させる。その後、回転装置4の左右の分割ローラ41を同方向(タイヤTの移送方向)に回転させ、タイヤTをローラコンベア2で下流側に移送して、次工程へと搬出する。
【0037】
4.タクトサイクルの改善について
本実施の形態においては、前記の通り、下流側支点ローラをタイヤの移送中に移送方向と同方向に移動させているため、短時間で支点ローラをタイヤの内周縁に当接させながらタイヤを所定の位置に停止させることができ、タクトサイクルを改善することができる。具体的には、従来のタイヤ1本あたり約10秒であったタクトサイクルを約5秒に短縮することができる。
【0038】
B.第2の実施の形態
本実施の形態は、センタリング装置がローラコンベアの上方に配置されているタイヤ回転式バーコード読取装置の場合である。このようなタイヤ回転式バーコード読取装置の一例を図8に示す。本実施に形態においては、支点ローラ31A、31Bは、先端がタイヤTの上側ビードに当接できる高さまで下降して、センタリング動作が行われ、バーコード読取後は、支点ローラ31A、31Bが上昇してタイヤTが開放される。その他の工程については、上記した第1の実施の形態と同様である。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の理由によりタクトサイクルを改善することができる。
【0039】
C.第3の実施の形態
本実施の形態は、前記の各実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置と、内径寸検知機構、および次工程振り分け機構を備えたタイヤ選別装置の場合である。
本実施の形態においては、図4に示すように、タイヤの移送方向に沿って複数の内径寸検知センサ71を配置して内径寸検知機構7を構成させている。そして、下流側支点ローラ31Bの停止位置を内径寸検知センサ71で検知することにより、タイヤTの内径寸を測定することができるため、バーコードの読み取り時に、タイヤの内径寸も測定することができる。そして、内径寸検知機構により測定された結果に基づいて、次工程が振り分けられる。
【0040】
本実施の形態においては、内径寸検知機構を上記のような極めて簡便な構成としたため、コストの大幅な上昇を抑制することができる。そして、バーコードを読み取ることにより得られた識別情報と、内径寸検知機構により測定されたタイヤの内径寸の情報とを組み合わせることにより、移送される多種多様なタイヤをより細かく選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の1実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置の概要を示す斜視図である。
【図2】本発明の1実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置におけるコンベア部近傍の概要を示す平面図である。
【図3】本発明の1実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置におけるコンベア部近傍の概要を示す側面図である。
【図4】本発明の1実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置におけるセンタリング装置の概要を示す平面図である。
【図5】本発明の1実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置におけるセンタリング装置の概要を示す側面図である。
【図6】本発明の1実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置におけるセンタリングを説明する平面図である。
【図7】本発明の1実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置における回転工程を説明する平面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るタイヤ回転式バーコード読取装置におけるコンベア部近傍の概要を示す側面図である。
【図9】従来のタイヤ回転式バーコード読取装置の概要を示す平面図である。
【図10】従来のタイヤ回転式バーコード読取装置の概要を示す側面図である。
【図11】従来のタイヤ回転式バーコード読取装置におけるセンタリング装置の動作を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0042】
T タイヤ
B バーコード
Q 隙間
1 タイヤ回転式バーコード読取装置
2 ローラコンベア
3、94 センタリング装置
4、96 回転装置
5 タイヤ認識装置
6 バーコードリーダ
7 内径寸検知機構
8、9 ローラ駆動ベルト
21 コンベアローラ
31A、92A 上流側支点ローラ
31B、92B 下流側支点ローラ
32A、93A 上流側シリンダ
32B、93B 下流側シリンダ
33 ガイドバー
34 シリンダ
35 取り付け部材
40、95 分割コンベア
41 分割ローラ
61 支柱
71 内径寸検知センサ
91 コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ識別用のバーコードが付されたタイヤを横置き状態で移送するコンベアと、
前記コンベアの幅方向中央部のバーコード読み取り可能位置で前記タイヤを停止させるセンタリング装置と、
前記センタリング装置により停止した前記タイヤを回転させる回転装置と、
前記回転装置により回転する前記タイヤの前記バーコードを読み取るバーコードリーダ
とを備え、
前記回転装置は、前記バーコード読み取り可能位置に配置された前記コンベアを前記タイヤの移送方向の左右に二分割してなる分割コンベアを有し、左右の前記分割コンベアの間に前記タイヤの移送方向に沿った隙間が形成され、左右の前記分割コンベアに前記タイヤを跨らせた状態で左右の前記分割コンベアを同方向に回転させて前記タイヤを移送し、かつ、左右の前記分割コンベアを相互に逆方向に回転させて前記タイヤを回転させるように構成され、
前記センタリング装置は、前記回転装置の前記隙間の上方または下方に昇降自在に配置された支点ローラを有し、前記支点ローラは前記隙間に沿った前記タイヤ移送方向の上流側および下流側に配置され、さらに下流側の前記支点ローラは前記タイヤの移送方向に往復動自在となるように配置され、
前記支点ローラを移送中の前記タイヤの内周縁内に挿入させると共に、下流側の前記支点ローラを前記タイヤの移送方向と同方向に移動させることにより、上流側および下流側の前記支点ローラを前記タイヤの内周縁に当接させながら前記タイヤのセンタリングを行い、所定の位置に前記タイヤを停止させることを特徴とするタイヤ回転式バーコード読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤ回転式バーコード読取装置を備えたタイヤ選別装置であって、さらに、内径寸検知機構および次工程振り分け機構を備え、前記タイヤ回転式バーコード読取装置によるバーコード読取時、前記内径寸検知機構により前記タイヤの内径寸を測定し、その結果に基づいて前記次工程振り分け機構により前記タイヤの次工程を振り分けることを特徴とするタイヤ選別装置。
【請求項3】
請求項1に記載のタイヤ回転式バーコード読取装置を用いて行うタイヤ回転式バーコード読取方法であって、
コンベアにより、タイヤ識別用のバーコードが付されたタイヤを横置き状態で移送する移送工程と、
センタリング装置により、前記支点ローラを移送中の前記タイヤの内周縁内に挿入させると共に、下流側の前記支点ローラを前記タイヤの移送方向と同方向に移動させてセンタリング装置を開状態にすることにより、上流側および下流側の前記支点ローラを前記タイヤの内周縁に当接させながら前記タイヤのセンタリングを行い、所定の位置に前記タイヤを停止させるセンタリング工程と、
回転装置により、前記センタリング装置により停止した前記タイヤを回転させる回転工程と、
バーコードリーダにより、回転する前記タイヤの前記バーコードを読み取るバーコード読み取り工程と、
下流側の前記支点ローラを前記タイヤの移送方向と逆方向に移動させ、前記支点ローラを前記タイヤの内周縁内から脱出させてセンタリング装置を閉状態にすることにより、前記支点ローラに当接させた前記タイヤを開放し、コンベアにより前記タイヤを搬出するタイヤ搬出工程とを有することを特徴とするタイヤ回転式バーコード読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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