説明

タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

【課題】耐摩耗性、耐疲労性(耐屈曲疲労性)、耐熱性及び低燃費性をバランスよく向上できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】下記式(I)
[化1]


(式(I)において、Aは炭素数1〜15の炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル置換アミノ基、アラルキル置換アミノ基、又は環状アミノ基を表す。nは1〜12の整数を表す。x及びxは、同一若しくは異なって、1〜12の整数を表す。)で表される化合物を含み、上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=1の化合物の含有量が2質量%以上、n=2の化合物の含有量が2質量%以上、n=3の化合物の含有量が2質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等の各種ゴム製品には、耐熱性、低燃費性、耐摩耗性等、種々の性能が要求され、これらの性能を確保するため、従来より様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、各種ゴム製品に用いられる加硫ゴムの耐熱性向上を図るため、電子線(EV)加硫を行うことやテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)等のサルファードナー加硫剤を配合することによってモノスルフィド構造が多い架橋構造を作製することが知られている。しかし、このようなモノスルフィド架橋構造では、ポリマー分子の運動性が拘束されるため、耐摩耗性が大きく低下してしまうという問題がある。
【0004】
一方、コンベンショナルキュアと呼ばれるポリスルフィド架橋構造では、優れた耐摩耗性が得られる一方、S−S結合が熱的に弱いため、一般に耐熱性に劣ることが分かっている。このように、耐摩耗性及び耐熱性を両立すること、更には低燃費性をも両立することは非常に困難であり、耐摩耗性、耐熱性及び低燃費性のすべての性能を充分に満足させるゴム組成物は未だに得られていないのが現状である。
【0005】
特許文献1には、天然ゴム及び/又はイソプレンゴム、エポキシ化天然ゴム、硫黄並びに1,6−ビス(N,N−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等のリバージョン防止剤からなるゴム組成物を使用することで、リバージョン及び熱老化によるゴム物性の低下を抑制し、低燃費性及び耐摩耗性を向上できることが開示されている。しかしながら、耐摩耗性、耐熱性及び低燃費性をバランス良く高めるという点については、未だに改善の余地を残している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−45471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記課題を解決し、耐摩耗性、耐疲労性(耐屈曲疲労性)、耐熱性及び低燃費性をバランスよく向上できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記式(I)
【化1】

(式(I)において、Aは炭素数1〜15の炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル置換アミノ基、アラルキル置換アミノ基、又は環状アミノ基を表す。nは1〜12の整数を表す。x及びxは、同一若しくは異なって、1〜12の整数を表す。)で表される化合物を含み、上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=1の化合物の含有量が2質量%以上、n=2の化合物の含有量が2質量%以上、n=3の化合物の含有量が2質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0009】
上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=2以下の化合物の含有量が50質量%以上、x及びx=1の化合物の含有量が80質量%以上、x及びx=2の化合物の含有量が10質量%以上であることが好ましい。
【0010】
上記環状アミノ基が下記式(II)で表される基であることが好ましい。
【化2】

(式(II)において、Rは、ヘテロ原子を含む炭素数1〜15の炭化水素基であり、ヘテロ原子を含む官能基及び/又は芳香族置換基を有してもよい。)
【0011】
上記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、充填剤を20〜150質量部、上記式(I)で表される化合物を0.3〜20質量部含むことが好ましい。
【0012】
上記ゴム組成物は、上記充填剤として、シリカ及び/又はカーボンブラックを含むことが好ましい。
【0013】
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記式(I)で表される化合物(特定構造を持つ化合物)を所定の割合で配合したタイヤ用ゴム組成物であるので、該ゴム組成物をタイヤ部材に使用することにより、耐摩耗性、耐疲労性(耐屈曲疲労性)、耐熱性及び低燃費性がバランスよく優れた空気入りタイヤを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記式(I)で表される化合物(特定構造を持つ化合物)を含む。加硫剤として作用する特定構造を持つ化合物を配合していることから、加硫により得られた加硫ゴム組成物において、従来困難であった耐熱性、耐摩耗性、耐疲労性(耐屈曲疲労性)を良好に両立することができる。また、同時に良好な低燃費性も得ることができるので、本発明では、耐摩耗性、耐疲労性(耐屈曲疲労性)、耐熱性及び低燃費性の性能をバランス良く向上することが可能である。更に、上記式(I)で表される化合物を所定の割合で配合しているため、該化合物を単独で配合した場合よりも、各性能の改善効果を高めることができる。
【0016】
従来から、加硫剤として硫黄が使用されている。この場合には、スルフィド結合(ポリスルフィド結合、モノスルフィド結合)によりゴム成分が架橋されることになる。ポリスルフィド結合は、熱により結合が切れやすく、耐熱性が低いという問題があった。また、スルフィド結合の長さが短い(例えば、モノスルフィド結合)場合には、ポリマーネットワークの柔軟性が乏しく、力(応力)が集中し、疲労によりスルフィド結合が切れやすいという問題があった。
一方、上記式(I)で表される化合物を加硫剤として用いると、上記式(I)で表される化合物中の構造−(Sx−A−Sx−により、ゴム成分が架橋され、該構造はポリスルフィド結合よりも結合が強いため、熱により結合が切れにくく、耐熱性を向上できるものと推測される。また、スルフィド結合の長さが短い(例えば、モノスルフィド結合)場合よりも、架橋点間の距離を長くすることができ、フレキシブルな架橋を実現できるものと推測される。そのため、ポリマーネットワークの柔軟性に富み、さらに、応力を分散でき、結合が切れにくいため、耐疲労性(耐屈曲疲労性)、耐摩耗性を向上できるものと推測される。
【0017】
本発明で使用できるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、グリップ性能及び耐摩耗性がバランスよく得られるという理由からNR、BR、SBRが好ましく、NR及びSBRを併用することがより好ましい。
【0018】
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。
【0019】
SBRのスチレン含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。15質量%未満であると、ウェットグリップ性能が低下する傾向がある。また、上記スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。50質量%を超えると、転がり抵抗が増大してしまう傾向がある。
【0020】
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。40質量%未満であると、十分な耐熱性が得られない傾向がある。また、SBRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、転がり抵抗が増大してしまう傾向がある。
【0021】
NRとしては、特に限定されず、RSS♯3、TSR20などのゴム工業において一般的なものを使用することができる。
【0022】
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、十分な耐摩耗性が得られない傾向がある。また、NRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。60質量%を超えると、耐熱性が低下してしまう傾向がある。
【0023】
本発明では、下記式(I)で表される化合物が加硫剤として使用される。
これにより、耐摩耗性、耐疲労性(耐屈曲疲労性)、耐熱性及び低燃費性の性能をバランス良く向上することが可能である。更に、本発明では、該化合物を2種以上使用しているため、これらの性能の改善効果を高めることができる。
なお、該化合物は、各種ゴム製品に使用可能であるが、上述の性能をバランス良く改善できる点から、タイヤ用ゴム組成物に好適に使用できる。
【化3】

(式(I)において、Aは炭素数1〜15の炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル置換アミノ基、アラルキル置換アミノ基、又は環状アミノ基を表す。nは1〜12の整数を表す。x及びxは、同一若しくは異なって、1〜12の整数を表す。)
【0024】
上記式(I)で表される化合物中のAの炭素数は、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることが更に好ましい。炭素数が1未満であると、耐熱性及び耐摩耗性の向上効果が充分に得られないおそれがある。また、Aの炭素数は、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、8以下であることが更に好ましい。炭素数が15を超えると、コストが高くなる傾向がある。
【0025】
Aの炭化水素基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基等のアルキレン基等が挙げられる。
【0026】
本明細書において、アルキル置換アミノ基とは、アミノ基に含まれる水素原子がアルキル基により置換されたアミノ基(モノアルキル置換アミノ基、ジアルキル置換アミノ基)をいい、ジアルキル置換アミノ基が好ましい。なお、アルキル基には、シクロアルキル基も含まれる。
【0027】
及びRのアルキル置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジウンデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジトリデシルアミノ基、ジテトラデシルアミノ基、ジペンタデシルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘプチルアミノ基、ジシクロオクチルアミノ基、ジシクロノニルアミノ基、N,N−メチルエチルアミノ基、N,N−メチルプロピルアミノ基、N,N−メチルブチルアミノ基、N,N−エチルプロピルアミノ基、N,N−エチルブチルアミノ基、N,N−エチルオクチルアミノ基、N,N−メチルシクロペンチルアミノ基、N,N−メチルシクロヘキシルアミノ基、N,N−メチルヘプチルアミノ基、N,N−エチルシクロペンチルアミノ基、N,N−エチルシクロヘキシルアミノ基、N,N−プロピルシクロペンチルアミノ基、N,N−プロピルシクロヘキシルアミノ基、N,N−ブチルシクロペンチルアミノ基、N,N−ブチルシクロヘキシルアミノ基等が挙げられる。
【0028】
本明細書において、アラルキル置換アミノ基とは、アミノ基に含まれる水素原子がアラルキル基により置換されたアミノ基(モノアラルキル置換アミノ基、ジアラルキル置換アミノ基)をいい、ジアラルキル置換アミノ基が好ましい。
【0029】
及びRのアラルキル置換アミノ基としては、例えば、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ジトリチルアミノ基等が挙げられる。また、上述のアルキル置換アミノ基中のアルキル基にフェニル基などのアリール基が結合した基であってもよい。
【0030】
本明細書において、環状アミノ基とは、環内に1以上の窒素原子を有する環状のアミノ基をいう。環状アミノ基は、ヘテロ原子を含む官能基及び/又は芳香族置換基を有してもよい。
【0031】
本明細書において、ヘテロ原子を含む官能基とは、炭素原子以外の原子(例えば、酸素原子、窒素原子等)を含む官能基であり、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アセチル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。
【0032】
また、本明細書において、芳香族置換基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等;が挙げられる。
【0033】
及びRの環状アミノ基としては、例えば、ピロリジル基、3−メチルピロリジル基、3−エチルピロリジル基、3−フェニルピロリジル基、3−ヒドロキシピロリジル基、2−メチルピロリジル基、2−エチルピロリジル基、2−フェニルピロリジル基、2−ヒドロキシピロリジル基、ピローリル基、3−アセチルピローリル基、3−メチルピローリル基、3−エチルピローリル基、3−ブチルピローリル基、2−アセチルピローリル基、2−メチルピローリル基、2−エチルピローリル基、2−ブチルピローリル基、イミダゾリル基、2−メチルイミダゾリル基、2−エチルイミダゾリル基、2−プロピルイミダゾリル基、2−ブチルイミダゾリル基、2−アセチルイミダゾリル基、2−フェニルイミダゾリル基、2−ベンジルイミダゾリル基、2−ヒドロキシルイミダゾリル基、2−アミノイミダゾリル基、2−クロロイミダゾリル基、2−ブロモイミダゾリル基、4−メチルイミダゾリル基、4−エチルイミダゾリル基、4−プロピルイミダゾリル基、4−ブチルイミダゾリル基、4−アセチルイミダゾリル基、4−フェニルイミダゾリル基、4−ベンジルイミダゾリル基、4−ヒドロキシルイミダゾリル基、4−アミノイミダゾリル基、4−クロロイミダゾリル基、4−ブロモイミダゾリル基、5−メチルイミダゾリル基、5−エチルイミダゾリル基、5−プロピルイミダゾリル基、5−ブチルイミダゾリル基、5−アセチルイミダゾリル基、5−フェニルイミダゾリル基、5−ベンジルイミダゾリル基、5−ヒドロキシルイミダゾリル基、5−アミノイミダゾリル基、5−クロロイミダゾリル基、5−ブロモイミダゾリル基、2,4−ジヒドロイミダゾリル基、2,5−ジヒドロイミダゾリル基、ピラゾリル基、5−メチルピラゾリル基、5−エチルピラゾリル基、5−プロピルピラゾリル基、5−ブチルピラゾリル基、5−アセチルピラゾリル基、5−フェニルピラゾリル基、5−ベンジルピラゾリル基、5−ヒドロキシルピラゾリル基、5−アミノピラゾリル基、5−クロロピラゾリル基、5−ブロモピラゾリル基、4−メチルピラゾリル基、4−エチルピラゾリル基、4−プロピルピラゾリル基、4−ブチルピラゾリル基、4−アセチルピラゾリル基、4−フェニルピラゾリル基、4−ベンジルピラゾリル基、4−ヒドロキシルピラゾリル基、4−アミノピラゾリル基、4−クロロピラゾリル基、4−ブロモピラゾリル基、3−メチルピラゾリル基、3−エチルピラゾリル基、3−プロピルピラゾリル基、3−ブチルピラゾリル基、3−アセチルピラゾリル基、3−フェニルピラゾリル基、3−ベンジルピラゾリル基、3−ヒドロキシルピラゾリル基、3−アミノピラゾリル基、3−クロロピラゾリル基、3−ブロモピラゾリル基、3,4−ジヒドロピラゾリル基、4,5−ジヒドロピラゾリル基、ピペリジニル基、2−メチルピペリジニル基、2−エチルピペリジニル基、2−プロピルピペリジニル基、2−ブチルピペリジニル基、2−アセチルピペリジニル基、2−フェニルピペリジニル基、2−ベンジルピペリジニル基、2−ヒドロキシルピペリジニル基、2−アミノピペリジニル基、2−クロロピペリジニル基、2−ブロモピペリジニル基、3−メチルピペリジニル基、3−エチルピペリジニル基、3−プロピルピペリジニル基、3−ブチルピペリジニル基、3−アセチルピペリジニル基、3−フェニルピペリジニル基、3−ベンジルピペリジニル基、3−ヒドロキシルピペリジニル基、3−アミノピペリジニル基、3−クロロピペリジニル基、3−ブロモピペリジニル基、4−メチルピペリジニル基、4−エチルピペリジニル基、4−プロピルピペリジニル基、4−ブチルピペリジニル基、4−アセチルピペリジニル基、4−フェニルピペリジニル基、4−ベンジルピペリジニル基、4−ヒドロキシルピペリジニル基、4−アミノピペリジニル基、4−クロロピペリジニル基、4−ブロモピペリジニル基、2,3−ジヒドロピペリジニル基、3,4−ジヒドロキシルピペリジニル基、ピペラジニル基、N−メチルピペラジニル基、2−メチルピペラジニル基、2−エチルピペラジニル基、2−プロピルピペラジニル基、2−ブチルピペラジニル基、2−アセチルピペラジニル基、2−フェニルピペラジニル基、2−ベンジルピペラジニル基、2−ヒドロキシルピペラジニル基、2−アミノピペラジニル基、2−クロロピペラジニル基、2−ブロモピペラジニル基、3−メチルピペラジニル基、3−エチルピペラジニル基、3−プロピルピペラジニル基、3−ブチルピペラジニル基、3−アセチルピペラジニル基、3−フェニルピペラジニル基、3−ベンジルピペラジニル基、3−ヒドロキシルピペラジニル基、3−アミノピペラジニル基、3−クロロピペラジニル基、3−ブロモピペラジニル基、2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−メチル−ピペラジニル基、N−メチル−2−メチルピペラジニル基、N−メチル−2−エチルピペラジニル基、N−メチル−2−プロピルピペラジニル基、N−メチル−2−ブチルピペラジニル基、N−メチル−2−アセチルピペラジニル基、N−メチル−2−フェニルピペラジニル基、N−メチル−2−ベンジルピペラジニル基、N−メチル−2−ヒドロキシルピペラジニル基、N−メチル−2−アミノピペラジニル基、N−メチル−2−クロロピペラジニル基、N−メチル−2−ブロモピペラジニル基、N−メチル−3−メチルピペラジニル基、N−メチル−3−エチルピペラジニル基、N−メチル−3−プロピルピペラジニル基、N−メチル−3−ブチルピペラジニル基、N−メチル−3−アセチルピペラジニル基、N−メチル−3−フェニルピペラジニル基、N−メチル−3−ベンジルピペラジニル基、N−メチル−3−ヒドロキシルピペラジニル基、N−メチル−3−アミノピペラジニル基、N−メチル−3−クロロピペラジニル基、N−メチル−3−ブロモピペラジニル基、N−メチル−2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−エチル−ピペラジニル基、N−エチル−2−メチルピペラジニル基、N−エチル−2−エチルピペラジニル基、N−エチル−2−プロピルピペラジニル基、N−エチル−2−ブチルピペラジニル基、N−エチル−2−アセチルピペラジニル基、N−エチル−2−フェニルピペラジニル基、N−エチル−2−ベンジルピペラジニル基、N−エチル−2−ヒドロキシルピペラジニル基、N−エチル−2−アミノピペラジニル基、N−エチル−2−クロロピペラジニル基、N−エチル−2−ブロモピペラジニル基、N−エチル−3−メチルピペラジニル基、N−エチル−3−エチルピペラジニル基、N−エチル−3−プロピルピペラジニル基、N−エチル−3−ブチルピペラジニル基、N−エチル−3−アセチルピペラジニル基、N−エチル−3−フェニルピペラジニル基、N−エチル−3−ベンジルピペラジニル基、N−エチル−3−ヒドロキシルピペラジニル基、N−エチル−3−アミノピペラジニル基、N−エチル−3−クロロピペラジニル基、N−エチル−3−ブロモピペラジニル基、2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−フェニル−ピペラジニル基、N−フェニル−2−メチルピペラジニル基、N−フェニル−2−エチルピペラジニル基、N−フェニル−2−プロピルピペラジニル基、N−フェニル−2−ブチルピペラジニル基、N−フェニル−2−アセチルピペラジニル基、N−フェニル−2−フェニルピペラジニル基、N−フェニル−2−ベンジルピペラジニル基、N−フェニル−2−ヒドロキシルピペラジニル基、N−フェニル−2−アミノピペラジニル基、N−フェニル−2−クロロピペラジニル基、N−フェニル−2−ブロモピペラジニル基、N−フェニル−3−メチルピペラジニル基、N−フェニル−3−エチルピペラジニル基、N−フェニル−3−プロピルピペラジニル基、N−フェニル−3−ブチルピペラジニル基、N−フェニル−3−アセチルピペラジニル基、N−フェニル−3−フェニルピペラジニル基、N−フェニル−3−ベンジルピペラジニル基、N−フェニル−3−ヒドロキシルピペラジニル基、N−フェニル−3−アミノピペラジニル基、N−フェニル−3−クロロピペラジニル基、N−フェニル−3−ブロモピペラジニル基、N−フェニル−2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−ベンゾイル−ピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−メチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−エチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−プロピルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−ブチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−アセチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−フェニルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−ベンジルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−ヒドロキシルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−アミノピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−クロロピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−ブロモピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−メチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−エチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−プロピルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−ブチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−アセチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−フェニルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−ベンジルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−ヒドロキシルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−アミノピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−クロロピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−ブロモピペラジニル基、N−ベンゾイル−2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−アセチルフェニルピペラジニル基、テトラヒドロキノリノ基、テトラヒドロイソキノリノ基、スクシンイミジル基、モルホリル基等が挙げられる。
【0034】
及びRとしては、上記アルキル置換アミノ基、アラルキル置換アミノ基、環状アミノ基のなかでも、イミダゾリル基、2−メチルイミダゾリル基、2−エチルイミダゾリル基、2−プロピルイミダゾリル基、2−ブチルイミダゾリル基、2−アセチルイミダゾリル基、2−フェニルイミダゾリル基、2−ベンジルイミダゾリル基、2−ヒドロキシルイミダゾリル基、2−アミノイミダゾリル基、2−クロロイミダゾリル基、2−ブロモイミダゾリル基、4−メチルイミダゾリル基、4−エチルイミダゾリル基、4−プロピルイミダゾリル基、4−ブチルイミダゾリル基、4−アセチルイミダゾリル基、4−フェニルイミダゾリル基、4−ベンジルイミダゾリル基、4−ヒドロキシルイミダゾリル基、4−アミノイミダゾリル基、4−クロロイミダゾリル基、4−ブロモイミダゾリル基、5−メチルイミダゾリル基、5−エチルイミダゾリル基、5−プロピルイミダゾリル基、5−ブチルイミダゾリル基、5−アセチルイミダゾリル基、5−フェニルイミダゾリル基、5−ベンジルイミダゾリル基、5−ヒドロキシルイミダゾリル基、5−アミノイミダゾリル基、5−クロロイミダゾリル基、5−ブロモイミダゾリル基、2,4−ジヒドロイミダゾリル基、2,5−ジヒドロイミダゾリル基、ピラゾリル基、5−メチルピラゾリル基、5−エチルピラゾリル基、5−プロピルピラゾリル基、5−ブチルピラゾリル基、5−アセチルピラゾリル基、5−フェニルピラゾリル基、5−ベンジルピラゾリル基、5−ヒドロキシルピラゾリル基、5−アミノピラゾリル基、5−クロロピラゾリル基、5−ブロモピラゾリル基、4−メチルピラゾリル基、4−エチルピラゾリル基、4−プロピルピラゾリル基、4−ブチルピラゾリル基、4−アセチルピラゾリル基、4−フェニルピラゾリル基、4−ベンジルピラゾリル基、4−ヒドロキシルピラゾリル基、4−アミノピラゾリル基、4−クロロピラゾリル基、4−ブロモピラゾリル基、3−メチルピラゾリル基、3−エチルピラゾリル基、3−プロピルピラゾリル基、3−ブチルピラゾリル基、3−アセチルピラゾリル基、3−フェニルピラゾリル基、3−ベンジルピラゾリル基、3−ヒドロキシルピラゾリル基、3−アミノピラゾリル基、3−クロロピラゾリル基、3−ブロモピラゾリル基、3,4−ジヒドロピラゾリル基、4,5−ジヒドロピラゾリル基、ピペラジニル基、2−メチルピペラジニル基、2−エチルピペラジニル基、2−プロピルピペラジニル基、2−ブチルピペラジニル基、2−アセチルピペラジニル基、2−フェニルピペラジニル基、2−ベンジルピペラジニル基、2−ヒドロキシルピペラジニル基、2−アミノピペラジニル基、2−クロロピペラジニル基、2−ブロモピペラジニル基、3−メチルピペラジニル基、3−エチルピペラジニル基、3−プロピルピペラジニル基、3−ブチルピペラジニル基、3−アセチルピペラジニル基、3−フェニルピペラジニル基、3−ベンジルピペラジニル基、3−ヒドロキシルピペラジニル基、3−アミノピペラジニル基、3−クロロピペラジニル基、3−ブロモピペラジニル基、2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−メチル−ピペラジニル基、N−メチル−2−メチルピペラジニル基、N−メチル−2−エチルピペラジニル基、N−メチル−2−プロピルピペラジニル基、N−メチル−2−ブチルピペラジニル基、N−メチル−2−アセチルピペラジニル基、N−メチル−2−フェニルピペラジニル基、N−メチル−2−ベンジルピペラジニル基、N−メチル−2−ヒドロキシルピペラジニル基、N−メチル−2−アミノピペラジニル基、N−メチル−2−クロロピペラジニル基、N−メチル−2−ブロモピペラジニル基、N−メチル−3−メチルピペラジニル基、N−メチル−3−エチルピペラジニル基、N−メチル−3−プロピルピペラジニル基、N−メチル−3−ブチルピペラジニル基、N−メチル−3−アセチルピペラジニル基、N−メチル−3−フェニルピペラジニル基、N−メチル−3−ベンジルピペラジニル基、N−メチル−3−ヒドロキシルピペラジニル基、N−メチル−3−アミノピペラジニル基、N−メチル−3−クロロピペラジニル基、N−メチル−3−ブロモピペラジニル基、N−メチル−2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−エチル−ピペラジニル基、N−エチル−2−メチルピペラジニル基、N−エチル−2−エチルピペラジニル基、N−エチル−2−プロピルピペラジニル基、N−エチル−2−ブチルピペラジニル基、N−エチル−2−アセチルピペラジニル基、N−エチル−2−フェニルピペラジニル基、N−エチル−2−ベンジルピペラジニル基、N−エチル−2−ヒドロキシルピペラジニル基、N−エチル−2−アミノピペラジニル基、N−エチル−2−クロロピペラジニル基、N−エチル−2−ブロモピペラジニル基、N−エチル−3−メチルピペラジニル基、N−エチル−3−エチルピペラジニル基、N−エチル−3−プロピルピペラジニル基、N−エチル−3−ブチルピペラジニル基、N−エチル−3−アセチルピペラジニル基、N−エチル−3−フェニルピペラジニル基、N−エチル−3−ベンジルピペラジニル基、N−エチル−3−ヒドロキシルピペラジニル基、N−エチル−3−アミノピペラジニル基、N−エチル−3−クロロピペラジニル基、N−エチル−3−ブロモピペラジニル基、2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−フェニル−ピペラジニル基、N−フェニル−2−メチルピペラジニル基、N−フェニル−2−エチルピペラジニル基、N−フェニル−2−プロピルピペラジニル基、N−フェニル−2−ブチルピペラジニル基、N−フェニル−2−アセチルピペラジニル基、N−フェニル−2−フェニルピペラジニル基、N−フェニル−2−ベンジルピペラジニル基、N−フェニル−2−ヒドロキシルピペラジニル基、N−フェニル−2−アミノピペラジニル基、N−フェニル−2−クロロピペラジニル基、N−フェニル−2−ブロモピペラジニル基、N−フェニル−3−メチルピペラジニル基、N−フェニル−3−エチルピペラジニル基、N−フェニル−3−プロピルピペラジニル基、N−フェニル−3−ブチルピペラジニル基、N−フェニル−3−アセチルピペラジニル基、N−フェニル−3−フェニルピペラジニル基、N−フェニル−3−ベンジルピペラジニル基、N−フェニル−3−ヒドロキシルピペラジニル基、N−フェニル−3−アミノピペラジニル基、N−フェニル−3−クロロピペラジニル基、N−フェニル−3−ブロモピペラジニル基、N−フェニル−2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−ベンゾイル−ピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−メチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−エチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−プロピルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−ブチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−アセチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−フェニルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−ベンジルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−ヒドロキシルピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−アミノピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−クロロピペラジニル基、N−ベンゾイル−2−ブロモピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−メチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−エチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−プロピルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−ブチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−アセチルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−フェニルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−ベンジルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−ヒドロキシルピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−アミノピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−クロロピペラジニル基、N−ベンゾイル−3−ブロモピペラジニル基、N−ベンゾイル−2,3−ジヒドロキシルピペラジニル基、N−アセチルフェニルピペラジニル基、ジn−ブチルアミノ基、ジデシルアミノ基、ピロリジル基、モルホリル基、N−メチルピペラジニル基、ジベンジルアミノ基が好ましい。
なかでも、加硫速度においてより優位性が得られるという理由から、環状アミノ基がより好ましく、ヘテロ原子を含む官能基若しくは芳香族置換基を有している環状アミノ基、1以上のヘテロ原子をその環内に含む環状アミノ基が更に好ましい。また、環状アミノ基としては、加硫速度において更なる優位性が得られるという理由から、下記式(II)で表される基が特に好ましい。
【0035】
【化4】

(式(II)において、Rは、ヘテロ原子を含む炭素数1〜15の炭化水素基であり、ヘテロ原子を含む官能基及び/又は芳香族置換基を有してもよい。)
【0036】
上記式(II)で表される化合物中のRの炭素数は、1以上であり、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。また、Rの炭素数は、15以下であり、10以下であることが好ましい。炭素数が15を超えるとコストが高くなる傾向がある。
【0037】
の炭化水素基としては、例えば、上記Aの炭化水素基と同様の基の1以上のメチレン基に、アミノ基等のヘテロ原子団や酸素原子等のヘテロ原子が結合した基が挙げられる。
【0038】
上記式(II)で表される基としては、例えば、上記ピペラジニル基およびその誘導体(例えば、N−メチル−ピペラジニル基、N−メチル−2−メチルピペラジニル基等)、モルホリル基等が挙げられる。なかでも、原料が比較的安価であるという理由から、N−メチル−ピペラジニル基、モルホリル基が好ましい。
【0039】
上記式(I)で表される化合物中のnは、12以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは2以下である。12を超えると、コストが高くなる傾向がある。また、nは、1以上である。n=0であると、耐熱性及び耐摩耗性の向上効果が充分に得られないおそれがある。
【0040】
上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=1の化合物の含有量は、2質量%以上、好ましくは4質量%以上である。2質量%未満であると、充分な耐摩耗性が得られないおそれがある 。また、上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=1の化合物の含有量は、好ましくは96質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。96質量%を超えると、加硫速度が遅くなり、充分に加硫されないおそれがある。
【0041】
上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=2の化合物の含有量は、2質量%以上、好ましくは4質量%以上である。2質量%未満であると、充分な耐摩耗性が得られないおそれがある。また、上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=2の化合物の含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。80質量%を超えると、加硫速度が遅くなり、充分に加硫されないおそれがある。
【0042】
上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=3の化合物の含有量は、2質量%以上、好ましくは4質量%以上である。2質量%未満であると、充分な耐摩耗性が得られないおそれがある。また、上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=3の化合物の含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。70質量%を超えると、加硫速度が遅くなり、充分に加硫されないおそれがある。
【0043】
上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=2以下の化合物の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。50質量%未満であると、充分な耐摩耗性が得られないおそれがある。また、上記式(I)で表される化合物100質量%中、n=2以下の化合物の含有量は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。99質量%を超えると、加硫速度が遅くなり、充分に加硫されないおそれがある。
【0044】
上記式(I)で表される化合物中のxは、12以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。12を超えると、耐熱性が悪化するおそれがある。また、xは、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。x=0であると、耐屈曲疲労性が悪化するおそれがある。
【0045】
上記式(I)で表される化合物中のxは、12以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。12を超えると、耐熱性が悪化するおそれがある。また、xは、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。x=0であると、耐屈曲疲労性が悪化するおそれがある。
【0046】
上記式(I)で表される化合物100質量%中、x及びx=1である化合物の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。80質量%未満であると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。また、上記式(I)で表される化合物100質量%中、x及びx=1である化合物の含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは89質量%以下である。90質量%を超えると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。
【0047】
上記式(I)で表される化合物100質量%中、x及びx=2である化合物の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは11質量%以上である。10質量%未満であると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。また、上記式(I)で表される化合物100質量%中、x及びx=2である化合物の含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。20質量%を超えると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。
【0048】
上記式(I)で表される化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1.2質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。0.3質量部未満では、耐熱性及び耐摩耗性の向上効果が充分に得られないおそれがある。また、上記式(I)で表される化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。20質量部を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
【0049】
本発明のゴム組成物には、更に加硫剤として硫黄を配合してもよい。硫黄としては、特に限定されず、タイヤ工業において一般的に用いられる加硫剤用硫黄を使用できる。
【0050】
本発明のゴム組成物は、充填剤(補強用充填剤)を配合してもよい。充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が使用できる。なかでも、カーボンブラック及び/又はシリカが好ましい。
【0051】
充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは45質量部以上、更に好ましくは65質量部以上である。20質量部未満では、補強性が低いため、充分な耐屈曲疲労性、耐摩耗性が得られない傾向がある。また、充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、加工性や充填剤の分散性が悪く、耐摩耗性が低下する傾向がある。なお、充填剤として、カーボンブラックとシリカを併用する場合、充填剤の含有量は、カーボンブラックとシリカの合計含有量を示す。
【0052】
使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。なお、カーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上である。NSAが50m/g未満では、補強性が不足し、充分な耐久性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下である。NSAが200m/gを超えると、ゴム組成物の発熱が大きくなって低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
【0054】
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上である。5質量部未満では、補強性が低いため、充分な耐屈曲疲労性、耐摩耗性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。30質量部を超えると、加工性やカーボンブラックの分散性が悪く、耐摩耗性が低下する傾向がある。
【0055】
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
【0056】
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましく、150m/g以上が更に好ましい。50m/g未満では、耐摩耗性が悪化する傾向がある。また、シリカのNSAは、250m/g以下が好ましく、200m/g以下がより好ましい。250m/gを超えると、加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
【0057】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは55質量部以上、更に好ましくは65質量部以上である。40質量部未満では、補強性が低いため、充分な耐屈曲疲労性、耐摩耗性が得られない傾向がある。また、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。120質量部を超えると、加工性やシリカの分散性が悪く、耐摩耗性が低下する傾向がある。
【0058】
シリカを配合する場合、シリカと共にシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィドなどが挙げられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル、可塑剤、ワックス、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
【0060】
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、低燃費性に与える寄与率が大きいという理由から、トレッド、サイドウォールなどに好適に使用できる。
【0061】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
【0062】
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられる。本発明により得られる空気入りタイヤは、耐摩耗性、耐疲労性(耐屈曲疲労性)、耐熱性及び低燃費性がバランスよく優れている。
【実施例】
【0063】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0064】
以下に、化合物の合成で使用した薬品についてまとめて説明する。
Duralink HTS:Flexsys社製のDuralink HTS(ヘキサメチレン−1,6−ビス(チオスルフェイト)2ナトリウム塩2水和物)
ピロリジン:東京化成工業(株)製
モルホリン:東京化成工業(株)製
N−メチルピペラジン:東京化成工業(株)製
ジベンジルアミン:東京化成工業(株)製
炭酸水素ナトリウム:東京化成工業(株)製
水酸化ナトリウム:東京化成工業(株)製
二硫化炭素:和光純薬工業(株)製
ホルムアルデヒド:和光純薬工業(株)製
クロロホルム:和光純薬工業(株)製
酢酸ナトリウム:関東化学(株)製
【0065】
(化合物の分析及び分離)
化合物の構造は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズのNMR装置、及び(株)島津製作所製のLC/MS(逆相カラム、溶出液:水/アセトニトリル)を用いて分析した。分析結果は表1に記載した。また、化合物の分離は、(株)島津製作所製のHPLC(逆相カラム、溶出液:水/アセトニトリル)を用いて行った。
【0066】
(合成例1)
三ツ口フラスコにピロリジン28.4g(0.4mol)、水酸化ナトリウム16g(0.4mol)、炭酸水素ナトリウム2g(0.02mmol)を含む水溶液をいれ、室温下で撹拌しながら、二硫化炭素60.9g(0.8mol)を滴下した。滴下後、反応混合物を40℃で2時間撹拌した後、室温に戻し、Duralink HTS79.1g(0.2mol)、酢酸ナトリウム27.2g(0.2mol)、35%ホルムアルデヒド4g(0.05mol)を含む水溶液を滴下した。反応混合物を室温で20時間撹拌後、クロロホルムにて抽出し、溶媒を留去して生成物(下記式(A)で表される化合物を複数種含む混合物)を得た。
【化5】

【0067】
(合成例2)
Duralink HTSを156.2g、酢酸ナトリウムを54.4gにした以外は合成例1と同様にして合成を行った。生成物は上記式(A)で表される化合物を複数種含む混合物であった。
【0068】
(合成例3)
ピロリジンの代わりにモルホリン34.8gを使用し、Duralink HTSを156.2g、酢酸ナトリウムを54.4gにした以外は合成例1と同様にして合成を行った。生成物は下記式(B)で表される化合物を複数種含む混合物であった。
【化6】

【0069】
(合成例4)
ピロリジンの代わりにN−メチルピペラジン40.1gを使用した以外は合成例1と同様にして合成を行った。生成物は下記式(C)で表される化合物を複数種含む混合物であった。
【化7】

【0070】
(合成例5)
ピロリジンの代わりにN−メチルピペラジン40.1gを使用し、Duralink HTSを234.3g、酢酸ナトリウムを81.6gにした以外は合成例1と同様にして合成を行った。生成物は上記式(C)で表される化合物を複数種含む混合物であった。
【0071】
(合成例6)
合成例1で得られた生成物(式(A)が表される化合物)をHPLCで分取し、n=1の化合物を得た。
【0072】
(合成例7)
合成例4で得られた生成物(式(C)が表される化合物)をHPLCで分取し、n=1の化合物を得た。
【0073】
(合成例8)
ピロリジンの代わりにジベンジルアミン78.9gを使用し、Duralink HTSを78.1gにした以外は合成例1と同様にして合成を行った。生成物は下記式(D)で表される化合物を複数種含む混合物であった。
【化8】

【0074】
(合成例9)
Duralink HTSを156.2g、酢酸ナトリウム54.4gにした以外は合成例1と同様にして合成を行った。生成物は上記式(D)で表される化合物を複数種含む混合物であった。
【0075】
(合成例10)
Duralink HTSを234.3g、酢酸ナトリウム81.6gにした以外は合成例1と同様にして合成を行った。生成物は上記式(D)で表される化合物を複数種含む混合物であった。
【0076】
(合成例11)
合成例8で得られた生成物(式(D)が表される化合物)をHPLCで分取し、n=1の化合物を得た。
【0077】
【表1】

【0078】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
SBR:日本ゼオン(株)製のNS116(S−SBR、スチレン含有量:22質量%、ビニル結合量:65質量%)
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:125m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノック
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
【0079】
実施例及び比較例
表2及び3に示す配合処方にしたがい、1.7Lのバンバリーミキサーを用いて、加硫剤(合成例1〜11で得られた生成物、硫黄)および加硫促進剤以外のものを130℃で5分間混練りした。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に加硫剤および加硫促進剤を添加して120℃で2分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、プレス加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を得た。
【0080】
得られた加硫ゴム組成物、試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表2及び3に示す。
【0081】
(耐熱性評価)
セイコーインスツル(株)製TMA(SS6100)を用いて、直径8mm、高さ10mmのサンプル(加硫ゴム組成物)を用い、昇温速度10℃/分で試料の熱膨張をモニターし、試料が急激な膨張をする温度をブローアウトポイントとし、比較例1の耐熱性指数を100として、下記計算式により、各配合のブローアウトポイントを指数表示した。指数が大きいほど、耐熱性に優れることを示す。
(耐熱性指数)=(各配合のブローアウトポイント)/(比較例1のブローアウトポイント)×100
【0082】
(耐摩耗性)
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%、試験時間2分間の条件下で加硫ゴム組成物のランボーン摩耗量を測定した。さらに、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1の耐摩耗性指数を100とし、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
【0083】
(耐疲労性評価)
(株)上島製作所製の定応力/定歪み疲労試験機(FT−3100)を用い、ISO6943の方法に準拠して行った。ダンベル3号の試験片を用いて、1Hz、100%の歪みを繰り返して与え続け、試験片が破断するまでの回数(屈曲回数)を求め、比較例1の耐疲労性指数を100として、下記計算式により、各配合の屈曲回数を指数表示した。指数が大きいほど、耐疲労性(耐屈曲疲労性)に優れることを示す。
(耐屈曲疲労性指数)=(各配合の屈曲回数)/(比較例1の屈曲回数)×100
【0084】
(粘弾性試験)(燃費性能(1))
加硫ゴム組成物から所定サイズの試験片を切り出し、(株)上島製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で、70℃における損失正接(tanδ)を測定し、比較例1の燃費性能(1)指数を100とし、下記計算式により、各配合のtanδを指数表示した。指数が大きいほど、低燃費性に優れることを示す。
(燃費性能(1)指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
【0085】
(転がり抵抗)(燃費性能(2))
転がり抵抗試験機を用いて、試験用タイヤを、リム15×6JJ、タイヤ内圧230kPa、荷重3.43kNおよび速度80km/hの条件下で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1の燃費性能(2)指数を100とし、下記計算式により、各配合の転がり抵抗を指数表示した。指数が大きいほど、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(燃費性能(2)指数)=(比較例1の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
上記式(I)で表される化合物を所定の割合で複数種配合した実施例は、該化合物を含まない比較例1と比較して、耐疲労性(耐屈曲疲労性)、耐摩耗性、耐熱性及び低燃費性がバランスよく改善された。また、比較例2、3、4、5は、該化合物を複数種配合されているが、その割合が所定の範囲外であるため、各性能の改善効果が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】

(式(I)において、Aは炭素数1〜15の炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル置換アミノ基、アラルキル置換アミノ基、又は環状アミノ基を表す。nは1〜12の整数を表す。x及びxは、同一若しくは異なって、1〜12の整数を表す。)
で表される化合物を含み、
前記式(I)で表される化合物100質量%中、n=1の化合物の含有量が2質量%以上、n=2の化合物の含有量が2質量%以上、n=3の化合物の含有量が2質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記式(I)で表される化合物100質量%中、n=2以下の化合物の含有量が50質量%以上、x及びx=1の化合物の含有量が80質量%以上、x及びx=2の化合物の含有量が10質量%以上である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記環状アミノ基が下記式(II)で表される基である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
【化2】

(式(II)において、Rは、ヘテロ原子を含む炭素数1〜15の炭化水素基であり、ヘテロ原子を含む官能基及び/又は芳香族置換基を有してもよい。)
【請求項4】
ゴム成分100質量部に対して、充填剤を20〜150質量部、前記式(I)で表される化合物を0.3〜20質量部含む請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記充填剤として、シリカ及び/又はカーボンブラックを含む請求項4記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2012−153785(P2012−153785A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13439(P2011−13439)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】