説明

タイヤ組成物用のラテックス凝固複合物の調製

本発明は、第1のエラストマーを含む第1のエラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの凝固中の混合物を導管に沿って流動させる工程;および、第2のエラストマーを含む第2のエラストマーラテックスを上記凝固中の混合物の流れに導入する工程を有する方法によって調製した少なくとも1種のエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテックス凝固複合物へのさらなるエラストマーラテックスの導入に関し、さらに詳細には、本発明は、そのようなエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤトレッドにおいて充填剤によって付与される最適の補強特性ひいては高耐摩耗性を得るためには、この充填剤は、エラストマーマトリックス中で、できる限り微分割され且つできる限る均一に分布する双方の最終形で存在すべきであることが一般に知られている。現在、そのような条件は、この充填剤が、先ずは上記エラストマーとの混合中にマトリックス中に取込まれて且つ解凝固し、そして、次にこのマトリックス中に均一に分散する極めて良好な能力を有する場合にのみ得ることができる。
【0003】
燃料経済性および環境保護の必要性が優先事項となって以来、低下した転がり抵抗性を有するタイヤをその耐摩耗性に悪影響を及ぼすことなく生産する必要性が判明してきている。充填剤のエラストマーマトリックス中への分散性を改良するに当っては、多くの解決策が提案されており、これらの解決策の幾つかは、エラストマーと充填剤を含むマスターバッチの使用を提案している。
【0004】
マスターバッチ、即ち、充填剤、エラストマーおよび各種の任意構成成分としての添加剤(増量剤オイル)の予備混合物を製造することは一般的である。例えば、カーボンブラックマスターバッチは、単位質量当りの表面積並びに一次カーボンブラック粒子相互の融合によって形成されるカーボンブラックの凝結体(aggregate)のサイズと複雑性を説明する構造の双方において変動する種々の等級の商業的に入手可能なカーボンブラックによって製造する。
【0005】
カーボンブラックマスターバッチを製造する種々の方法が存在する。米国特許第6,841,606号(‘606号特許)に開示されている1つの方法においては、カーボンブラックスラリーとエラストマーラテックスを大だる(vat)内で混合し、次いで、酸のような凝固剤で凝固させている。日本特許公報第2005220187号に開示されているこの方法の変法においては、天然ゴムラテックスを20%ゴム含有量に希釈し(約24%ゴムから)、プロテアーゼと混合して、アミド結合、即ち、ラテックスの非ゴム成分を開裂させている。この開裂は、最終ゴム製品の性能を改良するものと信じられている。米国特許第6,048,923号に開示されているもう1つの方法(その内容は、参考として、本明細書に合体させる)においては、エラストマーラテックスを含む第1流体の連続流を凝固反応器の混合領域に供給する。カーボンブラックスラリーを含む第2流体の連続流を加圧下に上記混合領域に供給してエラストマーラテックスとの混合物を調製している。上記2つの流体の混合は、凝固反応器の排出端の前でエラストマーラテックスをカーボンブラックによって実質的に完全に凝固させるに十分にエネルギッシュである。米国特許第6,075,084号に開示されているように、さらなるエラストマーを、凝固反応器の排出端から出てくる材料に添加してもよい。米国特許第6,929,783号に開示されているように、凝固物は、その後、脱水押出機に供給し得る。
【0006】
カーボンブラックの高負荷量においては、凝固物は、凝固反応器から、カーボンブラック・エラストマー複合物の連続流としてではなく実質的に無凝固物水性相によって担持された複数の個々のカーボンブラック・エラストマー複合物領域として出てくる。一般にそのような不連続材料は、脱水押出機に簡単には通らず、脱水押出機内で逆流して目詰まりを起し得る。従って、脱水押出機のような装置内でより容易に取扱うことのできる高容量画分のカーボンブラックを含有する凝固物の連続流を調製することが望ましい。
【0007】
さらにまた、驚くべきことに、本発明者等は、高容量画分の充填剤、特に、カーボンブラックを含むエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤが、米国特許第6,048,923号に開示された方法によって調製した少なめの容量画分の同じ充填剤を含むエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤの既に改良された諸性質と比較して、改良された諸特性(特に、加工性、補強性、加硫速度)を示すことを見出している。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、第1のエラストマーを含む第1のエラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの凝固中の混合物を導管に沿って流動させる工程;および、第2のエラストマーを含む第2のエラストマーラテックスを上記凝固中の混合物の流れに導入する工程を含む方法によって調製した少なくとも1種のエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤまたはタイヤトレッドに関する。
【0009】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、上記凝固中の混合物を流動させる工程の前に、上記凝固中の混合物を、上記第1エラストマーラテックスの連続流を、混合領域から排出端まで延びている細長い凝固領域を構成し且つ上記導管を含む凝固反応器の上記混合領域に供給し、そして、粒状充填剤を含む流体の連続流を圧力下に上記凝固反応器の上記混合領域に供給して上記凝固中の混合物を調製することによって生成させる工程を含むさらなる方法によって形成し得る。
【0010】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、粒状充填剤を含む上記流体の連続流が約30m/秒〜約250m/秒の速度を有し、上記第1エラストマーラテックスの連続流が最大で約10m/秒の速度を有し、そして、上記第2エラストマーラテックスの導入前の上記凝固中の混合物の上記凝固反応器内の滞留時間が1×10-2秒〜約6×10-2秒である工程を含むさらなる方法によって形成し得る。
【0011】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、上記導管が、第1直径を有する第1導管部分、上記第1直径よりも大きい第2直径を有する第2導管部分、および上記第1直径から上記第2直径まで増大する直径を有する上記第1導管部分と上記第2導管部分間の移行領域を含み;流動工程が、上記凝固中の混合物を上記第2導管部分内に上記第1導管部分から流動させることを含み、そして、導入工程が、上記第2エラストマーラテックスを上記移行領域内の上記凝固中の混合物中に導入することを含む工程を含むさらなる方法によって形成し得る。
【0012】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、上記凝固中の混合物の流動工程が、上記凝固中の混合物を上記移行領域に乱流条件下に流動させることを含む工程を含むさらなる方法によって形成し得る。
【0013】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、上記複合物中の上記第2エラストマーの量が約0.5質量%〜約50質量%であり;上記複合物中の上記第2エラストマーの量が約16質量%〜約38質量%であり;上記第2エラストマーが合成エラストマーまたは天然ゴムラテックスであり;上記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、またはこれらの2種以上の組合せを含み、そして、必要に応じて、上記天然ゴムラテックスの成分が化学的にまたは酵素により変性されている工程を含むさらなる方法によって形成し得る。
【0014】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、上記粒状充填剤が、少なくとも95m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および80mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み、そして、凝固ラテックス複合物が、少なくとも65phrの上記カーボンブラックを含み;または、上記粒状充填剤が、少なくとも75m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み、そして、凝固ラテックス複合物が、少なくとも70phrの上記カーボンブラックを含み;または、上記粒状充填剤が、60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み、このカーボンブラックが、表面積を有し、上記凝固ラテックス複合物中に、L ≧ −0.26*S + 94 (式中、Lは、ゴム100部当り部(phr)での上記凝固ラテックス複合物中の上記カーボンブラックの量であり;Sは、STSAによって測定したときのm2/gでの上記表面積である)を満足させる量で存在し;または、上記エラストマー複合物が、少なくとも10phrの前記粒状充填剤を含む工程を含むさらなる方法によって形成し得る。
【0015】
また、本発明は、下記の工程を含む方法によって調製した少なくとも1種のエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤまたはタイヤトレッドにも関する:
第1エラストマーを含む第1エラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの凝固中の混合物の、第1の乱流度を有する流れを生成させる工程;
上記第1乱流度を第2の乱流度に変化させる工程;および、
第2エラストマーラテックスを、凝固物中に、上記凝固流が上記第2乱流度を有する位置で導入する工程。
【0016】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、流れの生成工程が、上記第1エラストマーラテックスの連続流を、混合領域から排出端まで延びている細長い凝固領域を構成する凝固反応器の上記混合領域に供給し、そして、上記粒状充填剤スラリーの連続流を圧力下に前記凝固反応器の前記混合領域に供給して前記凝固中の混合物を調製することを含むさらなる方法によって形成し得る。
【0017】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、粒状充填剤を含む上記流体の連続流が約30m/秒〜約250m/秒の速度を有し、上記第1エラストマーラテックスの連続流が最大で約10m/秒の速度を有し、そして、上記第2エラストマーラテックスの導入前の上記凝固中の混合物の上記凝固反応器内の滞留時間が1×10-2秒〜約6×10-2秒であるさらなる方法によって形成し得る。
【0018】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、上記複合物中の上記第2エラストマーの量が約0.5質量%〜約50質量%であり;上記複合物中の上記第2エラストマーの量が約16質量%〜約38質量%であり;上記第2エラストマーが合成エラストマーまたは天然ゴムラテックスであり;上記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、またはこれらの2種以上の組合せを含み、そして、必要に応じて、上記天然ゴムラテックスの成分が化学的にまたは酵素により変性されている工程を含むさらなる方法によって形成し得る。
【0019】
この方法に従って製造するタイヤまたはタイヤトレッドは、上記粒状充填剤が、少なくとも95m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および80mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックであり、そして、凝固ラテックス複合物が、少なくとも65phrの上記カーボンブラックを含み;または、上記粒状充填剤が、少なくとも75m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み、そして、凝固ラテックス複合物が、少なくとも70phrの上記カーボンブラックを含み;または、上記粒状充填剤が、60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み、このカーボンブラックが、表面積を有し、上記凝固ラテックス複合物中に、L ≧ −0.26*S + 94 (式中、Lは、ゴム100部当り部(phr)での上記凝固ラテックス複合物中の上記カーボンブラックの量であり;Sは、STSAによって測定したときのm2/gでの上記表面積である)を満足させる量で存在し;または、上記エラストマー複合物が、少なくとも10phrの前記粒状充填剤を含む工程を含むさらなる方法によって形成し得る。
【0020】
本発明は、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の典型的な実施例に従うラテックス凝固複合物の製造用装置の概略図である。
【図2】本発明の典型的な実施態様に従う凝固物中への第2エラストマーラテックスの注入用装置の概略図である。
【図3】本発明の典型的な実施態様に従う第2ラテックスを含むエラストマー複合物(■)と第2ラテックスを含まないエラストマー複合物(◆)との製造において達成されたカーボンブラックの最高負荷量を表面積(STSA)の関数として比較しているグラフである。
【図4】本発明の種々の実施態様に従うエラストマー複合物の製造における達成されたN234カーボンブラックの最高負荷量の滞留時間に対する相関を示すグラフである(□:450〜500kg/hrの生産速度(乾燥基準)、◇:約200〜275kg/時の生産速度(乾燥基準、一次ラテックスとカーボンブラックのみを基準とした)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
より高負荷量のカーボンブラックのような充填剤を含むエラストマー複合物を連続湿式マスターバッチ法において製造することは多くの場合望ましいけれども、高めの負荷量の充填剤を含有する凝固ゴムは、場合によっては、下流処理装置に通すことが困難である。本発明者等は、予期に反して、さらなるエラストマーラテックスの高質量画分の充填剤を含む凝集性混合物中への添加が“凝集性凝固物(coherent coagulum)”と称する連続マスターバッチ小片(crumb)の形成をもたらすことを見出した。上記凝集性凝固物は、凝集塊であるので、取扱い時に崩壊せず、French Oil Machinery Company社(米国オハイオ州ピクア)から入手し得る脱水押出機のような標準装置を使用して容易に脱水し得る。このことは、高負荷量の充填剤を含み且つ優れた性質を有する加硫ゴムを製造するのに使用し得るエラストマー複合物の連続製造を可能にする。対照的に、凝集性でないマスターバッチ小片は、下流装置内で逆流して、目詰まりを生じるかまたは脱水時に不効率となり得る。
【0023】
1つの実施態様においては、タイヤは、第1のエラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの凝固中の混合物を導管に沿って流動させる工程;および、第2のエラストマーラテックスを上記凝固中の混合物の流れに導入する工程を有する方法によって調製したエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含む。
従って、上記ゴム組成物は、トレッド部分、側壁、ワイヤースキムおよび/またはカーカスにおいて使用し得る。
【0024】
図1に示すように、粒状充填剤スラリーは、充填剤供給ライン12により、凝固反応器11の混合部分10に供給する。エラストマーラテックスは、ラテックス供給ライン14により、混合部分10に供給する。ラテックスは、上記混合部分10内で凝固し始め、エラストマーと粒状充填剤を含む凝固中の混合物は、凝固反応器11の拡散機部分16に進行する。図1に示すように、拡散機部分16は、1連の区分18a〜18dを有し、各区分は、その前の区分18よりも徐々に大きい直径を有する。好ましくは、移行領域20a〜cは、1つの区分18から次の区分までの直径の漸次的増大を示す。当業者であれば、上記拡散機部分が図面に示すよりも大きいまたは小さい区分18を有し得ることは認識していることであろう。
【0025】
第2エラストマーラテックスは、注入装置22により導入する。注入装置22は、滞留タンク24および第2エラストマーラテックスを注入ライン28により凝固反応器11内に向けるポンプ26を含む。好ましくは、ポンプ26は、上記凝固中の混合物の注入ライン28中への逆流を阻止するのに十分な圧力を発生させるように操作する。他の適切な装置、例えば、種々のタイプのポンピングまたは圧縮装置を使用して第2エラストマーラテックスを上記凝固中の混合物に導入してもよい。図1に示すように、第2エラストマーラテックスは、上記凝固中の混合物に、移行領域20a内で注入する。当業者であれば、第2エラストマーラテックスの最適の注入位置が上記凝固中の混合物の組成および第2エラストマーラテックスに応じて変り得ることは承知していることであろう。
【0026】
エラストマーラテックスは、ゴム粒子の水中エマルジョンである。粒子中のゴムは、ゴム粒子を凝結および融合に対して安定化している自然産生物質のシェルによって囲まれているゴム分子の高度に粘稠な流体である。ラテックスの不安定化はゴムの凝固を生じる、即ち、ゴム粒子は、互いに凝結し融合する。好ましい実施態様においては、粒状充填剤スラリーの速度は、第1エラストマーラテックスの速度よりも有意に高い。得られる高剪断は、上記ラテックスを不安定化する。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、上記粒状物スラリーと上記ラテックスとの急速混合は、上記粒状物によるゴム粒子表面の装飾をもたらし、これもまたラテックスを不安定化するものと信じている。また、互いに衝突する充填剤粒子も、ラテックス粒子と衝突しラテックス粒子を不安定化し得る凝集体(agglomerate)を形成する。これらの要因の組合せにより、エラストマーラテックスの不安定化が生じる;ゴム粒子は、ゴム‐ゴム接触を形成することにより或いは充填剤粒子を介してその表面にブリッジしてゴム‐充填剤複合凝結体を形成することにより凝結する。
【0027】
何ら特定の理論によって拘束するものではないが、過剰の粒状充填剤の存在下では、ゴム粒子またはゴム粒子の小凝結体は、充填剤によって完全に装飾されるようになり、他のゴム粒子とゴム‐ゴム接触を形成する自由ゴム表面積は殆どまたは全くないものと信じている。このことは、ゴム‐充填剤複合凝集体がさらに凝集して連続ネットワークを形成し得る度合を制限する。代りに、凝集性凝固物を形成するよりはむしろ、マスターバッチ小片は、水性相中に分散した不連続の複合ドメインの形をとる。第2エラストマーラテックスは新鮮なラテックス粒子を導入し、これらの粒子は、まだ充填剤粒子によって修飾されていないので、個々のゴム‐充填剤複合凝結体を一緒に結合させて、凝集性凝固物の形の連続ゴム‐粒子複合物を形成し得る。
【0028】
図1に示した装置と同様な装置においては、凝固物の凝集性に影響する要因としては、混合ブロックに注入する粒状充填剤の量(例えば、目標の充填剤負荷量)、充填剤形態(例えば、表面積、構造)、第1エラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの混合物の第2エラストマーラテックス導入前の滞留時間、および第2エラストマーラテックスの上記混合物への適切な混合がある。
【0029】
上記の理論に従えば、さらなるラテックスの導入が個々のゴム‐充填剤複合凝結体が凝集性凝固物を形成するのを可能にしないことを越えた制約が存在する。即ち、ゴム粒子が完全に修飾された後の混合物中に過剰の充填剤が存在する場合、第2エラストマーラテックス流中のゴム粒子は、存在するゴム‐充填剤凝結体を一緒に結合させるよりはむしろ、過剰の充填剤によって修飾されるようになるであろう。従って、第2エラストマーラテックス流の使用は、得ることのできる充填剤負荷量レベルを上昇させると共に依然として凝集性凝固物を生成させ得ているものの、その可能性ある上昇は無限ではない。スラリー中の充填剤の濃度、充填剤スラリーの混合領域への供給割合と速度、および第2エラストマーラテックスによって導入するゴムの最終複合物中のゴム総量に対する割合は、全て最適化して、第2エラストマーラテックスの有効性を最大限にし得る。
【0030】
ある種の実施態様においては、上記第2ラテックスは、達成可能な充填剤負荷量(例えば、この量の充填剤によって生成させたエラストマー複合物は凝集性凝固物の形態を有する)を、第2ラテックスによらない連続湿式マスターバッチ法で生成させたエラストマー複合物と対比して少なくとも0.5phr、例えば、0.5phr〜約15phr、約1phr〜約14phr、約2phr〜約13phr、約3phr〜約12phr、約4phr〜約11phr、約5phr〜10phr、約6phr〜約9phr、約7phr〜8phr、約1phr〜約7phr、約1phr〜約6phr、または約1phr〜約5phr改良する。
【0031】
ある種の好ましい実施態様においては、第2ラテックスの使用は、少なくとも65phrの、例えば、少なくとも70phrのまたは65〜75phrの、少なくとも95m2/gの表面積(統計的厚さ法(STSA)によって測定し、ASTM D6556に記載された手順(STSA)に従ってカーボンブラックのグラム当り平方メートルで表した時の)および80mL/100gよりも高い構造(フタル酸ジブチル(DBP)吸着法(ASTM D6854)によって測定した)を有するカーボンブラックを含むエラストマー複合物を製造する連続湿式マスターバッチ方法の使用を可能にする。選択的に或いはさらに、第2ラテックスの使用は、少なくとも70phrの、例えば、少なくとも75phrまたは70phr〜80phrの、少なくとも68m2/gの、例えば、少なくとも75 m2/gの表面積(STSAによって測定した時の)および60mL/100gよりも高い構造(DBP吸着法によって測定した時の)を有するカーボンブラックを含むエラストマー複合物を製造する連続方法の使用を可能にし得る。選択的に或いはさらに、第2ラテックスの使用は、60mL/100gよりも高い、例えば、80mL/100mgよりも高い、100mL/100mgよりも高いまたは60mL/100mg〜160mL/100mgのDBP吸着度を有し且つ表面積を有し、L ≧ −0.26*S−0.26*S + 94、例えば、L ≧ −0.26*S−0.26*S + 97、またはL ≧ −0.26*S + 100、またはL ≧ −0.26*S + 104、または−0.26S + 94 ≦ L ≦ −0.26S + 110 (式中、Lは、ゴム100部当り部(phr)での上記エラストマー複合物中のカーボンブラックの量であり;Sは、STSA(ASTM D6556)として測定した上記表面積であり、Sは、必要に応じて、65m2/gよりも高く、95m2/gよりも高く、110m2/gよりも高く、または65m2/gと400m2/gの間、例えば、65m2/gと220m2/gの間、95m2/gと200m2/gの間、または110m2/gと180m2/gの間である)を満足させる量で存在するカーボンブラックを含有するエラストマー複合物を製造する連続湿式マスターバッチ法の使用を可能にする。
【0032】
さらにまた、上記の理論によれば、第2エラストマーラテックスの有効性は、第2エラストマーラテックスを実質的に全ての充填剤が第1エラストマーラテックス中のゴム粒子上に吸着されるまで導入しない場合に最大化されるであろう。さもなければ、第2ラテックス粒子は、存在するゴム‐充填剤凝集体と結合するよりはむしろ充填剤によって修飾されるようになる。上記の充填剤スラリーとエラストマーラテックスが一緒に混合して充填剤粒子がゴム粒子上に吸着するのに要する時間は、一部では、如何にエネルギッシュに上記2つの流体が一緒に混合するかに依存している。図1に示した装置と同様な装置においては、第1エラストマーラテックスを、混合部分10内に、約10m/秒の、例えば、約1〜約10m/秒、約1.5〜約8m/秒、約2〜約6m/秒、約3〜5m/秒、または約4m/秒〜約7m/sの速度で供給し、さらに、上記粒状充填剤スラリーを、混合部分10内に、少なくとも30m/秒、例えば、約30〜約250m/秒または約60〜約150m/秒の速度で供給した場合、第2ラテックスの注入前の好ましい滞留時間、即ち、上記粒状物スラリーの混合物が混合部分10から第2ラテックスを注入する位置まで移行するのに要する時間は、約1×10-2秒〜約6×10-2秒、例えば、約1.5×10-2秒〜約5.5×10-2秒、約1.85×10-2秒〜約5×10-2秒、約2×10-2秒〜約4×10-2秒、約2.25×10-2秒〜約3.5×10-2秒、約2.1×10-2秒〜約3×10-2秒、または約2.25×10-2秒〜約2.9×10-2秒である。また、本発明者等は、第2エラストマーラテックスの導入前の過度の滞留時間は、最高充填剤負荷量を、得られる凝固物が凝集性であるよりはむしろ不連続である前に低下させることを見出している。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、このことは、第2ラテックスの有効性を低下させる、第1エラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーの凝固中の混合物への第2エラストマーラテックスの不完全な混合に由来し得る。本発明者等は、第2エラストマーラテックスを拡散機内の遠過ぎる下流において注入した場合、第2エラストマーラテックスは上記凝固中の混合物の流れ中に十分にはブレンドしないことを見出している。上記滞留時間は、種々の操作条件を最適化するように変動させ得る;適切な範囲は、生産速度によって変動し得る。
【0033】
また、注入装置22の物理的形状は、第2エラストマーラテックスの上記混合物中への混合を最適化するように調整し得る。拡散機の上流部分を通る上記凝固中の混合物の初期の流れは、比較的乱流である。この乱流は、上記凝固中の化合物が下流に進むにつれて次第に弱まり、拡散機の出口34からの凝固物の流れはおおよそ層流である。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、移行領域20aにおける第1および第2の区分18aおよび18b間の流れ断面の拡大に関連する乱流はその位置で凝固中のゴム‐充填剤複合物中に注入される第2エラストマーラテックスの混合を容易にするものと信じている。混合および乱流に影響を与える他の要因としては、スラリー注入点からの距離、注入速度、第1および第2拡散機区分間の断面積の差異、第2ラテックス流の注入速度、および第2ラテックス流の注入角度がある。
【0034】
例えば、拡散機の第2区分18bは、拡散機の第1区分18aの断面積の約1.2〜3.5倍、例えば、約1.2〜1.4倍、約1.4〜約1.6倍、約1.5〜約1.7倍、約1.7〜1.9倍、約1.9〜約2.1倍、約2.1〜約2.3倍、約2.3〜約2.5倍、約2.5〜2.7倍、約2.7〜約2.9倍、約2.9〜3.1倍、約3.1〜約3.3倍または約3.3〜3.5倍、またはそれ以上の断面積を有する。特定の例においては、区分18bと18aの断面積の比は、約2、約2.5または約3であり得る。拡散機の各区分18a〜18dの長さおよび下流区分18cおよび18dの寸法は、米国特許第6,048,923号に記載されているとおりであり得る;該米国特許の内容は、参考として本明細書に合体させる。ある種の実施態様においては、第1区分18aの長さは、約2インチ(5.08cm)〜約9インチ(35.8cm)、例えば、約2インチ(5.08 cm)〜約3インチ(7.62cm)、約3インチ(7.62cm)〜約4インチ(10.2cm)、約4インチ(10.2cm)〜約5インチ(12.7cm)、約5インチ(12.7cm)〜約6インチ(15.2cm)、約6インチ(15.2cm)〜約7インチ(17.8cm)、約7インチ(17.8cm)〜約8インチ(20.3cm)、または約8インチ(20.3cm)〜約9インチ(35.8cm)であり得る。最適の長さは、変動し得、一般に、生産速度によって増大する。
【0035】
第2エラストマーラテックスを上記凝固中の混合物に導入する典型的な仕様を図2に例示する。図2に示すように、第2エラストマーラテックスは、上記凝固中の混合物中に、注入ライン28をインジェクター42(注入オリフィス42aを有する)に連結しているニップル40によって導入する。Oリング44は、ニップル40内の密封を改良するのに使用し得る。第2エラストマーラテックスを上記凝固中の混合物中に凝固反応器の軸に対して45度の角度で注入するインジェクター42を示しているけれども、当業者であれば、上記の角度およびインジェクターサイズは上記凝固中の混合物および第2エラストマーラテックスの組成に応じて変動させ得ることは認識していることであろう。例えば、インジェクター42が移行領域20aの壁に対して直角である場合、移行領域20aの角度αは、0.5°〜25°、例えば、0.5°〜1°、1°〜2°、2°〜3°、3°〜4°、4°〜5°、5°〜6°、6°〜7°、7°〜8°、8°〜9°、9°〜10°、10°〜11°、11°〜12°、12°〜13°、13°〜14°、14°〜15°、15°〜16°、16°〜17°、17°〜18°、18°〜19°、19°〜20°、20°〜21°、21°〜22°、22°〜23°、23°〜24°、または24°〜25°であり得る。もう1つの例においては、注入オリフィス42aの内径は、拡散機部分16のサイズに応じて、0.045〜0.25インチ(0.11〜0.64cm)または幾分大きめで変動し得る。例えば、注入オリフィス42aの内径は、0.045インチ(0.11cm)〜0.055インチ(0.14cm)、0.055インチ(0.14cm)〜0.06インチ(0.15cm)、0.06インチ(0.15cm)〜0.065インチ(0.17cm)、0.065インチ(0.17cm)〜0.07インチ(0.18cm)、0.07インチ(0.18cm)〜0.075インチ(0.19cm)、0.075インチ(0.19cm)〜0.08インチ(0.20cm)、0.08インチ(0.20cm)〜0.09インチ(0.23cm)、0.09インチ(0.23cm)〜0.1インチ(0.25cm)、0.1インチ(0.25cm)〜0.125インチ(0.32cm)、0.125インチ(0.32cm)〜0.15インチ(0.38cm)、0.15インチ(0.38cm)〜0.175インチ(0.44cm)、0.175インチ(0.44cm)〜0.2インチ(0.51cm)、0.2インチ(0.51cm)〜0.225インチ(0.57cm)、または0.225インチ(0.57cm)〜0.25インチ(0.64cm)であり得る。当業者であれば、注入オリフィスのサイズは、例えば、所望の流量および圧力に応じて変動し得ることは認識していることであろう。例えば、注入圧は、2〜8バール(0.2〜0.8MPa)、3〜8バール(0.3〜0.8MPa)、4〜7バール(0.4〜0.7MPa)、または5〜6バール(0.5〜0.6MPa)であり得る。また、他の適切な設計も使用し得る。例えば、注入オリフィスは、インジェクター42に対して内側に次第に先細になっていてもよく或いはインジェクター42と同じ直径を有し得る。
【0036】
第2エラストマーラテックスは上記凝固中の混合物を調製するのに使用したエラストマーラテックスと同じ組成を有していてもよく、或いは、第2エラストマーラテックスは何らかの形で異なり得る。例えば、第2エラストマーラテックスは、異なる資源由来のまたは異なる濃度のゴムと液体を含むエラストマーラテックスであり得る。選択的に或いはさらに、第2エラストマーラテックスは、第1エラストマーラテックスと異なる化学変性(変性しないことも含む)に供し得る。
【0037】
ある種の実施態様においては、第1エラストマーラテックス(即ち、上記凝固中の混合物中のエラストマーラテックス)および第2エラストマーラテックスの少なくとも1つおよび好ましくはその双方は、天然ゴムラテックスから調製する。典型的な天然ゴムラテックスとしては、限定するものではないが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物(例えば、蒸発、遠心分離またはクリーム化によって製造)、スキムラテックス(天然ゴムラテックスの遠心分離の副生成物)およびこれらの任意の2種または3種の任意の割合のブレンドがある。上記ラテックスは、選定した湿式マスターバッチ法および最終ゴム製品の意図する目的および用途に対して適切であるべきである。上記ラテックスは、典型的には水性担体液中で調製する。適切なラテックスまたはラテックスブレンドの選定は、本開示の恩恵および当該工業において一般的に十分に認識されている選定基準知識を考慮すれば、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0038】
また、天然ゴムラテックスは、何らかの形で化学的に変性し得る。例えば、天然ゴムラテックスは、化学的にまたは酵素により変性するかまたは種々の非ゴム成分を低減するように処理し得、或いはゴム分子自体を種々のモノマーまたは塩素のような他の化学基によって変性し得る。天然ゴムラテックスを化学的に変性する典型的な方法は、ヨーロッパ特許公報第1489102号、第1816144号および第1834980号;日本特許公報第2006152211号、第2006152212号、第2006169483号、第2006183036号、第2006213878号、第2006213879号、第2007154089号および第2007154095号;米国特許第6841606号および第7312271号;および、米国特許公報第2005‐0148723号に開示されている。当業者にとって既知の他の方法も同様に使用し得る。
【0039】
別の実施態様においては、第1エラストマーラテックス(即ち、上記凝固中の混合物中のエラストマーラテックス)および第2エラストマーラテックスの少なくとも1つは、ゴム即ち“ジエン”エラストマーの合成ラテックスを使用して調製する。用語“ジエン”エラストマーまたは“ジエン”ゴム(エラストマーとゴムは同義の用語であることは周知である)は、知られているとおり、ジエンモノマー(共役型であり得るまたはあり得ない2個の炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー)から少なくとも一部得られる1種以上のエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解すべきである。
【0040】
これらのジエンエラストマーは、2つのカテゴリー、即ち、“本質的に不飽和”および“本質的に飽和”に分類し得る。用語“本質的に不飽和”とは、一般に、少なくとも一部は共役ジエンモノマーから得られ、15%(モル%)よりも多いジエン起原(共役ジエン)単位量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい;従って、ブチルゴムまたはEPDMタイプのジエン類とα‐オレフィン類とのコポリマーのようなジエンエラストマーは、上記の定義内に属せず、特に、本質的に飽和”のジエンエラストマー(常に15モル%未満の、低いまたは極めて低いジエン起源単位量)として説明し得る。“本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、用語“高不飽和”ジエンエラストマーとは、特に、50%よりも多いジエン起源(共役ジエン)単位量を有する不飽和ジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
【0041】
本発明に従う第1エラストマーラテックスまたは第2エラストマーラテックスの合成ジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(“BR”と略記する)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる高不飽和ジエンエラストマーの群から選択する。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択する。
【0042】
上記のエラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得、分散液または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ化剤(star-branching agent)或いは官能化剤によってカップリング化および/または星型枝分れ化或いは官能化し得る。例えば、カーボンブラックにカップリングさせるには、C‐Sn結合を含む官能基または、例えば、ベンゾフェノンのようなアミノ化官能基を挙げることができ;シリカのような補強用無機充填剤にカップリングさせるには、例えば、シラノール官能基またはシラノール末端を有するポリシロキサン官能基(例えば、US 6 013 718号に記載されているような)、アルコキシシラン基(例えば、US 5 977 238号に記載されているような)、カルボキシル基(例えば、US 6 815 473号、US 2006/0089445号に記載されているような)、或いはポリエーテル基(例えば、US 6 503 973号に記載されているような)を挙げることができる。また、他の官能化エラストマー類の例としては、エポキシ化タイプのエラストマー(SBR、BR、NRまたはIRのような)も挙げることができる。
【0043】
好ましくは、以下が適している:ポリブタジエン、特に、4%と80%の間の1,2‐単位含有量を有するポリブジエンまたは80%よりも多いシス‐1,4‐単位含有量を有するポリブタジエン;ポリイソプレン;ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間特に20質量%と40質量%の間のスチレン含有量、4%と65%の間のブタジエン成分1,2‐結合含有量および20%と80%の間のトランス‐1,4‐結合含有量を有するコポリマー;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%と90質量%の間のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のガラス転移温度(“Tg”;ASTM D3418‐82に従って測定)を有するコポリマー;または、イソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間のスチレン含有量および−25℃と−50℃の間のTgを有するコポリマー。
【0044】
ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合は、5質量%と50質量%の間特に10質量%と40質量%の間のスチレン含有量、15質量%と60質量%の間特に20質量%と50質量%の間のイソプレン含有量、5質量%と50質量%の間特に20質量%と40質量%の間のブタジエン含有量、4%と85%の間のブタジエン成分1,2‐単位含有量、6%と80%の間のブタジエン成分トランス‐1,4‐単位含有量、5%と70%の間のイソプレン成分1,2‐+3,4‐単位含有量および10%と50%の間のイソプレン成分トランス‐1,4‐単位含有量を有するコポリマー、さらに一般的には、−20℃と−70℃の間のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが、特に適している。
ある実施態様においては、凝固剤、例えば、塩または酸溶液をエラストマーラテックス流と一緒に注入してエラストマーの凝固を促進することが望ましくあり得る。
【0045】
粒状充填剤液は、カーボンブラックスラリーまたは適切な分散媒中の他の適切な充填剤であり得る。分散媒の選択は、粒状充填剤の選択およびシステムパラメーターに大いに依存する。水性および非水性液の双方を使用することができ、水が、多くの実施態様において、そのコスト、入手性並びにカーボンブラックスラリーおよびある種の他の充填剤スラリーの製造における使用適合性の点から好ましい。また、小量の水混和性有機溶媒も水性分散媒中に含ませ得る。
【0046】
粒状充填剤または粒状充填剤混合物の選択は、エラストマーマスターバッチ産品の意図する使用に大いに依存する。本発明において使用するとき、粒状充填剤としては、上記マスターバッチ小片を製造するのに使用する上記マスターバッチ法において使用するのに適する任意の材料があり得る。適切な粒状充填剤としては、例えば、導電性充填剤、補強用充填剤、短繊維(典型的には、40よりも低いL/D縦横比を有する)を含む充填剤、フレーク等がある。下記でさらに詳細に説明するカーボンブラックおよびシリカタイプの充填剤以外に、充填剤は、クレー、ガラス、アラミド繊維のようなポリマー等からも製造し得る。エラストマー組成物において使用するのに適する任意の充填剤を本発明の種々の実施態様に従うエラストマー複合物中に混入し得ることが見込まれる。勿論、本明細書において説明する種々の粒状充填剤のブレンドも使用することができる。
【0047】
カーボンブラック充填剤を使用する場合、そのカーボンブラックの選択は、エラストマーマスターバッチ産品の意図する使用に大いに依存する。また、必要に応じて、カーボンブラック充填剤は、熟練技術者が選択した特定の湿式マスターバッチ法においてスラリー化しラテックスと結合することのできる任意の物質も含み得る。典型的な粒状充填剤としては、限定するものではないが、単独でのまたは互いに組合せての、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、コーティーングしたカーボンブラック、結合有機基を有するカーボンブラックのような化学官能化カーボンブラック、およびシリコン処理カーボンブラックがある。典型的なカーボンブラックとしては、ASTM N100シリーズ〜N900シリーズカーボンブラック、例えば、N100シリーズカーボンブラック、N200シリーズカーボンブラック、N300シリーズカーボンブラック、N700シリーズカーボンブラック、N800シリーズカーボンブラック、またはN900シリーズカーボンブラックがある。ASTM N100、N200およびN300シリーズブラック類および/または同様の高表面積またはより高い表面積、例えば、68m2/g以上、例えば、75m2/g以上または95m2/g以上、例えば、68m2/g〜400m2/gの表面積(統計的厚さ法(STSA)によって測定し、ASTM D6556に記載された手順(STSA)に従ってカーボンブラックのグラム当り平方メートルで表した)を有するカーボンブラックを含有するエラストマー複合物は、特に、本明細書における教示からの恩恵を受け得る。ある種の好ましい実施態様においては、そのようなカーボンブラックは、フタル酸ジブチル吸着法によって測定したとき、少なくとも60mL/100g、例えば、少なくとも80mL/100g、または60mL/100g〜160mL/100gの構造を有する。また、Cabot Corporation社から入手し得る商標Regal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Spheron(登録商標)、Sterling(登録商標)およびVulcan(登録商標)として;Columbian Chemicals社から入手し得る商標Raven(登録商標)、Statex(登録商標)、Furnex(登録商標)およびNeotex(登録商標)並びにCDおよびHV系統として;さらに、Evonik (Degussa) Industries社から入手し得る商標Corax(登録商標)、Durax(登録商標)、Ecorax(登録商標)およびPurex(登録商標)並びにCK系統として販売されているカーボンブラック類、並びにゴムまたはタイヤ用途において使用するのに適する他の充填剤も、種々の実施態様による用途において使用し得る。適切な化学官能化カーボンブラックとしては、国際出願PCT/US95/16194号(WO 96/18688号)に開示されているカーボンブラックがある;該出願の開示は、参考として本明細書に合体させる。
【0048】
シリコンコーティーングおよびシリコン処理カーボンブラックの双方も、種々の実施態様において使用し得る。シリコン処理カーボンブラックにおいては、シリコンの酸化物または炭化物のような種を含有するシリコンを、カーボンブラックの本来的部分としてのカーボンブラック凝結体の少なくとも1部中に分配する。通常のカーボンブラックは凝結体の形で存在し、各凝結体は、炭素である単一相からなる。この相は、グラファイト晶子および/または非晶質炭素の形で存在し、通常は、2つの形状の混合物である。カーボンブラック凝結体は、シリカのようなシリコン含有種をカーボンブラック凝結体の表面の少なくとも1部上に付着させることによって変性し得る。結果は、シリコンコーティーングカーボンブラックとして説明し得る。
【0049】
シリコン処理カーボンブラックとして本明細書において説明する材料は、コーティーングされている或いは変性されているカーボンブラック凝結体ではなくて、実際には、2つの相を有する異なる種類の凝結体を示す。1つの相は、炭素であって、依然としてグラファイト晶子および/または非晶質炭素として存在し、一方、第2相は、シリカ(および、必要に応じての他のシリコン含有種)である。従って、シリコン処理カーボンブラックの上記シリコン含有種相は、上記凝結体の固有部分である;上記相は、上記凝結体の少なくとも1部全体に亘って分布している。種々のシリコン処理ブラック類が、Cabot Corporation社から品名EcoblackTMとして入手可能である。上記多相凝結体は、表面上に付着させたシリコン含有種を有する前以って形成させた単一相カーボンブラック凝結体からなる上記のシリカコーティーングカーボンブラックとは全く異なることを理解されたい。そのようなカーボンブラックは、例えば、米国特許第6,929,783号に記載されているように、カーボンブラック凝結体の表面上にシリカ官能性を付与するために表面処理し得る。
【0050】
また、1種以上の添加剤も、適切な場合、上記粒状物スラリーまたはエラストマーラテックス液と前以って混合し得、或いは凝固中のこれらの混合物と混合し得る。また、添加剤は、凝固中の混合物に混合してもよい。多くの添加剤が当業者にとって周知であり、例えば、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤、加工助剤(例えば、液体ポリマー、オイル類等)、樹脂、難燃剤、増量剤オイル、潤滑剤、およびこれらの任意の混合物がある。典型的な添加剤としては、限定するものではないが、酸化亜鉛およびステアリン酸がある。そのような添加剤の一般的な使用および選択は、当業者にとって周知である。本明細書において開示するエラストマー複合物としては、加硫組成物(VR)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性エラストマー(TPE)および熱可塑性ポリオレフィン(TPO)があることを理解すべきである。TPV、TPEおよびTPO材料は、性能特性の損失なしで数回押出加工または成形加工されるその能力によってさらに分類し得る。
【0051】
上記複合物中のゴム総量に対する第2エラストマーの画分(即ち、凝固物中のゴムの総量に対して第2エラストマーラテックスが凝固物に対して寄与するゴム量)は、例えば、2つのエラストマーラテックスの相対的流量を調整することによって調整し得る。充填剤負荷量を最適化するのに操作し得る他の変動要因としては、第1エラストマーラテックスと充填剤スラリーの絶対流量(例えば、生産速度)、第1エラストマーラテックスと充填剤スラリーの相対的流量(例えば、充填剤負荷量)、第2エラストマーラテックスを注入する位置、およびインジェクター42のサイズがある。ゴム総量に対する第2エラストマーの画分は、約0.5質量%〜約50質量%、例えば、約1質量%〜約45質量%、約5質量%〜約40質量%、約10質量%〜約15質量%、約15質量%〜約20質量%、約20質量%〜約25質量%、約25質量%〜約30質量%、約30質量%〜約35質量%、約35質量%〜約40質量%、または約40質量%〜45質量%であり得る。ある種の実施態様においては、上記画分は、約16質量%〜約38質量%であり得る。使用し得る第2エラストマーの割合は、一部では、所望の組成物に依存し得るが、初期の凝固中の混合物を生成させる混合部分10中に注入しなければならない第1エラストマーラテックスの量に応じて物理的に限定され得る。
【0052】
上記エラストマー複合物中の充填剤の量は、エラストマー複合物を調製するのに使用する充填剤の任意の量である。例えば、ゴムは、少なくとも約10phr (ゴム100質量部当りの質量部)、少なくとも約20phr、少なくとも約30phr、少なくとも約40phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、少なくとも約70phr、少なくとも約75phr、少なくとも約80phr、少なくとも約85phr、少なくとも約90phr、少なくとも約95phr、または少なくとも約100phrの充填剤によって製造し得る。しかしながら、本明細書における教示は、他の湿式マスターバッチ法と対比して、例えば、約40phr〜約100phr、約50phr〜約95phr、約55phr〜約90phr、約60phr〜約85phr、約60phr〜約80phr、約65phr〜約75phr、または約45phr〜約70phrのより高い充填剤負荷量においてより大きな利点をもたらしている。当業者であれば、“高負荷量”を構成するのは、例えばその表面積および構造のような充填剤の形態に依存していることを認識されたい。
【0053】
ある実施態様においては、第2ラテックスの使用は、最高充填剤負荷量(例えば、凝集性凝固物を生成させながらの最高充填剤負荷量)を、第2ラテックスを使用しないで凝集性凝固物を生成させながらの最高充填剤負荷量と対比して、約3%〜約30%、例えば、約3%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、または約25%〜約30%増大させる。
【0054】
第1エラストマーラテックス、粒状充填剤スラリーおよび第2エラストマーラテックス製造したマスターバッチ小片は、凝固反応器の排出端から、凝固物の実質的に一定の流れとして、各エラストマーラテックス流および粒状充填剤スラリー流の凝固反応器11への続行中の供給と同時に出てくる。好ましくは、上記マスターバッチ小片は、“凝集性凝固物”、即ち、凝固ラテックスの個々の小球が水性媒によって分離されている複合物の不連続流よりもむしろ、カーボンブラックが凝固ラテックス中に分散している連続複合物の形にある。とは言え、不連続凝固物は、手作業によるまたはバッチ式脱水方法およびその後の熱乾燥によって処理し得る。好ましくは、連続凝固物を産出し、その後、例えば、約70〜85%の水分含有量を有する所望の押出物として成形する。成形後、得られたマスターバッチ小片は、適切な乾燥および配合装置に通し得る。
【0055】
1つの実施態様においては、上記マスターバッチ小片は、凝固反応器11から脱水押出機に、単純な重力落下または当業者にとって既知の他の適切な装置によって通す。脱水押出機は、エラストマー複合物を、例えば、およそ70〜85%の水分含有量から、所望の水分含有量、例えば、約1%〜20%の水分含有量にし得る。最適水分含有量は、使用するエラストマー、充填剤のタイプ、および所望する下流の加工手順によって変動し得る。適切な脱水押出機は、周知であり、例えば、French Oil Machinery Company社(米国オハイオ州ピクア)から商業的に入手し得る。
【0056】
脱水後、得られた脱水凝固物は、乾燥させ得る。ある種の実施態様においては、脱水凝固物は、単純に熱乾燥させる。好ましくは、脱水押出機から出てくる脱水凝固物を、乾燥させながら機械的に噛み加工する。例えば、脱水凝固物は、1以上の連続ミキサー、密閉ミキサー、ツインスクリュー押出機、シングルスクリュー押出機またはロールミルによって機械的に処理し得る。適切な噛み加工装置は、周知で、商業的に入手可能であり、例えば、コネチカット州アンソニアのFarrel Corporation社からのUnimix Continuous MixerおよびMVX (混合、通風、押出用) Machine、Pomini社からの長時間連続ミキサー、Pomini Continuous Mixer、ツインローター共回転噛合い押出機、ツインローター逆回転非噛合い押出機、バンバリー(Banbury)ミキサー、ブラベンダー(Brabender)ミキサー、噛合いタイプの密閉ミキサー、混練タイプの密閉ミキサー、連続配合押出機、Kobe Steel社製の二軸ミリング押出機、およびKobe Continuous Mixerがある。本発明の種々の実施態様によって使用するのに適する別の噛み加工装置は、当業者が精通しているであろう。脱水複合物を機械的に噛み加工する典型的な方法は、米国特許第6,929,783号および第6,841,606号並びにPCT出願 US09/000732号に記載されている;これらの特許および出願の全ての内容は、参考として本明細書に合体させる。
【0057】
ある種の実施態様においては、添加剤を、機械的ミキサー内の脱水凝固物と混合し得る。特に、充填剤(凝固反応器において使用した充填剤と同じまたは異なり得る;典型的な充填剤としては、シリカおよび酸化亜鉛があり、酸化亜鉛は硬化剤としても作用する)、他のエラストマー、他のまたは追加のマスターバッチ、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤、加工助剤(例えば、硬化剤としも使用し得るステアリン酸、液体ポリマー、オイル類、ワックス等)、樹脂、難燃剤、増量剤オイル、潤滑剤およびこれらの任意の混合物のような添加剤を上記機械的ミキサー内に添加し得る。ある種の他の実施態様においては、さらなるエラストマーを脱水凝固物と混合してエラストマーブレンドを製造し得る。典型的なエラストマーとしては、限定するものではないが、ゴム類;1,3‐ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3‐ジアルキル‐1,3‐ブタジエン(アルキルは、メチル、エチル、プロピル等であり得る)、アクリロニトリル、エチレン、およびプロピレンのポリマー等がある。マスターバッチブレンドの製造方法は、本発明者等共同所有の米国特許第7,105,595号、第6,365,663号および第6,075,084号に開示されている。選択的に或いはさらに、伝統的な配合方法を使用して、加硫剤および当該技術において既知の他の添加剤痍を脱水凝固物と或いは噛み加工装置を使用して材料を乾燥させた場合に得られた噛み加工マスターバッチと、所望の使用に応じて混合し得る。
【0058】
また、本発明は、上記の実施態様のいずれかに従う得られたエラストマー複合物ブレンドの、タイヤの製造における、特に、タイヤトレッド、カーカス、タイヤ側壁、タイヤ用のワイヤースキム、および再トレッド形成タイヤのクッションゴムの組成物における使用にも関する。
【0059】
また、本発明のゴム組成物は、例えば、オゾン劣化防止ワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤;補強用樹脂;メチレン受容体(例えば、フェノール・ノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M);イオウまたはイオウ供与体および/または過酸化物および/またはビスマレイミドのいずれかをベースとする架橋系;加硫促進剤または加硫活性化剤のような、タイヤの製造を意図するエラストマー組成物において一般的に使用する通常の添加剤の全部または一部も含む。
【0060】
また、これらの組成物は、カップリング剤を使用するときのカップリング活性化剤、無機充填剤の被覆用の薬剤、或いはゴムマトリックス中での充填剤の分散性の改善および組成物の粘度の低下のために、知られている通り、生状態における組成物の加工能力を改善することのできるより一般的な加工助剤も含有し得る;これらの薬剤は、例えば、アルキルアルコキシシランのような加水分解性シラン類;ポリオール類;ポリエーテル類;アミン類;または、ヒドロキシル化または加水分解性ポリオルガノシロキサン類である。
【0061】
本発明のゴム組成物は、適切なミキサー内で、例えば、当業者にとって周知の一般的手順に従う2つの連続する製造段階、即ち、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階とも称する)、並びに、その後の典型的には120℃よりも低い、例えば、60℃と100℃の間の低めの温度で機械加工する第2段階(“生産”段階とも称する)を使用して製造し、この仕上げ段階において架橋または加硫系を混入する。
【0062】
適切な架橋系は、好ましくは、イオウと、一次加硫促進剤、特に、スルフェンアミドタイプの促進剤とをベースとする。この加硫系に、各種既知の二次促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)等を添加し、上記第1非生産段階中および/または上記生産段階中に混入する。イオウの量は、好ましくは、0.5phrと12phrの間、好ましくは1phrと10phrの間の量であり、また、一次促進剤の量は、好ましくは、0.5phrと5.0phrの間の量である。
【0063】
促進剤(一次または二次)としては、イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、チアゾールタイプの促進剤およびその誘導体、チウラムタイプの促進剤およびジチオカルバミン酸亜鉛を使用することができる。これらの促進剤は、さらに好ましくは、2‐メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(“MBTS”)、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“CBS”)、N,N‐ジシクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“DCBS”)、N‐tert‐ブチル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“TBBS”)、N‐tert‐ブチル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンイミド(“TBSI”)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(“ZBEC”)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。
【0064】
その後、そのようにして得られた最終組成物を、例えば、特に実験室での特性決定のためのシートまたはプラークの形にカレンダー加工するか、或いは、例えばタイヤトレッドのような直接使用することのできるゴム形状要素の形に押出加工する。
加硫(または硬化)は、既知の方法で、一般的には130℃と200℃の間の温度で、特に硬化温度、使用する加硫系および当該組成物の加硫速度に応じて、例えば、5分と90分の間で変動し得る十分な時間実施する。
本発明は、生状態(即ち、硬化前)および硬化状態(即ち、架橋または加硫後)双方の上述したゴム組成物およびトレッドに関する。
【0065】
本発明を、本質的に例示のみを意図する以下の実施例によりさらに明確にする。
実施例
【実施例1】
【0066】
カーボンブラックスラリーの調製
乾燥カーボンブラック(下記の表1に示す等級、Cabot Corporation社から入手)を水と混合し、粉砕して約10〜15質量%の濃度を有するスラリーを調製した。スラリーをホモジナイザーに約20.684MPa (3000psi)の操作圧力で供給して微細分散カーボンブラックスラリーを製造し、このスラリーを噴流として混合領域に導入した。カーボンブラック流量を約690〜960kg/時(湿潤基準)に調整して農園ラテックスと一緒に製造した複合物中の最終カーボンブラック負荷量を修正し、また、ラテックス濃縮物を使用したときは約1145kg/時(湿潤基準)に調整した。
【0067】
表1

*ASTM D6556
**ASTM D2414
【0068】
第1ラテックス給送
下記の表2に示す天然ゴム材料(表2において他で断らない限り農園ラテックス)を、凝固反応器の混合領域にポンピングした。ラテックス流量を約320〜790kg/時(湿潤基準)に調整して最終カーボンブラック負荷量を修正した。
【0069】
カーボンブラックとラテックスの混合
カーボンブラックスラリーとラテックスを、ラテックスを図1に示す反応器と同様な凝固反応器の混合部分(例えば、混合部分10)内のカーボンブラックスラリー中に同伴させることによって混合した。同伴過程において、カーボンブラックはラテックス中に緊密に混合し、混合物は凝固した。
【0070】
第2ラテックス給送
下記の表2に示す天然ゴムラテックス材料を、凝固反応器の混合部分の下流の幾つかの位置に、約80kg/時(湿潤基準)の速度で出発して3〜8バールの圧力にてポンピングした。ラテックスを、注入ライン(例えば、要素28)を取付ける凝固反応器の壁に直角に注入した。ポンピング速度を、拡散機から出てくる凝固物が所望の形態を示すまで高くとも300kg/時まで次第に上昇させた。混合部分の下流において、拡散機部分は1群の区分を有し、各区分は前の区分よりも漸次的に大きい直径を有し、各部分の間には傾斜移行部分があった。拡散機の第1区分(例えば、図1における18a)は、4インチ(10.2cm)長であり;第2区分(例えば、図1における18b)は、3インチ(7.6cm)長であった。移行領域の角度(例えば、図2におけるα)は、7度であった。第2区分(例えば、図1における18b)の第1区分(例えば、図1における18a)に対する直径の比は、約1.7であった。第2ラテックスをポンピングした位置および最終生成物中の第2ラテックス由来のゴム画分(即ち、第1および第2ラテックス流からのゴム総量に対する第2ラテックス由来のゴムの比)は、下記の表2示している。太字で示すデータは、下記の表3に示す特定の第2ラテックス注入位置において達成した最高負荷量を反映している。
【0071】

【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】
本発明の実施態様に従う第2ラテックスを混入する成功裏の実施例においては、マスターバッチ小片は、凝固反応器から凝集性凝固物の連続流として出て行く。第2ラテックスを使用しての不成功裏の実施例は、同様な操作条件を有する成功裏のサンプルと対比させ得る;一般に、そのような実施例から回収したゴムは、高負荷量のカーボンブラックを含有していた。そのようなサンプルは、凝固反応器から、脱水押出機を停滞させる不連続の砂様凝固物として出てきた。下記の表3は、最高負荷量、即ち、凝集性凝固物が生成するゴム100部当りの部(phr)でのエラストマー複合物中の最高充填剤含有量を示している(即ち、それより高い充填剤含有量を有するマスターバッチ小片を製造する試みは、凝集性凝固物をもたらさなかった)。
【0078】
表3

*途切れ途切れで不連続の凝固物
【0079】
結果は、第1および第2ラテックス流の流量、生産速度、第2ゴムの割合およびカーボンブラック負荷量のような操作変動要因を互いに対して最適化して加工性を改良し且つ充填剤負荷量を増大させ得ていることを示している。図3は、上述の3つの等級のカーボンブラックにおいて第2ラテックス有りおよび無しで達成された最高負荷量を示している。結果は、カーボンブラックの形態が凝集性凝固物を生成させながら達成し得る最高負荷量に影響を及ぼしているものの、第2ラテックスの使用は達成可能な負荷量において明白且つ一貫した改良をもたらしていることを示している。
【0080】
脱水
凝固反応器から排出したマスターバッチ小片を、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社)によって10〜20%に脱水した。上記押出機において、マスターバッチ小片を圧縮し、小片から絞り出した水を上記押出機の穴あきバレルから排出した。
【0081】
乾燥および冷却
脱水凝固物を連続配合機(Farrel Continuous Mixer (FCM);Farrel Corporation社)に落し、脱水凝固物を噛み加工し、1phrの酸化防止剤(N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン(6PPD;ミズーリ州セントルイスのFlexsys社)と混合した。上記FCMから出て来る噛み加工マスターバッチの水分含有量は、およそ1〜2%であった。噛み加工マスターバッチをさらに噛み加工し、開放ミル上で冷却して乾燥エラストマー複合物を製造した。実際のカーボンブラック負荷量は、乾燥生成物において窒素熱分解法(表2A〜2Eに示す値)またはTGA法(表2Fに示す値)によって測定した。乾燥エラストマー複合物を加硫させた;加硫エラストマー複合物の機械的性質(例えば、tanΔ、300%および100%歪みでの応力比)は、低めの充填剤負荷量を有し且つ同じ方法を使用するが第2ラテックス無しで調製した加硫エラストマー複合物の負荷量と同様な負荷量によっては変動を示した。第2ラテックス注入の使用は、より高負荷エラストマー複合物の製造を、最終ゴムコンパウンドの性能を犠牲にすることなく可能にしている。
【実施例2】
【0082】
充填剤スラリーの調整
シリコン処理カーボンブラック(CRXTM 2000 ECOBLACK(登録商標)シリコン処理カーボンブラック;Cabot Corporation社から入手し得る)を水と混合し、粉砕して約10〜15質量%の濃度を有するスラリーを調製する。スラリーをホモジナイザーに約20.684MPa (3000psi)の操作圧力で供給して微細分散カーボンブラックスラリーを製造し、このスラリーを噴流として混合領域に導入する。スラリー流量を約690〜960kg/時(湿潤基準)に調整して農園ラテックスと一緒に製造した複合物中の最終充填剤負荷量を修正し、また、ラテックス濃縮物を使用したときは約1145kg/時に調整する。
【0083】
第1ラテックス給送
約27〜31%の乾燥ゴム含有量を有する農園ラテックスまたは天然ゴムラテックス濃縮物を凝固反応器の混合領域にポンピングする。ラテックス流量を約320〜790kg/時(湿潤基準)に調整して最終充填剤負荷量を修正する。
【0084】
充填剤とラテックスの混合
充填剤スラリーとラテックスを、ラテックスを図1に示す反応器と同様な凝固反応器の混合部分(例えば、混合部分10)内のカーボンブラックスラリー中に同伴させることによって混合する。同伴過程において、充填剤はラテックス中に緊密に混合し、混合物は凝固する。混合部分の下流において、拡散機部分は1群の区分を有し、各区分は前の区分よりも漸次的に大きい直径を有し、各部分の間には傾斜移行部分がある。
【0085】
第2ラテックス給送
農園ラテックスを、第1区分と第2区分間の移行領域(例えば、図1における20a)の充填剤スラリーとラテックスの凝固中の混合物中に、約80kg/時(湿潤基準)の速度で出発して3〜8バールの圧力にてポンピングする。ラテックスを凝固反応器の壁に対して直角に注入する。ポンピング速度を、拡散機から出てくる凝固物が所望の形態を示すまで高くとも300kg/時(湿潤基準)まで次第に上昇させる。
【0086】
脱水
凝固反応器から排出したマスターバッチ小片を、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社)によって10〜20%に脱水する。上記押出機において、マスターバッチ小片を圧縮し、小片から絞り出した水を上記押出機の穴あきバレルから排出する。
【0087】
乾燥および冷却
脱水凝固物を連続配合機(Farrel Continuous Mixer (FCM);Farrel Corporation社)に落し、脱水凝固物を噛み加工し、1phrの酸化防止剤(N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン(6PPD;ミズーリ州セントルイスのFlexsys社)および1.5phrのカップリング剤(ビス‐(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT、Si‐69;ドイツ国エッセンのEvonik Industries社から入手し得る)と混合する。上記FCMから出て来る噛み加工マスターバッチの水分含有量は、およそ1〜2%である。生成物をさらに噛み加工し、開放ミル上で冷却する。
【実施例3】
【0088】
充填剤スラリーの調製
カーボンブラックとシリカ(Cabot Corporation社から入手し得るN234カーボンブラックとペンシルベニア州ピッツバーグのPPG Industries社から入手し得るHiSil(登録商標) 233シリカ)の混合物を水と混合し、粉砕して約10〜15質量%の濃度を有し、カーボンブラック対シリカの比が60:40〜80:20(質量による)の範囲であるスラリーを調製する。スラリーをホモジナイザーに約20.684MPa (3000psi)の操作圧力で供給して微細分散カーボンブラックスラリーを製造し、このスラリーを噴流として混合領域に導入する。スラリー流量を約690〜960kg/時(湿潤基準)に調整して農園ラテックスと一緒に製造した複合物中の最終充填剤負荷量を修正し、また、ラテックス濃縮物を使用したときは約1145kg/時に調整する。
【0089】
第1ラテックス給送
約27〜31%の乾燥ゴム含有量を有する農園ラテックスまたは天然ゴムラテックス濃縮物を凝固反応器の混合領域にポンピングする。ラテックス流量を約320〜790kg/時の間に調整して最終充填剤負荷量を修正する。
【0090】
充填剤とラテックスの混合
充填剤スラリーとラテックスを、ラテックスを図1に示す反応器と同様な凝固反応器の混合部分(例えば、混合部分10)内の充填剤スラリー中に同伴させることによって混合する。同伴過程において、充填剤はラテックス中に緊密に混合し、混合物は凝固する。
【0091】
第2ラテックス給送
農園ラテックスを、第1区分と第2区分間の移行領域(例えば、図1における20a)の充填剤スラリーとラテックスの凝固中の混合物中に、約80kg/時(湿潤基準)の速度で出発して3〜8バールの圧力にてポンピングする。ラテックスを凝固反応器の壁に対して直角に注入する。ポンピング速度を、拡散機から出てくる凝固物が所望の形態を示すまで高くとも300kg/時(湿潤基準)まで次第に上昇させる。
【0092】
脱水
凝固反応器から排出したマスターバッチ小片を、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社)によって10〜20%に脱水する。上記押出機において、マスターバッチ小片を圧縮し、小片から絞り出した水を上記押出機の穴あきバレルから排出する。
【0093】
乾燥および冷却
脱水凝固物を連続配合機(Farrel Continuous Mixer (FCM);Farrel Corporation社)に落し、脱水凝固物を噛み加工し、1phrの酸化防止剤(N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン(6PPD;ミズーリ州セントルイスのFlexsys社)および1.5phrのカップリング剤(ビス‐(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT、Si‐69;ドイツ国エッセンのEvonik Industries社から入手し得る)と混合する。上記FCMから出て来る噛み加工マスターバッチの水分含有量は、およそ1〜2%である。生成物をさらに噛み加工し、開放ミル上で冷却して乾燥エラストマー複合物を調製する。
【実施例4】
【0094】
乾燥カーボンブラック(N234、Cabot Corporation社から入手)を水と混合し、粉砕して約10〜15質量%の濃度を有するスラリーを調製した。スラリーをホモジナイザーに約20.684MPa (3000psi)の操作圧力で供給して微細分散カーボンブラックスラリーを製造し、このスラリーを噴流として混合領域に導入した。カーボンブラック流量(乾燥基準)は、下記の表4に明記している。
【0095】
第1ラテックス給送
約27〜31%の乾燥ゴム含有量を有する農園ラテックスを凝固反応器の混合領域にポンピングした。第1ゴムの混合領域への給送量(乾燥ゴム基準)は、下記の表4に示している。
【0096】
カーボンブラックとラテックスの混合
カーボンブラックスラリーとラテックスを、ラテックスを図1に示す反応器と同様な凝固反応器の混合部分(例えば、混合部分10)内のカーボンブラックスラリー中に同伴させることによって混合した。同伴過程において、カーボンブラックはラテックス中に緊密に混合し、混合物は凝固した。
【0097】
第2ラテックス給送
農園ラテックスを拡散機の第1区分と第2区分の間の移行領域(例えば、図1における20a)における凝固反応器の下流拡散機部分内にポンピングし、角度α(図2参照)は7度であった。拡散機の第1区分(例えば、図1における18a)の長さは、4インチ(10.2cm)と8.5インチ(21.6cm)の間で変動させた;結果として得られる第2ラテックス流導入前の滞留時間を第2ゴムの給送量(乾燥ゴム基準)と一緒に表4に示している。比較例における相応する滞留時間(即ち、拡散機の第1区分内での滞留時間)は、1.8*10-2秒であった。第1ラテックスと第2ラテックスおよびカーボンブラックスラリーのポンピング速度は、450〜500kg/時の生産速度(乾燥基準)を達成するように調整した。
【0098】
表4

【0099】
実施例4‐1〜4‐4の結果を図4に示す。図4は、充填剤負荷量を最高化するための最適滞留時間を明白に示している。そのような最高値は、上述した理論と一致している。理論によれば、ラテックス粒子の実質装飾前の第2ラテックス流の導入は、遠すぎる下流に導入された場合、ゴム‐充填剤凝集体を一緒に結合させるよりはむしろ、第2ラテックス流中のゴム粒子も装飾されるようになると共に、第2ラテックス流は凝固中の混合物と完全には混合しない。実施例4‐5および4‐6においては、第2ゴム流の注入速度を、実施例4‐3の滞留時間と同様な滞留時間を維持しながら変化させた。結果は、上記の理論と一致している;一定量の第2ラテックスのみしか個々のゴム‐充填剤凝集体を凝集性凝固物として一緒に結合させるのに必要とせず、さらなる第2ラテックスは、最終製品負荷量を希釈するだけである。
【0100】
脱水
凝固反応器から排出したマスターバッチ小片を、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社)によって10〜20%水分に脱水した。上記押出機において、マスターバッチ小片を圧縮し、小片から絞り出した水を上記押出機の穴あきバレルから排出した。
【0101】
乾燥および冷却
脱水凝固物を連続配合機(Farrel Continuous Mixer (FCM);Farrel Corporation社)に落し、脱水凝固物を噛み加工し、1phrの酸化防止剤(N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン(6PPD;ミズーリ州セントルイスのFlexsys社)と混合した。上記FCMから出て来る噛み加工マスターバッチの水分含有量は、およそ1〜2%であった。生成物をさらに噛み加工し、開放ミル上で冷却して乾燥エラストマー複合物を製造した。実際のカーボンブラック負荷量は、乾燥エラストマー複合物においてTGA法によって測定し、表4に示している。乾燥エラストマー複合物を加硫した;加硫エラストマー複合物の機械的性質(例えば、tanΔ、300%および100%歪みでの応力比)は、低めの充填剤負荷量を有し且つ同じ方法を使用するが第2ラテックス無しで調製した加硫エラストマー複合物の負荷量と同様な負荷量によっては変動を示した。第2ラテックス注入の使用は、より高負荷エラストマー複合物の製造を、最終ゴムコンパウンドの性能を犠牲にすることなく可能にしている。
【実施例5】
【0102】
この実施例は、本発明に従って製造した高容量画分のカーボンブラックを含むエラストマー複合物を含むゴム組成物の性質の改良を、実施例4において使用した湿式混合方法によって製造した低めの容量画分のカーボンブラックを含むエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤの既に改良された性質および乾式混合によって製造した加硫ゴム組成物と比較して示す。
【0103】
マスターバッチの製造
マスターバッチAは、下記のとおり、実施例1に従って製造した:
・マスターバッチA1は、表2DのN234、66.1phrの測定カーボンブラック負荷量に相応する;
・マスターバッチA2は、表2Fの実験用ブラック1、59phrの測定カーボンブラック負荷量に相応する;
・マスターバッチA3は、表2FのN134、64.4phrの測定カーボンブラック負荷量に相応する。
【0104】
マスターバッチBは、下記のとおり、対照サンプルを製造するための実施例4において使用した湿式混合方法に従う同じカーボンブラックおよび同じ農園ラテックスによって製造した:
マスターバッチB1は、50phrのN234を含む;
マスターバッチB2は、49phrの実験用ブラック1を含む;
マスターバッチB3は、50phrのN134を含む。
【0105】
下記の試験を、以下の方法で実施する:ジエンエラストマーと補強用充填剤、またはジエンエラストマーと補強用充填剤を含むマスターバッチを、70%満たし且つおよそ50℃の初期容器温度を有する密閉ミキサー内に導入し、その後、1分間混練した後、イオウおよびスルフェンアミド一次促進剤を除いた各種他の成分を導入した。その後、熱機械的加工(非生産段階)を、1回または2回の工程で、およそ165℃の最高“落下”温度に達するまで実施した(およそ5分に等しい総混練時間)。
そのようにして得られた混合物を回収し、冷却し、その後、イオウとスルフェンアミド促進剤を開放ミキサー(ホモ・フィニッシャー)において30℃で添加し、混ぜ合せた混合物を3〜4分間混合した(生産段階)。
【0106】
上記組成物を、その後、その物理的または機械的性質の測定のためのプラーク(2〜3mm厚)の形にカレンダー加工した。
【0107】
ゴム組成物CA1〜CA3およびCB1〜CB3を、それぞれ、マスターバッチA1〜A3およびB1〜B3によって製造した。比較ゴム組成物CD1〜CD3およびCE1〜CE3は、乾燥形の同じカーボンブラックおよび固形天然ゴムから乾式混合方法を使用して製造した。
従って、上記組成物は、全て、100phrの天然ゴム(マスターバッチの形または固形物の形のいずれかで導入した)と下記の表5において示すような種々の等級のカーボンブラックを含んでいた。
【0108】
表5

【0109】
また、これらの組成物は、全て、下記の表6に示すさらなる成分も含んでいた。

表6

*N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Flexsys社:“Santocure” CBS)
【0110】
ゴム組成物の特性決定
上記ジエンゴム組成物は、以下で示すように、硬化の前後において特性決定する。
1.ムーニー可塑度
フランス規格NF T 43‐005(1991年)に記載されているような振動(oscillating)稠度計を使用する。ムーニー可塑度測定は、次の原理に従って実施する:生状態(即ち、硬化前)の組成物を100℃に加熱した円筒状チャンバー内で成形する。1分間の予熱後、ローターが試験標本内で2回転/分で回転し、この運動を維持するための仕事トルクを4分間の回転後に測定する。ムーニー可塑度(ML 1 + 4)は、“ムーニー単位”(MU、1MU = 0.83ニュートン.メートル)で表す。
【0111】
2.分散性
知られているとおり、ゴムマトリックス中の充填剤分散性は、Z値によって示すことができ、この値は、レチキュレーション(reticulation)後、S. Otto and Al in Kautschuk Gummi Kunststoffe, 58 Jahrgang, NR 7‐8/2005の“New Reference value for the description of Filler Dispersion with the Dispergrader 1000NT”according to standard ISO 11345と題した論文によって説明された方法に従い測定した。
Z値の算出は、Dynisco社による装置“disperGRADER+”(その手順およびその操作ソフトウェア“disperDATA”を備えている)によって測定したときの分散していない領域のパーセンテージに基づき、下記の等式に従う:
Z = 100−(分散していない領域のパーセンテージ)/0.35
【0112】
分散していない領域のパーセンテージは、カメラを使用し、観測表面に対し30°の角度の光源によって測定した。光ドットは充填剤および凝集体に関連し、一方、暗い背景はゴムマトリックスに関連する;数値処理により、画像を黒色および白色像に転換し、上記の文献においてS. Ottoが説明しているように、分散していない領域のパーセンテージの判定を可能にする。
値Zが高いほど、充填剤のゴムマトリックス中での分散は良好である(100のZ値は完全混合に相当し、0のZ値は貧弱な混合に相当する)。
【0113】
3.流動度測定
測定は、規格DIN 53529:パート3 (1983年6月)従い、振動室レオメーターにより150℃で実施する。時間の関数としての流動度測定トルクの変化によって、加硫反応の結果としての組成物の剛化の変化を説明する。測定値を規格DIN 53529:パート2 (1983年3月)従い処理する:tiは、誘導時間、即ち、加硫反応を開始するのに必要な時間であり;tα(例えば、t90)は、α%、即ち、最低トルクと最高トルクとの差のα%(例えば、90%)の転換率を達成するのに必要な時間である。また、K (分-1で表す)で示し、30%および80%の間の転換率を算出し、加硫速度の評価を可能にする第1順位の転換速度定数も測定する。
【0114】
B) 引張試験:
これらの試験は、弾性応力および破断点諸特性の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年9月のフランス規格 NF T 46‐002に従って実施した。公称割線モジュラス(即ち、MPaでの見掛け応力)を、10%伸び(M10と記す)、100%伸び(M100と記す)および300%伸び(M300と記す)において、2回目の伸びにおいて(即ち、測定自体において予測される伸長度に対する順応サイクル後に)測定する。
【0115】
150℃で40分間硬化させた前後において測定した諸性質を、下記の表7、8および9に示している(各表は、1つの特定のカーボンブラック等級に相応している)。
【0116】

【0117】

【0118】

【0119】
湿式混合方法によって製造した全ての組成物(CA1〜CA3およびCB1〜CB3)は、同じ成分を含むが乾式混合方法によって製造した組成物(CD1〜CD3およびCE1〜CE3)と比較したとき、上述した全ての性質、即ち、分散性(Z値で示した)、加工性(ムーニー)、流動度(T99およびK)および補強性(M300およびM300/M100)の改良を示していたことが理解できる。従って、本発明の方法によって可能にしたカーボンブラックのより高い負荷量は、米国特許第6,048,923号に記載されているタイプの湿式混合機械的凝固方法によって得られる改良を維持している。
【0120】
さらにまた、湿式混合方法によって製造したコンパウンドを乾式混合方法によって製造したコンパウンドと比較したとき、カーボンブラックの高負荷量で得られた改良の割合は、上述した全ての性質において、カーボンブラックの低めの負荷量において得られた改良よりも高い。
【0121】
本発明の好ましい実施態様についての上記説明は、例示および説明目的で提示している。包括であることまたは本発明を開示した正確な態様に限定することを意図していない。修正および変更は、上記の教示に照らして可能であり、或いは本発明の実施から確保し得る。各実施態様は、本発明の原理およびその実際的応用を説明し当業者が本発明を各種実施態様において且つ想定する特定の使用に適するような種々の修正でもって使用することを可能にするために選定し説明している。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその等価物によって明確にすべきである。
【符号の説明】
【0122】
10 混合部分
11 凝固反応器
12 充填剤供給ライン
14 ラテックス供給ライン
16 拡散機部分
18a〜18d 拡散機部分16の各区分
20a〜c 移行領域
22 注入装置
24 滞留タンク
26 ポンプ
28 注入ライン
34 出口
40 ニップル
42 インジェクター
42a 注入オリフィス
44 Oリング
α 移行領域20aの角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含む方法によって調製した少なくとも1種のエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤ:
第1のエラストマーを含む第1のエラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの凝固中の混合物を導管に沿って流動させる工程;および、
第2のエラストマーを含む第2のエラストマーラテックスを前記凝固中の混合物の流れに導入する工程。
【請求項2】
前記方法が、前記凝固中の混合物を流動させる工程の前に、前記凝固中の混合物を、前記第1エラストマーラテックスの連続流を、混合領域から排出端まで延びている細長い凝固領域を構成し且つ前記導管を含む凝固反応器の前記混合領域に供給し、そして、粒状充填剤を含む流体の連続流を圧力下に前記凝固反応器の前記混合領域に供給して前記凝固中の混合物を調製することによって生成させる工程をさらに含む、請求項1記載の方法によるタイヤ。
【請求項3】
粒状充填剤を含む前記流体の連続流が約30m/秒〜約250m/秒の速度を有し、前記第1エラストマーラテックスの連続流が最大で約10m/秒の速度を有し、そして、前記第2エラストマーラテックスの導入前の前記凝固中の混合物の前記凝固反応器内の滞留時間が1×10-2秒〜約6×10-2秒である、請求項2記載の方法によるタイヤ。
【請求項4】
前記導管が、第1直径を有する第1導管部分、前記第1直径よりも大きい第2直径を有する第2導管部分、および前記第1直径から前記第2直径まで増大する直径を有する前記第1導管部分と前記第2導管部分間の移行領域を含み;流動工程が、前記凝固中の混合物を前記第2導管部分内に前記第1導管部分から流動させることを含み、そして、導入工程が、前記第2エラストマーラテックスを前記移行領域内の前記凝固中の混合物中に導入することを含む、請求項1〜3記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項5】
前記凝固中の混合物の流動工程が、前記凝固中の混合物を前記移行領域に乱流条件下に流動させることを含む、請求項4記載の方法によるタイヤ。
【請求項6】
前記複合物中の前記第2エラストマーの量が、約0.5質量%〜約50質量%である、請求項1〜5記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項7】
前記複合物中の前記第2エラストマーの量が、約16質量%〜約38質量%である、請求項1〜5記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項8】
前記第2エラストマーが、合成エラストマーである、請求項1〜7記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項9】
前記第2エラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスである、請求項1〜7記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項10】
前記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、またはこれらの2種以上の組合せを含む、請求項9記載の方法によるタイヤ。
【請求項11】
前記天然ゴムラテックスの成分が、化学的にまたは酵素により変性されている、請求項9記載の方法によるタイヤ。
【請求項12】
前記粒状充填剤が、少なくとも95m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および80mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;凝固ラテックス複合物が、少なくとも65phrの前記カーボンブラックを含む、請求項1〜11記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項13】
前記粒状充填剤が、少なくとも68m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;凝固ラテックス複合物が、少なくとも70phrの前記カーボンブラックを含む、請求項1〜11記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項14】
前記粒状充填剤が、60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;該カーボンブラックが、表面積を有し、前記凝固ラテックス複合物中に、L ≧ −0.26*S + 94 (式中、Lは、ゴム100部当り部(phr)での前記凝固ラテックス複合物中の前記カーボンブラックの量であり;Sは、STSAによって測定したときのm2/gでの前記表面積である)を満足させる量で存在する、請求項1〜11記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項15】
前記エラストマー複合物が、少なくとも10phrの前記粒状充填剤を含む、請求項1〜14記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項16】
下記の工程を含む方法によって調製した少なくとも1種のエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤトレッド:
第1のエラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの凝固中の混合物を導管に沿って流動させる工程;および、
第2のエラストマーラテックスを前記凝固中の混合物の流れに導入する工程。
【請求項17】
前記方法が、前記凝固中の混合物を流動させる工程の前に、前記凝固中の混合物を、前記第1エラストマーラテックスの連続流を、混合領域から排出端まで延びている細長い凝固領域を構成し且つ前記導管を含む凝固反応器の前記混合領域に供給し、そして、粒状充填剤を含む流体の連続流を圧力下に前記凝固反応器の前記混合領域に供給して前記凝固中の混合物を調製することによって生成させる工程をさらに含む、請求項16記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項18】
粒状充填剤を含む前記流体の連続流が約30m/秒〜約250m/秒の速度を有し、前記第1エラストマーラテックスの連続流が最大で約10m/秒の速度を有し、そして、前記第2エラストマーラテックスの導入前の前記凝固中の混合物の前記凝固反応器内の滞留時間が1×10-2秒〜約6×10-2秒である、請求項17記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項19】
前記導管が、第1直径を有する第1導管部分、前記第1直径よりも大きい第2直径を有する第2導管部分、および前記第1直径から前記第2直径まで増大する直径を有する前記第1導管部分と前記第2導管部分間の移行領域を含み;流動工程が、前記凝固中の混合物を前記第2導管部分内に前記第1導管部分から流動させることを含み、そして、導入工程が、前記第2エラストマーラテックスを前記移行領域内の前記凝固中の混合物中に導入することを含む、請求項16〜18記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項20】
前記凝固中の混合物の流動工程が、前記凝固中の混合物を前記移行領域に乱流条件下に流動させることを含む、請求項19記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項21】
前記複合物中の前記第2エラストマーの量が、約0.5質量%〜約50質量%である、請求項16〜20記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項22】
前記複合物中の前記第2エラストマーの量が、約16質量%〜約38質量%である、請求項16〜21記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項23】
前記第2エラストマーが、合成エラストマーである、請求項16〜22記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項24】
前記第2エラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスである、請求項16〜23記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項25】
前記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、またはこれらの2種以上の組合せを含む、請求項24記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項26】
前記天然ゴムラテックスの成分が、化学的にまたは酵素により変性されている、請求項24記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項27】
前記粒状充填剤が、少なくとも95m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および80mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;前記エラストマー複合物が、少なくとも65phrの前記カーボンブラックを含む、請求項16〜26記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項28】
前記粒状充填剤が、少なくとも68m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;前記エラストマー複合物が、少なくとも70phrの前記カーボンブラックを含む、請求項16〜26記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項29】
前記粒状充填剤が、60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;該カーボンブラックが、表面積を有し、前記エラストマー複合物中に、L ≧ −0.26*S + 94 (式中、Lは、ゴム100部当り部(phr)での前記エラストマー複合物中の前記カーボンブラックの量であり;Sは、STSAによって測定したときのm2/gでの前記表面積である)を満足させる量で存在する、請求項16〜26記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項30】
前記エラストマー複合物が、少なくとも10phrの前記粒状充填剤を含む、請求項16〜29記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項31】
下記の工程を含む方法によって調製した少なくとも1種のエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤ:
第1エラストマーを含む第1エラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの凝固中の混合物の、第1の乱流度を有する流れを生成させる工程;
前記第1乱流度を第2の乱流度に変化させる工程;および、
第2エラストマーラテックスを、凝固物中に、前記凝固流が前記第2乱流度を有する位置で導入する工程。
【請求項32】
流れの生成工程が、前記第1エラストマーラテックスの連続流を、混合領域から排出端まで延びている細長い凝固領域を構成する凝固反応器の前記混合領域に供給し、そして、前記粒状充填剤スラリーの連続流を圧力下に前記凝固反応器の前記混合領域に供給して前記凝固中の混合物を調製することを含む、請求項31記載の方法によるタイヤ。
【請求項33】
粒状充填剤を含む前記流体の連続流が約30m/秒〜約250m/秒の速度を有し、前記第1エラストマーラテックスの連続流が最大で約10m/秒の速度を有し、そして、前記第2エラストマーラテックスの導入前の前記凝固中の混合物の前記凝固反応器内の滞留時間が1×10-2秒〜約6×10-2秒である、請求項32記載の方法によるタイヤ。
【請求項34】
前記複合物中の前記第2エラストマーの量が、約0.5質量%〜約50質量%である、請求項31〜33記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項35】
前記複合物中の前記第2エラストマーの量が、約16質量%〜約38質量%である、請求項31〜34記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項36】
前記第2エラストマーが、合成エラストマーである、請求項31〜35記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項37】
前記第2エラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスである、請求項31〜36記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項38】
前記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、またはこれらの2種以上の組合せを含む、請求項37記載の方法によるタイヤ。
【請求項39】
前記天然ゴムラテックスの成分が、化学的にまたは酵素により変性されている、請求項38記載の方法によるタイヤ。
【請求項40】
前記粒状充填剤が、少なくとも95m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および80mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;凝固ラテックス複合物が、少なくとも65phrの前記カーボンブラックを含む、請求項31〜39記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項41】
前記粒状充填剤が、少なくとも68m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;凝固ラテックス複合物が、少なくとも70phrの前記カーボンブラックを含む、請求項31〜40記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項42】
前記粒状充填剤が、60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックでを含み;該カーボンブラックが、表面積を有し、前記凝固ラテックス複合物中に、L ≧ −0.26*S + 94 (式中、Lは、ゴム100部当り部(phr)での前記凝固ラテックス複合物中の前記カーボンブラックの量であり;Sは、STSAによって測定したときのm2/gでの前記表面積である)を満足させる量で存在する、請求項31〜40記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項43】
前記エラストマー複合物が、少なくとも10phrの前記粒状充填剤を含む、請求項31〜42記載のいずれか1つの方法によるタイヤ。
【請求項44】
下記の工程を含む方法によって調製した少なくとも1種のエラストマー複合物をベースとするゴム組成物を含むタイヤトレッド:
第1エラストマーを含む第1エラストマーラテックスと粒状充填剤スラリーとの凝固中の混合物の、第1の乱流度を有する流れを生成させる工程;
前記第1乱流度を第2の乱流度に変化させる工程;および、
第2エラストマーラテックスを、凝固物中に、前記凝固流が前記第2乱流度を有する位置で導入する工程。
【請求項45】
流れの生成工程が、前記第1エラストマーラテックスの連続流を、混合領域から排出端まで延びている細長い凝固領域を構成する凝固反応器の前記混合領域に供給し、そして、前記粒状充填剤スラリーの連続流を圧力下に前記凝固反応器の前記混合領域に供給して前記凝固中の混合物を調製することを含む、請求項44記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項46】
粒状充填剤を含む前記流体の連続流が約30m/秒〜約250m/秒の速度を有し、前記第1エラストマーラテックスの連続流が最大で約10m/秒の速度を有し、そして、前記第2エラストマーラテックスの導入前の前記凝固中の混合物の前記凝固反応器内の滞留時間が1×10-2秒〜約6×10-2秒である、請求項44記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項47】
前記複合物中の前記第2エラストマーの量が、約0.5質量%〜約50質量%である、請求項44〜46記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項48】
前記複合物中の前記第2エラストマーの量が、約16質量%〜約38質量%である、請求項44〜47記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項49】
前記第2エラストマーが、合成エラストマーである、請求項44〜48記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項50】
前記第2エラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスである、請求項44〜49記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項51】
前記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、またはこれらの2種以上の組合せを含む、請求項50記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項52】
前記天然ゴムラテックスの成分が、化学的にまたは酵素により変性されている、請求項51記載の方法によるタイヤトレッド。
【請求項53】
前記粒状充填剤が、少なくとも95m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および80mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;凝固ラテックス複合物が、少なくとも65phrの前記カーボンブラックを含む、請求項44〜52記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項54】
前記粒状充填剤が、少なくとも68m2/gの表面積(STSAによって測定したとき)および60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;凝固ラテックス複合物が、少なくとも70phrの前記カーボンブラックを含む、請求項44〜53記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項55】
前記粒状充填剤が、60mL/100gよりも高いフタル酸ジブチル吸着度を有するカーボンブラックを含み;該カーボンブラックが、表面積を有し、前記凝固ラテックス複合物中に、L ≧ −0.26*S + 94 (式中、Lは、ゴム100部当り部(phr)での前記凝固ラテックス複合物中の前記カーボンブラックの量であり;Sは、STSAによって測定したときのm2/gでの前記表面積である)を満足させる量で存在する、請求項44〜54記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。
【請求項56】
前記エラストマー複合物が、少なくとも10phrの前記粒状充填剤を含む、請求項44〜55記載のいずれか1つの方法によるタイヤトレッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−505324(P2013−505324A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529744(P2012−529744)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/002518
【国際公開番号】WO2011/034585
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】