説明

タイヤ

【課題】 カーカス層を分割した構造のタイヤにおいて、耐久性の低下抑制と軽量化とを両立することが可能なタイヤを提供する。
【解決手段】 タイヤ1は、第1カーカス部材20aと第2カーカス部材20bとによって構成されるカーカス層20を有し、第1カーカス部材20aと第2カーカス部材20bとがトレッド幅方向に離間して配置されており、カーカス層20よりもタイヤ外側に配置される第1ベルト層31と、カーカス層20よりもタイヤ内側に配置される第2ベルト層32とを備え、第1カーカス部材20aのトレッド部側の端21aと、第2カーカス部材20bのトレッド部側の端21bとは、第1及び第2ベルト層31、32とによって挟み込まれており、第1ベルト層31のトレッド幅方向の幅W1は、第2ベルト層32のトレッド幅方向の幅W2よりも広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1カーカス部材と、第2カーカス部材とによって構成されるカーカス層を有し、第1カーカス部材と第2カーカス部材とがトレッド幅方向に離間して配置されるタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護や省エネルギーの観点から、自動車の低燃費化が進められており、それに伴って空気入りタイヤ(以下、タイヤ)の軽量化が強く求められている。また、このような要求に応じるため、トレッド部を構成するカーカス層の一部がなく、カーカス層がトレッド幅方向に分割された構造のタイヤが提案されている。
【0003】
具体的に、かかる構造のタイヤでは、カーカス層が、一方のビードコアからトレッド部に向かって延びる第1カーカス部材と、他方のビードコアからトレッド部に向かって延びる第2カーカス部材とよって構成されている。また、トレッド幅方向において、第1カーカス部材のトレッド部側の端と、第2カーカス部材のトレッド部側の端との間には、カーカス層がなく、所定間隔の隙間が設けられている。
【0004】
また、かかるタイヤには、カーカス層よりもタイヤ外側に複数のベルト層が配置されており、当該ベルト層が、第1カーカス部材のトレッド部側の端と、第2カーカス部材のトレッド部側の端とに渡って配置されることで、第1及び第2カーカス部材をタイヤ外側から保持するように構成されている。
【0005】
このような構造により、かかるタイヤは、カーカス層を分割していない構造のタイヤと比べて、第1カーカス部材と第2カーカス部材との間に設けた隙間に相当するカーカス層の分だけ、軽量化を図ることができる。
【0006】
ここで、上述した構造のタイヤは、タイヤの軽量化が図れるという利点がある反面、タイヤ内圧が高まった際に、第1カーカス部材と第2カーカス部材とが、トレッド幅方向に広がるとともに、抜け出す可能性があり、タイヤの耐久性が低下するという懸念がもたれていた。
【0007】
そこで、第1及び第2カーカス部材のトレッド部側の端に、新たに補強材を配置した構造のタイヤも提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、特許文献1に示されるタイヤでは、第1及び第2カーカス部材のトレッド部側の端において、当該端のタイヤ内側に補強材が配置されており、当該補強材と、タイヤ外側に配置されるベルト層とによって、第1及び第2カーカス部材のトレッド部側の端を挟み込むように構成されている。
【0008】
このようなタイヤによれば、タイヤ内圧が高まっても、第1及び第2カーカス部材は、トレッド幅方向に広がりにくくなるので、タイヤの耐久性の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−283962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来のタイヤには、次のような問題があった。すなわち、タイヤの軽量化を図るために、カーカス層を分割させているにも関わらず、新たに補強材を配置することによってタイヤの重量が増えてしまい、軽量化の利点が損なわれていた。
【0011】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、カーカス層を分割した構造のタイヤにおいて、耐久性の低下抑制と軽量化とを両立することが可能なタイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
まず、本発明の第1の特徴は、一方のビートコア(例えば、ビートコア10a)からトレッド部(トレッド部40)に向かって延びる第1カーカス部材(第1カーカス部材20a)と、他方のビートコア(例えば、ビートコア10b)から前記トレッド部に向かって延びる第2カーカス部材(第2カーカス部材20b)とによって構成されるカーカス層(カーカス層20)を有し、前記第1カーカス部材と前記第2カーカス部材とがトレッド幅方向に離間して配置されるタイヤ(空気入りタイヤ1)であって、前記カーカス層よりもタイヤ外側に配置される第1ベルト層(第1ベルト層31)と、前記カーカス層よりもタイヤ内側に配置される第2ベルト層(第2ベルト層32)とを備え、前記第1カーカス部材のトレッド部側の端(端21a)と、前記第2カーカス部材のトレッド部側の端(端21b)とは、前記第1ベルト層と前記第2ベルト層とによって挟み込まれており、前記第1ベルト層のトレッド幅方向の幅(幅W1)は、前記第2ベルト層のトレッド幅方向の幅(W2)よりも広いことを要旨とする。
【0013】
このような特徴によれば、第1カーカス部材と第2カーカス部材とによって構成されるカーカス層を有するタイヤにおいて、第1カーカス部材のトレッド部側の端と、第2カーカス部材のトレッド部側の端とが、第1ベルト層と第2ベルト層とによって挟み込まれている。したがって、第1ベルト層と第2ベルト層とが、第1及び第2カーカス部材をタイヤ内側方向と外側方向との両面から保持するので、第1及び第2カーカス部材が、トレッド幅方向に広がることに起因するタイヤの耐久性の低下を抑制できる。
【0014】
特に、第1ベルト層のトレッド幅方向の幅が第2ベルト層のトレッド幅方向の幅よりも広いので、第2ベルト層と第1及び第2カーカス部材とのトレッド幅方向におけるせん断力を緩和させて、第1及び第2カーカス部材がトレッド幅方向に広がることを抑制できる。更に、第1ベルト層の幅が、第2ベルト層の幅よりも広いため、第2ベルト層の幅よりも狭いタイヤと比べて、第2ベルト層の端部と第1及び第2カーカス部材との界面に発生する応力集中(第2ベルト層の端部が第1及び第2カーカス部材に突き刺さる方向への応力集中)を、抑制できる。
【0015】
また、本実施形態に係るタイヤによれば、新たな部材を設けることなく、従来からタイヤに設けられている複数のベルト、すなわち、第1ベルト層と第2ベルト層とを用いて第1及び第2カーカス部材を保持することができるので、新たな部材を設けることによって重量を増加させることなく、タイヤの軽量化の利点を生かすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カーカス層を分割した構造のタイヤにおいて、耐久性の低下抑制と軽量化とを両立することが可能なタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤを示すトレッド幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的に、(1)空気入りタイヤの構成、(2)ベルト層の構成、(3)作用・効果、(4)比較評価、(5)その他の実施形態について説明する。
【0019】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0020】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0021】
(1)空気入りタイヤの構成
本実施形態に係る空気入りタイヤ1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド幅方向断面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、乗用車等に用いられるラジアルタイヤを想定しているが、これに限定されるものではない。なお、空気入りタイヤ1はタイヤ赤道線CLを基準にトレッド幅方向に線対称である。
【0022】
図1に示すように、空気入りタイヤ1は、トレッド幅方向に離間して配置された一対のビードコア10a、10bと、ビードコア10a、10b間をトロイダル状に沿って延びるタイヤの骨格となるカーカス層20と、カーカス層20のタイヤ外側に配置された第1ベルト層31と、カーカス層20のタイヤ内側に配置された第2ベルト層32とを備えている。
【0023】
カーカス層20は、一方のビートコア10aからトレッド部40に向かって延びる第1カーカス部材20aと、他方のビートコア10bからトレッド部40に向かって延びる第2カーカス部材20bとによって構成されている。つまり、カーカス層20は、タイヤ赤道線CLの左側に配置される第1カーカス部材20aと、タイヤ赤道線CLの右側に配置される第2カーカス部材20bとに分割されている。
【0024】
具体的に、第1カーカス部材20aは、一方の端がビードコア10aに折り返すように係留されており、他方の端21aがトレッド部40に向かって延びている。第2カーカス部材20bは、一方の端がビードコア10bに折り返すように係留されており、他方の端21bがトレッド部40に向かって延びている。なお、第1カーカス部材20a及び第2カーカス部材20bは、カーカスコードと、カーカスコードを覆うゴムからなる層とにより構成される。
【0025】
また、空気入りタイヤ1では、第1カーカス部材20aと第2カーカス部材20bとが、トレッド幅方向に所定間隔Dだけ離間して配置されている。なお、第1カーカス部材20aと第2カーカス部材20bとが離間して配置されることによって、空気入りタイヤ1には、隙間領域25が形成されている。
【0026】
このような構成によって、空気入りタイヤ1では、カーカス層が分割されていない空気入りタイヤと比べ、隙間領域25に相当するカーカス層の重量分だけ、軽量化が図られている。
【0027】
第1ベルト層31及び第2ベルト層32は、タイヤ周方向に対して傾斜する方向へ延びる複数本のベルトコードをゴム被覆してなるものであって、かかるベルトコードは、スチール繊維等の剛性の高い素材によって構成されている。なお、第1ベルト層31及び第2ベルト層32の構成については、詳細を後述する。
【0028】
また、空気入りタイヤ1のトレッド幅方向の中央部には、路面と接地するトレッド部40が形成されており、かかるトレッド部40は、カーカス層20を構成する第1及び2カーカス部材20a、20bの一部と、第1ベルト層31及び第2ベルト層32と、これらを覆うトレッドゴムとによって構成されている。トレッド部40には、タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝41が形成され、トレッド部40の左右両側には、サイドウォール部50およびビード部60が一対に設けられている。
【0029】
また、カーカス層20と第2ベルト層32とのタイヤ内側には、インナーライナー70が設けられている。インナーライナー70は、チューブに相当する気密性の高いゴム層によって構成されている。
【0030】
(2)ベルト層の構成
次に、本実施形態に係る空気入りタイヤ1における第1ベルト層31及び第2ベルト層32の構成について図1を参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、カーカス層20よりもタイヤ外側に配置される第1ベルト層31と、カーカス層20よりもタイヤ内側に配置される第2ベルト層32とを備える。なお、図1に示すように、トレッド部40において、タイヤ外側は、タイヤ径方向外側とし、タイヤ内側は、タイヤ径方向内側としてもよい。
【0032】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、第1カーカス部材20aのトレッド部側の端21aと、第2カーカス部材20bのトレッド部側の端21bとは、第1ベルト層31と第2ベルト層32とによって挟み込まれている。
【0033】
また、図1に示すように、第1ベルト層31と第2ベルト層32とは、ドレッド幅方向断面において、第1カーカス部材20aのトレッド部側の端21aから所定の挟み込み量Lの幅だけ、第1カーカス部材20aを挟み込んでいる。なお、第1ベルト層31と第2ベルト層32とは、第2カーカス部材20bにおいても、トレッド部側の端21bから同様の幅だけ挟み込んでいる。
【0034】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1において、第1ベルト層31のトレッド幅方向の幅W1は、第2ベルト層32のトレッド幅方向の幅W2よりも広くなるように構成されている。
【0035】
(3)作用・効果
次に本実施形態に係る空気入りタイヤ1の作用及び効果について説明する。
【0036】
本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、第1カーカス部材20aのトレッド部側の端21aとによって構成されるカーカス層20を有し、第1カーカス部材20aと第2カーカス部材20bとが、トレッド幅方向に所定間隔Dだけ離間して配置されている。
【0037】
また、かかる空気入りタイヤ1は、第1カーカス部材20aのトレッド部側の端21aと、第2カーカス部材20bのトレッド部側の端21bとが、第1ベルト層31と第2ベルト層32とによって挟み込まれている。
【0038】
したがって、第1ベルト層31と第2ベルト層32とが、第1及び第2カーカス部材20a、20bをタイヤ内側方向と外側方向との両面から保持するので、第1及び第2カーカス部材20a、20bが、トレッド幅方向に広がることに起因するタイヤの耐久性の低下を抑制できる。
【0039】
特に、第1ベルト層31のトレッド幅方向の幅W1が第2ベルト層32のトレッド幅方向の幅W2よりも広いので、第2ベルト層32と第1及び第2カーカス部材20a、20bのトレッド幅方向におけるせん断力を緩和させて、第1及び第2カーカス部材20a、20bがトレッド幅方向に広がることを抑制できる。更に、第1ベルト層31の幅W1が、第2ベルト層32の幅W2よりも広いため、第2ベルト層32の幅W2よりも狭い場合と比べて、第2ベルト層32の端部と第1及び第2カーカス部材20a、20bとの界面に発生する応力集中(第2ベルト層32の端部が第1及び第2カーカス部材20a、20bに突き刺さる方向の応力集中)を緩和できる。
【0040】
また、第1ベルト層31と第2ベルト層32とは、タイヤ内圧が高まった際にテンションがかかるため、第1及び第2カーカス部材20a、20bがトレッド幅方向に広がることを効果的に抑制することが可能になる。
【0041】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1によれば、新たな部材を設けることなく、従来からタイヤに設けられている複数のベルト、すなわち、第1ベルト層31と第2ベルト層32とを用いて第1及び第2カーカス部材20a、20bを保持することができるので、新たな部材を設けることによって重量を増加させることなく、タイヤの軽量化の利点を生かすことができる。
【0042】
このように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1によれば、カーカス層20を分割した構造のタイヤにおいて、耐久性の低下抑制と軽量化とを両立することができる。
【0043】
なお、第1ベルト層31と第2ベルト層32とによる第1カーカス部材20aの挟み込み量Lは、空気入りタイヤの重量及び耐久性を考慮すると、第1カーカス部材20aの端21aから15mm以上、25mm以下であることが望ましい。挟み込み量Lが、15mm未満の場合、耐久性の低下が生じて十分な効果が得られない。一方、25mmよりも大きい場合、軽量化のメリットが損なわれる。
【0044】
(4)比較評価
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、(4.1)比較例及び実施例の説明、(4.2)評価方法、(4.3)評価結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0045】
(4.1)比較例及び実施例の説明
耐久性評価及び重量評価を対象として、次の比較例1乃至3及び実施例を用意した。比較例1に係る空気入りタイヤは、従来から知られているカーカス層20が分割されていないものを用いた。また、比較例2に係る空気入りタイヤは、従来から知られているカーカス層20が分割されているものを用いた。すなわち、比較例2に係る空気入りタイヤは、カーカス層20が第1カーカス部材と第2カーカス部材とによって構成され、カーカス層20のタイヤ外側のみに複数のベルト層が配置されているものを用いた。
【0046】
また、比較例3に係る空気入りタイヤは、カーカス層が第1カーカス部材と第2カーカス部材とによって構成されるとともに、第1カーカス部材のトレッド部側の端と、第2カーカス部材のトレッド部側の端とが、第1ベルト層と第2ベルト層とによって挟み込まれているものを用いた。なお、比較例3に係る空気入りタイヤは、第1ベルト層のトレッド幅方向の幅W1が、第2ベルト層32のトレッド幅方向の幅W2よりも狭い。
【0047】
実施例に係る空気入りタイヤは、図1に示される空気入りタイヤ1を用いた。すなわち、実施例に係る空気入りタイヤ1は、カーカス層20が第1カーカス部材20aと第2カーカス部材20bとによって構成されるとともに、第1カーカス部材20aのトレッド部側の端21aと、第2カーカス部材20bのトレッド部側の端21bとが、第1ベルト層31と第2ベルト層32とによって挟み込まれているものを用いた。なお、実施例に係る空気入りタイヤは、第1ベルト層31のトレッド幅方向の幅W1が、第2ベルト層32のトレッド幅方向の幅W2よりも広い。また、実施例に係る空気入りタイヤでは、第1ベルト層31の幅W1が、第2ベルト層32の幅W2よりも広くなるように構成されている点を除き、他の構成は、比較例3に係る空気入りタイヤと同様である。
【0048】
(4.2)評価方法
比較例1乃至2、実施例の空気入りタイヤを用いて、以下の条件において、評価を行った。
【0049】
・ タイヤサイズ :205/55R16
・ リムサイズ :6.5J−16
・ 内圧条件 :3.0kg/cm
・ 荷重条件 :JISに規定されている荷重の2倍
・ 室内温度 :25℃±2℃
・ 耐久性評価方法:60km/hの速度で走行させて、故障発生時の走行距離を測定した。
【0050】
また、耐久性評価方法について具体的に説明する。耐久性評価方法では、各空気入りタイヤを標準リムに装着して25±2℃の室内にて内圧を3.0kg/cm(ゲージ圧:300kPa)に調整し24時間放置後、再度内圧調整を行い、JIS荷重の2倍の荷重をタイヤに負荷した状態で直径3mのドラム上を60km/hの速度で走行させるドラム走行試験を行った。なお、ドラム走行試験では、毎週1回ドラムを停止し、3時間放置後のタイヤ内圧を測定し、上述の内圧に再調整して走行を再開することを繰り返した。
【0051】
そして、24時間毎にドラムを停止し、各空気入りタイヤの外観を検査し、故障の発生の有無を調査した。また、各空気入りタイヤにおいて、外観で判別できる故障が発生した時点で走行を終了し、そのときの走行距離をそれぞれ測定した。
【0052】
(4.3)評価結果
それぞれの空気入りタイヤの評価結果について、表1を参照しながら説明する。表1には、評価結果が示されている。
【0053】
表1において、タイヤ重量は、各タイヤの重量を比較例1の重量を基準(100)にした場合の指数を示しており、この指数が小さいほど軽量である。耐久レベルは、比較例1の空気入りタイヤの走行距離結果を基準(100)とした場合の各空気入りタイヤの走行距離結果を指数として示しており、この指数が大きいほど耐久性に優れている。
【表1】

【0054】
表1に示されるように、実施例に係る空気入りタイヤは、比較例2に係る空気入りタイヤと比較した場合、ほぼ同等の重量を保ちつつ、耐久レベルを向上させる効果があることが証明された。また、実施例に係る空気入りタイヤは、比較例3に係る空気入りタイヤと比較しても、耐久レベルが高いことが証明された。特に、実施例に係る空気入りタイヤは、比較例1に係る空気入りタイヤと耐久レベルが同等であり、カーカス層が分割されていない空気入りタイヤと同等の耐久性を有していることが証明された。
【0055】
従って、実施例の空気入りタイヤ1では、耐久性の低下抑制と軽量化とを両立することが証明された。
【0056】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0057】
例えば、上述した実施形態において、空気入りタイヤ1は、第1ベルト層31と第2ベルト層32との2つの層を有する場合を例に挙げたが、重量及び耐久性を考慮しつつ、更に多くのベルト層を備えていてもよい。
【0058】
また、タイヤとして、空気や窒素ガスなどが充填される空気入りタイヤであってもよく、空気や窒素ガスなどが充填されないソリッドタイヤでもあってもよい。
【0059】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0060】
CL…タイヤ赤道線、D…所定間隔、L…挟み込み量、 W1…幅、W2…幅、1…空気入りタイヤ、10a乃至b…ビートコア、20…カーカス層、20,000km…走行距離、20a…第1カーカス部材、20b…第2カーカス部材、21a…端、21b…端、25…隙間領域、31…第1ベルト層、32…第2ベルト層、40…トレッド部、41…周方向溝、50…サイドウォール部、60…ビード部、70…インナーライナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のビートコアからトレッド部に向かって延びる第1カーカス部材と、他方のビートコアから前記トレッド部に向かって延びる第2カーカス部材とによって構成されるカーカス層を有し、前記第1カーカス部材と前記第2カーカス部材とがトレッド幅方向に離間して配置されるタイヤであって、
前記カーカス層よりもタイヤ外側に配置される第1ベルト層と、
前記カーカス層よりもタイヤ内側に配置される第2ベルト層とを備え、
前記第1カーカス部材のトレッド部側の端と、前記第2カーカス部材のトレッド部側の端とは、前記第1ベルト層と前記第2ベルト層とによって挟み込まれており、
前記第1ベルト層のトレッド幅方向の幅は、前記第2ベルト層のトレッド幅方向の幅よりも広い
ことを特徴とするタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2012−196993(P2012−196993A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61174(P2011−61174)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)