説明

タグアクセス装置

【課題】タグの読み書き精度の向上を図ること。
【解決手段】タグアクセス装置1は、所定の間隔で複数個並べられている試験管10の長手方向に沿った電波の指向性を有する第1のアンテナを備えるRFIDタグ11にアクセスするタグアクセス装置1である。タグアクセス装置1は、第1のアンテナの電波の指向性に正対する方向に設けられ、RFIDタグ11へのアクセス時に中心部の電界強度がRFIDタグ11にアクセス可能な電界強度を維持するマルチフィラーヘリカルアンテナ22を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタグアクセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検体が入った試験管等の検体容器にRFID(Radio Frequency IDentification)タグを取り付け、RFIDタグを読み取るアンテナを用いて、RFIDタグに記憶された情報を読み出したり、RFIDタグに情報を記憶したりする技術が知られている。
【0003】
電波の周波数によっては、電波が検体や周囲の物質に吸収されてしまい、RFIDタグとの情報の読み書きの精度が低くなることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/077645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RFIDタグを読み取る際に一般的に用いられるパッチアンテナの電界は一様ではないため、複数の検体容器に取り付けられたRFIDタグそれぞれに一度に情報を読み書きする場合は、一部の検体容器について読み書きミスが発生するという問題があった。このため、複数タグの読み書きを行おうとしても、50個程度の読み書きが限界であった。また、ムラのある電界では安定した読み書きができないため、検体容器に読み書き可能な電界を通過させるために、読み書きの最中に検体容器を動かす必要があった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、タグの読み書き精度の向上を図るタグアクセス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、開示のタグアクセス装置が提供される。このタグアクセス装置は、所定の間隔で複数個並べられている容器の長手方向に沿った電波の指向性を有する第1のアンテナを備えるRFIDタグにアクセスするタグアクセス装置である。タグアクセス装置は、第1のアンテナの電波の指向性に正対する方向に設けられ、RFIDタグへのアクセス時に中心部の電界強度がRFIDタグにアクセス可能な電界強度を維持する第2のアンテナを有する。
【発明の効果】
【0008】
タグの読み書き精度の向上が図れ、多量のタグの一括読み取りが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態のタグアクセス装置を示す図である。
【図2】実施の形態の制御装置のハードウェアの一構成例を示す図である。
【図3】RFIDタグを説明する図である。
【図4】マルチフィラーヘリカルアンテナの垂直方向の電波放射パターンを説明する図である。
【図5】パッチアンテナの垂直方向の電波放射パターンを説明する図である。
【図6】マルチフィラーヘリカルアンテナの水平方向の電波放射パターンを説明する図である。
【図7】RFIDタグに記憶されたデータを読み取る際の制御装置の処理を示すシーケンス図である。
【図8】RFIDタグにデータを書き込む際の制御装置の処理を示すシーケンス図である。
【図9】実施の形態のタグアクセス装置の使用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態のタグアクセス装置を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施の形態のタグアクセス装置を示す図である。
第1の実施の形態のタグアクセス装置1は、タグアクセスアンテナ装置2とリーダライタ3とを有している。
【0011】
タグアクセスアンテナ装置2は、リーダライタ3の指示に応じて電界を発生し、複数の試験管10それぞれに取り付けられたRFIDタグ11にアクセスする。なお、試験管10は、検体容器の一例である。各試験管10には、例えば血液等の検体が収容されている。各試験管10の最大半径は、例えば12mm程度である。
【0012】
各試験管10は、検体ラック12に収容されている。検体ラック12は、複数の試験管10を所定の間隔(例えば、試験管の中心間が20mm間隔)に並べて保持する。この検体ラック12は、図示しない支持機構によって支持されている。
【0013】
タグアクセスアンテナ装置2は、筐体21と、筐体21に取り付けられた4つのマルチフィラーヘリカルアンテナ22と、電波吸収体23とを有している。なお、図1では、筐体21を点線で示し、筐体21の内部を透過して示している。
【0014】
筐体21の底面は、銅等の金属板で構成されている。そして、筐体21の側面および上面は、例えばプラスチック等の絶縁部材で構成されている。筐体21の底面を、金属板で構成することにより、マルチフィラーヘリカルアンテナ22の電波特性の安定を図ることができる。
【0015】
各マルチフィラーヘリカルアンテナ22は、筐体21の上面に例えば両面テープ等で取り付けられている。各マルチフィラーヘリカルアンテナ22は、それぞれが発生させる電界が互いに重なるように等間隔(例えば、150〜200mm間隔)で筐体2に取り付けられている。各マルチフィラーヘリカルアンテナ22は、それぞれ同軸ケーブル5によってリーダライタ3に接続されている。なお、筐体21の側面には、同軸ケーブル5を通す孔部が設けられている。
【0016】
各マルチフィラーヘリカルアンテナ22は、円偏波アンテナを構成する給電点にハイブリッド(90°位相器付きの分配器)を有している。これにより、RFIDタグ11へのアクセス精度が向上する。各マルチフィラーヘリカルアンテナ22は、UHF帯(例えば950MHz帯)を用いてRFIDタグ11にアクセスする。UHF帯を用いることで、RFIDタグ11にアクセス可能な距離を、13.56MHz帯を用いてアクセス可能な距離よりも延長することができる。
【0017】
電波吸収体23は、マルチフィラーヘリカルアンテナ22を挟んでRFIDタグ11と反対位置に配置される。この電波吸収体23は、例えば、内部に炭素粉が入ったウレタン樹脂で構成されている。
【0018】
リーダライタ3は、制御装置4のRFIDタグ11へのアクセス要求に応じて制御装置4と各種コマンドをやりとりする。その後、マルチフィラーヘリカルアンテナ22に対し、電力を供給し、マルチフィラーヘリカルアンテナ22に電界を発生させる。また、リーダライタ3は、電界の発生によりRFIDタグ11から得られた情報を制御装置4に転送する。
【0019】
制御装置4は、ユーザが、タグアクセス装置1にRFIDタグ11へのアクセスを実行させる際に操作する装置である。
図2は、実施の形態の制御装置のハードウェアの一構成例を示す図である。
【0020】
制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0021】
RAM102は、制御装置4の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に使用する各種データが格納される。
【0022】
バス108に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、ドライブ装置106、および通信インタフェース107がある。
【0023】
ハードディスクドライブ103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ハードディスクドライブ103は、制御装置4の二次記憶装置として使用される。ハードディスクドライブ103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0024】
グラフィック処理装置104には、モニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ104aの画面に表示させる。モニタ104aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等が挙げられる。
【0025】
入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス105bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等が挙げられる。
【0026】
ドライブ装置106は、例えば、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された光ディスクや、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の持ち運び可能な記録媒体に記録されたデータの読み取りを行う。例えば、ドライブ装置106が光学ドライブ装置である場合、レーザ光等を利用して、光ディスク200に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク200には、Blu−ray(登録商標)、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。
【0027】
通信インタフェース107は、ネットワーク60に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク60を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0028】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。次に、RFIDタグを説明する。
図3は、RFIDタグを説明する図である。
【0029】
RFIDタグ11は、両面テープ等で試験管10の側面に取り付けられている。このRFIDタグ11は、ループアンテナを形成する銅製の微小ループアンテナ111と、例えば、ユニークなIDや、試験管10に収容された検体に関する情報を記憶する記憶領域が設定されたICチップ112とを有している。なお、この他にもRFIDタグ11に数字やバーコード情報等任意の情報が設定されていてもよい。例えば微小ループアンテナ111の最大外径は、33mm、厚さは20μm、ループを形成する銅の幅は2mmとすることができる。また、微小ループアンテナ111の構成材料は、前述した銅以外にも銀や、アルミニウム等の導電体を用いることができる。図3では、微小ループアンテナ111の電波の指向性の一例を点線で示している。RFIDタグ11を試験管10の側面に取り付けることで、水平方向に比べ、垂直方向、すなわち試験管10の長手方向に強い指向性を示す。このため、試験管10自身内部の検体や、隣接する試験管10やその内部の検体に電波が遮られる可能性を低くすることができる。また、RFIDタグ11を側面に取り付けるだけで、垂直方向に強い指向性を示すので、RFIDタグ11を取り付ける特別な試験管を用意することなく、既存の試験管10を用いることができる。更に、水平方向への指向性の低い微小ループアンテナ111を採用したRFIDタグ11を用いることで、試験管内部の物質の誘電率等の影響を受け難くなっている。この事で、試験管内部の検体の量や組成による影響を受け難くすることができる。
【0030】
図4は、マルチフィラーヘリカルアンテナの垂直方向の電波放射パターンを説明する図である。
マルチフィラーヘリカルアンテナ22は、パッチアンテナ等に比べて、マルチフィラーヘリカルアンテナ22近傍での電界ムラが小さく、また、広い電波放射面を確保することができる。
【0031】
図4は、RFIDタグ11にアクセスするときのマルチフィラーヘリカルアンテナ22が発生する電波の放射パターンを示している。マルチフィラーヘリカルアンテナ22の端部22aの電界強度は、例えば、5.0000e+002(V/m)である。また、マルチフィラーヘリカルアンテナ22の中心部22bの電界強度は、例えば、1.4266e+002(V/m)である。この中心部22aの電界強度は、マルチフィラーヘリカルアンテナ22上に設置されたRFIDタグ11にアクセス可能な電界強度である。
【0032】
図5は、パッチアンテナの垂直方向の電波放射パターンを説明する図である。この図5は、比較例として用意したパッチアンテナ90が発生する電波の放射パターンを示している。パッチアンテナ90は、構造上、アンテナ中心がλ/2点となるので、電界強度が弱まる。例えば、パッチアンテナ90の端部91の電界強度は、5.0000e+002(V/m)程度であるのに対し、パッチアンテナの中心部92の電界強度は、7.1429e+001(V/m)程度である。この中心部92の電界強度は、パッチアンテナ90の中心部に配置されたRFIDタグ11が応答しなくなり、アクセスミスの発生する可能性が、マルチフィラーヘリカルアンテナ22に比べて高まる電界強度である。
【0033】
図4および図5に示したように、マルチフィラーヘリカルアンテナ22の中心部22bの電界強度は、パッチアンテナの中心部92の電界強度に比べて大きくなる。
図6は、マルチフィラーヘリカルアンテナの水平方向の電波放射パターンを説明する図である。
【0034】
図6(a)は、マルチフィラーヘリカルアンテナの水平方向の電波放射パターンを示しており、図6(b)は、パッチアンテナの水平方向の電波放射パターンを示している。
ここでパッチアンテナに比べ、マルチフィラーヘリカルアンテナの方が、電波の範囲が広範囲に亘っている。このため、RFIDタグ11を、マルチフィラーヘリカルアンテナ22上に配置した状態でRFIDタグ11へのアクセスを行うと、パッチアンテナ等を用いてアクセスする場合に比べ、アクセスミスを回避できる可能性を高めることができる。
【0035】
また、アクセス対象のRFIDタグ11の個数に応じたマルチフィラーヘリカルアンテナ22を用意したり、動作させるマルチフィラーヘリカルアンテナ22の個数を変えたりすることで、アクセスするRFIDタグ11の個数の変化に容易に対応することができる。
【0036】
次に、タグアクセス装置1を用いたRFIDタグ11へのアクセス方法を説明する。
タグアクセス装置1を用いて各RFIDタグ11にアクセスする際には、タグアクセス装置1を利用する利用者は、支持機構を操作して、タグアクセスアンテナ装置2の上方に検体ラック12を位置させる。このとき検体ラック12は、筐体21上に載置してもよいし、筐体21から所定距離だけ離間させた位置に配置してもよい。
【0037】
検体ラック12がタグアクセスアンテナ装置2の上方に位置した状態で、利用者はモニタ104aを見ながら、制御装置4に接続されたマウス105b等を操作してHDD103に記憶されたタグアクセスアプリケーションを起動する。なお、予めタグアクセスアプリケーションを起動しておいてもよい。タグアクセスアプリケーションが起動すると、例えばモニタ104aには、データ読み込み開始およびデータ書き込み開始のボタンが表示される。利用者がマウス105b等を操作して、モニタ104aに表示されたデータ読み込み開始のボタンを押下することにより、制御装置4は、リーダライタ3を制御してRFIDタグ11に記憶されたデータの読み出しを開始する。また、データ書き込み開始のボタンを押下することにより、制御装置4は、リーダライタ3を制御してRFIDタグ11にデータの書き込みを開始する。
【0038】
次に、制御装置4のリーダライタ3の制御方法を説明する。
図7は、RFIDタグに記憶されたデータを読み取る際の制御装置の処理を示すシーケンス図である。
【0039】
[シーケンスSeq1] 制御装置4は、読み取り対象のRFIDタグ11を識別するセレクトコマンドをリーダライタ3に発行する。
[シーケンスSeq2] リーダライタ3は、セレクトコマンドに対し、制御装置4に応答する。
【0040】
[シーケンスSeq3] 制御装置4は、全EPCコード取得コマンドをリーダライタ3に発行する。
[シーケンスSeq4] リーダライタ3は、全EPCコード取得コマンドに対し、各マルチフィラーヘリカルアンテナ22に電界を発生させる。そして、リーダライタ3は、各マルチフィラーヘリカルアンテナ22が読み取った全てのRFIDタグ11の識別情報を制御装置4に応答する。
【0041】
[シーケンスSeq5] 制御装置4は、シーケンスSeq4にて受け取ったRFIDタグ11の識別情報から読み取り対象のRFIDタグ11の識別情報を指定するセレクトコマンドをリーダライタ3に発行する。
【0042】
[シーケンスSeq6] リーダライタ3は、セレクトコマンドに応じたRFIDタグ11を制御装置4に応答する。
[シーケンスSeq7] 制御装置4は、シーケンスSeq5にて指定したRFIDタグ11のHandleを指定するGet Handleコマンドをリーダライタ3に発行する。
【0043】
[シーケンスSeq8] リーダライタ3は、Get Handleコマンドに応じて、シーケンスSeq5にて指定したRFIDタグ11にHandleを特定する。そして、特定したHandleを制御装置4に応答する。ここで、Handleは、例えば16ビットのランダムなコードである。Handleが特定されたRFIDタグ11は、以降は、このHandleによって一意に識別される。
【0044】
[シーケンスSeq9] 制御装置4は、特定したHandleのRFIDタグ11内の情報の読み出しを要求するReadコマンドをリーダライタ3に発行する。
[シーケンスSeq10] リーダライタ3は、Readコマンドに応じてRFIDタグ11内の情報の読み出しを実行する。
【0045】
図8は、RFIDタグにデータを書き込む際の制御装置の処理を示すシーケンス図である。
[シーケンスSeq11] 制御装置4は、書き込み対象のRFIDタグ11を識別するセレクトコマンドをリーダライタ3に発行する。
【0046】
[シーケンスSeq12] リーダライタ3は、セレクトコマンドに対し、制御装置4に応答する。
[シーケンスSeq13] 制御装置4は、全EPCコード取得コマンドをリーダライタ3に発行する。
【0047】
[シーケンスSeq14] リーダライタ3は、全EPCコード取得コマンドに対し、各マルチフィラーヘリカルアンテナ22に電界を発生させる。そして、リーダライタ3は、各マルチフィラーヘリカルアンテナ22が読み取った全てのRFIDタグ11の識別情報を制御装置4に応答する。
【0048】
[シーケンスSeq15] 制御装置4は、シーケンスSeq14にて受け取ったRFIDタグ11の識別情報から書き込み対象のRFIDタグ11の識別情報を指定するセレクトコマンドをリーダライタ3に発行する。
【0049】
[シーケンスSeq16] リーダライタ3は、セレクトコマンドに応じたRFIDタグ11を制御装置4に応答する。
[シーケンスSeq17] 制御装置4は、シーケンスSeq15にて指定したRFIDタグ11のHandleを指定するGet Handleコマンドをリーダライタ3に発行する。
【0050】
[シーケンスSeq18] リーダライタ3は、Get Handleコマンドに応じて、シーケンスSeq5にて指定したRFIDタグ11にHandleを特定する。そして、特定したHandleを制御装置4に応答する。
【0051】
[シーケンスSeq19] 制御装置4は、Req_RNコマンドをリーダライタ3に発行する。Req_RNコマンドは、リーダライタ3とRFIDタグ11が互いの通信を行う際に電文を暗号化してやり取りを行う際に使用する、例えば16ビットのランダムナンバーを要求するコマンドである。
【0052】
[シーケンスSeq20] リーダライタ3は、Req_RNコマンドに応じてランダムナンバーを生成する。そして、生成したランダムナンバーを制御装置4に応答する。
[シーケンスSeq21] 制御装置4は、ランダムナンバーを用いてRFIDタグ11への書き込みをリーダライタ3に要求するWriteコマンドをリーダライタ3に発行する。
【0053】
[シーケンスSeq22] リーダライタ3は、Writeコマンドに応じてRFIDタグ11内に情報の書き込みを実行する。そして、RFIDタグ11内への情報の書き込みが終了すると、書き込みが終了した旨を制御装置4に応答する。
【0054】
以上述べたように、タグアクセス装置1によれば、RFIDタグ11へのアクセスにマルチフィラーヘリカルアンテナ22を用いることで、パッチアンテナ等を用いてアクセスする場合に比べ、アンテナ中心部の電界強度を高く保つことができる。従って、RFIDタグ11に対し、より確実にアクセスを行うことができる。
【0055】
また、RFIDタグ11にアクセスする際に、タグアクセスアンテナ装置2や検体ラック12を移動しなくてもよい。このため、タグアクセスの際の工程を減らすことができ、かつ、タグアクセス装置のコストを抑えることができる。また、タグアクセスアンテナ装置2や検体ラック12の移動に伴う電力の消費を抑えることができる。
【0056】
また、検体ラック12単位ではなくRFIDタグ11単位でアクセスすることができるため、より細かい単位でのアクセスが可能となる。
なお、本実施の形態では、タグアクセスアンテナ装置2を用いて検体ラック12の下側からRFIDタグ11にアクセスする場合を例に説明したが、これに限らず、検体ラック12の上側、もしくは両側や側面からRFIDタグ11にアクセスするようにしてもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、RFIDタグ11を試験管10に取り付けた例を説明したが、RFIDタグ11を取り付ける対象は、試験管10に限定されないのは言うまでもない。
【0058】
次に、実施の形態のタグアクセス装置1の使用例を、採血を例に説明する。
図9は、実施の形態のタグアクセス装置の使用例を説明する図である。
本使用例では、採血を行う病院40と、タグアクセス装置1が設けられた検査センタ50が離れた場所に存在するものとする。
【0059】
まず、病院40にて医師や看護師が、バーコードや視認可能な固有の数字等が設定されたRFIDタグ11を用意する。なお、バーコードや視認可能な固有の数字は省略することもできる。
【0060】
医師や看護師が、血液提供者から血液を採取する度に、採取した血液が収容された試験管10に、RFIDタグ11を取り付ける。そして、RFIDタグ11に予め設定されている数字11aと採取した血液の検査内容とを関連づけた検査データを端末装置41に入力する。その後、医師や看護師は、端末装置41を操作して検査データをLAN(Local Area Network)等のネットワーク70を介して、検査センタ50に設けられたサーバ装置51に送信する。なお、図9では1つの病院40を図示しているが、複数の病院からサーバ装置51に検査データが送られるようにしてもよい。
【0061】
サーバ装置51は、ネットワーク60を介して制御装置4に接続されている。このサーバ装置51は、端末装置41から送られてきた検査データをサーバ装置51内部のHDD等に記憶しておく。採取した血液が収容されRFIDタグ11が取り付けられた複数の試験管10が病院40から送られてくると、制御装置4の利用者は、制御装置4を操作することにより、制御装置4にタグアクセス装置1を動作させてRFIDタグ11それぞれに記憶されている情報を読み出させる。その後、利用者は、制御装置4を操作して、読み出したRFIDタグ11それぞれに一致する検査内容を、サーバ装置51のHDD等に記憶された検査データから特定させる。図9に示す処理を実行することにより、バーコード等を用いて検査内容を特定する方法等に比べ複数の試験管10に対する検査内容を迅速に、かつ、正確に特定することができる。このため、検査内容の特定の効率化を図ることができる。
【0062】
以上、本発明のタグアクセス装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0063】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 タグアクセス装置
2 タグアクセスアンテナ装置
3 リーダライタ
4 制御装置
10 試験管
11 RFIDタグ
111 微小ループアンテナ
112 ICチップ
12 検体ラック
22 マルチフィラーヘリカルアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で複数個並べられている容器の長手方向に沿った電波の指向性を有する第1のアンテナを備えるRFIDタグにアクセスするタグアクセス装置において、
前記第1のアンテナの電波の指向性に正対する方向に設けられ、前記RFIDタグへのアクセス時に中心部の電界強度が前記RFIDタグにアクセス可能な電界強度を維持する第2のアンテナを有することを特徴とするタグアクセス装置。
【請求項2】
前記第2のアンテナがマルチフィラーヘリカルアンテナであることを特徴とする請求項1記載のタグアクセス装置。
【請求項3】
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナ間の電波の周波数がUHF帯であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1つに記載のタグアクセス装置。
【請求項4】
検体が入った状態の前記容器の前記タグを読み取ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のタグアクセス装置。
【請求項5】
前記第1のアンテナは、前記容器の側面に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のタグアクセス装置。
【請求項6】
前記第2のアンテナを複数備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のタグアクセス装置。
【請求項7】
前記第2のアンテナを挟んで第1のアンテナと反対位置に電波吸収体を配置したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のタグアクセス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−231357(P2012−231357A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99074(P2011−99074)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】