説明

タグ装着部材

【課題】タグ装着部材の挿し込み部への逆挿しを防止することが可能なタグ装着部材を提供する。
【解決手段】タグ装着部材は、ループ成形材1を有し、そのループ成形材の一端に、挿し込み部2となる他端を挿通し、係合する受部3を一体に備えたタグ装着部材であって、前記受部の外面にタグ16の取り付け部12を、その受部の挿通孔の軸芯方向と交差する位置に備えるとともに、前記挿し込み部の先端はスリット6を入れ、複数に割成形して拡開復元可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタグ装着部材に関し、特に魚介類、野菜、果物等の生鮮食品に対し、ブランドタグを装着するためのタグ装着部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、特定域で捕れた魚介類や育成された野菜、果物等に、その特定域であることを表示するブランドタグを装着することが行われている。しかし、この場合、装着対象が生物となるので、その対象の括れた部分を利用して、ループを成形する紐状、帯状等の材料を結束するように、一部を係合ロックして取り付けることが必要となる。
【0003】
そして、前記したブランドタグはそのループを成形する材料の一部に離脱することがないよう、固着しなければならない。また、対象物の装着部位の大きさに応じてループ径も調整することが要求される。このループ径の調整はループを順次絞るように形成することで対応することができる。
【0004】
また、前記したループを成形する材料は、紐状、帯状とした一端を挿し込み部が一体に形成され、他端にその挿し込み部が挿し込まれ、抜け止めロックする係止部を備えた受部が形成されている構成が一般的であるが、通常の場合、挿し込み部を受部に対し、逆方向から誤挿入しても、挿入がなされてしまい、引き戻すことはできず、そのループを成形する材料は使用不可とされてしまう。
【0005】
さらに、ループを成形する材料に、タグを固着するについても、多くの場合、ループを成形する材料とタグとは異なる素材が用いられ、その結合性が弱くなってしまう虞があったところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
出願人は、本願発明に関して先行する技術文献を調査したが、格別に関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のタグ装着部材は挿し込み部の逆挿しに対し、これを防止する手段が完全なものとなっておらず、タグの固着構造に関しても不安定なものであったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した問題点を解決するため、本発明に係るタグ装着部材は、ループ成形材を有し、そのループ成形材の一端に、挿し込み部となる他端を挿通し、係合する受部を一体に備えたタグ装着部材であって、前記受部の外面にタグの取り付け部を、その受部の挿通孔の軸芯方向と交差する位置に備えるとともに、前記挿し込み部の先端はスリットを入れ、複数に割成形して拡開復元可能としてあることを特徴とし、前記挿し込み部の先端はフラットとし、その外径は、受部の挿し込み口と略同径とし、その受部の挿し込み口から一体に形成される係止部は割成形した筒状とし、拡開復元することを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係るタグ装着部材は、前記したタグの取り付け部の交差角度は略45度とし、タグに一体に形成される舌片が取り付けられるものとし、その取り付けには抜け止め手段が施されていることを特徴とし、前記したループ成形体はナイロンまたはポリプロピレンで形成された紐体とし、連続して受部側から挿し込み部にかけて径が小さくなる形態の係合部を備えていることを特徴とし、前記したループ成形体は伸縮性を保持したエラストマ製の紐体もしくはバンドとしたことを特徴とし、前記した抜け止め手段は前記舌片に形成されたピンホール、括れ部、切り起こし片のうちのいずれか1つ、またはそれらの組み合わせとしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るタグ装着部材は、上記のように構成されている。そのため、ループを成形する際に、挿し込み部は正しい方向性によってしか受部に挿入することができず、誤まっての逆挿しが防止される。また、タグは強固に受部の一部に固着され、離脱してしまう虞もなくなる。
【0011】
また、タグの取り付け方向性を受部の挿通孔の軸芯方向と交差させてあるため、型を用いてループ成形材を成形しながら、タグを取り付けていく作業でタグの相互間隔を小さくでき、省スペースで製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願に係るタグ装着部材を示す斜視図である。
【図2】平面図である。
【図3】正面図である。
【図4】底面図である。
【図5】左側面図である。
【図6】右側面図である。
【図7】タグを示す斜視図である。
【図8】ループ成形材を示す斜視図である。
【図9】平面図である。
【図10】正面図である。
【図11】底面図である。
【図12】左側面図である。
【図13】右側面図である。
【図14】受部の拡大平面図である。
【図15】受部の拡大断面図である。
【図16】抜け止め手段としての括れ部を示す図である。
【図17】抜け止め手段としての切り起こし片を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図にあって1はループ成形材を示しており、この実施例におけるループ成形材1はナイロン製で、非延伸の線状となっている。このループ成形材1は一端に挿し込み部2が、他端には、この挿し込み部2が挿し込まれ、ロックしてループを完成する受部3が各々一体に設けられている。
【0015】
また、前記したループ成形材1の挿し込み部2から受部3までの範囲には、挿し込み部2方向に向かって徐々に径を小さくする係合部4、4‥が連続して複数個、一体に形成されている。
【0016】
挿し込み部2は、一般的に使用されているような先端を錐状として挿入ガイドを形成しているものではなく、有底の円筒体5とし、その先端をフラットなものとし、前記円筒体5を180度のピッチ位置で二本のスリット6、6を入れて、押し縮められ、復元することのできる構成としてある。
【0017】
受部3はループ成形材1の軸方向と直交方向に貫通孔7を設けてあり、挿し込み口8からは内部に向けて壁面に複数のスリット9、9‥を入れ、拡開復元を可能とした筒状の係止部10が一体に形成されている。また、挿し込み口8からはその係止部10の内面に先端が小径となるガイドテーパ11が形成されている。
【0018】
このループ成形材1によってループを成形するには、対象の周囲にこのループ成形材1を回し、挿し込み部2を受部3の挿し込み口8から圧入挿入する。この際、逆方向から挿し込み部2を挿入しようとしても係止部10の頂面に挿し込み部2のフラットとした先端面が当接し、挿入はでき得ない。挿し込み口8から挿し込み部2を挿入すると、その挿し込み部2の先端はガイドテーパ11に沿って侵入し、係止部10を押し広げ、同時に挿し込み部2の円筒体5はガイドテーパ11から反作用でスリット6、6によりつぶされるように縮められる。そして、挿し込み部2の円筒体5が係止部10を通過すると、挿し込み部2の円筒体5及び係止部10は初期状態に復元し、円筒体5の底部が係止部10の頂面に係合されることで、引き抜きができないロック状態とされる。
【0019】
受部3の貫通孔7から突出された挿し込み部2をさらに引き、絞り込むと、係止部10をループ成形材1の係合部4、4‥が順次スリップしながら引き出され、目的とするループ径の位置で絞り込みを止めると、この係合部4、4の後端が係止部10の頂面と係合ロックされ、そのループ径の状態を維持することとなる。
【0020】
さらに、受部3の外側面、即ち、ループ成形材1が設けられた位置と逆側の外面にはタグの取り付け部12が一体に設けられている。このタグの取り付け部12はフラットなもので、一対の板材の両縁が連結されて、後述するタグの舌片を挟持固着する構成となっている。このタグの取り付け部12の挟持部13の角度を受部3の貫通孔7の軸芯方向に対し、交差する位置、具体的には45度の角度をもって形成されたものとしている。
【0021】
また、前記したループ成形材1は図として示すナイロン製で連続した係合部を備えたものに代え、伸縮性を有するエラストマによって成形することもできる。このエラストマを用いた場合、それ自体に伸縮性があるため、連続した係合部は不要となり、また形成も紐状のほか、帯状として成形することができる。
【0022】
一方、図中16は取り付けられるタグ、特にブランドタグを示しており、実施例では角丸の長方形板状をしているが、この形状は限定されるものではない。このタグ16は表面にブランド名、社名等の情報がプリントされており、ポリプロピレンをもって成形され、プリントされた表面は透明コーティングされ、水分によって劣化することのないよう図られている。
【0023】
このタグ16には一縁に舌片14が一体に設けられており、実施例の場合、この舌片14にピンホール15が形成されている。このタグ16を取り付け部12の挟持部13に対し、インサート成形により、一体化するが、ポリプロピレンとナイロンでは素材的になじみが悪く、一体化が困難である。そのため、舌片14のピンホール15に対し、ポンチ等の治具を用いてもよいが、ループ成形材1の型による製作時に、ピンホール15内に挟持部13の素材を通入させて、抜け止めを図るものとしている。また、この抜け止めを図る手段として図16、図17に示す構成をとることもできる。図16として示す場合は舌片14の両側縁に括れ部17を形成し、前記したピンホール15の作用と同様にこの括れ部17に素材を通入させ、抜け止めとする。さらに、図17の場合は、舌片14の一部を切り起こし、切り起こし片18を一体に形成する。この場合、この切り起こし片18によっても素材を掛合させるが、切り起こし跡の透孔19内にも素材が通入することで抜けを防止できる。さらに、ここで示したピンホール15、括れ部17、切り起こし片18及び透孔19は、それぞれを組み合わせて構成することもできる。
【0024】
なお、この型を用いてのループ成形材1の大量生産時に、同時にタグ16の取り付けをも行ない、製品化するについて、挟持部13が45度傾いているので、取り付けられるタグ16もそれに伴なって45度傾いた位置取りとなり、タグ16、16‥間のスペースが小さくでき、製作作業の省スペース化と、その後の包装、搬送等の作業も嵩張らず容易なものとなる。尚、前記したピンホール15の存在はこれに限られるものではなく、舌片14の両側縁に切り欠き状の括れ部分を形成し、この括れ部分で抜け止めを図ることもできる。
【0025】
本実施例に係るタグ装着部材は上記のように構成されている。そのため、タグ16、特にブランドタグは強固に受部3に取り付けられ、搬送時等に離脱してしまうことはない。また、挿し込み部2の逆挿しが未然に防止されているので、ループ成形材1を無駄にしてしまうこともない。加えて、製造過程にあって、省スペース化を図ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本実施例に係るタグ装着部材は上記のように構成されている。この実施例ではループ成形材1として無延伸のナイロンを用いているが、これに限定されるものではなく、エラストマのほか、延伸処理を施し、引き絞りを特に行わない、ループ成形材として実施することも可能であり、係合部4も実施例に示した形態のほか、ビーズやラチェット等を利用するものでもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 ループ成形材
2 挿し込み部
3 受部
4 係合部
5 円筒体
6 スリット
7 貫通孔
8 挿し込み口
9 スリット
10 係止部
11 ガイドテーパ
12 取り付け部
13 挟持部
14 舌片
15 ピンホール
16 タグ
17 括れ部
18 切り起こし片
19 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ成形材を有し、そのループ成形材の一端に、挿し込み部となる他端を挿通し、係合する受部を一体に備えたタグ装着部材であって、前記受部の外面にタグの取り付け部を、その受部の挿通孔の軸芯方向と交差する位置に備えるとともに、前記挿し込み部の先端はスリットを入れ、複数に割成形して拡開復元可能としてあることを特徴とするタグ装着部材。
【請求項2】
前記挿し込み部の先端はフラットとし、その外径は、受部の挿し込み口と略同径とし、その受部の挿し込み口から一体に形成される係止部は割成形した筒状とし、拡開復元することを特徴とする請求項1に記載のタグ装着部材。
【請求項3】
前記したタグの取り付け部の交差角度は略45度とし、タグに一体に形成される舌片が取り付けられるものとし、その取り付けには抜け止め手段が施されていることを特徴とする請求項1から2のうち1項に記載のタグ装着部材。
【請求項4】
前記したループ成形体はナイロンまたはポリプロピレンで形成された紐体とし、連続して受部側から挿し込み部にかけて径が小さくなる形態の係合部を備えていることを特徴とする請求項1から3のうち1項に記載のタグ装着部材。
【請求項5】
前記したループ成形体は伸縮性を保持したエラストマ製の紐体もしくはバンドとしたことを特徴とする請求項1から3のうち1項に記載のタグ装着部材。
【請求項6】
前記した抜け止め手段は前記舌片に形成されたピンホール、括れ部、切り起こし片のうちのいずれか1つ、またはそれらの組み合わせとしたことを特徴とする請求項3から5のうち1項に記載のタグ装着部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−237657(P2011−237657A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109930(P2010−109930)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000134464)株式会社トスカ (23)
【出願人】(390004156)株式会社日本バノック (7)
【Fターム(参考)】