説明

タックラベル付きのパウチ包装体

【課題】宣伝効果が高く、しかも機械化による自動貼着に適したタックラベル付きのパウチ包装体を提供する。
【解決手段】パウチ本体1の主面壁10は、内容物の充填によって、一対の主面壁10間の離間距離が大きい主部10aと該主部10aと上端シール部13との間において前記離間距離が減少する肩部10bとを有する。タックラベル2の裏面には難剥離性接着部22と易剥離性接着部21が設けられ、難剥離性接着部22が主面壁10の主部10aに位置することによってタックラベル2の下側領域が主面壁10の主部10aに貼着され、易剥離性接着部21の少なくとも一部が主面壁10の肩部10bに対峙することによってタックラベル2の上側領域が主面壁10の肩部10bに沿わずに該肩部10bから離間して上方に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば飲料等の内容物が充填されたパウチ包装体にタックラベルが貼着されたタックラベル付きのパウチ包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パウチ包装体にタックラベルとしてキャンペーン用のラベルを貼着したものについて本出願人は既に提案している(下記特許文献1)。具体的には、一対の主面壁の両側部間にサイドガセットが設けられたパウチ本体における前記正面壁にキャンペーン用のラベルを貼着した構成となっている。
【0003】
一方、タックラベルの貼着の仕方を工夫することによってパウチ包装体をより一層目立つようにすることも考えられる。例えば、パウチ本体の主面壁は、内容物の充填によって一対の主面壁間の離間距離が大きい主部と該主部から上端シール部に向けて前記離間距離が減少する肩部とを有する形状になっているが、タックラベルの上側領域をパウチ本体に貼着せずに主面壁の主部から上方に突出させることが考えられる。即ち、タックラベルの裏面のうち下側領域のみに接着層を設けて主面壁の主部に貼着して、タックラベルの上側領域を主面壁の肩部から離間させる構成である。この場合、タックラベルの上側領域が主面壁から上方に突出して起立したように見えるので、宣伝効果が高くなるという利点がある。
【0004】
しかしながら、パウチ包装体にタックラベルを一つ一つ手作業によって貼着していくのは作業負担が大きいという問題がある。従って、タックラベルを機械化によって自動的に貼着することが求められるが、内容物充填後のパウチ包装体は変形しやすいために機械によってタックラベルを貼着していくことは困難である。そのため、内容物が充填されていない扁平状態のパウチ本体にタックラベルを貼着していくことになるが、タックラベルの所定領域がパウチ本体に接着していない状態では、順次後工程に送っていく途中においてタックラベルがパウチ本体から剥がれ落ちたり破損したりする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−234084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、宣伝効果が高く、しかも機械化による自動貼着に適したタックラベル付きのパウチ包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るタックラベル付きのパウチ包装体は、柔軟性を有するシートから構成されて一対の主面壁の両側部間にサイドガセットが設けられると共に上端シール部にスパウトが取り付けられたパウチ本体に内容物が充填され、該パウチ本体の主面壁にタックラベルが貼着されているタックラベル付きのパウチ包装体であって、パウチ本体の主面壁は、内容物の充填によって、一対の主面壁間の離間距離が大きい主部と該主部と上端シール部との間において前記離間距離が減少する肩部とを有する形状になっており、タックラベルの裏面には難剥離性接着部と易剥離性接着部が設けられ、難剥離性接着部が主面壁の主部に位置することによってタックラベルの下側領域が主面壁の主部に貼着され、易剥離性接着部の少なくとも一部が主面壁の肩部に対峙することによってタックラベルの上側領域が主面壁の肩部に沿わずに該肩部から離間して上方に突出していることを特徴とする。
【0008】
該構成のタックラベル付きのパウチ包装体にあっては、タックラベルの裏面の難剥離性接着部が主面壁の主部に位置し、タックラベルの裏面における易剥離性接着部の少なくとも一部が主面壁の肩部に対峙するようにしてタックラベルがパウチ包装体に貼着されている。従って、タックラベルは、その下側領域が主面壁の主部にしっかりと貼着されると共にその上側領域が主面壁の肩部から離間して上方に突出して目立ちやすくなっている。更に、内容物が充填される前の扁平なパウチ本体にタックラベルを貼着すると、タックラベルは難剥離性接着部と易剥離性接着部によってパウチ本体に貼着した状態となる。従って、機械によって自動的にタックラベルを貼着した後、順次後工程に送っていく途中で、内容物を充填していない扁平状態のパウチ本体からタックラベルが剥がれたり破損したりするということが防止される。
【0009】
また本発明に係るタックラベル付きのパウチ包装体は、柔軟性を有するシートから構成されて一対の主面壁の両側部間にサイドガセットが設けられると共に上端シール部にスパウトが取り付けられたパウチ本体に内容物が充填され、該パウチ本体の主面壁にタックラベルが貼着されているタックラベル付きのパウチ包装体であって、パウチ本体の主面壁は、内容物の充填によって、一対の主面壁間の離間距離が大きい主部と該主部から上端シール部に向けて前記離間距離が減少する肩部とを有する形状になっており、タックラベルはラベル本体の裏面に貼着用シートが積層された構成であり、貼着用シートの裏面には難剥離性接着部が設けられ、ラベル本体と貼着用シートの層間には難剥離性接着部と易剥離性接着部が設けられ、貼着用シートはその裏面の難剥離性接着部によって主面壁の主部と肩部に貼着され、主面壁の主部に層間の難剥離性接着部が対応して位置することによって、ラベル本体の下側領域が貼着用シートを介して主面壁の主部に貼着され、主面壁の肩部に層間の易剥離性接着部の少なくとも一部が対峙することによって、ラベル本体の上側領域が主面壁の肩部に沿わずに該肩部から離間して上方に突出していることを特徴とする。
【0010】
該構成のタックラベル付きのパウチ包装体にあっては、ラベル本体と貼着用シートの層間の難剥離性接着部が主面壁の主部に位置し、層間の易剥離性接着部の少なくとも一部が主面壁の肩部に対峙するようにして、タックラベルがパウチ包装体に貼着されている。従って、タックラベルのラベル本体は、その下側領域が貼着用シートを介して主面壁の主部にしっかりと貼着されると共にその上側領域が主面壁の肩部から離間して上方に突出して目立ちやすくなっている。更に、内容物が充填される前の扁平なパウチ本体にタックラベルを貼着すると、ラベル本体は、難剥離性接着部と易剥離性接着部によって貼着用シートに積層された状態となる。従って、機械によって自動的にタックラベルを貼着した後、順次後工程に送っていく途中で、内容物を充填していない扁平状態のパウチ本体からタックラベルが剥がれたり破損したりするということが防止される。
【0011】
上記構成において、難剥離性接着部は接着力が強い強接着部であり、易剥離性接着部は接着力が弱い弱接着部であると、扁平のパウチ本体が内容物の充填によって膨張する際に弱接着部が自動的に剥離して、タックラベルの上側領域あるいはラベル本体の上側領域が自動的に上方に突出する。
【0012】
また、難剥離性接着部は耐水性に優れた接着剤から構成され、易剥離性接着部は耐水性に劣る接着剤から構成されていると、パウチ本体に内容物を充填した後において熱水や水蒸気を用いてレトルト殺菌等の加熱殺菌を行う際、あるいは加熱殺菌後に冷水等を用いた冷却工程を行う際に、耐水性に劣る接着剤からなる易剥離性接着部が自動的に剥離して、タックラベルの上側領域あるいはラベル本体の上側領域が自動的に上方に突出する。
【0013】
尚、サイドガセットの幅(ガセット深さとも言う。パウチ本体の側縁から、内側に谷折り状に折り込まれたサイドガセットの折り曲げ部までの長さ)をL、サイドシール部の幅(パウチ本体の側部におけるシール部の幅)をm、上端シール部の幅をhとしたとき、肩部と主部との境界は、パウチ本体の上縁から、L−m+hとなる部分に位置する(例えば、図1参照)。実際には、肩部と主部との境界は緩やかな弧状となるが、上記の式で表された位置を肩部と主部との境界(稜線)とし、該境界よりも上側を肩部、下側を主部と定義する。また、主面壁の形状については、外力が付与されずに、内容物充填によって自然に膨張した状態を前提とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係るタックラベル付きのパウチ包装体は、タックラベルの上側領域あるいはタックラベルのラベル本体の上側領域が上方に突出した状態となっているので目立ちやすく、高い宣伝効果が得られる。また、内容物の充填等によってパウチ本体が膨張するまで難剥離性接着部と易剥離性接着部によってタックラベルが扁平状態のパウチ本体に確実に貼着した状態にある、又は、タックラベルのラベル本体が貼着用シートに確実に貼着した状態にあるので、機械化による自動貼着に適しており、しかも、内容物充填以降において自動的に易剥離性接着部が剥離するので別途の剥離作業も不要となり、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態におけるタックラベル付きのパウチ包装体を示す正面図。
【図2】同実施形態におけるパウチ包装体の側面図。
【図3】同実施形態におけるパウチ包装体に貼着されるタックラベルを示す図であって、(a)は側面図、(b)は要部拡大断面図。
【図4】(a)、(b)は同実施形態におけるパウチ包装体に貼着されるタックラベルを示す背面図。
【図5】(a)、(b)は同実施形態におけるパウチ包装体に貼着されるタックラベルを示す背面図。
【図6】同実施形態におけるパウチ包装体の内容物充填前の扁平な状態を示す正面図。
【図7】同実施形態におけるパウチ包装体の製造過程の状態を示す要部拡大図。
【図8】本発明の他の実施形態におけるパウチ包装体に貼着されるタックラベルを示す側面図。
【図9】本発明の他の実施形態におけるパウチ包装体の要部を示す側面図。
【図10】同実施形態におけるパウチ包装体に貼着されるタックラベルを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るタックラベル付きのパウチ包装体とそれに貼着されるタックラベルについて図1〜図7を参酌しつつ説明する。
【0017】
図1に示すタックラベル付きのパウチ包装体は、例えば液状やゼリー状等の飲食品や洗剤等の流動体等の内容物が充填されたパウチ本体1に、タックラベル2が貼着されたものである。パウチ本体1は、柔軟性を有するシートから袋状に形成されている。具体的には、一対の主面壁10である正面壁と背面壁を備え、両主面壁10の左右両側部間にそれぞれ内側に二つ折りに折り込まれたサイドガセット11が設けられている。サイドガセット11の両側縁部と両主面壁10の側縁部がそれぞれヒートシールされて縦方向(上下方向)に伸びるサイドシール部12が形成されている。そして、両主面壁10の上端部同士がヒートシールされて横方向(水平方向)に伸びる上端シール部13が形成されていると共に、両主面壁10の上端部間に挟み込まれるようにして口部材としての筒状のスパウト3がヒートシールにより取り付けられている。尚、図1及び図6において、ヒートシールされている部分にはクロスハッチングを施している。該スパウト3は、パウチ本体1の横方向略中央(幅方向略中央)に位置しており、両サイドガセット11の折り曲げ部間、即ち、サイドガセット11と干渉しない箇所に位置している。尚、サイドガセット11の折り曲げ部11aは、図1においてはその上部のみが破線で示され、図6においては全長に亘って破線で示されている。また、スパウト3には上端開口を閉塞するためのキャップ4が螺着されているが、該キャップ4は一般にスパウト3の上端開口からパウチ本体1に内容物を充填した後において螺着される。
【0018】
パウチ本体1は、内容物が充填されるまでは扁平な状態となっているが、内容物が充填されるとシートの柔軟性によって前後方向に自動的に膨張して、外力の作用しない自然状態において所定形状となる。詳細には、図2にも示しているように、両主面壁10は、両主面壁10間の離間距離(前後方向の離間距離)が大きくて略一定となった主部10aと、該主部10aから上端シール部13に向けて前記離間距離が減少していく肩部10bとを有する形状になる。図1に肩部10bと主部10aとの境界10c(稜線)を二点鎖線で示している。実際には、図2のように肩部10bと主部10aとの境界10cは緩やかな弧状となっているが、図1に二点鎖線で示した境界10cの位置を基準としてそれより上側を肩部10bとし下側を主部10aとする。肩部10bと主部10aとの境界10cは、サイドガセット11の内側への折り込み深さによって定まる。即ち、図1及び図6に各部の寸法を示しているが、サイドガセット11の幅をL、サイドシール部12の幅をm、上端シール部13の幅をhとしたとき、肩部10bと主部10aとの境界10cは、パウチ本体1の上縁から、L−m+hとなる部分に位置する。尚、サイドガセット11の幅Lは、パウチ本体1の側縁からサイドガセット11の折り曲げ部11aまでの長さである。また、図1及び図6において、二点鎖線14は、上端シール部13に対して45度の傾斜角度を示した仮想線である。
【0019】
ここで、パウチ本体1を構成するシートとしては、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルム等よりなる外層と、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンやメタロセン系ポリエチレン等の熱融着性樹脂よりなる内層とからなる多層ラミネートフィルムが使用され、また、必要によりエチレンビニルアルコール共重合体やアルミニウム箔、酸化ケイ素等の無機物を蒸着したフィルム等のようなガスバリア性フィルム等を積層したものも使用される。また、スパウト3は、パウチ本体1を構成するシートの内面にヒートシール可能な合成樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱融着性樹脂から成形により一体的に形成される。
【0020】
かかるパウチ本体1の主面壁10(正面壁)にタックラベル2が貼着されている。該タックラベル2は、例えば矩形であって、図3のようにラベル基材の片面に文字や図柄等が印刷されたラベル本体20と、該ラベル本体20の裏面に形成された接着層とから構成されている。ラベル基材としては、通常タックラベルに用いられるものであれば特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂等からなる合成樹脂フィルムが適宜使用できる。また、接着層はラベル本体20の裏面全体に形成されている。該接着層は、二つの領域に区分けされる。その一つはラベル本体20の上側に位置する易剥離性接着部としての弱接着部21であり、残る一つはラベル本体20の下側に位置する難剥離性接着部としての強接着部22である。即ち、接着層は、弱接着部21と強接着部22とから構成され、それらは横方向に一直線状に伸びる区画線23によって上下に区画されている。弱接着部21と強接着部22の比率は任意であるが、弱接着部21をラベル本体20の全体面積の半分以下とすることが好ましい。
【0021】
図3(a)においては接着層は全体に亘って略均一な厚さとして簡略的に図示しているが、詳細には、図3(b)のように弱接着部21が構成されている。即ち、ラベル本体20の裏面全体には接着剤層24が略均一な厚さで形成されており、その接着剤層24のうち弱接着部21の領域に対応した上側部分には更に接着剤層24を部分的に被覆する被覆層25が形成されている。尚、本願において接着剤は粘着剤を含む概念である。被覆層25は、その一つ一つが円形等のドット状(島状)、網目状、その他所定の形状で部分的に配置されており、接着剤層24のうち被覆層25で覆われた部分は接着力(粘着力)が失われ、接着剤層24のうち被覆層25で覆われずに露出している部分は接着力が維持される。図3(b)及び図4(a)では円形等のドット状の被覆層25を例示し、図4(b)では網目状の被覆層25を例示している。また、図5(a)のように中央に被覆層25を形成してその回りに接着剤層24を残すようにして弱接着部21を形成してもよい。この場合には合計三辺の接着剤層24によって弱接着部21の接着力が定まる。また、図5(b)のように、図5(a)の被覆層25を縦方向に沿った接着剤層24で左右に分断して弱接着部21の接着力を増加することもできる。図5(b)の場合、更に、二点鎖線で示すように接着剤層24を追加的に残すようにすれば更に弱接着部21の接着力を増加させることができ、残す接着剤層24の形状や面積によって接着力を調整できる。残す接着剤層24の形状も縦横のみならず斜めに形成したりしてもよく、任意である。尚、図4及び図5において被覆層25の領域にはハッチングとして多数の点を付している。また、図4においては二点鎖線によって区画線23を示している。このように、被覆層25が部分的に配置されることによって接着剤層24の上側部分の全体的な接着力が低下することになり、弱接着部21が構成される。その一方、接着剤層24の下側部分にはこのような被覆層25が形成されていないため接着剤層24本来の接着力が発揮され、弱接着部21よりも接着力の強い強接着部22が構成される。尚、このような被覆層25は例えば紫外線硬化型インキを印刷手段によって塗工することにより形成することができる。また、弱接着部21において被覆層25を形成する面積の割合(密度)は接着剤(粘着剤)の種類や層の厚さ、あるいはラベル本体20のサイズや厚さ等、種々の条件を考慮して決定されるが例えば30〜95%程度であり、仮に弱接着部21において被覆層25の面積割合が30%であれば弱接着部21において被覆層25が形成されずに接着剤層24が露出している面積割合は70%となる。弱接着部21において被覆層25が形成されている面積割合を増やせば弱接着部21の接着力は小さくなり、逆に面積割合を減らせば弱接着部21の接着力は大きくなり、この面積割合を調整することで弱接着部21の接着力を容易に調整することができる。また、面積割合に代えてあるいはそれと共に、被覆層25の厚さを変化させることによっても弱接着部21の接着力を調整することができる。尚、接着剤層24としては種々の公知の耐水性の接着剤(粘着剤)を使用することができる。
【0022】
かかるタックラベル2がパウチ本体1の主面壁10に貼着されているのであるが、横方向の貼着位置については特には限定されないが(本実施形態では略中央位置に貼着されている)、縦方向の貼着位置については、図1のように弱接着部21と強接着部22の区画線23がパウチ本体1の上縁からHの距離となる位置である。この上縁からの距離Hの位置は、上述した肩部10bと主部10aとの境界10cの位置より若干(数ミリメートル、具体的には3〜5ミリメートル)下側の位置である。従って、H=L−m+h+3〜5ミリメートルと表すことができる。区画線23の位置(高さ)を更に下側にシフトすることも可能であるが、逆に上側にシフトする場合には肩部10bと主部10aとの境界10cの位置を上限とする。即ち、強接着部22が主面壁10の肩部10bには位置しないようにすることが好ましい。
【0023】
このようにタックラベル2は肩部10bと主部10aの境界10cを上下に跨ぐようにして貼着されており、その強接着部22は主面壁10の主部10aに位置する。従って、ラベル本体20(タックラベル2)の下側領域は主面壁10の主部10aの上部に貼着されている。その一方、弱接着部21のあるラベル本体20の上側領域は肩部10bから離間している。即ち、弱接着部21の大部分が肩部10bと対峙した状態にあり、ラベル本体20の上側領域は肩部10bには沿わずに肩部10bから離間して上方に突出した状態となっている。尚、タックラベル2の上端はパウチ本体1の上端シール部13の上縁よりも下側にある。
【0024】
また、タックラベル2は、パウチ本体1に内容物が充填された後に貼着されるのではなく、図6に示すように内容物が充填される前の扁平な状態のパウチ本体1に貼着される。タックラベル2は枚葉タイプのパウチ本体1に一枚ずつ貼着していってもよいが、パウチ本体1が裁断される前の帯状の連続体を長手方向に送りながらタックラベル2を一定間隔毎に順次貼着していってもよく、何れにしても機械によりタックラベル2を自動貼着していく。
【0025】
内容物が充填されるまでは、タックラベル2の全体が貼着状態にある。即ち、強接着部22のみならず弱接着部21も貼着状態にある。そして、内容物をスパウト3から充填してパウチ本体1が膨張すると、図7のようにパウチ本体1の主面壁10の形状変化によって弱接着部21が自動的にパウチ本体1の肩部10bから離間し、タックラベル2の上側領域が自動的に上方に突出する。即ち、ラベル本体20は、パウチ本体1の主面壁10の形状変化には追従せずにパウチ本体1から弱接着部21が剥がれ得る程度の剛性を有しており、その剛性によってタックラベル2の上側領域が自動的に肩部10bから離間する。扁平状態のパウチ本体1にタックラベル2を貼着すればよいので機械による自動貼着に適している。しかも、タックラベル2の全面を貼着させるので、内容物充填工程に至るまでの扁平状態のパウチ本体1からタックラベル2が剥がれたりすることがない。そして、内容物充填等でパウチ本体1が膨張することを利用して弱接着部21を自動的に剥離させるので、別途の剥離工程が不要となる。
【0026】
このようにして完成されたパウチ包装体においては、タックラベル2の上側領域が上方に突出しているので目立ちやすく高い宣伝効果を発揮する。パウチ本体1それ自体は陳列状態では様々な形状に変形していることが多いが、それとは対照的にタックラベル2は腰があってしっかりと起立した状態にあるので、形状変化のない商品に貼着した場合よりも一層タックラベル2が際立って見えるのである。しかも、剛性の大きいタックラベル2を主面壁10の特に上部に貼着しているので、特に目がつきやすい主面壁10の上部がタックラベル2によって補強されることになり、タックラベル2の近傍に位置する主面壁10の表示もより一層見やすくなる。
【0027】
尚、本実施形態では、易剥離性接着部及び難剥離性接着部として弱接着部21及び強接着部22を設けたが、難剥離性接着部を耐水性に優れた接着剤から構成し、易剥離性接着部を耐水性に劣る接着剤(水溶性接着剤)から構成してもよい。耐水性に優れた接着剤としては、例えばエチレンアクリル酸エステル共重合体等からなる感熱接着剤を使用でき、また、耐水性に劣る接着剤としては、熱水やアルカリ水に可溶するアクリル系接着剤(アクリル系粘着剤)などの感圧接着剤を使用できる。
【0028】
そして、図8に示すように、ラベル本体20の裏面全体に耐水性に優れた接着剤からなる耐水接着剤層30を形成し、更にその上側領域に中間フィルム31を積層介在させたうえで耐水性に劣る接着剤からなる水溶接着剤層32を形成する。この水溶接着剤層32が形成された部分が易剥離性接着部となる一方、水溶接着剤層32が形成されずにそのまま残って露出している耐水接着剤層30の部分が難剥離性接着部となる。
【0029】
このように難剥離性接着部を耐水接着剤層30とし、易剥離性接着部を水溶接着剤層32とした場合には、パウチ本体1に内容物を充填する際には易剥離性接着部は剥離せず、その後の加熱殺菌工程や冷却工程などの、熱水、水蒸気、冷水、アルカリ水等の水系溶媒を用いた工程において易剥離性接着部は剥離する。つまり、これら水系溶媒を用いた工程を行う際に、難剥離性接着部はそのまま接着力を維持するが、易剥離性接着部はこれら水系溶媒によって接着力を失いあるいは接着力が低下する。そのため、これら水系溶媒を用いた工程においてタックラベル2の上側領域がラベル本体20の剛性によって自動的に肩部10bから剥離して上方に突出した状態となる。尚、これら水系溶媒を用いた工程がない場合、あるいは有る場合においてもより確実に易剥離性接着部を剥離させる目的で、別途、新たな水系溶媒を用いた工程を組み込んで製造を行ってもよい。
【0030】
また、ラベル本体20を易剥離性接着部と難剥離性接着部からなる接着層によって直接パウチ本体1に貼着する構成について説明したが、ラベル本体20を貼着用シート40を介してパウチ本体1に貼着するようにしてもよい。具体的には、図10に示しているように、ラベル本体20の裏面には上述したのと同様に接着層を形成する。即ち、弱接着部21からなる易剥離性接着部と強接着部22からなる難剥離性接着部によって接着層を構成する。但し、この易剥離性接着部と難剥離性接着部は、上述の水溶接着剤層と耐水接着剤層としてもよい。そして、その接着層に貼着用シート40を積層し、更に貼着用シート40の裏面には全体に亘って難剥離性接着部からなる接着層41を積層する。ラベル本体20と貼着用シート40の層間における強接着部22(難剥離性接着部)と貼着用シート40の裏面の接着層41(難剥離性接着部)は同じ接着剤であってもよく異種の接着剤としてもよい。
【0031】
このように貼着用シート40の裏面全体に難剥離性接着部からなる接着層41が設けられているので、タックラベル2をパウチ本体1に貼着するとその貼着用シート40の全体がパウチ本体1に強固に貼着することになる。そして、層間の易剥離性接着部が弱接着部21であるので内容物充填工程において図9のようにラベル本体20の上側領域が貼着用シート40から剥離する。また、易剥離性接着部を水溶接着剤層とした場合にはレトルト殺菌工程等の水系溶媒を用いた工程においてラベル本体20の上側領域が貼着用シート40から剥離する。何れにしても、貼着用シート40はその全体がパウチ本体1に貼着された状態にあり、従って、主部10aのみならず肩部10bにも貼着用シート40が貼着されている。タックラベル2の貼着位置については上記実施形態と同様である。従って、主面壁10の主部10aに層間の難剥離性接着部が対応して位置するので、ラベル本体20の下側領域は貼着用シート40を介して主面壁10の主部10aに貼着された状態となり、主面壁10の肩部10bに層間の易剥離性接着部の大部分が対峙するので、ラベル本体20の上側領域は主面壁10の肩部10bに沿わずに肩部10bから離間して上方に突出した状態となる。尚、貼着用シート40はラベル本体20のラベル基材と同様に種々のシートを使用することができるが、ラベル本体20(特にそのラベル基材)よりも剛性の小さいシートを使用することが好ましく、使用するシートの厚さや材質を変えて剛性に違いを持たせるようにする。
【符号の説明】
【0032】
1 パウチ本体
2 タックラベル
3 スパウト
4 キャップ
10 主面壁
10a 主部
10b 肩部
10c 境界
11 サイドガセット
11a 折り曲げ部
12 サイドシール部
13 上端シール部
20 ラベル本体
21 弱接着部
22 強接着部
23 区画線
24 接着剤層
25 被覆層
30 耐水接着剤層
31 中間フィルム
32 水溶接着剤層
40 貼着用シート
41 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有するシートから構成されて一対の主面壁の両側部間にサイドガセットが設けられると共に上端シール部にスパウトが取り付けられたパウチ本体に内容物が充填され、該パウチ本体の主面壁にタックラベルが貼着されているタックラベル付きのパウチ包装体であって、
パウチ本体の主面壁は、内容物の充填によって、一対の主面壁間の離間距離が大きい主部と該主部と上端シール部との間において前記離間距離が減少する肩部とを有する形状になっており、タックラベルの裏面には難剥離性接着部と易剥離性接着部が設けられ、難剥離性接着部が主面壁の主部に位置することによってタックラベルの下側領域が主面壁の主部に貼着され、易剥離性接着部の少なくとも一部が主面壁の肩部に対峙することによってタックラベルの上側領域が主面壁の肩部に沿わずに該肩部から離間して上方に突出していることを特徴とするタックラベル付きのパウチ包装体。
【請求項2】
柔軟性を有するシートから構成されて一対の主面壁の両側部間にサイドガセットが設けられると共に上端シール部にスパウトが取り付けられたパウチ本体に内容物が充填され、該パウチ本体の主面壁にタックラベルが貼着されているタックラベル付きのパウチ包装体であって、
パウチ本体の主面壁は、内容物の充填によって、一対の主面壁間の離間距離が大きい主部と該主部と上端シール部との間において前記離間距離が減少する肩部とを有する形状になっており、タックラベルはラベル本体の裏面に貼着用シートが積層された構成であり、貼着用シートの裏面には難剥離性接着部が設けられ、ラベル本体と貼着用シートの層間には難剥離性接着部と易剥離性接着部が設けられ、貼着用シートはその裏面の難剥離性接着部によって主面壁の主部と肩部に貼着され、主面壁の主部に層間の難剥離性接着部が対応して位置することによって、ラベル本体の下側領域が貼着用シートを介して主面壁の主部に貼着され、主面壁の肩部に層間の易剥離性接着部の少なくとも一部が対峙することによって、ラベル本体の上側領域が主面壁の肩部に沿わずに該肩部から離間して上方に突出していることを特徴とするタックラベル付きのパウチ包装体。
【請求項3】
難剥離性接着部は接着力が強い強接着部であり、易剥離性接着部は接着力が弱い弱接着部である請求項1又は2記載のタックラベル付きのパウチ包装体。
【請求項4】
難剥離性接着部は耐水性に優れた接着剤から構成され、易剥離性接着部は耐水性に劣る接着剤から構成されている請求項1又は2記載のタックラベル付きのパウチ包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−76777(P2012−76777A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222794(P2010−222794)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】