説明

タッチオンレンズデバイス及びタッチオンレンズデバイスを製造するための方法

【課題】タッチオンレンズ(TOL)デバイス及びタッチオンレンズデバイスを製造するための方法を提供する。
【解決手段】当該方法は、プラスチック層と接触層とを形成し、プラスチック層と接触層とを切断し、最後に切断した後のプラスチック層と接触層とを強化ガラスに積層する。当該方法は、力学的特性が向上するだけでなく、大量生産の効率の向上に寄与することができる。また、検出パターンを形成するためにフォトエッチング工程を採用するので、薄い回路を構成して、外観を美しくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチデバイスに関し、特にタッチオンレンズ(TOL)デバイス及びタッチオンレンズデバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量方式のタッチデバイスは、一般的にX軸及びY軸の透明電極を含む。ユーザがデバイスに接触すると、接触点のキャパシタンスが充電され、そしてシステムがキャパシタンスの変化を検出することによって接触点の位置を決定する。
【0003】
図1Aは、カバーレンズ11及び接触基板12を主と成す静電容量方式のタッチデバイスの積み重ねを抽象的に示している。透明電極を含む接触層は、接触基板12の一側又は両側に形成されている。図1Bは、接触基板を省略し、そして、薄いタッチデバイスを形成するためにガラス基板を加えることなく、カバーレンズ11上にITO層のような接触層13を直接に配置したタッチオンレンズ(TOL)デバイスの積み重ねを抽象的に示している。
【0004】
通常、現存のタッチオンレンズ(TOL)デバイスを製造するための2つの方法がある。第1の方法は、小さいレンズ片、即ちタッチパネルのサイズにレンズ片を強固し、そして、タッチユニットと別の積層構造とをフォトエッチング工程を介してレンズ上に積層する。第2の方法は、接触層と別の積層構造とをフォトエッチング工程によって強化ガラスの大きな母材上に積層し、ガラス母材の切断及び端部研磨等の工程を介して、ガラス母材を所定のサイズのタッチパネルに切断する。しかしながら、上述の2つの方法はいくつかの欠点がある。例えば、第1の方法は、1つの片を作成する費用が高価で、大量生産の効率が低く、経済的利益に見合わない。第1の方法と比較して、第2の方法によって1つの片を作成する費用は安価で、大量生産の効率が高いが、切断工程の後、端部強化工程がなければ、ガラスの力学的性質が弱くなる。
【0005】
また、他の従来の製造方法は、PET(エチレンテレフタレート)接触母材を形成するために、プリント工程を介してPETフィルム上に接触層の検出パターンを形成し、そして、タッチサブパネルを形成するために、PET接触母材を所定のサイズのタッチパネルに切断し、最後に、対応するサイズの強化レンズ上にタッチサブパネルを積層する。上述の2つの製造方法と比較して、当該製造工程は、大量生産の効率が高く、力学的性質が良い。しかしながら、例えば高温耐熱、硬さの弱さ等のPETフィルムの特性によって制限され、接触検出パターンは、一般的にフォトエッチング工程を介するよりも、プリント工程を介して形成される。しかし、接触検出パターンをプリントする工程において、プリントデバイス、プリントインク、及びプリント技術等の影響により、プリント方法によって形成される接触検出パターンの線幅が広くなり、回路の視認性及び製品の外観に影響を与える。さらに、一般的なPETフィルムの厚さは25μm〜350μmであり、薄いタッチパネルを形成する可能性を低くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国実用新案公告第201654750号明細書
【特許文献2】台湾実用新案公告第355426号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のタッチオンレンズ(TOL)デバイス及び製造方法の欠点を考慮して、上述の問題を解決することができる、新たなタッチオンレンズ(TOL)デバイス及び当該タッチオンレンズデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の形態の目的は、タッチオンレンズ(TOL)デバイス及びタッチオンレンズデバイスを製造するための方法を提供する。フォトエッチング工程を介してプラスチック層上の広い領域に接触層を形成し、タッチオンレンズデバイスの大量生産性、機械的強度、及び回路の視認性等の現存する問題を、切断技術を介して改善する。
【0009】
本開示の一形態において、タッチオンレンズデバイスを製造するための方法は、(1)基板上にプラスチック層を形成し、(2)接触層とプラスチック層とでタッチフィルムを形成するために、プラスチック層上に接触層を形成し、(3)タッチフィルムと基板とを分離し、(4)複数のタッチモジュールを形成するためにタッチフィルムを切断し、(5)タッチモジュールに強化レンズを積層する。
【0010】
一形態において、プラスチック層は、ポリイミド(PI)層又はポリエステルイミド層である。
【0011】
異なる形態において、接触層は、フォトエッチング工程によって形成される検出パターンを含む。
【0012】
さらに、タッチオンレンズデバイスは、プラスチック層と基板との間に形成される剥離層を含み、シリコンベース又はF(フッ素)ベースの化合物で作り上げられている。
【0013】
また、基板と剥離層との間の接着強度は、剥離層とプラスチック層との間の接着強度の少なくとも3倍である。
【0014】
さらに、タッチフィルムは、緩衝層をさらに含み、緩衝層は、接触層とプラスチック層との間に形成されており、誘導体又はシリコンの化合物で作り上げられている。
【0015】
本開示の一形態において、プラスチック層の厚さは、25μm以下である。
【0016】
一形態において、タッチオンレンズデバイスを製造するための方法は、強化レンズ上にマスク層を形成し、マスク層及びタッチモジュールは、強化レンズの同じ側に配置されている。
【0017】
本開示の他の形態に係るタッチオンレンズデバイスを製造するための方法は、(1)母材上にプラスチック層を形成し、(2)母材、プラスチック層及び接触層でタッチアセンブリを形成することができるように、プラスチック層上に接触層を形成し、(3)複数のタッチサブアセンブリを形成するためにタッチアセンブリを切断し、(4)タッチサブアセンブリを強化レンズに積層し、(5)切断した後に、母材を分離する。
【0018】
また、プラスチック層は、ポリイミド(PI)層又はポリエステルイミド層である。
【0019】
また、接触層は、フォトエッチング工程によって形成される検出パターンを含む。
【0020】
タッチアセンブリは、プラスチック層と母材との間に形成される剥離層をさらに含み、シリコンベース又はF(フッ素)ベースの化合物で作り上げられている。
【0021】
タッチアセンブリは、接触層とプラスチック層との間に形成される緩衝層をさらに含み、誘導体又はシリコンの化合物で作り上げられている。
また、タッチアセンブリのプラスチック層及び接触層は、タッチフィルムを構成し、タッチサブアセンブリは、母材及びタッチフィルムの切断後に形成されるタッチモジュールを含む。ステップ(4)の積層工程において、タッチサブアセンブリのタッチモジュールを強化レンズに積層する。
【0022】
タッチオンレンズデバイスを製造するための方法は、強化レンズ上にマスク層を形成し、マスク層及びタッチモジュールは、強化レンズの同じ側に配置されている。
【0023】
本開示の異なる形態に係るタッチオンレンズデバイスは、強化レンズと、強化レンズに積層され、タッチフィルムを切断することで形成されるタッチモジュールと、を備え、タッチモジュールは、接触層とプラスチック層とを含み、プラスチック層の厚さは25μm以下である。
【0024】
本開示の一形態において、プラスチック層の厚さは、10〜20μmである。
【0025】
本開示の一形態において、プラスチック層の厚さは、0.5〜10μmである。
【0026】
さらに異なる形態において、プラスチック層は、ポリイミド(PI)層又はポリエステルイミド層である。
【0027】
形態において、接触層は、フォトエッチング工程によって形成される検出パターンを含む。
【0028】
また、タッチフィルムは、接触層とプラスチック層との間に形成される緩衝層をさらに含み、誘導体又はシリコンの化合物で作り上げられている。
【0029】
タッチオンレンズデバイスは、マスク層をさらに含み、マスク層及びタッチモジュールは、強化レンズの同じ側に形成されている。
【0030】
本開示は上述の方法を採用し、即ち先ず基板上にプラスチック層を形成し、そしてプラスチック層上に接触層を形成し、最後に強化レンズを切断した後に接触層を積層し、本開示は第1に切断する方法を採用し、そして接触層を積層し、本方法は、高い力学的強度を維持するだけでなく、大量生産の効率を高めることができる。また、本開示は検出パターンを形成するためにフォトエッチング工程を採用し、外観が美しくなるように薄い回路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】図1Aは、一般的な静電容量方式のタッチデバイスの積み重ねの図を示している。
【図1B】図1Bは、一般的なタッチオンレンズ(TOL)デバイスの積み重ねの図を示している。
【図2A】図2Aは、本開示の第1の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図2B】図2Bは、本開示の第1の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図2C】図2Cは、本開示の第1の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図2D】図2Dは、本開示の第1の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図2E】図2Eは、本開示の第1の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図2F】図2Fは、本開示の第1の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図3A】図3Aは、本形態に係る電極層を示している。
【図3B】図3Bは、本形態に係る絶縁層を示している。
【図3C】図3Cは、本形態に係る導線層の図を示している。
【図4A】図4Aは、本開示の第2の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図4B】図4Bは、本開示の第2の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図4C】図4Cは、本開示の第2の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図4D】図4Dは、本開示の第2の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図4E】図4Eは、本開示の第2の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【図4F】図4Fは、本開示の第2の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図2A乃至図2Fは、本開示の第1の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を抽象的に示している。本明細書及び図面において、上側が接触表面の方向である。図面に示される各層の厚さは、実際の縮尺に従って示されていない。一方、図面は本形態に係る主要な層のみを示し、他の層は必要性に応じて層の間に配置される。
【0033】
図2Aに示すように、透明プラスチック層22は、基板21上に形成されている。基板21は、ガラス基板、プラスチックフィルム、又は他の固い基板であり、当該基板21は、他の工程で再び用いることができるように、他の部材から分離されている。本形態において、プラスチック層22は、ポリイミド(PI)層又はポリエステルイミド層であり、基板から容易に分離することができる、(SiOのような)セラミック薄膜等の他のプラスチックでも良い。少なくともプラスチック層22の材料である、一般的なポリエチレンテレフタレート(PET)に比べて、ポリイミド(PI)を用いることは、以下の効果がある。将来、基板21から分離することが比較的容易く、高温耐熱、及び光学的性質が良い。プラスチック層22の材料である、一般的なPETに比べて、ポリエステルイミドを用いることは、少なくとも以下の効果がある。例えば、機械的強度が高く、透過率が高く、耐化学性が高く、弱酸性(例えば汗)による侵食から接触層(23、24、25)を効果的に保護することができる。好ましくは、プラスチック層22の厚さは、25μm以下である。さらに好ましくは、プラスチック層22の厚さは、10〜22μmである。最も好ましくは、プラスチック層22の厚さは、0.5〜10μmである。
【0034】
一般的に、プラスチック層22の厚さの薄型化は、タッチパネルの光透過率を良くし、タッチパネルの薄型化にも寄与する。一般的なタッチオンレンズデバイスに比べて本形態のデバイスは、比較的薄いプラスチック層22を備え、そのため薄いタッチオンレンズ(TOL)デバイスを形成することができる。一方、より容易に分離するために、プラスチック層22を形成する前に基板21上に高い接触角の材料を堆積して覆い、プラスチック層22を基板21上に形成することができる。
【0035】
また、ITO層又はこれに限定されるものではない透明電極層23は、プラスチック層22上に形成される。図3Aは、本形態に係る電極層23を示し、電極層23は、第1の軸(例えばY軸)に沿って配置され、第1の軸に沿って互いに接続される複数の第1の電極23Aと、第2の軸(例えばX軸)に沿って配置され、互いに接続されない複数の第2の電極23Bと、を含む。電極層23の検出パターンは、フォトエッチング工程によって形成することができる。フォトエッチング工程は、フォトレジストの塗布、露光、現像、ベーキング、エッチング、剥離、及び他の工程を含む。
【0036】
ポリイミド(PI)層又はこれに限定されるものではない透明絶縁層24は、電極層23上に形成される。図3Bは、本開示に係る絶縁層24を示し、絶縁層24は、第2の軸(例えばX軸)に沿って隣接する第2の電極23Bの間の被覆領域である複数の絶縁ブロック24Aを含む。
【0037】
スパッタリングした金属配線層又はこれに限定されるものではない導線層25は、絶縁層24上に形成される。図3Cは、本形態に係る導線層25を示し、導線層25は、第2の軸(例えばX軸)に沿って隣接する第2の電極23Bを電気的に接続するために、絶縁ブロック24Aを夫々跨ぐ複数の配線セグメント25Aと、第1の軸の電極と第2の軸の電極とを電気的に接続するために用いられ、タッチオンレンズ(TOL)デバイスの縁に配置される複数の配線25Bと、を含む。導線層25のパターンは、フォトエッチング工程によって形成することができる。電極層23、絶縁層24及び導線層25は、単層の接触層と共に形成されている。本形態では、電極層23の材料がITOの場合、単層の接触層は単層(single−layer)ITO(SITO)と呼ぶ場合がある。電極層23、絶縁層24及び導線層25は、本形態の接触層を構成しているが、本開示の接触層は、上述の構成及び配置方法に限定されない。プラスチック層22及び接触層(23、24、25)はタッチフィルムを形成し、接触層(23、24、25)は、タッチパネルの所定のサイズに合うサイズの複数のタッチユニットを含む。
【0038】
本形態において、保護層26は、導線層25上に形成することができる。保護層26は、電極層23、絶縁層24及び導線層25を保護するだけでなく、これらの酸化及び侵食を防ぐ。
【0039】
また、剥離層210は、例えばコーティング技術を用いて、基板21とプラスチック層22との間に形成することができる。剥離層210は、シリコンベース又はF(フッ素)ベースの化合物によって形成することができるが、この限りでない。一形態において、プラスチック層22は、ポリエステルイミド層であり、剥離層210上にモノマーをコーティング(例えばスピンコーティング)し、そして硬化工程を介して処理することによって形成される。一形態において、基板21と剥離層210との間の接着強度は、剥離層210とプラスチック層22との間の接着強度より高く(約3倍)、剥離層210が基板21上に保持されている間、外力によってプラスチック層22を剥離層210から簡単に分離することができる。
【0040】
また、緩衝層220は、例えば蒸着技術を用いて、プラスチック層22と電極層23との間に形成することができる。緩衝層220は、誘導体又は窒化ケイ素、酸化ケイ素等のシリコンの化合物によって形成することができるが、この限りでない。好ましい形態において、緩衝層220の厚さは、10nm(ナノメートル)又は200nm以上である。緩衝層220を配置することで、プラスチック層22と接触層(23、24、25)との間の接着強度が増加し、そしてプラスチック層22の表面張力を緩和することができる。
【0041】
また、タッチフィルム22〜25及び基板21は、図2Bに示す構造を形成するために分離することができる。図2Cに示すように、タッチフィルムは、各タッチユニットがタッチモジュールを形成することができるように切断され、各タッチジュールは、その後の工程を介して独立したタッチパネルを形成することができる。一般的な1つのユニットによって1つのユニットを製造する方法に比べて、本形態は、プラスチック層22上でタッチパネルの所定のサイズに合うサイズに複数のタッチユニットを形成し、そして形成されたタッチユニットを切断し、タッチオンレンズ(TOL)デバイスの大量生産の効率の向上、及び生産性の向上に寄与できる。
【0042】
また、図2Cに示す積層構造を形成する前又は後に、強化レンズ27(以下、カバーレンズと呼ぶ場合がある。)を図2Dに示すようにさらに備えることができる。強化レンズ27は、タッチモジュールのサイズに合うように、ガラス母材を切断し、そして端部研磨を実行することで形成することができる。積層された接触層を配置した後にガラスを切断する一般的な方法に比べて、本形態の強化レンズ27は、端部が強化され、そして優れた機械的特性を備えている。マスク層(又はブラックマトリックス層)28は、プリント技術によって強化レンズ27上に形成することができる。
【0043】
図2Eに示すように、タッチモジュール(図2Cを参照)の構成と、強化レンズ27(図2Dを参照)と、を一体にするために、液状接着剤のような接着層29は、当該2つの構成を接着するために用いることができる。すなわち、接着層29の上面は、強化レンズ27及びマスク層28の下面に接合され、接着層29の下面は、保護層26の上面に接合される。保護層26が省略される場合、接着層29の下面は接触層(23、24、25)の上面に接合することができる、すなわち、マスク層28及びタッチモジュール22〜26は、強化レンズ27における同じ側に形成することができる。接合すると、図2Fに示す積層構造が形成される。すなわち、当該構造は、底部から上部に向かって、プラスチック層22、電極層23、絶縁層24、導線層25、保護層26、接着層29、マスク層28及び強化レンズ27が形成される。
【0044】
上述したタッチオンレンズ(TOL)デバイスを製造するための方法によれば、接触層(23、24、25)は、先ずプラスチック層22を形成し、そして切断された強化レンズ27を接合して、高い強度を有するように処理される。そのため、種々の最終製品の強度を確保することができ、大量生産が可能となる。上述の工程によってタッチオンレンズ(TOL)デバイスを形成するために、ITOを電極層23の材料として用い、ポリイミド(PI)をプラスチック層22の材料として用いると、2つの材料の接着性は非常に優れ、そして簡単に割れ目が生じないので、当該工程はタッチオンレンズの曲面を形成することに適している。一方、導線層25は直接にマスク層28と接触しないので、マスク層28の高さの違いによって形成される開回路の一般的な問題と異なって開回路問題が生じない。
【0045】
図4A乃至図4Fは、本開示の第2の形態に係る工程における、タッチオンレンズデバイスの積み重ねの図を抽象的に示している。本形態は、材料の条件、厚さ、製造工程及び他の効果において、第1の形態(図2A乃至図2Fを参照)に類似する。
【0046】
図4Aに示すように、最初に透明プラスチック層22は、母材20上に形成されている。母材20は、ガラス基板、プラスチックフィルム、他の固い基板で成すことができ、母材20は、他の部材から分離することができる。
【0047】
また、透明電極層23、透明絶縁層24及び導線層25は、順にプラスチック層22上に形成されている。電極層23、絶縁層24及び導線層25は、本形態の接触層を構成する。母材20、プラスチック層22及び接触層(23、24、25)は、タッチアセンブリを形成する。接触層(23、24、25)は複数のタッチユニットを含む。
【0048】
本開示の一開示において、保護層26は、導線層25上に形成することができ、電極層23、絶縁層24及び導線層25を保護するだけでなく、これらの酸化及び侵食を防ぐことができる。
【0049】
また、剥離層210は、母材20とプラスチック層22との間に形成することができる。緩衝層220は、プラスチック層22と電極層23との間に形成することができる。
【0050】
また、図4Bに示すように、タッチアセンブリは、各タッチユニットが独立したタッチサブアセンブリを形成することができるように切断される。1つのユニットによって1つのユニットを製造する一般的な方法に比べて、本形態は、先ず複数のタッチユニットを形成し、それらを切断するので、タッチオンレンズ(TOL)デバイスの大量生産の効率の向上、及び生産性の向上に寄与できる。
【0051】
本形態において、図4Bに示す積層構造を形成する前又は後に、強化レンズ27を図4Cに示すようにさらに備えることができる。マスク層28は、強化レンズ27下に形成することができる。
【0052】
図4Dに示すように、タッチサブアセンブリ(図4Bを参照)と強化レンズ27(図4Cを参照)との構造体を形成するために、接着層29は当該2つの構造体を共に接合するために用いることができる。すなわち、接着層29の上面は、強化レンズ27及びマスク層28の下面に接合することができ、接着層29の下面は、保護層26の上面に接合することができる。保護層26が省略される場合、接着層29の下面は、接触層(23、24、25)の上面に接合することができる。接合すると、図4Eに示す積層構造が形成される。当該構造体は、底部から上部に向かって、母材20、剥離層210、プラスチック層22、緩衝層220、電極層23、絶縁層24、導線層25、保護層26、接着層29、マスク層28及び強化レンズ27が形成される。
【0053】
また、母材20は図4Eに示す構造体から分離され、図4Fに示す構造体を形成する。
【0054】
上述した方法によれば、タッチオンレンズデバイスを形成することができる。図4Fに示すように、タッチデバイスは、強化レンズ27及びタッチモジュール(22、220、23、24、25、26)を含む。タッチモジュールは、強化レンズ27に積層される。タッチモジュールは、接触層(23、24、25)及びプラスチック層22を含むタッチフィルムを切断することで形成される。プラスチック層の厚さは、25μm以下である。
【0055】
本開示の一形態において、プラスチック層は、ポリイミド(PI)層又はポリエステルイミド層である。プラスチック層は、高温耐熱で光学特性に優れる。そして、その厚さは、比較的薄い範囲に制御することができる。好ましい形態において、プラスチック層22の厚さは10〜20μmである。より好ましい形態において、プラスチック層22の厚さは0.5〜10μmである。PETのような他のプラスチックに比べて、当該プラスチック層は薄いタッチオンレンズデバイスを作ることができる。
【0056】
本開示は、本開示を実行するために、形態及びベストモードを参照して述べた。本開示のスコープから外れなければ、種々の改変及び変更は本願発明に含められる。
【符号の説明】
【0057】
11 カバーレンズ
12 接触基板
13 接触層
20 母材
21 基板
22 プラスチック層
23 電極層
23A 第1の電極
23B 第2の電極
24 絶縁層
24A 絶縁ブロック
25 導線層
25A 配線セグメント
25B 配線
26 保護層
27 強化レンズ
28 マスク層
29 接着層
210 剥離層
220 緩衝層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)基板上にプラスチック層を形成し、
(2)接触層と前記プラスチック層とでタッチフィルムを形成するために、前記プラスチック層上に接触層を形成し、
(3)前記タッチフィルムと前記基板とを分離し、
(4)複数のタッチモジュールを形成するために前記タッチフィルムを切断し、
(5)前記タッチモジュールに強化レンズを積層する、タッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項2】
前記プラスチック層は、ポリイミド(PI)層又はポリエステルイミド層である、請求項1に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項3】
前記接触層は、フォトエッチング工程によって形成される検出パターンを含む、請求項1又は2に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項4】
前記タッチオンレンズデバイスは、前記プラスチック層と前記基板との間に形成される剥離層を含み、前記剥離層はシリコンベース又はフッ素ベースの化合物である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項5】
前記基板と前記剥離層との間の接着強度は、前記剥離層と前記プラスチック層との間の接着強度の少なくとも3倍である、請求項4に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項6】
前記タッチフィルムは、緩衝層をさらに含み、
前記緩衝層は、前記接触層と前記プラスチック層との間に形成されており、前記緩衝層は、誘導体又はシリコンの化合物で形成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項7】
前記プラスチック層の厚さは、25μm以下である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項8】
前記強化レンズ上にマスク層を形成し、
前記マスク層及び前記タッチモジュールは、前記強化レンズの同じ側に配置される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項9】
(1)母材上にプラスチック層を形成し、
(2)前記プラスチック層上に接触層を形成し、前記プラスチック層と前記接触層とでタッチアセンブリを形成し、
(3)複数のタッチサブアセンブリを形成するために前記タッチアセンブリを切断し、
(4)前記タッチサブアセンブリを強化レンズに積層し、
(5)切断した後に、前記母材を分離する、タッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項10】
前記プラスチック層は、ポリイミド(PI)層又はポリエステルイミド層である、請求項9に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項11】
前記接触層は、フォトエッチング工程によって形成される検出パターンを含む、請求項9又は10に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項12】
前記タッチアセンブリは、さらに前記プラスチック層と前記母材との間に形成される剥離層を含み、前記剥離層はシリコンベース又はフッ素ベースの化合物である、請求項9乃至11のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項13】
前記タッチアセンブリは、前記接触層と前記プラスチック層との間に形成される緩衝層をさらに含み、
前記緩衝層は、誘導体又はシリコンの化合物で形成されている、請求項9乃至12のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項14】
前記タッチアセンブリの前記プラスチック層及び前記接触層は、タッチフィルムを構成し、前記タッチサブアセンブリは、前記母材及び前記タッチフィルムの切断後に形成されるタッチモジュールを含み、ステップ(4)の積層工程において、前記タッチサブアセンブリのタッチモジュールを前記強化レンズに積層する、請求項9乃至13のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項15】
前記強化レンズ上にマスク層を形成し、
前記マスク層及び前記タッチモジュールは、前記強化レンズの同じ側に配置される、請求項14に記載のタッチオンレンズデバイスを製造するための方法。
【請求項16】
強化レンズと、
前記強化レンズに積層されるタッチモジュールと、を備え、
前記タッチモジュールは、タッチフィルムを切断することで形成され、
前記タッチフィルムは、接触層とプラスチック層とを含む、タッチオンレンズデバイス。
【請求項17】
前記プラスチック層の厚さは、10〜20μmである、請求項16に記載のタッチオンレンズデバイス。
【請求項18】
前記プラスチック層の厚さは、0.5〜10μmである、請求項16に記載のタッチオンレンズデバイス。
【請求項19】
前記プラスチック層は、ポリイミド(PI)層又はポリエステルイミド層である、請求項16乃至18のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイス。
【請求項20】
前記接触層は、フォトエッチング工程によって形成される検出パターンを含む、請求項16乃至19のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイス。
【請求項21】
前記タッチフィルムは、緩衝層をさらに含み、
前記緩衝層は、前記接触層と前記プラスチック層との間に形成され、
前記緩衝層は、誘導体又はシリコンの化合物で形成されている、請求項16乃至20のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイス。
【請求項22】
マスク層をさらに含み、
前記マスク層及び前記タッチモジュールは、前記強化レンズの同じ側に形成されている、請求項16乃至21のいずれか1項に記載のタッチオンレンズデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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