説明

タッチスクリーンパネル

【課題】本発明は、タッチスクリーンパネルに関する。
【解決手段】本発明によるタッチスクリーンパネル100は、第1面及び第2面に強化層11が形成されたガラス基板10と、ガラス基板10の第1面の活性領域に形成されたセンシングパターン220と、活性領域の外郭部である非活性領域に形成されるブラックマトリクス210と、ブラックマトリクス210の側面部を覆う形状にパターニング形成されるオーバーコート層250と、オーバーコート層250を覆い、ガラス基板10の切断面まで延設された絶縁層240と、ブラックマトリクス210と一部重なり、センシングパターン220に接続されるセンシングライン230とが備えられ、ガラス基板10の切断により露出した未強化処理面のエッジ部10’10’’が滑らかな形状で実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置などに備えられるタッチスクリーンパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンパネルは、映像表示装置などの画面に現れた指示内容を人の手または物体で選択し、ユーザの命令を入力できるようにした入力装置である。
【0003】
このため、タッチスクリーンパネルは、映像表示装置の前面(front face)に備えられ、人の手または物体に直接接触した接触位置を電気的信号に変換する。これにより、接触位置で選択された指示内容が入力信号として受信される。
【0004】
このようなタッチスクリーンパネルは、キーボードやマウスのように、映像表示装置に接続して動作する別の入力装置を代替できるため、その使用範囲が次第に拡大する傾向にある。
【0005】
ただし、タッチスクリーンパネルが映像表示装置のパネルの上部に取り付けられると、表示装置全体の体積が大きくなり、携帯の利便性が低下するなどの問題が発生し得るため、最近では、薄型化されたタッチスクリーンパネルの開発が求められている。
【0006】
しかし、一般的なタッチスクリーンパネルの場合、機構強度を向上させるために、タッチスクリーンパネルの上面にウィンドウが追加で備えられるが、これは、タッチスクリーンパネルの厚さを大きくするもので、タッチスクリーンパネルの薄型化傾向に逆行するという欠点がある。
【0007】
また、前記ウィンドウは、強化処理されたガラス基板で実現されることが一般的であるが、強化処理されたガラス基板をウィンドウとして用いるためには、セル単位でガラス基板をカッティングした後、これを個別に強化処理工程を行わなければならず、それぞれセル単位のウィンドウを用いてタッチスクリーンパネルを製造することは、量産性を確保できないという欠点がある。
【0008】
逆に、強化処理されていないガラス基板をウィンドウとして用い、マザーガラス状態でタッチスクリーンパネルを製造すれば、ウィンドウの破壊強度が脆弱で、ウィンドウとしての役割を果たせないという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民國公開特許第2001−0056446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ウィンドウ上に感知電極を形成するウィンドウ一体型タッチスクリーンパネルを実現するにあたり、マザーガラス状態で前記ウィンドウとして用いられるガラス基板の強化処理工程を行い、各セル領域ごとにタッチスクリーンパネルを形成した後、前記各セル領域に対するカッティングを行うことで発生する未強化処理面、すなわち、カッティングされた断面部に対してヒーリング(healing)工程を行うことにより、タッチスクリーンパネルの破壊強度及び量産性を確保することができるタッチスクリーンパネルを提供することを目的とする。
【0011】
また、前記ヒーリング工程中、前記断面部に隣接して位置するブラックマトリクスが損傷するのを防止するために、最外郭断面構造を変更するタッチスクリーンパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルは、第1面及び第2面に強化層が形成されたガラス基板と、前記ガラス基板の第1面の活性領域に形成されたセンシングパターンと、前記活性領域の外郭部である非活性領域に形成されるブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクスの側面部を覆う形状にパターニング形成されるオーバーコート層と、前記オーバーコート層を覆い、前記ガラス基板の切断面まで延設された絶縁層と、前記ブラックマトリクスと一部重なり、前記センシングパターンに接続されるセンシングラインとが備えられ、前記ガラス基板の切断により露出した未強化処理面のエッジ部が滑らかな形状で実現される。
【0013】
このとき、前記絶縁層は、酸化アルミニウム(Al)または酸化タンタル(Ta)で実現されることを特徴とする。
【0014】
また、前記非活性領域に形成される絶縁層上に透明導電パターンがさらに形成され、前記透明導電パターンは、タッチスクリーンパネルの非活性領域の縁を囲む形状に形成され、少なくとも1つ以上の積層構造で実現される。
【0015】
また、前記透明導電パターンは、活性領域に形成されるセンシングパターンと同じ材料で同一工程により形成可能である。
【0016】
また、前記強化層が形成されたガラス基板は、ウィンドウの役割を果たし、前記第2面は、外部に露出して接触が行われる面であり、前記強化層は、ガラス基板の表面に存在するナトリウム(Na)成分がカリウム(K)成分に置換されて実現される。
【0017】
また、前記ガラス基板の切断により露出した未強化処理面に化学溶液が接触し、前記エッジ部が滑らかな形状で実現されるものであり、前記化学溶液は、フッ酸(HF)をベース(base)として、無機酸(inorganic acid)、アンモニウム系の添加剤を含んで実現される。
【発明の効果】
【0018】
このような本発明によれば、ウィンドウ上に感知電極を形成し、タッチスクリーンパネルの全厚を最小化できるという利点がある。
【0019】
また、マザーガラス状態でウィンドウとして用いられるガラス基板の強化処理工程を行い、各セル領域ごとにタッチスクリーンパネルを形成した後、各セル領域に対するカッティングを行うことで発生する未強化処理面、すなわち、カッティングされた断面部に対してヒーリング工程を行うことにより、断面部に形成される微細なクラックを除去し、タッチスクリーンパネルの破壊強度及び量産性を確保できるという利点がある。
【0020】
また、カッティングされる最外郭断面部の構造を変更し、ヒーリング工程中、前記断面部に隣接して位置するブラックマトリクスが損傷するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルを概略的に示す平面図である。
【図2】図1のセンシングパターンの一例を示す要部拡大図である。
【図3】本発明の一実施例によるタッチスクリーンパネルの一領域(I−I’)に関する断面図である。
【図4(a)】本発明の他の実施例によるタッチスクリーンパネルの一領域(I−I’)に関する断面図である。
【図4(b)】本発明の他の実施例によるタッチスクリーンパネルの一領域(I−I’)に関する断面図である。
【図5(a)】本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルの製造方法を順次に示す断面図である。
【図5(b)】本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルの製造方法を順次に示す断面図である。
【図5(c)】本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルの製造方法を順次に示す断面図である。
【図5(d)】本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルの製造方法を順次に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例をより詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルを概略的に示す平面図である。そして、図2は、図1のセンシングパターンの一例を示す要部拡大図である。
【0024】
ただし、これは、センシングパターンがガラス基板上に形成されたタッチスクリーンパネルをその対象とし、マザーガラス単位でガラス基板を強化処理した後、透明基板上に複数のタッチスクリーンパネルを製造し、これをセル単位(cell unit)でカッティングしたタッチスクリーンパネルを示したものである。
【0025】
図1及び図2に示すように、本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルは、透明基板10と、透明基板10上に形成されたセンシングパターン220と、センシングパターン220をパッド部20を介して外部の駆動回路と接続するためのセンシングライン230とを備える。
【0026】
センシングパターン220は、図2に示すように、行方向に沿って各行ラインごとに接続されるように形成された複数の第1センシングセル220aと、第1センシングセル220aを行方向に沿って接続する第1接続ライン220a1と、列方向に沿って各列ラインごとに接続されるように形成された第2センシングセル220bと、第2センシングセル220bを列方向に沿って接続する第2接続ライン220b1とを備える。
【0027】
便宜上、図2では、センシングパターンの一部のみを示したが、タッチスクリーンパネルは、図2に示すセンシングパターンが繰り返し配置される構造を有する。
【0028】
このような第1センシングセル220a及び第2センシングセル220bは互いに重ならないように交互に配置され、第1接続ライン220a1と第2接続ライン220b1とは互いに交差する。このとき、第1接続ライン220a1と第2接続ライン220b1との間には、安定性を確保するための絶縁層(図示せず)が介在する。
【0029】
一方、第1センシングセル220a及び第2センシングセル220bは、インジウム−スズ−オキサイド(以下、ITO)のような透明電極物質を用いてそれぞれ第1接続ライン220a1及び第2接続ライン220b1と一体に形成されるか、あるいは、これらとは別途に形成されて電気的に接続可能である。
【0030】
例えば、第2センシングセル220bは、第2接続ライン220b1と一体に列方向にパターニング形成され、第1センシングセル220aは、第2センシングセル220bの間にそれぞれが独立したパターンを有するようにパターニングされるが、その上部または下部に位置する第1接続ライン220a1により行方向に沿って接続可能である。
【0031】
このとき、第1接続ライン220a1は、第1センシングセル220aの上部または下部で第1センシングセル220aに直接接触して電気的に接続されるか、あるいは、コンタクトホールなどを介して第1センシングセル220aと電気的に接続可能である。
【0032】
このような第1接続ライン220a1は、ITOのような透明電極物質を用いて形成されるか、あるいは、不透明な低抵抗物質を用いて形成されるが、パターンの可視化が防止されるようにその幅などが調整されて形成可能である。
【0033】
センシングラインは、それぞれ行ライン単位及び列ライン単位の第1センシングセル220a及び第2センシングセル220bと電気的に接続され、これらをパッド部20を介して位置検出回路のような外部の駆動回路(図示せず)と接続する。
【0034】
このようなセンシングラインは、映像が表示される活性領域(active area)の外郭部である非活性領域(non active area)に配置されるものであって、材料選択の幅が広く、センシングパターン220の形成に用いられる透明電極物質のほか、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)などの低抵抗物質で形成可能である。
【0035】
前述したような本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルは、静電容量方式のタッチパネルであって、人の手またはスタイラスペンなどのような接触物体が接触すると、センシングパターン220からセンシングライン230及びパッド部20を経由して、駆動回路(図示せず)側へと、接触位置に応じた静電容量の変化が伝達される。すると、X及びY入力処理回路(図示せず)などにより静電容量の変化が電気的信号に変換されることにより、接触位置が把握される。
【0036】
一方、図1には示していないが、透明基板10には、センシングライン230と重なるように非活性領域に形成され、センシングライン230などのパターンが可視化するのを防止し、画面に黒枠を形成するブラックマトリクスがさらに形成される。
【0037】
すなわち、本発明では、センシングパターン220とブラックマトリクスを同じ透明基板10に形成し、ブラックマトリクスの上部には、ブラックマトリクスによる段差を緩和するオーバーコート層が形成される。
【0038】
タッチスクリーンパネルは、一般的に、独立した基板に形成され、映像表示装置などの上面に取り付けられる。しかし、この場合、表示装置の全厚が増加するという欠点がある。
【0039】
これにより、本発明の実施例では、透明基板10の上面は、接触物体が直接接触する面であり、すなわち、透明基板10が表示装置のウィンドウとしても機能することを特徴とする。
【0040】
すなわち、本発明では、ウィンドウを別途に備えることなく、タッチスクリーンパネルの透明基板とウィンドウとを一体化して実現する。これにより、薄型化されたタッチスクリーンパネルを実現するのはもちろん、製造工程の簡素化や材料コストの節減などにより、製造効率を向上させることもできる。
【0041】
ただし、このためには、透明基板10は、ウィンドウとしての役割を果たすために、強化処理が施されたガラス基板で実現されることが好ましく、これにより、本発明の実施例は、強化処理を各々のセル単位で行うのではなく、セル単位のカッティング前のマザーガラス基板ステップで行うことにより、量産性の確保に大きな利点がある。
【0042】
図3は、本発明の一実施例によるタッチスクリーンパネルの一領域(I−I’)に関する断面図である。
【0043】
すなわち、図3は、強化処理されたガラス基板上に形成されたタッチスクリーンパネルがセル単位でカッティングされた一側断面図である。
【0044】
ここで、強化処理されたガラス基板は一例であって、ガラス基板をKNO溶液に浸した後、400℃〜450℃の温度で15〜18時間程度加熱する工程により実施できるものであり、この工程により、ガラス基板の表面に存在するナトリウム(Na)成分をカリウム(K)成分に置換することにより、ガラス基板表面の強度を向上させることができる。
【0045】
すなわち、図3に示すように、強化処理が施されたガラス基板10の表面に形成された強化層11は、表面に存在するナトリウム(Na)成分がカリウム(K)成分に置換され、その強度が向上する。
【0046】
また、強化処理ガラス基板の活性領域上に形成されたセンシングパターン220は、第1方向に沿って各行ラインごとに接続されるように形成された第1センシングセル220aと、第1センシングセル220aを行方向に沿って接続する第1接続ライン220a1と、列方向に沿って各列ラインごとに接続されるように形成された第2センシングセル220bと、第2センシングセル220bを列方向に沿って接続する第2接続ライン220b1とを備え、第1接続ライン220a1と第2接続ライン220b1との交差部には、絶縁層240が介在する。
【0047】
このとき、絶縁層240は、一般的に、酸化シリコン(SiO)または窒化シリコン(SiN)が使用される。
【0048】
また、活性領域の外郭に位置する非活性領域には、図示のように、ブラックマトリクス210と、ブラックマトリクスと重なって形成され、センシングパターン220と電気的に接続されるセンシングライン230とが形成される。
【0049】
ブラックマトリクス210は、非活性領域に形成されるセンシングラインなどのパターンが可視化するのを防止しつつ、表示領域の枠を形成する役割を果たす。
【0050】
また、ブラックマトリクス210の上部には、ブラックマトリクス210による段差を緩和するオーバーコート層250が形成される。
【0051】
このとき、オーバーコート層250は、図示のように、ブラックマトリクス210を含む基板全面に形成可能であり、オーバーコート層250は、ポリイミド(polyimide)、アクリル(acryl)、または無機絶縁層(SiNなど)で形成される。
【0052】
ただし、図3に示すブラックマトリクス210、オーバーコート層250、センシングパターン220、センシングライン230、絶縁層240は、説明の便宜上、厚さ及び面積を大きく拡大して示したものであり、実際には、ガラス基板10の厚さに比べて非常に薄く形成される。
【0053】
しかし、このように強化処理されたマザーガラス基板をセル単位でカッティングする場合、カッティングされる断面、すなわち、カッティング後に露出したガラス基板の未強化処理面が存在するが、本発明の実施例では、露出した切断面に対してヒーリング工程を行い、切断面に形成される微細なクラックを除去することにより、量産性の確保と共にタッチスクリーンパネルの破壊強度を向上させることができる。
【0054】
ヒーリング工程は、切断面10’’に化学溶液を接触させる工程であって、化学溶液は、フッ酸(HF)をベースとして構成されることを特徴とする。
【0055】
例えば、化学溶液は、フッ酸(HF)と無機酸、アンモニウム系の添加剤を含み得る。
【0056】
このようなヒーリング工程は、フッ酸(HF)を含む化学溶液が露出した切断面10’’に接触することにより、切断面10’’に発生した微細なクラックの鋭い内側部位を緩やかに陥没させるか、または微細なクラックが発生したカッティング断面の外側領域を除去できるようになるのである。
【0057】
また、切断面10に対する処理が完了すると、図2の断面図に示すように、カッティング切断面のエッジ部分10’は、滑らかな形状で実現される。
【0058】
しかし、図3に示す実施例の場合、ヒーリング工程が行われる際、カッティング切断面に隣接して位置するブラックマトリクス210が損傷する問題が発生し得る。
【0059】
すなわち、図3に示すように、カッティング切断面にはオーバーコート層250及び絶縁層240が露出するが、この場合、ヒーリング工程に用いられる化学溶液がオーバーコート層250及び絶縁層240を浸透し、ブラックマトリクス210を損傷させることがある。
【0060】
より具体的には、浸透した化学溶液は、ブラックマトリクス210とその上部に位置するオーバーコート層250との粘着力(adhesion)を低下させ、ブラックマトリクス210の膜浮き不良など、外観不良をもたらす原因になり得る。
【0061】
したがって、本発明の他の実施例は、カッティングされる最外郭断面部の構造を変更し、ヒーリング工程中、断面部に隣接して位置するブラックマトリクスが損傷するのを防止することを特徴とする。
【0062】
図4(a)及び図4(b)は、本発明の他の実施例によるタッチスクリーンパネルの一領域(I−I’)に関する断面図である。
【0063】
ただし、これは、図3に示す実施例と同じ領域に関する断面図、すなわち、強化処理されたガラス基板上に形成されたタッチスクリーンパネルがセル単位でカッティングされた一側断面であって、同一の構成要素については同一の図面符号を使用する。
【0064】
まず、図4(a)に示すように、カッティングされた断面を含む非活性領域には、ブラックマトリクス210、オーバーコート層250’、センシングライン230、及び絶縁層240’が形成されている。
【0065】
このとき、活性領域での構造は、図3に示す実施例と同一であるため、これに関する説明は省略する。
【0066】
図4(a)に示すように、オーバーコート層250’は、図3とは異なり、基板の切断面10’’まで延びず、ブラックマトリクス210の側面部を覆う形状にパターニング形成され、オーバーコート層250’の側面部は、絶縁層240’が完全に覆うように形成される。
【0067】
したがって、カッティング切断面にはオーバーコート層250’が露出せず、図4(a)に示すように、オーバーコート層250’を完全に覆い、基板の切断面まで延設された絶縁層240’のみがその厚さd1に該当する程度だけ露出する。このとき、絶縁層240’の厚さは、約500Åで実現されることが好ましい。
【0068】
また、絶縁層240’は、図3に示す実施例の場合、一般的な無機材料である酸化シリコン(SiO)または窒化シリコン(SiN)ではない、耐フッ酸性を強化させるために、酸化アルミニウム(Al)と酸化タンタル(Ta)を使用することを特徴とする。
【0069】
このとき、活性領域に形成される絶縁層240は、非活性領域に形成される絶縁層240’と同じ材料で同一工程により形成可能であるが、これにより限定されるものではない。すなわち、活性領域の絶縁層240は、既存の無機材料で実現されてもよい。
【0070】
このような構造を適用する場合、カッティング切断後、ヒーリング工程を行う際、ヒーリング工程に用いられるフッ酸(HF)を含む化学溶液が耐フッ酸特性を有する絶縁層240’により遮断され、ブラックマトリクス210が損傷するのを防止できるのである。
【0071】
次に、図4(b)に示す実施例は、図4(a)に示す実施例の構成に加えて、非活性領域に形成される絶縁層240’上に透明導電パターン260をさらに備えることを特徴とする。
【0072】
透明導電パターン260は、タッチスクリーンパネルの非活性領域の縁を囲む形状に形成されるものであり、電圧が別途に印加されず、単にヒーリング工程時に用いられる化学溶液がタッチスクリーンパネルの内部に浸透するのを防止するために形成される。
【0073】
このとき、透明導電パターン260は、少なくとも1つの層260a、260bで実現可能であり、これは、活性領域に形成されるセンシングパターン220と同じ材料で同一工程により形成可能であるが、これにより限定されるものではない。
【0074】
このような構造を適用する場合、カッティング切断後、ヒーリング工程を行う際、ヒーリング工程に用いられるフッ酸(HF)を含む化学溶液が耐フッ酸特性を有する絶縁層240’及び透明導電パターン260により遮断され、ブラックマトリクス210が損傷するのを防止することができる。
【0075】
以下、図5(a)〜図5(d)を参照して本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルの製造工程を説明する。
【0076】
図5(a)〜図5(d)は、本発明の実施例によるタッチスクリーンパネルの製造方法を順次に示す断面図である。
【0077】
まず、図5(a)に示すように、マザーガラス基板10、すなわち、セル単位で複数のタッチスクリーンパネルが形成されるガラス基板10の全表面に対して強化処理を施す。
【0078】
強化処理は、ガラス基板10をKNO溶液に浸した後、400℃〜450℃の温度で15〜18時間程度加熱する工程により実施可能であり、この工程により、ガラス基板の表面に存在するナトリウム(Na)成分をカリウム(K)成分に置換することにより、ガラス基板表面の強度が向上する。すなわち、強化処理後、ガラス基板の表面上には強化層11が形成される。ただし、これは一実施例であって、ガラス基板に対する強化処理はこれに限定されない。
【0079】
次に、図5(b)に示すように、マザーガラス基板の各セル単位領域ごとにタッチスクリーンパネル100を形成する。
【0080】
ただし、本発明の実施例では、説明の便宜上、マザーガラス基板10が3つのセル単位で構成されることをその例とするが、本発明の実施例はこれに限定されない。
【0081】
また、タッチスクリーンパネル100は、図1〜図3に基づいて説明したように、活性領域に形成されるセンシングパターン220と、非活性領域に形成されるブラックマトリクス210と、オーバーコート層250と、センシングライン230とを備えるものであって、図5(b)では、説明の便宜上、構成要素に関する具体的な説明は省略する。
【0082】
次に、図5(c)に示すように、タッチスクリーンパネル100が各セル単位領域ごとに形成が完了すると、各セル単位領域ごとにカッティングする。このとき、カッティングは、ホイール(wheel)、レーザ、ウォータージェット(water−jet)、エッチングなど、物理的または化学的な方法を用いて実現される。また、カッティングが完了した後、カッティング切断面に対する研磨を行うステップがさらに含まれてもよい。
【0083】
ただし、このようにカッティングが行われると、カッティングされた切断面は、図示のように、強化処理がされていない面10’’が露出し、微細なクラックが存在するようになり、この微細なクラックは、製品の信頼性を低下させる原因になり得る。
【0084】
これにより、本発明の実施例は、未強化処理面、すなわち、露出した切断面10’’に対するヒーリング工程を行い、これにより製品の信頼性を確保する。
【0085】
ヒーリング工程は、切断面10’’に化学溶液を接触させる工程であって、化学溶液は、フッ酸(HF)をベース(base)として構成されることを特徴とする。
【0086】
例えば、化学溶液は、フッ酸(HF)と無機酸、アンモニウム系の添加剤を含んでなり得る。
【0087】
このようなヒーリング工程は、フッ酸(HF)を含む化学溶液が露出した切断面10’’に接触することにより、切断面10’’に発生した微細なクラックの鋭い内側部位を緩やかに陥没させるか、または微細なクラックが発生したカッティング断面の外側領域を除去できるようになるのである。
【0088】
次に、ヒーリング工程が完了すると、図5(d)に示すような切断面10’’のエッジ部分10’が滑らかな形状である強化ガラス基板10上に形成されたタッチスクリーンパネル100が完成する。
10 基板、
11 強化層、
20 パッド部、
100 タッチスクリーンパネル、
210 ブラックマトリクス、
220 センシングパターン、
220a、220b センシングセル、
220a1、220b1 接続ライン、
230 センシングライン、
240、240’ 絶縁層、
250、250’ オーバーコート層、
260 透明導電パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面に強化層が形成されたガラス基板と、
前記ガラス基板の第1面の活性領域に形成されたセンシングパターンと、
前記活性領域の外郭部である非活性領域に形成されるブラックマトリクスと、
前記ブラックマトリクスの側面部を覆う形状にパターニング形成されるオーバーコート層と、
前記オーバーコート層を覆い、前記ガラス基板の切断面まで延設された絶縁層と、
前記ブラックマトリクスと一部重なり、前記センシングパターンに接続されるセンシングラインとが備えられ、
前記ガラス基板の切断により露出した未強化処理面のエッジ部が滑らかな形状で実現されることを特徴とするタッチスクリーンパネル。
【請求項2】
前記絶縁層は、酸化アルミニウム(Al)または酸化タンタル(Ta)で実現されることを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーンパネル。
【請求項3】
前記非活性領域に形成される絶縁層上に透明導電パターンがさらに形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタッチスクリーンパネル。
【請求項4】
前記透明導電パターンは、タッチスクリーンパネルの非活性領域の縁を囲む形状に形成されることを特徴とする請求項3に記載のタッチスクリーンパネル。
【請求項5】
前記透明導電パターンは、少なくとも1つ以上の積層構造で実現されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のタッチスクリーンパネル
【請求項6】
前記透明導電パターンは、活性領域に形成されるセンシングパターンと同じ材料で同一工程により形成されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のタッチスクリーンパネル。
【請求項7】
前記強化層が形成されたガラス基板は、ウィンドウの役割を果たし、前記第2面は、外部に露出して接触が行われる面であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のタッチスクリーンパネル。
【請求項8】
前記強化層は、ガラス基板の表面に存在するナトリウム(Na)成分がカリウム(K)成分に置換されて実現されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のタッチスクリーンパネル。
【請求項9】
前記ガラス基板の切断により露出した未強化処理面に化学溶液が接触し、前記エッジ部が滑らかな形状で実現されることを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーンパネル。
【請求項10】
前記化学溶液は、フッ酸(HF)をベースとして、無機酸、アンモニウム系の添加剤を含んで実現されることを特徴とする請求項9に記載のタッチスクリーンパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図5(d)】
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【公開番号】特開2012−123771(P2012−123771A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13306(P2011−13306)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】