タッチセンサ
【課題】 省配線化されたタッチセンサを提供すること。
【解決手段】 タッチセンサ1は、データ処理部3とセンサパネル2とを備える。データ処理部3は、質問信号を生成し送出する。センサパネル2には複数の検出ユニット4が配列され、各検出ユニット4は、受信質問信号に応じて、自身への接触状態を含む応答信号を生成し送信する。検出ユニット4は具体的には、受信質問信号から起電力を発生するRFIDタグ11と、検出対象が自身に触れていることを検出して、検出結果を出力するセンサ部10とを含む。RFIDタグ11はさらに、この検出結果を含む応答信号を生成し送出する。データ処理部3は具体的には、応答信号を受信するアンテナ5と、アンテナ5の受信応答信号それぞれに含まれる検出結果に基づいて、センサパネル2において検出対象が触れている領域を特定するプロセッサ7とを含む。
【解決手段】 タッチセンサ1は、データ処理部3とセンサパネル2とを備える。データ処理部3は、質問信号を生成し送出する。センサパネル2には複数の検出ユニット4が配列され、各検出ユニット4は、受信質問信号に応じて、自身への接触状態を含む応答信号を生成し送信する。検出ユニット4は具体的には、受信質問信号から起電力を発生するRFIDタグ11と、検出対象が自身に触れていることを検出して、検出結果を出力するセンサ部10とを含む。RFIDタグ11はさらに、この検出結果を含む応答信号を生成し送出する。データ処理部3は具体的には、応答信号を受信するアンテナ5と、アンテナ5の受信応答信号それぞれに含まれる検出結果に基づいて、センサパネル2において検出対象が触れている領域を特定するプロセッサ7とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサに関し、より特定的には、操作面と、人体又は導電性のペンとの接触状態を検出するタッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記のようなタッチセンサは代表的には、ノート型パーソナルコンピュータにおけるポインティングデバイスとして用いられている。他にも、タッチセンサは、表示画面上に設置されることで、ユーザが直感的に操作可能な入力装置としての応用されている。このような入力装置は、例えば、車載用ナビゲーションシステム、携帯情報端末(PDA)、又は発券機に応用されている。このような入力装置において画面上に表示された操作画面をユーザが直接触れることで、上述のナビゲーションシステム、PDA又は発券機は、ユーザの操作位置に対応する処理を実行することができる。
【0003】
従来、以上のようなタッチセンサにおける位置検出の方式としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、光(赤外線)方式、電磁誘導方式及び歪方式が知られている
【0004】
図11は、従来のタッチセンサの一例として、アナログ静電容量方式を採用したもの(以下、従来のタッチセンサ20と称する)の構成を模式的に示す斜視図である。図11において、タッチセンサ20は本質的に、接触ポイントのX方向の座標を検出する第1透明導電膜22と、接触ポイントのY方向の座標を検出する第2透明導電膜24と、これらの透明導電膜22の下面及び透明導電膜24の上面の間に設けられた誘電体層23とから構成されている。
【0005】
また、必要に応じて、第1透明導電膜22の上面には、第1透明導電膜22を保護するためのガラス21が設けられている。
【0006】
さらに、各々の透明導電膜22及び24には、X座標検出用導電部25及びY座標検出用導電部26が設けられる。
【0007】
ここで、図12は、図11に示すタッチセンサ20の周辺回路を模式的に示すブロック図である。図12に示すように、上述のX座標検出用導電部25及びY座標検出用導電部26は、配線を介して、周辺のスイッチング回路35及び検出回路33と接続されている。
【0008】
各々の導電部25及び26は、接続された透明導電膜22及び24に所定の電圧を印加するための電極として機能する。スイッチング回路35の切り替えにより、2枚の透明導電膜22及び24のいずれか一方に選択的に交流電圧が、導電部25及び26を介して印加される。その結果、電圧が今回印加された透明導電膜上には電界が形成される。このような状態で、人体又はペンが触れると、接触ポイントは、人体の静電容量を介して接地されることになる。その結果、対象となる電極端子(つまり導電部25又は26)と接触ポイントとの間の抵抗値に変化が生じる。抵抗値は、接触ポイントと導電部25又は26との距離に比例するため、検出回路33は、接触ポイントと導電部25又は26との間に流れる電流値を検出することで接触ポイントの座標を求めることができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−173238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のタッチセンサ20は操作面(つまり、透明導電膜22及び24)に対して電力を供給したり、操作面における接触状態を検出したりするために配線を備える必要があるという問題点がある。
【0010】
それ故に、本発明の目的は、省配線化されたタッチセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一局面は、タッチセンサであって、質問信号を生成して空間に送出するデータ処理部と、データ処理部により送出された質問信号を空間を介して受信し、自身への接触状態を検出して、検出結果を含む応答信号を送信する検出ユニットが複数個配列されるセンサパネルとを備える。各検出ユニットは、データ処理部から送出された質問信号を受信することで起電力を発生するRFIDタグと、検出対象が自身に触れていることを検出して、検出結果を出力するセンサ部とを含む。RFIDタグは、センサ部の検出結果を含む応答信号を生成し空間に送出する。データ処理部は、各RFIDタグから送出された応答信号を、空間を介して受信する第1のアンテナと、第1のアンテナにより受信された各応答信号に含まれる検出結果に基づいて、センサパネルにおいて検出対象が現在触れている領域又はポイントを特定するプロセッサとを含む。
【0012】
データ処理部は、センサパネルに配列される各検出ユニットに予め割り当てられている識別データを保持するメモリをさらに備える。プロセッサは、メモリにより保持される識別データから未選択の識別データを選択し、今回選択した識別データを含む質問信号を生成し、第1のアンテナは、プロセッサにより生成された質問信号を空間に送出する。
【0013】
RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナにより受信された質問信号に含まれる識別データが、自身に予め割り当てられている識別データと一致するか否かを判断する制御部をさらに備える。制御部は、今回受け取った質問信号内の識別データが自身の識別データと一致すると判断した場合に、センサ部から検出結果を取得し、さらに、取得した検出結果を含む応答信号を生成する。第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【0014】
また、メモリに格納される識別データのそれぞれには、対象となる検出ユニットがセンサパネルに配置されている位置を示す位置情報が割り当てられる。第1のアンテナは、第2のアンテナから空間に送出された応答信号を受信する。プロセッサは、第1のアンテナにより受信された各応答信号に含まれる検出結果と、メモリに格納される位置情報とに基づいて、センサパネルにおいて検出対象が現在触れている領域又はポイントを特定する。
【0015】
プロセッサは、メモリにより保持される識別データから、未選択の識別データを所定個数選択する。ここで、所定個数は、データ処理部が、各検出ユニットからの応答信号を一度に処理可能な許容範囲に属する数に選ばれる。
【0016】
RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナにより受信された質問信号に応答して、センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備える。制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成する。第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【0017】
センサパネルに配列される各検出ユニットには優先度が割り当てられる。ここで、データ処理部は、優先度に従って、質問信号を生成して空間に送出する。
【0018】
より具体的には、センサパネルに配列される検出ユニットは、相対的に高い優先度が割り当てられる主検出ユニットと、相対的に低い優先度が割り当てられる副検出ユニットとに分類される。ここで、副検出ユニットは、センサパネルにおいて主検出ユニットの周囲に配置される。データ処理部は、センサパネルに配列される各主検出ユニットの識別データ毎に、その周囲に配置されるいくつかの副検出ユニットの識別データを保持するメモリをさらに備える。プロセッサは、メモリから、主検出ユニットの識別データを取得し、今回取得した識別データを含む第1の質問信号を生成し、第1のアンテナは、プロセッサにより生成された第1の質問信号を空間に送出する。
【0019】
また、各主検出ユニットにおいて、RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された第1の質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナにより受信された第1の質問信号に応答して、センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備える。制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【0020】
また、第1のアンテナは、第2のアンテナから空間に送出された応答信号を受信し、プロセッサは、今回応答信号を返して来た主検出ユニットの周囲に配置される副検出ユニットの識別データをメモリから取得し、今回取得した識別データを含む第2の質問信号を生成する。また、第1のアンテナは、プロセッサにより生成された第2の質問信号を空間に送出する。各副検出ユニットにおいて、RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された第2の質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナにより受信された第2の質問信号に応答して、センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備える。制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成する。第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【0021】
また、各RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナが質問信号を受信すると起動して、予め定められた送信時間を計時するタイマと、タイマを通じて、送信時間が到来したと判断すると、センサ部から検出結果を取得する制御部とをさらに備える。ここで、制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、上記局面に係るタッチセンサでは、センサパネルにRFIDタグが組み込まれる。これによって、センサパネル及びデータ処理部の間で無線通信を行うことが可能となり、さらには、RFIDタグの特質に起因して、データ処理部は、センサパネルに電力を供給したり、無線を介して検出結果を取得したりすることが可能となる。その結果、センサパネルに電源回路を接続する必要が無くなり、さらにデータ処理部が検出結果を取得するための配線を備える必要も無くなる。これによって、タッチセンサの省配線化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタッチセンサ1の全体構成を示す模式図である。図1において、タッチセンサ1は大略的に、センサパネル2と、データ処理部3とを備えている。
【0024】
センサパネル2には、複数の検出ユニット4が、互いに直交するX軸方向及びY軸方向の双方に沿って、マトリクス状に配列されている。なお、都合上、図1には1個のRFIDタグ(斜線を付した部分)から引き出し線を引き出し、参照符号を付けている。ここで、互いに隣り合う2個のRFID4の間隔は少なくとも、例えば5ミリメートルのように、指先の半分程度の値に選ばれる。
【0025】
各検出ユニット4は、人体(典型的には指)の接触状態を検出して、検出結果を含む情報を、無線を通じてデータ処理部3に送信する。
【0026】
ここで、図2は、図1に示す各検出ユニット4及びその周辺の構成を示す拡大図である。図2において、区画毎に1個の検出ユニット4が収容される。また、センサパネル2において、指と接触する表面は、絶縁体の保護膜9により覆われる。
【0027】
以上のような収容部材8に収容される検出ユニット4は、センサ部10と、RFIDタグ11とを含んでいる。
【0028】
センサ部10は例示的には、指の接触状態を検出する。このようなセンサ部10は、例示的には、金属電極15と、静電容量センサ16とを有する。
【0029】
金属電極15は、前述の保護膜9の直下に設置される。このような金属電極15には、データ処理部3側から無線を介して供給される電力に基づく駆動電圧が印加される。電圧が印加された状態で、ユーザがセンサパネル2の表面に指を近づけると、指、保護膜9及び金属電極15によりコンデンサが形成される。その結果、保護膜9と指との間に電荷が蓄積される。
【0030】
静電容量センサ16は、上記コンデンサに蓄積された電荷の量を表すデータ(以下、電荷量データと称する)をRFIDタグ11に出力する。
【0031】
また、RFIDタグ11は、アンテナ12と、メモリ13と、制御部14とを有する。
【0032】
アンテナ12は、データ処理部3から送出される質問信号を受信したり、制御部14により生成された応答信号を送信したりする。
【0033】
メモリ13は少なくとも、自身が備わる検出ユニット4を一意に特定可能な識別データ(以下、IDと略記する)を格納する。
【0034】
制御部14は、検出ユニット4の各構成を制御するが、代表的な処理としては、静電容量センサ16から電荷量データを受け取り、少なくとも電荷量データを含む応答信号を生成し、アンテナ12を介して空間に送出する。また、好ましい例では、制御部14は、メモリ13に格納された識別データをさらに含む応答信号を生成する。なお、制御部14のより詳細な処理については、後ほど詳しく説明する。
【0035】
また、図1において、データ処理部3は、各検出ユニット4からの応答信号を、無線を通じて受信し、受信応答信号のそれぞれに基づいて、センサパネル2におけるどの領域を指が触れているかを特定する。このような処理のために、データ処理部3は、アンテナ5と、メモリ6と、プロセッサ7とを含んでいる。
【0036】
アンテナ5は、プロセッサ7で生成された質問信号から生成されるRF信号を空間に送出したり、各検出ユニット4により空間に送出された応答信号を受信したりする。ここで、アンテナ5は、上記RF信号を、短い時間間隔で周期的に送出する。その結果、アンテナ5の周囲にはRFフィールドが形成さえる。このようなRFフィールド内に、センサパネル2(つまり、全検出ユニット4)は設置されており、各検出ユニット4は、受信電波(RF信号)のエネルギーを内部で電力に変換して、自身を起動するための起電力を得る。なお、RF信号には、例えば、860MHzから960MHz帯、又は2.45GHz帯といった高周波数帯域を持つ電波が用いられる。
【0037】
メモリ6は少なくとも、センサパネル2に収容される全ての検出ユニット4に割り当てられたIDを格納する。また、格納されるIDのそれぞれには、対象となる検出ユニット4がセンサパネル2において配列されている場所を示すXY座標値が割り当てられている。
【0038】
プロセッサ7は、上述の質問信号を生成してアンテナ5に出力したり、アンテナ5を介して受信した応答信号に基づいて、センサパネル2におけるどの領域を指が触れているかを特定したりする。
【0039】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、第1の実施形態に係るタッチセンサ1の動作について詳細に説明する。データ処理部3は、図3に示す処理を定期的に起動する。起動後、まず、データ処理部3は、IDを含む質問信号を生成し送信する(ステップS101)。具体的には、プロセッサ7は、未選択のIDをメモリ6から取り出して、今回取り出した未選択IDを含む質問信号を生成する。アンテナ5は、プロセッサ7により生成された質問信号を空間に送出する。
【0040】
センサパネル2において、各検出ユニット4は、データ処理部3から送出された質問信号を受信する(ステップS102)。具体的には、各制御部14は、アンテナ12を介して、質問信号を受信する。
【0041】
次に、各検出ユニット4は、今回受信した質問信号が自分宛のものか否かを判断する(ステップS103)。具体的には、各制御部14は、受信質問信号に含まれるIDが自身に接続されたメモリ13に格納されるIDと一致するか否かにより、ステップS103の判断を行う。
【0042】
ステップS103でNOと判断した場合、それら検出ユニット4は活性化せず、次の質問信号が送られてくることを待機する。
【0043】
それに対して、ステップS103でYESと判断した場合、制御部14は、自身に接続された静電容量センサ16から電荷量データを受け取り、受け取った電荷量データを少なくとも含む応答信号を生成する(ステップS104)。なお、通信の信頼性を上げるために、応答信号には、メモリ13に格納されるIDが含まれていても構わない。
【0044】
その後、アンテナ12は、ステップS104で生成された応答信号を空間に送出する(ステップS105)。
【0045】
データ処理部3は、ステップS105で検出ユニット4から送出された応答信号を受信し(ステップS106)、その後、全ての検出ユニット4から応答信号を受信したか否かを判断する(ステップS107)。これらステップにおいて、具体的には、プロセッサ7は、応答信号から電荷量データを取り出してメモリ6に保持する。ここで、応答信号にIDが含まれている場合には、プロセッサ7は、自身が指定した検出ユニット4から正しく応答信号が返ってきているか判断できるので、より好ましい。その後、プロセッサ7は、メモリ6に予め格納されるIDを全て指定したか否かにより、ステップS107の判断を行う。
【0046】
ステップS107でNOと判断された場合、処理はステップS101に戻り、データ処理部3は、未選択のIDを含む質問信号を生成し送信する。
【0047】
逆にステップS107でYESと判断された場合、データ処理部3は、全ての検出ユニット4から電荷量データを得ていることになるので、センサパネル2において指先が触れている領域(又はポイント)を特定する(ステップS108)。具体的には、データ処理部3において、プロセッサ7は、全ての電荷量データの中から、予め定められた基準値を超えるものを選択する。その後、メモリ6内に格納された全XY座標値から、選択した電荷量データを送信した検出ユニット4のものを、プロセッサ7は取り出す。これによって、プロセッサ7は、ユーザの指先が触れている領域又はポイントを特定することが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るタッチセンサ1では、センサパネル2にRFIDタグ11が組み込まれる。これによって、センサパネル2及びデータ処理部3の間で無線通信を行うことが可能となり、さらには、データ処理部3は、センサパネル2に電力を供給したり、電荷量データを取得したりすることが可能となる。その結果、センサパネル2に電源回路を接続する必要が無くなり、さらにデータ処理部3が電荷量データを取得するための配線を備える必要も無くなる。これによって、タッチセンサ1の省配線化を実現することが可能となる。
【0049】
なお、以上の説明では、データ処理部3は、ユーザの指が触れている領域又はポイントを特定するようにしていたが、これに限らず、データ処理部3は、典型的には導電性のペンのような導電性材料が接触している領域又はポイントを特定するようにしても構わない。また、センサパネル2を掌で押した場合には、データ処理部3は、掌の形状を特定することも可能となる。
【0050】
また、データ処理部3により形成されるRFフィールド内に存在するのであれば、どこに設置されても構わない。
【0051】
また、以上の説明では、センサパネル2は、各検出ユニット4を収容するための収容部材8を備えていたが、これに限らず、各検出ユニット4は、センサパネル2の表面に直接配列されてもよい。この場合、収容部材8は不要である。
【0052】
また、以上の説明では、隣り合う2個の検出ユニット4の間隔として5ミリメートルを例示したが、この間隔は、タッチセンサ1が何を検出するかに依存して適切な値に選ばれる。例えば、ペンのように、指先よりも細いものを検出する場合には、検出精度を上げる観点から、検出ユニット4の間隔はより狭い方が好ましい。また、例えば、指紋の隆線又は谷線の幅よりも狭い間隔で検出ユニット4を設置することができる場合には、本タッチセンサ1を指紋センサとして応用することも可能である。
【0053】
また、以上の説明では、検出ユニット4は静電容量センサ16を含むとして説明したが、これに限らず、機械的なスイッチにより、接触を直接的に検出するように、タッチセンサ1は構成されても構わない。なお、このような場合、応答信号には、スイッチがオンかオフかを示す情報が含まれることになる。
【0054】
また、以上の説明では、データ処理部3は、1個のIDを含む質問信号を送信していた。しかし、データ処理部3の能力が許すのであれば、データ処理部3は、複数のIDを含む質問信号を送信し、質問信号を1度送るたびに、複数の検出ユニット4からの応答信号を取得するようにしても構わない。
【0055】
また、以上の説明では、データ処理部3がメモリ6でXY座標値を保持するとしたが、これに限らず、XY座標値は、各検出ユニット4により保持され、応答信号に含まれていてもよい。
【0056】
また、以上の説明では、各検出ユニット4は、マトリクス状に配列されるとしたが、これに限らず、各検出ユニット4の配列に関してはこれに限定されず、例えば、各検出ユニット4は、1列に並べられたり、3次元形状を有する物体の表面に配列されたりしても構わない。
【0057】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、データ処理部3は、全ての検出ユニット4から時間差を持って送られてくる応答信号に基づいて、指が触れている領域又はポイントを特定していた。しかし、一般的に、指が触れている検出ユニット4の数は、全体と比較して少数である。そこで、本実施形態では、指が触れている検出ユニット4から応答信号を受信可能なタッチセンサを提供することを目的とする。
【0058】
なお、第2の実施形態に係るタッチセンサは、第1の実施形態に係るタッチセンサ1と同様の構成を有する。それ故、以下の説明では、図1及び図2を援用し、第2の実施形態において、図1及び図2に示すものに相当する構成には同一の参照符号を付けて、それぞれの説明を省略する。
【0059】
次に、図4のフローチャートを参照して、第2の実施形態に係るタッチセンサ1の動作について詳細に説明する。データ処理部3は、図4に示す処理を定期的に起動する。起動後、まず、データ処理部3は、質問信号を生成し送信する(ステップS201)。具体的には、プロセッサ7は、質問信号を生成する。アンテナ5は、プロセッサ7により生成された質問信号を空間に送出する。ここで、第2の実施形態において、全ての検出ユニット4の中で、応答信号を送信するものは限られるため、データ処理部3は、第1の実施形態の場合と異なり、必ずしも、質問信号にIDを含める必要はない。
【0060】
センサパネル2において、各検出ユニット4は、データ処理部3から送出された質問信号を受信する(ステップS202)。具体的には、各制御部14は、アンテナ12を介して、質問信号を受信する。
【0061】
次に、各検出ユニット4は、自身の金属電極15にユーザが指を近接させているか否かを判断する(ステップS203)。制御部14は、自身に接続された静電容量センサ16から電荷量データを取得する。その後、制御部14は、取得した電荷量データが示す値が所定の基準値を上回っているか否かを判断する。電荷量が基準値を上回っている場合、制御部14は、指が金属電極15に近接していると判断する。また、逆の場合には、制御部14は、指が金属電極15に近接していないと判断する。
【0062】
ステップS203でNOと判断した場合、それら検出ユニット4は活性化せず、次回の質問信号が送られてくることを待機する。
【0063】
それに対して、ステップS203でYESと判断した場合、制御部14は、今回受け取った電荷量データを少なくとも含む応答信号を生成する(ステップS204)。
【0064】
その後、アンテナ12は、ステップS204で生成された応答信号を空間に送出する(ステップS205)。
【0065】
データ処理部3は、ステップS201で質問信号の送信後、予め定められた所定時間の間に、ステップS205で検出ユニット4から送出された応答信号を全て受信する(ステップS206)。そして、所定時間経過後、プロセッサ7は、全応答信号から電荷量データを取り出してメモリ6に保持し、これら電荷量データから、第1の実施形態と同様にして、センサパネル2において指先が触れている領域(又はポイント)を特定する(ステップS207)。
【0066】
以上のように、第2の実施形態では、全検出ユニット4のうち、自身の金属電極15に指が近接しているものに限り、応答信号を、データ処理部3に返す。これによって、データ処理部3では、第1の実施形態と比較して、処理すべき応答信号の数が減るので、より効率的に、接触領域又は接触ポイントを検出することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
前述の第1の実施形態では、データ処理部3は、全ての検出ユニット4から時間差をもって送られてくる応答信号に基づいて、指の接触状態を検出していた。しかし、検出対象の大小にかかわらず、データ処理部3は全ての検出ユニット4からの応答信号を受信する必要があるため、効率的に処理を行えないという問題点がある。
【0068】
また、上述の第2の実施形態では、タッチセンサ1が、指先のような小さいもの検出対象とする場合には有効であったが、例えば複数本の指又は掌のように大きな対象と検出する場合には、多くの検出ユニット4がほぼ同時に、応答信号をデータ処理部3に返してしまう。このような場合、データ処理部3は、応答信号の許容受信数を超えてしまう可能性があり、全ての応答信号を処理仕切れなくなるかもしれない。
【0069】
そこで、本実施形態では、大きな検出対象を効率よく検出可能なタッチセンサを提供することを目的とする。
【0070】
なお、第2の実施形態に係るタッチセンサは、第1の実施形態に係るタッチセンサ1と同様の構成を有する。それ故、以下の説明では、図1及び図2を援用し、第2の実施形態において、図1及び図2に示すものに相当する構成には同一の参照符号を付けて、それぞれの説明を省略する。
【0071】
ただし、全ての検出ユニット4のうち、所定の位置に配置されるものは、図5に示すように、主検出ユニット4aに分類され、主検出ユニット4aの周囲の検出ユニット4は副検出ユニット4bに分類される。なお、図5には例示的に、1個の主検出ユニットから引き出し線を出して参照符号「4a」を付している(左下がりのハッチング参照)。また、他の主検出ユニットに関しては、グレーの網掛けが付されている。さらに、図5には例示的に、1個の副検出ユニットから引き出し線を出して参照符号「4b」を付している(右下がりのハッチング参照)。また、他の副検出ユニットに関しては、白い升目で示されている。
【0072】
また、以上のような主検出ユニット4a及び副検出ユニット4bを区別するために、データ処理部3のメモリ6には、図6に示すようなテーブルTが保持される。図6において、テーブルTには、主検出ユニット4aのID毎に、その周囲に配置される副検出ユニット4bのIDが記述される。なお、図示は省略しているが、各IDには、対象となる検出ユニット4のXY座標値が割り当てられていても構わない。
【0073】
次に、図7A及び図7Bを参照して、タッチセンサ1における基本的な動作を概説する。図7Aにおいて、ユーザが図示したような広範囲ARを指で押さえたと仮定する。なお、図7Aでは、図示の便宜上、主検出ユニット4aにはグレーの網掛けを付けて示し、副検出ユニット4bは白抜きで示している。
【0074】
上述の範囲ARには、2個の主検出ユニット4aと10個の副検出ユニット4bとが完全に又は部分的に含まれる。このような指の接触状態を検出するために、データ処理部3は、まず、全ての主検出ユニット4aに対して質問信号を送る。図7Aの例では、範囲ARに含まれる2個の主検出ユニット4aが、電荷量データを含む応答信号を返してくる。このような応答信号を解析することで、データ処理部3は、センサパネル2において、現在どこが触れられているかを大まかに把握することができる。
【0075】
その後、データ処理部3は、前回応答信号を返してきた2個の主検出ユニット4aの周囲に配置される副検出ユニット4bに対して質問信号を送る。図7Aの例では、範囲AR内には、10個の副検出ユニット4bが含まれるので、図7Bにおいて右下がりの斜線を付けた10個の副検出ユニット4bが応答信号をデータ処理部3に返してくる。
【0076】
その後、データ処理部3は、今回段階的に受け取った12個の応答信号に基づいて、今回センサパネル2において触れられていた領域DRを特定する。
【0077】
次に、図8のフローチャートを参照して、第3の実施形態に係るタッチセンサ1の動作について詳細に説明する。データ処理部3は、図8に示す処理を定期的に起動する。起動後、まず、データ処理部3は、主検出ユニット4aに対する質問信号(以下、第1の質問信号と称する)を生成し送信する(ステップS301)。具体的には、プロセッサ7は、メモリ6に格納されたテーブルT(図6を参照)から、主検出ユニット4aのIDを全て取り出して、取り出したIDを含む第1の質問信号を生成する。アンテナ5は、プロセッサ7により生成された第1の質問信号を空間に送出する。
【0078】
センサパネル2において、主検出ユニット4aは、図4のステップS202−S205と同様の処理を行う(ステップS302−S305)。これによって、自身の金属電極15にユーザが現在指を近接させている主検出ユニット4aがデータ処理部3に向けて応答信号を送信することになる。なお、この応答信号には、対象となる主検出ユニット4aのIDが含まれる。
【0079】
データ処理部3は、ステップS301で第1の質問信号の送信後、予め定められた所定時間の間に、ステップS305で主検出ユニット4aから送出された応答信号を全て受信する(ステップS306)。
【0080】
次に、データ処理部3は、今回応答信号を送ってきた主検出ユニット4aの周辺に配置される副検出ユニット4bに対する質問信号(以下、第2の質問信号と称する)を生成し送信する(ステップS307)。具体的には、プロセッサ7は、メモリ6に格納されたテーブルT(図6を参照)から、主検出ユニット4aからの応答信号に含まれるIDに割り当てられている副検出ユニット4bのIDを全て取り出す。その後、プロセッサ7は、今回取り出したIDを含む第2の質問信号を生成する。アンテナ5は、プロセッサ7により生成された第1の質問信号を空間に送出する。
【0081】
センサパネル2において、副検出ユニット4bは、図4のステップS202−S205と同様の処理を行う(ステップS308−S311)。これによって、自身の金属電極15にユーザが現在指を近接させている副検出ユニット4bがデータ処理部3に向けて応答信号を送信することになる。なお、この応答信号には、対象となる副検出ユニット4bのIDが含まれる。
【0082】
データ処理部3は、ステップS307で第2の質問信号の送信後、予め定められた所定時間の間に、ステップS311で副検出ユニット4bから送出された応答信号を全て受信する(ステップS312)。そして、所定時間経過後、プロセッサ7は、今回の処理で受信した応答信号(ステップS306及びS312で受信したもの)から電荷量データを取り出してメモリ6に保持し、これら電荷量データから、第1の実施形態と同様にして、センサパネル2において指先が触れている領域(又はポイント)を特定する(ステップS313)。
【0083】
以上のように、第3の実施形態では、センサパネル2に収容される検出ユニット4を、主検出ユニット4a及びその周囲に配置される副検出ユニット4bに分類して、データ処理部3は、主検出ユニット4aに、第1の質問信号を使って接触状況を問い合わせた後、応答信号を返した主検出ユニット4aの周辺の副検出ユニット4bに、第2の質問信号を使って接触状況を問い合わせる。このようにデータ処理部3が優先度を付けて質問信号を送信することにより、応答信号を返さなかった主検出ユニット4aの周囲の副検出ユニット4bもまた応答信号を返さない。これによって、データ処理部3が処理すべき応答信号の総数は、第1及び第2の実施形態に比べて少なくなる。これによって、さらに効率よく、センサパネル2において現在触れられている領域を特定することが可能となる。
【0084】
また、たとえ複数の指又は掌のような大きな対象を検出する場合であっても、データ処理部3は、同時に多くの応答信号を受信する可能性が減るので、受信応答信号を効率的にかつ確実に処理することが可能となる。
【0085】
なお、以上の説明では、検出ユニット4は、主及び副の2段階に分類されたが、これに限らず、3種類以上に分類されても構わない。
【0086】
また、以上の説明では、1個の主検出ユニット4aに対して8個の副検出ユニット4bが割り当てられていたが、これに限らず、8個以外の副検出ユニット4bが1個の主検出ユニット4aに割り当てられても構わない。
【0087】
(第4の実施形態)
第1の実施形態では、データ処理部3は、図3のステップS101において、1個のID、又は多くとも自身の処理能力が許容する複数個のIDを含む質問信号を送信していた。これによって、データ処理部3に、処理不可能な個数の応答信号がほぼ同時に到着しないようにしていた。第4の実施形態では、データ処理部3に応答信号がほぼ同時に到着しないよう応答信号を送信する検出ユニット4を提供することを目的とする。
【0088】
図9は、本実施形態に係る検出ユニット4の構成を示す拡大図である。図9において、検出ユニット4は、図2のものと比較すると、制御部14に接続されたタイマ17をさらに備える点で相違する。それ以外に両検出ユニット4の間に相違点は無い。それ故、図9において、図2に示す構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
【0089】
各タイマ17は、質問信号の受信を起算点として、どれだけの時間経過後に応答信号を送出するかを規定する時間(以下、送出時間)が設定されている。ここで、送出時間は、全ての検出ユニット4間で同一の値ではない。例示的には、送出時間は、全ての検出ユニット4間で互いに異なる値に選ばれる。他にも、全ての検出ユニット4を予め定められた数単位でグループ化された場合、同一グループに属する検出ユニット4に備わるタイマ17には、同一の送出時間が設定される。
【0090】
次に、図10のフローチャートを参照して、第4の実施形態に係るタッチセンサ1の動作について詳細に説明する。データ処理部3は、図10に示す処理を定期的に起動する。
まず、データ処理部3は、好ましくは全ての検出ユニット4に対する質問信号を生成し送信する(ステップS401)。
【0091】
センサパネル2において、各検出ユニット4は、データ処理部3から送出された質問信号を受信する(ステップS402)。具体的には、各制御部14は、アンテナ12を介して、質問信号を受信する。
【0092】
次に、各検出ユニット4において、制御部14は、自身に接続されたタイマ17を起動し(ステップS403)、その後、送信時間が来たか否かを判断する(ステップS404)。
【0093】
ステップS404でNOと判断された場合、制御部14は、ステップS404を再度行う。これによって、制御部14は、自身に割り当てられた送信時間が来ることを待機する。
【0094】
逆に、ステップS404でYESと判断された場合、送信時間が到来したことになるので、各検出ユニット4は、自身の金属電極15にユーザが指を近接させているか否かを判断する(ステップS405)。制御部14は、自身に接続された静電容量センサ16から電荷量データを取得する。その後、制御部14は、取得した電荷量データが示す値が所定の基準値を上回っているか否かを判断する。電荷量が基準値を上回っている場合、制御部14は、指が金属電極15に近接していると判断する。また、逆の場合には、制御部14は、指が金属電極15に近接していないと判断する。
【0095】
ステップS405でNOと判断した場合、その検出ユニット4は活性化せず、次回の質問信号が送られてくることを待機する。
【0096】
それに対して、ステップS405でYESと判断した場合、制御部14は、今回受け取った電荷量データを少なくとも含む応答信号を生成する(ステップS406)。
【0097】
その後、アンテナ12は、ステップS406で生成された応答信号を空間に送出する(ステップS407)。
【0098】
データ処理部3は、ステップS401で質問信号の送信後、予め定められた所定時間の間に、ステップS407で各検出ユニット4から送出された応答信号を全て受信する(ステップS408)。そして、所定時間経過後、プロセッサ7は、全応答信号から電荷量データを取り出してメモリ6に保持し、これら電荷量データから、第1の実施形態と同様にして、センサパネル2において指先が触れている領域(又はポイント)を特定する(ステップS409)。
【0099】
以上のように、第4の実施形態では、タイマ17を使って各検出ユニット4に送信時間を割り当てることにより、同じ送信時間が割り当てられた検出ユニット4はほぼ同じタイミングで応答信号を送出することが可能となるが、他の検出ユニット4は、異なるタイミングで応答信号を送出することとなる。これによって、データ処理部3は、1回の質問信号を送信するだけで、全ての検出ユニット4からの応答信号を受信することが可能となる。さらに言えば、各応答信号の送信タイミングは、タイマ17の送信時間により規制されるので、データ処理部3に、ほぼ同時に、多くの応答信号が到着しなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係るタッチセンサは、省配線化可能な入力装置、指紋センサなどに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチセンサ1の全体構成を示す模式図
【図2】図1に示す各検出ユニット4及びその周辺の構成を示す拡大図
【図3】図1に示すタッチセンサ1の動作を示すフローチャート
【図4】第2の実施形態に係るタッチセンサ1の動作を示すフローチャート
【図5】第3の実施形態に係る主検出ユニット4a及び副検出ユニット4bとを示す模式図
【図6】第3の実施形態に係るテーブルTの構成例を示す模式図
【図7A】第3の実施形態に係るタッチセンサ1の基本的な動作を示す第1の模式図
【図7B】第3の実施形態に係るタッチセンサ1の基本的な動作を示す第2の模式図
【図8】第3の実施形態に係るタッチセンサ1の動作を示すフローチャート
【図9】第4の実施形態に係る検出ユニット4の構成を示す拡大図
【図10】第4の実施形態に係るタッチセンサ1の動作を示すフローチャート
【図11】アナログ静電容量方式を採用した従来のタッチセンサ20の構成を模式的に示す斜視図
【図12】図11に示すタッチセンサ20の周辺回路を模式的に示すブロック図
【符号の説明】
【0102】
1 タッチセンサ
2 センサパネル
3 データ処理部
4 検出ユニット
5 アンテナ
6 メモリ
7 プロセッサ
8 収容部材
9 保護膜
10 センサ部
11 RFIDタグ
12 アンテナ
13 メモリ
14 制御部
15 金属電極
16 静電容量センサ
17 タイマ
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサに関し、より特定的には、操作面と、人体又は導電性のペンとの接触状態を検出するタッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記のようなタッチセンサは代表的には、ノート型パーソナルコンピュータにおけるポインティングデバイスとして用いられている。他にも、タッチセンサは、表示画面上に設置されることで、ユーザが直感的に操作可能な入力装置としての応用されている。このような入力装置は、例えば、車載用ナビゲーションシステム、携帯情報端末(PDA)、又は発券機に応用されている。このような入力装置において画面上に表示された操作画面をユーザが直接触れることで、上述のナビゲーションシステム、PDA又は発券機は、ユーザの操作位置に対応する処理を実行することができる。
【0003】
従来、以上のようなタッチセンサにおける位置検出の方式としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、光(赤外線)方式、電磁誘導方式及び歪方式が知られている
【0004】
図11は、従来のタッチセンサの一例として、アナログ静電容量方式を採用したもの(以下、従来のタッチセンサ20と称する)の構成を模式的に示す斜視図である。図11において、タッチセンサ20は本質的に、接触ポイントのX方向の座標を検出する第1透明導電膜22と、接触ポイントのY方向の座標を検出する第2透明導電膜24と、これらの透明導電膜22の下面及び透明導電膜24の上面の間に設けられた誘電体層23とから構成されている。
【0005】
また、必要に応じて、第1透明導電膜22の上面には、第1透明導電膜22を保護するためのガラス21が設けられている。
【0006】
さらに、各々の透明導電膜22及び24には、X座標検出用導電部25及びY座標検出用導電部26が設けられる。
【0007】
ここで、図12は、図11に示すタッチセンサ20の周辺回路を模式的に示すブロック図である。図12に示すように、上述のX座標検出用導電部25及びY座標検出用導電部26は、配線を介して、周辺のスイッチング回路35及び検出回路33と接続されている。
【0008】
各々の導電部25及び26は、接続された透明導電膜22及び24に所定の電圧を印加するための電極として機能する。スイッチング回路35の切り替えにより、2枚の透明導電膜22及び24のいずれか一方に選択的に交流電圧が、導電部25及び26を介して印加される。その結果、電圧が今回印加された透明導電膜上には電界が形成される。このような状態で、人体又はペンが触れると、接触ポイントは、人体の静電容量を介して接地されることになる。その結果、対象となる電極端子(つまり導電部25又は26)と接触ポイントとの間の抵抗値に変化が生じる。抵抗値は、接触ポイントと導電部25又は26との距離に比例するため、検出回路33は、接触ポイントと導電部25又は26との間に流れる電流値を検出することで接触ポイントの座標を求めることができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−173238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のタッチセンサ20は操作面(つまり、透明導電膜22及び24)に対して電力を供給したり、操作面における接触状態を検出したりするために配線を備える必要があるという問題点がある。
【0010】
それ故に、本発明の目的は、省配線化されたタッチセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一局面は、タッチセンサであって、質問信号を生成して空間に送出するデータ処理部と、データ処理部により送出された質問信号を空間を介して受信し、自身への接触状態を検出して、検出結果を含む応答信号を送信する検出ユニットが複数個配列されるセンサパネルとを備える。各検出ユニットは、データ処理部から送出された質問信号を受信することで起電力を発生するRFIDタグと、検出対象が自身に触れていることを検出して、検出結果を出力するセンサ部とを含む。RFIDタグは、センサ部の検出結果を含む応答信号を生成し空間に送出する。データ処理部は、各RFIDタグから送出された応答信号を、空間を介して受信する第1のアンテナと、第1のアンテナにより受信された各応答信号に含まれる検出結果に基づいて、センサパネルにおいて検出対象が現在触れている領域又はポイントを特定するプロセッサとを含む。
【0012】
データ処理部は、センサパネルに配列される各検出ユニットに予め割り当てられている識別データを保持するメモリをさらに備える。プロセッサは、メモリにより保持される識別データから未選択の識別データを選択し、今回選択した識別データを含む質問信号を生成し、第1のアンテナは、プロセッサにより生成された質問信号を空間に送出する。
【0013】
RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナにより受信された質問信号に含まれる識別データが、自身に予め割り当てられている識別データと一致するか否かを判断する制御部をさらに備える。制御部は、今回受け取った質問信号内の識別データが自身の識別データと一致すると判断した場合に、センサ部から検出結果を取得し、さらに、取得した検出結果を含む応答信号を生成する。第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【0014】
また、メモリに格納される識別データのそれぞれには、対象となる検出ユニットがセンサパネルに配置されている位置を示す位置情報が割り当てられる。第1のアンテナは、第2のアンテナから空間に送出された応答信号を受信する。プロセッサは、第1のアンテナにより受信された各応答信号に含まれる検出結果と、メモリに格納される位置情報とに基づいて、センサパネルにおいて検出対象が現在触れている領域又はポイントを特定する。
【0015】
プロセッサは、メモリにより保持される識別データから、未選択の識別データを所定個数選択する。ここで、所定個数は、データ処理部が、各検出ユニットからの応答信号を一度に処理可能な許容範囲に属する数に選ばれる。
【0016】
RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナにより受信された質問信号に応答して、センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備える。制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成する。第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【0017】
センサパネルに配列される各検出ユニットには優先度が割り当てられる。ここで、データ処理部は、優先度に従って、質問信号を生成して空間に送出する。
【0018】
より具体的には、センサパネルに配列される検出ユニットは、相対的に高い優先度が割り当てられる主検出ユニットと、相対的に低い優先度が割り当てられる副検出ユニットとに分類される。ここで、副検出ユニットは、センサパネルにおいて主検出ユニットの周囲に配置される。データ処理部は、センサパネルに配列される各主検出ユニットの識別データ毎に、その周囲に配置されるいくつかの副検出ユニットの識別データを保持するメモリをさらに備える。プロセッサは、メモリから、主検出ユニットの識別データを取得し、今回取得した識別データを含む第1の質問信号を生成し、第1のアンテナは、プロセッサにより生成された第1の質問信号を空間に送出する。
【0019】
また、各主検出ユニットにおいて、RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された第1の質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナにより受信された第1の質問信号に応答して、センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備える。制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【0020】
また、第1のアンテナは、第2のアンテナから空間に送出された応答信号を受信し、プロセッサは、今回応答信号を返して来た主検出ユニットの周囲に配置される副検出ユニットの識別データをメモリから取得し、今回取得した識別データを含む第2の質問信号を生成する。また、第1のアンテナは、プロセッサにより生成された第2の質問信号を空間に送出する。各副検出ユニットにおいて、RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された第2の質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナにより受信された第2の質問信号に応答して、センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備える。制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成する。第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【0021】
また、各RFIDタグは、第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、第2のアンテナが質問信号を受信すると起動して、予め定められた送信時間を計時するタイマと、タイマを通じて、送信時間が到来したと判断すると、センサ部から検出結果を取得する制御部とをさらに備える。ここで、制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、第2のアンテナは、制御部により生成された応答信号を空間に送出する。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、上記局面に係るタッチセンサでは、センサパネルにRFIDタグが組み込まれる。これによって、センサパネル及びデータ処理部の間で無線通信を行うことが可能となり、さらには、RFIDタグの特質に起因して、データ処理部は、センサパネルに電力を供給したり、無線を介して検出結果を取得したりすることが可能となる。その結果、センサパネルに電源回路を接続する必要が無くなり、さらにデータ処理部が検出結果を取得するための配線を備える必要も無くなる。これによって、タッチセンサの省配線化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタッチセンサ1の全体構成を示す模式図である。図1において、タッチセンサ1は大略的に、センサパネル2と、データ処理部3とを備えている。
【0024】
センサパネル2には、複数の検出ユニット4が、互いに直交するX軸方向及びY軸方向の双方に沿って、マトリクス状に配列されている。なお、都合上、図1には1個のRFIDタグ(斜線を付した部分)から引き出し線を引き出し、参照符号を付けている。ここで、互いに隣り合う2個のRFID4の間隔は少なくとも、例えば5ミリメートルのように、指先の半分程度の値に選ばれる。
【0025】
各検出ユニット4は、人体(典型的には指)の接触状態を検出して、検出結果を含む情報を、無線を通じてデータ処理部3に送信する。
【0026】
ここで、図2は、図1に示す各検出ユニット4及びその周辺の構成を示す拡大図である。図2において、区画毎に1個の検出ユニット4が収容される。また、センサパネル2において、指と接触する表面は、絶縁体の保護膜9により覆われる。
【0027】
以上のような収容部材8に収容される検出ユニット4は、センサ部10と、RFIDタグ11とを含んでいる。
【0028】
センサ部10は例示的には、指の接触状態を検出する。このようなセンサ部10は、例示的には、金属電極15と、静電容量センサ16とを有する。
【0029】
金属電極15は、前述の保護膜9の直下に設置される。このような金属電極15には、データ処理部3側から無線を介して供給される電力に基づく駆動電圧が印加される。電圧が印加された状態で、ユーザがセンサパネル2の表面に指を近づけると、指、保護膜9及び金属電極15によりコンデンサが形成される。その結果、保護膜9と指との間に電荷が蓄積される。
【0030】
静電容量センサ16は、上記コンデンサに蓄積された電荷の量を表すデータ(以下、電荷量データと称する)をRFIDタグ11に出力する。
【0031】
また、RFIDタグ11は、アンテナ12と、メモリ13と、制御部14とを有する。
【0032】
アンテナ12は、データ処理部3から送出される質問信号を受信したり、制御部14により生成された応答信号を送信したりする。
【0033】
メモリ13は少なくとも、自身が備わる検出ユニット4を一意に特定可能な識別データ(以下、IDと略記する)を格納する。
【0034】
制御部14は、検出ユニット4の各構成を制御するが、代表的な処理としては、静電容量センサ16から電荷量データを受け取り、少なくとも電荷量データを含む応答信号を生成し、アンテナ12を介して空間に送出する。また、好ましい例では、制御部14は、メモリ13に格納された識別データをさらに含む応答信号を生成する。なお、制御部14のより詳細な処理については、後ほど詳しく説明する。
【0035】
また、図1において、データ処理部3は、各検出ユニット4からの応答信号を、無線を通じて受信し、受信応答信号のそれぞれに基づいて、センサパネル2におけるどの領域を指が触れているかを特定する。このような処理のために、データ処理部3は、アンテナ5と、メモリ6と、プロセッサ7とを含んでいる。
【0036】
アンテナ5は、プロセッサ7で生成された質問信号から生成されるRF信号を空間に送出したり、各検出ユニット4により空間に送出された応答信号を受信したりする。ここで、アンテナ5は、上記RF信号を、短い時間間隔で周期的に送出する。その結果、アンテナ5の周囲にはRFフィールドが形成さえる。このようなRFフィールド内に、センサパネル2(つまり、全検出ユニット4)は設置されており、各検出ユニット4は、受信電波(RF信号)のエネルギーを内部で電力に変換して、自身を起動するための起電力を得る。なお、RF信号には、例えば、860MHzから960MHz帯、又は2.45GHz帯といった高周波数帯域を持つ電波が用いられる。
【0037】
メモリ6は少なくとも、センサパネル2に収容される全ての検出ユニット4に割り当てられたIDを格納する。また、格納されるIDのそれぞれには、対象となる検出ユニット4がセンサパネル2において配列されている場所を示すXY座標値が割り当てられている。
【0038】
プロセッサ7は、上述の質問信号を生成してアンテナ5に出力したり、アンテナ5を介して受信した応答信号に基づいて、センサパネル2におけるどの領域を指が触れているかを特定したりする。
【0039】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、第1の実施形態に係るタッチセンサ1の動作について詳細に説明する。データ処理部3は、図3に示す処理を定期的に起動する。起動後、まず、データ処理部3は、IDを含む質問信号を生成し送信する(ステップS101)。具体的には、プロセッサ7は、未選択のIDをメモリ6から取り出して、今回取り出した未選択IDを含む質問信号を生成する。アンテナ5は、プロセッサ7により生成された質問信号を空間に送出する。
【0040】
センサパネル2において、各検出ユニット4は、データ処理部3から送出された質問信号を受信する(ステップS102)。具体的には、各制御部14は、アンテナ12を介して、質問信号を受信する。
【0041】
次に、各検出ユニット4は、今回受信した質問信号が自分宛のものか否かを判断する(ステップS103)。具体的には、各制御部14は、受信質問信号に含まれるIDが自身に接続されたメモリ13に格納されるIDと一致するか否かにより、ステップS103の判断を行う。
【0042】
ステップS103でNOと判断した場合、それら検出ユニット4は活性化せず、次の質問信号が送られてくることを待機する。
【0043】
それに対して、ステップS103でYESと判断した場合、制御部14は、自身に接続された静電容量センサ16から電荷量データを受け取り、受け取った電荷量データを少なくとも含む応答信号を生成する(ステップS104)。なお、通信の信頼性を上げるために、応答信号には、メモリ13に格納されるIDが含まれていても構わない。
【0044】
その後、アンテナ12は、ステップS104で生成された応答信号を空間に送出する(ステップS105)。
【0045】
データ処理部3は、ステップS105で検出ユニット4から送出された応答信号を受信し(ステップS106)、その後、全ての検出ユニット4から応答信号を受信したか否かを判断する(ステップS107)。これらステップにおいて、具体的には、プロセッサ7は、応答信号から電荷量データを取り出してメモリ6に保持する。ここで、応答信号にIDが含まれている場合には、プロセッサ7は、自身が指定した検出ユニット4から正しく応答信号が返ってきているか判断できるので、より好ましい。その後、プロセッサ7は、メモリ6に予め格納されるIDを全て指定したか否かにより、ステップS107の判断を行う。
【0046】
ステップS107でNOと判断された場合、処理はステップS101に戻り、データ処理部3は、未選択のIDを含む質問信号を生成し送信する。
【0047】
逆にステップS107でYESと判断された場合、データ処理部3は、全ての検出ユニット4から電荷量データを得ていることになるので、センサパネル2において指先が触れている領域(又はポイント)を特定する(ステップS108)。具体的には、データ処理部3において、プロセッサ7は、全ての電荷量データの中から、予め定められた基準値を超えるものを選択する。その後、メモリ6内に格納された全XY座標値から、選択した電荷量データを送信した検出ユニット4のものを、プロセッサ7は取り出す。これによって、プロセッサ7は、ユーザの指先が触れている領域又はポイントを特定することが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るタッチセンサ1では、センサパネル2にRFIDタグ11が組み込まれる。これによって、センサパネル2及びデータ処理部3の間で無線通信を行うことが可能となり、さらには、データ処理部3は、センサパネル2に電力を供給したり、電荷量データを取得したりすることが可能となる。その結果、センサパネル2に電源回路を接続する必要が無くなり、さらにデータ処理部3が電荷量データを取得するための配線を備える必要も無くなる。これによって、タッチセンサ1の省配線化を実現することが可能となる。
【0049】
なお、以上の説明では、データ処理部3は、ユーザの指が触れている領域又はポイントを特定するようにしていたが、これに限らず、データ処理部3は、典型的には導電性のペンのような導電性材料が接触している領域又はポイントを特定するようにしても構わない。また、センサパネル2を掌で押した場合には、データ処理部3は、掌の形状を特定することも可能となる。
【0050】
また、データ処理部3により形成されるRFフィールド内に存在するのであれば、どこに設置されても構わない。
【0051】
また、以上の説明では、センサパネル2は、各検出ユニット4を収容するための収容部材8を備えていたが、これに限らず、各検出ユニット4は、センサパネル2の表面に直接配列されてもよい。この場合、収容部材8は不要である。
【0052】
また、以上の説明では、隣り合う2個の検出ユニット4の間隔として5ミリメートルを例示したが、この間隔は、タッチセンサ1が何を検出するかに依存して適切な値に選ばれる。例えば、ペンのように、指先よりも細いものを検出する場合には、検出精度を上げる観点から、検出ユニット4の間隔はより狭い方が好ましい。また、例えば、指紋の隆線又は谷線の幅よりも狭い間隔で検出ユニット4を設置することができる場合には、本タッチセンサ1を指紋センサとして応用することも可能である。
【0053】
また、以上の説明では、検出ユニット4は静電容量センサ16を含むとして説明したが、これに限らず、機械的なスイッチにより、接触を直接的に検出するように、タッチセンサ1は構成されても構わない。なお、このような場合、応答信号には、スイッチがオンかオフかを示す情報が含まれることになる。
【0054】
また、以上の説明では、データ処理部3は、1個のIDを含む質問信号を送信していた。しかし、データ処理部3の能力が許すのであれば、データ処理部3は、複数のIDを含む質問信号を送信し、質問信号を1度送るたびに、複数の検出ユニット4からの応答信号を取得するようにしても構わない。
【0055】
また、以上の説明では、データ処理部3がメモリ6でXY座標値を保持するとしたが、これに限らず、XY座標値は、各検出ユニット4により保持され、応答信号に含まれていてもよい。
【0056】
また、以上の説明では、各検出ユニット4は、マトリクス状に配列されるとしたが、これに限らず、各検出ユニット4の配列に関してはこれに限定されず、例えば、各検出ユニット4は、1列に並べられたり、3次元形状を有する物体の表面に配列されたりしても構わない。
【0057】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、データ処理部3は、全ての検出ユニット4から時間差を持って送られてくる応答信号に基づいて、指が触れている領域又はポイントを特定していた。しかし、一般的に、指が触れている検出ユニット4の数は、全体と比較して少数である。そこで、本実施形態では、指が触れている検出ユニット4から応答信号を受信可能なタッチセンサを提供することを目的とする。
【0058】
なお、第2の実施形態に係るタッチセンサは、第1の実施形態に係るタッチセンサ1と同様の構成を有する。それ故、以下の説明では、図1及び図2を援用し、第2の実施形態において、図1及び図2に示すものに相当する構成には同一の参照符号を付けて、それぞれの説明を省略する。
【0059】
次に、図4のフローチャートを参照して、第2の実施形態に係るタッチセンサ1の動作について詳細に説明する。データ処理部3は、図4に示す処理を定期的に起動する。起動後、まず、データ処理部3は、質問信号を生成し送信する(ステップS201)。具体的には、プロセッサ7は、質問信号を生成する。アンテナ5は、プロセッサ7により生成された質問信号を空間に送出する。ここで、第2の実施形態において、全ての検出ユニット4の中で、応答信号を送信するものは限られるため、データ処理部3は、第1の実施形態の場合と異なり、必ずしも、質問信号にIDを含める必要はない。
【0060】
センサパネル2において、各検出ユニット4は、データ処理部3から送出された質問信号を受信する(ステップS202)。具体的には、各制御部14は、アンテナ12を介して、質問信号を受信する。
【0061】
次に、各検出ユニット4は、自身の金属電極15にユーザが指を近接させているか否かを判断する(ステップS203)。制御部14は、自身に接続された静電容量センサ16から電荷量データを取得する。その後、制御部14は、取得した電荷量データが示す値が所定の基準値を上回っているか否かを判断する。電荷量が基準値を上回っている場合、制御部14は、指が金属電極15に近接していると判断する。また、逆の場合には、制御部14は、指が金属電極15に近接していないと判断する。
【0062】
ステップS203でNOと判断した場合、それら検出ユニット4は活性化せず、次回の質問信号が送られてくることを待機する。
【0063】
それに対して、ステップS203でYESと判断した場合、制御部14は、今回受け取った電荷量データを少なくとも含む応答信号を生成する(ステップS204)。
【0064】
その後、アンテナ12は、ステップS204で生成された応答信号を空間に送出する(ステップS205)。
【0065】
データ処理部3は、ステップS201で質問信号の送信後、予め定められた所定時間の間に、ステップS205で検出ユニット4から送出された応答信号を全て受信する(ステップS206)。そして、所定時間経過後、プロセッサ7は、全応答信号から電荷量データを取り出してメモリ6に保持し、これら電荷量データから、第1の実施形態と同様にして、センサパネル2において指先が触れている領域(又はポイント)を特定する(ステップS207)。
【0066】
以上のように、第2の実施形態では、全検出ユニット4のうち、自身の金属電極15に指が近接しているものに限り、応答信号を、データ処理部3に返す。これによって、データ処理部3では、第1の実施形態と比較して、処理すべき応答信号の数が減るので、より効率的に、接触領域又は接触ポイントを検出することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
前述の第1の実施形態では、データ処理部3は、全ての検出ユニット4から時間差をもって送られてくる応答信号に基づいて、指の接触状態を検出していた。しかし、検出対象の大小にかかわらず、データ処理部3は全ての検出ユニット4からの応答信号を受信する必要があるため、効率的に処理を行えないという問題点がある。
【0068】
また、上述の第2の実施形態では、タッチセンサ1が、指先のような小さいもの検出対象とする場合には有効であったが、例えば複数本の指又は掌のように大きな対象と検出する場合には、多くの検出ユニット4がほぼ同時に、応答信号をデータ処理部3に返してしまう。このような場合、データ処理部3は、応答信号の許容受信数を超えてしまう可能性があり、全ての応答信号を処理仕切れなくなるかもしれない。
【0069】
そこで、本実施形態では、大きな検出対象を効率よく検出可能なタッチセンサを提供することを目的とする。
【0070】
なお、第2の実施形態に係るタッチセンサは、第1の実施形態に係るタッチセンサ1と同様の構成を有する。それ故、以下の説明では、図1及び図2を援用し、第2の実施形態において、図1及び図2に示すものに相当する構成には同一の参照符号を付けて、それぞれの説明を省略する。
【0071】
ただし、全ての検出ユニット4のうち、所定の位置に配置されるものは、図5に示すように、主検出ユニット4aに分類され、主検出ユニット4aの周囲の検出ユニット4は副検出ユニット4bに分類される。なお、図5には例示的に、1個の主検出ユニットから引き出し線を出して参照符号「4a」を付している(左下がりのハッチング参照)。また、他の主検出ユニットに関しては、グレーの網掛けが付されている。さらに、図5には例示的に、1個の副検出ユニットから引き出し線を出して参照符号「4b」を付している(右下がりのハッチング参照)。また、他の副検出ユニットに関しては、白い升目で示されている。
【0072】
また、以上のような主検出ユニット4a及び副検出ユニット4bを区別するために、データ処理部3のメモリ6には、図6に示すようなテーブルTが保持される。図6において、テーブルTには、主検出ユニット4aのID毎に、その周囲に配置される副検出ユニット4bのIDが記述される。なお、図示は省略しているが、各IDには、対象となる検出ユニット4のXY座標値が割り当てられていても構わない。
【0073】
次に、図7A及び図7Bを参照して、タッチセンサ1における基本的な動作を概説する。図7Aにおいて、ユーザが図示したような広範囲ARを指で押さえたと仮定する。なお、図7Aでは、図示の便宜上、主検出ユニット4aにはグレーの網掛けを付けて示し、副検出ユニット4bは白抜きで示している。
【0074】
上述の範囲ARには、2個の主検出ユニット4aと10個の副検出ユニット4bとが完全に又は部分的に含まれる。このような指の接触状態を検出するために、データ処理部3は、まず、全ての主検出ユニット4aに対して質問信号を送る。図7Aの例では、範囲ARに含まれる2個の主検出ユニット4aが、電荷量データを含む応答信号を返してくる。このような応答信号を解析することで、データ処理部3は、センサパネル2において、現在どこが触れられているかを大まかに把握することができる。
【0075】
その後、データ処理部3は、前回応答信号を返してきた2個の主検出ユニット4aの周囲に配置される副検出ユニット4bに対して質問信号を送る。図7Aの例では、範囲AR内には、10個の副検出ユニット4bが含まれるので、図7Bにおいて右下がりの斜線を付けた10個の副検出ユニット4bが応答信号をデータ処理部3に返してくる。
【0076】
その後、データ処理部3は、今回段階的に受け取った12個の応答信号に基づいて、今回センサパネル2において触れられていた領域DRを特定する。
【0077】
次に、図8のフローチャートを参照して、第3の実施形態に係るタッチセンサ1の動作について詳細に説明する。データ処理部3は、図8に示す処理を定期的に起動する。起動後、まず、データ処理部3は、主検出ユニット4aに対する質問信号(以下、第1の質問信号と称する)を生成し送信する(ステップS301)。具体的には、プロセッサ7は、メモリ6に格納されたテーブルT(図6を参照)から、主検出ユニット4aのIDを全て取り出して、取り出したIDを含む第1の質問信号を生成する。アンテナ5は、プロセッサ7により生成された第1の質問信号を空間に送出する。
【0078】
センサパネル2において、主検出ユニット4aは、図4のステップS202−S205と同様の処理を行う(ステップS302−S305)。これによって、自身の金属電極15にユーザが現在指を近接させている主検出ユニット4aがデータ処理部3に向けて応答信号を送信することになる。なお、この応答信号には、対象となる主検出ユニット4aのIDが含まれる。
【0079】
データ処理部3は、ステップS301で第1の質問信号の送信後、予め定められた所定時間の間に、ステップS305で主検出ユニット4aから送出された応答信号を全て受信する(ステップS306)。
【0080】
次に、データ処理部3は、今回応答信号を送ってきた主検出ユニット4aの周辺に配置される副検出ユニット4bに対する質問信号(以下、第2の質問信号と称する)を生成し送信する(ステップS307)。具体的には、プロセッサ7は、メモリ6に格納されたテーブルT(図6を参照)から、主検出ユニット4aからの応答信号に含まれるIDに割り当てられている副検出ユニット4bのIDを全て取り出す。その後、プロセッサ7は、今回取り出したIDを含む第2の質問信号を生成する。アンテナ5は、プロセッサ7により生成された第1の質問信号を空間に送出する。
【0081】
センサパネル2において、副検出ユニット4bは、図4のステップS202−S205と同様の処理を行う(ステップS308−S311)。これによって、自身の金属電極15にユーザが現在指を近接させている副検出ユニット4bがデータ処理部3に向けて応答信号を送信することになる。なお、この応答信号には、対象となる副検出ユニット4bのIDが含まれる。
【0082】
データ処理部3は、ステップS307で第2の質問信号の送信後、予め定められた所定時間の間に、ステップS311で副検出ユニット4bから送出された応答信号を全て受信する(ステップS312)。そして、所定時間経過後、プロセッサ7は、今回の処理で受信した応答信号(ステップS306及びS312で受信したもの)から電荷量データを取り出してメモリ6に保持し、これら電荷量データから、第1の実施形態と同様にして、センサパネル2において指先が触れている領域(又はポイント)を特定する(ステップS313)。
【0083】
以上のように、第3の実施形態では、センサパネル2に収容される検出ユニット4を、主検出ユニット4a及びその周囲に配置される副検出ユニット4bに分類して、データ処理部3は、主検出ユニット4aに、第1の質問信号を使って接触状況を問い合わせた後、応答信号を返した主検出ユニット4aの周辺の副検出ユニット4bに、第2の質問信号を使って接触状況を問い合わせる。このようにデータ処理部3が優先度を付けて質問信号を送信することにより、応答信号を返さなかった主検出ユニット4aの周囲の副検出ユニット4bもまた応答信号を返さない。これによって、データ処理部3が処理すべき応答信号の総数は、第1及び第2の実施形態に比べて少なくなる。これによって、さらに効率よく、センサパネル2において現在触れられている領域を特定することが可能となる。
【0084】
また、たとえ複数の指又は掌のような大きな対象を検出する場合であっても、データ処理部3は、同時に多くの応答信号を受信する可能性が減るので、受信応答信号を効率的にかつ確実に処理することが可能となる。
【0085】
なお、以上の説明では、検出ユニット4は、主及び副の2段階に分類されたが、これに限らず、3種類以上に分類されても構わない。
【0086】
また、以上の説明では、1個の主検出ユニット4aに対して8個の副検出ユニット4bが割り当てられていたが、これに限らず、8個以外の副検出ユニット4bが1個の主検出ユニット4aに割り当てられても構わない。
【0087】
(第4の実施形態)
第1の実施形態では、データ処理部3は、図3のステップS101において、1個のID、又は多くとも自身の処理能力が許容する複数個のIDを含む質問信号を送信していた。これによって、データ処理部3に、処理不可能な個数の応答信号がほぼ同時に到着しないようにしていた。第4の実施形態では、データ処理部3に応答信号がほぼ同時に到着しないよう応答信号を送信する検出ユニット4を提供することを目的とする。
【0088】
図9は、本実施形態に係る検出ユニット4の構成を示す拡大図である。図9において、検出ユニット4は、図2のものと比較すると、制御部14に接続されたタイマ17をさらに備える点で相違する。それ以外に両検出ユニット4の間に相違点は無い。それ故、図9において、図2に示す構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
【0089】
各タイマ17は、質問信号の受信を起算点として、どれだけの時間経過後に応答信号を送出するかを規定する時間(以下、送出時間)が設定されている。ここで、送出時間は、全ての検出ユニット4間で同一の値ではない。例示的には、送出時間は、全ての検出ユニット4間で互いに異なる値に選ばれる。他にも、全ての検出ユニット4を予め定められた数単位でグループ化された場合、同一グループに属する検出ユニット4に備わるタイマ17には、同一の送出時間が設定される。
【0090】
次に、図10のフローチャートを参照して、第4の実施形態に係るタッチセンサ1の動作について詳細に説明する。データ処理部3は、図10に示す処理を定期的に起動する。
まず、データ処理部3は、好ましくは全ての検出ユニット4に対する質問信号を生成し送信する(ステップS401)。
【0091】
センサパネル2において、各検出ユニット4は、データ処理部3から送出された質問信号を受信する(ステップS402)。具体的には、各制御部14は、アンテナ12を介して、質問信号を受信する。
【0092】
次に、各検出ユニット4において、制御部14は、自身に接続されたタイマ17を起動し(ステップS403)、その後、送信時間が来たか否かを判断する(ステップS404)。
【0093】
ステップS404でNOと判断された場合、制御部14は、ステップS404を再度行う。これによって、制御部14は、自身に割り当てられた送信時間が来ることを待機する。
【0094】
逆に、ステップS404でYESと判断された場合、送信時間が到来したことになるので、各検出ユニット4は、自身の金属電極15にユーザが指を近接させているか否かを判断する(ステップS405)。制御部14は、自身に接続された静電容量センサ16から電荷量データを取得する。その後、制御部14は、取得した電荷量データが示す値が所定の基準値を上回っているか否かを判断する。電荷量が基準値を上回っている場合、制御部14は、指が金属電極15に近接していると判断する。また、逆の場合には、制御部14は、指が金属電極15に近接していないと判断する。
【0095】
ステップS405でNOと判断した場合、その検出ユニット4は活性化せず、次回の質問信号が送られてくることを待機する。
【0096】
それに対して、ステップS405でYESと判断した場合、制御部14は、今回受け取った電荷量データを少なくとも含む応答信号を生成する(ステップS406)。
【0097】
その後、アンテナ12は、ステップS406で生成された応答信号を空間に送出する(ステップS407)。
【0098】
データ処理部3は、ステップS401で質問信号の送信後、予め定められた所定時間の間に、ステップS407で各検出ユニット4から送出された応答信号を全て受信する(ステップS408)。そして、所定時間経過後、プロセッサ7は、全応答信号から電荷量データを取り出してメモリ6に保持し、これら電荷量データから、第1の実施形態と同様にして、センサパネル2において指先が触れている領域(又はポイント)を特定する(ステップS409)。
【0099】
以上のように、第4の実施形態では、タイマ17を使って各検出ユニット4に送信時間を割り当てることにより、同じ送信時間が割り当てられた検出ユニット4はほぼ同じタイミングで応答信号を送出することが可能となるが、他の検出ユニット4は、異なるタイミングで応答信号を送出することとなる。これによって、データ処理部3は、1回の質問信号を送信するだけで、全ての検出ユニット4からの応答信号を受信することが可能となる。さらに言えば、各応答信号の送信タイミングは、タイマ17の送信時間により規制されるので、データ処理部3に、ほぼ同時に、多くの応答信号が到着しなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係るタッチセンサは、省配線化可能な入力装置、指紋センサなどに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチセンサ1の全体構成を示す模式図
【図2】図1に示す各検出ユニット4及びその周辺の構成を示す拡大図
【図3】図1に示すタッチセンサ1の動作を示すフローチャート
【図4】第2の実施形態に係るタッチセンサ1の動作を示すフローチャート
【図5】第3の実施形態に係る主検出ユニット4a及び副検出ユニット4bとを示す模式図
【図6】第3の実施形態に係るテーブルTの構成例を示す模式図
【図7A】第3の実施形態に係るタッチセンサ1の基本的な動作を示す第1の模式図
【図7B】第3の実施形態に係るタッチセンサ1の基本的な動作を示す第2の模式図
【図8】第3の実施形態に係るタッチセンサ1の動作を示すフローチャート
【図9】第4の実施形態に係る検出ユニット4の構成を示す拡大図
【図10】第4の実施形態に係るタッチセンサ1の動作を示すフローチャート
【図11】アナログ静電容量方式を採用した従来のタッチセンサ20の構成を模式的に示す斜視図
【図12】図11に示すタッチセンサ20の周辺回路を模式的に示すブロック図
【符号の説明】
【0102】
1 タッチセンサ
2 センサパネル
3 データ処理部
4 検出ユニット
5 アンテナ
6 メモリ
7 プロセッサ
8 収容部材
9 保護膜
10 センサ部
11 RFIDタグ
12 アンテナ
13 メモリ
14 制御部
15 金属電極
16 静電容量センサ
17 タイマ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサであって、
質問信号を生成して空間に送出するデータ処理部と、
前記データ処理部により送出された質問信号を、空間を介して受信し、自身への接触状態を検出して、検出結果を含む応答信号を送信する検出ユニットが複数個配列されるセンサパネルとを備え、
各前記検出ユニットは、
前記データ処理部から送出された質問信号を受信することで起電力を発生するRFIDタグと、
検出対象が自身に触れていることを検出して、検出結果を出力するセンサ部とを含み、
前記RFIDタグは、前記センサ部の検出結果を含む応答信号を生成し空間に送出し、
前記データ処理部は、
各前記RFIDタグから送出された応答信号を、空間を介して受信する第1のアンテナと、
前記第1のアンテナにより受信された各応答信号に含まれる検出結果に基づいて、前記センサパネルにおいて検出対象が現在触れている領域又はポイントを特定するプロセッサとを含む、タッチセンサ。
【請求項2】
前記データ処理部は、前記センサパネルに配列される各検出ユニットに予め割り当てられている識別データを保持するメモリをさらに備え、
前記プロセッサは、前記メモリにより保持される識別データから未選択の識別データを選択し、今回選択した識別データを含む質問信号を生成し、
前記第1のアンテナは、前記プロセッサにより生成された質問信号を空間に送出する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナにより受信された質問信号に含まれる識別データが、自身に予め割り当てられている識別データと一致するか否かを判断する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
今回受け取った質問信号内の識別データが自身の識別データと一致すると判断した場合に、前記センサ部から検出結果を取得し、さらに、
取得した検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記メモリに格納される識別データのそれぞれには、対象となる検出ユニットが前記センサパネルに配置されている位置を示す位置情報が割り当てられており、
前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナから空間に送出された応答信号を受信し、
前記プロセッサは、前記第1のアンテナにより受信された各応答信号に含まれる検出結果と、前記メモリに格納される位置情報とに基づいて、前記センサパネルにおいて検出対象が現在触れている領域又はポイントを特定する、請求項3に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記メモリにより保持される識別データから、未選択の識別データを所定個数選択し、
前記所定個数は、前記データ処理部が、各前記検出ユニットからの応答信号を一度に処理可能な許容範囲に属する数に選ばれる、請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナにより受信された質問信号に応答して、前記センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記センサパネルに配列される各検出ユニットには優先度が割り当てられており、
前記データ処理部は、優先度に従って、質問信号を生成して空間に送出する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記センサパネルに配列される検出ユニットは、相対的に高い優先度が割り当てられる主検出ユニットと、相対的に低い優先度が割り当てられる副検出ユニットとに分類され、
前記副検出ユニットは、前記センサパネルにおいて前記主検出ユニットの周囲に配置されており、
前記データ処理部は、前記センサパネルに配列される各前記主検出ユニットの識別データ毎に、その周囲に配置されるいくつかの前記副検出ユニットの識別データを保持するメモリをさらに備え、
前記プロセッサは、前記メモリから、前記主検出ユニットの識別データを取得し、今回取得した識別データを含む第1の質問信号を生成し、
前記第1のアンテナは、前記プロセッサにより生成された第1の質問信号を空間に送出し、
各前記主検出ユニットにおいて、前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された第1の質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナにより受信された第1の質問信号に応答して、前記センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナから空間に送出された応答信号を受信し、
前記プロセッサは、今回応答信号を返して来た前記主検出ユニットの周囲に配置される副検出ユニットの識別データを前記メモリから取得し、今回取得した識別データを含む第2の質問信号を生成し、
前記第1のアンテナは、前記プロセッサにより生成された第2の質問信号を空間に送出し、
各前記副検出ユニットにおいて、前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された第2の質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナにより受信された第2の質問信号に応答して、前記センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項8に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
各前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナが質問信号を受信すると起動して、予め定められた送信時間を計時するタイマと、
前記タイマを通じて、送信時間が到来したと判断すると、前記センサ部から検出結果を取得する制御部とをさらに備え、
前記制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項1】
タッチセンサであって、
質問信号を生成して空間に送出するデータ処理部と、
前記データ処理部により送出された質問信号を、空間を介して受信し、自身への接触状態を検出して、検出結果を含む応答信号を送信する検出ユニットが複数個配列されるセンサパネルとを備え、
各前記検出ユニットは、
前記データ処理部から送出された質問信号を受信することで起電力を発生するRFIDタグと、
検出対象が自身に触れていることを検出して、検出結果を出力するセンサ部とを含み、
前記RFIDタグは、前記センサ部の検出結果を含む応答信号を生成し空間に送出し、
前記データ処理部は、
各前記RFIDタグから送出された応答信号を、空間を介して受信する第1のアンテナと、
前記第1のアンテナにより受信された各応答信号に含まれる検出結果に基づいて、前記センサパネルにおいて検出対象が現在触れている領域又はポイントを特定するプロセッサとを含む、タッチセンサ。
【請求項2】
前記データ処理部は、前記センサパネルに配列される各検出ユニットに予め割り当てられている識別データを保持するメモリをさらに備え、
前記プロセッサは、前記メモリにより保持される識別データから未選択の識別データを選択し、今回選択した識別データを含む質問信号を生成し、
前記第1のアンテナは、前記プロセッサにより生成された質問信号を空間に送出する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナにより受信された質問信号に含まれる識別データが、自身に予め割り当てられている識別データと一致するか否かを判断する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
今回受け取った質問信号内の識別データが自身の識別データと一致すると判断した場合に、前記センサ部から検出結果を取得し、さらに、
取得した検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記メモリに格納される識別データのそれぞれには、対象となる検出ユニットが前記センサパネルに配置されている位置を示す位置情報が割り当てられており、
前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナから空間に送出された応答信号を受信し、
前記プロセッサは、前記第1のアンテナにより受信された各応答信号に含まれる検出結果と、前記メモリに格納される位置情報とに基づいて、前記センサパネルにおいて検出対象が現在触れている領域又はポイントを特定する、請求項3に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記メモリにより保持される識別データから、未選択の識別データを所定個数選択し、
前記所定個数は、前記データ処理部が、各前記検出ユニットからの応答信号を一度に処理可能な許容範囲に属する数に選ばれる、請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナにより受信された質問信号に応答して、前記センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記センサパネルに配列される各検出ユニットには優先度が割り当てられており、
前記データ処理部は、優先度に従って、質問信号を生成して空間に送出する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記センサパネルに配列される検出ユニットは、相対的に高い優先度が割り当てられる主検出ユニットと、相対的に低い優先度が割り当てられる副検出ユニットとに分類され、
前記副検出ユニットは、前記センサパネルにおいて前記主検出ユニットの周囲に配置されており、
前記データ処理部は、前記センサパネルに配列される各前記主検出ユニットの識別データ毎に、その周囲に配置されるいくつかの前記副検出ユニットの識別データを保持するメモリをさらに備え、
前記プロセッサは、前記メモリから、前記主検出ユニットの識別データを取得し、今回取得した識別データを含む第1の質問信号を生成し、
前記第1のアンテナは、前記プロセッサにより生成された第1の質問信号を空間に送出し、
各前記主検出ユニットにおいて、前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された第1の質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナにより受信された第1の質問信号に応答して、前記センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナから空間に送出された応答信号を受信し、
前記プロセッサは、今回応答信号を返して来た前記主検出ユニットの周囲に配置される副検出ユニットの識別データを前記メモリから取得し、今回取得した識別データを含む第2の質問信号を生成し、
前記第1のアンテナは、前記プロセッサにより生成された第2の質問信号を空間に送出し、
各前記副検出ユニットにおいて、前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された第2の質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナにより受信された第2の質問信号に応答して、前記センサ部から検出結果を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項8に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
各前記RFIDタグは、
前記第1のアンテナから空間に送出された質問信号を受信する第2のアンテナと、
前記第2のアンテナが質問信号を受信すると起動して、予め定められた送信時間を計時するタイマと、
前記タイマを通じて、送信時間が到来したと判断すると、前記センサ部から検出結果を取得する制御部とをさらに備え、
前記制御部は、今回受け取った検出結果が予め定められた基準値を上回っている場合に、今回受け取った検出結果を含む応答信号を生成し、
前記第2のアンテナは、前記制御部により生成された応答信号を空間に送出する、請求項1に記載のタッチセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−31633(P2006−31633A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213463(P2004−213463)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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