説明

タッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステム

【課題】タッチパネル上の1つまたは複数のタッチポイントを判別するのに用いるタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムを提供する。
【解決手段】検出工程S10は、タッチパネル上の各センサーの第1の検出値を受け取る。差値演算工程S20は、各センサーの第2の検出値を受け取り、次に、各センサーの差値を受け取る。差値比較工程S30は、各差値と臨界値とを比較し、タッチされたセンサーの差値が臨界値より大きく、さらに隣接した他のセンサーの差値より大きい場合、センサーがタッチされたセンサーであると判別する。判別エリアの検出工程S40は、判別エリア内の各センサーの差値を受け取り、判別エリアはタッチされたセンサーを中心として形成される。重心演算工程S50は、判別エリアの検出モジュールの受け取った各差値により重心位置を演算する。以上の工程から得られた重心位置がタッチポイントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムに関し、特に、タッチパネル上の1つまたは複数のタッチポイントを判別するのに用いるタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、ユーザーが直接触れることにより操作が行なわれる。操作インターフェイスが人に優しいことが現在普及している大きな原因である。タッチパネル技術は、近年絶え間なく発展し、その成長力は軽視することができない。特に、最近iPADの発売およびWindow7の普及によりタッチパネルは、IT商品の基本装備になっていると言っても過言ではない。
【0003】
タッチパネルは、主に抵抗膜方式(resistive)および静電容量方式(capacitive)の二種類に大別することができる。抵抗膜方式タッチパネルは、ITO (Indium Tin Oxide)ガラスおよびITO薄膜を重ねてなる。タッチパネルは、ITOガラスおよびITO薄膜を接触させて導電させると、演算によりタッチポイントを検出する。タッチパネルの短所は、長期間使用されると、表面にタッチにより傷が付くことがあり、寿命に悪影響を与えることである。
【0004】
静電容量方式タッチパネルは、タッチされる前において、タッチパネル上の各電位が同様であるが、タッチされると人体とタッチパネルとの間に微弱電流が発生し、電容場を形成するため、センサーがタッチポイントを分析し、検出することができる。
【0005】
静電容量方式タッチパネルの短所は、外部環境の影響を受けやすいことである。温度、湿度または周囲の電場が変化すると、静電容量方式タッチパネル上でシグナルドリフトが起きたり、ノイズが発生したりするため、静電容量方式タッチパネルの精度に直接悪影響を与えてしまう。
【0006】
静電容量方式タッチパネルを改良したものに投影型静電容量方式タッチパネルがある。投影型静電容量方式タッチパネルの特性は、タッチパネル上において、複数のタッチを検出することができることである。しかし、複数のタッチを検出する際に、誤検知(ゴースト・ポイント、Ghost Point)が発生することがある。
【0007】
以下、従来技術を図面に基づいて説明する。図1を参照する。図1は、従来技術におけるゴースト・ポイントの形成を示す図である。図1に示すように、従来のマルチタッチのタッチパネルにおいて、2つのセンサーが縦方向の座標および横方向の座標をそれぞれ検出を行なった。そのため、ユーザーがタッチパネル上で二本指でタッチを行なった場合、2つのタッチポイントそれぞれ縦方向および横方向に2つの波を発生させ、演算後には4つのタッチポイントが判別され、そのうちの2つが実際のタッチポイント101、102で、残りの2つがゴースト・ポイント103、104である。このように、容易にエラーが生じやすかった。仮に、3点のマルチタッチの場合、6つのゴースト・ポイントが現れ、マルチタッチのタッチポイントが多くなるにつれて、ゴースト・ポイントがシステム上で引き起こすエラーも大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、タッチポイント数が制限されないマルチタッチにも用いられるタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、ゴースト・ポイントが出現しないタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、判別エラーを減少させ、判別精度を向上させたタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムを提供することにある。
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、タッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムを提供する。本発明のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムは、検出工程、差値演算工程、差値比較工程、判別エリアの検出工程および重心演算工程を含む。検出工程は、タッチパネル上の各センサーの第1の検出値を受け取る。差値演算工程は、各センサーの第2の検出値を受け取り、次に、各センサーの差値を受け取り、差値は各センサーの検出した第2の検出値と第1の検出値との差から得られる。差値比較工程は、各差値と臨界値とを比較し、タッチされたセンサーの差値が臨界値より大きく、さらに隣接した他のセンサーの差値より大きい場合、センサーがタッチされたセンサーであると判別する。判別エリアの検出工程は、判別エリア内の各センサーの差値を受け取り、判別エリアはタッチされたセンサーを中心として形成される。重心演算工程は、判別エリアの検出モジュールの受け取った各差値により重心位置を演算し、重心位置は、縦方向の座標および横方向の座標を有する。以上の工程から得られた重心位置がタッチポイントである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法およびそのシステムは、重心位置を演算することにより、正確にタッチポイントを判断するため、タッチポイント数の制限がなく、マルチタッチにも用いることができる。また、正確にタッチポイントを判断するため、ゴースト・ポイントが出現を防ぐことができる。一定の間隔をおいて臨界値を調節するため、外部の環境がタッチパネルに及ぼす影響を取り除き、タッチポイント判断の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術におけるゴースト・ポイントの形成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるタッチパネルにおけるタッチポイントの判別方法およびそのシステムを示す流れ図である。
【図3】判別エリアを示す図である。
【図4】本発明のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法を示す流れ図である。
【図5】重心位置の演算を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図2を参照する。図2は、本発明の一実施形態によるタッチパネルにおけるタッチポイントの判別方法およびそのシステムを示す流れ図である。図2に示すように、本発明のタッチパネル10は、検出モジュール20、差値演算モジュール30、差値比較モジュール40、判別エリアの検出モジュール50および重心演算モジュール60を含む。タッチポイントの判別システムは、タッチパネル10上の各センサーにより実際のタッチポイントを判別する。
【0014】
図3を参照する。図3は、判別エリアを示す図である。図3に示すように、タッチパネル10上は、アレイ状に配列した複数のセンサーを含む。各センサーは、タッチパネル10上の状態を検出し、検出値を送信する。
【0015】
図2に示すように、検出モジュール20は、タッチパネル10に電気的に接続し、タッチパネル10上の各センサーの第1の検出値を受け取り、保存する。
【0016】
第1の検出値は、タッチポイントの判別システムがタッチポイント判別を行なう初期数値である。第1の検出値は、タッチパネル10が起動されて外部からの影響がない状態で検出された検出値である。また、タッチパネル10が長時間作動して間隔をおいて得られる検出値で、環境がタッチパネル10に及ぼす影響を取り除くのに用いられる。
【0017】
差値演算モジュール30は、検出モジュール20に電気的に接続し、各センサーの第2の検出値を受け取り、各センサーの差値を演算する。第2の検出値は、後に得られた検出値で、差値は、各センサーの検出した第2の検出値と第1の検出値との差から得られる。
【0018】
差値比較モジュール40は、差値演算モジュール30に電気的に接続し、内部に臨界値をあらかじめに設定している。差値演算モジュール30の出力する各差値と臨界値とを比較して、差値が臨界値より大きければ、この差値に対応するセンサーがタッチされたセンサーであろうと判別することができる。タッチされた複数のセンサーにおいて、あるセンサーの差値が臨界値より大きく、隣接した他のセンサーの差値より大きい場合、このセンサーがタッチされたセンサー41(図3参照)であると判別できる。臨界値は、区域内の各センサーの差値により、平均値および標準値が演算される。平均値および標準値は、ある比率により掛け合わされて得られる。区域内のセンサーは、タッチパネル10上の部分センサーであってもよいし、一つのセンサーであってもよい。
【0019】
判別エリアの検出モジュール50は、差値比較モジュール40に電気的に接続し、判別エリア51(図3参照)内の各センサーの差値を受け取る。判別エリア51は、タッチされたセンサー41を中心として形成され、タッチされたセンサー41のセンサーを取り囲んでいる。
【0020】
重心演算モジュール60は、判別エリアの検出モジュール50に電気的に接続し、重心演算モジュール60は、判別エリアの検出モジュール50の受け取った各差値により重心位置を演算する。重心位置とは、タッチパネル10上のタッチポイントの位置である。
【0021】
図4を参照する。図4は、本発明のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法を示す流れ図である。図4に示すように、タッチパネル10のタッチポイントの判断方法は、検出工程S10、差値演算工程S20、差値比較工程S30、判別エリアの検出工程S40および重心演算工程S50を含む。上記の工程から得られた重心位置がタッチポイントである。
【0022】
検出工程S10:検出モジュール20によりタッチパネル10上の各センサーの第1の検出値を受け取り、保存する。タッチパネル10が起動された時、または一定の間隔をおいた後、検出モジュール20がセンサーが検出した検出値を受け取り、第1の検出値として保存する。
【0023】
差値演算工程S20:差値演算モジュール30が各センサーの第2の検出値を受け取る。第2の検出値は、後に得られた検出値である。第2の検出値が得られた後、差値演算モジュール30が第2の検出値と第1の検出値との差し引きで差値が得られる。
【0024】
電源供給後、センサーが外部の影響を受けるため、第2の検出値は第1の検出値と差異がある。その差異は、タッチパネルがタッチされる以外に、外部の湿度、温度変化、帯電体の接近などがノイズを起こすことによる可能性がある。
【0025】
差値比較工程S30:タッチポイントの信号およびノイズの差異を判別するために、差値比較モジュール40は、臨界値をあらかじめに設定している。差値演算モジュール30の出力する各差値と臨界値とを比較して、差値が臨界値より小さければ、センサーが検出した検出値はノイズと判別することができる。
【0026】
それとは反対に、あるセンサーの差値が臨界値より大きく、タッチポイント周辺のセンサーが対応する差値がすべて臨界値より大きい時、このセンサーが隣接した他のセンサーの差値より大きければ、このセンサーがタッチされたセンサー41であると判別できる。
【0027】
臨界値は、区域内の各センサーの差値により、平均値および標準値が演算される。平均値および標準値は、ある比率により掛け合わされて得られる。区域内のセンサーは、タッチパネル10上の部分センサーであってもよいし、一つのセンサーであってもよい。
【0028】
判別エリアの検出工程S40:判別エリアの検出モジュール50は、判別エリア51内の各センサーの差値を受け取る。判別エリア51は、タッチされたセンサー41を中心として形成され、タッチされたセンサー41のセンサーを取り囲んでいる。タッチされたセンサー41は、大まかなタッチポイントに過ぎず、正確に実際のタッチポイントを判別するため、タッチされたセンサー41を中心として判別エリア51を設け、さらに正確にタッチポイントを判別する。
【0029】
図3に示すように、タッチされたセンサー41を中心に上下左右および四方に9つの3×3のアレイを判別エリア51として、判別エリア51内の各センサーの差値を受け取る。また、判別エリア51の範囲を、3×3のアレイから5×5のアレイにすることもできる。
【0030】
重心演算工程S50:判別エリアの検出工程S40で受け取った各差値により重心位置を演算する。重心位置は、縦座標および横座標を含む。縦座標は、判別エリア51内の各差値に、縦方向の相対する位置の座標を掛けたものを、差値の総和で割ったものである。横座標は、判別エリア51内の各差値に、横方向の相対する位置の座標を掛けたものを、差値の総和で割ったものである。
【0031】
図5を参照する。図5は、重心位置の演算を示す図である。図5に示すように、判別エリア51が3×3のアレイからなる場合、判別エリア51内の各センサーの各差値の大きさをa〜iとし、各センサー横方向の相対する座標をX1、X2およびX3とし、縦方向の相対する座標をY1、Y2およびY3とする。これにより、判別エリア51ないの重心位置(XY)の計算式は以下のようになる。



【0032】
重心演算モジュール60により判別エリアの検出モジュール50内の各センサーの差値を演算して得られた重心位置(XY)がタッチポイントである。
【0033】
本発明では好適な実施形態を前述の通りに開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知する者は誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0034】
10 タッチパネル
20 検出モジュール
30 差値演算モジュール
40 差値比較モジュール
41 タッチされたセンサー
50 判別エリアの検出モジュール
51 判別エリア
60 重心演算モジュール
S10 検出工程
S20 差値演算工程
S30 差値比較工程
S40 判別エリアの検出工程
S50 重心演算工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル上の各センサーの第1の検出値を受け取り、保存する検出工程と、
前記各センサーの第2の検出値を受け取り、次に、前記各センサーの差値を受け取り、差値は前記各センサーの検出した前記第2の検出値と前記第1の検出値との差から得られる差値演算工程と、
各差値と臨界値とを比較し、タッチされたセンサーの差値が臨界値より大きく、さらに隣接した他のセンサーの差値より大きい場合、前記センサーがタッチされたセンサーであると判別する差値比較工程と、
判別エリア内の各センサーの差値を受け取り、前記判別エリアはタッチされたセンサーを中心として形成される判別エリアの検出工程と、
前記判別エリアの検出モジュールの受け取った各差値により重心位置を演算し、重心位置は、縦方向の座標および横方向の座標を有する重心演算モジュールと、含み、前記重心位置がタッチポイントであることを特徴とするタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法。
【請求項2】
前記判別エリアは、前記タッチされたセンサーのセンサーを取り囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法。
【請求項3】
前記縦座標は、前記判別エリア内の各差値に、縦方向の相対する位置の座標を掛けたものを、差値の総和で割ったものであり、前記横座標は、前記判別エリア内の各差値に、横方向の相対する位置の座標を掛けたものを、差値の総和で割ったものであることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法。
【請求項4】
前記臨界値は、区域内の前記各センサーの差値により、平均値および標準値が演算され、平均値および標準値は所定の比率により掛け合わされて得られることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法。
【請求項5】
前記区域は、タッチパネル上の前記各センサーを含むことを特徴とする請求項4に記載のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断方法。
【請求項6】
タッチパネルに電気的に接続し、タッチパネル上の各センサーの第1の検出値を受け取り、保存する検出モジュールと、
前記検出モジュールに電気的に接続し、前記各センサーの第2の検出値を受け取り、次に、前記各センサーの差値を受け取り、差値は前記各センサーの検出した前記第2の検出値と前記第1の検出値との差から得られる差値演算モジュールと、
前記差値演算モジュールに電気的に接続し、各差値と臨界値とを比較し、タッチされたセンサーの差値が臨界値より大きく、さらに隣接した他のセンサーの差値より大きい場合、前記センサーがタッチされたセンサーであると判別する差値比較モジュールと、
前記差値比較モジュールに電気的に接続し、判別エリア内の各センサーの差値を受け取り、前記判別エリアはタッチされたセンサーを中心として形成される判別エリアの検出モジュールと、
前記判別エリアの検出モジュールの受け取った各差値により重心位置を演算し、前記重心位置は、縦方向の座標および横方向の座標を有する重心演算モジュールと、を含み、前記重心位置がタッチポイントで、タッチパネル上の各センサーを用いて実際のッチポイントを判別することを特徴とするタッチパネルにおけるタッチポイントの判断システム。
【請求項7】
前記判別エリアは、前記タッチされたセンサーのセンサーを取り囲むように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断システム。
【請求項8】
前記縦座標は、前記判別エリア内の各差値に、縦方向の相対する位置の座標を掛けたものを、差値の総和で割ったものであり、前記横座標は、前記判別エリア内の各差値に、横方向の相対する位置の座標を掛けたものを、差値の総和で割ったものであることを特徴とする請求項6または7に記載のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断システム。
【請求項9】
前記臨界値は、区域内の前記各センサーの差値により、平均値および標準値が演算され、平均値および標準値は所定の比率により掛け合わされて得られることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断システム。
【請求項10】
前記区域は、タッチパネル上の前記各センサーを含むことを特徴とする請求項9に記載のタッチパネルにおけるタッチポイントの判断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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