説明

タッチパネルの入力位置出力方法

【課題】2箇所以上の異なる入力位置を検出しても、操作者が意図する入力位置を出力することが可能なタッチパネルの入力位置出力方法を提供する。
【解決手段】第1入力位置を出力した後の走査周期内に、第1入力位置と異なる位置への入力操作を検出した際には、新たに入力操作を検出した入力位置を第2入力位置として出力し、2カ所以上の異なる位置への入力操作を同時に検出しても、1カ所の入力位置のみを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交するXY方向でタッチパネルへの入力操作を検出してその入力位置を出力するタッチパネルの入力位置出力方法に関し、更に詳しくは、タッチパネルの複数の箇所が入力操作された場合にも入力位置を出力するタッチパネルの入力位置出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等のアイコンを表示する表示パネルと組み合わせて、そのアイコンへの入力操作を検出し、入力位置を出力するタッチパネルが知られている。以下、この種のタッチパネル100を図9で説明すると、タッチパネル100は、矩形枠101内の直交するX、Y方向の2辺に沿って等間隔に取り付けられた複数の発光素子104、104・・を備え、X、Y方向に沿ってこれらの全ての発光素子104を順次発光させることにより、矩形枠101内の指示入力エリア101Aに格子状のX走査光路とY走査光路を形成している。
【0003】
矩形枠101の指示入力エリア101Aを挟み個々の発光素子104と対向する部位には、複数の受光素子105、105・・が取り付けられ、対向する発光素子104から発光される光ビームを受光するようになっている。従って、入力操作が行われていない場合には、全ての各発光素子104、104・・を順に発光させる一走査周期内に、全ての受光素子105、105・・が対向する発光素子104の発光タイミングで光ビームを受光する。
【0004】
矩形枠101の指示入力エリア101Aの内方には、アイコン等の表示102を表示する液晶表示パネル103が配置され、操作者はこの表示102を目安にペン、指等の操作体を接近させて入力操作を行う。操作者が操作体を所望の表示102に接近させると、その入力位置を通過する光路が遮断されるので、その光路上の受光素子105が、対向する発光素子104の発光タイミングで受光せず、これにより入力位置のx、y座標が検出され、x、y座標で表した入力位置が図示しない処理装置へ出力される。アイコン102が表示される領域106には、アイコン106で表される所定の命令が予め関連づけられ、処理装置は、タッチパネル100から特定の領域106内の入力位置が入力されると、その領域106に関連づけられたアイコン102で表す処理を実行する。
【0005】
このようなタッチパネル100では、指示入力エリア101Aの2箇所以上の異なる位置を同時に入力操作した場合に、その入力位置が特定できないものであった。例えば、同図に示すように、「a」と「b」の2箇所を同時に入力操作すると、X方向とY方向でそれぞれ2カ所のの光路が遮断されるので、「c」若しくは「d」の入力位置を入力操作した場合と区別できず、入力位置を特定して出力することができなかった。
【0006】
この問題を解決するため、本願出願人は図10に示すように、指示入力エリア101Aに複合出力モードとする領域107を設定し、同時に入力操作された2カ所の入力位置を出力するタッチパネルの入力位置出力方法を特許出願した(特許文献1)。この入力位置出力方法は、指示入力エリア101Aの特定の領域107を通過する光路が遮断された場合に、その遮断位置から特定する領域107内の入力位置を第1入力位置として出力し、更に、領域107以外の指示入力エリア101Aから検出する入力位置を第2入力位置として重ねて出力する。つまり、操作者は、2カ所の位置を同時に入力する場合には、特定の領域107内に表示されるアイコン108のいずれかを選択し、同時に領域107外に表示されたアイコン109を選択して入力操作を行う。
【0007】
また、本願出願人は、入力領域へ最初に検出した第1入力位置を記憶し、第1入力位置と異なる第2入力位置が検出された場合に、第1入力位置からの第2入力位置の方向を推定してその移動を監視し、第1入力位置と第2入力位置を同時に出力するタッチパネルの入力位置出力方法を特許出願した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3986994号公報(明細書の項目0048乃至0052、図3)
【特許文献2】特開平2009−301250号(明細書の項目0014、0015、図1、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の入力位置出力方法は、指示入力エリア101Aの一部の領域に2カ所の入力位置を受け付ける領域107を設定するので、一カ所の位置を入力操作しようとする操作者は、この領域107を避けて入力操作をしなければならない煩わしさがあり、更に、誤ってこの領域107を入力操作すると、次の異なる入力位置への入力操作を待機するので、2カ所を入力操作しない限り、入力位置が出力されないという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載の入力位置出力方法は、2カ所の異なる入力位置を出力するので、操作者が入力操作を意図する入力位置以外の位置に異物が置かれていたり、操作者の肘や袖が接近すると、これらの位置も入力位置と誤判定し、誤判定した入力位置と組み合わせた2カ所の入力位置に関連づけられた命令が実行されたり、入力操作を意図した入力位置に関連づけられた命令が実行されないという問題があった。
【0011】
更に、操作者が3箇所以上の異なる位置を同時に入力操作することは極めて困難であることから、このような入力操作を想定した命令が関連づけられていないが、タッチパネルへの入力操作では、入力操作した入力位置の他に、肘、袖などの二カ所以上の位置が触れて3カ所以上の入力位置が検出されることがあり、このような場合には、入力エラーを表示して操作者へ伝え、操作者へ再入力操作を促す以外に方法がなかった。
【0012】
更に、特許文献2に記載の入力位置出力方法は、同時に入力操作する2カ所の異なる入力位置がX方向若しくはY方向で重なる同軸上にある場合まで検出できず、エラー処理を行っていた。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、2箇所以上の異なる入力位置を検出しても、操作者が意図する入力位置を出力することが可能なタッチパネルの入力位置出力方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、X方向若しくはY方向のいずれかで重複する2カ所の異なる入力位置を検出し、一方の入力位置を出力可能なタッチパネルの入力位置出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載のタッチパネルの入力位置出力方法は、タッチパネルのX方向に沿って配列された複数のX入力検知素子とY方向に沿って配列された複数のY入力検知素子とを一走査周期で走査する走査を繰り返し、Y方向で入力を検知した1又は2以上の隣り合うX入力検知素子の配列位置からX側入力領域EXを検出し、X方向で入力を検知した1又は2以上の隣り合うY入力検知素子の配列位置からY側入力領域EYを検出し、X側入力領域EX内の位置xとY側入力領域EYの位置yからなる位置座標を入力位置として出力するタッチパネルの入力位置出力方法であって、一走査周期内に、X方向の第1X側入力領域EX1とY方向の第1Y側入力領域EY1を検出したときに、第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1を検知入力領域として記憶するとともに、第1X側入力領域EX1内の位置x1と第1Y側入力領域EY1内の位置y1を第1入力位置として出力し、第1X側入力領域EX1とY方向の第1Y側入力領域EY1を検出した走査周期以後の走査周期内に、検知入力領域として記憶された第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1のいずれとも重ならないX方向の第2X側入力領域EX2とY方向の第2Y側入力領域EY2を検出したときに、第1入力位置の出力を停止し、第2X側入力領域EX2内の位置x2と第2Y側入力領域EY2内の位置y2を第2入力位置として出力することを特徴とする。
【0016】
検知入力領域として記憶された第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1は、第1入力位置への入力操作により検出されたものであるので、いずれとも重ならない第2X側入力領域EX2と第2Y側入力領域EY2から第2入力位置の位置x2、y2を出力できる。
【0017】
第2入力位置が出力されるまでは、第1入力位置が単独の入力位置として出力され、また、第2入力位置を出力する際には、第1入力位置の出力は停止するので、2カ所の位置が同時に入力操作されている状態であっても、常に一カ所の入力位置が出力される。従って、第2入力位置への入力操作は、他の第1入力位置へ誤って入力操作した状態であっても、第2入力位置に関連づけられた所定の命令を実行させることができる。
【0018】
また、請求項2に記載のタッチパネルの入力位置出力方法は、nが任意の正の整数であるn番目の第nX側入力領域EX(n)と第nY側入力領域EY(n)を検出した走査周期以後の走査周期内に、検知入力領域として記憶されている全てのX側入力領域EX(n)とY側入力領域EY(n)のいずれとも重ならない第(n+1)X側入力領域EX(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)を検出したときに、検出した際の全てのX側入力領域EX(n+1)とY側入力領域EY(n+1)を検知入力領域として記憶するとともに、第n入力位置の出力を停止し、第(n+1)X側入力領域EX(n+1)内の位置x(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)内の位置y(n+1)を第(n+1)入力位置として出力することを特徴とする。
【0019】
検知入力領域として記憶された第nX側入力領域EX(n)と第nY側入力領域EY(n)は、第n入力位置への入力操作の際に検出されたものであるので、いずれとも重ならない第(n+1)X側入力領域EX(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)から第(n+1)入力位置の位置x(n+1)、y(n+1)を出力できる。出力が停止された入力位置であっても、その入力位置について入力操作が行われている限り、その入力領域が検知入力領域に記憶されているので、2カ所以上の入力位置が入力操作されている状態であっても、新たな入力位置を検出できる。
【0020】
第(n+1)入力位置が出力されるまでは、第(n)入力位置が単独の入力位置として出力され、また、第(n+1)入力位置を出力する際には、第(n)入力位置の出力は停止するので、2カ所以上の位置が同時に入力操作されている状態であっても、常に一カ所の入力位置が出力される。従って、第(n+1)入力位置への入力操作は、他の複数の入力位置へ誤って入力操作した状態であっても、第(n+1)入力位置に関連づけられた所定の命令を実行させることができる。
【0021】
第(n)入力位置を最新の入力位置として出力する際に、第(n−1)以前の入力位置への入力操作が解かれた場合には、その入力操作領域が検知入力領域に記憶されたX側入力領域EX(n)とY側入力領域EY(n)から除かれているので、入力操作を解除した同じ位置を入力操作すると、第(n+1)入力位置として再び最新の入力位置が出力される。
【0022】
また、請求項3に記載のタッチパネルの入力位置出力方法は、第1X側入力領域EX1とY方向の第1Y側入力領域EY1を検出した走査周期以後の連続する走査周期内に、X方向の第2X側入力領域EX2とY方向の第2Y側入力領域EY2のいずれか一方が、検知入力領域として記憶された第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1のいずれかに重なる第2X側入力領域EX2若しくは第2Y側入力領域EY2を連続して検出したときに、第1入力位置の出力を停止し、第2X側入力領域EX2内の位置x2と第2Y側入力領域EY2内の位置y2を第2入力位置として出力することを特徴とする。
【0023】
第1入力位置とX、Y方向のいずれかが重なる第2入力位置が重ねて入力操作された場合には、連続する走査周期内で、少なくとも第2X側入力領域EX2と第2Y側入力領域EY2のいずれかが第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1のいずれかに重なり、X入力検知素子とY入力検知素子を走査する間に第2X側入力領域EX2と第2Y側入力領域EY2のいずれかが検出され、一走査周期のみ第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1の一方に重なる第2入力位置と判別できる。
【0024】
また、請求項4に記載のタッチパネルの入力位置出力方法は、nが任意の正の整数であるn番目の第(n)X側入力領域EX(n)と第(n)Y側入力領域EY(n)を検出した走査周期以後の連続する走査周期内に、X方向の第(n+1)X側入力領域EX(n+1)とY方向の第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)のいずれか一方が、検知入力領域として記憶されている全てのX側入力領域EX(n)とY側入力領域EY(n)のいずれかに重なる第(n+1)X側入力領域EX(n+1)若しくは第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)を連続して検出したときに、検出した際の全てのX側入力領域EX(n+1)とY側入力領域EY(n+1)を検知入力領域として記憶するとともに、第(n)入力位置の出力を停止し、第(n+1)X側入力領域EX(n+1)内の位置x(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)内の位置y(n+1)を第(n+1)入力位置として出力することを特徴とする。
【0025】
検知入力領域として記憶されている全てのX側入力領域EX(n)とY側入力領域EY(n)とX、Y方向のいずれかが重なる第(n+1)入力位置が重ねて入力操作された場合には、連続する走査周期内で、少なくとも第(n+1)X側入力領域EX(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)のいずれかが検知入力領域として記憶されている全てのX側入力領域EX(n)とY側入力領域EY(n)のいずれかに重なり、X入力検知素子とY入力検知素子を走査する間に第(n+1)X側入力領域EX(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)のいずれかが検出され、一走査周期のみX側入力領域EX(n)とY側入力領域EY(n)の一方に重なる第2入力位置と判別できる。
【0026】
また、請求項5に記載のタッチパネルの入力位置出力方法は、所定の走査周期内にX側入力領域EXとY側入力領域EYが検出される際に入力を検知したX入力検知素子とY入力検知素子の配列位置と、その直後の走査周期内にX側入力領域EX´とY側入力領域EY´が検出される際に入力を検知したX入力検知素子とY入力検知素子の配列位置が、X方向とY方向でそれぞれ隣り合うか重複する場合に、移動入力と判定し、検知入力領域として記憶されているX側入力領域EXとY側入力領域EYをX側入力領域EX´とY側入力領域EY´に置き換えて記憶するとともに、X側入力領域EX´内の位置x´とY側入力領域EY´内の位置y´を入力位置として出力することを特徴とする。
【0027】
入力を検知したX入力検知素子とY入力検知素子の配列位置が、X方向とY方向でそれぞれ隣り合うか重複する場合には、同一の入力操作による移動入力と判定し、新たな入力位置によるX側入力領域EX´とY側入力領域EY´を検知入力領域に記憶するとともに、移動した位置x´、y´を新たな入力位置として出力する。
【0028】
また、請求項6に記載のタッチパネルの入力位置出力方法は、X側入力領域EXを検出した際に入力を検知した2以上の隣り合うX入力検知素子のX方向の両側に配列されたX入力検知素子の配列位置の中央を位置xと、Y側入力領域EYを検出した際に入力を検知した2以上の隣り合うY入力検知素子のY方向の両側に配列されたY入力検知素子の配列位置の中央を位置yとすることを特徴とする。
【0029】
入力を検知したX入力検知素子とY入力検知素子のそれぞれ中央の位置を入力位置x、yとするので、入力領域の幅が増減しても入力位置x、yが大きく変動しない。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明によれば、操作者が第1入力位置を意図して入力操作した場合には、第1入力位置のみが出力され、また、操作者が意図して入力操作した第2入力位置以外の第1入力位置が誤検出されても、エラー処理されずに、第2入力位置のみを入力位置として出力できる。
【0031】
特に、操作者の肘や袖が触れて誤入力しやすいタッチパネルの領域内に所定の命令を関連づけて記憶しなければ、肘や袖が触れた位置が誤検出されても、誤検出されたことを認識せずに、タッチパネルへの入力操作を行うことができる。
【0032】
請求項2の発明によれば、操作者が第(n+1)入力位置を意図して入力操作した場合には、第(n+1)入力位置のみが出力され、また、その入力操作前に複数の入力位置が誤検出されても、エラー処理されずに、第(n+1)入力位置のみを入力位置として出力できる。
【0033】
更に、操作者が意図しない複数の入力位置を誤入力している状態で、操作者が入力操作を意図したが第(n+1)入力位置について、入力操作と入力解除を複数回繰り返しても、常に最新の入力操作の際にその第(n+1)入力位置が出力され、所定の間隔で入力操作を行ういわゆるタッピング入力についても所定の命令を関連づけて実行させることができる。
【0034】
請求項3の発明によれば、第1入力位置に対してX、Y方向のいずれかが重なる第2入力位置を入力操作した場合であっても、X入力検知素子とY入力検知素子を走査する間にX、Y方向のいずれかの入力領域を検出した場合と区別して、第2入力位置を出力できる。
【0035】
請求項4の発明によれば、第(n)入力位置を出力する際に、入力領域が検知入力領域に記憶されていたいずれかの入力位置に対してX、Y方向のいずれかが重なる第(n+1)入力位置を新たに入力操作した場合であっても、X入力検知素子とY入力検知素子を走査する間にX、Y方向のいずれかの入力領域を検出した場合と区別して、第2入力位置を出力できる。
【0036】
請求項5の発明によれば、同時に複数の位置が入力操作されている状態であっても、操作者が意図する移動入力操作を検出し、移動入力操作に関連づけた所定の命令を実行させることができる。
【0037】
請求項6の発明によれば、入力操作の押圧力で入力領域の幅が変化しても、わずかな誤差で入力位置x、yを出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】タッチパネルの入力位置出力方法を実施するタッチパネル1のブロック図である。
【図2】丸で囲った遮光領域から入力位置のx、y座標を求める方法を示す説明図である。
【図3】入力操作領域1Aの異なる入力位置への入力操作P1、P2を示す平面図である。
【図4】図3の入力操作P1、P2を検出し、入力位置を出力する過程を示す説明図である。
【図5】図3の入力操作P1、P2による遮光領域(入力検知領域)を示す説明図である。
【図6】入力操作領域1AのX方向の位置が重なる入力位置への入力操作P1、P2を示す平面図である。
【図7】図6の入力操作P1、P2を検出し、入力位置を出力する過程を示す説明図である。
【図8】図6の入力操作P1、P2による遮光領域(入力検知領域)を示す説明図である。
【図9】従来のタッチパネル100を示す平面図である。
【図10】従来のタッチパネルの入力位置出力方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係るタッチパネルの入力位置出力方法を実施するタッチパネル1の構成を図1を用いて説明する。図1に示すタッチパネル1は、現金自動引き出し機への指示入力装置として用いられるいわゆる光学式タッチパネルであり、矩形状のケース2の図中下辺に、多数のX発光素子3(x1,x2…xk)がX方向に沿って等間隔、ここでは50個(k=50)のX発光素子3が6.6mm間隔で配置され、入力操作領域1Aを挟むケース2の上辺に、各X発光素子3に対向して多数のX受光素子4(x1,x2…xk)が配置されている。また、ケース2の図中左辺には、多数のY発光素子5(y1,y2…yk)がY方向に沿って等間隔、ここでは40個(k=40)のY発光素子5が6.6mm間隔で配置され、入力操作領域1Aを挟むケース2の右辺に、各Y発光素子5に対向して多数のY受光素子6(y1,y2…yk)が配置されている。
【0040】
このように配置されたX発光素子3からX受光素子4へx1,x2…xkの順にX軸方向に走査し、続いてY発光素子5からY受光素子6へy1,y2…ykの順にY軸方向に走査する一回の走査(以下、一走査周期という)を繰り返えす。ここでは、一走査周期の周期が30msecであり、30msec毎の一走査周期を繰り返す。各発光素子3,5を順次発光走査すると、入力操作領域1Aには、図1の波線で示す網目状の走査光路が形成される。この入力操作領域1A内に、操作者がペン若しくは指をおいて入力操作すると、その入力位置を通過するX、Y方向の光ビームが遮断される。
【0041】
入力操作領域1AのX、Y方向に沿って配置される多数のX発光素子3とY発光素子5は、定電流回路14に接続し、定電流が流れると光ビームを発光するLEDで構成される。各X発光素子3とY発光素子5は、更にこの定電流回路14を介してCPU15により個々に接続制御されるLEDマルチプレクサ16に接続し、定電流回路14は、更にD/Aコンバータ17を介してCPU15に接続している。これにより、CPU15は、上記走査タイミングで個々の発光素子3,5へその配置順に駆動電流を流し、光ビームを発光させる。
【0042】
一方、入力操作領域1Aを挟んで複数の発光素子3、5に個々に対向配置された複数のX受光素子4とY受光素子6は、光ビームを受光して受光信号を出力するフォトトランジスタで構成され、それぞれ積分回路11との接続がCPU15により個々に制御されるPtrマルチプレクサ18に接続している。CPU15は、前記駆動電流を流し発光制御した発光素子3,5に対向する受光素子4、6を、その発光制御に同期させて積分回路11へ接続する。積分回路11の出力は、A/Dコンバータ25を介してCPU15へ入力されるので、入力操作領域1Aにおいて光ビームが遮断されない限り、つまり入力操作がない限り、CPU15は、各発光素子3、5を発光制御するタイミングで、対向する受光素子4,6から出力される受光信号を積分回路11を介して得る。
【0043】
また、入力操作領域1Aへの入力操作があると、入力位置を通過するX、Y方向の光ビームが遮断されるので、CPU15は、受光信号が入力されなかった受光素子4,6の配列位置から、操作者が入力操作を行った入力位置を表すx、y座標を求め、入出力インターフェース21を介してホストコンピュータ22へ出力する。CPU15において、入力位置を求める詳細の方法は後述する。
【0044】
CPU15に接続されたROM23は、上記CPU15の動作を実行させるプログラムを記憶し、RAM24は、後述するX側入力領域EXとY側入力領域EY等を記憶する記憶部である。
【0045】
入力操作領域1Aには、透明保護板で表面が覆われた液晶表示パネル7が配置され、現金自動引き出し機に対する所定の命令を表す図示しない入力操作情報が表示されている。一方、入力操作領域1Aには、この入力操作情報の表示位置に対応して、現金自動引き出し機に対する所定の命令が対応づけられた入力操作エリアが仮想設定される。
【0046】
従って、操作者が液晶表示パネル7に表示される入力操作情報を見ながら、入力操作領域1Aの入力操作情報が表示された位置へ指若しくはペンを接近させると、その入力位置がCPU15からホストコンピュータ22へ出力され、入力位置を含む入力操作エリアに関連づけられ、入力操作情報で表される命令が実行される。
【0047】
以下、上述構成のタッチパネル1(CPU15)において、対向する発光素子3、5から光ビームを受光しなかった(以下、入力を検知したという)複数の受光素子4、6の配列位置からx、y座標で表す入力位置を求めて出力する入力位置出力方法を説明する。本発明に係る入力位置出力方法では、入力操作領域1Aの複数の異なる位置を同時に入力位置として検出した場合であっても、いずれか最後に入力操作された入力位置のみを出力するものである。すなわち、入力操作領域1Aの複数の位置が同時に入力操作されたように見えても、30msecの一走査周期内に同時に入力操作されることは極めて希であり、一走査周期単位で前後して検出される各入力位置から、常に最新に検出した入力位置を出力するものである。以下、最初に検出した入力位置を第1入力位置、n番目(nは任意の正の整数)に検出した入力位置を第n入力位置として説明する。
【0048】
(第n入力位置のx、y座標)
上述の通り、各発光素子3、5と対向する受光素子4,6は、X、Y方向の各方向で6.6mmの間隔で配置されているので、太さが2cm弱の指で操作者が入力操作を行うと、隣り合う2乃至4本の光路が同時に遮断される。そこで、一走査周期毎に、入力を検知した複数のX受光素子4が、X方向で隣り合って配列されている場合に、その一群のX受光素子4が配列されている領域をX側入力領域EXと、同様に、入力を検知した複数のY受光素子6が、Y方向で隣り合って配列されている場合に、その一群のY受光素子6が配列されている領域をY側入力領域EYとして、X側入力領域EXから入力位置のx座標を、Y側入力領域EYから入力位置のy座標を求める。ここでは、図2に示すように、X側入力領域EXを形成するX方向両側のX受光素子4、4の配列位置xa、xbの中間位置(xa+xb)/2を入力位置のx座標と、Y側入力領域EYを形成するY方向両側のY受光素子6、6の配列位置ya、ybの中間位置(ya+yb)/2を入力位置のy座標とするが、1/2とする処理を省略し、入力位置のx座標を(xa+xb)、y座標を(ya+yb)で表す。従って、一個のX受光素子4(配列位置xc)若しくはY受光素子6(配列位置yc)のみが入力を検知した場合には入力位置のx座標を(2xc)、y座標を(2yc)で表す。
【0049】
(XY方向でいずれも異なる2カ所の位置が入力位置として検出された場合の処理)
図3に示すように、入力操作領域1Aの右下隅に入力操作P1による入力位置と、左上に入力操作P2による入力位置を検出した場合の入力位置の出力方法を連続する一走査周期(スキャン)の順に図4、図5を用いて説明する。このような入力操作の状況は、例えば、現金自動引き出し機の入力操作面(入力操作領域1A)の左上に表示された入力操作情報を入力操作しようとする操作者の袖が右下隅に接近して入力操作P1とご認識する場合に発生する。
【0050】
入力操作が行われていないタッチパネル1の待機状態では、入力操作領域1Aのいずれの光路も遮断されないので、一走査周期(スキャン1)内に全てのX受光素子4とY受光素子6が対向する発光素子3、5からの光ビームを受光するので入力を検知せず、CPU15は入力位置を出力しない。この待機状態で、後述する検知入力領域を記憶するRAM24の遮光記憶部はリセットされ、クリアされている。
【0051】
次の一走査周期(スキャン2)で、X方向の配列位置x33からx37までのX受光素子4と、Y方向の配列位置y24からy26までのY受光素子6が入力操作P1の入力を検知したとすると(図5参照)、CPU15は、検出したX側遮光領域P1(33−37)とY側遮光領域P1(24−26)を、RAM24の遮光記憶部と比較する。X側遮光領域P1(33−37)とY側遮光領域P1(24−26)は、XYの2方向で何も記憶されていない遮光記憶部の記憶と異なるので、2方向とも異なる入力位置が新たに検出されたことを示す2軸フラッグFをRAM24へ記憶する。2軸フラッグFが記憶されたこの段階では、RAM24の記憶データは更新せず、入力位置も出力しない。
【0052】
スキャン3で検出されたX側遮光領域P1(33−37)とY側遮光領域P1(24−26)は、再び何も記憶されていないRAM24の遮光記憶部とXYの2方向で重複せず、RAM24に前回のスキャンで同じ結果であったことを示す2軸フラッグFが記憶されているので、CPU15は、これらの検出した遮光領域を検知入力領域(X(33−37)、Y(24−26))としてRAM24の遮光記憶部に記憶するとともに、X側遮光領域P1(33−37)とY側遮光領域P1(24−26)とから上述方法で算定する入力位置P1(70、50)を入出力インターフェース21を介してホストコンピュータ22へ出力する。ここで、入力位置P1(70、50)は、入力操作P1の入力位置のx座標が33+37の70、y座標が24+26の50であることを表している。
【0053】
ホストコンピュータ22は、入力位置P1(70、50)が所定の命令が関連づけられている領域内にあるかどうかを判別するが、ここでは、入力操作領域1Aの右下隅に所定の命令は関連づけられていないもとのして、特に応答動作しない。従って、操作者は袖の部分が誤って入力操作P1として検知したことを知らずに、タッチパネル1への入力操作を継続する。また、入力位置P1(70、50)を含む領域に所定の命令が関連づけられ、ホストコンピュータ22がこの命令を実行した場合には、操作者はその命令が実行されたことをみて(例えば意図しないページに表示が切り替わるなど)、誤入力したことに気づく。
【0054】
入力操作P1による入力位置が移動し、次のスキャン4でX側遮光領域P1(31−34)、Y側遮光領域P1(25−27)が検出されたものとすると、その遮光領域はRAM24に記憶されている検知入力領域(X(33−37)、Y(24−26))とXYいずれの方向でも重複する。このように新たに検出された遮光領域が、RAM24に記憶されている検知入力領域のいずれかとXYいずれの方向でも重複する場合には、CPU15は、フラッグを記憶することなく、RAM24に記憶されている検知入力領域を新たに検出した遮光領域(X(31−34)、Y(25−27))に書き替え、その遮光領域から求める入力位置P1(65、52)を出力する。ホストコンピュータ22は、新たな入力位置が入力される毎に上述動作を繰り返す。
【0055】
続く一走査周期のスキャン5で検出した遮光領域に、RAM24に記憶されている検知入力領域(X(31−34)、Y(25−27))の一方向(スキャン5ではY方向)で重複しない新たなY側遮光領域P2(7−9)が含まれている場合には、同時に操作された別の入力操作P2を検出したものと推定し、XYいずれか1方向が重複する入力位置が新たに検出されたことを示す1軸フラッグFをRAM24へ記憶する。1軸フラッグFが記憶されたこの段階においても、RAM24の記憶データは更新せず、入力位置も出力しない。すなわち、一方向のみが重複する遮光領域が新たに検出される場合には、一走査周期内の間に2方向とも異なる入力位置の入力操作P2があり、一方向のX受光素子4又はY受光素子6のみが入力を検知した場合と、一方向で共通する入力位置の入力操作P2があった場合があり、いずれかを1回の走査周期内では検出できないからである。
【0056】
スキャン5の直後の走査周期内であるスキャン6で、RAM24の遮光記憶部に記憶された検知入力領域(X(31−34)、Y(25−27))にX方向とY方向で異なるX側遮光領域P2(7−9)、Y側遮光領域P2(8−10)が検出された場合には、上述の前者の場合であり、2方向とも異なる入力位置が新たに検出されたことを示す2軸フラッグFをRAM24へ記憶し、2軸フラッグFが記憶されたこの段階では、RAM24の記憶データは更新せず、入力位置を出力しない。
【0057】
尚、このスキャン6で同時に検出したX側遮光領域P1(29−30)は、図5に示すように、スキャン5で検出したX側遮光領域P1(31−31)と厳密には重複しないが、X方向で隣り合う位置(x31とx30)に配列されたX受光素子4間までは同一の入力操作P1の入力位置が移動したものとし、重複する領域での入力操作として扱う。また、Y方向で隣り合う位置に配列されたY受光素子が入力を検知したY側遮光領域についても、同様に重複する領域での入力操作として扱う。
【0058】
スキャン7で検出されたX側遮光領域P1(31−31)、P2(8−10)とY側遮光領域P1(25−27)、P2(8−10)のうち、X側遮光領域P2(8−10)とY側遮光領域P2(8−10)は、RAM24に記憶されている検知入力領域(X(31−34)、Y(25−27))とそれぞれXYの方向で重複せず、RAM24に2軸フラッグFが記憶されているので、CPU15は、新たな入力操作P2が検出されたことを確定し、その入力位置P2(18、18)を出力する。また、RAM24の遮光記憶部に記憶されていた検知入力領域は、このスキャン7で検出した遮光領域からX(8−10、31)、Y(8−10、25−27)に書き替えられる。このように、タッチパネル1では、入力操作P1も同時に検出しているが、後に検出した入力操作P2の入力位置のみを出力する。一方、入力位置として出力されなかった入力操作P1による遮光領域は、その入力操作を解除しない限り、スキャンする毎に検出され、検知入力領域に含まれて記憶されるので、更に新たな入力操作P3以降の入力操作を、入力操作P1と識別して検出できる。
【0059】
入力位置P2(18、18)が入力されたホストコンピュータ22は、入力位置P2(18、18)を含む領域に関連づけられたその命令を実行し、操作者が所望する入力操作情報が示す命令が実行される。
【0060】
スキャン8、9では、同時に入力操作されている入力操作P1、P2が移動している状態が検出され、その移動位置に応じて変化する遮光領域が、その都度、検知入力領域としてRAM24の遮光記憶部に更新して記憶される。また、異動先の入力位置P2(20、18)、入力位置P2(26、18)が順次ホストコンピュータ22に出力される。
【0061】
スキャン10では、入力操作P2が解除され、入力操作P1によるX側遮光領域P1(31−33)、Y側遮光領域P1(27−30)のみが検出される。RAM24の遮光記憶部に記憶されている検知入力領域(X(12−14、Y(28−10))は、検出された遮光領域と重複しないので、XYの2方向とも異なる入力位置が除かれたことを示す2軸フラッグFをRAM24へ記憶し、2軸フラッグFを記憶するので、RAM24の記憶データは更新せず、入力位置を出力しない。
【0062】
次のスキャン11で検出された遮光領域のいずれも、RAM24の遮光記憶部に記憶されている検知入力領域(X(12−14、Y(28−10))と重複せず、RAM24に2軸フラッグFが記憶されているので、CPU15は、入力位置を出力していた入力操作P2が解除されたことを確定し、そのときに検出している遮光領域から特定される入力位置P1(65、56)を出力する。検出した遮光領域に複数の入力位置が含まれている場合には、最も最後に出力した入力位置を出力する。
【0063】
スキャン12は、再び入力位置を出力している入力操作P1が移動している状態が検出され、その移動位置に応じて変化する遮光領域が、検知入力領域としてRAM24の遮光記憶部に更新して記憶され、異動先の入力位置P1(66、55)がホストコンピュータ22に出力される。
【0064】
スキャン13では、入力操作P1も解除され、その走査周期中にX方向のX受光素子4のみが解除を検知したことにより、検知入力領域(X(33)、Y(27−28))の一方向(スキャン13ではX方向)で重複する遮光領域が検出されない場合であり、XYいずれか1方向が重複しない入力位置が含まれていることを示す1軸フラッグFをRAM24へ記憶する。1軸フラッグFを記憶するので、RAM24の記憶データは更新せず、入力位置も出力しない。
【0065】
スキャン14では、遮光領域が検出されないので、検知入力領域にXYの2方向ともに重複せず、2軸フラッグFがRAM24に記憶され、RAM24の記憶データは更新されず、入力位置も出力されない。
【0066】
スキャン15でも、2軸フラッグFを記憶したスキャン14と同様に遮光領域が検出されないので、入力操作領域1Aのいずれの位置への入力操作も検出しない状態が確定し、タッチパネル1(CPU15)は、入力操作を待機する待機状態に復帰する。
【0067】
(XY方向でいずれかの方向で異なる2カ所の位置が入力位置として検出された場合の処理)
次に、図6に示すように、入力操作領域1Aの右下隅に入力操作P1の入力位置と、そのY方向の上方に入力操作P2の入力位置を検出した場合の入力位置の出力方法を連続する一走査周期(スキャン)の順に図7、図8を用いて説明する。このような状況は、現金自動引き出し機の入力操作面(入力操作領域1A)の右上に表示された入力操作情報へ操作者が指を接近させる際に、操作者の袖が右下隅に接近して入力操作P1とご認識する場合に発生する。
【0068】
入力操作P1の入力位置を出力するまでのスキャン1乃至3の過程は、上述した図4のスキャン1乃至スキャン3と同一であるので、図7、図8で示し、その説明を省略する。
【0069】
スキャン4で検出した遮光領域に、図7に示すように、RAM24に記憶されている検知入力領域(X(33−37)、Y(24−26))の一方向(Y方向)で重複しない新たなY側遮光領域P2(7−8)が含まれている場合には、同時に操作された別の入力操作P2を検出したものと推定し、1軸フラッグFをRAM24へ記憶する。1軸フラッグFを記憶させるこの段階では、上述したように、一走査周期内に一方向のX受光素子4又はY受光素子6のみが入力を検知した場合と、一方向で共通する入力位置の入力操作P2があった場合とがあるので、その入力位置が確定されず、RAM24の検知入力領域は書き替えず、新たな入力位置も出力しない。
【0070】
スキャン4直後の一走査周期のスキャン5で、再び、RAM24の遮光記憶部に記憶された検知入力領域(X(33−37)、Y(24−26))とY方向のみが異なるY側遮光領域P2(8−9)が検出された場合には、上述の後者の場合であり、RAM24に1軸フラッグFが記憶されているので、CPU15は、X方向の領域で入力操作P1と共通する新たな入力操作P2が検出されたことを確定し、その入力位置P2(66、17)を出力する。また、RAM24の遮光記憶部に記憶されていた検知入力領域は、このスキャン5で検出した遮光領域から(X(31−35)、Y(8−9、25−27))に書き替えられる。入力位置P2(66、17)が入力されたホストコンピュータ22は、入力位置P2(66、17)を含む領域に関連づけられたその命令を実行し、操作者が所望する入力操作情報が示す命令が実行される。
【0071】
この場合にも、タッチパネル1では、入力操作P1を同時に検出しているが、後に検出した入力操作P2の入力位置のみを出力する。入力位置として出力されなかった入力操作P1による遮光領域は、その入力操作を解除しない限り、スキャンする毎に検出され、検知入力領域に含まれて記憶されるので、更に新たな入力操作P3以降の入力操作を、入力操作P1と識別して検出できる。一方、入力操作を解除すれば、次のスキャン以降で検知入力領域に解除した入力操作による遮光領域は含まれないので、再び入力操作を行えば、最新に検出した入力操作の入力位置として出力される。従って、他の入力操作の入力位置が誤検出され、その入力位置を出力している状態であっても、一定の時間をおいて所定位置を繰り返し入力操作するいわゆるタッピング操作を検出することができ、タッピング操作に所定の命令を関連づけてホストコンピュータへ実行させることができる。
【0072】
スキャン6、7は、同時に入力操作されている入力操作P1、P2が移動している状態が検出され、その移動位置に応じて変化する遮光領域が、検知入力領域としてRAM24の遮光記憶部に更新して記憶される。また、異動先の入力位置P2(65、17)、入力位置P2(63、21)が順次ホストコンピュータ22に出力される。
【0073】
操作者が意図した入力操作P2を終えて入力操作を解除すると、スキャン8では、入力操作P1によるX側遮光領域P1(31−32)、Y側遮光領域P1(25−27)のみを検出し、RAM24に記憶されている検知入力領域のうちY(10−11)が重複しないので、1軸フラッグFをRAM24へ記憶する。、1軸フラッグFを記憶するので、RAM24の記憶データは更新せず、入力位置を出力しない。
【0074】
次のスキャン9で同様に、RAM24の遮光記憶部に記憶されている検知入力領域の一方向のY(10−11)が検出した遮光領域と重複せず、RAM24に1軸フラッグFが記憶されているので、CPU15は、Y(10−11)の領域を遮光位置とする入力操作P2が解除されたことを確定し、そのときに検出した遮光領域から特定される入力位置P1(62、52)を出力する。
【0075】
更に入力操作P1を解除し、タッチパネル1が待機状態に復帰するまでのスキャン10、11の処理は、上述した図4のスキャン14、15と同一であるので、その説明を省略する。
【0076】
以上の実施の形態は、入力操作領域1AにXY方向で網目状に形成した光路が入力操作で遮られることによりその入力位置を検出する光学式タッチパネルで説明したが、XY方向の各位置で入力操作の入力位置を検出するタッチパネルであれば、入力位置での静電容量の変化からそ入力位置を検出する静電容量方式など他の検出方式のタッチパネルであってもよい。
【0077】
また、上述の実施の形態では、出力する入力位置とXY方向のいずれかが重複する新たな入力位置を検出して出力するために、少なくとも2回連続する走査周期で同一の検出結果となることを条件として新たな入力位置(入力操作)の検出を確定したが、一方向で重複する入力位置を検出しなければ、1回の走査周期で検出した入力位置を新たな入力位置として出力してもよい。
【0078】
また、上述の実施の形態では、2カ所の異なる入力位置への入力操作を同時に検出する場合について説明したが、3カ所以上の異なる入力位置への入力操作についても、最後に検出した入力操作の入力位置を出力することとして、本発明を適用できる。
【0079】
また、フラッグを記憶した際には、入力位置を出力しないが、直前のスキャンで出力した入力位置を繰り返して出力してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
入力操作領域への入力操作を検出し、二次元座標で表す入力位置を出力するタッチパネルに適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 タッチパネル
4 X受光素子(X側入力検知素子)
6 Y受光素子(Y側入力検知素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルのX方向に沿って配列された複数のX入力検知素子とY方向に沿って配列された複数のY入力検知素子とを一走査周期で走査する走査周期を繰り返し、Y方向で入力を検知した1又は2以上の隣り合うX入力検知素子の配列位置からX側入力領域EXを検出し、X方向で入力を検知した1又は2以上の隣り合うY入力検知素子の配列位置からY側入力領域EYを検出し、X側入力領域EX内の位置xとY側入力領域EYの位置yからなる位置座標を入力位置として出力するタッチパネルの入力位置出力方法であって、
一走査周期内に、X方向の第1X側入力領域EX1とY方向の第1Y側入力領域EY1を検出したときに、第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1を検知入力領域として記憶するとともに、第1X側入力領域EX1内の位置x1と第1Y側入力領域EY1内の位置y1を第1入力位置として出力し、
第1X側入力領域EX1とY方向の第1Y側入力領域EY1を検出した走査周期以後の走査周期内に、検知入力領域として記憶された第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1のいずれとも重ならないX方向の第2X側入力領域EX2とY方向の第2Y側入力領域EY2を検出したときに、第1入力位置の出力を停止し、第2X側入力領域EX2内の位置x2と第2Y側入力領域EY2内の位置y2を第2入力位置として出力することを特徴とするタッチパネルの入力位置出力方法。
【請求項2】
nが任意の正の整数であるn番目の第nX側入力領域EX(n)と第nY側入力領域EY(n)を検出した走査周期以後の走査周期内に、検知入力領域として記憶されている全てのX側入力領域EX(n)とY側入力領域EY(n)のいずれとも重ならない第(n+1)X側入力領域EX(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)を検出したときに、検出した際の全てのX側入力領域EX(n+1)とY側入力領域EY(n+1)を検知入力領域として記憶するとともに、第n入力位置の出力を停止し、第(n+1)X側入力領域EX(n+1)内の位置x(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)内の位置y(n+1)を第(n+1)入力位置として出力することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの入力位置出力方法。
【請求項3】
第1X側入力領域EX1とY方向の第1Y側入力領域EY1を検出した走査周期以後の連続する走査周期内に、X方向の第2X側入力領域EX2とY方向の第2Y側入力領域EY2のいずれか一方が、検知入力領域として記憶された第1X側入力領域EX1と第1Y側入力領域EY1のいずれかに重なる第2X側入力領域EX2若しくは第2Y側入力領域EY2を連続して検出したときに、第1入力位置の出力を停止し、第2X側入力領域EX2内の位置x2と第2Y側入力領域EY2内の位置y2を第2入力位置として出力することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの入力位置出力方法。
【請求項4】
nが任意の正の整数であるn番目の第(n)X側入力領域EX(n)と第(n)Y側入力領域EY(n)を検出した走査周期以後の連続する走査周期内に、X方向の第(n+1)X側入力領域EX(n+1)とY方向の第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)のいずれか一方が、検知入力領域として記憶されている全てのX側入力領域EX(n)とY側入力領域EY(n)のいずれかに重なる第(n+1)X側入力領域EX(n+1)若しくは第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)を連続して検出したときに、検出した際の全てのX側入力領域EX(n+1)とY側入力領域EY(n+1)を検知入力領域として記憶するとともに、第(n)入力位置の出力を停止し、第(n+1)X側入力領域EX(n+1)内の位置x(n+1)と第(n+1)Y側入力領域EY(n+1)内の位置y(n+1)を第(n+1)入力位置として出力することを特徴とする請求項3に記載のタッチパネルの入力位置出力方法。
【請求項5】
所定の走査周期内にX側入力領域EXとY側入力領域EYが検出される際に入力を検知したX入力検知素子とY入力検知素子の配列位置と、その直後の走査周期内にX側入力領域EX´とY側入力領域EY´が検出される際に入力を検知したX入力検知素子とY入力検知素子の配列位置が、X方向とY方向でそれぞれ隣り合うか重複する場合に、移動入力と判定し、検知入力領域として記憶されているX側入力領域EXとY側入力領域EYをX側入力領域EX´とY側入力領域EY´に置き換えて記憶するとともに、X側入力領域EX´内の位置x´とY側入力領域EY´内の位置y´を入力位置として出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタッチパネルの入力位置出力方法。
【請求項6】
X側入力領域EXを検出した際に入力を検知した2以上の隣り合うX入力検知素子のX方向の両側に配列されたX入力検知素子の配列位置の中央を位置xと、Y側入力領域EYを検出した際に入力を検知した2以上の隣り合うY入力検知素子のY方向の両側に配列されたY入力検知素子の配列位置の中央を位置yとすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタッチパネルの入力位置出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−210070(P2011−210070A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78173(P2010−78173)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【特許番号】特許第4633855号(P4633855)
【特許公報発行日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】