説明

タッチパネルセンサ製造方法およびエッチング方法

【課題】所望のパターンを有する透明導電体を備えたタッチパネルセンサを製造する方法を提供する。
【解決手段】はじめに、基板11と、第1透明導電層21と、第1金属層22と、を有する積層体を準備する。次に、第1透明導電層21および第1金属層22をパターニングして、第1透明導電体13および第1取出導電体14を形成する。この際、積層体の第1金属層22は、金属層用エッチング液を用いて所定パターンで選択的にエッチングされる。金属層用エッチング液は、水、りん酸、硝酸および酢酸を含んでおり、また金属層用エッチング液における水の濃度は21重量%よりも小さくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電層および金属層をパターニングしてタッチパネルセンサを製造するタッチパネルセンサ製造方法に関する。また本発明は、透明導電層および金属層を含む積層体のうち金属層を選択的にエッチングするエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板上に所定のパターンで設けられた透明導電体と、基板上に所定のパターンで設けられ、透明導電体に電気的に接続された取出導電体と、を有する薄型表示装置やタッチパネル装置が知られている。このような薄型表示装置やタッチパネル装置は一般に、ITOなどからなる透明導電層と、Al合金などからなる金属層とを含む積層体をパターニングすることにより製造される。透明導電層は、パターニングされて透明導電体となるであり、金属層は、パターニングされて取出導電体となる層である。
【0003】
積層体の透明導電層および金属層をパターニングする方法としてエッチングが知られている。例えば特許文献1において、シュウ酸系のエッチング液を用いて透明導電層をエッチングし、りん酸酢酸や硝酸セリウム系のエッチング液を用いて金属層をエッチングする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−257442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、ITOなどからなる透明導電層の耐薬品性は低く、このため、金属層をエッチングする際に同時に透明導電層がエッチングされ、この結果、所望のパターンの透明導電体が得られないことが考えられる。この課題は、透明導電層に非晶質な部分が含まれる場合に特に顕著になると考えられる。なぜなら、非晶質な部分は一般に、高い結晶性を有する部分に比べて耐薬品性が低くなっているからである。
【0006】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るタッチパネルセンサ製造方法およびエッチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板と、基板上に所定のパターンで設けられた透明導電体と、基板上に所定のパターンで設けられ、前記透明導電体に電気的に接続された取出導電体と、を有するタッチパネルセンサを製造するタッチパネルセンサ製造方法において、基板と、基板上に設けられた透明導電層および金属層と、を含む積層体を準備する工程と、前記透明導電層および金属層をパターニングして、前記透明導電体および前記取出導電体を形成するパターニング工程と、を備え、前記パターニング工程は、前記積層体の前記金属層を、金属層用エッチング液を用いて所定パターンで選択的にエッチングする工程を含み、前記金属層用エッチング液は、水、りん酸、硝酸および酢酸を含み、前記金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも小さくなっていることを特徴とするタッチパネルセンサ製造方法である。
【0008】
本発明によるタッチパネルセンサ製造方法において、好ましくは、前記金属層用エッチング液における水の濃度が17重量%以下となっている。
【0009】
本発明によるタッチパネルセンサ製造方法において、前記金属層が、Al、Al合金、AgまたはAg合金からなっていてもよい。
【0010】
本発明によるタッチパネルセンサ製造方法において、前記透明導電層が、インジウム錫酸化物からなっていてもよい。
【0011】
本発明によるタッチパネルセンサ製造方法において、前記積層体の前記透明導電層は、はじめに、前記基板上に前記透明導電層の材料を成膜し、次に、成膜された前記透明導電層の材料を所定温度で所定時間だけ焼きなますことにより形成されてもよい。この場合、焼きなましにおける前記所定温度および前記所定時間は、前記基板の耐熱特性に応じて設定される。
【0012】
本発明によるタッチパネルセンサ製造方法において、前記基板がPETフィルムを含んでいてもよい。この場合、前記積層体の前記透明導電層は、好ましくは、はじめに、前記基板上に前記透明導電層の材料を成膜し、次に、成膜された前記透明導電層の材料を150〜180℃で所定時間だけ焼きなますことにより形成される。
【0013】
本発明によるタッチパネルセンサ製造方法において、前記積層体の前記金属層は、前記透明導電層上に設けられていてもよい。この場合、前記パターニング工程は、前記透明導電層上の前記金属層をパターニングする工程と、前記透明導電層をパターニングする工程と、パターニングされた前記金属層の一部分上に感光層を設ける工程と、前記感光層をマスクとして、前記金属層を、前記金属層用エッチング液を用いて選択的にエッチングする工程と、を含んでいる。
【0014】
本発明は、基板と、基板上に設けられた透明導電層および金属層と、を含む積層体のうち前記金属層を選択的にエッチングするエッチング方法において、前記金属層を選択的にエッチングする金属層用エッチング液は、水、りん酸、硝酸および酢酸を含み、前記金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも小さくなっていることを特徴とするエッチング方法である。
【0015】
本発明によるエッチング方法において、好ましくは、前記金属層用エッチング液における水の濃度が17重量%以下となっている。
【0016】
本発明によるエッチング方法において、前記金属層が、Al、Al合金、AgまたはAg合金からなっていてもよい。
【0017】
本発明によるエッチング方法において、前記透明導電層が、インジウム錫酸化物からなっていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、透明導電層および金属層を含む積層体における金属層をエッチングする工程において、用いられる金属層用エッチング液は、水、りん酸、硝酸および酢酸を含んでいる。また、この金属層用エッチング液における水の濃度は、21重量%よりも小さくなっている。このため、積層体の透明導電層に影響を与えることなく、積層体の金属層を選択的にエッチングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを示す平面図。
【図1B】図1Bは、図1AのタッチパネルセンサをIB−IB方向から見た縦断面図。
【図1C】図1Cは、図1AのタッチパネルセンサをIC−IC方向から見た縦断面図。
【図2A】図2Aは、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを製造する方法を説明するための図。
【図2B】図2Bは、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを製造する方法を説明するための図。
【図2C】図2Cは、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを製造する方法を説明するための図。
【図2D】図2Dは、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを製造する方法を説明するための図。
【図2E】図2Eは、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを製造する方法を説明するための図。
【図2F】図2Fは、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを製造する方法を説明するための図。
【図2G】図2Gは、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを製造する方法を説明するための図。
【図3】図3は、本発明の実施の形態におけるエッチング方法の変形例を示す図。
【図4A】図4Aは、本発明の実施の形態の変形例におけるタッチパネルセンサを示す平面図。
【図4B】図4Bは、図4AのタッチパネルセンサをIVB−IVB方向から見た縦断面図。
【図4C】図4Cは、図4AのタッチパネルセンサをIVC−IVC方向から見た縦断面図。
【図5】図5は、実施例および比較例における金属層用エッチング液の水の濃度に対して透明導電層の抵抗値変化率をプロットした結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1乃至図2Gを参照して、本発明の実施の形態について説明する。はじめに、本実施の形態によるエッチング方法を用いて製造されるタッチパネルセンサ10について説明する。図1Aは、タッチパネルセンサ10を一側から見た場合を示す平面図である。図1Bまたは図1Cはそれぞれ、図1Aに示すタッチパネルセンサ10をIB−IB方向またはIC−IC方向から見た縦断面図である。
【0021】
タッチパネルセンサ
図1A乃至図1Cに示すタッチパネルセンサ10は、タッチパネルセンサ10への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置または接近位置を検知して、検知に基づく信号を外部に送るものである。このタッチパネルセンサ10は、基板11と、基板11上に所定のパターンで設けられた複数の第1透明導電体13および第2透明導電体15と、基板11上に所定のパターンで設けられ、透明導電体13,15にそれぞれ電気的に接続された第1取出導電体14および第2取出導電体16と、を備えている。このうち第1透明導電体13および第1取出導電体14は基板11の一面11a上に設けられており、第2透明導電体15および第2取出導電体16は基板11の他面11b上に設けられている。また、第1透明導電体13および第2透明導電体15からの信号を外部へ取り出すための第1端子部17および第2端子部18が、それぞれ第1取出導電体14および第2取出導電体16に接続されている。なお図1Aにおいては、基板11の他面11b側に設けられている構成要素が点線で表されている。
【0022】
透明導電体13,15は、外部導体の接触位置または接近位置を検知するものである。このうち第1透明導電体13は、第1方向(図1Aにおける上下方向)における外部導体の接触位置または接近位置を検知するものである。図1Aに示すように、第1透明導電体13は、略正方形の形状を有する複数の第1電極単位13aと、隣接する第1電極単位13a間を第1方向に直交する第2方向(図1Aにおける左右方向)において接続する第1接続部13bと、を有している。また第2透明導電体15は、第2方向における外部導体の接触位置または接近位置を検知するものである。図1Aに示すように、第2透明導電体15は、略正方形の形状を有する複数の第2電極単位15aと、隣接する第2電極単位15a間を第1方向において接続する第2接続部15bと、を有している。
【0023】
また取出導電体14,16および端子部17,18は、外部導体の接触位置または接近位置の検知に基づく透明導電体13,15からの電気信号を外部に送るための経路を構成するものである。
【0024】
タッチパネルセンサ10は、液晶表示装置などの表示装置(図示せず)と組み合わされ、これによって入出力装置が構成される。一般に表示装置は、映像が表示される表示領域と、表示領域の外側に位置する非表示領域とに区画される。また一般に、タッチパネルセンサ10と表示装置とが組み合わされる際、タッチパネルセンサ10の透明導電体13,15が表示装置の表示領域に対応するよう組み合わされる。このため透明導電体13,15は、導電性および透明性を有する材料から構成される。一方、取出導電体14,16および端子部17,18は一般に、表示装置の非表示領域に対応する位置に設けられる。このため、取出導電体14,16および端子部17,18を構成する材料が透明性を有する必要はなく、従って取出導電体14,16および端子部17,18は一般に、透明導電体13,15の材料よりも高い電気伝導率を有する金属材料から構成される。
【0025】
透明導電体13,15は、後に詳細に説明するように、図2Aに示す積層体20の透明導電層21,26をエッチングすることにより形成される。一方、取出導電体14,16および端子部17,18は、積層体20の金属層22,27をエッチングすることにより形成される。以下、積層体20の透明導電層21,26および金属層22,27を構成する材料について詳細に説明する。
【0026】
(透明導電層)
透明導電層21,26を構成する材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物が用いられる。これらの金属酸化物が2種以上複合されてもよい。
【0027】
(金属層)
金属層22,27を構成する材料としては、アルミニウム(Al)、モリブデン、パラジウム、銀(Ag)、クロム、銅等の金属及びそれらを主成分とする合金、あるいはそれら合金を含む積層体が用いられる。このうち銀を含む合金の例としては、銀、パラジウム、銅を含んでなるAPC合金が挙げられる。
【0028】
(基板)
また、透明導電層21,26および金属層22,27を支持する基板11を構成する材料としては、光透過性、安定性や耐久性等に優れた材料が用いられ、例えばPETが用いられる。
【0029】
本実施の形態によるタッチパネルセンサ10においては、図1Bおよび図1Cに示すように、同一の基板11上に透明導電体13,15、取出導電体14,16および端子部17,18が所定パターンで設けられている。このようなタッチパネルセンサ10は、同一の基板11上に設けられた透明導電層21,26および金属層22,27を、エッチング液を用いてパターニングすることによって製造される。この場合、金属層22,27をエッチングするために用いられるエッチング液(金属層用エッチング液)は、金属層22,27だけでなく透明導電層21,26にも接触することになる。以下、このような場合に適しているタッチパネルセンサ10の製造方法について、図2A乃至図2Gを参照して説明する。
【0030】
タッチパネルセンサの製造方法
図2A(a)(b)〜図2G(a)(b)の各図において、(a)に示されている図は、製造中のタッチパネルセンサを示す平面図であり、(b)に示されている図は、製造中のタッチパネルセンサを各々(a)のIIA−IIA〜IIG−IIG方向から見た縦断面図である。
【0031】
(積層体の準備)
図2Aに示すように、はじめに、基板11と、基板11の一面11a上に設けられた第1透明導電層21と、第1透明導電層21上に設けられた第1金属層22と、基板11の他面11b上に設けられた第2透明導電層26と、第2透明導電層26上に設けられた第2金属層27と、を有する積層体20を準備する。このような積層体20は、はじめに、例えばスパッタリング法などを用いて基板11上に第1透明導電層21および第2透明導電層26を成膜し、次に、第1透明導電層21および第2透明導電層26上に第1金属層22および第2金属層27を成膜することにより得られる。
【0032】
積層体20の第1透明導電層21および第2透明導電層26は、好ましくは、はじめに基板11上に透明導電層21,26の材料を成膜し、次に成膜された透明導電層21,26の材料を所定温度で所定時間だけ焼きなますことにより形成される。ところで上述のように、基板11の材料として例えばPETが用いられている。この場合、成膜された透明導電層21,26の材料を焼きなますときの上記所定温度および所定時間は、基板11を構成するPETの耐熱特性に応じて設定される。すなわち、基板11を構成するPETが熱により劣化しない程度の温度および時間が設定される。例えば、成膜された透明導電層21,26の材料を焼きなますときの温度が150〜160℃の範囲内に設定され、時間が十数分に設定される。
【0033】
このように本実施の形態においては、成膜された透明導電層21,26の材料を焼きなますときの上記所定温度および所定時間は、透明導電層21,26の材料となるITOなどの特性ではなく、基板11を構成するPETに応じて主に設定される。このため、設定される焼きなましの温度および時間が、透明導電層21,26の材料となるITOにとって不十分であるということが生じうる。
【0034】
焼きなましの温度および時間が不十分である場合、焼きなましにより透明導電層21,26の材料の結晶を十分に成長させることができず、このため、得られる透明導電層21,26に非晶質な部分が含まれていることが考えられる。一般に非晶質な部分は、結晶性の高い部分に比べて、エッチング液などの薬液に対する耐性が低くなっている。このため、透明導電層21,26に非晶質な部分が含まれている場合、金属層22,27をエッチングする際に意図に反して同時に透明導電層21,26がエッチングされてしまうことが考えられる。
【0035】
このような意図しない透明導電層21,26のエッチングを防ぐことが可能な方法について、以下、図2B乃至図2Gを参照して説明する。なお第2透明導電層26および第2金属層27のエッチング方法は、エッチングにより形成される具体的なパターン形状が異なるのみであり、その他の点は第1透明導電層21および第1金属層22のエッチング方法と略同一である。従って、以下の説明においては、第1透明導電層21および第1金属層22のエッチング方法についてのみ説明し、第2透明導電層26および第2金属層27のエッチング方法については省略する。また、図2B乃至図2Gにおいても第2透明導電層26および第2金属層27が省略されている。
【0036】
(感光層の形成およびパターニング)
まず図2Bに示すように、積層体20の第1金属層22上に第1感光層23を形成する。第1感光層23は、特定波長域の光、例えば紫外線に対する感光性を有している。この第1感光層23は、例えばコーターを用いて感光性材料をコーティングすることによって設けられる。次に図2Cに示すように、所定のマスクを用いて第1感光層23を露光し、次に第1感光層23を現像する。これによって第1感光層23がパターニングされる。この際、第1感光層23は、図2Cに示すように、後に形成される第1透明導電体13、第1取出導電体14および第1端子部17に対応するパターンを有している。
【0037】
(第1透明導電層および第1金属層のエッチング)
次に図2Dに示すように、第1感光層23をマスクとして第1透明導電層21および第1金属層22をエッチングする。これによって、第1透明導電層21および第1金属層22が、後に形成される第1透明導電体13、第1取出導電体14および第1端子部17に対応するパターンにパターニングされる。
【0038】
図2Dに示すエッチング工程においては、第1透明導電層21および第1金属層22が同一のパターンにパターニングされる。このため、エッチング液として、第1透明導電層21および第1金属層22の両方に対して浸食性を有するエッチング液が用いられ得る。
【0039】
(感光層のパターニング)
次に図2Eに示すように、第1感光層23をさらにパターニングする。この際、第1感光層23は、図2Eに示すように、後に形成される第1取出導電体14および第1端子部17に対応するパターンを有している。第1感光層23がポジ型感光性樹脂である場合、図2Eに示されるようなパターニングは、表示装置の表示領域に対応する部位が透明であり、表示装置の非表示領域に対応する部分が遮光されたフォトマスクを用いて、第1感光層23側から露光し、現像することによって実現される。
【0040】
(第1金属層のエッチング)
次に図2Fに示すように、第1感光層23をマスクとして第1金属層22を選択的にエッチングする。これによって、第1透明導電層21のうち後に形成される第1透明導電体13に対応する位置にある第1透明導電層21上に設けられた第1金属層22が除去される。この際、エッチング処理が施されるエッチング時間は、設計通りの厚みを有する第1金属層22をちょうどエッチングするのに必要な時間(ジャストエッチングタイム、以下JET)+αの時間に設定されている。時間αは、エッチングにより除去される第1金属層22の厚みが部分的に設計値からずれている場合、例えば第1金属層22の厚みにばらつきがある場合であっても、第1金属層22を十分に除去するために設けられている。このような時間αは、想定される第1金属層22の厚みのばらつきの程度や、第1金属層22の材料、金属層用エッチング液の種類に応じて適宜設定されるが、例えば1分に設定されている。
【0041】
以下、図2Fに示す工程において用いられる、第1金属層22をエッチングするためのエッチング液(金属層用エッチング液)について詳細に説明する。金属層用エッチング液としては、第1金属層22に対して浸食性を有するとともに、第1透明導電層21に対して浸食性を有さないエッチング液が用いられる。このような金属層用エッチング液は、水、りん酸、硝酸および酢酸を含んでいる。
【0042】
本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、一例として後述する実施例での実験結果で支持されているように、金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも小さくなっている場合に、第1透明導電層21をほとんどエッチングすることなく、第1金属層22のみを選択的にエッチングすることができた。また本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、金属層用エッチング液における水の濃度が17重量%以下となっている場合に、第1金属層22に対する選択性がより高められることが見いだされた。これらのことから、第1金属層22に対する選択性を高める上で、金属層用エッチング液における水の濃度を調整することが重要であると言える。
【0043】
金属層用エッチング液の第1金属層22に対する選択性が水の濃度に依存する原因については、様々な事項が考えられる。例えば、金属層用エッチング液における水の濃度を所定値以下とすることにより、金属層用エッチング液の流動性を所定値以下にすることができ、これによって、第1金属層22の下にある第1透明導電層21がエッチングされるのを防ぐことができる、という点が考えられる。
【0044】
次に図2Gに示すように、残っている第1感光層23を除去する。これによって2Gに示すように、第1電極単位13aおよび第1接続部13bからなる第1透明導電体13と、第1取出導電体14および第1端子部17とを備えたタッチパネルセンサ10が得られる。なお図2G(b)に示すように、第1取出導電体14と基板11との間に第1透明導電層21が介在されていてもよい。これによって、第1透明導電体13からの電気信号が第1取出導電体14のみによって第1端子部17まで伝達される場合に比べて、第1透明導電体13と第1端子部17との間の抵抗値を小さくすることができる。
【0045】
このように本実施の形態によれば、積層体20の第1金属層22をエッチングする工程において、用いられる金属層用エッチング液は、水、りん酸、硝酸および酢酸を含んでいる。また、この金属層用エッチング液における水の濃度は、21重量%よりも小さくなっている。このため、積層体20の第1金属層22のみを選択的にエッチングすることができる。このことにより、全域にわたって所望の厚みを有する第1透明導電体13を備えたタッチパネルセンサ10を得ることができる。
【0046】
なお本実施の形態において、第1感光層23をマスクとして第1透明導電層21および第1金属層22をエッチングする際(図2Dに示す工程)、エッチング液として、第1透明導電層21および第1金属層22の両方に対して浸食性を有するエッチング液が用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図2Dに示す工程においても、第1金属層22を選択的にエッチングする上述の金属層用エッチング液と、第1透明導電層21を選択的にエッチングする透明導電層用エッチング液とが順次用いられてもよい。第1透明導電層21を選択的にエッチングする透明導電層用エッチング液としては、例えば塩化第二鉄を含むエッチング液が用いられる。
【0047】
また本実施の形態において、積層体20のうち第1透明導電層21上に設けられた第1金属層22が部分的に金属層用エッチング液により選択的にエッチングされる例を示した。この際、エッチングの態様が図2Fに示される例に限られることはなく、様々な態様で金属層用エッチング液により第1金属層22が選択的にエッチングされ得る。
例えば図3(a)に示すように、積層体20の第1金属層22上に第1感光層23が設けられており、第1感光層23に部分的に開口部23aが形成されている場合について考える。この場合、図3(a)の右側に示すように、積層体20の第1金属層22のうち開口部23aに対応する部分のみが金属層用エッチング液により選択的にエッチングされてもよい。
または図3(b)に示すように、第1透明導電層21上に設けられた第1金属層22が全域にわたって金属層用エッチング液により選択的にエッチングされてもよい。
【0048】
また本実施の形態において、金属層用エッチング液によりエッチングされる積層体20が、基板11と、基板11上に設けられた第1透明導電層21と、第1透明導電層21上に設けられた第1金属層22とを含む例を示した。しかしながら、積層体20が第1透明導電層21および第1金属層22を含む限りにおいて、積層体20の具体的な層構成(積層順など)が特に限られることはない。
例えば図3(c)に示すように、積層体20が、基板11と、基板11上に設けられた第1金属層22と、第1金属層22上に設けられた第1透明導電層21とを含んでいてもよい。または図3(d)に示すように、積層体20が、基板11と、基板11の一面11a上に設けられた第1透明導電層21と、基板11の他面11b上に設けられた第1金属層22とを含んでいてもよい。いずれの場合においても本実施の形態による金属層用エッチング液を用いることにより、第1透明導電層21をエッチングすることなく第1金属層22のみを選択的にエッチングすることができる。
【0049】
また本実施の形態において、タッチパネルセンサ10が、基板11の一面11a側に設けられた第1透明導電体13、第1取出導電体14および第1端子部17と、基板11の他面11b側に設けられた第2透明導電体15、第2取出導電体16および第2端子部18と、を備えた例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図4A乃至図4Cに示すように、第1透明導電体13、第1取出導電体14、第2透明導電体15、第2取出導電体16、第1端子部17および第2端子部18がいずれも基板11の一面11a側に設けられていてもよい。この場合、図4Bおよび図4Cに示すように、第1接続部13bと第2接続部15bとの間には絶縁層19が介在されている。これによって、第1接続部13bと第2接続部15bとが電気的に接続されることが防がれている。
【0050】
図4A乃至図4Cに示すタッチパネルセンサ10においても、透明導電層(透明導電体13,15)上に設けられた金属層をエッチングすることにより取出導電体14,16および端子部17,18が形成される。このエッチングの際、上述の金属層用エッチング液を用いることにより、透明導電層をエッチングすることなく金属層のみを選択的にエッチングすることができる。このことにより、全域にわたって所望の厚みを有する第1透明導電体13および第2透明導電体15を備えたタッチパネルセンサ10を得ることができる。
【0051】
また本実施の形態において、基板11を構成する材料としてPETが用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、光透過性、安定性や耐久性等に優れた様々な材料から基板11を構成することができる。例えば、基板11を構成する材料としてガラスを用いることができる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
はじめにPETからなる基板を準備した。次にこの基板上にITOからなる透明導電層を成膜し、その後、透明導電層上にAPC合金からなる金属層を成膜した。ITOからなる透明導電層の厚みは200Åであり、APC合金からなる金属層の厚みは1000Åであった。基板上に透明導電層を成膜した際の焼きなましの条件は、温度が約150℃であり、時間が約25分であった。
【0054】
基板、透明導電層および金属層からなる積層体の一部分を試験片として切り出した。試験片の透明導電層の寸法は幅1mm×長さ70mmとなっていた。次に、この試験片の透明導電層上の金属層をエッチングにより除去した。この際、金属層用エッチング液として、りん酸、硝酸、酢酸および水を含むエッチング液を用いた。用いた金属層用エッチング液に含まれるりん酸、硝酸、酢酸および水の濃度はそれぞれ47重量%、5重量%、37重量%および11重量%であった。
【0055】
(評価1)
上記の金属層用エッチング液を用いて、温度23℃で135秒間、試験片の金属層をエッチングした。この「135秒間」は、本実施例による金属層用エッチング液を用いた試験片の金属層のエッチングを開始してから、エッチングにより金属層が完全に除去されるまでの時間(秒)、いわゆるジャストエッチングタイム(JET)となるよう設定されている。エッチングにより金属層が除去された後、試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率を測定した。結果、面積抵抗率は7.2×10Ω/□となっていた。
なお所定のエッチング液のJETが測定される際、エッチングにより金属層が完全に除去されたかどうかは、一般に目視により確認される。また以下に記載する評価においても、エッチングの温度は23℃に設定されていた。
【0056】
(評価2)
またJETでのエッチングとは別に、上記の金属層用エッチング液を用いて、エッチング時間をJET+1分間に設定して試験片の金属層をエッチングした。
現実のエッチング工程においては、一般に、金属層の厚みにばらつきがある場合であっても金属層を十分に除去するよう、エッチング時間がJETよりも長い時間に設定される。本評価は、金属層のエッチング時間がJETよりも長い時間に設定された場合に、金属層の下にある透明導電層がどの程度のダメージを受けるかを評価するためのものである。
エッチングにより金属層が除去された後、試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率を測定した。結果、面積抵抗率は9.9×10Ω/□となっていた。
【0057】
なお上記の評価1、2においては、試験片に残っている透明導電層(幅1mm×長さ70mm)の面積抵抗率を、四探針法を用いて測定した。測定器としては三菱化学(株)製のロレスタ−GP MCP−T600を用いた。測定プローブとしては、ロレスタ−GP MCP−T600用のASPプローブ MCP−TP03Pを用いた。MCP−TP03Pは、間隔5mmで並べられた4本の測定ピン(ピン先0.37R)を有する測定プローブである。なお、面積抵抗率を算出する際に用いられる抵抗率補正係数(RCF)は、4.450に設定されていた。
【0058】
ところで一般に、面積抵抗率の絶対値を正確に算出するためには、試験片の寸法(幅×長さ)に応じて抵抗率補正係数を調整することが好ましい。しかしながら、上記の4.450という抵抗率補正係数は、幅1mm×長さ70mmという寸法の試験片に対して最適に調整されたものではない。従って、上記の評価1、2において算出された面積抵抗率は、最適に調整された抵抗率補正係数を用いた場合に算出されるであろう面積抵抗率とは異なっていると考えられる。
しかしながら、上記の評価1、2は、同一の寸法(幅1mm×長さ70mm)を有する様々な試験片(本実施例および後述する各実施例または各比較例における試験片)の面積抵抗率を相対的に比較するために実施された評価である。すなわち、重要なのは、エッチング液やエッチング時間などのエッチング条件に応じて試験片の透明導電層の面積抵抗率がどのように変化するかを相対的に比較することであり、面積抵抗率の絶対値を精度良く算出することではない。従って、上記の評価1、2において、試験片の寸法に応じた抵抗率補正係数の調整を行わなかった。
【0059】
なお、十分に大きな寸法を有する透明導電層、例えば200Åの厚みおよび幅100mm×長さ100mmの寸法を有する透明導電層の面積抵抗率を、上記の4.450という抵抗率補正係数を用いて算出した場合、面積抵抗率が270Ω/□となっていた。この値は、上記の評価1にて算出された透明導電層(幅1mm×長さ70mm)の面積抵抗率の約1/27となっている。このように本実施例および後述する各実施例および各比較例における面積抵抗率の値は、試験片の寸法が小さいこと、および、試験片の寸法に応じた抵抗率補正係数の調整がされていないことの影響を大きく受けた値となっている。
【0060】
(実施例2)
金属層用エッチング液に含まれるりん酸、硝酸、酢酸および水の濃度をそれぞれ45重量%、5重量%、33重量%および17重量%とし、JETを90秒間としたこと以外は、実施例1と同様にして、試験片の金属層をエッチングにより除去した。用いられた試験片は、実施例1において用いられた試験片と同一の積層体から切り出されたものである。
【0061】
エッチング時間をJETに設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は7.2×10Ω/□となっていた。
また、エッチング時間をJET+1分間に設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は9.2×10Ω/□となっていた。
【0062】
(実施例3)
金属層用エッチング液に含まれるりん酸、硝酸、酢酸および水の濃度をそれぞれ72重量%、2重量%、9重量%および17重量%とし、JETを111秒間としたこと以外は、実施例1と同様にして、試験片の金属層をエッチングにより除去した。用いられた試験片は、実施例1において用いられた試験片と同一の積層体から切り出されたものである。
【0063】
エッチング時間をJETに設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は7.2×10Ω/□となっていた。
また、エッチング時間をJET+1分間に設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は11.5×10Ω/□となっていた。
【0064】
(比較例1)
金属層用エッチング液に含まれるりん酸、硝酸、酢酸および水の濃度をそれぞれ42重量%、4重量%、33重量%および21重量%とし、JETを90秒間としたこと以外は、実施例1と同様にして、試験片の金属層をエッチングにより除去した。用いられた試験片は、実施例1において用いられた試験片と同一の積層体から切り出されたものである。なお本比較例における金属層用エッチング液は、実施例1における金属層用エッチング液を水で希釈することにより得られたものである。
【0065】
エッチング時間をJETに設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は7.2×10Ω/□となっていた。
また、エッチング時間をJET+1分間に設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は20×10Ω/□となっていた。
【0066】
(比較例2)
金属層用エッチング液に含まれるりん酸、硝酸、酢酸および水の濃度をそれぞれ36重量%、4重量%、26重量%および34重量%とし、JETを110秒間としたこと以外は、実施例1と同様にして、試験片の金属層をエッチングにより除去した。用いられた試験片は、実施例1において用いられた試験片と同一の積層体から切り出されたものである。なお本比較例における金属層用エッチング液は、実施例2における金属層用エッチング液を水で希釈することにより得られたものである。
【0067】
エッチング時間をJETに設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は7.2×10Ω/□となっていた。
また、エッチング時間をJET+1分間に設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は22.4×10Ω/□となっていた。
【0068】
(比較例3)
金属層用エッチング液に含まれるりん酸、硝酸、酢酸および水の濃度をそれぞれ37重量%、2重量%、27重量%および34重量%とし、JETを300秒間としたこと以外は、実施例1と同様にして、試験片の金属層をエッチングにより除去した。用いられた試験片は、実施例1において用いられた試験片と同一の積層体から切り出されたものである。なお本比較例における金属層用エッチング液は、比較例2における金属層用エッチング液の硝酸の濃度を半分にすることにより得られたものである。本比較例における金属層用エッチング液の水の濃度と比較例2における金属層用エッチング液の水の濃度とは略同一になっている。
【0069】
エッチング時間をJETに設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は7.2×10Ω/□となっていた。
また、エッチング時間をJET+1分間に設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は22.6×10Ω/□となっていた。
【0070】
(比較例4)
金属層用エッチング液に含まれるりん酸、硝酸、酢酸および水の濃度をそれぞれ37重量%、2重量%、27重量%および34重量%とし、JETを60秒間としたこと以外は、実施例1と同様にして、試験片の金属層をエッチングにより除去した。用いられた試験片は、実施例1において用いられた試験片と同一の積層体から切り出されたものである。なお本比較例における金属層用エッチング液は、比較例2における金属層用エッチング液の酢酸の濃度を半分にすることにより得られたものである。本比較例における金属層用エッチング液のりん酸、硝酸および水の濃度は、比較例2における金属層用エッチング液のりん酸、硝酸および水の濃度よりも高くなっている。
【0071】
エッチング時間をJETに設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は7.2×10Ω/□となっていた。
また、エッチング時間をJET+1分間に設定して、試験片の金属層をエッチングした。試験片に残っている透明導電層の面積抵抗率は22.6×10Ω/□となっていた。
【0072】
表1は、実施例1〜3および比較例1〜4における金属層用エッチング液の組成、JET、エッチング時間がJETの場合の透明導電層の面積抵抗率およびエッチング時間がJET+1分間の場合の透明導電層の面積抵抗率を示している。また表1には、エッチング時間がJETの場合の透明導電層の面積抵抗率に対する、エッチング時間がJET+1分間の場合の透明導電層の面積抵抗率の比率(抵抗値変化率)が併せて示されている。また、実施例1〜3および比較例1〜4における金属層用エッチング液の水の濃度に対して透明導電層の抵抗値変化率をプロットした結果を図5に示す。
【表1】

【0073】
表1および図5に示されているように、金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも大きくなっている場合、透明導電層の抵抗値変化率が約300%となっていた。すなわち、金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも大きくなっている場合、JET+1分間にわたって金属層をエッチングした場合の透明導電層の抵抗値は、JETでのエッチングの場合に比べて約3倍となっていた。このことから、金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも大きくなっている場合、金属層だけでなく透明導電層も著しくエッチングされていることが分かる。
【0074】
一方、金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも小さくなっている場合、より具体的には17重量%以下になっている場合、透明導電層の抵抗値変化率が200%以下となっていた。すなわち、金属層用エッチング液における水の濃度が17重量%以下になっている場合、JET+1分間にわたって金属層をエッチングした場合の透明導電層の抵抗値は、JETでのエッチングの場合に比べて2倍以下となっていた。このことから、金属層用エッチング液における水の濃度を21重量%よりも小さくすることにより、より好ましくは17重量%以下にすることにより、金属層と同時に透明導電層がエッチングされるのを抑制することができると言える。
【符号の説明】
【0075】
10 タッチパネルセンサ
11 基板
11a 基板の一面
11b 基板の他面
13 第1透明導電体
13a 第1電極単位
13b 第1接続部
14 第1取出導電体
15 第2透明導電体
15a 第2電極単位
15b 第2接続部
16 第2取出導電体
17 第1端子部
18 第2端子部
19 絶縁層
20 積層体
21 第1透明導電層
22 第1金属層
23 第1感光層
23a 開口部
26 第2透明導電層
27 第2金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、基板上に所定のパターンで設けられた透明導電体と、基板上に所定のパターンで設けられ、前記透明導電体に電気的に接続された取出導電体と、を有するタッチパネルセンサを製造するタッチパネルセンサ製造方法において、
基板と、基板上に設けられた透明導電層および金属層と、を含む積層体を準備する工程と、
前記透明導電層および金属層をパターニングして、前記透明導電体および前記取出導電体を形成するパターニング工程と、を備え、
前記パターニング工程は、前記積層体の前記金属層を、金属層用エッチング液を用いて所定パターンで選択的にエッチングする工程を含み、
前記金属層用エッチング液は、水、りん酸、硝酸および酢酸を含み、
前記金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも小さくなっていることを特徴とするタッチパネルセンサ製造方法。
【請求項2】
前記金属層用エッチング液における水の濃度が17重量%以下となっていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルセンサ製造方法。
【請求項3】
前記金属層が、Al、Al合金、AgまたはAg合金からなることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルセンサ製造方法。
【請求項4】
前記透明導電層が、インジウム錫酸化物からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のタッチパネルセンサ製造方法。
【請求項5】
前記積層体の前記透明導電層は、はじめに、前記基板上に前記透明導電層の材料を成膜し、次に、成膜された前記透明導電層の材料を所定温度で所定時間だけ焼きなますことにより形成され、
焼きなましにおける前記所定温度および前記所定時間は、前記基板の耐熱特性に応じて設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタッチパネルセンサ製造方法。
【請求項6】
前記基板がPETフィルムを含み、
前記積層体の前記透明導電層は、はじめに、前記基板上に前記透明導電層の材料を成膜し、次に、成膜された前記透明導電層の材料を150〜180℃で所定時間だけ焼きなますことにより形成されることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルセンサ製造方法。
【請求項7】
前記積層体の前記金属層は、前記透明導電層上に設けられており、
前記パターニング工程は、
前記透明導電層上の前記金属層をパターニングする工程と、
前記透明導電層をパターニングする工程と、
パターニングされた前記金属層の一部分上に感光層を設ける工程と、
前記感光層をマスクとして、前記金属層を、前記金属層用エッチング液を用いて選択的にエッチングする工程と、を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のタッチパネルセンサ製造方法。
【請求項8】
基板と、基板上に設けられた透明導電層および金属層と、を含む積層体のうち前記金属層を選択的にエッチングするエッチング方法において、
前記金属層を選択的にエッチングする金属層用エッチング液は、水、りん酸、硝酸および酢酸を含み、
前記金属層用エッチング液における水の濃度が21重量%よりも小さくなっていることを特徴とするエッチング方法。
【請求項9】
前記金属層用エッチング液における水の濃度が17重量%以下となっていることを特徴とする請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記金属層が、Al、Al合金、AgまたはAg合金からなることを特徴とする請求項8または9に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記透明導電層が、インジウム錫酸化物からなることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載のエッチング方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図2G】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−164079(P2012−164079A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23147(P2011−23147)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】